記憶を失ってしまった千尋は、1週間後の6月19日に結婚することだけ思い出した。 しかし、相手が誰なのか思い出すことができない。 自分を見つけるために、調べ歩くのだが、別人のような自分がいたり、突然継母が現れたり、 記憶喪失は2度目のことだったり、驚く事実がわかる。 結局自分のことを思い出すきっかけになったのは、記憶喪失の自分を拾ったくれた一行で、 彼のおかげで思い出すことができたようなものだ。 記憶を探る過程はそれなりに楽しめた。千尋のキャラが今ひとつかわいくないのが残念。
恐かった。連続女性殺人事件の犯人は誰か?事件を追う小田垣の過去と本性は? 誰かに追われて逃げ続ける夏季は、誰から逃げているのか? 何のために逃げているのか?小田垣に近づくホステス摩衣子は何者? 小田垣が怪しいとにらんだ監察医渋沢は、誰を探しているのか? さまざまなことが複雑に絡み合って、最後までわからない。 異常性癖の殺人者が恐い。
これも「無人島」というテーマで競作された作品のひとつ。 無人島に逃亡したのは、爆弾テロの実行犯たち。宗教団体の信者と幹部だ。 どうも「オウム真理教」を連想してしまう。 次の逃亡までのつなぎだったはずが、一人の幹部が消えてしまい、島にはわずかな食糧と5人だけが残った。 一人、また一人と殺されていく。犯人はかつての同志の中にいるのだ。 最後に残ったのは、女性二人とも。どちらかが犯人。しかし、最後にはどんでん返しがある。 たった一名の生存者とは誰か?びっくり!です。
「無人島」というテーマで競作された4つの作品のうちのひとつ。 無人島で発見された死体3体の謎。二人の検事が現場にやって来るが、一人は死体と関連があった。 その謎解きが、少年向け推理小説のようでわくわくする。後から思えば、二人の探りあいも面白かった。
なんだかよくわからなかった。純文学って性に合わないのかなあ。
かなり毒が強いと思った。 望んで専業主婦になったはずなのに、家にいることに耐えられなくて仕事を始める真弓。 真弓は確かに仕事をしているほうが生き生きしているかもしれないが、保険外交を甘く見すぎている。 典型的な嫌なタイプの教師、茄子田。 保険外交員や住宅会社の営業社員を見下すような態度をとって、おまけにケチだ。 きれいな奥さんがいるのに風俗には行く。だけど最後には、なんだかかわいそうにも思えてしまった。 家事をキッチリこなし、美人で家庭的だと思われている綾子は茄子田の妻。 しかし、出入している住宅会社の営業社員と不倫し、挙句の果てに結婚を迫る。 子供二人のうち上の子は夫の子ではないという過去を持つ。 真弓との結婚は罠だったと思っている秀明。 妊娠したから責任をとっただけだと思う。 料理もろくに作れない妻とは正反対の綾子に惹かれてしまう。 お客さんの奥さんだ。結婚をほのめかされて逃げ腰になる。真弓と離婚する気もない。 仕事だって真弓の父親に勧められたから転職した。 真弓が養うと言ったから専業主夫になる。 なんと「意志」というのがないものか! それぞれのキャラが極端のようで、実は身の回りにいそう・・・。 そんな恐さがあった。
牧瀬里穂で映画化されるそうです。 以前読んだ「スキップ」は女の子が一気に夫と子供のいる中年に時をスキップするというもの。 この「ターン」は毎日同じ時間に戻るというもの。 この「くるりん」の世界で一本の電話が実世界に通じている奇跡。 通じるものが彼女を実世界に引き戻す。 魅力ある設定なのだが、あまり引き込まれることなく読み終わってしまったのが残念。
会社の本。軽く読めそうだったのですすめられるままに読んでみました。 今でこそもてはやされている「iモード」だが,これが生まれるまでの過程には いろいろ苦労があったわけで,それが苦労話というよりはエピソードとして興味 深く書かれています。 「ひらめき」って大事だけど,どうしたらその「ひらめき」が出てくるのか? 一種の才能なんだろうか? あきらめないことも大事。 自分自身にITについての知識がなくても,チームワークで作れることだってある わけで,新鮮な感じで読み終わりました。 軽く書いてはいるけれど,なかなかできないことだよなー。
いやー、おもしろかった。ぐいぐい引きつけられて、どんどん読み進みました。 映画では、富樫役は織田裕二、千晶役は松嶋菜々子か・・・と当てはめてしまいました。 (映画を見る予定はありません)ストーリーは、占拠されたダムで人質を救うため、富樫一人で立ち向かうというもの。 富樫は吉岡という親友を遭難で亡くしたことが重くのしかかっていた。 だから、吉岡の婚約者の千晶のことを気にかけた。占拠したグループ内での人間関係も複雑。 さまざまな思いを抱えて、この事件に関わっていた。それにしても富樫の強靭な精神力。 緊迫感の中で、とても迫力があるストーリーでした。 かなりおすすめの本。
高い評価の本なので期待して買ったのですが、私にはピンときませんでした。 36歳の女性と15歳の少年の愛。愛と言っても15歳当時の意味と、後々の意味が違います。 彼が結婚して離婚してそれからの彼女への愛が温かく切なく感じました。 しかし、あっけなく読んでしまったのはどうしたものか?
ベストセラーの文庫版。イラスト付きで子供にも読みやすいようになっています。 内容は、「なんだ、私の学校時代と同じじゃん」と思える箇所も多く、 子供時代ってそんな変わらないんだなーとつくづく感じました。 それも、彼の両親が素晴らしからだとは思いますが。 障害者であることを悲しまずにのびのびと育て上げたことに尊敬してしまいます。 ひねくれ者の私は反発を感じるところもありましけど、 読んで損はない本だと思います。
読みが滞っていました。つまらないわけではなかったのですが、ちょっと時間かけすぎでした。 話が不登校の女の子中心だったら、スイスイ読めたのに・・・。 映画は見ていませんが、どうしても水野美紀と黒木瞳をあてはめて読んでしまいました。 主人公の岬美由紀はカウンセラーとして友里を慕っていた。 不登校の女の子の担任の先生のひどいこと! しかし、女の子を催眠にかけていたのが、信用していた友里だったとは! しかも、友里には隠された別の恐ろしい顔まであったりして、なかなか最後はおもしろかったです。 読んでいてちょっと気になったのは、女の子の家が不和になったのは物理的なこと、それは高圧線のせいだということ。 我が家も高圧線のそばに建っているので、心配になってしまいました。 なんでも、いらいらしがちになるんだとか。
教師二人が殺された理由は確かにあった。 教師といえども人間、しかし生徒にとっては先生なのだ。 殺意は思いもよらぬところから発生する。 犯人と殺人の動機は、意外だった。トリックは高度。 推理小説として満足。そして、どこかあやしいと思っていた奥さんが、最後にしでかしたこと。 これもまたうなってしまう。
この作家の無印シリーズは読みやすくておもしろくて好きでした。 久しぶりに群ようこの作品を手にしてみると、私自身の感覚が昔とずれてしまったかな?って気がします。 共感持てる登場人物が一人もなし。タカコにでさえだ。なんでかな? 内容としては、4人の女性のあれこれが描かれています。 編集者で働くキャリア20年のアキコ。結婚はしてないが彼女が一番まとも。 一度も就職したことのないサユリ。世間知らずのお嬢様。 いい男を捕まえるためだけに生きてるルリ。 次男の夫の両親と同居せざるを得なくなったタカコ。 2世帯住宅というものの、1階と2階とをつなぐドアがあって姑は突然姿を現す。 いいじゃん、ドアがあるだけ。我が家は筒抜けだよ。 姑の言いなりの情けない夫。男なんてみんな同じ。 せめて外に出ようとタカコはスーパーでパートを始める。 外に出ると楽だよなー。
最後まで犯人が誰とははっきり書いていない本格的な推理小説。 袋綴じで推理の手引きまである。 私は読み終わってすぐ袋綴じを割いてしまいました。 どちらが犯人なのかわからなかったから。 それでもスイスイ読めて面白かった。
これは、子供向きの本でした。中学生、いや小学生が読んでもおもしろいのでは? 実乃(中学2年)が主人公。母親は亡くなっている。姉一人、花乃。 父親は花乃が補導されたことが原因で会社を辞めて便利屋になった。 実乃の同級生ハズムが「いなくなった犬を探してくれ」と依頼に来て・・・。 読んでいて、ちょっとなつかしいようなそんな気分になった。 親子・兄弟の関係、同級生の男の子との会話、ちょっと事件があってわくわくする、そんなお話でした。
この人の作品には、軽いようで結構重たいテーマが多い。 私は気に入っている。 「みんないってしまう」は「結婚してしまう」意味かと思ったが「死んでしまう」意味でした。 年とっても気楽に普通のこと楽しめると思う。 「ハムスター」の話のところで気になったフレーズ。 『ミキはきとスウちゃんに九十五点を求めるだろう。私とハハなら、四十五点の人生でよかったよかったと笑ってあげられる。 人様に褒められなければ充実しないような、そんな人生を否定してあげられる。』 そうだよなあ。
恐かった。かかると香水の匂いを感じ、光をまぶしがり、そのうち激しい嘔吐と痙攣を起こして死んでしまう。 これは、東京郊外のニュータウンでの発生だ。 この流行の前にも、遠い島で行われた臨床実験のせいで罪もない人々が次々に死んでいくいう事件もあった。。 名誉を求めて研究の結果生み出された新型脳炎ウイルス。 医療廃棄物の不法投棄。 大病院の不祥事もみ消し。 保健所の対策は常に後手。 数々の問題提起があった。 小説の中だけのことではない恐ろしさだった。
気がつけば5月。ご無沙汰してしまいました。 なぜか、読みが進まなくて・・・。 時代ものは苦手という意識が悪かったのか?TVや雑誌のほうが比重高かったのか? 宮部みゆきの作品なので、つまらないことはありませんでした。 岡引の茂七が数々の事件を解決するという捕物帖です。 ただ、作者自身があとがきに書いていたように稲荷寿司屋の親父の正体と日道坊やの行く末が気になって、 続編が待ち遠しい。
心の病気や非行など問題のある子供たちを預かる施設のドキュメンタリー。 親側の姿勢がとても気になった。親から引き離すことで良くなる子供もいるわけで、 親子の関係はとても難しいと感じた。 それにしても、施設の主宰者夫婦には頭が下がる。特に奥さん。
文庫化された発売日に購入しました。ベストセラーかつ映画も評判良しとあれば、期待してしまいます。 実際読んでみて、どれも感動します。まさに、キャッチコピーの「やさしい奇蹟」でした。 ドラマ「ビューティフルライフ」最終回よりも、 見終わってから読んだ「角筈にて」のほうがよっぽど泣けた。 私個人的には、この「角筈にて」と「うらぼんえ」が好きです。 こういう本を読むのはいいことだ。
なんだかカッコいい話だった。とは言え、勇敢そうな主人公は、実は過去に傷を持つ女だった。 大金を持って逃げた愛人を探しに、主人公ミロの家に乗り込んで来た男、成瀬もまた一癖ある。 怪しい人間ばかりが登場する。これが女流ハードボイルドか?
直木賞作品だけあって、面白かったです。登場人物が多彩。 条件のよい結婚を企てるリサ。料理もうまくテキパキと何事もこなす美人。 彼女が今度捕まえた相手は確かに医者だけど、ただの坊ちゃんではなくネパールで医者をやるという志を持ったヤツだ。 優雅な生活には程遠いにもかかわらず、髪の毛をショートにしてリサは旅立った。拍手! 英語が得意だからそれを仕事にしたと思っている沙織。しかし英語ができるだけではダメ。 英語ができてあたりまえの世界で何をするかが重要だと気づく。 いまだ独身の康子。一人の城のマンションを手に入れてから、余裕が出てきた。 そんな彼女は、都会から田舎に移って農家をする男と知り合い、ビジネスへと手を広げていく。 男は大切なパートナーではあるが、自分で起業しようという実行力がすごい。 と、皆それぞれ魅力的なのだが、唯一かわいげのある女が紀子。 家事能力ゼロで離婚。康子のマンションに転がり込むが、そこでも迷惑をかけてばかりだ。 みんなが心配しているというのに、ちゃっかりと次の男といっしょになると言うその神経にあきれる。 女の側からみれば、なんて女!という感じだが、こういう女も女なのだ。
江國さんの感性が気に入っている。 「透明感」「無機質」「風変わり」「三角関係」「生活感のなさ」・・・ いくつかキーワードを思いつく。三角関係なのにどろどろしたところがなく、 いつもさらってしているのが不思議。だからといって、お気楽なわけではない。 切なさも伝わってくる。不思議な世界だ。
また、映画の原作本。この人が書いた今まで読んだ作品の中では、これが一番おもしろいと思いました。 人の心を読み取ることのできるボランティアの女性。 多重人格の少女の中に宿る、阪神大震災の日に生まれた新しい人格ISOLA。 この二人が中心ですが、 幽体離脱の体験がある研究員の女性が鍵。 ISOLAがISORAではない理由。雨月物語の磯良でも無い理由。これも鍵です。
話題の映画。どこがあっと驚くのか、どこが感動するのか、知りたくて読みました。 霊が見えてしまう少年コールと彼のカウンセリングの精神科医マルコムの話。 マルコムは、コールを救おうと彼の心を開こうとします。 コールも「死んだ人が見える」という秘密を打ち明けます。 最後に、コールは母親に死んだおばあちゃんとの会話を話し、母親はコールのことがわかったような気がします。 マルコムは妻との会話を望み、「愛している」と伝えることができます。 妻にマルコムの気持ちが通じます。 読み終わったとき、何かしっくり来なかったのは、結末が今ひとつわからなかったからです。 訳だからでしょうか・・・。後日「日経エンタテイメント」を読んで、結末が理解できました。 マルコムは死者だったのです。映画を見てから読んだほうが、よかったかも。
やっと手に入れて読みました。意外に置いてあるお店がなかったんです。 で期待したとおりおもしろかった。続編も欲しいほど。 甥に「失踪した婚約者を探して欲しい」と依頼された休職中の刑事。 彼の婚約者関根彰子は自己破産しており、その事実が発覚して逃げたらしい。 彼女のことを調べていくうちに、別の人物が関根彰子になりすましていたことがわかる。 その人物の目的は何か?関根彰子はならざるを得なかった理由は何なのか? 二人の女性の過去が悲しかった。「ただ幸せになりたかっただけなのに」が心に染みた。
お正月から読んだ作品は少年犯罪の話。 少年の完全犯罪の計画は綿密だ。ぬかりのないように事を進めていく。 時には物理学の公式が出てきたり、化学的な話が出たり、インターネットで薬品を買ったり、その方法は具体的すぎるほど。 この少年は、義理の父親を計画どおりに殺した。 やがては追い詰められることになるのだが・・・。 私が感動したのは、少年の友人が彼をかばって偽証したところ。 少年が義父を殺さなければならなかった理由は、今ひとつわからない。 だから少年に同情とか感じなかったけど、二人の友人の気持ちには泣けた。
[Book] [Drama] [Essay] [Favorite] [Outdoor] [Wonder] [Link] [Guestbook] [Volunteer] [Kids] [Profile]