省エネのはなし 2 08.04.19

環境に関わる仕事といっても多種多様である。私は公害防止とか廃棄物の管理などをまっさきに思い浮かべるが、それは単に私がそういった仕事に就いていたから、そして今もそんな関係の仕事をしているからということに過ぎない。
リサイクルも環境だろうし、うまい水道水を作る研究も環境に入るのだろう。塗装の溶剤を毒性の少ないものにする研究も環境の仕事の範疇だろうと思う。
しかし、「環境に関する仕事をしています、植林です」なんて言われると、それも環境の分野に入るのか?と疑問を感じてしまう。
省エネも環境に入るのだろうが、その発祥というか生い立ちは公害と若干異なる。
60年代、公害列島なんて言葉があったくらい、日本全国公害だらけという時代があった。
あの頃を思えば、現在は公害なんてないも同然です。 嘘だと思うなら、中国に行ってきてください。典型的な公害を見ることができます。
今の日本では公害というものを知らない方も多いのではないだろうか?
典型七公害といわれるものがあります。というか法律で決まっているのですが、それは、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、悪臭、地盤沈下の7つです。
大気汚染と言いますと、最近では自動車の排気ガスとか塗料の溶剤とかをイメージする人が多いでしょう。実際、最近の大気汚染防止法の改正はそういったことばかりです。しかし、60年代、空は真っ黒な煙、自動車の排気ガスも真っ黒なんてことは珍しくありませんでした。それが典型的な公害というものです。
水質汚濁も最近では、水生動物への影響があるかもしれない(!)から亜鉛を規制しようとか、環境ホルモン説がほんとうかもしれないから(?)などという理由で、企業をいじめるような規制をしています。でも昔は、工場の排水口から色が付いた水が出ているとか、近寄ると臭い川、栄養が多くて藻で水面が見えない湖沼なんてのは珍しくありませんでした。
なんか話が大幅にそれていきそうです 
まあ、そういった事態を改善し環境を良くしようという目的で始まったのが公害防止といカテゴリーのお仕事です。それは今ももちろんなくなったわけではなく、重要な仕事なのですが、最近は環境貢献事業とかエコ製品などという華やかなカテゴリーが環境のメインと思われていて、企業が公害防止に振り当てるリソースが減っているのではないかと危惧いたします。

公害対策に対して、省エネとは70年代のオイルショックと呼ばれるエネルギー危機に対処することから始まりました。もちろんエネルギーはコストであり、費用低減は昔から企業の重大なテーマでそれ以前から熱管理士なんて資格もあり管理を求められていました。
しかし、それまでのエネルギー費用を安くするということと、70年代になってエネルギーが手に入らないということは、ダメージの大きさが違います。オイルショックによって省エネの法規制も作られ、企業はいやおうなく省エネを実行してきました。
多くの人はご存じないでしょうけれど、日本の製造業が消費しているエネルギーは70年頃と現在ほとんど同じという事実があります。この間、何倍もの生産量に伸びているはずです。
自動車の生産が何倍になったかご存知ですか?
(答えは2倍です)

私は実は省エネなんて興味がないんですよ、本当です。
前にも述べたように、環境屋といっても多種多様であり、工場の環境担当と言っても、公害担当と電気をはじめとするエネルギー管理はふつう別部署です。
しかし最近、環境法規制というと省エネ、実際には上品に地球温暖化防止とかいいますが公害防止より優先度が高いようです。
オフィスも省エネ規制が強くなりましたし、家庭に対してもだんだんと規制が厳しくなってきています。
ご存じないかもしれませんが、家に関しては断熱材とか、家電品は消費電力規制などジワジワときつくなり、古い家に住んだり、古い製品など使っていけないということになりそうです。
最近の省エネ製品買いましょうって官民共同のキャンペーンは、景気回復と環境保護と雇用促進の抱き合わせなんでしょうか? チームマイナス6%
ところで、環境に配慮した新製品を買って、絶対に使わないという暮らしをすれば、雇用促進、景気回復、省エネ、廃棄物削減に貢献するのではないでしょうか?

今までは前ふり、実は本日の話はこれからです。
私は怠け者であり、会社の仕事も家の仕事も熱心にしないことはご存じのとおり。
しかし最近会社でも省エネだあ〜なんて言われているし、チームマイナス6%という宗教団体にも属しているので、少しは省エネを考えようかという気になった。
ご存じのように、私は昨年末引っ越して、現在オール電化マンションに住んでおります。風呂も電気、炊事も電気(もちろん私は炊事をしません)、お茶を飲もうかというと電気ということになります。
それで月々の電気使用量は500kWh以上ということになります。もちろん200Vで深夜電力利用ですから一般の100Vでの電気料金の単価よりは安いのです。

まあ、そんな前提がありましたので私の暮らしでいかほど電気を使っているのか? 改善する余地はないのか? などすこしばかり殊勝な気を起こしました。
それでワットメーターというものを借りてきました。コンセントと電気製品の間に入れると、リアルタイムの消費電力と積算電力がわかるというおもちゃのような器具でございます。
小数点以下ひと桁の直読ですが、精度はどうなんでしょうか?
まさか0.1Wまで保証はしてないでしょう。
ちなみにメーカー仕様を見ると精度はひと桁までで、小数点以下はおまけらしい。
また高調波成分がある場合の精度もさだかではない。これを使った測定は、お遊び程度なのかもしれない。
でもある程度の参考値にはなるだろうと思う。

私の使う電気製品といえば、パソコンがメインというか、パソコンしか使わない。
ステレオもないし、テレビは見ない、ラジオも聞かない、ヘアドライヤーなどおばQには不要である。
室内の乗馬も自転車こぎも、トレーニング機器も持っていない。マッサージ器もない。
血圧を気にする歳になったので血圧計は持っているが、乾電池である。
もちろん暖冷房はエアコンであるが、今の季節はエアコンの出番はない。

それで私の使う電気製品すべての消費電力を測ってみた。単位はW
電気製品名動作時
消費電力
待機時の
消費電力
ケース1ケース2備考
パソコン65〜100スリープ
2.8
シャットダウン
2.2
後面SW/OFF
0
背面のSWは常時使用は困難
液晶モニター
19インチ
330.6電源SWなし
プリンタ14〜150〜0.1電源SWなし
デジカメ充電器充電中
3.6
0.0電源SWなし
携帯電話充電器充電中
4.0
0.0電源SWなし
ハードディスク
USB外付け
10.8使用時以外SW/OFF

私のパソコンは昨年、かずやん師匠のお導きでアキバでかったビスタマシンで、いつもシャットダウンという処置で終了していた。今回測定して意外なことに気づいた。
まずパソコンをシャットダウンしても電力を消費しているのです。調べるとUSBとかなんとかはパソコンを止めていても使えるようになっているのだとか。確かにiPodはパソコンが止まっていてもUSB端子から充電できます。
しかし驚くではありませんか。パソコンを止めていても2.2W消費している。スリープモードでも2.8Wです。その差は非常に小さい。
これらを考え合わせると、立ち上げ、たち下げ時間を考慮して、パソコンをシャットダウンするのをやめて、これからはスリープモードにすることにしました。
ちなみに
立ち上げたち下げ時のパソコンの消費電力は約60Wですから、毎日2回ON/OFFするとして、それぞれ1分半かかるとして
60W×1.5分×2回×2(On/OFF)÷60(時間)×365日=2190Wh/年
となります。
他方常時スリープモードモードで毎日5時間パソコンONとして、それによる消費電力増加は
365日×(24−5)時間×0.6W=4161Wh/年
4161−2190=1971Wh
1kWh24円として 1.971×24=47円・・・1年間
消費する電気がもったいないからと、スイッチ付きのテーブルタップを買うという選択肢もあるでしょう。でもスイッチ付きテーブルタップが1000円として、これを回収するのは20年かかる。
待機電力が凶悪犯人のように言われているが、最近の機器は少ないようだ。
私が大嫌いなプリンタも携帯の充電器もデジカメの充電器もこのワットメーターでは小数点以下第一位以下である。

本日の教訓
あわてる乞食はもらいが少ない
何もしないのが一番省エネかもしれない・・・私は怠け者であった




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