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とぜんそう98年6月分

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98/06/03

aMIさんから紹介のあった『パソコ ンを疑 う』(講談社現代新書)を読了。いや、なんとも面白い内容でした。

趣旨としては、市販のプログラムはプロのプログラマが作ったものである→プロのプログラマの仕事はプログラムを作ることであって、あなたの仕事のことは何も知らない→だから、そんな人の作ったプログラムは難しいのが当たり前で、ぜんぜん使い物にならない→自分で使うプログラムは自分で作れば、バグのない完璧なプログラムが作れる→作ったプログラムには完全なドキュメントを添付してネットワークで公開するようにすれば、世界中の人々が同じ物を読むというかつてない時代が訪れる、てなところか。

OSも、使いづらい上にハードウェア資源を浪費するばかりの画像+マウス型インタフェイスをやめて文字型言葉型インタフェイス、しかもプログラムのソースが公開されているunixベースのものを使い、不具合や改造はソースを自分で調べるようにすればいいそうだ。

たとえは悪いかもしれないが、「教師教師と威張るな教師、教師生徒のなれの果て」といわれている通り先生も元をただせば生徒だったわけだけど、だからといって生徒経験者たる教師が教える学校の授業がどの生徒にとっても難しくないとはとても言えないのではなかろうか。

98/06/07

おかげさまでトップページのカウンタが1万を超えた。石の上にも足掛け3年、好きな漫画の『寄席芸人伝』(古谷三敏、小学館)でトイレに「やっと真打 すっと真打」と書いてあったけど、1ヶ月もたたずに「すっと」1万以上のところにくらべれば「やっと」の口。こんな地味な網頁((C)YOKOさん)でも続けてればいつかは到達するとは思うものの、それでも来てくださった方がたに感謝感謝。


『本の雑誌6月号』の匿名座談会を目次で探してみたら、「下訳者匿名座談会/名前が出ると嬉しい!」。一瞬、なんで匿名座談会で名前が出るんだろうと思ったが、「下訳者」という言葉でようやく納得。中を読んでみると日本語以外の本をおおまかに訳して翻訳者が正式に訳す手助けをする人の座談会で、本に名前が出ることは少ないらしい。

もしかすると、「匿名」と「名前が出る」を並べたのはわざとだったりして。

98/06/08

SIIの腕時計型PDA・ラピュタの実物大見本(表示部分にカラー印刷物を貼り付けてある)が近所の電器店にあったので、手にとって見てみた。思ったほどスティックの操作性や画面の視認性は悪くない。ということは、つまり早い話が重くてでかい

このごろはやりのごつい腕時計が苦にもならない人ならどうということもないかもしれないが、こちとら自慢じゃないけど樹脂側の普通サイズでさえ腕がしびれることのある身の上、とてものことあんなものつけて歩いたらかいだりいてしょうがない。

おまけにこう見たところストップウォッチ機能がついていないようだ。これでは仕事にも使えない。

ちなみに、ラピュタはアプリケーションソフトで時計機能を実現しているらしいが、NTTパーソナルが開発していた腕時計型PHSには時計機能さえついていなかったそうだ。そういや私のPHSにも時計はついてないな。携帯電話では時間が表示されるけど。NTTパーソナルはNTTに吸収されることが決まったようで、腕時計型PHSが実用化されるかどうか気になる今日この頃ではある。

閑話休題、とりあえずラピュタの動くやつが展示されたらまた眺めて見ようとは思ってるけど、せめて厚さがあの三分の二ぐらいにならんとなあ。面白そうだけどなあ。

98/06/10

NHK総合テレビ「クローズアップ現代」でサッカーワールドカップフランス大会予選のとき日本側応援席で歌われていた「翼をください」を取り上げていた。

サントリーだったかがスポンサーのサッカーチームの存続を願って歌われていた替え歌だったこと、元は赤い鳥というグループのシングルのB面だったものがヒットして(ガロの「学生街の喫茶店」もそうね)コンサートでも大いに盛り上がったこと、なぜなじみやすいかの解析、いわゆるサビの部分が耳になじみやすいように作曲されてから他の部分ができたこと、中学・高校の音楽教科書に掲載されたこと、若者の葛藤を描いた同名の演劇が中高生を中心に共感を呼んでいること、もと赤い鳥のメンバーが新録音のものを発売したこと、などの内容が盛り込まれていた。

が。

なぜ川村かおりの「翼をください」を無視する。

98/06/14

先日、テレビのニュース番組の中でロシアの高官らしき人が「ヨーロッパには戦争で自国のものにした領土を返した歴史はない」と宣うていた。

ということは、香港は英国から中華人民共和国へ返還されたのではなくて譲渡されたわけね。


ようやく『理想の国語辞典』(国広哲弥著、大修館書店刊)を読み始めた。さっきまで読んでいたのは『トンデモ世紀末の大暴露』(と学会著、イーハトーヴ出版刊)。

なかなかに面白く、遅読の自分としては速いペースで読み進んでいる。中に「風景」と「光景」の違いを述べている部分があって、参考としてこんな引用が入っていた(P20)。

(略)遠景が含まれていない場合には風景という言葉は使えない。部屋の中には風景はない(池澤夏樹『母なる自然のおっぱい』新潮社)


部屋の中には風景はないかもしれないが、殺風景な部屋はあるぞ(笑)。

ついでにP35に誤記。引用元に『人民は弱し官は強し』とあるけど『人民は弱し官吏は強し』が正しい。


うーん、アルゼンチンに勝つチャンスは初戦で緊張しているところしかないとは戦前評だけど、アルゼンチン以上に日本のほうが緊張してたんではなかろうか。何しろシュートの大半がゴールに向かっていなかった>Wカップサッカー初陣

まあ初体験なんだからこんなもんでしょう。

サッカーといえばちょっと前の新聞に、相手を突き倒す、足をかけるなど、こんな乱暴で卑劣なスポーツは他にない、といった趣旨の投書が掲載されていた。日本で一番人気のあるスポーツでは、相手を騙したり、盗んだり刺したり殺したりするんですけどね。しかも春と夏には教育の一環としての国民規模の行事で。

98/06/15

すのものさんのページの「いろいろ」5月19日分で、ビッグマックが欧州各国での価格比較に使われているという新聞記事の話が出ていた。

国際的な商社では「ビッグマック・レート」と呼ばれる相場を使って実質的な貨幣価値を推し量っている、とラジオで聞いたのは、かれこれ5年ほど前。宗教的理由などで牛肉を食べない国を除けば、マクドナルドのビッグマックは世界各国で同じ材料・同じボリュームで売られているため、販売価格の比率が実質的な貨幣価値の比率になるという。

当時アメリカで1ドル99セントのビッグマックが日本では380円。つまり為替レートは1ドル=約110円だが、実際の物価に換算すると1ドル=約190円ということになる。それを聞いたしばらく後に出張でアメリカに行ってみると、確かに物価が安い。

で、その半年後に行ったオーストラリアでもビッグマックは確か1ドル99セントだったと思う。1アメリカドル=1.2オーストラリアドルぐらいだったから、オーストラリアの物価はアメリカより2割がた安かったことになる(記憶あいまい)。

たかがハンバーガーと馬鹿にできないもんだなと思いつつ、毎日1ドル99セントのチーズバーガー2個とポテトとコークのセットを昼食にしていたのであった。


おっと、盗んだり刺したり殺したりするスポーツの話はただの言葉遊びですので、ファンの方はお気になさらぬよう(塁、刺殺、封など)。どんなスポーツにだって駆け引きはあるということで。

98/06/22

本日分から実験的に一部の言葉の読みを{ }内に表記してみました。


いろんなところでマイクロソフト(以下「MS」)批判が囂{かまびす}しいが、Windows版しか存在しないオンラインソフトのメーリングリスト(以下「ML」)でまでそのソフトの礼賛{らいさん}と同時に、MSへの不具合指摘や改善案ではなくただのMS嫌悪の発言を開陳している人がいるのには驚いた。健康に悪いものを売る日本たばこは許せないなどと紫煙を燻{くゆ}らせながら言ってるようなもので、説得力はあまりなさそうな。

本気でMSがいやならMSの製品を日常的に使うのはやめたほうがいい。たとえ蛇蝎{だかつ}の如く嫌われようとも製品が売れる限りはMSは痛くも痒くもないし、他のハードやOSやアプリケーションが力をつけないことにはMSの天下はひっくり返りっこない。

反対に、WindowsのOSとしての地位が磐石であれば供給元のMSに対して世間が無意識的にせよ信頼を寄せるのは理の当然。アンチMSの人たち(の一部)すらWindows用ソフトを愛用しているという事実は、Windowsが実用的であると喧伝しているに等しい(「マックやunix系OSは恋愛対象、結婚相手はWindows」なんてね)。

あるいは、少し穿った見方をするなら、あの人たちは実はMSに雇われてアンチMSの評判を落とす意図でああいう投稿をしているのかもしれない、という解釈も成立しなくはない(うーん、結局陰謀史観かいな)。

いずれにしても特定個人なり特定団体なりを批判するなら場所柄ややり方を考えてほしいもの。へたをすればML荒らしになってしまうよ。

てなことを書いていたら、MSのビルゲイツ会長の個人資産が510億ドルというニュース。むーん、恨みを買うのも分かるような。今度はでも投げつけてみたら?


陰謀史観といえば、某氏の紹介により『小説CLUB 7月号』を探したが、中間小説誌の場所にも少女小説誌のコーナーにも見当たらない。既に売り切れか知らんと思いつつ、昔『サスペンスマガジン』なんてえ雑誌の並んでいたあたりを覗いてみると……(以下次号)。

で、お目当ては「ノストラダムス大暴言」(司悠司)というショートショート。1999年春の番組改変時、人気の特番がお蔵入りになってしまい、急遽思いついた企画がノストラダムスの予言肯定派と否定派のトーク合戦「ハルマゲドン近し! ノストラダムスの大予言、是か非かバトル・トーク あなたは二十一世紀まで生き残れるかスペシャル!?」。

肝腎の結末についての感想は言うまい(言ったも同然か)。興味の対象はもっぱらその方面の有名人をなぞった登場人物たちとトーク内容。

超常現象を笑いのめす本を書いている「キ学会」(キ印本研究学会)会長のSF作家・本山清、反・UFOで知られる科学者&タレントの大鋤善彦らの否定派、対する肯定派にはノストラダムスの第一人者・加藤弁など、どこかで聞いたような名前が並んでいる。

トーク内容も、ありきたりの終末シーンから過去の有名人のクローンを陰謀組織の秘密基地で作っている説、黒幕は凶悪な宇宙のお尋ね者説、ノストラダムスの予言は日本語で読める説など、そこそこ網羅しているが、欲を言えばもう少し突っ込んだこじつけが欲しかったところ。

しかし、トンデモ本もとうとうこんな小説が登場するほどに手垢がついちゃったか。そろそろ新しいのを探さにゃならん時期かもしれない。

ちなみに、挿絵は『奇想天外』(1970年代後半)の表紙でもおなじみの楢喜八(うう、「なら」の字体が違う)。


「サッカーには逆転ホームランがないからつまらない」とはJリーグ開幕当初のサッカー人気に対して野球ファンが言った言葉だが(ちなみに「バレーにホームランはない」は『健太やります!』(満田拓也、小学館)のせりふだったと思う)、こうも順当な結果とは>サッカーワールドカップフランス大会

それとも、自分が見ると応援してるほうが点を取られるという法則(失笑)を無視して、どうせ勝てるわきゃねーや、と2試合ともずっと見ていた私の責任か?(笑)

以前にも書いたとおり日本サッカーはまだ国際舞台には早いと思っているので、今回の出場が将来肥やしになるような経験をしてきてほしいものだ。

98/06/23

あ、ちなみに昨日紹介した「ノストラダムス大暴言」では、キ学会会長・本山清と科学者&タレントの大鋤善彦が同席した時点で、と学会の本をきちんと読んでいないことが分かる(わざとかもしれないけど)。

98/06/25

「午前の休憩が5分というのは短いよね」
「コーヒー買いたいし煙草も吸いたいし」
などと同僚が自販機の前で話していたので、
「煙草をやめれば余裕ができるよ」と言ってみたら、
「そんな、悪魔のような囁きを……」

えーい、芥川龍之介の小説では悪魔が栽培していたのは煙草だったのじゃ。

98/06/29

第二十一期国語審議会報告で、常用漢字以外の漢字の印刷字体には康熙字典{こうきじてん}体を標準として使うという試案を出したことについて、使用頻度の標本には主に書籍が使われ、新聞は対象外だったとして一部の新聞が不満をあらわにしていた。一般の人に最も近いところにいるものを無視するとは何事、字体にしても一般に浸透しつつあるものを元に戻してどうする、ということらしい。

なんだか、この前『月刊アスキー』に載っていたunicodeの話に似ている。漢字なんかあと数千年もすれば使われなくなる、既に動き始めているものを逆行させてどうする、とかいう趣旨。

「拉致」「熾烈」「贋作」「埠頭」などを「ら致」「し烈」「がん作」「ふ頭」などと書き、「假谷」「龍彦」などの戸籍名を「仮谷」「竜彦」として、字が違うと抗議が来ても理屈を付けて受け付けず、あまつさえ手書き文字と楷書を混同したような書体を作って批判を受けるほど漢字の取り扱いが杜撰{ずさん}な媒体が、漢字の印刷書体について何か参考になるのだろうか。


うーん、IME98がほかのソフトの異常動作に巻き込まれて壊れたらしい(現在Atok11)。入力効率が悪くて仕方ない(キー設定変更を潔しとしない性格が原因(失笑))。


牧冬吉さんが亡くなった。

「仮面の忍者赤影」の白影、「柔道一直線」の柔道部顧問、「変身忍者嵐」の名張のタツマキなど、渋い脇役でおなじみの人。懐かしいテレビ番組を紹介していた「テレビ探偵団」では、主役を張った人より画面への登場回数が多かったと記憶している。

楽しませていただきました。ご冥福をお祈りします。


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庵主:matsumu@mars.dti.ne.jp