「国債を刷れ!」 2009.03.14

著 者出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
廣宮 孝信彩図社978-4-88392-678-72009年3月6日1542円全一巻

何を隠そうというか、別に隠すこともないが私は三橋貴明のファンである。それも昨日やおとといからのファンではない。私は今までも、「本当はヤバイ韓国経済」「トンデモ韓国経済」などを推薦する本にもあげている。そして三橋さんのブログは毎日見ている。
お間違えのないように!石橋貴明ではありません。
その三橋さんが大推薦しているのが、この「国債を刷れ!」である。
「国債を刷れ!」は廣宮孝信さんという人が書いている。

世の中にはなにごとについてもいろいろな論があり、誰も正しいとは言えないし、間違っているとは言えないのは事実である。物理とか数学では正解はひとつだろうが、工学になると同じ結果を出すにも複数の方法があり、経済学なんてものになると政策は無数にありそうで、あるいは正解がないのかもしれないし、そもそも経済は学問でないのかもしれない。
ノーベル経済学賞というものがあるそうだが、受賞者の中にはその後、間違いだと言われた方も複数いるようだ。私は経済どころか簿記も知らないが、神の見えざる手を見きった人がいないことは確かなようだ。
鬼の平蔵も宮沢喜一も経済のプロと言っていたが、大したことはできなかった。宮沢は平成の高橋是清と自称したが、是清さんは墓の下で「勝手に俺の名を名乗るな」と嘆いていることでしょう。
この本を書いた、廣宮さんが21世紀の高橋是清なのかもしれません。

日本には借金が950兆円もあるそうです。
国民一人当たりにすると600万になるそうです。この借金を返すには・・もう手がないように思います。個人が借金を返せないと破産、会社が借金を返せないと倒産、自治体が借金を返せないと財政再建団体、国家が借金を返せないと国家破産というそうです。 
過去にそういう例はありました。
特定アジアの星、韓国は1997年にデフォルト状態になりIMFの指揮下に入りました。2008年のアイスランドも実質的には同じ状態になりました。韓国は2009年に再びデフォルトになるのか?とネットでうわさされています。

マスゴミによると、日本は国家破産だ! 日本は10年前の韓国のようにIMFが乗り込んできて国家再生の指示に従わないと世界の中で生きていけないと言います。
10000

日本銀行券
壱万円

★★DC20090314
そうなったら困ります。
私の立場で言えば年金があてにならないどころか、税金もうなぎ登り、ウナギなどもう一生食べられなくなってしまいそうです。
しかし借金というのは貸す人がいるから借りることができます。サラ金で自己破産という人がたくさんいますが、そういう人もそれまでお金を借りることができた、言い換えるとそういう人にお金を貸す人やサラ金があったということです。もし金を貸してほしいといっても貸す人がいなければ、食べることができない状態になるかもしれませんが、自己破産という状態にはなるはずがありません。

見方を変えると借金が多くても、企業が赤字でも即破産とか倒産になるわけでもありません。お金を貸す人がいたり、投資をする人がいれば破産も倒産もしないですみます。
よくIT関連とか燃料電池のベンチャー企業で、何年も売り上げがないのに倒産しない会社はそういう状態です。でもいつまでも売り上げが出なければやがて倒産するのは確実です。 

ところで存在する人全員が借金しているはずがない。あるいは全員が借金できるわけではありません。貸す人と借りる人がいて始めて賃貸借が成立します。「借金は誰かの資産」というのは当たり前です。
では、この国の借金は誰が貸しているのでしょうか?
実は貸主は国民なんだそうです。あなたは国にお金を貸した記憶がありませんか?もちろん私も国にお金を貸している覚えはありません。国の借金とは国債とか地方債という形で国民の金を集めてその額が950兆円になっているということだそうです。
もちろん国債を買うのは国民だけではなく、外国人もいるでしょうし、外国の国自体が購入していることもあります。外国人から借りているなら、やっぱり日本は借金まみれで国家破産になってしまうのでしょうか?
でも国家破産だあ〜と嘆くのはまだ早いのです。
日本全体が外国からお金を借りているのか、貸しているのかと見れば、世界最大の債権国なんだそうです。つまり日本政府と日本国民と日本企業が外国に世界一お金を貸しているわけです。
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金貸しというとあまり良い響きはありませんが、この場合はとりあえず借金しているよりはお金を貸している方が良いということにしておきましょう。
つまり結論すれば、日本国民(自然人に限らず法人・企業も含みます)から日本政府がお金を借りているということは間違いない事実です。
すると国の借金を返そうということは、国民から借りているお金を、その国民からの税金で国民に返すということになり、なんか妙な感じです。
そもそもあなたも私も国にお金を貸したおぼえがなければ、お金を返せと怒鳴り込むはずがありません。
怒鳴り込んだあげく、自分の財布から相手にお金を渡して、またそのお金を相手から返してもらって、「これでチャラだぜ」とでもいうのでしょうか?
10年前の韓国の場合はこれと違います。韓国の借金は外国から借りていたから、外国人が返せと言ったら返さなくてはなりませんでした。しかしそれができなかったので、外国人(IMF)が乗り込んで貸した金を取り戻すために金目のものすべてを売り払ったわけです。
これは言葉のあやではありません。韓国の主な銀行はほとんど外国資本になっているのです。

話をチョー簡単にするとそういうことのようです。
もちろん実際にはいろいろと入り組んでいてもっと複雑です。
おばQの語る小学生向けの話では信用ならん、そんなことが本当か?という方はこの本をお買い求めください。
たった1500円で老後の設計に役立ち、マスゴミのウソに気づき、しかも景気回復ができるとはなんてスバラシイことでしょう。

本日のまとめ
「国が借金で破産しそうです」と語っているマスゴミは嘘つきのようです。 


あらま様からお便りを頂きました(09.03.16)
佐為さま あらまです
そんなにうまい話があるものかと、佐為さまのご推薦の「国債を刷れ ! 」を、早速、読ませていただきました。
本書の主張は、最後に示されているように「プライマリー・バランスなんて考えないで、政府支出を増やせ」。
つまり、具体的には「政府紙幣を発行」を勧めているものだと思います。
しかし、これは「暴論」だと思いますよ。
確かに、佐為さまの仰るように、世の中、何が正しいのか分かりません。しかし、借金が良いこととは思いませんし、それを踏み倒すことはもっと悪いことだと思います。
本書は、根拠のない通貨の発行にも言及していますが、これは「不渡り手形」を切るようなもの。感心しません。
小生も経済のことなんてサッパリ分かりませんが、「入りをはかりて、出(い)ずるを制す」という言葉を親から教えてもらい、これが、経済生活といいますか、出納、会計の基本だと思っています。
収入が少ないのに借金をしてまでも贅沢な暮らしをすることを戒めるこの言葉は、小生は「正しい」と思います。
ところが、近年、半島人が「借金をすること」を「キャッシング」だなんて言い換えて宣伝し、「消費者金融」で日本のお金を半島に移動していました。
もしかして、その一部か「テポドン」に化けているかもしれません。
つまり、日本人から借金の罪悪感を取り去って、消費生活でもローンを組ませて目的のものを買わせようとして、それが成功したわけです。
つまり、「我慢をしてお金を貯めてから買う」という日本古来の美徳といいますか慣習をスッカリ崩してしまいました。
確かに、ローンを組ませて高いものを買わせれば、経済が回るでしょう。しかし、そのローンを踏み倒すことになれば、回った経済が停滞するどころか、関係した皆が困ってしまうでしょう。
また、本書では、日本国債のなかでも、日本国民や日本銀行などが購入するものについては、自分が自分に借金をするようなことなので、それは借金ではない・・・みたいな論法をしています。
しかし、同じ日本国民でも、現在の日本国民が将来の日本国民に借金をするのが国債なので、借金の督促が来ないのは当然です。
夫婦間の借金にも限度があります。
私たちが借金を意識しないのは、単に、実感が湧かないだけで、夕張市のように破綻してから、ようやく実感が湧くものだと思います。
そういうわけで、「うまい話しにゃ裏がある」ということで、佐為さまには失礼ですが、この本は「バッタ本」だと思います。
根拠のないお金を流通させたら、その国の価値が下がる・・・というのが「真理」だと思います。
まあ、まあ、あらま様 こらえてこらえて・・
まず、この本がすべて正しいとか言っているわけでありません。債務や債券や収支についてのマスゴミのウソというのは間違いなくこの本が書いているようにウソでしょう。
輸出依存度が高いというのもウソでしょう。・・そんなことネットをググればすぐわかります。
そして国債を発行するかしないかはまた別問題でしょう。
ただ、倹約、貯蓄もいきすぎるとまた問題ということも事実です。
まあ、いろんな論があっても良いと思います。
ただウソはいけません。うそは罰があたります。
昔なら閻魔様が舌を抜いてしまうと言われたのですが、今は閻魔様がいないようで、嘘ばかり語っているアナウンサーも舌があるようです。

牡羊座様からお便りを頂きました(09.06.20)
「国債を刷れ」について
佐為様、初めまして。推薦する本 国債を刷れ!のページについて、意見をさせて下さい。
この本について、批判的な意見をしている人もいます。
http://otsu.seesaa.net/article/120033075.html
佐為様は、政府支出(=国債の乱発)に頼った日本経済について、どのようにお考えですか?日本は名目GDPの70%が政府支出であり、欧米の倍以上です。国債を乱発して借金が増大し、いつか償還しきれなくなった場合、ハイパーインフレで借金が帳消しになり、同時に国民の大事な預金が紙切れになってしまいます。
私は、むしろ民間支出+民間投資+輸出を増やし、政府支出+輸入は減らしていく工夫が必要なんじゃないかと考えています。
また、国債は国民からの借金であるとの事ですが、本当にそうなんでしょうか?私は、国債は銀行や郵貯からの借金であり、国民からの借金では無いと思います。銀行が国民の預金で勝手に国債を買っているのです。国民が国債を買えと言った訳じゃないと思います。
何故銀行は国債を買うのか?
http://oshiete1.watch.impress.co.jp/qa1135458.html
以上です。
牡羊座様 お便りありがとうございます。
物理学とか数学には正解はひとつしかありません。技術とか建築には目的を達成するための手段は複数あります。経済学になると諸説ありまして、正解なのか、間違っているのかだれにも分かりません。金融工学をとりあげてもそれは理解できます。
それと、国債を刷れ!というのが時代を通して真理であるのか?といえば、絶対にそんなことはありません。ある状況下においては適切な選択であって、ある時期においてはまったく逆行であるということもあります。
さて、現時点100年に一度の不況といわれていますが、どういたしましょうか?
アメリカが自由主義を捨て、社会主義国家になったといわれています。大銀行、自動車会社、その他の大企業を実質的国有化するのですからそういうことでしょう。まあ、それほどドラスティックな変化がある時代です。
寄与率なんて素人の私にはわかりませんが、今現在の日本を活気つけるには交付金とかエコポイントとかドンドンやるべきでしょう。台湾なんか結構すごい効果があったといわれています。しかし日本では民主党の反対運動によってもう時期遅しという感じがします。民主党って日本経済が上向くことを恐れているのでしょうか?
国債を発行しないなら、日本の景気をどうして離陸させるのか?それを教えてください。まさか日本は不景気のままで良いということもないでしょう。
ところでアメリカが国債を発行するのは良いのか悪いのか、EU諸国はどうなのか?中国が元を刷るのは良いのか悪いのか、そういうこともありますよね?
中国が景気回復のために52兆円の景気対策をするのは良いことで、日本が40兆円の景気対策することは悪いことなのでしょうか?
さて国債を買うのはだれかというのは見方ですが、結局お金の持ち主は日本国民であって、外国政府とか外国の個人ではなさそうです。
それについてはいかがでしょうか?

牡羊座様からお便りを頂きました(09.06.21)
むしろ着陸してみては
佐為様 お返事ありがとう御座います。
私は、不景気だからと気軽に国債を発行して景気対策を行うのは、間違いであったと考えています。世の中の景気に関係無く、政府支出は名目GDPの30%程度で止めておいた方がいい。そう考えています。何故なら、いくらでも借金をして良いなら、行政改革も財政改革も進みません。国家全体にモラルハザードが起きるのです。
政府支出が今の半分であるとしたら、恐らく社会保障は成り立たず、年金は廃止して高齢者雇用を促進する事になるでしょう。佐為さんも嫌いであろう生活保護の不正受給は一切取り締まり、本当に必要な人にだけセーフティーネットは機能します。公的年金の廃止により、国民は死ぬまで現役世代となりますから、日本の癌である社会保障費は一気に削減されます。
高齢者雇用により労働力の供給過剰になりますから、賃金は一気に下がります。しかし一方で、賃金の低下は国内に雇用を呼び戻し、ワークシェアリングをした場合と同様の効果となります。雇用を国内に呼び戻すとは、即ちGDPを成長させます。大量の移民を受け入れるより、この方がよほど日本人らしい。
今回の不況について、一時的な国債発行は仕方無いでしょう。しかし、中長期的には、国の在り方を見直して、国債発行に頼らない日本経済を目指すべきです。借金が雪だるま式に増えた要因を改善しない限り、僕らの次の世代でこの国は、ハイパーインフレに陥るのです。
牡羊座様 毎度ありがとうございます。
正直言いまして、正否は私にはわかりません。
ただ日本政府に対してそう主張するなら、同じことをアメリカや韓国にも主張するのでしょうか?
日本が破産するのは困るけど、アメリカが破産してもかまわない。韓国がデフォルトしてもかまわないのでしょうか?
単に比較だけからはそんなことを思います。
ただですよ・・・むしろ着陸してみては・・とは!
化学反応には可逆反応と非可逆反応があります。政治的なこと、経済政策は非可逆ですから、実験してみようというのは非常に困難というか危険です。
どっちにしても軟着陸しかありません。
ハードランディングは外国の例から見てあまり芳しくないでしょう。

牡羊座様からお便りを頂きました(09.06.26)
ありがとう御座いました。
佐為 様
入るを量りて出ずるを為す。これは国家の成長を考えた場合は、ナンセンスなんだと思います。
しかし私は、漫然と借金を積み重ねていく事で、政治家や官僚、国民のモラルが崩壊していく事の方がよっぽど怖いのです。数字に見えないリスクというものも、あるんじゃないですかね。
お相手頂いてありがとう御座いました。またいつかメールします。
よろしくお願いします。
牡羊座様 毎度ありがとうございます。
私も三橋貴明が正しいと信じてもおりません。
イケイケドンドンでもありません。
しかし、現在の日本は外国が回復基調にあるのに比較して、まだ低迷しています。
金利を下げるなんてさげようにもさげららない状況ですから、ここは少しなんとかしないといけないのではないでしょうか?
生活が苦しいといい、国債を出すなと言い、じゃあどうするの?と迷うばかりです。
おっと、私は首相でもないし、財務大臣でもありませんでした。

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