白龍亭・八犬士の色

目次 >> 考察 >> 八犬伝の謎/八犬士の色(1999年 8月〜/2012年 2月 追記)

[ 八犬伝の謎 - 10 ]

● iMacを見つつ…
 亭主の従妹と義妹が iMacを持っているのだが、ま、それはどうでもいい。
 で、iMacの背中にあるアレを初めて見た時に「里見家じゃん」とか思った。
 史実の里見家の家紋は「二引両」だけど、南総里見八犬伝における里見家の紋は「一引両」、新田一族の家紋だ。iMacは新田一族……なわけない。
 そんな iMacを見つつ「初代のボンダイブルーを含めても6色だから八犬士が使うには2色足りないな〜」とか、なにげなく下らないことを空想していたのだが、仮に8色あるとして、いったいどの色がどの犬士なのか。


* 上記は、1999年当時の iMac のことである。初代の匡体色は BondiBlue。モデルチェンジで 5色(Blueberry、Grape、Tangerine、Lime、Strawberry)となった。後に更にカラーチェンジ(AquaBlue、Indigo、keyLime、Graphite、Snow、Sage、Ruby)したが、モニタが CRTから LCDになって多様なボディカラーは消えた。カラフルな時代の iMac の上背面には把手があったのだが、それが里見家の家紋そっくりだったのだ。時が流れ、当時の姿を知っている人以外には分からない文章になってしまった。
* 2021年、iMacが 7色のカラフル路線を復活。されど、一引両は無し。

 犬士それぞれに対する色のイメージ……。
 江戸時代の人々はいったいどう見ていたのか。
 南総里見八犬伝原作本文中にも、それぞれの犬士が着ている服の色などの記述はあるが、それを調べるとなるとえらく大変。そんなわけで、江戸時代の錦絵に描かれた犬士の色(といってもほとんど服の色)を軽く調べてみた。

● 八犬士の色分け
 それが下表である。八犬士全員が揃っているものを対象としたが、一部犬士だけのものもちょっと調べた。一番目立つ色と次に目立つ色の表だが、二番目に目立つ色は見る人によって違うかもしれない。これはあくまで亭主の感覚として次に目立つ色はこれ、というものを取り出した。
 参考資料は、集英社「図説日本の古典19 曲亭馬琴」と、館山市立博物館パンフレット「八犬伝物語」、及び 1998年末に千葉県南部郵便局限定で発売された「南総里見八犬伝絵葉書」。つまり、絵の現物を見たわけではない。印刷色を見て下表の色を拾ったので、多少の誤差はあろう。

八犬士の色

 予想していたよりバラバラの結果になってしまった。
 しかし、表最後の「新八犬伝」は時代が違うから別にして、荘助・大角・小文吾の三人は青系、毛野は赤系、とだけは言えそうだ。
 特に荘助はどれも地味な色合い。昔からこういうイメージなんだな。あと、豊国の描く小文吾はかならず青系+白のハッキリした模様の服。中には「犬田」という名前入りのもあり、明らかに力士を意識している。毛野がどれもこれも赤系なのは「女装=赤」なのか。亭主の子供の頃、赤は女の色といわれていて男子で赤なんぞ着ていると変な目で見られたもんだが(亭主のことじゃないよ)、それにしては道節あたりも赤を着ているし……。

 このテーマ、突っ込むと深そうだ……。
 色に関して亭主は無知すぎるということがよく分かった。それに、馬琴の書いた本文から色に関する記述を拾わないと、やはり馬琴の持っていたイメージは分からない。このページの続編を書くとしたら、それを調べてからだな。いつになるやら。
 さらに言えば、色だけでなく模様にも意味がありそうだし、亭主の手に余るテーマかも。


<< Prev - Next >>

目次 >> 考察 >> 八犬伝の謎/八犬士の色
<< 前頁に戻る