審査員百態
08.05.27
先日は
事務局百態
を語ったのであるが、本日はそのお相手となる審査員百態である。
いやあ、審査員も人の子、そりゃいろいろいらっしゃいます。まあ許容範囲ならどうってことないですが、中には公差を外れた規格外もいらっしゃるようで・・・
規格外⇒不良品 とは言いませんが
九官鳥審査員
もう名前からバレバレでございます。オウムのように九官鳥のように、語ることが決まっている審査員のこと。
「3年後の目標はありますか?、ないといけないんですよね」
へえ、3年なんて数字ISO規格にありませんけど・・・
「有益な環境側面を特定する手順はありますか?」
有益な側面ですか・・・私の持っている規格にはないのですが・・
「内部監査は一年に一度以上することになっています」
エ
ッツ!しっ知りませんでした
「08年から木製パレットは産業廃棄物になりましたが、法規制一覧表は直ってますか?」
あのう、昨年の審査以降法改正はたくさんあるのですが、他はいいのでしょうか?
それよりなにより、当社には法規制一覧表がありませんけど・・・
昔のすり切れたレコードのように同じことを語り続けます。簡単でいいですね。審査員ってお経を覚えて唱えていればよいのでしょうか?
もっとも余計なことを言うこともありません。来週は知り合いの会社で審査だって言ってたから、何を聞かれるか、何を出せばよいか連絡しとこ〜と♪
カラオケ審査員
♪
マイクを両手で胸の前に持ち、目を閉じて、しっとりと、情緒豊かに歌いあげます。
ああ!こぶしがきいてなんてすてきなんだ
カラオケボックスでなら別にどうこういうことじゃありません。私はオンチだからうらやましいと言っておくだけなのですが・・・
審査のオープニングとかクロージングではちょっと場違いというか、基地外というか・・
しかし何ですね、それほど己が語る言葉に酔ってしまうとは、きっとお酒にも弱いのでしょう。
カラオケ審査員の中にはデュエット審査員もいると付け加えておきます。
朝日新聞審査員
別に審査の場で朝日新聞の拡販に努めているわけではありません。朝日新聞の常とう句「私たちは」と語る審査員様のことであります。
「私たちは規格をこのように理解しています。」
あのう、あなたたちがどう考えようと勝手ですけど、規格の意図とは違うんじゃあ・・・
「私たちはこのようにすべきと考えています。」
「私たちは○○を目指しています。」
いやあ、「私たち」って便利な言葉ですね。個人の意見、あるいは少数の意見じゃない、大勢の、あるいは組織の見解である。権威あるぞ!控えおろうってな含みがあります。
されど、公式ではなく決して責任を負わないよというニュアンスもあります。
まさしく朝日新聞的、責任逃れの言い回しと言えるでしょう。
なお、「○○はこう考えます
(○○には審査機関の略称が入る)
」なんてのも同類でございます。
禅僧審査員
ISOはキリスト教的な価値観、表現に成り立っているかと思っておりましたが、禅宗のごとき、言葉ではなく悟りを教えよう、伝えようとする審査員もいます。
「あなたのおっしゃることが良くわかりません。すみませんがどういう意味ですか。」なんて事務局が問うと
?
「ISO規格を読めばわかります」
「先ほどのお話しとは違うのではないですか?」
「ISO規格を読めばわかります」
「そのようなことは規格に書いてないようですが・・・」
「ISO規格を読めばわかります」
いやあ、実はこのような立派な問答をされる方は少なく、お話になる言葉が矛盾だらけで悟りきっていない方を良く見かけます。
すずめ審査員
ある企業に審査員がやってきました。
「この規則は間違っている。本当は審査員は指導してはいけないんだが、特別に教えてやる。こうしたらよくなるぞ」
「へえ〜ありがとうございます」
その企業は早速規則を改定しました。
翌年、別の審査員がやってきました。
「この規則はおかしい、いったい誰が書いたんだ」
「へえ、昨年お見えになられた○○審査員さんが私どもの規則をこのようにすればよいとおっしゃったので・・」
「うむ、まだまだ未熟であるな、私が手を入れてしんぜよう」
と修正方法を教えてくれました。
今度もそれに従って規則を改定しました。
翌年、一昨年の審査員がやってきました。そしてくだんの規則を見ると、手を合わせ
「度重なる親不孝をお許しください」
「審査員さん、どうなすったい?」
「これを書き直したのは私の父だ」
落語「抜け雀」をご存じの方は笑っていただけるかと・・・ご存じない方はググってください。
もっとも現実の審査員には落語のようには反省せずに、再度規則を直せという方が多いようで・・・
さるまわし審査員
某社の審査でありますが、審査リーダーが傍らの審査員を見つめてばかりであります。
「えーではオープニングミーティングを始めたいと思います。」
脇の審査員がうなづくのを見て
「審査のスケジュールを説明します」
脇の審査員がうなづくのを見て・・・・
聞くと主任審査員になる研修中とのこと、まるでさるまわしのサル、お猿さんではござらぬか。もう少ししっかりと自立して審査をしていただきたいと思います。
そして、審査されるほうは審査員が研修中であろうと、品質の良い審査を期待しているのですが・・・何しろ大金を払っておりますので
先生審査員
審査員の前歴といっても多種多様と聞きます。企業で品質保証とか品質管理、あるいは環境管理などを行っていた方が多いのかもしれませんが、聞くところによると元大学教授とか、新聞記者、警官、官僚などなど、ものすごくバラエティに富んでいるそうです。
ところで、先生審査員と言いましても学校の先生が脱教師をして審査員になったのをいうのではありません。
審査とは適合性・・最近は有効性まで見てくれるそうですが・・を確認するのではなく、下々を教え導いてくれる方を言います。
「君、これはこうしたほうがいい」とか「態度が悪い!」なんて上手からの物言いをするそうであります。
ご本人は いやあ、ありがたいことです。若いISO事務局員に礼儀作法を教えてくれるのです。
品質や環境担当者だけでなく、全社員を連れてきますので厳しくしつけてください。
ところで審査員の先生、もうすこし態度と言葉を改めた方が良いのでは?
アンパイア審査員
野球が好きなのでしょうか?
もう言葉だけでなくゼスチャーたっぷりの態度に出てしまいます。
「セーフです」と両手を水平に広げてます。
だれか滑り込みでもしたのかと思ったら、出された資料に問題がないということらしいです。
「アウトです」こぶしを振り上げて振り回してます。
エッツ、ハンコが押してない書類があったのですって!
冗談と思われた方・・実話です。
1993年に私の目の前にいました。
最後に審査員、企業側が向かい合って整列し、帽子を取ってお辞儀を・・なことはないか
耳なし審査員
耳なし芳一とは琵琶法師のお話。ものすごく平家物語の語り引きが得意な盲目の芳一が、夜な夜な墓地に行って怨霊に語り引きをしていました。それを知ったお坊さんが、そのままではやつれて死んでしまうと、全身に般若心経を書き救おうとしたのですが、耳にお経を書くのを忘れ・・・という物語
しかし、耳なし審査員は平家物語とも琵琶とも怨霊とも関係ありません。
単に聞く耳を持たないようなのです。でも、口はありますので審査開始からクロージングまで会社側に話をさせず、琵琶はなくても一人で語り続けるという、現代のおそろしいお話であります。
ああ!やはり
怪談
でありました
また百態と言いながら、百話ないって!
困りましたね、そういうのを悪態をつくというのですよ
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