USS Kyushuトップに戻る

ディープスペースナイン エピソードガイド
第125話「明日なき撤退」
A Time to Stand

dot

エピソードガイド エピソードガイド

・イントロダクション
※1※2※3ディファイアントを先頭に、損傷した多数の惑星連邦とクリンゴン艦が航行している。牽引船にトラクタービームで引っ張られている宇宙艦、フレドリクソン※4
艦長席のシスコは尋ねた。「候補生。」
ノーグ※5:「長距離スキャナーでは、ジェムハダーの船影はありません。追跡をあきらめたみたいです。」
オブライエン:「俺たちの背中見るの飽きたんだろう。3ヶ月も殺し合いを続けて得たものは、何もない。攻撃、撤退、攻撃、撤退。一度、奴らの背中を見たかった。」 ディファイアントの艦内にも、あちこちにダメージの跡が見える。
シスコ:「チーフ、やめないか。」
「すいません。睡眠不足でいらついて。」
ダックス:「全員、睡眠不足よ。いつから寝てない? 78時間?」
ノーグ:「第7艦隊※6から連絡があってもいい頃じゃないですか。」
「心配ないわ。タイラ星系※7からだとメッセージが届くまで、あと 1日、2日かかるでしょ。」
「第7艦隊なら勝てますか。」
オブライエン:「当たり前だろ。勝ってもらわなきゃ。」
ダックスはシスコを見たが、無言のままだった。

ガラック※8はベシア※9に話しかけた。「ああ。よかった、ドクター。ここにいたんですか。あんなに毎日ランチをご一緒した仲なんですから、予約なしでも見てくれるんでしょうね。」
「ガラック。クルーが 12人怪我して苦しんでる。みんな君より遥かに容態が悪いんだよ。」
「私を元気付けようっていうんですね。ありがとう。もう元気が出てきました。」
「どうした。」
「前の戦闘の時、大佐に頼まれて星図を調べてたら、いきなり目の前に隔壁が現れて、したたかにぶつけましてね。」 顔の右側を怪我している。
「死にはしない。」
「断言できるとはうらやましい。私の頭は、まあ治るでしょうが、この調子で戦争が続くならお互い先は長くないだろうと思いますがね。」
治療するベシア。「形勢は悪いけど、望みがなくなったわけじゃない。」
「そうか、わかりました。遺伝子操作でパワーアップしたその脳みそで※10、生き延びる確率を計算したんですね。」
「そこまでしなくてもわかるよ。単純に二項方程式から…」
「ドクター! 細かいことはどうでもいいんです。遺伝子操作を受けたことが世間に知れてから、何かというとひけらしたがるから、またかと思ったまでで。」
「もう隠す必要がない。最大限に生かさなきゃね。」
「で、実際確率はどうなんです? 50%以上?」
「32….7だ。」
「聞くんじゃなかった。その数字は確かなんですか?」
「計算式を事細かに説明してほしい?」
「遠慮します。…確かに遺伝子工学だ。」
「何だよ。」
「鏡をご覧なさい。自分はまるで心配してないって顔して。愚かなほかの連中とは違うって、そういう態度だから、みんなあなたみたいな連中を疎んじるんです。」
「僕を侮辱したいのか。」
「生き延びる確率、32.7%。それこそ侮辱ですよ。」
「君のことを言ってるんじゃないさ。純粋に数字の問題だ。」
「いいえ、私たちの命の問題でしょうに。
You're no genetically engineered, you're a Vulcan."
遺伝子工学は関係ないな。あなたはヴァルカン人だ。」

"If I'm a Vulcan, then how do you explain my boyish smile?"
「そんなわけないだろう。少年のような笑顔が売りの、僕が。」 微笑むベシア。

"Not so boyish anymore, Doctor."
「小憎らしいガキの間違いじゃないんですか?」
ガラックは出ていった。

レプリケーターからカップを取るシスコ。
ダックスが尋ねる。「艦隊は私たちを次にどこへ送るの?」
「さあなあ。私に発言権があるんなら、まっすぐ前線へ戻してもらいたいね。」
乾杯する 2人。
「その意気だ、艦長。俺の船もすぐ隣についていくぞ。」 マートク将軍※11がやってきた。その後ろにはウォーフも。
喜ぶダックス。「ウォーフ!」
抱きついたダックスをかかえあげるウォーフ。キスをする。
マートク:「早く言え。」
ダックス:「何のこと?」
ウォーフ:「……いや、あとでいい。」
マートク:「だめだ。片付けろ。ラクタジーノ。」 レプリケーターに命じる。「あることをずっと気に病んでいてね。」
ダックス:「何なの、どうしたの?」
ウォーフはダックスを降ろした。「…俺たちの結婚式だ。」
「臆病風に吹かれた?」
「お前が立てた予定では、ターグ※12のいけにえの儀式が、祝宴の後になってる。」
シスコは笑みを浮かべる。
ダックス:「私たち 5週間も離れ離れだったのに、最初の一言がそれ?」
ウォーフ:「……だが、伝統に則った式にするはずだったろ。」
ため息をつくダックス。「わかった。クリンゴン式ね。血の儀式の後、ディナーにしましょ。」
「それが伝統だ。」
まだ笑っているシスコ。
マートク:「奴はそのことばかり気にしていたんだよ。何日もな。」
微笑むダックス。「心配性なんだから。」
シスコ:「おやじさん、言っとくが、結婚式は地味に限るぞ。」
「あなたは自分の好きにすればいいでしょ。私も自分の好きにする。あとでね、艦長。」 ウォーフと共に出て行くダックス。
「骨折らないようにしろ。」
ダックスは指を組んだ手を見せ、ドアが閉じた。
シスコとマートクは笑う。
マートク:「一つ片付いたな。その次はこっちだ。」 腕を見る。「クリンゴンは戦士としては皆優秀だが、医者はひどくてな。」
笑うシスコ。
ベシアが入る。「艦長。」
マートク:「いいところに来てくれたな。」
「再配備で、375宇宙基地※13へ迎えとの命令です。」
不快感を見せるシスコ。「……ほかにもあるのか。」
「第7艦隊から報告が。」
「……何だって。」
「無事戻れたのは 14隻だけだそうです。」
顔を押さえるシスコ。
マートク:「14隻?! 112隻のうちか!」
ベシア:「勝算なく、これ以上の犠牲を払い続けることはできません!」
シスコ:「ご苦労、ドクター。下がっていいぞ。」
ベシアはマートクに言う。「腕を診ますから、どうぞ。」
「ああ…。」 2人は出て行く。
シスコは何も言わず、テーブルを叩いた。ひびが入る。


※1: この話は第6シーズン・プレミアエピソードです。西暦は 2374年になります (ちなみにヴォイジャー第7シーズンからすると 3年前)

※2: このエピソードは、前話 "Call to Arms" 「DS9撤退の日」〜第130話 "Sacrifice of Angels" までをまとめて、小説 "The Dominion War" シリーズの第2・4巻でノヴェライズ化されています → 商品観測室

※3: U.S.S. Fredrickson U.S.S.フレドリクソン
エクセルシオ級、NCC-42111。DS9 風景画家のアンソニー・フレドリクソン (Anthony Fredrickson) にちなんで命名。この船を引っ張っている牽引船は初登場。その他アキラ級、ペレグリン級、ミランダ級、クリンゴン・クティンガ級巡洋戦艦、バード・オブ・プレイの姿が見えます。また、最後の方で右に見える船は、U.S.S.カリー (U.S.S. Curry、NCC-45617) とされています (DS9 映像特殊効果のダン・カリーにちなんで)。非公式なクラス名はシェリー級 (Shelley-class、「フランケインシュタイン」の作者、メアリー・シェリーにちなんで)

※4: 冒頭に "In memory of Brandon Tartikoff" という表示が出ます。ブランドン・ターティコフ氏は元パラマウント映画社長。NBC で番組責任者を務め、「ザ・コスビー・ショー」「ヒル・ストリート・ブルース」「となりのサインフェルド」などを手がけました。1997年9月、リンパ肉芽腫のため 48歳で死去

※5: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg VOY第18話 "Initiations" 「ケイゾン戦士誕生」のカー/ジャー・カーデーン (Kar/Jal Kardan) 役) クワークの甥でロムの息子。前話 "Call to Arms" に引き続き登場。声:落合弘治 (第5シーズンより継続)

※6: Seventh Fleet

※7: Tyra system

※8: エリム・ガラック Elim Garak
(アンドリュー・ロビンソン Andrew Robinson) 強力な諜報機関であるオブシディアン・オーダーの元エージェント。前話 "Call to Arms" に引き続き登場。声:大川透

※9: これまでの DS9 での藤原啓治さんから、中村大樹さん (これまでの役:TNG第19話 "Coming of Age" 「宇宙戦士への道」のモードック、TNG第69話 "Hollow Pursuits" 「倒錯のホログラム・デッキ」のダフィ中尉、TNG第119話 "The First Duty" 「悲しみのアカデミー卒業式」のニコラス・ロカルノ候補生、VOY第103話 "Thirty Days" 「水の惑星に消えた夢」のリガ) に変更されています。TNG第142話 "Birthright, Part I" 「バースライト(前編)」の家中宏さんを含めると 3代目

※10: DS9第114話 "Doctor Bashir, I Presume" 「ジュリアンの秘密」より

※11: General Martok
(J・G・ハーツラー J.G. Hertzler DS9第1・2話 "Emissary" 「聖なる神殿の謎」のヴァルカン人艦長 (Vulcan captain)、VOY第135話 "Tsunkatse" 「囚われのファイター」のヒロージェン・ハンター (Hirogen Hunter) 役) クリンゴン防衛軍を指揮する戦士。前話 "Call to Arms" に引き続き登場。声:大山高男

※12: targ
クリンゴンの動物。TNG第6話 "Where No One Has Gone Before" 「宇宙の果てから来た男」など

※13: 第375宇宙基地 Starbase 375

・本編
DS9、いやテロック・ノールには、カーデシア戦艦が係留し、辺りにはジェムハダー船が飛行している。『保存用文書ファイル※14、デュカット※15、S・G。日々新たな勝利の報告が入っている。戦況はすこぶる上々。全ての前線で、敵は撤退し始めている。この状態でいけば、惑星連邦が崩壊し、地球がドミニオンの占領下に入るのも時間の問題だ。今こそ、カーデシア繁栄の時だ。そして、ドミニオンも。』
司令官室から出たデュカットは、ジェムハダーたちもいる司令室を見て回る。笑みを浮かべるダマール※16から、受け取ったパッドを確認するデュカット。

キラと一緒にいるウェイユン※17。「キラ少佐、それは素晴らしい。私がどんなに嬉しいかわかって頂けますか。デュカット、少佐が素晴らしいニュースを知らせてくれましたよ。ベイジョー人が基地に戻り始めてるそうです。」
ダマールと共にやって来たデュカット。「ああ、それなら知っている。」
「なら私の喜びもわかってもらえますね。元のように戻るんですよ。店は営業再開。プロムナードは以前のように賑やかになって、居住区は子供たちの幸せな笑い声に満ち溢れる。」
ダマール:「パトロールを 2倍に強化しました。」 キラの近くに行き、窓の外を見つめる。
「…そんな措置が本当に、必要なんですか。」
デュカット:「ベイジョー人に関して言わせてもらえれば、用心し過ぎるということは決してない。」
キラは口を開いた。「また私たちが基地を奪え返すんじゃないかと怖いの?」
ダマール:「やってみるがいいさ。」
ウェイユン:「まあまあ、よしましょう。つまらないことで言い争うのは。同志なんですから。」
キラ:「そうなの?」
「当然でしょう。何か提案したいことがあれば、いつでも私に言ってきて下さい。」
「それなら、基地のベイジョー人保安部隊を復職させて。」
笑うダマール。「次は連中に武器を持たせろという気か?」
ダマールの顔は見ずに答えるキラ。「ええ、そうよ。」
デュカット:「このステーションには、もうベイジョーの保安部隊を置く必要はないんだ。問題が起きれば、我が軍の部隊が対処するからな。」
「惑星連邦とベイジョーは、常に対等な立場で基地の保安に当たってたのよ。確かドミニオンもその方針を踏襲するといってたんじゃなかった? それに何より、私たちは同志じゃない。そうでしょ?」
ウェイユン:「デュカット、今の件を検討して下さい。」
デュカット:「命令を変える気はない。君はベイジョーを信用しても、私はしない。信用できると確信するまでは、彼らに武器を渡すわけにはいかない。少佐、君が私の立場なら、同じ措置をとると思うがね。」
「しばらくはこのまま、様子を見るのがいいでしょう。そういう些末な問題は、直お互い満足のいくよう解決できると思いますよ。」 ドアのそばまでキラに付き添うウェイユン。
キラ:「その言葉、覚えておくわ。」
「ええ、どうぞ。最後に一つ……オドーです。」
「彼が何なの?」
「オドーは…ドミニオンとベイジョーの友好関係を深めるために、私が努力してると知ってらっしゃるんでしょうか。」
「自分で直接聞いたらどう?」
「そんな。お邪魔になっては、申し訳ありません。……ではごきげんよう。」
上級士官室を出て行くキラ。
デュカットはウェイユンに言う。「魅力的な女だと思わないか?」
「さあ、どうでしょうね。連絡役としては必要ですけどね。」
ダマール:「ベイジョー人と同盟など組めるか。」
「出て行け! 彼を見るな。私が命令したんだ。早く!」
ダマールはデュカットがうなずくのを見てから、部屋を後にした。
デュカット:「必要な男だ。」
ウェイユン:「よく…考えたまえ。このステーションに関しては、今後何を決めるときも私の意見を考慮した方がいいでしょうね。それで…ワームホールはどうなんですか? 地雷は 1月以内に撤去できると太鼓判を押していましたね。あれは 2月前ですよ。」
「まあ、予想した以上に作業が難航しているということは、私も認めざるをえないが。知っているだろう、あれは普通の地雷とは違うんだ。一つ機能を停止させるなり、破壊するなりするたびごとに、隣の地雷が新しいのを複製する。」
ため息をつくウェイユン。「何としても地雷を撤去し、ワームホールを開かなければなりません。」
「わかっている。だが、何も慌てる必要はない。これは勝ち戦だ。」
「現時点ではそうでしょう。でも惑星連邦※18を倒すためには援軍が必要でケトラセル・ホワイト※19の補給も欠かせません。至急ね。」
「ウェイユン。わかってる、地雷のことは私に任せろ。始末する。」
鼻で笑うウェイユン。だがすぐに笑顔は消え、出ていった。

ダボを楽しむカーデシア人たち。
クワークが、座ったまま何もしていないジェムハダーの兵士たちに話しかける。「今夜は楽しんでます? あんたらがいつもの席にいると落ち着くねえ。しかし、クワークの店を第2の故郷のように思ってくれる客が多くてほんとありがたいよ。悔しいねえ! ホロイメージャーさえあれば、この瞬間の映像を残しておけるのに。あったかい友情の思い出になるだろう。あんたの兵舎の壁に飾っておけるよ。」 無言のジェムハダー。「…そうだ、ダボテーブルはもう試してみました? ゲームのやり方を知らないんだったら、うちの可愛い女の娘が教えるよ。……そうだ…それより皆さんを最新式ホロスイートへ、1時間無料ご招待することにしよう。どんな欲望も思いのままに叶えられるよ…」 笑うクワーク。同じようにクワークをにらみつけるジェムハダー。「今度にするか。ゆっくりしてってくれ。」
ジェムハダーから離れたクワークはつぶやいた。「のりが悪いね。」

同じくクワークの店で、オドーと話すキラ。「オドー、そうなの。デュカットの頭にあるのはたった一つ、復讐だけ。一度でもベイジョーに負けたってことが、我慢できないのよ。」
「奴はまた収容所を開く気ですか。」
「ええ、いずれはね。」
「ならウェイユンが今のとこ奴を抑える役目をしてるのに感謝しなくてはね。」
「うー…まあね。ウェイユンも腹の読めない男で気は許せないけど。デュカットよりは信用できるわ。」
「ウェイユンはドミニオンにとって、ベイジョーとの協定を尊重するのが一番得策だとわかってます。約束は守るって評判をアルファ宇宙域に広めたいんでしょう。」
「あなたのこと、聞かれたわよ。あなたが彼をどう思ってるか、すごく気にしてるみたい。」
「ハ、こっちはそんなこと考えたくもない。」
「それ聞いたら傷つくわよ。絶対教えてやろ。」
笑う 2人。
オドー:「まだ笑えるのはいいことです。」
「ああ…あなたといる時だけ。」
「お世辞でも嬉しいです。」
「ほんとのことよ。あなたと話してると、まだ希望があるって気がしてくるけど。大佐のオフィスにデュカットがいると思うと。惑星連邦が戦争に負けそうだっていうのに、私たちはここで何もできずにいるのよ。」
「やり切れないのは私もよくわかりますが、今は本当に待つことしかできないんです。シスコ大佐が言ってたように、ベイジョーはこの戦争に参戦してはいけません。」
「選ばれし者※20には逆らえないわよね。」
クワークがやってきた。「待たせて悪いな。思ったより忙しくなったもんでね。これは店のおごりです。」 飲み物をキラに注ぐ。
キラ:「クワーク、何が望み?」
「いつも通り、愛と平和と思いやりさ。それと店の儲けは言うまでもなくな。儲けといや、これがますます絶好調。いやあ、思ってもみなかったんだが、占領下でこれだったら、そう悪くはないぜ。」
「あんたみたいに月々の売上高だけで考えれば、そうでしょうよ。」
「おいおい、俺は金のことだけを言ってるんじゃない。見回してみろ。プロムナードを区切るゲットのフェンスがあるか? 金属加工工場で強制労働させられて、くたばりかけたベイジョー人が大勢倒れてるか? 飢えた子供の泣き声が聞こえるか、どうです? 誤解しないでくれよ。俺も惑星連邦の方がいい。だがこれで済むんなら、まだ運がいい方だってことさ。」 歩いていくクワーク。
ため息をつくオドー。「認めたくはないが、その通りです。どうやらドミニオンは、本気でベイジョーと友好関係を結びたいらしい。」
キラ:「本気だっていうなら、どうしてこのステーションにベイジョーの保安部員を一人もおかないの?」
オドーは答えなかった。

375宇宙基地※21のそばにいるディファイアント。
部屋にロス提督※22とシスコが入る。
ロス:「君が無事帰還して何よりだ。」
シスコ:「ただの運です。仲間を大勢失った。」
「ああ、そうだ。まだ大勢失うことになるだろう。…このオフィスが気に入ってくれるといいんだがね。」
「オフィス? オフィスは必要ありません。再配備のブリーフィングではないんですか。」
「残念ながらしばらくここにいてもらうことになるよ。ディファイアントの指揮官を外す。」


※14: Permanent Documentation File

※15: ガル・デュカット Gul Dukat
(マーク・アレイモ Marc Alaimo TNG第7話 "Lonely Among Us" 「姿なき宇宙人」のバダー N'D'D (Badar N'D'D)、TNG第26話 "The Neutral Zone" 「突然の訪問者」のテボック司令官 (Commander Tebok)、TNG第86話 "The Wounded" 「不実なる平和」のガル・マセット (Gul Macet)、TNG第126話 "Time's Arrow, Part I" 「タイム・スリップ・エイリアン(前編)」のフレデリック・ラ・ルー (Frederick La Rouque) 役) カーデシアの軍事将校。名前のイニシャルが「S・G」だと初めて明らかになりました。前話 "Call to Arms" に引き続き登場。声:幹本雄之

※16: Damar
(ケイシー・ビッグス Casey Biggs) カーデシア人士官。前話 "Call to Arms" に引き続き登場。声:古田信幸、VOY ホーガン

※17: Weyoun
(ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs DS9第54話 "Meridian" 「次元移動惑星M」のティロン (Tiron)、第69話 "Family Business" 「クワークの母」などのブラント (Brunt)、VOY第135話 "Tsunkatse" 「囚われのファイター」のペンク (Penk)、ENT第7話 "The Andorian Incident" 「汚された聖地」などの Shran、第19話 "Acquisition" 「獲物たちの罠」のクレム (Krem) 役) ヴォルタ人の実地監督者。前話 "Call to Arms" に引き続き登場。声:内田直哉 (これまでの役は VOY第76・77話 "Year of Hell, Part I and II" 「時空侵略戦争(前)(後)」のオブリスト (Obrist))。これまでの納谷六郎さんから変更され、2代目となります

※18: なぜか、ここだけ「宇宙連邦」と訳しています

※19: ketracel-white
単にホワイトとしても知られる、中毒性の同遺伝子型酵素。DS9第76話 "Hippocratic Oath" 「ジェム・ハダーの苦悩」など。以前同様「トラセル・ホワイト」と訳しています (こんなところまで統一しなくても…)

※20: 「あなたには逆らえないわよね」と誤訳

※21: 映画ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」で登場したレギュラ1 宇宙研究所モデルの再利用

※22: Admiral Ross
(Barry Jenner) 階級章は三つ星。後にも登場。名前は後に言及されますが、訳出されていません。声:石波義人

375宇宙基地。
ダックス:「任を解かれたの? どうして。」
シスコ:「理由は教えてくれなかった。…ただ提督は 16時に、新たな任務を課すとおっしゃってた。」
「クルーはバラバラにはならないのね。全員一緒なんでしょ、どうなの。」
「保証はないな。」
ため息をつくダックス。「まだ 2時間あるわ。何か予定はあるの?」
「特に何も考えてない。」
「お父さんに連絡とるのに、ちょうどいい機会じゃない?」
「……まあな。」
「ベンジャミン。もう何ヶ月も経ってるじゃないの。ジェイクのおじいさんなのよ。」
「何て説明しろって言うんだ。ディープ・スペース・ナインから連邦の市民全員を退避させたのに、ジェイクだけ…残ったなんて。」
「あなたならきっと、きちんと話せるわ。」

『何をしたって?』 通信画面には、厨房にいるジョセフ・シスコ※23が映っている。
シスコ:「父さん、それほど悲観的状況じゃないんだよ。」
『血に飢えた残忍な連中の真ん中へ、俺の孫を置き去りにしてきたんだろ?』
「だから…ああ、そうだよ。」
『どこをどう取れば悲観的じゃないって言うんだ?』
「私はもちろん連れてきたかった。残ると決めたのはジェイクなんだ。」
『そうか。全部ジェイクのせいにしようってのか!』
「違う、でもあいつはもう子供じゃないんだよ。自分で責任を取れる歳なんだ。」
『責任がどうこうよりあいつの命だ。ジェイクに会わせろ!』
「私だって会いたいさ。」
『無事でいるのか?』
「そう願ってる。…必ず連れ出すよ、約束する。」
『いつだ!』
「それはわからない。もう少しあとになる。この後新しい任務があるし、どこへ送られるかもわからないんだ。」
『息子を助けに行かせろといえばいいだろ。』
「今は戦時下なんだ。そんな勝手なことはできないよ。」
『うーん…。』
「レストランの方はどう?」
『まあまあだ。ここ 3週間、客に毒は盛っとらんよ。』
笑うシスコ。
『戦況は芳しくないようだが、ニュースサービスの言う通りなのか。』
「もっと悪いだろう。」
『フン、哀れな老人を安心させてやろうと思わんのか。』
"You didn't raise me to be a liar."
「嘘はつくなと育てられた。」

"I raised you to be a chef, for all the good it did me.
『俺はお前をコックに育てようとしたんだよ。
俺にはどうしてもわからんことがある。
You're always telling me that space is big. That it's an endless frontier, filled with infinite wonders."
お前はいつも言ってたな、「宇宙は大きい、果てしなく広がるフロンティアだ。不思議に、満ち溢れてる」って。』

"It's true."
「そうだよ。」

"Well if that's the case, you would think it would be more than enough room to allow people to leave each other alone."
『もしその通りなら、どこの種族も、ケンカをせずに暮らせるだけの広さがあるはずなんじゃあないのか?』

"It just doesn't work that way. It shoud. But it doesn't."
「……それが、そうはいかないんだよ。なぜだか、そうはいかない。」
ジョセフは大きく息を吐いた。『もう切るぞ。昼の客が来る頃だ。…無事でいるんだぞ、ベン。それと俺の孫を取り戻してくれ。』
「わかってる。」
『それじゃあな。』
「ああ、じゃあまた。」
通信を終える。

ジェムハダーに付き添われたウェイユンが、DS9 の市民に挨拶している。「こんにちは。」
「すいません、ミスター・ウェイユン。」 走ってきたジェイク※24は、すぐにジェムハダーに牽制される。
ジェムハダーを制するウェイユン。「ああ…私なら、ただのウェイユンでいいですよ。」
「そういう細かいことがニュースになるんです。あの、今構いませんか?」
「何かな?」
「お願いしたインタビューです。」
「ああ…」
「連邦ニュースサービスの。」
「あの件だったら、とても無理ですねえ。」
「どうして。」
「君の記事をいくつか読みましたよ。そして、避けがたい結論に達しました。君は、ドミニオンに対して偏見がある。」
「どうして、そう思うんです?」
「我々のことを指すときに、いつもこう書いてる。『基地の占領軍』とね。」
「どこがいけないんです。」
「含むところがあるでしょ。君の記事は全て、そういう…誤解を生む言葉だらけじゃないですか。だから、ニュースの配信をストップせざるをえなかったんです。」
「あ…連邦の人たちは誰も僕の記事を読んでないんですか!」
「送っていないからねえ。」
"What about freedom of the press?"
「報道の自由があるはずだ。」

"Please tell me you're not that naive."
「子供じみたことを言わないように。」
「…僕が残ったのは占領下の状況を伝えるためだ。」
「みなさい、その調子だ。これは占領ではありません。ここはカーデシアの基地なんですよ、ジェイク。ベイジョー星にドミニオン軍がいるわけでもない。当然でしょう、我々は協定を結んだ同志なんです。」
「そうでしたね、すいません。そんなつもりじゃなかったんです。」
「もし同志でも、艦隊に記事を送って欲しいなら、バランスの取れた視点から、記事を書くべきでしょうね。」
「ドミニオンのプロパガンダは書きませんよ。」
「そんなことを頼もうとは夢にも思っていませんよ。ただ、偏見をもたないでくれって言ってるだけです。」
「偏見は今捨てました。インタビューさせてくれます?」
笑うウェイユン。「時期をみてね。記事はどんどん書くといい、目を通しますよ。では、ごきげんよう。」 また笑った後、歩いていくウェイユン。

宙図の前で説明するロス。「艦隊情報局がアルファ宇宙域で、ケトラセル・ホワイトのメイン貯蔵施設だと思われる場所を発見した。ここだ。カーデシア領内のど真ん中。ここを破壊する。」
ベシア:「ホワイトを補給しないと、ジェムハダーは機能できませんから。」
「ホワイトがなければ死ぬということだ。」
ダックス:「涙は一粒も出ないわ。戦争が終わるなら別だけど。」
「戦争を終わらせる唯一の方法だ。降伏以外のな。」
ベシア:「でもディファイアントの遮蔽装置なしで、どうやってカーデシアの領域に…潜入しろって言うんです。」
シスコ:「私も伺いたいですねえ。」
ロス:「遮蔽装置は必要ない。もっといいものがある。」
コンピューターのボタンを押すロス。画面に映し出されたのは、ドック内で整備中の船だ。だが惑星連邦のものではない。
ダックスは言った。「ジェムハダーの戦闘機※25!」
ロス:「大佐が去年、捕獲した船だ。その性能を自ら確かめてもらおう。」
ベシア:「操縦法を知ってるんですか。」
シスコ:「まだだ。だがマスターしてみせるよ。」


※23: Joseph Sisko
(ブロック・ピーターズ Brock Peters 映画ST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」および ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」のカートライト提督 (Admiral Cartwright) 役) DS9第83・84話 "Homefront" & "Paradise Lost" 「地球戒厳令(前)(後)」以来の登場。声は当時の石森達幸さんから変更され、城山堅さん

※24: ベシアと同じく声優変更され、鈴木正和さん (これまでの役: VOY第37話 "Deadlock" 「二つのヴォイジャー」のヴィディア人、VOY第70話 "The Gift" 「ケスとの別れ」のアイアラ大尉) になりました。第1・2シーズンの浪川大輔さん、第3〜5シーズンの石田彰さんに続き、3代目

※25: Jem'Hadar attack ship
DS9第100話 "The Ship" 「神の船」より

375宇宙基地のドックに、ジェムハダー船がある。
中で確認作業を行うダックス。「誘導マトリックス、OK。船尾パラボラスラスター※26、OK。センサーフィーダー、OK。チーフ?」
オブライエン:「リアクターコア、OK。電流安定装置※27、OK。フェイザーコイル、OK。」
「ノーグ。」
ノーグ:「共鳴エミッター※28、OK。亜空間フィールドグリッド、OK。シグナルサブプロセッサー、OK…と思います。」
オブライエン:「『思う』だと? もう 2週間も訓練してるんだぞ。」
「ジェムハダーの戦士をディファイアントに乗せても、2週間じゃマスターできないでしょうねえ。艦隊の船とは、違います。慣れるまでには時間が。」
「その時間がないんだよ。今からこの船で、敵の領域に入るんだぞ、ミスは許されない。」
「俺はミスなんかしません。」
「よーし。」
「だけどどうしてブリッジに椅子を取り付けちゃいけないんです?」
「椅子をつけるようには設計されていない。」
「俺の足だって長時間立ってるようには設計されてません。疲れます。」
「じゃあお前は置いていくかな。」
「がんばりますよ、きついですけど。」
「足よりもっと大変なことがある。腹だよ。気がついたか? この船にはフードレプリケーターが一つもないんだ。」
「大したことないです。携帯食料が支給されるって言ってました。」
「3週間、携帯食料を食ってみればわかるよ。」
ダックス:「ほんとに困るのは、ビュースクリーンよ。窓のないブリッジなんてある?」
パッドを持ってやってきたベシア。「医療室のない船のほうが信じられないね。僕が持ち込んだ医療用品のリストだ。僕の部屋に置いてある。ほかに場所がない。」
「心配しないで。あなたが眠っている間は、怪我人は出さないようにするわ。」
「ダックス、医療室がないのがどんなに大変かわかってもらえてないようだな。いざ非常事態になったら、必要なのはビュースクリーンや椅子や、ましてやサンドイッチなんかじゃないってことさ。バイオベッドだよ、組織再生機つきのね。」
「まあね。でも当面はビュースクリーンが大事だわ。」
ノーグ:「それと椅子。」
オブライエン:「それとサンドイッチ。」

シスコはブリッジの中へ入った。「いくぞ、全員出発準備だ。」
ダックス:「全システム、準備 OK。」
ベシアは一緒にやって来たガラックに気づいた。「ガラック、見送りに来たのか。」
ガラック:「とんでもない。」
シスコ:「ガラックにも一緒に来てもらうことにした。カーデシアの領域へ行くんだ。力になってくれると思う。」
ベシアはガラックの肩を叩き、ブリッジを後にした。
ガラック:「役に立ちますよ。」
オブライエン:「まあ、座れよ。」
ガラックは辺りを見たが、当然椅子はない。
ノーグ:「出発準備、OK です。」
シスコは頭に小型機械を装着した。左目の前には小さな出力装置がくるようになっている、バーチャルディスプレイだ。「ダックス、出航だ。」
ダックス:「了解、艦長。船尾スラスター、1.5。」
宇宙基地を出る様子がシスコに見える。「発進しろ!」
操作するダックス。突然の動きに、全員姿勢を崩す。
ダックス:「居眠りしてる人はいないかと思って。」
シスコ:「…目が覚めたよ。あとはゆっくり、スムーズに頼むぞ。」
「やってみる。」
「カーデシア領域の境界にコースをセット。針路 0-5-4、マーク 0-9-3、ワープ 6。」
「了解。」
シスコにはワープに入る様子が見えている。

テロック・ノール。
キラは司令官室のチャイムを鳴らした。
「どうぞ。」 野球ボールを触っていたデュカット。
キラは中に入る。「私に何の用?」
「用がなくても、いつでも訪ねてきて欲しいねえ。そして、そこが問題なんだよ。私がこのステーションに戻ってからもう 3ヶ月にもなるというのに、君と私でゆっくり過ごす時間はまるでなかった。そりゃもちろん、会議や何かにはもろもろ一緒に出てはいたがね。それでは仕事上の付き合いを超えるものに発展させることは、とてもできないだろう。」
「付き合ってらんないわ。」 後ろを向き、出て行こうとするキラ。
「少佐!」 立ち止まるキラ。「まだ下がっていいとは言ってない。」
キラは向き直った。「だから何の用なのよ。」
「そう噛みつくな。この 3ヶ月、それほど悪くはなかったろ?」
「そういうことなの。礼を言って欲しくて、呼んだわけ? 『この 3ヶ月みんなによくしてくれた。あなたが戻って嬉しい』って言わせたいの?」
「そんな皮肉を言うなんて、君には似合わないな。君は率直さが、一番の魅力なんだからね。」
「デュカット、悪いけどあなたの虚栄心を満足させるお芝居に、付き合ってる暇はないのよ。」
立ちふさがるデュカット。「裏切ったと、思ってるのか?」
「私だけじゃなくて、みんながね。カーデシア人もよ。」
「…カーデシアは…深い深い淵に、落ちる寸前だったんだよ。クリンゴンとの戦争で、三流の勢力に成り下がった。人々は道を見失っていた。それを私が蘇らせたんだ。」
「その代償は? あなたはカーデシアをドミニオンに売ったのよ。」
「ああ! 確かに高い代償を払ったとも。だが代わりに得たものを見てみろ。アルファ宇宙域全てだ。」
「まだわからないんじゃない?」
「ハ、すぐにわかるさ。ああ、君を破格の待遇にしてやることもできるんだ、キラ。」
「だったらまず最初にその臭い息を何とかしてくれない?」
「フン、私は辛抱強い。待つよ。」
「何を待つの。デュカット、あなた一体何を期待してるの? あなたのあらがえ難い魅力にこの私が夢中になるとでも? その胡散臭い笑顔で私が骨抜きになるとでも? 私とあなたが親しい関係になりうるなんてもしも本気で思ってるとしたら、勘違いもいいとこ。」
目を見開くデュカット。「ああ…そこに、そそられる。」
自分のほおに触れるデュカットの手を、キラは払いのけた。
笑うデュカット。「それではまたな。仕事があるので。」
キラはデュカットを睨みつけたまま、部屋を後にした。
デュカットは野球ボールを手に取り、テーブルの上で回した。

ワープ中のジェムハダー船。
シスコにハイポスプレーを打つベシア。「済んだ。ヘッドセットの副作用を調べる時間がなかったんです。」
シスコ:「一つははっきりわかった。頭痛だ…。」
「ヴォルタとジェムハダーが装着するように、設計されてますからね。」
ガラック:「艦長、提案があるんですが。」
シスコ:「ああ、小声で言ってくれ。」
「デュカットが…」
ベシア:「シー。」
「…ディープ・スペース・ナインを攻撃した時、これを付けているのを見たことがあります。多分…カーデシア人なら、副作用は軽いでしょう。」
シスコ:「志願するのか。」
「その方がいいんじゃないですか? 船にはヘッドセットが 2つある。私が付ければ、艦長は常時付けなくても、済むでしょ。」
ベシア:「ガラックの言う通りです。時間は短いほうがいい。」
シスコはバーチャルディスプレイをガラックに渡した。「頼む。」
装着するガラック。「ああ。まるで頭の中にビュースクリーンがあるみたいだな。」
コンピューターに反応がある。
ノーグ:「艦長。右舷前方に惑星連邦の船発見。方位 1-5-7、マーク 0-9-5。U.S.S.ケンタウロス※29です。」
シスコ:「チャーリー・レイノルズ※30の船だ。」
ガラック:「見えてます。」
すぐに船が揺れた。攻撃が続く。


※26: parabolic thruster

※27: induction stabilizer

※28: resonance emitter

※29: U.S.S. Centaur
登録番号はエンサイクロペディアには載っていませんが、NCC-42043 とされています。この直後に映像で登場し、クラス名不明 (エクセルシオ級に似ています)。エンサイクロペディアでは、書籍 "DS9 Technical Manual" に掲載されている「エクセルシオ級の変種」と同じ図が載っていますが、微妙に違うようです

※30: チャールズ・レイノルズ Charles Reynolds

船は攻撃を受ける。
シスコ:「候補生、ケンタウロスに呼びかけろ。」
ノーグ:「だめです、通信システムがダウンしています。」
ガラック:「反撃するしかないんじゃないんですか?」
ベシア:「艦隊の船は攻撃できない。」 火花が散る。
「それは、連中に言ったら。こっちじゃなく。」
オブライエン:「何とか手を打たないと。」
シスコ:「ダックス、境界内に入るぞ。最大ワープだ。チャーリー・レイノルズも、ドミニオンの領域まで追ってきはしないだろう。」

ワープ飛行を続けるジェムハダー船に向け、光子魚雷で攻撃するケンタウロス。
シスコ:「境界までどのぐらいだ。」
ダックス:「今越えました。」
だが攻撃はやまない。
ノーグ:「ケンタウロス、まだ追ってきます。」
シスコ:「奴はあきらめが悪いんだ。」
オブライエン:「無茶する男だ。」
ガラック:「私たちこそ、無茶してませんかね。」
派手な爆発が起こる。
ダックス:「今の一撃で、誘導スラスターが 1基やられました。」
シスコ:「ワープエンジン停止。反転だ。反撃の準備をしろ。」
オブライエン:「……了解。」
ダックス:「ケンタウロス、ワープエンジン停止。」
シスコ:「武器アレイを狙え。エンジンは避けろ。ドミニオンの真ん中で、チャーリーを立ち往生させたくないからな。」
攻撃し合う 2隻の船。
ダックス:「もう一度反転します。」
シスコ:「奴は長距離戦が好きだから、引き離されるな。攻撃パターン、オメガだ。」
攻撃を受けたケンタウロスは去っていった。
シスコ:「ケンタウロス、ワープに入りました。連邦の領域へ戻っていきます。」
手を叩くノーグ。「やった。」
ガラック:「チーフ、やりましたね。」
オブライエン:「命中してないと思うんだがな…。」
ダックス:「してないかもね。ジェムハダーの船が、3隻こっちへ向かってきます。」
シスコ:「それで撤退したんだ。」
シスコたちの船の横を、船団が通過していく。
ノーグ:「通り過ぎました。」
ダックス:「仲間に挨拶もしないのね。」
オブライエン:「ケンタウロスを追ってるからだろう。」
ベシア:「逃げ切れるでしょうか。」
シスコ:「激戦を戦ってきた男だ。大丈夫だろう。」
ダックス:「援護したいけど…。」
「無理だ。チーフ、通信システムを復旧させろ。コースリセット。ワープ 7。」
「了解。」
ジェムハダー船はワープに入った。

保安室で、キラはオドーに話す。「あいつ、余裕の顔してたわ。実際力を握ってるのはあいつで、何もできなかった。戦争はまだ終わってないのよ。だけどデュカットの奴、もうすっかり勝った気でいるわ。あいつの自信を、ひっくり返してやりたい。」
「少なくとも今の段階では奴の勝ちです。ハ、馬鹿みたいです。必要もないのに毎日ここに座ってる。部下の保安部員はもう一人もいないっていうのにね。」
「取り戻せばいい。…ベイジョーの保安部員を復職させろって、要求したらいいのよ。」
「デュカットが認めるとは思えません。」
「デュカットなんて無視よ! ウェイユンならあなたの言うことを聞く。彼にとってはあなたは神同然なんだから、すごい力じゃない。」
オドーは乗り気ではないようだ。
「でも使わなかったら、無駄になるだけよ。」
キラを見るオドー。

ケトラセル・ホワイトの入った容器が開けられる。ジェムハダーたちが言う。「我らは創設者の忠実なるしもべ。この命ある限り。」
ウェイユン:「では創設者より賜った、ケトラセル・ホワイトを受け取るがいい。」
装着するジェムハダー。上級士官室を出て行く。
その様子を見ていたデュカット。「この儀式が気に入ってるだろ。自分が奴らの主人なんだと、毎回実感できるからな。」
ウェイユン:「主人は創設者たちです。私は彼らのしもべに過ぎませんよ。あなたもね。」
「かもしれないね。だが、そのしもべの中でも、上に立つものが必要だろう、うん?」
笑うウェイユン。「全く。まさにあなたのような男が言いそうなセリフじゃありませんか、デュカット。面白いが、いささか…情けない。」
ダマールと共に、オドーがやってきた。
ダマール:「お邪魔してすいません。この男が会わせろと聞かないもので。」
すぐにオドーの前に行くウェイユン。「創設者。お訪ね頂いて光栄です。何かご用でしたでしょうか。」
オドー:「ベイジョー人の保安部員を全員復職させて欲しい。」
「お任せ下さい。」
「今後プロムナードのパトロールは彼らの担当とします。」
「それで問題ないかと。」
デュカット:「大ありだ。」
「これは私とオドーの問題です。口を挟まないで下さい。」
オドー:「では 1時間以内に、部下と武器庫へ行きます。」
出て行くオドーに、ウェイユンはいった。「ご希望を叶えたわけですから、私の願いも聞いて頂けますか?」

プロムナード。
キラ:「統治評議会のメンバーになれですって? ほんと?」
オドー:「ウェイユンとデュカットと一緒にね。これで統治の方針に口出しできるんだが…。」
「そんな話に乗って大丈夫?」
「デュカットは猛反対でしたがね。ウェイユンが話を切り出したときの顔を見せたかった。」
「ウェイユンはあなたを利用する気なのよ。あなたが評議会に入れば、ドミニオンの支配を認めたように思われるわ。」
「こっちが利用するんです。……少佐、危険はよくわかってます。私はカーデシアの占領時代にも、同じようなことを経験しました。大丈夫です、今度は独りじゃないし。あなたが助けてくれるでしょ。」
2人は手を握った。
キラ:「もちろん協力する。」
オドー:「ではとりあえず、祝杯といきましょう。」
「ええ、そうね。ああ…でもどういうわけか、嫌な予感がする。」

ジェムハダー船は小惑星に到着した。地表にはドミニオンの施設が見える。
コンピューターを確認するガラック。「前にいる船が、今小惑星の貯蔵施設にメッセージを送ったとこです。ケトラセル・ホワイトを補給したいと要請しています。」
ダックス:「ここで間違いないようね。」
シールドが解除され、小惑星の軌道に入る。
ガラック:「その船が、110個の空容器を転送しました。そして満タンの容器を、110個転送収容しています。」
通信を行うシスコ。「準備はいいか、チーフ。」
オブライエン:『OK です。空容器 83 に、空じゃないのが一つ。90アイソトンの、アルトリチウム※31入りです。貯蔵施設から、800キロ以内のものは全て…吹き飛ぶでしょう。』 貨物室で準備を行う。
「ということは我々は爆発前に、900キロ離れていればいい。」
ガラック:「前の船が軌道を離脱。」
シスコ:「ダックス。」
ダックス:「所要時間は、92.3秒でした。」
ガラック:「今、ケトラセル・ホワイトを容器 84個分要請しました。…うまくいったぞ。こっちの要請は受理された。」
前の船は去り、シスコの船が小惑星に近づく。
シスコ:「チーフ、爆破時間を 3分後にセット。」
オブライエン:『セット完了。』
ベシア:「3分ですか。さっきの船が 92.3秒ですよ。あまり時間がないんじゃないですか。」
シスコ:「短時間なら、ジェムハダーも爆発物を探知できないだろう。少佐、容器を転送しろ。」
ダックス:「転送します。」
ノーグ:「あそこの偉い奴が、ランチで出かけてるなんてことないですか。」
ベシア:「ジェムハダーは何も食べない。」
「じゃあいいです。でも…ほんとにジェムハダーですか。」
ダックス:「落ち着きなさい、全部予定通りよ。貨物室にホワイトが入った容器 84個、転送されました。」
ガラック:「ホワイト受領の報告をして、今出発許可を要請しました。」
シスコ:「よし。ワープエンジン、準備。」
ダックス:「スタンバイ。」
だが船を含め、小惑星の一帯がシールドに包まれた。
ガラック:「艦長、雲行きが怪しい。連中、セキュリティネットを張りました。」
シスコ:「もう一度出発要請をしろ!」
「応答してきません。」
ベシア:「爆発までにネットが解除されないと、終わりですよ。」
ダックス:「爆発まで 1分30秒です。」


※31: ultritium
化学爆発物。映画 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」など

尋ねるノーグ。「爆弾が発見されたんですかね。」
戻ってきたオブライエン。「すぐ見つかるはずがない。」
ベシア:「じゃあなぜネットを張った。」
シスコ:「いい質問だな。」
ガラック:「艦長、返事がきました。待機しろって命令です。」
「どうして。」
「何も言ってません。」
ダックス:「あと 1分15秒。」
シスコ:「チーフ、セキュリティネットに穴を開けられるか。」
オブライエン:「ええ、でも 2分かかります。」
「2分もかけてられない。ネットのパワージェネレーターを破壊することはできるか。」
ノーグ:「爆発すれば…。」
ガラック:「私たちも一緒にね。」
ダックス:「あと 1分。」
シスコ:「いや、いけるぞ。ジェネレーターが破壊された瞬間ネットは消える。タイミングを計算して、その瞬間に爆発に巻き込まれないだけの距離まで、素早く移動していればいいんだ。」
「わずかでもタイミングを誤ると、ネットに…叩きつけられるわ。」
オブライエン:「際どいな。」
シスコ:「正確に計算するんだ。」
ダックス:「ちょっと待って。39コクレインのワープフィールドが、通常空間を…どのくらい縮めるかというと…」
ベシア:「爆発の 1.3秒前に、通常エンジン全開で発進すればいい。」
シスコ:「ダックス。」
ダックス:「コンピューターもジュリアンとおんなじよ。」
ガラック:「そりゃそうでしょう。似たもの同士だ。」
「操舵コントロール、メインコンピューターに移します。セット。」
シスコ:「時間は。」
「爆発まで、あと 22秒です。」
ノーグ:「22秒か。たっぷりあります。」
オブライエン:「ほーら、心配することないだろ。」
だが施設が爆発した。
衝撃が伝わる。
オブライエン:「爆発が早かった!」
シスコ:「ダックス、発進しろ!」
小惑星ごと爆発する。炎に巻き込まれるジェムハダー船。
あちこちで火花を吹く船内。
船は火の中を突っ切った。
ブリッジも落ち着く。
ガラック:「まあ、プラン通りとはいきませんでしたが、一応成功です。艦隊も満足してくれると思いますがね。」
シスコ:「そう思うよ、ガラック。ダックス、よくやった。」
うなずくダックス。
「チーフ、被害状況は。」
オブライエン:「よくありません。非常用生命維持装置、使用。ディフレクターは停止。誘導システムはいかれてる。それに…。」
「それに何だ。」
「コアマトリックス※32がやられた。ワープが使えません。」
ガラック:「……疎くて悪いんですがね。ワープが使えないとなると、一番近い連邦の基地に着くまでどのくらいかかるんです?」
シスコ:「それは、相当…かかる。」
「どのくらい?」
ベシアは答えた。「17年…2ヶ月と 3日だが…誤差プラスマイナス 1時間。」
その数字を聞いたクルーは、皆無言になった。
ダメージを負ったジェムハダー船は、宇宙空間を進む。


※32: core matrix

・感想
私にとっては 1,000日以上待たされた DS9 の続きを、やっとで観ることができました。はっきりいってそれだけで嬉しくて感想なんて関係ないのですが、それでも DS9 ならではの大量の登場人物による会話劇は最高です。時間としては短いものですが、冒頭の艦隊やケンタウロスとの戦闘といった特撮も良いです。現在並行して放送されているヴォイジャーからすると当然見劣りはしますが、3年の格差がありますからね。
声優の変更もあってベシアのキャラクターが急に変わったように思えますが、考えてみれば遺伝子操作のことがわかってからガラックと絡むのは初めてであり、だからこそ新たな面が引き出されているとも言えます (既に 3ヶ月にも渡る戦時下でもありますしね)。声優が何人も変わったことは当然残念ではありますが、すぐに慣れるでしょう。変わってないキャラの方がずーっと多いんですから。
前話最後の大艦隊を見ると確かに拍子抜けともいえますが、それは嵐の前の静けさとも言えます。これまでに例のなかった連続エピソードを存分に楽しみたいですね。


dot

previous第124話 "Call to Arms" 「DS9撤退の日」 第126話 "Rocks and Shoals" 「洞窟の密約」previous
USS Kyushuトップ | DS9 エピソードガイド