学級日誌



 30人31脚(12月4日)

 「みんな全然協力してくれない!」

 K子たちが,私のところに級友に対する不満をぶつけてきました。30人31脚の練習のことです。


 3日程前に,K子たち数名の女子が相談に来ました。

 某テレビ番組(番組名不明)の「30人31脚」に出場したいので,それを許可してほしいということと参加メンバーの取りまとめをしてほしいとのことでした。

 しかし,この種の活動は子どもたちの自由意志で行われるべき性質のもので,担任が強権を発動して参加を強制したりするようなことはできません。

 「出場することはかまわないと思うし,先生は協力するけれど,先生がみんなに呼びかけてクラス全体の活動として行うことはできないよ。」と答え,メンバー集め,出場申し込み,練習など,すべてK子たちが中心になって行い,どうしても困ったときは私が手助けするということで話はまとまりました。


 翌朝,K子たちがクラスの参加希望者を募ったところ,37名中33名の希望者がいたので,早速今日から練習を開始することになりました。

 ところが,いざ練習を始めてみると,「各々が好き勝手なことをやり,練習に参加してくれない」とのことです。

 これはよくありがちな光景です。特にこの件は,私は表向きは一切タッチしていないように振る舞っていますからなおさらです。

 それでK子たちが,私に何とかしてくれと泣きついてきたわけです。私が前面に出ないことは承知しているものの,もう少し積極的に動いて欲しいと思っているのです。

 ですが,練習に参加することを私が無理強いすることはできません。かといってこのままではせっかく張りきっているK子たちが気の毒です。

 というか,K子たちが参加したいと考えた気持ちの根底には,このクラスに対する深い愛着や親近感があります。それを失望に変えてしまうのは忍びないです。

 とりあえず,明日からは私もできるだけ練習に参加することにします。そうすることで,今はバラバラに行動している子どもたちが,一人二人と自然に集まってくる雰囲気を作り出せたらと思います。


 それにしても,K子たちはあまりにも性急すぎます。

 まだ出場が決まったわけではありません。それどころか,まだ出場申し込みすらしていない状況なのです。



 たとえ出場が決まっても,本番が行われるのは半年後とのことです。


 

 追記(1998.9.8)

 何と,昨年12月にK子が申し込んだ,炎のチャレンジャー「30人31脚」の出場案内が今ごろ届いているのです。

 クラス替えにより当時のクラスは解体,担任だった私は別の学年を受け持つことになってしまい,しかも運動会前ということで何かと忙しい時期なので,当初,管理職の先生方は「出場取り消し」ということで”処理”する意向でした。

 しかし子どもたちや保護者の方は,せっかくの機会だからぜひとも出場したいとの気持ちが強く,学校側に要望した結果,無事出場する運びとなりました。本日エントリーしたそうです。

 練習等,具体的な準備はすべて保護者有志の方が責任を持って行う(つまり学校側は直接タッチしない(苦笑))ということで話がついた模様です。学校としての対応はK子の担任を窓口にするとのことです。

 私が安易にOKしたことが原因で,管理職,現担任,保護者の方と多方面にご迷惑をおかけすることになってしまい,ここ数日ずいぶん肩身が狭い思いをしているわけですが,現担任を差し置いて今更旧担任が出しゃばることもできず,陰ながら応援するしだいです。

 「がんばれよ!」











 あうん(12月19日)

 あと2日(授業日数)で2学期も終わってしまいます。

 明日はお別れ会を行います。

 今学期を最後に転校していく子が2名います。一人は隣の小学校へ,もう一人は県外の小学校へ転出します。

 2人とも,転校することが決まったのは一昨日のことでした。

 それで,昨日の朝クラスの子どもたちに知らせ,様子を見ていたのですが,突然のできごとにも関わらず,早速クラスの有志が動きだし,お別れ会を行うことになりました。

 企画運営すべて子どもたちの手で行われます。

 今年のクラスはこういう面がラク,というか,ありがたい,というか,感心します。

 担任が級長などの公的リーダーを裏で操りながら”学級行事”として取り組まなくても,自然派生的なメンバーで動いていけるパワーがあります。担任の気持ちを察して自然に子どもたちが動き出す”あうんの呼吸”があります。

 私の役割は,子どもたちだけでは対処できない事の相談に乗るぐらいのもので,あとは子どもたちの行動に行き過ぎはないかを見守るのみです。





 お別れ会(12月20日)

 クラスの有志が企画運営した「お別れ会」はなかなか感動的でした。

 転校する二人も含めて,みんな楽しくゲームをやっていたのですが,会の終わりに「翼をください」を歌い始めたところで,一人の女の子が泣き出したら,次から次へと連鎖反応を起こしてしまいました。

 特に県外に転出するA子は,転校が決まってからも,教室では普段どおり元気に振る舞っていたし,家でも親の前では普段どおりに振る舞っていたそうなのですが,会が終わったときは,涙で顔がぐちゃぐちゃでした。

 私も恥ずかしながらちょっとだけうるうるしてしまいました。この子とはおそらくもう一生会えないのだろうと思うと,すごく寂しいです。

 男子はケロッとしていました。


 楽天的で気持ちの切り替えのはやい子どもたちのこと。1ヶ月もすれば,新しい土地にも慣れ,きっと元気にやっていけるのでしょう。




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