「Keisuke Hara - [Diary]」
2004/11版 その1


2004/11/01 (月)


2004/11/02 (火)


2004/11/03 (水)

ペンギン (math, science, 日常)

昨夜はロジャー・ペンローズの学部生向け講義。 いつもと違って、立見が大量に出るほどの大入り満員。 しかしやはり、ほとんど何も知らない学生相手に、 ツイスター理論の解説をするなどとは、 いかに天才ペンローズにとっても無謀な試みである。 五分間で量子力学を説明し、 五分間で特殊相対性理論を説明し、 OHP シート一枚で一般相対性理論を説明したあと、 ツイスター空間の幾何について予定時間を遥かにオーヴァして語っていたが、 理解した人が何人いたかは不明。

今日、オフィスに来たら、 L 教授から「見つけたぞ!」と言うメイルが届いていて、 なにを見つけたのかと中身を見ると、 スチュワート島大学の A.U.Thor と言う聞いたことのない人の論文で、 なんと最近、我々が考えていた問題と議論の一部がそのまま書かれているのだ。 世界は広いな…と思いつつ、 ふと表紙のアブストラクトを読むと、 「この地方のペンギンの個体数に温水が与える影響についての研究。 主要な発見はペンギンに温水を飲ませることが極めて難しいということで、 成功率は近似的に -\exp(-i \pi) - 1 に従う…」

TeX を使うときは、タイトルとアブストラクトくらい入れ換えようよ… 結局、L 先生が一度書いたけどなくした、と言っていたメモだった。



2004/11/04 (木)


2004/11/05 (金)

他人の効用 (math)

研究所の近くのサンドウィッチ屋でカプチーノを買い、 オフィスで一服してから、金曜午前のセミナ。 今日は一つ「望み」と言っていたところの一部の証明が、 昨夜突然出来たので気分良く開始。 「なるほど、なるほど。I agree.」と聞いてくれたものの、 そこは当然分かっていたようで、ちょっとがっかり。 しかし、セミナが終わりかける頃、 当然分かっているだろうと思っていた簡単な指摘をして、感激される。 (しばらく何故面白いかを興奮して説明していたが、 理由は良く理解できなかった。) とりあえず、第一段階はクリアした模様で、 証明をチェックして TeX でまとめることになった。 ただ、その証明はかなり繊細かつトリッキィなので、 私にはまだかなり疑わしく感じられる。 共同研究しているときにありがちな、 二人だけで示せた気になっている大ホラである可能性もある。

共同研究には色々な長所と短所があるのだが、 私が思う最大の美点は御互いの盲点をカヴァーできることで、 片方が自明だと思っていることが相手には全く自明でない場合がある。 一人で考えていて壁にぶつかるのは、 大抵そこが自分の頭の構造では気付かないトラップになっているからで、 他の構造の頭を持ってくるとトラップでも何でもないことがある。 相手よりずっと賢くなくても、ちゃんと貢献できるのだ。 しかし一人だけで研究する場合には、 自分が賢くない限り自分に貢献できない。



2004/11/06 (土)

ラドクリフ (books)

昨日の夕方、研究所の近所のパブで、 Don Brown の "The Da Vinci Code" を読了。 流石にベストセラーになるだけのことはあるページターナーだった。 しかし、 特にこの本がお固いブラックウェルズでさえ売上げ一位を続けているのは (現在の二位はペンローズによる理論物理の一般解説書)、 オックスフォードがラドクリフ縁の地だからだろうか… ところで、 この本の最後にも続刊のプロローグと第一章がオマケでついていた。 やはり一般的な宣伝方法だったらしい。

この次は、A. McCall Smith の "The 2 1/2 Pillars of Wisdom" を読む予定。これはドイツ人言語学教授 von Igelfeld 博士と、 同僚二人のドイツ人教授とのおかしな日々を綴るシリーズの三冊を 一冊にまとめたペーパーバック版。 McCall Smith の一番有名なシリーズはアフリカを舞台にしたものだが、 他にも色々なジャンルのものを書いている。 ジャンルを問わず常に軽やかな筆致である。 著者はジンバブエとスコットランドで育ったという経歴を持ち、 現在はエジンバラ大学の Medical Law の教授らしい。 なお、寝床で読んでいるガルシア=マルケスはまだあまり進んでいない。



2004/11/07 (日)


2004/11/08 (月)


2004/11/09 (火)


2004/11/10 (水)



この日記は、GNSを使用して作成されています。