コンピュータ室運営日誌


1998年

3月前半のできごと


やらせっぱなし(3月2日)
ホワイトボード(3月3日)
業者さんをサポート(3月5日)
「学習アニメ発表会」(3月7日)
ファイルの個別管理(3月8日)
ロシアンルーレット(3月9日)
サブフォルダであっさり解決(3月10日)
代打ち(3月14日)

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 やらせっぱなし(3月2日)

 クラスでは2月中旬ごろからずっと風邪が流行っています。毎月,月初めに行う出欠席の集計結果を見てみたら,2月はのべ84人が欠席していました。今日も欠席が3人,早退が1人です。

 だからというわけじゃないのですが,コンピュータの授業は中途半端な状態で3月を迎えてしまいました。

 2月は,gifアニメ作成ソフトを使っての「学習アニメ」づくりと,ワープロで書いた詩に,お絵描きソフトで作った挿し絵を組み込んでの作品づくり「詩の広場」をメインの活動として取り組ませました。

 今日現在,「学習アニメ」づくりは10日から始めたにもかかわらず,まだ4人が完成しておらず,24日から始めた「詩の広場」も4,5人がまだできておらず,どちらも発表会を開くことができずに放置したままになっています。

 こんな風に,子どもたちの活動を評価する(認める)ことなく,しかも中途半端な状態で放置してしまうのは,子どもたちの今後の活動意欲を削ぐ結果にもなりかねず,大変まずいやり方だったと思います。


 3学期終了まであと3週間,長期欠席者に対する学習指導も行わねばならず,大変厳しい状況ではありますが,締めくくりをきちんとやっておきたいです。


 ところで,「詩の広場」の作業の様子を見ていると,こちらが拍子抜けするほど順調に進んでいます。

 1年前は何もかもが初めてで,子どもたちはちょっとしたことに驚き,一喜一憂して,そのたびに私はあちこちから呼び止められ,本当に息つく暇もないぐらいだったのですが,今では子どもたちから声がかかることはほとんどありません。

 部屋全体の雰囲気も大変落ち着いていて,教室で紙と鉛筆を使ってやるときとあまり変わりがありません。


 子どもたちの成長が嬉しい反面,ちょっと寂しかったりもします。




 ホワイトボード(3月4日)

 コンピュータ室にホワイトボードが入りました。

 これは3年生の先生方の強い要望によるものです。もともとコンピュータ室の前面には備え付けのホワイトボードがあるのですが,スクリーンを降ろすと隠れてしまい,使えなくなってしまうので,移動式のホワイトボードを購入していただきました。

 今まではスクリーンとホワイトボードを併用したい場合は,いちいちスクリーンを上げ下げしなければなりませんでしたが,これからはスクリーンに画像を表示しながら,ホワイトボードに板書することができるので,考えてみればとても便利になりました。


 実はこの件ではちょっと反省しています。以前3年生の先生方から「スクリーンとホワイトボードを同時に利用したいのだが...」と相談があったときに,私はあっさり「無理です」と答えてしまったのでした。

 ところが3年生の先生方は「それでは困る」ということで,管理職の先生に直接掛け合って,ホワイトボード購入の許可の取り付けたという経緯があるのです。

 3年生の先生方からの相談は,「できるか,できないか」の技術的なレベルの相談ではなく,「何とかできるようにして欲しい」という要望だったのですね。

 あっさり「無理です」と言う前に,責任者である私から管理職の先生にお願いするような配慮ができなかったのが残念です。



 ところで,コンピュータ室にはホワイトボードだけでなく,何と”黒板”も備え付けられているのです。それも児童用コンピュータのデスクからわずか10センチほど離れた位置にです。


 ええ,もちろん誰も使っていません。教員の方ならよく分かると思うのですが,教室でチョークを使って授業をすると,黒板付近の床や棚の上はたちまちチョークの粉で真っ白になってしまうのです。

 こんなものを設置しようと考える設計者のセンスがどうにも理解できません。設計の段階で誰も気付かなかったのかなあ。


 ああそう言えば一回だけありました。コンピュータ室ができたばかりのころ,自分のクラスからチョークを持ってきて授業をしていた先生がいたのでした。

 コンピュータ室の”黒板”が使われたのは,後にも先にもその一回限りです。




 業者さんをサポート(3月5日)

 夕方,某学習指導ソフトを納入しているS社の方が来校しました。

 この業者さんは,私達の学校とは,たった1つのアプリケーションを納入しているだけの関係であるにもかかわらず,これまでに数回来校していただいている良心的な業者さんです。以前このアプリケーションにバグを発見したときも,電光石火の素早さで対処していただきました。

 何しろ,日頃のメンテナンスを行っていただいている地元の業者さんは,様子を聞きに来るどころか,私達の方から相談(あるいは苦情)を持ちかけても,一度目は軽く聞き流されてしまいます。数回催促するとようやく重い腰を上げて対応していただける(各校のコンピュータ担当者の間では)極めて評判の悪い業者さんなのです。


 さて,今日はいつもとはちょっと雰囲気が違っていて,アフターサポートというよりは,セールスのネタを探しに来たという感じでした。もちろん使用感とかトラブルの有無など,いつもどおりの話もしましたが,「M小学校(私達の学校)での活用例を,他の学校に売り込むための材料にしたい」とか「市の導入計画を教えて欲しい」とか,そんな話題が中心でした。


 ほとんどの業者さんが「売りっぱなしで後は知らん顔」なのに,何度も足を運んでいただいているこの業者さんにはできるだけ協力したいという気持ちにもなります。私が知っている範囲の情報はお話しましたが,残念ながらあまり力にはなれなかったような気がします。


 考えてみれば,学校現場という狭い社会の中で新規に顧客を開拓しなければならない業者さんも大変ですね。




 「学習アニメ発表会」(3月7日)

 2月10日からやり始めたにもかかわらず,やらせっぱなしで中途半端なまま放置していた「学習アニメ(gifアニメ)」の発表会を行いました。

 今回は「5年生で学習した内容」というかなり大雑把でしかもカタいテーマで取り組ませたので,子どもたちはかなり頭を悩ましたようです。

 しかし出来上がった作品を見てみると,子どもたちなりの苦労や工夫のあとがうかがわれる力作ぞろいでした。


 作業は「Giam」というgifアニメ作成ソフトを使って行わせました。このソフトは一コマあたりの表示時間を自由に設定できるので,表示時間を長くすることによりスライドショーとしても使えます。そこで作品の形式は,普通のアニメーションでも,スライドショーでも良いことにしました。今回子どもたちが作った作品は,それぞれが半分ずつぐらいでした。


 さて,出来栄えですが,「5年生で学習した内容」という今回のテーマからすると,スライドショー形式のほうが表現しやすかったようです。特に,算数「正八角形の書き方」とか家庭「クレープの作り方」などのように手順を示すようなときに有効でした。

 一方,アニメーションの方は言わば”瞬間芸”ですから,直感的な面白さはありますが,内容的には今ひとつという感じでした。おまけに私のクラスの子どもたちは”ウケ狙い系”が多いので,みんなそちら方面に走ってしまいました。(苦笑)

 アニメでも中には理科「メダカの誕生」とか「ヘチマの成長」など,”学習”らしきものもあったのですが,普通のお絵描きソフトでは正確な描写はできませんからちょっと無理がありました。

 まあいずれにしても子どもたちはずいぶん楽しんでいたのでそれはそれで良かったです。


 今回は,gifアニメが授業でどのように使えるかを探るため,実験的な試みとして自由に作らせてみました。

 上に挙げた通り,理科のように正確な描写が要求される教科(あるいは場面)では使えませんが,そういう点を見極めれば,子どもたちの表現ツールの一つとして有効に活用していくことができそうです。





 ファイルの個別管理(3月8日)

 教職員と児童,合わせて700名近いユーザーが利用している私達の学校では,ファイルの個別管理の問題はコンピュータ室運営上の重要なテーマです。


 私達の学校では,子どもたちが作ったファイルは学年学級別に分けられたサーバー内のフォルダで個別に管理できるのですが,その個別フォルダは一学級当たり20個しかありません。そのため,一つのフォルダを複数の子どもが共有しなければなりません。

 おそらく児童用コンピュータが20台しかないことから,保存用フォルダも20個あれば足りるであろうとの考えで設計されたのだと思います。しかし,一つのフォルダの中に複数の子どものファイルが存在してしまうことにより,進級してクラス替えが行われると,そのフォルダを継続して使用することが不可能になってしまいます。


 昨日,新年度からの運用に備えて,サーバー内に保存されているデータを3学期末にすべて削除する旨を先生方に伝えたのですが,年度が変わる度に1年がかりで子どもたちが残してきたデータを削除しなければならないのは実にもったいない話です。


 確かにコンピュータは20台しかないので,保存用フォルダも20個あれば作業の際には不都合は生じません。ですが,もし1クラスあたり40個(学級人数分)のフォルダ,つまり一人一人に個人専用のフォルダを割り当てることができれば,クラス替えをしてもそのフォルダを使い続けることが可能になります。


 そこで何とかならないものかと思案しているわけですが,いかんせん肝心の業者特製教育ネットワークシステムが20人分のユーザーにしか対応していないので,私一人の力ではどうにもならないようです。

 春休みにでも業者さんと相談して,なんとかならないものかと考えています。



 ところで,子どもたちが作ったファイルを3学期末にすべて削除することについて,ずいぶん困りはしないかと数名の先生方に話を伺ってみたところ,

 「もうすでに印刷してあるから別に問題ない」

 とのことでした。

 作業の最終形はプリントアウトであって,デジタルデータはあくまで途中経過に過ぎないということですね。


 個人専用フォルダを作り,入学してから卒業までに作成したファイルをすべて保存できるようにしておくことは,あまり意味のないことなのかなあ。




 ロシアンルーレット(3月9日)

 3学期のコンピュータ室の利用状況は,今日現在一日平均2.2クラス(97時間/44日)で,やはり2学期よりかなり落ち込んでいます。特に2月下旬ごろから利用回数が急激に減っており,先週と先々週は1日平均1.5クラス(17時間/11日)でした。

 年度末,そして卒業式前ということで,本年度のコンピュータの授業もそろそろ終わりのようです。

 私のクラスでも,今後は通常の授業の他に卒業式の練習を行わなければなりませんし,進度が遅れ気味の算数を挽回しなければなりません。できるとしても最大あと2時間ぐらいでしょう。


 今日は学級会の時間の後,少し時間が余ったので,コンピュータ室で「マインスイーパ」大会をやりました。

 「マインスイーパ」は以前にも遊ばせてみたことがあるので,子どもたちはルールは知っています。しかしその時は誰一人としてクリアすることができませんでした。そこで今日は,まず初めに私が実際にやって見せ,地雷を見つける”コツ”を教えてから挑戦させてみました。

 それでもしかし小学5年生の子どもたちにはこのゲームは少々難しすぎるようで,いくつかのグループは「初級コース」をクリアすることができたものの,大半のグループは,ほとんどロシアンルーレット状態でした。

 見よう見まねで覚えるのは得意ですが,論理的に考えながら根気よく解いていくのはまだまだ無理なようです。


 さて,子どもたちを「マインスイーパ」で遊ばせている間,私は,サーバー内に保存されている各クラスのファイルをちょっと調べてみました。

 そうしたら驚いたことに1年から6年までのすべての学級のフォルダに,子どもたちが作ったファイルが保存されていました。

 このことの意味は大きいです。

 つまり,すべてのクラスが数時間以上コンピュータ室を利用し,すべての担任の先生が,アプリケーションの操作を覚え,ファイルを保存する方法を理解していることを示しているわけですから。


 うーん,しかし,サーバー内のフォルダを調べて,先生方の意欲や力量を推し量るというのはずいぶん無粋な行為でした。





 サブフォルダであっさり解決(3月10日)

 子どもたちが作ったファイルの個別管理ができない問題(3/8の日誌)について,今日,ふと画期的な解決方法を思い付きました。

 私達の学校のシステムでは,例えば5年1組の授業で「1」というユーザー名(ユーザー名はすべて数字です)でログオンすると,作成したファイルはサーバー内の「5-1-1」というフォルダに自動的に保存されるようになっています。この保存用フォルダの数が,一クラスあたり20個(5-1-1〜5-1-20)しか割り当てられておらず,しかも追加することができないため,子どもたち一人一人に専用フォルダを割り当てることができないのが問題でした。


 しかしこれはサブフォルダを作ってやれば良いのです。

 「5-1-1」の下に個人専用のサブフォルダを作っておき,保存時(あるいは呼び出し時)に,そのサブフォルダを選択させるようにすれば,個別に管理できます。これならクラス替えをした際も,サブフォルダごと新しいクラスに移動してやれば良いので,子どもたちは一つのフォルダを継続して使えます。

 これまでと違ってちょっと手間がかかるのは,保存時にサブフォルダをクリックして選択しなけばならないことですが,サブフォルダ名を,”たかひろ””のりこ”など,子どもたちの名前にしておけば,覚えやすいし,忘れる心配もないだろうと思います。

 気づいてみれば,とても簡単なことでした。


 早速この方法を来年度の研修会で紹介しようと思います。そういえば先生方からはWindowsの基本操作の研修会を開いてほしいとの要望も出ています。

 ネットワークコンピュータからお目当てのフォルダを見つけ出し,サブフォルダを作り,コピーしたり移動したりするなど,個別管理のための一連の手順を練習していただくことは,同時にWindowsの基本操作の練習にもなるので,まさに一石二鳥です。


 ちょっと考える視点を変えただけであっさり解決方法が見つかり,しかも来年度の研修会のネタまでできてしまいました。

 ラッキーな一日でした。




 こんな簡単なことに今まで気付かなかったのは,ちょっと頭悪すぎかも。





 代打ち(3月14日)

 昼過ぎに起き,3時ごろから学校に出かけて通知表を書きました。

 今回は連休明けの月曜日が通知表の提出日なので救われています。

 休日にもかかわらずコンピュータ室ではR先生が作業をしていました。授業でワープロを使った作品作りをしていたが,学期末を迎え,これ以上作業時間が確保できないので,子供たちに代わって入力作業をしているとのことでした。

 誰がやっても出来栄えが同じということで,コンピュータを使った作業では,本来子どもたちがやるべきことを,先生が代わりにやってしまう場面をちょくちょく見かけます。

 以前文集作りをしていたあるクラスでも,子どもたちの入力作業が思うように進まず,担任が休日出勤して,”代打ち”している場面を見たことがあります。

 また,身近な事例ではありませんが,参観者を招いて研究発表会を行っている学校では先生が作ったものを子どもがやったことにして公開しているとの話を聞いたこともあります。

 まあ,このケースは論外ですが,操作方法が分からず困っているときに代わりにやってあげる程度のことはよくありますし,今回のR先生のように,「せっかく途中まで作ったのだから」と子どもたちに対する思いやりとして行うこともあります。


 コンピュータで作業をやらせる場合,作業時間の個人差はかなり大きいです。十分時間をとって最後までやらせるのが理想ではあるけれど,それがいつでも可能なわけではないし,他の作業のように宿題として家でやらせることもできません。

 中途半端なまま終わらせるのが良いか,それとも教員が代わりにやってでも最後まで完成させた方が良いのか,ケースバイケースかも知れませんが,判断が難しい問題です。


 私は中途半端でも終わらせてしまいます。

 ただし理由は,「子どものため」というより,代わりにやるのは「自分が面倒」だから。

 ずいぶんレベルの低い話題でした。




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