「Keisuke Hara - [Diary]」
2005/01版 その2


2005/01/11 (火)


2005/01/12 (水)


2005/01/13 (木)

フロー (math, 日常)

Evesham で開催されていた、 「『幾何/スペクトル/確率』の解析」 winter school が終わって、 Oxford に戻ってくる。 自分の講演は相変わらず酷い有様で、 ちょっとは英語がうまくなっているのではないか、 と自分では秘かに思っていただけに、 終わった後に激しく落ち込んだ。 部屋で三時間ほど一人で反省会をし、無理矢理立ち直る。 今まで外国での講演は数回くらいしかしたことがないので、 また新たに経験を積めたのだと考えよう。 そんな私に比べて、某 KO 大の院生は、 学生のためのショートセッションでではあるが、 皆とても立派な講演をしていた。 やっぱり学生の頃からの訓練が、クリティカルなのか。

それはともかく、シンポジウム自体はなかなか面白かった。 講演の大半が幾何の話だったので、 間違った研究集会に紛れ込んでしまったような気持ちではあったが。 特にリッチ・フローの話が沢山あって、勉強になった。 ポアンカレ予想がリッチ・フローを使って解けたらしい、 と言う背景もあるからだろうが、 確率論の人にとっては非常に身近に感じられる概念なので、 もっと沢山の人が興味を持って良いかも知れない。

ポアンカレ予想が解決したらしい、と言う噂は以前から聞いていて、 どうもかなり確度が高いようだ。 少なくとも、シリアスに受け取られている模様。 そう言えば、リーマン予想が解けたらしい、 と言う噂も流れてから久しいが、どうなっているのだろうか。 その件の論文を同室のロジシャンと雑談の折に見ていたら、 文献表にフランスの某有名確率論学者 M 先生の論文が挙がっていて驚いた。 いわゆる M 解析以前の、かなり古い調和解析の論文だった。

数学は新たな黄金時代に入っているのかも知れない。 (少なくとも日本での) 世間の風当たりはアゲインスト、と言う気もするけれど。



2005/01/14 (金)


2005/01/15 (土)

ステイタスの不安 (books, 日常)

次の月曜日から新学期(ヒラリー・ターム)開始で、 またあの日々が始まるのかとちょっと憂鬱。 シンポジウムの後の週末をゆっくりと過す。 既に洋服屋ではセーターなどの冬物が安くなっていたので、 少し購入。 本屋で De Botton の "Status Anxiety" のペーパーバック版が半額安売りされていたので購入。 実はハードカヴァーを持っている。 でも、日本で途中で読みさしたままイギリスに来てしまったので、 安いことだし、まあいいか、と思って。 そして著者解説を見て、 De Botton が自分より一歳若いことに気付き、ショックを受けた。 年を取って嫌なことの一つは、 立派な仕事をしている人々が自分より年下であることに気付くことだ。 それに比べて自分は…と反射的に思わずにはいられないからだろう。


語学の経済 (thought)

国際的なシンポジウムでいつも驚くのは、 ヨーロッパの人の多くが幾つかの言語を話せることだ。 英語は勿論だが、他にもう一つ二つ不自由なく話せる人が多い。 一方、イギリス人とアメリカ人は英語しか話せなくて、 特にイギリス人は自分が「外国語に弱い」ことに、 コンプレックスを持っているようだ。つい大陸の人間と比べるからだろう。 日本人も同じ種のコンプレックスを持っているが、 少なくともサイエンスの分野では英語は共通語の役割を持っているので、 イギリス人のコンプレックスの方がより複雑かも知れない。 しかしながら、これは全て「対費用効果」で説明できてしまうことであって、 どの国の誰も、劣等感も優越感も感じる理由はないと思う。



2005/01/16 (日)


2005/01/17 (月)


2005/01/18 (火)

危険 (日常)

昨日、月曜から二学期目が始まった。 初日は定例の確率解析セミナ。 二本建てセミナの間のお茶の時間に、香港の P 君と雑談していたら、 香港に帰国していた冬休みの間、 猛烈な風邪にかかって入院していたと言う。 食事も取れず、ずっと点滴暮らしだったとのこと。 「エエッ、ソレとても危険ではナイのですか?」 「もうオッケーですねー、一時はシンゾーまで来て大変デシタノコト、 日頃のタンレン足りまセンでしたのネ。 ここから、注射しましたよ、この手ノ甲ノところネ、 ズット、頭の上にブラ下げてオクノヤツ、 エイヨーのためねエイヨー。でも、モウ完全にオッケー」 「イヤ、アナタはオッケー、ソレとても理解。 デモ、なう、今とても危険でナイのか?」 「もう完治したとオモウねー。 チョットまだ熱あるかも知れない、咳もカナ」 「いや、ナウ、アナタオッケー。とても理解シタ。 問題点は、ワタシがオッケーでないことね。 とても危険でないか?」 「もう危険ないね、ワタシもう大丈夫ハハハー。 これカラは、少し運動するね」 「ノー。ソウじゃなくて、私意味しているのは、 君がとてもキケンなソンザイなのではないのかね、 周りのヒトにとって、タトエバ、コノ私にとって、まさに今。」 「ンー、ある意味では」。

と言うような危険な会話をして、 セミナの後、オフィスに戻ってきたら、 外務省からメイルが来ていた。 月末にイラクの在外選挙がイギリスでも行われるから、 これこれの場所にはくれぐれも近付かないように、との連絡である。 突然、日常が危険な雰囲気に満ちてきた今日この頃。



2005/01/19 (水)


2005/01/20 (木)



この日記は、GNSを使用して作成されています。