「ルポ中国欲望大国」富坂 聰

出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
小学館978-4-09-825012-72008年12月6日740円全1巻

推薦する本にとりあげると、ご覧になられた方から、一冊の本を読んだだけで論じるとはなにごとだ、不勉強だ、視野が狭い、一方的見方だ、その本は推薦に値しないなどの苦情というかご意見が来る
実を言いまして「推薦する本」と言いながら、実際のところそのうちの2・3割しか推薦しておらず、それどころか買ってはいけないと言ったのも半分くらいあり、その他まあいろいろである。
私はここに本を読んで頭に浮かんだことを書いているのであって、その本の書評とか推薦文を書いているわけではない。本はきっかけに過ぎない。脊髄反射という言葉があるが、私の駄文も読まずに推薦する本という表題と書名から、このオヤジはアホだと結論して抗議してくる人がいるので困る。 
もっとも2008年に某有名教授が論敵の本を読まずに批評したと自慢してネットで話題を呼んだのだから、私の文章を読まずに私の論を批判することもあるのも驚くことはない。
まあ、そういう推薦する本のいいかげんさを飲み込んだ上でお読みください。
わたしの論理的でない思考の流れに追いついていけない方は・・きっと真面目な方です(断言)

豊かな社会になると人は保守的になる。これは事実のようだ。なぜなら、身の安全、豊な暮らしが保証されるのであれば、わざわざ現状を破壊することはない。
言い換えると社会の治安が悪く生活が苦しければ反社会的というか反体制というか、社会的規範に逆らうというのではなく社会そのものを壊そう、革命を起こそうという気になるのはもっともなことだ。そのとき階級間の流動性がなく、かつ階級間の格差が大きく、立場がエスタブリッスメントでなければ新規まき直しを図るのは理の当然である。
もちろん体制打倒(革命とは限らない)が成功するためには、現体制が弱体化しているという条件が必要だ。
社会の治安が悪いどころか、治安維持機構がまともに機能していない場合なら、生き長らえることが最優先となり刹那的生き方というか今日を生きていくために長期的視野をもつどころではなくなるだろう。二度と会わない人との交渉なら永続的なことを考えることはなく、相手をだましても当面の利益を最大化するのが目的となることは間違いない。

1950年代、1960年代はまだまだ日本は貧しく、日本共産党や社会党が幅を利かせていた。一般庶民は失うものが少なかったからそういった革新政党を支持していたのだろう。そして学生やサラリーマンを含めて社会主義に好意を寄せていた。
しかし高度成長を成し遂げ、国民みなが豊かになり、三種の神器、新三種の神器を誰でも持てるようになり、更に海外旅行にいつでもだれでもいけるようになると、社会主義、共産主義を支持する人は減った。豊になればなにも今の生活を壊すことはない。そう思うのは当然である。
今、自民党と民主党がどうたらこうたら議論していても、つまるところ体制内での争いである。民主がアメリカより中国寄り(最終目的は中国支配下に入ることらしい)の政策をとっても、かっての社会党のように社会主義を目指すことは不可能である。今より貧しくなったり自由がなくなることを国民が黙っていない。

2008年日本が世界的不況によって倒産、解雇、賃金減、などなどの影響を受けていることは事実である。
しかし不況だ不況だといったところで、明日食うものがないという状況ではない。期間労働者が解雇され寮を追い出されて住むところもなく、食うこともできないなんて言っているが、本当ですか?
日本ではまだまだ人手不足ですよ。ただあまり難しいこと、つまり高い賃金や良い待遇を求めるのは、腕に職がないと困難なのは当然です。
事務の派遣と一口に言っても、英語ができる、パソコンのスキル、事務処理のスキル、前の職場の評判などで職を得られるかどうか、そして賃金も大きく違う。
それは自然界の摂理であって不況とも資本主義とも関係ないことだ。

しかしサブプライムローンの破綻、リーマンブラザーズの破綻は世界中に影響した。日本はまだ軽傷であったのは事実である。 円が高くなって輸出が大変だ、日本崩壊だという人もいる。そういう人は日本は輸出依存度が高いという。。 本当は日本の輸出依存度はどうなのだろうか? 実は世界的に低い方なのだそうだ。中国や韓国の方が日本より輸出依存度が高い。具体的に言えばかの国々は、アメリカが買ってくれないと物を作ってもどうしようもない。そういう構造になっている。
さて中国という国は治安どころか法規制というものが秘密主義になっていて、いったいどういうふうに法律が作られどういうふうに公布されるのかというのが良く分からない。法治国家という言葉と対極で人治国家と呼ばれている。共産主義だからというわけでもないようだ。皇帝が治める中国4千年の伝統なのだろう。
現在も国家主席と呼ばれる皇帝が、共産党と呼ぶ官僚機構を使って統治する独裁国家なのである。
そして近代どころかローマ以来の約束である事後法の禁止というのも中国にはないようだ。こんな国では安心して事業をしたり、暮らしていくことはできない。
進出した外国企業も痛い目にあっていますね 
進出であって侵出ではありませんよ

中国は国民所得が上昇していまやIT関係は日本同等の賃金、上海あたりのビジネスマンは日本以上のサラリー、金持ちは日本以上・・おっとそれどころか、世界一のお金持ちは中国人であった。
しかし中国は上海だけでなく、ペキンだけでもない。中国人は共産党員だけでなくお金持ちだけでなく、都会に住む人(都市戸籍)だけではない。
それ以上に賃金がべらぼうに安い人たち、医療を受けられない人たち、安全な食と無縁の人たちが、うじゃうじゃ何千倍も何万倍もいるのだ。

現体制が弱体化していなく、階級間の流動性がなく、かつ階級間の格差が大きく、立場がエスタブリッスメントでない、生活が苦しく、権力とは無縁で、武力も持たない人々はどういう行動をとるのだろう。
強力な独裁国家を覆そうなんてどだい無理、社会階層を這い上ろうとするのは非常に困難、せめて教育をと親が願って犠牲を払って大学を出ても仕事がない。
../okane.gif そんな状況下であれば、いかに今を生きるか、いかにうまく立ち回るか、お金になれば道徳も倫理も無視していいじゃないか、みつからなければ犯罪でもいいじゃないか、そういう刹那的生き方となるのはやむを得ないのだろう。危ない食品であろうとメチルアルコールのお酒であろうと、毒の入った薬品だろうと、粗暴犯であろうと、金を儲けて逃げ切ればいいと考え実行するのは必然だ。そういう結果、治安は悪化し凶悪犯罪も増えていく。

中国はオリンピック前に崩壊すると言われた。残念ながら2008年中には崩壊しなかった。
ますます軍事費を増大し、陸海空の戦力拡大に努めている。聞くところによると中国は正規空母を3隻2010年中に就役させるという。

「中国、空母6隻の保有目標」スイス誌報じる
スイスの軍事専門誌「インターナショナル・フリート」はこのほど、中国が、全世界の紛争地域に中国軍を派遣するため、空母6隻を保有することを目標に掲げていると報じた。中国メディアが28日、一斉に報じた。
ポータルサイトの「東方網」によれば、同誌12月号はロシア、フランス、イタリアなどの空母建造計画を伝えると同時に中国の空母保有目標が6隻だと報じた。
また、空母に搭載する艦載機としてミグ29か中国が独自開発に成功した「殲10」または同機より先に開発されたFC1(別名暁竜)を挙げた。
今月23日に中国国防省の黄雪平報道官(大佐)は記者会見で、「空母保有は一つの国の総合的国力の表れだ。中国は空母保有を真剣に検討している」と述べるなど、中国の空母保有論は熱を帯びている。
(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 08.12.29)

空母を持つことは世界制覇を目指す中国海軍の願いなのだろう。しかし作るだけでなくそれを維持することは大変だ。それは中国の国家財政破綻を引き起こすことになるのではないか。
私は中国の所得格差、地域格差、階級間格差、経済の不調、人権抑圧に対する諸外国の圧力などなどの内患外憂によって、2009年中国破綻、2010年中国崩壊を期待する。

中国は間違っても平和国家ではない。
 アメリカ以上の軍事国家である。
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軍用機、戦車、軍艦、原潜・・・なんでもそろっています。
核兵器もね♪

最後の最後ですが、
この本はそのような大局に立った中国論ではありません。中国の庶民がそれぞれの立場でお金に対する欲望、セックスに対する欲望、生きたいという欲望をいかに満たすかと動いているかをルポしたものです。

この本を読むと、中国が崩壊するとすれば、それは外国との軍事衝突ではなく、国内問題による内なる力によるものだろうという気がする。
ま、ソ連も東欧も西側諸国と軍事競争によって国力が衰え崩壊したのだから、中国が一生懸命軍事力強化するのは中国以外の国にとって利益になるのだろうか?
そんなことを考えた。

「この本一冊だけ読んで、中国を論評するな」なんてお便りは却下 


あらま様からお便りを頂きました(08.12.31)
中国という国
佐為さま あらまです
今年は、中国の毒ギョーザ事件ではじまり、そして夏には中国の威信のためのオリンピックが開かれました。
それに対して、日本はいまだに毒ギョーザ事件が解決されず、東シナ海のガス田も共同開発ということですが、いまだに具体的にならず、その間に、中国はストローで日本の資源を吸い続けているようです。
さらに、中国軍の軍事行動も大胆になり、中国の軍艦とか潜水艦、航空機が日本の領域を侵犯しています。
このように、中国がズルイ国であることは前々からですが、日本の弱腰にはホトホト情けなくなります。
また、マスコミも中国に媚びた報道をつづけ、小生は血圧が上る思いの一年でありました。
ですから、除夜の鐘でも突きに行って、煩悩を払いたいと思います。
ところで、来年は、選挙がありますが、どっちに転んでも媚中外交は続きそうです。
そんな年にならないように、初日の出にお祈りしたいと思います。
そういうわけで、2009年も、よろしくお願いします。
あらま様 全く同意!
中国の横暴を見聞きするたびに血圧が上がります。
時代劇なら水戸黄門、桃太郎侍その他大勢がこらしめてくれるのですが、現実世界にはそういうヒーローはいないようです。
ここはひとつ我々市民が立ち上がって中国の横暴を止めよう! そして日本国内で中国のシンパとなっている政治家、市民と称するサヨク、そして工作員をとっちめなくてはなりません。
大義ではありますが、まあ、これも渡世の義理
2009年もよろしくお願いします。

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