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ディープスペースナイン エピソードガイド
第107話「あの頂を目指せ」
The Ascent

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・イントロダクション
荷物を積め過ぎじゃないかというシスコに、ちゃんと閉まるよと言いながらどんどんかばんに荷物を入れていくジェイク。ベイジョーに行くわけじゃないんだ、1G-12なら隣じゃないかと言うシスコ。ジェイクは1G-12はやめた、セクションFにいい部屋が見つかったことを話す。Fは居住区の反対じゃないかと言うシスコ。おセンチになるのはやめてよと笑うジェイクに、お前も息子が出て行くことになればわかると言うシスコ。僕は独身だよと言うジェイクに、シスコは笑い、好きにしろと言った。いつかお前が私の立場になったら、やはり落ち込むだろうと言う。かもね、だけど今は自分の部屋で初めての夜がただ待ち遠しいだけとジェイクは言い、かばんを無理矢理閉めた。閉まるっていったろうと言うジェイク。
出て行こうとするジェイクを止め、電話をした後だったらいつでも行っていいんだよなと確認するシスコ。朝と昼はだめでも、夕食は週に一度は一緒にとろうと言う。ジェイクは2、3週間に一度にしてよという。心優しい息子に育ってもらったもんだと皮肉をいうシスコ。2人は抱き合った。ノーグと新生活のスタートか、昔はノーグと話すのも嫌だったのにとシスコは言う。変わったよねというジェイクに、ほんとにそうだなという。ジェイクは部屋を出て行った。
ロム※1が部屋の片づけをしている。チャイムが鳴り、笑顔で迎え入れるロム。入ってきたのはたくさんの瓶をかついだクワークだった。何だ兄貴かと言うロムに、誰だと思ったんだと言うクワーク。ノーグだよというロムに、ノーグのはずがないだろう、まだ船も着いていないのにと言う。気が急くのは当然だろ、息子が帰ってくるんだと反論するロム。クワークが持ってきたのはルートビア※2だった。ロムはノーグの好物だ、恩に着るよと喜ぶ。ラチナムの板10枚だからなと言うクワーク。1本ぐらい飲んでもノーグは気にしないよねと言うロムに、俺が気にすると言うクワーク。ロムは飲み始めた。クワークはため息をつき、実の弟までルートビアを飲むとは、フェレンギの誇りはどうしたんだと嘆く。この泡がうまいんだというロム。またチャイムが鳴り、今度こそノーグだと言い入れるロム。だが今度はオドーだった。またはずれかというクワーク。やあオドー、ルートビア飲むかいというロム。オドーは兄貴に用があってきたと言い、クワークに向き直った。俺は何もやってないと言うクワーク。オドーは私ではなく、インフェルナプライム※3の連邦大陪審※4で言うんだなという。連邦大陪審と聞いて驚き、今度は何をやったんだいと聞くロム。クワークは何もやってない、何を話せっていうんだいと聞く。よくわかってるはずだというオドー。クワークは教えてくれよ、本当にわからないという。インフェルナプライムまでは8日かかるからゆっくり考えろ、2人で出発だと言う。やっとお前が裁きを受ける時が来た、10年間待ちに待った瞬間が来た、見逃してたまるかと言う。クワークを連れて行くオドー。ロムはノーグに会えなくて残念だねとクワークに言った。ああとだけいうクワーク。オドーと共に出て行った。ロムはまたルートビアを飲み、満足そうな顔をした。

※1: Rom DS9第103話 "The Assignment" 「ケイコのために」以来の登場

※2: root beer 地球の飲み物。DS9第71話 "Facets" 「クルゾンの秘密」など

※3: Inferna Prime

※4: Federation Grand Jury


・本編
2人の乗ったシャトル。クワークはインフェルナプライムまでどれくらいかを聞く。197時間17分だ、多少誤差はあろうがというオドー。それなら時間潰しに何かやらないとな、フィズビン※5でもやってみないかと言いカードを配り出すクワーク。オドーはカードゲームはやらないと言う。教えてやる、簡単なんだと言うクワークに、はっきり言わんとわからんか、カードゲームはしたくないと言うオドー。するにしても、お前とはやりたくないという。負けが恐いかと言うクワークに、笑うオドー。クワークはそれにしても、そういう性格は可変種だってことから来ていると思っていたと言う。同胞から一人遠く離れ、自分を理解してくれない人と暮らす。何も食わず何も飲まず、眠りもしない、女にも興味がないと言うクワーク。性格が暗くなるのも当たり前だと言う。だけど今は可変種じゃなく固形種だ、面白い人生を送りたけりゃ手を伸ばしてつかみとるだけでいいと話す。だがそうはしていない、固形種だろうが可変種だろうが自分を愛することができない人間嫌いなんだ、それがあんたでこれからもずっと変わらないだろうなとクワークは言った。オドーは何と言われようがカードはやらないと言う。じゃあ1週間黙って座ってるしかないなと言うクワーク。オドーはうなずき、持っていたパッドをまた読み始めた。何読んでるんだと聞くクワークに、お前にはつまらないという。クワークはパッドを取り上げた。返さなきゃ逮捕かと言うクワーク。内容を読み始める。「彼は歩き出した。木の吊り橋が彼が一歩踏み出すたびに前後に揺れ動いた。彼女の手が喉元へと動き、ブローチの留め金を外した。そしてショールが肩から滑り落ちた。彼女の濡れた肌が月光を浴びて輝いた。稲妻が光り、2人の激しい鼓動と同じリズムで雷鳴が轟き渡った。」オドーはもうやめろといい、取り返した。さっきの発言は取り消す、やっぱりあんたも男だったんだなと言うクワーク。こういう類の小説が好みなら、持っている「ヴァルカンの愛の奴隷」※6の初版本を売ってやってもいいと言う。仕事で読んでるだけだ、遊びじゃないと言うオドー。こういう本は犯罪者の心理を知るのに役立つ、これは周知の事実だが、恋愛がらみの妄想と言うのが殺人事件の動機としては非常に多いと続ける。「ヴァルカンの愛の奴隷」には殺人はない、でも内容はぶっ飛んでるよと言うクワーク。オドーはあきらめろよといい、いくらからかおうが、暗い性格だとけなそうが結局はお前の負けは決まったと言う。今回のことが片付いたら私はDS9へ戻るが、お前は一生を連邦の懲罰植民地で過ごすことになると言う。先のことはわからんというクワークにうなずく。せめて容疑が何かくらいは教えてくれよと言うクワーク。オドーは極秘捜査だからだめだと言い、具体的なことは絶対に漏らすなと言われているという。席に戻り、読書の続きがあるんでねと言った。クワークも隣に座り、一人でカードを扱い始めた。
司令官室にノーグ※7がやってきた。ノーグ士官候補生でありますと名乗る。楽にしていいぞと言うシスコに、休めの姿勢をとる。椅子を指差すシスコ。失礼しますといい座るノーグ。シスコも2年生の時に第137基地※8に実習に出たことを話し、赴任した当初は保安だったが今では人生で最大の思い出として残っていると言う。そうですかというノーグ。シスコは実習生のルールは簡単だと言い、出された命令に従うことと邪魔をしないことだと言う。わかりました、全力を尽くしますと言うノーグ。シスコは野球ボールをノーグに転がした。後個人的なことを一つ、ジェイクとルームメイトになってくれてありがとうと言うシスコ。こちらこそというノーグ。シスコは2人でいろいろと楽しいことを計画しているんだろうなと言う。暇があれば、任務が優先ですからと言うノーグ。ご心配なく、ジェイクはお任せをといった。指導して、ちゃんとさせますといいうなずく。それを聞いて安心したよ、ノーグ候補生と言うシスコ。野球ボールを受け取り、下がってよろしいという。ノーグは回れ右をして部屋を出て行った。
出てきたノーグに、どうだったと聞くキラ。安心されましたと言うノーグ。実習がんばってよと言うキラに、ご期待下さいと言い歩いていった。
ノーグと一緒に部屋に入り、ライトを点けるジェイク。ご感想はとノーグに聞く。死んで聖なる宝物殿に来た気分だ、狭苦しい寮に比べればこの部屋はまさに天国だと言う。気持ちわかるよ、ついに独立だと喜ぶジェイク。もう誰にも指図されなくて済むと言う。ノーグはテーブルのホコリを確かめ、荷物を解く前に部屋の掃除を頼もうと言う。昨日やってくれたと言うジェイクに、やっぱり人任せはだめだな、自分でやらないとというノーグ。奇数日は僕が掃除する、偶数日はお前がやれと言う。毎日掃除するっていうのかと言うジェイクに、違う、一日交代でいいんだというノーグ。荷物を取ってくると言い、急がないともう遅いからなと言った。今日は何して遊ぶ、ドムジョットかホロスイートかというジェイクに、遊びたいけど荷物を出したらもう寝る時間だと言うノーグ。消灯は22時だと言う。そんなに早く寝るなんて冗談じゃないと言うジェイクに、じゃあ好きな時に寝ろよと言う。でも朝4時半から運動だと付け加えた。筋肉だよ、骨と皮膚の間に存在するものだと言うノーグ。僕と運動をしてれば、そのうちお前にもついてくると言った。ノーグは笑い、部屋を出ていく。ジェイクは腕の筋肉を確かめ、あきれた顔をした。
シャトル。クワークは一人でカードを投げている。オドーは席につくと、持ってきたスープを飲み始めた。クワークはまたか、その癖よせよという。何の癖だと聞くオドーに、唇をならす癖だと言う。鳴らしてないと言い、また静かに飲むオドー。ほらその音だ、聞こえないのかと言うクワーク。オドーはこの4日間聞こえたものは、お前の愚痴だけだと言う。このシャトルは変な音だらけだ、不愉快だなと言うクワーク。聞いてみろ、あの低い音だと言う。オドーには聞こえない。クワークは1時間前から聞こえてきたと言う。うるさいなら船室に戻ったらいいだろうと言うオドーに、ここは寒いが船室はもっと寒いと言う。クワークはしゃがみ、コンピュータを操作し始めた。勝手に室温設定を変えるんじゃないと言うオドーに、うるせえな、寒くて死んじまうと言う。クワークはやっぱりまだあの音がすると言い、シャトルの後部へ歩き始めた。オドーは唇の音がうるさいので何も聞こえないと言う。どこから聞こえてくるんだろうと捜すクワークに、お前の頭の中だろうというオドー。わざと唇から音を立ててクワークの邪魔をする。クワークはここから音がすると言って、床のハッチを指差した。不完全燃焼緩和サーキットの音じゃないのかと言い、オドーも来る。それなら甲高い音がするはずだろ、これは低い音だと言うクワーク。ハッチを開けて調べようと言う。オドーはコンピュータを操作し、もし逃げようと企んでいるのなら無駄だと言う。すると今度はピーという音に変わったというクワーク。オドーにも聞こえる。ハッチのふたを開けてみると、回路に何かの装置がつけられていた。冗談じゃない、見ろよこれというクワーク。オドーは時限爆弾だと言った。

※5: fizzbin TOS第49話 "A Piece of the Action" 「宇宙犯罪シンジケート」でカークがでまかせに言ったカードゲーム。クワークはカークのことを知っていたのでしょうか?

※6: Vulcan Love Slave

※7: Nog DS9第92話 "Shattered Mirror" 「鏡の裏のジェニファー」以来の登場。こちら側の世界のノーグとしては DS9第84話 "Paradise Lost" 「地球戒厳令(後)」以来。なお今回から声優が変わっており、坂口賢一、岩永哲哉、山口勝平 (この方が今までほとんどのノーグの声) に続き4代目ノーグとなります。声優の名前は不明です

※8: 第137宇宙基地 Starbase 137


もし次に俺が何か聞こえるって言ったら、疑わないでくれよなというクワーク。次の機会があればいいがと言い、転送ビームで爆弾を船外に転送するしかないと言うオドー。クワークは転送したら爆発するようになってたらどうするんだと言う。それじゃ爆発するのを待つのかと言うオドーに、わかった、転送しようというクワーク。せめて転送バッファで爆破するように誘導しろという。うまくいけばいいがといい、操作し始めるオドー。爆弾が転送し始めた。それと同時に爆発を起こしたが、2人は倒れただけで済んだ。警報が鳴る。やったぞ、助かったというクワーク。安心するのはまだ早いというオドー。シャトルの状態は通信システムはダウン、ナビゲーションアレイも故障している。環境コントロールの損傷もひどく、酸素も漏れ出ている。不時着する場所を見つけようというオドーに、墜落だろというクワーク。不時着するか、宇宙の真空で肺が破裂するかだというオドー。そして遠距離スキャナーがLクラスの惑星※9を捉えた。生存には不適だろというクワークだが、このシャトルよりましだとオドーは言う。近いのかと聞くクワークに、間に合うと思うがという。
シャトルはゆっくりとその惑星へ向かう。生き延びたらあの爆弾を仕掛けた奴に後悔させてやるというオドー。無理だね、オリオンシンジケート※10相手じゃ歯が立たんというクワーク。オドーは驚き、大陪審が調べていたのはそれかという。知ってたんじゃないのかというクワーク。もしオリオンシンジケートがらみだと知ってたら、部下の半数を護衛に付けてディファイアントで護送したというオドー。
シャトルは大気圏を落下している。それじゃあんたは何も知らないくせに、全て知っているように見せかけてぼろが出るのを待ってたわけかというクワーク。そんなところだというオドー。これはあんたのせいだぞというクワーク。オドーはシンジケートのメンバーだったお前のせいだというが、俺はただコネのある人を知ってただけだというクワーク。森にぶつかりながら急速に降下するシャトル。船内のあちこちで爆発が起こり、クワークは目を閉じた。
シャトルは不時着した。クワークが誰か温度を上げてくれ、凍え死にするとつぶやく。この星は元々こういう温度なんだと答えるオドー。この星というのを聞き、クワークは起き上がった。思い出したぞ、あんたが悪かったって謝ってたところだったよなという。そんな記憶だってことは思ったよりひどく頭をぶつけたらしいなというオドー。クワークはこれじゃ修理は無理だ、遭難信号を打ち上げて救助を待とうという。オドーはいい計画だ、ただ爆発で通信システムが全部だめになったという。やばいぜというクワークに、まだあるぞ、レプリケーターもめちゃめちゃだ、しかもこの惑星の植物には毒があるようだと話す。食べ物は非常食だけかというクワーク。その通りだ、お前に1パック、私に1パックというオドー。残りはというオドーに、言わなくてもいいというクワーク。爆発でだめになったんだろ、これからどうするという。オドーは2つに1つだ、凍えて死ぬか、飢え死にするかどっちがいいと聞いた。
ジェイクとノーグの部屋。毛布を羽織ったまま起きてきたジェイクに、やっと起きてきたか、夕方まで寝るかと思ったというノーグ。一人で運動している。トレーニングの前にはストレッチをしろよという。今朝はパスしとくというジェイクに、毎朝パスしてるぞというノーグ。ジェイクはお前が2人分やれよという。運動はいい、強い体には強い心だというノーグ。朝からお説教はやめてくれといい、レプリケーターにオレンジジュースのラージを注文するジェイク。やはり朝はさわやかにいこうという。作家で詩人らしいねといいながら、バーベルの重さを調節するノーグ。ジェイクがなんだいそれと聞くと、「過去のプロローグ」※11という。なんでこんなところにと聞くジェイクに、掃除してたら落ちてた、少しは部屋を綺麗にしろよというノーグ。これを読んだのか、感想はと聞くジェイク。ノーグはスペリングのミスが多かったといった。それだけ、感想はそれだけなのかというジェイクに、内容を読んでいる暇はなかった、文法の間違い直しで大変だったという。ジェイクは言葉をいじったのかという。少しだけな、句読点の位置を変えて、前置詞を直してというノーグ。許可なくして言葉をいじるのは許されないことだ、作家への冒涜だというジェイク。ノーグはわかったといい、次はお前に直させるという。次なんて冗談じゃない、もし僕が書いていたものが落ちてても絶対読むな、絶対触るなと怒るジェイク。ノーグはそれならポイポイ捨てておくな、シャワーを浴びて出勤の時間だという。バーベルを渡し、軽いウェイトから始めるんだぞと忠告する。部屋を出ていくノーグ。ジェイクはバーベルを投げ、パッドを読み始めた。
オドーが機器のチェックをしていると、奥の方で音が聞こえてきた。クワーク何をやっているんだ、手伝おうかというオドー。クワークは大きな機械を運んできた。ほんとか、頼むぜというクワーク。亜空間信号発信機を修理してたんじゃないのかと聞くオドー。クワークはシグナルブースターが完璧に壊れており、遭難信号を発信しても惑星の大気圏を通過できないってことだという。それでいらついて発信機を壁からもぎ取ったってことかというオドー。クワークは実は2人が助かる方法を思い付いたと言った。取り合わないオドー。クワークはこの信号発信機をもっと高いところに運べばいい、高度が増せば増すほど空気は薄くなると説明する。高い場所から遭難信号を発信すればいけるかもしれないという。どれくらい高くから発信すればいいんだと聞くオドー。クワークは7を繰り上げて平方根を引いてπをかけると、とさも計算しているようにいって、オドーの顔を見上げさせた。簡単に言うとあれくらいだというクワークが指差したものは、遠くに見える高山の山頂だった。

※9: Class-L planets TNG第146話 "The Chase" 「命のメッセージ」で言及。このエピソード以前に放送された VOY第17話 "The 37's" 「ミッシング1937」にも

※10: Orion Syndicate 恐らく TOS第44話 "Journey to Babel" 「惑星オリオンの侵略」のオリオン人に関係

※11: "Past Prologue" DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」の原題でもあります


オドーは布を切っている。そこへ防寒スーツを着たクワークがやってきた。船尾で見つけた、暖かいというクワーク。オドーも布を置き、取りにいこうとするが、クワークは残った防寒スーツはこれ1着だという。一人占めする気なのかというオドーに、見つけたもの勝ちだという。それに発信機を担いで山を登れば暖かくなるといい、肩を叩いた。オドーは寒さに震えながら無理矢理笑った。
2人は山を登り始めた。オドーが防寒スーツを着て、クワークは布で作った簡単な服を着て発信機を担いでいる。太陽が出てるのになんでこんなに寒いんだというオドー。役に立たない太陽だ、ひどい星に来ちまったなというクワーク。それに防寒スーツを着込んでるのに寒いだなんて愚痴らないでくれという。交代できることに納得したろうというオドーに、脅されたからだという。ああ腹が立つ、可変種だったら今ごろとっくにヴォリアン翼手竜※12に姿を変えて、山の頂上まで発信機を運び上げていたのにというオドー。固形種になりたいと思ったのはあんただろというクワークに、なりたいと思ったことはないという。クワークは強がるな、オドーがよく俺のバーに来てはモーンが食うのを見てたという。ギャンブル客がダボガールと話したりいちゃつくのをみて、うらやましそうに見てたじゃないかという。それにとあるベイジョー人の少佐には片思いをしてたはずだというクワーク。オドーは座って手をさすり、そうやって客の心理を観察してるとわかったら、誰もバーに寄り付かなくなるという。認めたくないだろうがあんたの同胞は望みをかなえてくれたんだ、これで俺は助かった、椅子に座ってももしかしたらオドーだと疑わなくて済むというクワーク。その時クワークが足を滑らせ、うつ伏せに倒れてしまった。クワークと呼びながら近寄るオドー。何だよとクワークが答えた。オドーは発信機は壊さないでくれよと言った。俺は無事だ、心配してくれてありがとうな、発信機も大丈夫だというクワーク。オドーは手に捕まらせようとするが、クワークは断る。このままここで横になって、凍え死ぬのを待つという。オドーはわかったといい、しばらく代わりに運ぶことにした。クワークを起こす。防寒ジャケットは俺が着る番というクワークに、ズボンは私がもらうというオドー。
今日はよくがんばったとノーグを誉めるオブライエン。メカには強いらしいなというと、フェレンギ人は数字には強いというノーグ。明日はどこで実習だと聞くオブライエン。第6貨物室で税関の検査ですと答えるノーグ。面白いかもしれないなというオブライエンに、税関の検査官になりたい人にはねという。ノーグは部屋に戻った。
おかえりというジェイク。ノーグはまたかよ、今朝出勤した時はきれいだったのにといって散らばった服を片づけ始める。9時間も前の話だろというジェイク。ノーグは1日ぐらい部屋をきれいに保てよというが、生活してれば汚れるのは仕方ないというジェイク。ノーグは汚したら片づけろといって服をジェイクに投げつけ、レプリマットに行って食事をしてくるという。帰ってくるまでに片づけておいてくれと言った。小説の執筆中なんだ、明日やるというジェイク。ノーグはパッドを見て、何が小説だ、ドムジョットじゃないかと言いパッドを投げ返した。書くのに行き詰まった時はドムジョットがいいんだ、頭がすっきりするというジェイク。ノーグは頭のついでに部屋もすっきりさせろという。今忙しいというジェイク。ノーグは約束が違うというが、ジェイクは勝手に決めて吠えてるだけじゃないかという。候補生じゃないという。お前なんかアカデミーじゃやっていけないねというノーグに、その通りだ、そんなださい制服着たいとも思わないというジェイク。だらしない奴に言われたくない、好きなだけ遊べといい歩いて行くノーグ。どこへ行くとジェイクが聞くと、我慢できない、荷物を明日の朝出て行くという。荷造りしといてやろうかというジェイク。やめてくれ、シャツ1枚まともにたためないくせにといい、ノーグは出て行った。
それなんだと駆け寄るクワーク。だがそれはただの石だった。信じられない、もう3日も歩いているのにカナブン1匹飛んでこないというクワーク。食べたい、どんな種類の奴でもいい、肉がちょっとでも付いてればという。ここにはカナブンはいないというオドー。ナメクジでもいいというクワークに、ナメクジもカナブンもミミズもカタツムリもいない、食べられない植物と岩だけの星だという。もし俺が倒れたら、発信機と俺を担ぐんだぞというクワーク。オドーは弱気になるなと励まし、倒れたりしないという。もうすぐ尾根に出る、後もう一息だという。何時間か歩けば頂上に着いて、発信機をセットできるという。じゃあ後3時間くらいかなというクワークに、6時間くらいだなというオドー。それならやれる、7時間なら辛いが6時間なら何とかやれるというクワーク。2人は開けた場所に出た。するとそこから遥か遠くに山頂が見えた。6時間なもんか、どう見ても6日はかかるとオドーは言った。

※12: Vorian pterodactyl

尾根を下る2人。10,751、10,752と歩数を数えているクワーク。オドーがうるさがるが、どれくらい歩いたか数えてる、一足降ろす毎に頂上が近づくという。声を小さくしてくれというオドー。クワークはわかった、数を忘れるから話し掛けないでくれという。大陪審の調査が終われば今度は歩数ではなく、年数を数えることになるというオドー。クワークは何を楽しみにがんばってると思うと聞き、俺が釈放される時のあんたの顔だという。オドーはそんな馬鹿をいうなという。頭を働かせろ、オリオンシンジケートは俺を殺そうとしたが、身内なら殺すまでもないというクワーク。メンバーならシンジケートを売るような証言をするより自殺を選ぶという。俺は容疑者じゃない、証人なんだよというクワーク。また歩き出そうとして、何歩か忘れちまったという。10,785歩だというオドー。サンキューというクワーク。こういうことか、お前はオリオンシンジケートのメンバーじゃないんだなという。聞いてがっかりしたかというクワーク。オドーはでもメンバーになろうとしたんだろと聞く。それは言いたくないというクワークに対し、オドーは笑って記憶が正しければ、シンジケートに入るには法外な加入金を払わなければいけないという。しかしクワークは全財産をフェレンギ会計監査局に没収された※13。無言のクワーク。哀れな話だな、シンジケートに入る金がないのかというオドー。長年金のために、悪巧みをし嘘をつき詐欺をはたらき、なのに加入金もたまらなかったわけだと笑う。気の毒に、自分が思っているほど商売の才がないんじゃないかというオドー。クワークはあんたこそこの10年間誰も捕まえられなかった、恋人もいなけりゃ友達もいないという。あんたと俺と、一体どっちが惨めだと思うと聞くクワーク。オドーは何も答えられない。クワークはまた数えながら歩き出した。その後を慌てて追うオドー。
DS9のレプリマット。ロムがシスコを見つけた。レプリケーターに殻入りのカタツムリジュース※14をダブルで注文する。大佐よろしいですかといってシスコの隣に座る。ノーグのことでお話があるんです、会いましたと聞くロム。話もしたというシスコに、何か変わったことに気が付かれませんでしたと尋ねる。特に気がつかなった、前よりさらにお固くなったというシスコ。ロムはそうなんですという。1年アカデミーで過ごせばああなるというシスコに、そのせいでしょうかというロム。ほかに理由があるのかと聞くシスコ。ロムは可変種かもしれないと思ったという。寝ている間に血を採ったといい、小瓶を取り出した。それを振り、8時間経ったが変化はないというロム。ノーグはノーグだ、熱心に勤務に励むあまりのことだと思うというシスコ。ロムは真面目にもほどがある、ひどいんですからという。親の私を呼びつけて、道具箱が不潔だといったという。もう一度血の瓶を振るロム。今はそういう時期だというシスコに、ジェイクと一緒に暮らせば変わると思ったという。シスコはジェイクには困っている、食事した後の皿をレプリケーターに戻すのもめんどくさがる始末でねという。ノーグが言うには、ジェイクはだらしなくて無頓着でどうしようもない作家だとかというロム。ジェイクにもノーグの自分を律する強さを持って欲しいというシスコ。ノーグにはジェイクの人生を楽しむ姿勢が欲しいというロム。お互い学ぶところがあるのにという。シスコは何とか仲直りさせられないかなと言った。
雪山の中で、クワークとオドーは横になっていた。体を何とか起こし、オドーはクワークを起こす。そろそろ出発しないといけないといい、クワークの名前を呼ぶが反応がない。オドーは体を揺さ振り、クワークの頭を叩いて起きろと何度も言った。バコバコぶつなよといってクワークが目を覚ます。死んだかと思ったというオドーに、それで長年の恨みを晴らす絶好のチャンスだと思ったのかよというクワーク。するとクワークは、右の耳が何も聞こえなくなっていることに気づいた。ヤッホーっと何度も繰り返して確かめている。ヤッホーヤッホーはやめてくれというオドー。クワークは俺は終わりだ、耳は男の象徴だという。早くこの惑星からでないとおしまいだ、ここで2人で死ぬんだとパニックになる。オドーは死ぬもんかといい、自分の非常食を渡した。クワークはこんなかけらで山の頂上まで登れるかという。なら待ってろというオドー。置いていくのかというクワークに、どうしろというんだ、ここで死ぬまで罵り合っているより私は頂上を目指すというオドー。たとえ可能性がなくともという。クワークは発信機を担ぐ順番はどっちだと聞く。お前だというオドーに、やっぱりなという。まだ耳を気にするクワーク。
倒れそうになるオドーを後ろから押し、クワークも山を登る。発信機なんか嫌いだ、山も大嫌いだというクワーク。でも一番腹が立つのはオリオンシンジケートの連中だという。元はといえばお前のせいだろというオドーに、いつまでも俺のせいにするな、俺をインフェルナプライムまで護送するのがあんたの仕事だったはずだというクワーク。シンジケートに狙われてるなんて知らなかったというオドー。聞けばよかったというクワークに、聞けば本当のことをいったかという。お前が嘘をつかないなんてめったにないという。言ったことがあったか、そのすぐに人を見下す態度が大嫌いだというクワークに、私もお前の愚痴は大嫌いだというオドー。欲が深いところも、すぐ悪事に走ることもという。俺だって嫌いだというクワーク。オドーが何が嫌いだってと聞くと、あんただよといった。それはお互い様だ、私もお前が大っ嫌いだというオドー。荷物を降ろし、お前はけちなこそ泥だという。この根暗のいばりんぼう、どスケベと言い合う2人。オタク、詐欺師、ファシスト、ろくでなしと相手をこづきあう。そしてついに取っ組み合いになり、詐欺師、ろくでなしと叫びあいながら2人は斜面を滑り落ちてしまった。倒れたまま、クワーク大丈夫かと聞くオドー。クワークは大丈夫だといって起き上がるが、オドーは私はだめだ、脚が折れたようだといった。クワークがオドーの脚を見ると、ありえない方向へ曲がっていた。クワークはまた倒れた。

※13: DS9第97話 "Body Parts" 「クワーク、絶体絶命」より

※14: snail juice DS9第88話 "Bar Association" 「ロムの反乱」など


オドーの脚は棒で固定されている。クワークは木で担架を作りながら、これでなんとかなる、後はあんたをここに乗せるだけだという。脚を見るなよ、また気絶するぞというオドー。見ても見なくても同じだ、想像するだけでというクワーク。オドーは気絶したいのはこっちだ、実際に怪我をして痛いのは私なんだという。クワークは痛いといえば痛むかもなといい、オドーを引き寄せ担架に乗せた。痛みに声を上げるオドー。私を引っ張って登ろうなんて無茶だという。いいから見てなというクワークに、英雄ぶるんじゃない、置いて行った方が早く登れるというオドー。クワークはわからねえのか、助けるためじゃなく緊急時の非常食として持っていくんだという。あんたが死んだら俺が食うのさという。冗談だろというオドーに、食えるものなら何でも食うという。気分はどうと聞かれ、オドーは最低だよという。俺も同じだといい、担架を引っ張って歩き出すクワーク。
クワークは必死でオドーを引っ張り、山を登りつづけた。担架に乗っているオドーの痛みも大変なものだ。クワークは発信機をチェックしてみるが、まだだめだという。うめき声を上げるオドーに死ぬなよと声をかけ、さらに歩きつづける。
だがついに力尽き、クワークは発信機を背中から落とした。うつ伏せのまま起き上がることのできないクワーク。オドーがクワークと声をかける。もうだめだというクワークに、どういう意味だと聞く。もう動けない、ここから遭難信号を打ち上げようという。ここはまだ低い、私を置いて一人で行けというオドー。クワークはわかってないな、俺には無理だという。体が凍りそうだ、何日も食べてないしもう筋肉がピクリとも動かないという。オドー、何とか言えよというクワーク。何を言えばいいんだ、ここにいたら死ぬんだぞというオドー。でももう歩けないというクワーク。オドーは体を起こし、シスコがここにいたらあきらめると思うかと聞いた。ウォーフは、ダックスはという。でもいないというクワーク。そうだ、2人だけだというオドー。這って歩き、発信機をよこせという。何するんだと聞くクワーク。オドーは発信機を押し、這ったまま進み始めた。何に見えるというオドーに、絶対無理だとクワークはいう。わからないぞというオドー。俺を挑発しようとしてるんだろう、罪悪感に訴えて発信機を頂上まで持っていかせようとしてるんだろうというクワーク。その手には乗らない、避けられない運命を受け入れて静かに人間らしく死のうという。ここで横になって、死ぬのを待つんだとクワークは叫ぶ。だがオドーは聞きいれる様子もなく、這ったまま手の力だけで進みつづけている。だが力尽きて動きが止まってしまった。クワークはつぶやくようにいう。バーはロムのものになり、甥のノーグもいずれ連邦にも認められて出世するだろうという。艦隊の大佐になるかもしれない、俺の骨はこんな惑星で終わるのか、オークションに賭けられもせずという。そして立ち上がり、オドーに俺がいない間いいこにしてるんだぞといった。努力するよというオドー。クワークは発信機を担ぎ、ゆっくりと山を登り始めた。頼むぞというオドー。
ジェイクの部屋。シスコが入ってくる。父さん、電話しないで来たねといい抱き合うジェイク。シスコは困ったことになった、ステーションの規則によればこの広さの部屋は2人以上で使っていることになっていると言う。ジェイクはわかった、引っ越すというがシスコは1人用の部屋に空きはないという。どうするのと聞くジェイク。うちに戻ってくればいいというシスコに、冗談でしょというジェイク。シスコはルームメイトがいれば別だといい、候補生と呼んだ。荷物を担いだノーグが入ってくる。司令官、私は抗議しますというノーグ。候補生が文句を言うな、2人とも仲直りしなさいというシスコ。他人同士摩擦はあるだろうが、やっていけるはずだという。どうだかねというジェイク、疑問ですよというノーグ。できる、大佐として、父としても命じるというシスコ。がんばってみろといい、部屋を出ていった。やあ、相変わらず汚い部屋だと声をかけるノーグ。そうなんだ、また掃除を始めるのと聞くジェイク。ノーグはいや、勉強があるという。それがいい、この豚小屋を掃除するのは大変だとジェイクは言う。それほどでもないというノーグに、それほどだよというジェイク。2人は笑った。運動でもしようか、強い体、強い心というジェイク。ノーグはもっといいことがあるといい、ドムジョットをしに行こうぜといった。手加減しないぜというノーグに、ジェイクはのったと言い握手をした。
クワークはかなりの急勾配になっている斜面を、一人這うように登りつづけていた。強風が吹き付ける。高度の低い場所にいるオドーはクワークと叫んだ。もちろん返事はない。オドーはコミュニケータに触れると、録音開始させた。保安士官日誌の最終記録を記録し始める。「クワークは失敗したようだ、よくがんばってくれたがクワークの遺体は上にあるはずだ。できれば遺体はフェレンギの習慣にのっとり競売して欲しい。それほど売れるとは思えんが。私の遺体は火葬にし、その灰をバケツに入れてワームホールへ流してくれ。もしかしたら故郷へたどり着くかも。それがだめなら…。」その時、オドーの体は転送された。
ディファイアント。オドーは転送台の上にいる。ベシアは医療室に連絡を入れ、栄養剤の点滴※15の用意をするように命じる。生きてるぞというオドーに、もう心配いらないよとオドーに声をかけ、額に治療器具を取り付けるベシア。担架で運ばれるオドー。クワークはと聞くと、ウォーフが山頂で信号発信機の近くに倒れていたという。登ったのかというオドーに、あの信号が来なければ見つからなかった、クワークのおかげで助かったというダックス。それだけは聞きたくなかったというオドー。
帰還するディファイアント。クワークとオドーは、暗い医療室で隣同士のベッドに寝ている。オドー、起きてるかというクワーク。オドーは目が覚めたよという。生き延びたなというクワークに、やったなというオドー。俺が山の頂上まで登ったと聞いて驚いてくれたかというクワーク。オドーはびっくりしたよという。クワークは覚えてるかといい、俺があんたを嫌いだといってあんたが俺を嫌いだと言ったことという。はっきりなというオドー。誤解のないようにいっておくが、あれは本気で言ったんだぞというクワーク。私だってそうさというオドー。オドーが笑い、クワークも笑った。

※15: polynutrient solution エンサイクロペディアの説明を直訳すると、「栄養失調に陥った患者に与えられる回復方法」

・感想
以前から描かれていた、オドーとクワークの「友情」に焦点が当てられます。怪我をしたオドーを運び、そして一人で頂を目指すクワーク。寝るクワークを叩き起こし、誰よりもクワークを信頼しているオドー。この2人はこれからもDS9の名物であり続けるんでしょうね。サブストーリーは実地研修のノーグと共に住むジェイク。これからのストーリーに関係する進展でした。


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