コンピュータ室運営日誌


1997年

12月のできごと


最近のトラブル(12月1日)
次のアイディア(12月2日)
久々の大ヒット(12月3日)
コンピュータ年間指導計画(12月9日)
能力別学習(12月18日)
ホームページづくりを振り返って(12月19日)
gifアニメ(12月20日)
2学期を振り返って(12月22日)

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 最近のトラブル(12月1日)

 授業後,同僚の先生方と話していたのですが,相変わらず,というか,以前にも増してトラブルが頻発しているようです。

 最近は,授業中に発生するトラブルの話はあまり聞かなくなったので,「どうやら先生方も慣れてきたので調子良くやっているのだろう」などと思っていましたが,ごくごく初歩的なトラブルはなくなったものの,慣れたら慣れたでまた新たなトラブルが起こっているようで,じっくり話をしてみると次から次へと山のように出てきます。

 先生方が一番困っているトラブルはファイルの消失です。特に「ハイパーキューブ」(子ども向け多機能ソフト)を使っている際によく起こります。

 ファイルの消失には次の2つのケースがあります。

 一つは,保存しておいたファイルを呼び出してみたら”白紙”になっていたというケースです。これは,何も入力されていない白紙の文書を,編集済みのファイルと同じ名前で保存してしまったことが原因です。

 もう一つは,ファイルを呼び出そうとしたが見つからなかったというケースです。これは,保存先のドライブを間違えてしまいファイルが”迷子”になってしまったこと,あるいは,保存したつもりが実は保存されていなかったことが原因です。

 このような保存操作のミスが頻発するのは,「ハイパーキューブ」の”仕様”に問題があるように思います。

 WINDOWSアプリケーションの場合,複数のウィンドウを開いて作業をした後,プログラムを終了させようとすると,作業中のファイルを保存するかどうかを確認するメッセージが表示されますが,

 その際,例えば「一太郎」なら,

文書1の編集画面を表示→「文書1を保存しますか」
文書2の編集画面を表示→「文書2を保存しますか」
文書3の編集画面を表示→「文書3を保存しますか」

 というように,編集画面と確認メッセージが同時に次々に切り替わり,常に保存対象となる編集画面が表示される(一番手前に来る)のですが,

 ハイパーキューブでは,

ワード1の編集画面を表示→「ワード1を保存しますか」
ワード1の編集画面を表示→「ワード2を保存しますか」
ワード1の編集画面を表示→「ワード3を保存しますか」

 というように,表示される編集画面はそのままで,確認メッセージだけが替わっているのです。

 それで子どもたちは,どれを保存すればよいか判断がつかず,保存する必要のないファイルを保存してしまったり,保存しなければならないファイルを保存しなかったりしてしまうわけです。

 これは”仕様”というよりは,設計上のミスではないかと思います。(ちょっと言い過ぎかなあ)



 それから,エクスプローラを使っている先生方の間では,ファイル操作のミスによるトラブルもかなり起こっているようです。

 子どもたちが作ったファイルを別のフォルダに移動したり,コピーしようとしているうちに,ファイルが無くなってしまったり,予期せぬ場所に新規フォルダができてしまったりしているそうです。

 この件は,クライアントのエクスプローラで,ネットワーク上のファイルを簡単に操作できてしまうところに問題があるので,セキュリティ設定の改善により何とかしたいと思うのですが,今のところお手上げ状態です。

 読者の方からいただいたアドバイスによると,どうやらユーザーごとのアクセス権とフォルダのアクセス権をうまく組み合わせれば,操作ミスによるファイル消失を防げそうなのですが,その設定をすることによって,私の学校のシステム(導入業者さんが作った教育用システム)がうまく機能するかどうかも確かめなければならないので時間がかかりそうです。それにもし失敗すると大変なことになりそうです。

 冬休みまでこの件は保留です。


 ネットワークの管理は私には難しすぎます。ふぅ。




 次のアイディア(12月2日)
     −2学期のパソコンクラブ−

 明日はパソコンクラブがあります。

 ホームページづくりを始めてもう3ヶ月近くになるので,そろそろ新しい活動に取り組もうと思い,何か良いアイディアはないかと考えています。

 当初はプログラムのようなものを作らせて,コンピュータの楽しさを味わわせることができたらと考えていたのですが,小学生向きの(しかもフリーの)プログラミングツールは見当たらないので,とりあえず断念しました。

 それで,次に考えたのが「Gifアニメ」です。

 子どもたちは,アニメのように動きのある表現にとても興味を示します。見るだけでなく,自分自身の手で作ってみることにもきっと興味を示すと思います。


 Gifアニメの作り方の基本は,コマを作成し,それを順番に並べ,一コマごとの表示時間を決めるだけなので,それほど難しくはありません。というか,滑らかな動きを表現するのはとても難しいのですが,できばえを無視してとりあえず作ってみるだけならそれほど難しくはありません。

 それに,Gifアニメは,動きを表現するだけでなく,色や大きさを変化させたり,静止画を連続表示したりとアイディア次第で色々な表現ができます。

 そこで,子どもでも扱えそうなソフトはないかと探してみたら,簡単に見つかりました。「Giam」(古溝 剛さん)です。フリーなのに私が持っている市販(またはシェア)のソフトより使い勝手が良いところがうれしいです。


 ところで,クラブで最も気を遣うのは時間配分です。活動時間は週1時間しかありませんから。

 学級に割り当てている時間も週1時間しかありませんが,こちらは,他の先生に相談するなどして時間の確保さえできれば,週10時間やることだって可能ですが,クラブはとにかく週1時間しかないので,「私の説明は短く,子どもたちの活動は長く」を常に心がけています。

 それが裏目に出て,子どもたちがあまり理解できないまま取り組み,かえって時間がかかってしまうこともありますが。

 今度のGifアニメの説明も最大10分以内で何とかできないかと思っているのですが,どうなることやら。




 久々の大ヒット(12月3日)
       −2学期のパソコンクラブ−

 パソコンクラブでGifアニメ作りを始めました。

 このアイディアは昨晩突然思いついたことなので,もちろん何も準備はしていません。空き時間に大慌てでやりました。

 Gifアニメ作成ソフト「Giam」を21台のクライアントにインストールし,サンプルのファイルを共有フォルダに入れ,それから,「Giam」が常に解像度640×480で起動するよう教育用メニューシステムを設定しました。また,作成したデータはサーバー内の個別フォルダで管理できるようにしました。

 これで準備はOKです。



 さて,クラブの時間が始まりました。

 まず,サンプルのファイルをいくつか見せ,それがどのようなコマ割りになっているかを紹介しながらGifアニメのしくみを説明しました。そして次に,簡単なアニメを実際に作ってみせながら「Giam」の操作方法を説明しました。

 短い時間で効率よく説明できるよう,昨晩,あらかじめ説明する手順を考え,練習しておいたのですが,これだけを大急ぎでやって約10分かかりました。


 子どもたちには,新しい活動というよりは,現在取り組んでいるホームページづくりにおける表現手段の一つとして紹介し,「興味がある人は挑戦してみましょう」という言い方をしたのですが,子どもたちは予想以上に興味を示し,サンプルを参考にしながら夢中になって作り始めました。

 このところマンネリ気味で,子どもたちは黙々とホームページづくりに取り組んではいるものの,最近はそれほど楽しそうには見えなかったのですが,今日は久々に子どもたちが張り切り,活気のあるクラブとなりました。




 コンピュータ年間指導計画(12月9日)

 午後からコンピュータ研究委員会(注)がありました。(注:地区の各小学校のコンピュータ担当者が集まる会)

 本日の会議の主な内容は「コンピュータ年間指導計画の作成」についてです。

 本年度の研究のまとめとして,各学校で実施した授業記録をたたき台にして,コンピュータの授業の年間カリキュラムを作成し,各学校に配布することになりました。

 ただし学習指導用ソフトなど,内容がはっきりしているもの(例えば算数のドリルなど)は除き,汎用的なソフトを活用した授業例のみを扱うことになりました。


 各学校から出された授業記録を見てみると,1年生と2年生は「キッドピクス(お絵かきソフト)」を活用した授業例が多く,3年生以上は「ハイパーキューブ(ワープロ,表計算,描画などの機能を持つ多機能ソフト)」を活用した授業例が多いようです。

 それから社会科学習で,ホームページ(あらかじめダウンロードしたもの)を資料として活用した例も多く見られました。他に「ミュージ郎」で作曲した例,プラネタリウムソフトや図鑑・辞典等を活用した例などもありました。

 私たちの学校もだいたい同じような状況です。


 以前から考えていることなのですが,ソフトウェアの基本操作,特にワープロ操作については,どの学年でどの程度まで修得させるかをきちんと決め,系統的な指導を進めていくべきだと思います。

 今年実感したのですが,ワープロの習熟度がクラスによってまちまちだと,クラス替えをした後の新学級での授業がとてもやりづらいです。

 これは学校全体で取り組まなくてはなりません。来年度の課題としたいです。


 ですが,こういうことを決めると,コンピュータが苦手な先生方からの反発が大きいかも知れません。

 ちょっと怖いです。




 能力別算数学習(12月18日)

 久しぶりにコンピュータの授業を行いました。

 先月末の公開授業の準備のため,学年の割当て時間を独占的に使わせていただいたので,先週と先々週は他のクラスに譲っていましたが,今日から再開です。


 今日は学習指導用ソフト「SuperCAI」で算数の学習を行いました。

 現在私のクラスでは,「単位量あたり」「速さ」の学習をしているのですが,子どもたちは大変苦労しています。

 たとえば,

 「太郎君の家では,50平方メートルの畑で75kgのジャガイモがとれました。花子さんの家では,80平方メートルの畑で108kgのジャガイモがとれました。広さのわりによくとれたのはどちらの畑でしょう。」

 とか,

 「飛行機の速さは時速2300kmです。その飛行機が飛んでいる高さ1900mの上空では,音は1秒間に約300m進みます。飛行機と音ではどちらが速いでしょう。」

 などという問題です。

 こういうややこしい問題を解く際には,図やアニメを用いながら丁寧に解説してくれて,しかも子どものレベルに応じた学習展開をしてくれる「SuperCAI」は,結構役に立ちます。

 コンピュータは一人一台が理想ですが,私たちの学校では二人に一台です。ところがこれまでの様子を見ていると,二人一組で操作させると,コンピュータの操作は”できる子”のペースで進められ,”できないほうの子”は”見てるだけ”になりがちでした。

 そこで今回は,同程度の能力の子ども同士でペアをつくって,やらせてみることにしました。

 同じ能力とはいっても点数によって振り分けるのではなく自己申告としました。それでも自然にだいたい同じぐらいの能力の子ども同士がペアをつくりました。

 子どもたちはじっくり落ち着いて取り組めましたし,私はつまづいている子を見つけることができました。

 

 授業の後半は,パソコンクラブでやり始めたgifアニメを紹介しました。時間がなかったので実際に作らせることはできませんでしたが,子どもたちには大好評でした。

 今週はもう一時間コンピュータ室が使えそうなので,実際に作らせてみようと思います。




 ホームページづくりを振り返って(12月19日)
      −2学期のパソコンクラブ−

 2学期最後のパソコンクラブがありました。

 今学期は「ホームページづくり」に挑戦しました。

 6年生など,一部の要領よくできる子どもたちは,絵やgifアニメを組み込みながら,2ページ3ページ目を完成させることができました。一方4年生らは,なかなか思うようにはかどらず停滞してしまいました。

 4年から6年まで,それぞれの能力や好みに合わせて自由な表現ができる活動として始めたホームページづくりですが,3ヶ月を振り返ってみると,4年生らにとっては,ファイル操作などの面で少し難易度が高すぎたようで,6年生と4年生では大きな差ができてしまいました。

 3学期は,どのように活動を進めていけばよいでしょうか。
 
  • 一応の区切りがつくまでホームページづくりを続けさせる。
  • たとえ中途半端でもホームページづくりは終わりにして,全く新しい活動に取り組ませる。
  • 上記のいずれかを子どもたちに選択させる。

 迷っています。





gifアニメ(12月20日)

 2学期最後の授業日にコンピュータ室を使うことができたので,gifアニメに挑戦させました。使用したソフトはパソコンクラブでも使った「Giam Ver1.02」というフリーソフトです。

 休み時間を使っても一人25分ぐらいしか時間がとれないので,前もってコマ割りを考えさせておきました。

 初めての経験なのでどうなるか心配でしたが,作業はおおむね順調に進みました。

 作成するコツとして,まず初めにベースとなる”動かない部分”を描き,それを保存してから次のコマに取りかからせたのが良かったみたいです。

 それにしても子供たちの作った作品を見ていると本当に楽しいです。お見せできないのが実に残念です。

 もちろん,動きの滑らかさとか,絵の巧拙とかそういう面では,まだまだ未熟ですし,駄作もたくさんありますが,37人の自由な発想から生み出されたユニークなアイディアが楽しいです。

 今のところは単なるお遊びツールとして使っていますが,大化けしそうな可能性を感じさせます。

 例えば,理科で植物の成長する様子を表したり,デジカメの連写機能を使って体育の跳び箱のフォームをチェックしたり,あるいは,1コマあたりの表示時間を長くすれば,スライドショーや電子紙芝居としても使えます。

 3学期も楽しみたいです。




 2学期を振り返って(12月22日)

 2学期のコンピュータ室は大盛況でした。

 授業日数75日間で,のべ212クラス(時間)がコンピュータ室を利用しました。一クラスあたり10.6時間も利用したことになります。

 この75日間に各クラスに割り当てた時間は約270時間なので,稼動率は78パーセント(212/270)です。

 いわゆる”研究指定校”でもない,ごく普通の公立学校,しかもほとんどの先生方がWindows初心者である私たちの学校で,まさかこれほど使っていただけるとは夢にも思いませんでした。

 半年前ならコンピュータ室は閑古鳥状態だった(一日平均0.57クラス)ので,いつでも好きなだけ使うことができましたが,最近は割当て時間だけでなく,空いている時間(どの学年にも割り当てていない時間)までも,とりあいになるほどで,担任の立場としては少々やりづらいのですが,コンピュータ教育担当の立場としては大変嬉しい状況です。


さて,今年の冬休みは26日まで仕事をするつもりです。

コンピュータ室関係では通常のメンテナンスの他に,セキュリティ対策,特に誤操作によるファイル消失を未然に防ぐ対策を考えておきたいです。



1997年度コンピュータ室利用状況

・2学期は一日平均 2.8クラス(212クラス/75日)が利用しました。

・1学期は一日平均0.57クラス(40クラス/70日)でした。




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