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ディープスペースナイン エピソードガイド
第102話「戦う勇気」
Nor the Battle to the Strong

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・イントロダクション
シャトルにはベシアとジェイクが乗っている。僕が報告した論文を議論を呼ぶとは思ったけど、まさかあそこまで学会が騒ぐとはねというベシア。学者同士のパネルディスカッションはいつもお上品なのにというと、十分上品だと思ったというジェイク。上っ面だけさ、とにかくあの論文は気に触ったらしい、プリオン※1の数の激減と量子共鳴効果が関係あるなんてとんでもない理論だとさというベシア。ジェイクは興味なさそうだが、画期的だと無理矢理笑った。大先生方に言わせればアミノ酸の組み替えであって量子力学は関係ないそうだ、とんでもないと話しつづけるベシア。ジェイクはベシアが何を話しているかわからないが、せっかくライターとして仕事をもらったんだから記事をまとめあげるつもりだ※2。手紙を編集者に出そうかと思うジェイク。ドクター・ベシアの記事に賛同して頂き感謝しています、しかし残念ながらと。ここはわかるとベシアに聞かれ、何とかと答えるジェイク。タンパク質とアミノ酸がとまだしゃべりつづけるベシアだが、タンパク質なんかどうでもいいと思うジェイク。生と死の問題、善と悪、カータリアン病※3の大流行の話なんか格好のネタなのにと思っている。ウィルスと戦うドクターの物語とか、伝染病の話をしてくれないかなと思うジェイク。ペプチドをスキャンしたと得意げに話すベシア。その時警報が鳴った。救難信号をキャッチし、発信源はアジロン星※4の連邦コロニーだ。クリンゴンに上陸され攻撃を受けたようだ。一時停戦も終わりかというジェイク。病院が攻撃を受けていて医者と医療物資が足りないというベシア。すぐ行かなきゃというジェイクに、危険過ぎる、病院は戦闘が行われている最前線のすぐそばだという。これまで何度も危険な目に遭ってきているでしょというジェイク。ベシアは君まで危険な目に遭わせるわけにはいかない、死ぬのには若すぎるという。もう18だ、DS9が攻撃されたのも経験してるしこれでもシスコの息子だよというジェイク。ドクターを必要としている人がいるという。行くしかないだろうな、1時間もあれば着くだろうというベシア。お父さんに知れたら何ていわれるだろうなという。わかってくれるよというジェイク。救援部隊が来たらすぐに帰る、第一記事の締め切りを破るわけにはいかないだろうというベシア。僕の写真もいるかなという。笑い、席につくジェイク。ベシアはまたペプチドについて話し出すが、ジェイクは戦場で戦う医師の姿を想像し、いい感じになってきたと喜んでいた。

※1: プライオン prion 狂牛病などを引き起こす要因となる病原体。「クジラドリの激減」と奇妙な誤訳になっています

※2: この個所など、ジェイクの心の声もしくは執筆内容が使われているところが以下も出てきます

※3: Cartalian fever

※4: Ajiron Prime


・本編
DS9の司令室。クワークがキラに差し出す飲み物を見て、何だこれはと聞くオドー。チーフが注文したものだ、キラ少佐のためのカフェイン抜きのラクタジーノ※5というクワーク。キラは口にしてみるが、手を振りひどく不味そうにすごいという。大袈裟だなといい自分も飲むオブライエン。クワークと怒る。ベストは尽くした、カフェインを抜くというのはもう何世紀もの間どこのバーでもレストランでもやってなかったんだというクワーク。金払って飲むかと返すオブライエン。クワークタジーノは売れそうにもないなというオドー。笑うキラ。妊婦をカフェイン漬けにするつもりかというオブライエンに、それじゃカフェイン中毒みたいじゃないと言うキラ。1日に2杯飲むだけよねというダックス。オブライエンは生まれてくる息子をカフェイン漬けにしたくないだけですという。気にし過ぎじゃない、妊娠すると男がうるさくて嫌ねとキラに言うダックス。言っとくけど産んだ経験があるんだというオブライエン。キラは産んだのはケイコでしょという。キラに指図する権利はないというダックス。後ろで黙って聞いていたウォーフは、オブライエンの子なんだから言いたいことはあるだろうという。子供のオーナーなんだから口を出す権利はあるというクワーク。フェレンギでは妊娠は腹のレンタルみたいなもんだからなという。レンタルと同時に聞き返すキラとダックス。そこへシスコが浮かない顔をして司令官室から出てきた。どうかしましたかと聞くオドー。ベシアから連絡があり救難信号を受けアジロン星に向かったそうだというシスコ。ジェイクも一緒と聞くキラ。シスコは最新の情報によれば、アジロン星の北半球にある2つの街が制圧されたらしいという。避難しようにも、船が残っていないので住民が身動き取れないというウォーフ。オブライエンはここからだと3日かかるという。明後日にはファラガット※6が着き、それと入れ替わりにすぐ帰ってくるとベシアは言っているというシスコ。木曜には帰ってくる、大したことない、あっという間よというダックス。
シャトルはアジロン星の軌道に到着した。転送で降りると聞くジェイクに、クリンゴンがいるからシャトルを残しては行けないというベシア。かろうじて残った医療機器は全て地下に運ばれていて地上に行っても仕方ないし、地表のマグネサイト※7のせいで転送ビームは地下まで通らない。船を降ろす場所を探さなきゃというジェイク。街から1キロほどのところに少し開けたところがあるがとベシアは言うが、ジェイクに下は酷い状況だぞという。怪我人と死体の山だ。覚悟してると答えるジェイク。ベシアはうなずいた。
洞窟の中は負傷者で溢れ、医者や看護婦が奔走していた。担架で怪我人を運んでくるボリアン※8の医者。リーダーの女性医師、ドクター・カランドラ※9がベシアに声をかけ、本部から聞いているという。用務員のカービー※10に道を開けるようにいわれるジェイク。危篤状態の患者についている看護婦※11がカランドラを呼ぶ。ベシアはカランドラに負傷者の選別を行うように頼まれる。イノプロヴァリン※1215ミリを投与するように言うカランドラ。ジェイクは何すればいいとベシアに聞くが、後にしてくれといわれる。的確に指示を飛ばすカランドラ。ジェイクの目には手を折った少女や、血を流して座り込んでいる人が映る。近寄り、この人大変だよというジェイク。誰か助けてくれといって1人の少尉※13が入ってきた。至近距離からディスラプターで撃たれたという。ベシアが付き添いベッドに座らせる。ジェイクのところにいる怪我人をカランドラがトリコーダーで診るが、傷が深すぎもう助からないという。ベシアはたいしたことないと声をかけ少尉の足を診ている。クリンゴンの死体に近づいたらまだ生きていた、逃げた方がいいとジェイクにいう少尉。クリンゴンは誰にも止められないという。ベシアは足の傷がフェイザーで撃った傷だということがわかった。そんなはずないだろうという少尉。おとなしく座ってろ、手が空いたら来てやるといって離れるベシア。フェイザーの傷じゃない、敵にやられたんだという少尉。ジェイクを見て首をつかみ、何だその顔は、何も知らない癖にという。もうこの星からは逃げられない、クリンゴンの餌食だと少尉は言う。部隊も何人も脱走兵が出た、サリーは足を撃たれ病院に運ばれていったという。うらやましかった、戦わなくても済むという。気がついたら、自分でフェイザーを手にして撃ってたといい泣き出す少尉。ボリアンが入ってきてそこに立ってると邪魔だとジェイクに言う。ジェイクは負傷者の選別は医師の決断を、とパッドに記入し始めるがうまくいかず、自分にしっかりしろという。医者としての姿勢が試される瞬間であると続けるジェイク。するとカービーに呼ばれ、手伝ってくれといわれた。血漿を取ってくるからその間患者をみてくれというカービー。患者は急に起き上がり、ジェイクの胸に手を伸ばした。ジェイクの服には血がべっとりとついた。

※5: raktajino クリンゴンのコーヒー。DS9第9話 "The Passenger" 「宇宙囚人バンティカ」など

※6: U.S.S. Farragut ネビュラ級、NCC-60591。同じ名前を持つ2隻目の船。映画ジェネレーションズに登場。珍しく「ファラガット号」と訳されています

※7: magnesite 金属性の化合物。TNG第162話 "Inheritance" 「アンドロイドの母親」など

※8: (Mark Holton)

※9: Dr. Kalandra (カレン・オースティン Karen Austin VOY第123話 "Barge of the Dead" 「さまよえるクリンゴンの魂」のミラル (Miral) 役) 声:寺内よりえ

※10: Kirby (アンドリュー・カヴォヴィット Andrew Kavovit) 声:遊佐浩二

※11: (Lisa Lord) この医師たちは特有の服装をしています

※12: inaprovaline 心臓刺激薬。TNG第73話 "Transfigurations" 「輝きの中へ…」など

※13: (Jeb Brown) 特殊な服を着ています。声優は TNGラフォージ役の星野充昭氏のような気がします


カービーを手伝い、担架で負傷者を運んでいるジェイク。掛け声と共にベッドの上に患者を置く。ネコの手よりましだなというカービー。採用だ、着替えてくれという。
大動脈接合手術をした方がいいとカランドラと話すベシア。予備の手術台を調達する。士官がジェイクとカービーの目の前で死んでしまった。運び出す2人。
運んでいったところには、既に何人もの布を掛けられた遺体が置かれていた。茫然と見つめるジェイク。
器材や負傷者を運びつづけるジェイク。その服は血だらけだ。しばらくしてカービーと共に戻ると、患者の姿は誰もいない。横の壁にはベシア、ボリアン、看護婦の3人が座り込んでいた。パーティはおしまいという看護婦。早いなというカービーに、今度はこっちがのんびりする番だというボリアン。ベシアは誰かレプリケーターの前まで連れて行ってくれ、腹が減って動けないという。
DS9の司令官室。お呼びですかとオドーが入ってきた。シスコは君が医療室の厄介になったと聞いたという。大丈夫ですといって座り、体より傷ついたのはプライドの方でというオドー。イリディア人が2人、ダボでいかさまをしているとクワークにいわれ見張っていたという。1人が重量測定スキャナー※14のミニチュアでボールがルーレットのどこに落ちるかを計算し、その結果を相棒に教えていたのだ。やるなあ、それでというシスコ。オドーが捕まえようと階段を降りると、1人が気づいて一目散に逃げ出し、それを追ってついいつもの調子でというオドー。階段から飛び降りたんだろと聞くシスコ。当たりです、空中で変身してターカリアンコンドル※15に姿を変えるつもりだったんですというオドー。そうなったら見事だったというシスコに、同感ですというオドー。シスコは無理もないミスだ、可変種から固形種に変わって日が浅いんだからなという。固形種は形が変わらないというが、可変種よりずっと柔な体をしているというオドー。シスコはその通りだ、何かあればすぐに壊れてしまうと言った。ジェイクの心配ですか、大丈夫ですよというオドー。ドクター・ベシアがついているんですからという。シスコはあの子が5才の頃がつい昨日のようだ、膝をすりむいて泣いてしがみついてきたという。頼れるのは世界で私1人だけだった、夜中に目が覚めて部屋に行き寝顔を確かめに行ったというシスコ。その寝顔を見て誓った、何があろうとこの子だけは絶対に守ってみせると。なのに今ジェイクは宇宙の彼方の戦場にいて、なす術もないというシスコ。心配のし過ぎはよくありません、ジェイクのためにもあなたのためにもというオドー。どうしようもないというシスコに、オドーはジェイクは18才です、立派な大人になっても心配するんですかと聞く。心配するよ、一生なと答えるシスコ。オドーは親というものはストレスが溜まるんですな、私は親になる気はしませんねという。それは自由さ、でも子供が与えてくれるものは計り知れないというシスコ。その時チャイムが鳴り、ダックスが入ってきた。ファラガットがランバタ星団※16付近でクリンゴンに撃墜されたと報告するダックス。ファラガットが来なければアジロン星はというオドー。シスコはすぐにダックスに来るように命じ、ディファイアントで出発するといった。
医師たちは食事をとっている。ジェイクのところに料理をもってくるベシア。疲れたかと聞かれ、大丈夫と答えるジェイク。ベシアはよくやっていたとジェイクを誉める。ハラペコというジェイクに、ベシアはまず腿の付け根の切開手術から始めようといってナイフとフォークで肉を切るベシア。それをみたジェイクは吐き気を催した。ベシアに連れて行かれる。彼初めてと聞く看護婦に、そうと答えるカービー。ボリアンは塩を取ってという。
少しましになったとお腹を触るジェイク。あの兵士覚えてる、自分で自分を撃ったと聞く。忘れるもんか、多分軍法会議だろうというベシア。ジェイクは恐がって逃げた脱走兵がいるっていってたという。よくあることだというベシア。でも士官でしょ、艦隊の試験をパスして何百時間っていう戦闘シミュレーションをしてるのにとジェイクは言う。ベシアはシミュレーションで実際の戦闘の恐怖はわからないという。戦いの中に置かれると人間性がわかるって言うけどとというジェイクに、人間性が試される局面はいろいろある、ほとんどの場合は死に直面しなくて済むがなというベシア。
戻ってきたベシアに、カービーがドクター・カランドラが今日の手術のことで探していたと伝える。また後でといい、向かうベシア。カービーはいつ戻るかわからないから食事を片づけておいたとジェイクに言う。スープなら飲めるかなというジェイクに、もちろんという。
トリコーダーで患者を調べているカランドラのところにベシアが近づき、容体はと聞く。血液の流れはほぼ正常に戻っている、いい腕ねというカランドラ。ありがとう、皆さんを最高の医療チームだと思いますよというベシア。カランドラはできるだけのことをしているだけ、この状況下でという。何かいい情報はない、この前の話では連邦は援軍を派遣したって聞いたけどというカランドラ。対クリンゴンの艦隊を編成したらしいとベシアは言う。その艦隊にはどの船が参加しているかを聞くカランドラ。クリンゴンの通信妨害でニュースが入ってこないのだ。ラトリッジ※17とティカムサ※18が入ってたと思うと答えるベシア。カランドラは主人がティカムサの科学士官なのという。ティカムサのレイモンド艦長※19は切れ者だし、カーデシア戦争も切り抜けた船だというベシア。今回も無事切り抜けてくれますよという。私もそう思うというカランドラ。看護婦が検査が完了したとカランドラに伝える。すぐ行くと答えるカランドラに、休む暇もないというベシア。カランドラはその方が気が紛れていいと微笑んだ。
食欲が戻ったみたいじゃないとジェイクに声をかけ、隣に座るカービー。胃腸だけは丈夫だけどというジェイク。僕も最初同じだったというカービー。そして艦隊が送り出した援軍、ファラガットがクリンゴンにやられたことを話す。次の船が来るんだろと聞くジェイクに、来るにしても何日もかかる、その間に攻撃を受け被害も広がるというカービー。それにクリンゴンがあちこちに転送妨害網※20を張り巡らせてて部隊を転送できないという。ジェイクはホッパー※21を使ったらというが、クリンゴンに空から狙い撃ちされて全然だめ、よほどのことがない限り後2日でこの街は陥落だねとカービーは言う。あのバトラフの傷痕を見たか、銃を捨てて切りかかってきた、奴等はガナルダ4号星※22の恨みを晴らそうとしてるんだという。連邦に敗れて退却した恨みだ。でも病院にいれば安全だよねというジェイクに、相手はクリンゴンだ、病院だろうが医者だろうが容赦はしないというカービー。寝てる患者だって殺すだろう、名誉ある死を与えてやるといってという。さっき何やってたのと聞かれ、ドクター・ベシアの記事を書いていたと答えるジェイク。ジャーナリストと聞かれ、そうじゃなく小説とか書いてるという。カービーと話しながらも、ジェイクの頭の中はいつクリンゴンが襲ってくるかでいっぱいだった。
ベッドで寝ているジェイクたち。カービーたちは恐怖で夜は眠れないということはなさそうだ。ジェイクはDS9で何度も敵の攻撃を受けたことはあるのに、身の危険をこんなにリアルに感じたことがあるのは初めてだった。毎日星々を眺めてきたせいだろうか、それともいつも守ってきたシスコがいないせいだろうか。その時遠くの方で爆発の音がした。クリンゴンだ、発電機がやられたというボリアン。みんな飛び起き、すぐに向かった。
ベシアが患者を診ているが、危険だという。発電機が流れないとまずいことになるというボリアン。電気ショックを与えるベシア。カランドラは本部に聞いたが、電力の復旧には3時間はかかるという答えだったという。ジェイクはポータブル発電機は使えないのと聞くが、街の周りにシールドを張るために使っているという。ベシアはシャトルの発電機を使うことを思い付く。南に1キロのところにあり、一緒に取りに行こうとジェイクにいうベシア。カランドラはシールドがあるから転送はできない、トンネルを使うように言う。街の外に通じているもので、カービーが案内する。
洞窟の外に出て、地表を歩くベシアとジェイクの2人。丘を越えればシャトルはもうすぐだ。しかしその時、クリンゴンの空からの攻撃が2人を襲った。離れるな、頭を伏せてろというベシア。攻撃の合間をぬい、岩の陰に隠れながら進む。何があっても発電機を持って帰る、ついてこいといい走るベシア。攻撃は容赦なく続いている。遅れ気味に進むジェイクに、早く来いというベシア。攻撃の勢いで倒れる。ジェイクは一瞬ひるんでしまう。2人の間に攻撃が注ぎ、煙で視界が奪われた。ジェイクを呼ぶベシアは、またも吹き飛ばされた。そしてついにジェイクは、後ろを向きおびえながら走り出した。息も絶え絶えに走りつづけるジェイク。

※14: gravimetric scanner

※15: Tarkalean condor ターカリアンティー (Tarkalean tea) は DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」はじめ何度も登場

※16: Lembatta cluster

※17: U.S.S. Rutledge ニューオーリンズ級、NCC-57295。オブライエンがかつて乗船していた船。TNG第86話 "The Wounded" 「不実なる平和」より

※18: U.S.S. Tecumseh エクセルシオール級、NCC-14934

※19: Captain Raymond 単に「艦長」としか訳されていません

※20: transport scrambler

※21: hopper

※22: Ganalda IV


逃げつづけるジェイク。つまづき倒れ込んでしまう。倒れた体の下にあったのは、クリンゴンの死体だった。慌てて起き上がり周りを見ると、そこには何人ものクリンゴンと連邦士官の死体が転がっていた。戦闘があったのだ。その間を抜け、ジェイクはさらに逃げつづける。
そしてジェイクはがけに足を取られ、転がり落ちてしまった。転がり終えたところでいきなり頬を殴られる。そこにいるのは連邦の士官※23だった。ひどい怪我で、服もボロボロだ。その男は早く医療キットを取ってくれ、注射をという。ハイポスプレーを取り出すジェイク。起こしてくれと頼まれ、いわれた通りにする。こんな格好のまま死にたくないという。ハイポを自分で注射する男。頭はと聞かれ、痛いと首を振るジェイク。クリンゴンと思って殺すところだった、パトロールしているクリンゴンをみなかったかと聞く男。連邦の兵士もみなかったというジェイク。お前だけか、なぜシールドから出たのかと聞かれる。急に攻撃が始まり、逃げてるうちに道に迷ったというジェイク。男は連れができていいがといい、水の入った袋を渡した。あんたはとジェイクが聞くが、いいからという。すぐに飲み、礼を言うジェイク。男は俺が飲んでも無駄だからなという。死ぬ時は地面ではなく空を見て死にたい、倒れないように見てろという。わかったというジェイク。ホッパーが墜落してなかったと聞かれ、首を振るジェイク。やったな、脱出だという男。クリンゴンの妨害で、部隊は転送で脱出することができなかったという。だからホッパーを呼び、だがクリンゴンの連中が追ってきたので、自分とブライスが囮になり敵の注意を引きつけたという。仲間はホッパーに乗り込んで発射したが、体勢を崩していたので無事離陸できたかどうかという。味方を逃がすために残ったわけと聞くジェイク。男は苦しみ、ハイポはどこだという。しかし空だ。病院へ行こう、担架を作るよとジェイクは言うが、無理だという。背負って行くといっても、今動かされたらお前の上に内蔵をぶちまけるという。ジェイクは何とかさせてくれ、助ければ逃げてきたのもこのためだと思えるからと言った。爆撃のせいだ、シャトルに発電機を取りに行く途中で爆撃が始まって、ドクターとはぐれてというジェイク。どこかへ逃げるしかなかった、夢中で走りつづけたという。ドクターを一人にしたのかと聞く男。ジェイクは馬鹿だった、こんなつもりじゃという。俺を助ければ罪滅ぼしになると思ってるのか、悪いが人生はそううまくはいかんと男は咳払いを始めた。そして血を吐くと、目を開いたまま息絶えてしまった。ジェイクはうろたえ、その場を離れるとまた走り出した。

※23: 名前は Burke (ダニー・ゴールドリング Danny Goldring DS9第53話 "Civil Defense" 「暴徒制圧モード始動」のレガート Kell (Legate Kell)、VOY第86・87話 "The Killing Game, Part I and II" 「史上最大の殺戮ゲーム(前)(後)のアルファ・ヒロージェン (Alpha Hirogen)、ENT第10話 "Fortunate Son" 「復讐の連鎖」のノーシカン船長 (Nausicaan Captain)、第38話 "The Catwalk" 「嵐を告げる男達」のタクレット人船長 (Takret Captain) 役)

ディファイアントの機関室。コンジットの中に入っているシスコをダックスが呼び、今出ると答えるシスコ。3時間もこもりっきりで何してたのと聞くダックス。フードレプリケーターのパターンバッファを調整していたのさというシスコに、それじゃ今度から熱いコーヒーが飲めるというダックス。シスコは何かしていないとねという。気が紛れたかダックスに聞かれるが、シスコはいやあんまりという。私に何かできれば、大丈夫だって太鼓判を押したいというダックス。シスコは誰にもできないという。ダックスは自分も親だったからよくわかるという。トビン※24の子、レイフィー※25にはいつもやきもきさせられたし、ニーマ※26は6歳の時ルガリン熱※27にかかってオードリッド※28は病院につきっきりで2週間看病した。もう何百年も前のことなのに、自分がどんなに無力に感じたかはっきりを覚えていると涙を浮かべるダックス。ケスター※29の「ライト川のほとり」※30全17巻を読んで聴かせた、聞こえてないのはわかったけど娘のために何かしたかったという。でも後になって、思い返してわかったというダックス。娘のためにではなく、自分のためだったと。気を紛らわすためかと聞くシスコ。ダックスはうなずいた。それでニーマはどうなったのかとシスコが聞くと、元気になったという。シスコはそうじゃなかったらどうしようかと思った、ハッピーエンドじゃなかったら君を恨んでたところだという。ダックスは笑い、でもニーマも21歳になる頃には口も利いてくれなくなり、8年間くらいその状態だったという。その話はまた今度聞かせてくれ、今はジェイクのことで頭がいっぱいなんだというシスコ。ダックスは明日アジロン星に着いたらねと言った。そしてコーヒーは熱いほどいい、レプリケーターのシンクロ調整もしてくれたでしょうねと聞くダックス。何なら自分でチェックするかといわれ、ツール貸してくれるとダックスは言うがシスコは自分のを使えといって貸さない。これからソニックシャワーのチェックをするというシスコに、ご苦労様とダックスは言った。シスコはまた奥に入っていった。
アジロン星。カービーがトリコーダーを使い、看病している。そこへふらふらとジェイクが帰ってきた。ジェイクどこに、無事で良かったというカービー。何があったんだと聞く。シャトルに行こうとして爆撃にあった、ドクター・ベシアは戻って来たと聞くジェイク。一晩集中治療室にいた、腕と肩に火傷を負ってというカービー。あの体で発電機を持って帰ってきたからすごい、爆撃が止んですぐジェイクを探しに行ったが、シャトルの周りは爆撃の跡で散々だったという。ほとんどあきらめていたといわれ、間違った方向に歩いていったからというジェイク。カービーはクリンゴンに出くわさなくてついてたな、総攻撃の準備をしてるらしいという。ドクターに会うかと聞くカービーに、いや寝てるんだろというジェイク。起きてる、今見てきたというカービー。元気な顔を見せてやれといわれ、ジェイクは向かった。
ベシアはベッドで横になっていた。ジェイクが来たのを見て、良かった、死んでしまったのかとと喜ぶベシア。君を見失って最悪のことを想像した、ほんとにすまないという。いいんだというジェイクに、いや僕が悪い、君をこんなところに連れてくるんじゃなかったというベシア。帰るに帰れず取り返しがつかない、何てことをしてしまったんだと後悔する。もういいよ、過ぎたことを今さらというジェイク。ジェイクはベシアに謝られるのはたまらなかった、自分こそ酷いことをしたのにと思っていた。お二人さん面会時間は終わりだとカービーが来て、傷を見てもらうジェイク。
ジェイクはあの時のことが頭をよぎる。爆撃でベシアを見失い、走って逃げた。行動を正当化しようとしたが何度考えても答えは一つしかでない、臆病者だとパッドに書き込んでいく。ドクターが真実を知ってなじってくれればいいのに、本当は臆病者で信頼に値しない奴だ、もしクリンゴンが襲ってきたらきっと真っ先に逃げてしまうという。
カランドラから預かってきたパッドを看護婦に渡すジェイク。看護婦は礼を言い、料理を患者さんに持っていってという。それはあの自分の足を撃った少尉だ。料理を見せるが、食べる気はないらしい。横に置くジェイク。少尉はカッター※31の仕事に就こうかな、面白いかもしれないと話し出す。カッターとは鉱山の採掘で、小惑星をフェイザーでカットする係のことだ。岩の中を掘りやすくするために、射撃の腕がいるという。俺はこんな奴だけど射撃の腕はいい、この傷だって上手く撃たなきゃ足一本吹き飛んでいたという少尉。ずっと順調に思い通りに人生運んでたのに、たった1つのことで全て変わってしまった、自分で思っていたような人間じゃなかったという。アカデミーの戦闘シミュレーションじゃいい成績を上げてた、だが戦場で周り中に爆弾が落ちてくるのとはやっぱり違うと少尉はいった。よけることしか考えられなくなるよねというジェイク。その通りだ、お前と話しているとほっとする、俺なんかが貴重なベッドを占領していいのかという気持ちにならずに済むという少尉。みんなが俺を見る目ときたらたまらない、軍法会議が済んだらガンマ宇宙域のどこかの星の鉱山に送り込まれるんだろうなという。ジェイクは軍法会議はないかもという。かもな、誰もここから生きて帰れなければという少尉。ジェイクはそうじゃなく、君はカウンセリングにかけられるかもしれないという。もういいんだ、俺に宇宙艦隊にいる資格はないと少尉は言う。セラピーを受けたって俺のしたことは消せやしない、足でなく心臓を撃てば良かったというのだった。
ジェイクはベッドで横になっている。本部からの報告書を読んだ、クリンゴンがここに到着するのは時間の問題だそうよという看護婦。そろそろ決断の時かな、殺されるなら剣がいいか、ディスラプターがいいかというカービー。看護婦はディスラプターが絶対いい、体中の分子が一瞬にして消える、痛みも感じないという。起き上がり、レプリケーターのところに行くジェイク。ボリアンは体中が煮えたぎるように感じるという説もあるという。首切りもいい、バトラフでばっさりとというカービー。脳が死ぬまで5秒から10秒あるから、理論的には自分の首なし胴体を見られるわけだとボリアンは言う。趣味が悪いわねという看護婦に、人から聞いた話だというボリアン。ジェイクはカービーに何がいいか聞かれ、冗談はやめろという。冗談じゃない、喉を掻き切られるといってジェイクの喉に手を当てふざけるカービー。よくそんな話ができるな、人が死んでるんだぞと怒るジェイク。戦争して何になる、みんな馬鹿か、どうせ10年も経てば忘れられてしまうのにという。ジェイクと呼び、止めようとするベシア。あんたたちが何人もの命を救ったことも、あいつが自分の足を撃ったこともなかったも同然さというジェイク。ベシアはジェイクを止め、ちょっと来いといった。押し黙るカービーたち。
謝るジェイク。ベシアは恐いのはわかる、みんな同じさという。ジェイクは違う、そんなんじゃないという。じゃあ何だと聞かれ、ジェイクはみんなの冗談に腹が立っただけさという。そんなことが気に触ったんじゃないだろう、何か悩んでるなら言ってみろというベシア。悩みなんかないというジェイク。ベシアは戻ってきてからずっと暗い顔でボーッとしているというが、ジェイクはほっといて、構わないでという。そういうなら、でも話したくなったらいつでも呼んでくれといい、ベシアは歩いて行った。ジェイクはその場に座り、独り涙を流した。

※24: トビン・ダックス Tobin Dax 2番目の本体。DS9第24話 "Invasive Procedures" 「突然の侵入者」など。訳出されていません

※25: Raifi

※26: Neema

※27: Rugalan fever

※28: オードリッド・ダックス Audrid Dax 4番目の本体。DS9第71話 "Facets" 「クルゾンの秘密」より

※29: Caster 訳出されていません

※30: Down the River Light

※31: cutter


ジェイクはそのまま寝ていた。すると突然爆撃の音が聞こえてきた。すぐに戻るジェイク。
クリンゴンの攻撃かと慌てる医者たち。カランドラは脱出することにし、患者を先導して北側のトンネルを抜け、そこで待っているホッパーでタナンドラ湾※32の基地まで逃げるとみんなに伝えた。トンネルは2キロあり70人以上、どれだけ時間がかかると思うというカービー。本部から部隊が来るから時間は稼げるというカランドラ。ベシアは冷静さを失うな、患者たちは僕たちを必要としているんだという。みんな取り掛かり始めた。爆撃音におびえるジェイク。
医者たちは患者の避難を進めている。保安部隊は2人しかいないのかというカービーに、ほかは外で待っているというベシア。頼りないなというカービー。ベシアはジェイクの姿がいないのに気づくが、時間がない。
ジェイクはテーブルの下に隠れていた。やっとでみんなの後を追う。男性の保安部員※33が何してるんだ、敵が来るぞとジェイクにいう。残っている患者はもういない。しかし保安部員が撃たれて倒れた。クリンゴンが2人やって来る。ふせてという女性の保安部員※34。フェイザーライフルで応戦するが、ディスラプターに撃たれてしまった。クリンゴンたちは次はジェイクを狙ってきた。テーブルの下に隠れ、フェイザーを取るジェイク。そして座ったまま、やみくもに撃ち始めた。すると壁が崩れ、クリンゴン人に岩が降り注ぐ。ジェイクのところにもだ。叫び声を上げるジェイク。
ジェイクが目を覚ますと、そこにはベシアとシスコがいた。父さんというジェイク。ドクターに傷を診てもらえというシスコ。何があったのと聞くジェイク。ベシアはいないのに気づいて引き返してきたという。停戦命令が出され、クリンゴンは引き上げていった、終わったというシスコ。もうちょっと早ければ良かったんですが、ジェイクは大丈夫ですというベシア。出口をふさいだのは偉かったが、もう少しでお前もペシャンコだったというシスコ。ジェイクが時間を稼いでくれたおかげでみんな助かった、君は英雄だとベシアは言った。ジェイクはその言葉を信じたかったが、真実は違う、爆撃を受けたあの時と同じくらい恐かったのだ。恐くて死にたくないという気持ちでいっぱいで、気がついたらフェイザーガンを手にとっていた。
ディファイアントでそのジェイクの書いたパッドを読むベシア。ジェイクはアジロン星の戦いは歴史上では大きな戦いではないだろうが、大きなことをここで学んだと続ける。勇気と臆病の境界線は、みんなが思うほど明確ではないということだ。シスコはそれを読み終えた。ジェイクはシスコに見せようかどうか悩んだという。誰でも戦いの中で経験することだが、みんな自分の弱さを認めたがらないというシスコ。自分を見つめるのは勇気のいることだ、それを書いて人に見せるのはもっと勇気があるという。シスコはお前を誇りに思うといい、ジェイクと抱き合った。ジェイクの顔には笑顔が戻った。

※32: Tanandra Bay 「タナンダ基地」と誤訳

※33: (Greg "Christopher" Smith)

※34: (Elle Alexander)


・感想
基地や宇宙船にいたのではわからない真の恐怖がある戦場、その戦場で人間の本質を見て体験したジェイクが語るという視点で話が進められました。これからのジェイクの生き方に大きく影響する出来事になるのではないでしょうか。余談になりますが吹き替えの揺れや誤訳が目立ちます。


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