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ディープスペースナイン エピソードガイド
第128話「レジスタンスの苦悩」
Behind the Lines

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・イントロダクション
※1『艦長日誌※2、宇宙暦 51145.3。ディファイアントは第375宇宙基地※3を離れ、ドミニオンの領域で電撃作戦を繰り返した。クルーに疲労の色は隠せないが、皆この戦争に勝つため、耐え抜く覚悟をしている。私も同じだ。』
宇宙基地の周りには、ディファイアントのほか数隻の連邦艦がいる。
グラスを運ぶノーグ※4。「はい、どうぞ。」
シスコ:「ソーリアン・ブランデー※5なんてどこで手に入れたんだ?」
ベシア:「しかも戦争の最中に。」
ノーグ:「手はいろいろありますよ。船で半人前でも、俺はフェレンギですから。」
ダックス:「フェレンギ万歳。」 乾杯する 3人。
オブライエンが筒状の機械を抱えて入ってきた。「持ってきましたよ。フェイザーのパワーセル※6です。また使い切りました。」 クルーは静かになった。
受け取るシスコ。「みんなこれをよく見てくれ。私たちの闘志を象徴してる。私たちは最期まで戦う。力尽き空っぽになるまで、私たちは戦い続けるんだ!」
クルーは声をそろえる。「イエッサー!」
「その証をただ捨てるわけにはいかないな。」
「ノー、サー!」
壁に立てかけられたパワーセルが何本もある。その隣に、新しいのを置く。
拍手が起こる。シスコも手を叩いた。
ロス提督※7が食堂へ入った。
ノーグ:「提督です!」
ロス:「そのままで。ベン。」
シスコ:「提督。」
「ああ…ちょっと歩こうか。」
出て行く 2人。

廊下で話すロス。「賑やかだったな。」
シスコ:「ええ、まあちょっとした儀式でして。任務の疲れを癒すためです。」
「貢献してくれてるからな。」
「恐縮です。…でもねぎらいに来て下さったわけでは、ないんでしょ?」
笑うロス。「ああ、違う。開戦以来、ドミニオンは常に我々の動きを読んでいた。どこでも彼らの船が船が必ず待ち構えている。」
「気がついてました。」
「彼らの知性には敵わないのかと思っていたが、そうじゃなかった。我々の知らない前提条件があったんだ。昨日までな。艦隊情報局が、アルゴリス星団※8の周辺部に隠された巨大なセンサー基地を発見した。そいつは 5つ向こうの星域にある船まで、モニターできるんだ。」
「ああ…それでいつも一歩先をいかれていたんですね。」
「敵は戦術上、圧倒的に有利だ。君にひっくり返してもらいたい。」
「ええ、喜んで。」
「簡単にはいかん。厳重に警備されている。情報局の報告書だ。熟読して、明朝 8時までに攻撃計画を提出しろ。」 パッドを渡すロス。
「お任せを。」
シスコの肩を叩き、ロスは歩いていった。

テロック・ノール。
ダマール※9がクワークの店にやってきた様子を、上から見ている。
ロム※10:「来たぞ。」
キラ:「ダマールの行動は毎日同じ。一日の仕事を終えた後は、カナール※11を一杯やりにくる。」 2階から見ているキラの言う通りに行動するダマール。「そして愚痴る。『ジェムハダーは毎日ここにいる。飲みもしない、食いもしない、ギャンブルもしないってのに、場所ばっかり取りやがって。』」
ダマールの声が小さく聞こえる。「…クワーク。」
キラ:「…そして店の主人に、こないだなくしたパッドは知らないかと聞く。」
ロム:「兄貴は見てないと答える。」
「ダマールは困り果てる。パッドにはケトラセル・ホワイトの不足にどう対処するかについての、極秘下書きメモが入ってた。」 カナールを飲み始めるダマール。「…ホワイトがなければジェムハダーは狂暴になり、目につくものを手当たり次第に殺し始める。カーデシアが地雷を撤去できず、ガンマ宇宙域からの補給を得られなかった場合、ダマールが考えた対応策は…最後のケトラセル・ホワイトに毒を盛り、ジェムハダーを全員抹殺すること。でもロム、どうやってダマールのパッドを手に入れたの?」
「手先が器用なんだ。…ほら、来た!」 ジェムハダーたちが入ってきた。「奴を見つけた。」
パッドを見せるジェムハダー。「ダマール、お前のか。」
キラ:「なくしたパッド。」
ダマール:「返せ!」
ジェムハダー:「まあ、待てよ…」 ジェムハダーとカーデシア人たちが相対する。
キラ:「ダマールは奴らが盗んだと言いたてる。」
ロム:「彼らは落ちてたと言い張る。俺が置いといた場所にね。」
ダマール:「…お前が盗んだんじゃないのか。」
ジェムハダー:「何だと…」
キラ:「うまくいくと思ったわ。」
慌てて仲裁に入るクワーク。
キラ:「カーデシアとジェムハダーは同盟相手だって振りしてるけど、お互い毛嫌いしてる。」
「邪魔するな!」 ダマールに、カウンターの向こうへ投げ飛ばされるクワーク。
それを合図としたかのように、乱闘が始まった。ジェムハダーを殴るカーデシア人。カーデシア人を撃つジェムハダー。ジェムハダーが刺され、カーデシア人は背骨を折られる。
その様子を見ていたキラは、静かに立ち去った。


※1: このエピソードは、TNG ラフォージ役のレヴァー・バートン監督作品。DS9 では第119話 "Soldiers of the Empire" 「我らクリンゴン」に続き、8エピソード目となります。参考

※2: 今回も「司令官日誌」と吹き替え。そもそも現状では司令官ではないのですが…

※3: Starbase 375
前話 "Sons and Daughters" 「過去を越えた絆」など

※4: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) DS9第126話 "Rocks and Shoals" 「洞窟の密約」以来の登場。声:落合弘治

※5: Saurian brandy
アルコール飲料。TOS第5話 "The Enemy Within" 「二人のカーク」など

※6: フェイザーアレイ・パワーセル phaser array power cell

※7: Admiral Ross
(Barry Jenner) 上級宇宙艦隊高官。DS9第125話 "A Time to Stand" 「明日なき撤退」以来の登場。今回からシスコたちと同じく、映画「ファースト・コンタクト」で初登場した最新型制服を着ています。声:石波義人

※8: Argolis Cluster
星の集団。TNG第123話 "I, Borg" 「ボーグ“ナンバー・スリー”」など

※9: Damar
(ケイシー・ビッグス Casey Biggs) 前話 "Sons and Daughters" 「過去を越えた絆」に引き続き登場。声:古田信幸

※10: Rom (マックス・グローデンチック Max Grodenchik TNG第67話 "Captain's Holiday" 「大いなるホリディ」のソヴァク (Sovak)、TNG第121話 "The Perfect Mate" 「究極のパートナー」のパー・レノア (Par Lenor) 役。また、映画 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」のトリル人少尉で登場する予定でしたが、カットされました) クワークの弟で、ノーグの父。DS9第124話 "Call to Arms" 「DS9撤退の日」以来の登場。声は田原アルノさんで、これまでの山崎たくみさんから変更。ただし最初に声優が当てられた DS9第4話 "A Man Alone" 「宇宙ステーション殺人事件」のみ田原さんが担当していたので、正確には初代声優に戻ったことになります。他の役は DS9 ブラント (これまでのエピソード。今後の配役は不明)、ST4 カートライト、ST6 スールー/サレク

※11: kanar
カーデシア人が好む飲み物。DS9第42話 "The Wire" 「義務と友情」など

・本編
ベイジョー人によって、遺体の処理が行われている。
ダマール:「問い詰めたら殴りかかってきた。」
オドーは部下に指示している。「向こうだ!」
デュカット※12:「今更原因などどうでもいいんだ。つまらんことで死人まで出して、どうするつもりだ。戻ってろ!」
悔しそうに店を後にするダマール。
ウェイユン※13がデュカットに言う。「ダマールって男は、あんな危険文書の入った物をその辺に置き忘れるなんて、愚かにも程がありますね。」
デュカット:「君の部下が盗んだんだ!」
「彼らは盗みなどしません。」
「ダマールも嘘などつかない!」
「デュカット。声を落として。……下の者に、示さないと。同盟は…揺るがないとね。笑って。」 デュカットの肩をつかむ。
笑みを作るデュカット。
「デュカット。」
「これで笑ってるんだよ。」
オドーが戻ってきた。「今すぐ全員、ここから退去させた方がいいと思います。」
すぐに従うウェイユン。「そうですね。事情聴取まで謹慎しているよう、君の部下に指示しなさい。私もそうしましょう。笑顔、笑顔。」
デュカットに指示され、カーデシア人は出ていった。
笑うウェイユン。ジェムハダーに言う。「来なさい。」

第375宇宙基地。
シスコ:「情報によると、センサー基地は 2光年先の遮蔽装置を使った船さえ探知できるようです。つまりディファイアントでアルゴリス星団を迂回する頃には、ドミニオンに察知されてしまいます。」 星図を前に説明する。
ロス:「ジェムハダーに囲まれて、基地には近づけもしないな。」
「そこで彼らの意表を突く作戦に、出なければなりません。」
「どういうことだ。」
「星団の中を通って向かうんです。」
「あの中を通るのは無理だ。重力場のずれで、船は粉々にされてしまう。」
「ドミニオンもそう思っているでしょう。ですから星団内から襲えば、気づかれることはありません。」
「無事通れると思うのか。」
「ダックスは自分なら 16のずれを迂回して飛べるといっています。過去に原始星の星団を研究していますから。…賭けではあります。でもやってみる価値はある。」
「いいだろう。賭けてみよう。いつ出発できる。」
「ディファイアントの修理が終わり次第に。」
「報告を待っているぞ。」
ロスのオフィスを後にするシスコ。

テロック・ノール。
保安室で待つオドー。
キラが入る。「私に何か用?」
「…ああ…何か私に言うことがないんですか?」
「クワークの店での件?」
「はい。」
「予想以上の展開よ。」
「ハ! やっぱりあなたが関わっていたのか!」
「当たり前じゃない。こないだレジスタンスのミーティングで決めたでしょ。」
「私は反対だとはっきり言ったはずですね。」
「ええ、そうだったわね。でも『もう勝手にしろ』って顔で部屋を出ていったじゃない。残ったロムとジェイクとで話し合いを続けたの。そして…結構名案なんじゃないかって思ったの。」
「で私には一言も言わずに実行したんですか。」
「あなた、のけ者にされたと思ってるの?」
「それ以外にどう取れって言うんです。私は統治評議会で、デュカットやウェイユンと一日席を並べて、ベイジョー人がこの戦争で血を流さないよう、できる限りのことをしている。なのにあなたがあちこちで騒乱事件を起こして掻き回してくれたんじゃ、全てがぶち壊しですよ! あなたがやってるとデュカットに知れたらどうなると思います? ベイジョー人を基地から追放する、いい口実を与えることになりますよ!」
「惑星連邦は今にもこの戦争に負けそうなのよ。ただ手をこまねいて見てはいられない。」
「私たちがやれることには限度ってものがあります。」
「あなた統治評議会に入ったのは間違いだったかもね。波風立てないことばっかり考えて、本末転倒だわ。今は戦争中だってことを忘れてない?」
「私の忠誠心を疑うんですか?」
「オドー、あなたが必要なのよ。レジスタンスにはあなたが必要なの。」
「答えて下さい。私の忠誠心を疑ってるんですか?」
「そんな訳ないじゃない! そんなこと言ってるんじゃないの。」
ドアが開いた。そこに立っていたのは、創設者のリーダー、女性可変種※14だった。
「こんにちは、オドー。また会えたわね。」


※12: ガル・デュカット Gul Dukat (マーク・アレイモ Marc Alaimo) 前話 "Sons and Daughters" 「過去を越えた絆」に引き続き登場。声:幹本雄之

※13: Weyoun (ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs) DS9 "A Time to Stand" 以来の登場。声:内田直哉

※14: 創設者リーダー Founder Leader (サロメ・ジェンス Salome Jens TNG第146話 "The Chase" 「命のメッセージ」の人類の祖先役) ドミニオンの創設者の代表。DS9第98話 "Broken Link" 「可変種の脅威 第二幕(前編)」以来の登場。クレジットでは「女性流動体生物 (Female Shapeshifter)。声:宮寺智子 (継続)、叛乱 アニージュ

女性可変種は言う。「下がりなさい。オドーと話があります。」
「ええ、そう。」 動こうとしないキラ。
オドー:「ネリス、いいんだよ。私も話を聞いてみたいんです。」
「大丈夫?」
オドーはうなずいた。保安室を出て行くキラ。
女性可変種:「ネリスと呼んでいたわね。」
オドー:「それが何か?」
「以前は少佐だったわ。固形種で名前を呼ぶことは、親しさの現れでしょ?」
「遥々こんな所にまで……戦況の査察にでも来たんですか?」
「戦争は、ヴォルタ人に任せておけばいいと思っていますから。」
「なら、わざわざここまで来た理由は何です。」
「あなたよ。」 驚くオドー。「…ワームホールの入り口に置かれた地雷のせいで、私はアルファ宇宙域から出られなくなってしまったの。それ以来、周りにいるのは固形種ばかり。ここへ来たのは、自分の仲間に会いたくなったからです。」
「ハ、そりゃまた皮肉なことだな。前回会った時に何があったかを考えるとね。」
「あなたは可変種の仲間の命を奪ったんですよ。※15最も重い罪です。これを裁くには、あなたを固形種にするしかなかった。※16
「私が可変種に戻ったら、何事もなかったように仲間と呼ぶわけですか。」
「あなたを許したんです。」
「私はそっちを許してない。」
「いつまでも過去にとらわれるべきではないわ、オドー。」
「じゃあ今はどうなんだ。私の故郷に戦争を仕掛けてるじゃないか。」
「故郷なものですか! あなたは偉大なるつながり※17の一部、我々の仲間です。」
「私はここで満足してるんでね。」
「自分の可能性を知らないから、そんなこと言うんです。私としばらく一緒に過ごせば、きっとそのうち、理解できます。」 出て行く女性可変種。ジェムハダーが後につく。

第375宇宙基地。
ロスのオフィスにシスコが入った。「提督、お呼びですか。」
ロス:「報告があって、ベネット大佐※18の昇進が決定した。私の推薦で彼女は、第7戦略航空団※19の指揮官になる。私の副官を務めてくれてた。大局を見極める力がある、優秀な人材だ。」
「それでは彼女の後任を見つけるのは、大変でしょうねえ。」
「もう見つけてある。君だよ。」
「え?」
「この数週間の働きには感服させられた。いいチームになると思う。」
「恐縮です。」
「直ちに配属換えということになる。」
「直ちにですか? アルゴリスの基地攻撃は。」
「ダックスをディファイアントの艦長にする。…彼女なら大丈夫なんだろ?」
「もちろん心配ありません。…ただこの任務は、私が指揮するつもりでいましたので…。残念なだけです。」
「この戦術計画を見てくれ。ボリアン作戦について意見を聞きたい。明朝 6時にミーティングだ。」
出て行くシスコに、ロスは言った。「ベン。よろしく頼むぞ。」
シスコは微笑んだ。

テロック・ノール。
デュカット:「クリム特使※20が、明日の朝お見えになる。」
オドー:「じゃあ特別警護をつけて、オフィスへ送り届けましょう。今日は、以上ですね。」
ウェイユンも席を立つ。
そこへ女性可変種がやってきた。
すぐに近づくウェイユン。「創設者。おいで下さり光栄です。」
女性可変種:「戦況は順調のようですね。」
「創設者の方々の計画通り進めております。」
デュカット:「ようこそ、テロック・ノールへ。やっとお目にかかれて、喜ばしい限りですな。各々の世界の指導者として、我々は民を未来へと導く責任があります。私は自信を…」
女性可変種:「地雷原はどうなったんです? なぜまだ処理できないんですか。」
ウェイユン:「そうです、デュカット。これほどの遅れは許されない。ワームホールの向こう側に、何千ものジェムハダーの援軍が足止めを食わされているんですから。」
デュカット:「最新の戦況報告を、まだ読んでいないようだな。ジェムハダーの援軍なしでも、私は勝っているんだよ。」
「君が勝ってる?」 女性可変種に言う。「軍事上の決定には私も関わっておりますので。」
女性可変種:「あなたが指導して、地雷撤去を急がせなさい。」
手を合わせるウェイユン。「はい。どうか安心してお待ち下さい。」 上級士官室を出て行く。
デュカット:「滞在中、ご入用のものがありましたら、いつでもご連絡を。」 部屋を後にする。
女性可変種は残ったオドーに聞いた。「あの 2人はいつもああして張り合っているの?」
オドー:「ええ、いつもあの通りです。」
「あなたが間に立つべきですね。嫌な役目でしょうけど。」
「ああ…大変ですよ。…じゃあ失礼します。部屋で仕事があります。」
「私も一緒に行きましょう。」
うなずくオドー。先に出るように手を出す。ジェムハダーに付き添われ、2人は歩いていく。

オドー:「物体を知るには、それになることだ。」
女性可変種はオブジェを触っている。「形を知れば、その物が存在する意義を理解できる。」
「あなたたちの星へ行った時、そう教えてくれましたね。※21
「うん、そうね。」
「…最初はどういうことか、まるでわかりませんでした。それでステーションへ戻ってからこの部屋に置いてあった家具を全部捨てて、オブジェを置いてみました。そしてその形になってみた。あなたに会っていなかったら、石や木の枝になってみるという…単純な喜びも私は知らないままでした。」
「自分のことを学んでくれて良かった。」
「うーん。」
「私たちもあなたが帰ってきて喜んでいました。あなたが去った時は、とても悲しかった。あの時残っていればどんなに良かったか。」
「できなかった。」
「あなたは固形種を選んだ。」
「後悔はしていませんよ。」
「ほんの少しも?」
「…時々、偉大なるつながりを思い出しはします。」
「あなたを待っているわ。」
「戻れません。」
「どうして? キラのせいなの。…まだ彼女に惹かれているのね。でも応えてもらえない。悲しいわね。」
「固形種と関わるのは時間の無駄だと言われると思った。」
「愛しているんでしょ?」
「……自分が情けない。…彼女の前では無力です。ちょっと微笑んでくれただけで意味もなく嬉しくなって、ほんの少しでも意見が食い違えば打ちのめされる。馬鹿げてる。心の中に手を突っ込んで、この気持ちを引き千切りたくなりますよ。でもできない。」
「可哀想なオドー。」
「同情はいりません。」
「同情などではありません。」
ため息をつくオドー。「心の平静を取り戻したい。」
「ただ心を、透明になさい。」
オドーは女性可変種を見た。
「手伝ってあげます。」 手を差し出す女性可変種。
オドーは手を握った。女性可変種の手が液体化する。目を閉じるオドー。
女性可変種:「やめて欲しい?」
オドーは首を振った。
両手を溶け合いさせ、そしてついには 2人とも全身を液体化させた。


※15: DS9第72話 "The Adversary" 「忍び寄る可変種の脅威」より

※16: DS9 "Broken Link" より

※17: Great Link
ガンマ宇宙域の創設者文明による共同連結。DS9第48話 "The Search, Part II" 「ドミニオンの野望(後編)」など

※18: Captain Bennet

※19: Seventh Tactical Wing

※20: Legate Krim
ガルの上の階級である Legate は、「評議員」とも訳されていました

※21: DS9第47・48話 "The Search, Part I and II" 「ドミニオンの野望(前)(後)」より

カーデシア人がパッドを渡す。
ダマール:「以上だ。」
入れ替わりに、キラが保安室に入る。「ここで何してるの、ダマール。まさか警備員に降格させられたの?」
「何のようだ、少佐。」
「オドーを探してるの。」
わざとらしく周りを見るダマール。「ここにはいないな。」
「どこにいるか知ってる?」
「…ああ!」
「偉いわ。ボスの居場所はちゃんと知ってるのね。」
立ち上がるダマール。「今は自室にいる。あの流動体生物と。妬けるか? 少佐。」
「口は災いの元って言うわよ。これ以上の降格は、あなたも嫌でしょ。」 出て行くキラ。

オドーは窓の近くに座り、外を見つめている。チャイムが鳴る。「どうぞ。」
キラが入る。「オドー。」
「ネリス。」
「オフィスへ行ったら、あなたは部屋で彼女と一緒だと聞いて。」
「さっきまでいましたが、出て行きました。」
「大丈夫だった? 彼女の狙いは?」
「狙いなどないでしょう。」
「じゃあ、ここで何してたの?」
ため息をつくオドー。「…少佐が…彼女をどう思ってるかは知ってます。でも心配する必要はありません。」
「それを素直に…信じられたらどんなにいいでしょう。彼女とつながりをしてはいないわよね。」
「ハ…実はしたんです。」
「ほんとに? …どういうつもりなのよ!」
「レジスタンスのことなら彼女に知られてない。それが心配なんでしょ?」
「違うわ。」
「つながりは…情報交換のためのものじゃないんです。形と思念、観念と感覚を一つにすることなんです。」
「なら人を操るには完璧な方法じゃない。」
「私は操られてなどいない。」
「そうかしら。彼女あなたと出会った最初の日から、ずっと嘘をつき続けて、だまして、あなたを惑わせてきた。あんな人信用できないわ。どうしてあなた信じられるの?」
「私は彼女とつながりをしました。もし何かの企みがあるとすれば、そのとき感じ取れたはずです。彼女は教えようとしてたんです、私にどんな可能性があるのかを。」
「銀河をまたにかける征服者じゃない。彼女自身がそうですもの。」
「逆に…彼女とつながることで、連邦が創設者たちにとって敵ではないとわからせることができるかもしれないんですよ。」
「この戦争をやめさせられるって…本気でそう思ってるの?」
「つながりを実際体験できればわかるのに。彼らにとっては絶大な…影響力があります。どんなことでも不可能はないんです。私は…やっとそのことが、わかり始めてきたんです。まだ疑問は山ほどありますが、彼女がいる間に少しは答えを見つけられるかもしれません。」
「こんなこと言いたくないけど、今は自分探しなんてやってる時じゃないのよ。危機的な状況なの。この戦争が終わった後なら、あ…好きなことをやればいいわ。どうしても偉大なるつながりに戻りたいなら、私だって止めたりはしないわ。だけど今は待って。しっかりしてくれなくちゃ、困るの。お願い、約束して。二度と彼女とつながらないって、ね。…せめて戦争が終わるまで。」
うなずくオドー。「わかりました。約束します。…独りにしてくれますか、仕事があるんです。レジスタンスのミーティングで会いましょう。」
キラはオドーを見つめた後、部屋を出ていった。オドーは再び、外を見る。

第375宇宙基地のディファイアント。
クルーが作業に追われている。
艦長席に座っているダックス。「修理はまだ終わらないの?」
ノーグ:「あと 2、3分です、少佐。」
作業をしているオブライエンは、ノーグに忠告する。「艦長だろ。海軍の伝統で、船を指揮する人は階級では呼ばない。艦長なんだよ。」
「じゃもし僕が船を指揮したら、やっぱり艦長になるんですよね。」
「候補生。お前が指揮を執る頃には、みんな無事生きちゃいないよ。」
「はあ…そうですね。」
シスコがブリッジに入る。
ダックス:「最期に一目、会いに来たの?」
シスコ:「最期と言わず、無事戻ってきてくれ。修理の状況はどうだ。」
「ほぼ終了。」
「あんまりその椅子に馴染むなよ、おやじさん。戦争が終わったら私はこの船を取り戻すぞ。」
「いいわよ。戦争が終わったらハネムーンに行くもの。」
オブライエン:「完了しました、艦長。」
2人の「艦長」は、同時に応えた。
ダックス:「わかったわ。」
シスコ:「ご苦労。」
決まりの悪そうな 2人。
ダックス:「コースをセット。アルゴリス星団へ向けて。出発準備開始よ。」
操舵士が了解する。「はい、艦長。」
出て行くシスコに、ダックスは言った。「ベンジャミン。一緒に来て欲しかったわ。」
「君なら大丈夫だ。」

オフィスに戻ったシスコは、基地を去るディファイアントを見つめていた。ため息をつく。

テロック・ノール。
クワークの店に、ダマールが入った。
クワーク:「散らかっててすいません。修理中でして。」
笑うダマール。「カナール。」
ため息をつき、用意するクワーク。
ダマール:「それじゃない。27年ものだ。」
クワーク:「27年? 値が張りますぜ。」
「払えるとも。ガルの給料でな。」
「待ってくださいよ。うちで大喧嘩しといて、ガルに昇格ですか。軍の運営ってのは、そんなもんすか。」 グラスに注ぐ。
「あれでデュカットの機嫌を損ねたが、埋め合わせしたからなあ。」
「かなりのことでしょうね。」
「この俺が、歴史の流れを変えた。」 カナールを飲むダマール。
「商売人としちゃあ、歴史の流れには大いに興味がありますねえ。おごりますよ。」
「ありがたく受け取っとくよ、クワーク。」 また飲み干す。「だがしゃべれないんだ。」
「わかってますよ。当然でしょう。どうぞ。昇格祝いだ。」
クワークは別のグラスを用意した。自分も飲み始める。

話すジェイク。「カーデシアとジェムハダーの間に、かなり敵意があるのは明らかです。また揉めさせるのは、結構簡単だと思うんだけど。」
キラ:「私はあまり乗り気じゃない。」
ロム:「でもかなりうまくいったよ。」
「オドーはどう思う?」
考え事をしていたようなオドー。「……私はいい考えとは思えません。」
「じゃあ別の方法ね。」
ジェイク:「少佐!」
「全員が納得の上で進めたいの。」
チャイムが鳴った。驚くロム。「誰だろ、一体。」
キラ:「私たちは、ただここで…おしゃべりしてるだけよ。」
「そうだね。」
「どうぞ。」
キラの部屋に入ったのは、クワークだ。ふらついている。
ロム:「兄貴! 大丈夫か?」
クワーク:「いや…大丈夫じゃないね。ダマールと 2人してカナールを…一本…空けたんだ。」 いきなり笑い出す。「愉快だね。」
ジェイク:「…酔っ払ってる。」
「ああ、そうさ。酔ってるとも。酔ってなきゃわざわざ身の危険を冒して、こんなレジスタンスの会合なんかに顔を出すもんかってんだ。」
キラ:「なら人に顔を見られる前に帰った方がいいんじゃない?」
「俺はな…ドミニオン占領下の基地で店を守るために、必死にがんばってきたんだ。だがまるで面白くないや。カーデシアは気に食わねえ。偉そうで、意地が悪くて。ジェムハダーの野郎も我慢ならないね。薄気味悪いんだ。銅像みたいにただ突っ立って、こっちを…ジロジロ見てやがる。…嫌だね。死ぬまであんな連中相手に商売するのはごめんだ。連邦に戻ってきて欲しいんだよお。またルートビア売らせてくれえ!」
あきれるジェイク。
キラ:「わかった。わかったから落ち着いて。」
クワーク:「落ち着けるかって。ワームホールの向こう側に、何千ってジェムハダーの戦闘機が待ってるんだ。突撃のチャンスを。」
ジェイク:「出てこられやしないから、大丈夫だよ。」
「ダマールの言う通りなら、やばい。」
キラ:「……あいつが何言ったの?」
「奴は…地雷を機能停止させる手を見つけたと言ってた。デュカットがすぐ実地テストをやらせるらしい。」



カップを持ってくるキラ。「クワーク、思い出して。ダマールはどんな方法で地雷を機能停止させるって言ってたの?」
クワーク:「奴は…基地の何かを使うって言ってたな。ディフェクター※22…。」
オドー:「ディフェクターって?」
キラ:「できっこないわ。この基地で地雷のことがわかるのは、たった一人よ。」
ロム:「僕です!」
クワーク:「ディフェクターじゃなかった気がするな。確かあれは…ディフレクターか? ああ、そうだった、基地のディフレクターを使うとか何とか、そう言ってたよ。」
キラ:「どう思う、ロム。」
ロム:「それも僕が考えるの?」
「そうよ。あなたしかいないじゃない。地雷の機能停止にディフレクターを使えるの?」
「いいえ。地雷は自己複製するように設計した。増えないようにする方法は一つだけ。それぞれ反重力子※23ビームで孤立させること。ディフレクターを使ったってできないよ。……だけど…もしもフィールドジェネレーターの設定を調整して、エ、エミッターの焦点を合わせれば、その修正でディフレクターはすごく巨大な…強力な反重力子ビームになるよ!」
クワーク:「地雷を作った時に、どうしてそれを考えなかったんだ。」
「ああ…何でかなあ。」
ロムの言い方を真似るクワーク。「へえ。わからんらしいぞ。」
キラ:「クワーク。…ディフレクターを破壊するにはどうすればいいの?」
ロム:「簡単ですよ。EPS 回路にアクセスして、オーバーロードにすればいい。」
「すぐにやりましょう。」
「でも EPS 回路には手を出せないんだよ。保護コンジットの中にあって、アラームにつながってるから。」
「オドー、アラームを切ることはできる?」
オドー:「セキュリティチェックをやることにすれば、何とか 5分ぐらいはオフにしておけるでしょう。」
「5分で大丈夫?」
ロム:「やれます!」
オドー:「明日朝オフィスへ入って、すぐチェックを始めることにしよう。」
キラ:「お願いね。ロムは明日ここに来て。オドーはきっかり、午前8時にチェックを始めるように。」
うなずくオドー。

第375宇宙基地。
ロタランにいるウォーフが通信画面に映っている。『連絡はありましたか。』
シスコ:「いや。」
『…ディファイアントが出発して、16時間ですよ!』
「ウォーフ少佐。心配なのはわかるよ。」
『すみません。…でも大佐もご心配のようですね。大佐の船ですから。』
「ダックスが連れ帰ってくれる。あいつも、自分の結婚式に遅れたくないだろうしな。」
『ええ、そうですね。』
「連絡があり次第、君にも知らせるよ。」
『助かりますが…大佐、もう休まれないと。』
「今夜は無理だ、ウォーフ。今夜はな。」 通信を終えた。
外を見つめ、目を押さえる。
シスコに気づき、ロスがオフィスへ入る。「ベン。」
シスコ:「提督。」
「もう遅いぞ。」
「ディファイアントから報告が入るのを待ってるんです。」
「…ベン。明日は重大な作戦会議だ。ベストの状態で臨んでもらわなければ困るんだよ。」
「大丈夫です。」
「心配はわかるが、我々は戦術航空団全体に責任を負わねばならない。明日の決断に何千という兵士の命がかかってる。一隻の船を心配して夜明かししている時ではないだろう。」
「提督命令であれば自室へ戻ります。ですがどのみち眠れはしないでしょう。ディファイアントから連絡があるまでは。」
「好きにしろ。だが一つだけ言っておくぞ。今後ディファイアントは、何度も任務に出てもらうことになる。…君はそれに慣れるしかないんだ。おやすみ。」 出て行くロス。

テロック・ノール。
オドーは女性可変種に尋ねた。「我々は昔から形を変えられるんですか? それとも固形種だった頃があるんですか?」
「何十億年も前は、一つの形に縛られていたわ。でも進化したの。」
「ああ…母星であなたたちは、常につながりにいるんですか。それとも固形種の姿ですか。」
「大抵つながりにいます。でも時には、別の姿になるのもなかなか面白いわよ。例えば木だとか、空に浮かぶ雲だとか。」
「ああ…雲ですか。……人数はどのくらいです。」
笑う女性可変種。「ああ…質問ばかりなのね、オドー。」
「すいません。でもまだ…わからないことだらけなんです。」
「私ともう一度つながれば、全てがはっきりするはずよ。」
「…どうかわかって下さい。つながりは、あまりにも強烈過ぎるんです。口で説明してもらった方がいい。」
「でも言葉は不正確で、あまりにもどかしいわ。」
「お願いします。」
「…仕方ないわね。」
「……あなたの名前を聞いてなかった。」
「名前などもつ必要がある?」
「名前でほかの者たちと区別できます。」
「無意味ね。」
「でも…あなたは独立した存在なんでしょ?」
「ある意味では。」
「…でもつながりに戻った時には、今話している、あなたの存在はどうなるんです。」
「しずくが海になるのよ。」
「そして、また固形種の形になる時には?」
「海が、しずくになるの。」
「ああ…そうか。わかってきた気がしますよ。」
「それなら質問の答えは出たわね。私たちは何人いるのか。」
「一人で、そして大勢。それは、どう見るかによるんですね。」
「その通り。本当にわかってきたようですね。…でもまだまだ、ほんの入り口よ。」
「ほかには。」
「…言葉では伝えきれません。もう一度つながりをしましょう。あなたが探している答えを全て見つけるには、それしかないのよ。」
「だめです。」
「どうして。」
「キラと約束した。」
「彼女は固形種なんですよ。彼女には関係のないことです。あなた自身のことよ。あなたはどうしたいの。」

ロムは廊下で、果物の入った器を運んでいる。
部屋のチャイムを押した。キラが出てくる。
ロム:「早かったかな?」
キラ:「ああ、少しね。それ、ただのフルーツじゃないんでしょうね。」
「この中に工具を隠してある。もし何か聞かれたら、出前だって言えばいいよね。」
「うん、そうね。」
歩いてくる者たちがいる。ロムは演技を始めた。「お届けに来ました。」 カーデシア人がやってきた。
キラ:「こんなの頼んでないわ! わかった、これあなたの兄さんからでしょ。」
「あの…えーっと…」
「しつこいわね、口説こうとしても無理だと言っておいてちょうだい。いいわ。自分で言ってやる。」 2人は歩き出す。

廊下。
辺りを気にしながら歩くロム。
キラ:「もうオドーがオフィスに入ってるはずよ。」 周りに誰もいなくなってから、コンジットのふたを開けた。「いい、予定通りに。オドーがセンサーアラームを解除するのは、8時丁度だから。」
ロム:「わかってます。」 コンジットの中に入った。
「何かあったら連絡するから。出前、しっかり届けて。」

器を持ち、中を進むロム。
「規制エリア」と書かれたラベルがついたコンジットの前まで来た。
ロム:「コンピューター、時間は?」
『午前7時58分です。』
「…あと 2分か。」
果物を口にするロム。

プロムナードを歩くキラ。立ち止まる。保安室にオドーの姿がない。
中に入るキラ。「オドー…。」 コミュニケーターを叩く。「キラよりオドー。応答して。」

オドーは、女性可変種と両手を溶け合わせていた。
『キラよりオドー。オドー、返事して。』 キラの声が響く。
オドーの身体は、全て液体になった。


※22: defector = 亡命者、離反者

※23: antigraviton
素粒子。TNG第160話 "Attached" 「混迷の惑星ケスプリット」でも言及

キラは尋ねた。「コンピューター、時間は?」
『午前7時59分です。』
通信しようとするキラ。だがダマールが入った。「おはよう。丁度あんたを探してたんだ。」
キラ:「昇格して良かったわね。でも配属の件だったら、今話してる時間ないから。」
出て行こうとするキラを止めるダマール。「今話すんだ。」
手を払うキラ。「触らないでくれる。」
保安室から出て、隠れて連絡を入れる。「キラよりロム。ハッチを開けちゃだめ。」

ロムはハッチを開けた。「開けちゃったよ。」
警報が鳴り出す。
キラ:『そこを出て!』
ロム:「うん。」
すぐに引き帰す。

ダマールは保安室を出た。「侵入警報だ。一緒に来い。」 カーデシア人が続く。キラはどうすることもできない。

階段を降り、コンジットを進むロム。

廊下を走るカーデシア人たち。

急ぐロム。
ふたを開け、廊下へ出ようとする。しかしダマールに捕まった。「おやおや。どういうことかな?」 銃を突きつけるカーデシア人。

第375宇宙基地。ディファイアントが帰還した。
『大佐日誌※24、戦況追記、宇宙暦 51149.5。ディファイアントが、第375宇宙基地に帰還。ドミニオンのセンサー基地は見事破壊した。その功績でダックス少佐とディファイアントのクルーを表彰するよう、ロス提督と私で艦隊本部に推薦した。』
食堂に入るシスコとロス。クルーは楽しげに飲み交わしている。
ノーグ:「提督です。」
ロス:「そのまま。」
ダックス:「ノーグ、お二人にソーリアン・ブランデーを。」
ベシア:「ダックス! ハージ大尉※25が怪我して、僕が操舵担当したってカービー※26少尉に言ってよ。彼女信じないんだ。」
「あれが現実だったかどうか、私も半信半疑よ。」
ロスが咳をした。
ベシア:「じゃあ、後で。」
ロス:「おめでとう、艦長。」
ダックス:「ありがとうございます。ちょっと失礼します。ジュリアンが呼んでて。」
「いいとも。」
ノーグがグラスを運ぶ。「どうぞ。」
シスコ:「出所については…。」
ロス:「大丈夫だ。知りたくないね。」
オブライエンがフェイザーのパワーセルを持ってきた。「艦長、来ましたよ。」
談笑していたダックスは、それを受け取る。静かになるクルー。
ダックス:「みんなこれをよく見て。私たちの闘志を象徴してる。私たちは最期まで戦う。力尽き空っぽになるまで、私たちは戦い続けるのよ!」
部下のクルーは応えた。「イエッサー!」
「その証を捨てるわけにはいかない。」
「ノー、サー!」
新たに壁に、パワーセルが立てかけられた。
オブライエン:「イェイ!」
一斉に拍手が起こる。シスコも遠くから見ながら、手を叩いた。
ロス:「いいクルーだな。」
シスコ:「最高です。」
「……我々は仕事に戻るか。」
出て行くロス。食堂を一度振りかえって、シスコも部屋を後にした。

テロック・ノール。
廊下を歩くキラ。ドアチャイムを何度も強く叩く。
ドアが開き、中に入る。「一体どういうことなの。どうしてアラームを切らなかったのよ!」
オドーは言った。「…説明するのは難しい。」
「ロムは拘束室に入れられて、尋問されてるのよ。ロムはあなたを信用してたのに。私だって信用してたのよ!」
「わかってます。」
「わかってるですって? 何をしたかほんとにわかってるの? このアルファ宇宙域を、ドミニオンの手に引き渡したのよ!」
「つながりにいたんだ。」
「つまりは忘れてたってこと?」
「忘れたんじゃない。ただ…小さいことに思えました。」
「これで大勢が死ぬことになるのよ。それでもいいの?」
「…私には全く関係ないことです。」
「…よくもそんなこと言えるわね。」
「…少佐もつながりを体験すれば、ほかは些細なことだとわかるんですが。」
「5年もここで暮らして、私たちの友情も何もかも、みんな些細なことだっていうの。」
「以前は、大事だった。……わかってもらえたらどんなにいいか。だが無理だ。あなたは可変種じゃない。」
「私は…固形種だものね。」
うなずくオドー。キラは部屋を出ていった。
奥にいた女性可変種が出てきた。「顔が曇っているわ。ショックだったの?」
「……いいえ。そうでもありません。」
「そう。」


※24: ここも「司令官日誌」と訳されています

※25: Lieutenant Haj
訳出されておらず、「非常事態で、僕が通信担当した」と訳されています。conn (コン)=操舵を通信 (con) と誤訳

※26: アンジー・カービー Angie Kirby
宇宙艦隊士官。DS9第120話 "Children of Time" 「末裔の星」より

・感想
引き続き「対ドミニオン戦争」が描かれます。これまでの 4話は、どれを取っても同じ雰囲気ではないのが面白いですね。今回はだいぶ盛り上がってきましたが、それでもまだ山のふもとという感じで焦らせてくれます。まだまだ引っ張ってもいいくらいなのですが、そうもいかないのでしょう。
一応主役はオドーで、最後の「寝返り」は本当なのか、それとも…。他のキャラクターも立っていていいです。クワークでさえもレジスタンスに役立っていますし、捕まったロムはどうなるのか。次回への期待が否が応にも高まります。
前のエピソードや固有名詞についての言及が多いのも良いです。このエピソードを退屈と感じるか、深い会話劇と捉えるかで、DS9 を楽しめるか楽しめないかがわかる気がします。


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