緊急事態のマネジメント 11.03.21

今回の東北関東大震災によって、人の値打ち、組織の価値が再認識されたのではないだろうか?
『菅直人首相は20日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で訓示し、東日本大震災の対応について「政府は、自然のもたらしたすさまじい被害から何としても国民を守るべく、必死の闘いを続けている。危険を顧みず死力を尽くして活動を続ける自衛隊諸君を誇りに思う」と語った。』
朝日新聞(2011/03/21)
サヨク活動家あがりの首相がよくもそんな語り、また赤新聞がよくぞ報じたものだ。この地震での自衛隊の活動は目覚しく、それに菅直人も朝日新聞もおすがりしているからこその発言であり報道であろう。

過去、民主党は災害とか自衛隊についてどんなことを語っていたのだろうか?
2007年 民主党マニフェストの災害対策
災害発生後の救急活動や情報伝達、交通規制や応急復旧などを円滑に進めるために、国、地上公共団体、警察、消防、自衛隊、民間企業、ボランティア、NPOなどの役割分担、協力体制の整備を進め、情報伝達システムを確立するなど、民間の諸活動を強力に支援します。あわせて大規模災害時の首都機能のバックアップ体制の強化も検討します。
また大規模災害に迅速に対応するため、内閣総理大臣の権限を強化した「危機管理庁(日本版FEMA)」を創設します。
報道を聞く限り、また消防官などの話を聞く限り、各機関の連携も不十分であり、またそれをとりもつ政府も内閣総理大臣も役目を果たしていないように思えるのだが・・
マニフェストとは選挙前だけ有効なのだろうか?

今現在、この菅直人率いる政権は地震対策で失点を重ね続けている。高校野球と違い、いくら黒星を連ねても試合が続くという幸運なのか不運なのか菅直人監督は続投している。
国民は菅直人を更迭し監督をすげかえたいのだが、時期が時期で手が打てない。
どのようなところがまずいか考えてみた。

決断力
菅直人はテレビで語った「原発への自衛隊の派遣は私が指示しました」
しかし自衛隊幹部が語っていた。「首相と官房長官がいろいろと話し合っているのだが、脇で聞いている私には結論がわからない。私は自身の判断で自衛隊を派遣した。」
内閣総理大臣は自衛隊の最高指揮官なのである。現場任せ、成り行き任せではそんな最高指揮官はいらない。
チョット待てよ、事実と異なるうそを言うのは指揮官の適性以前ではないのか?

即断即決
戦場において逡巡は命取りになる。
ミッドウェー攻撃に当たっていた日本海軍の空母はミッドウェー島を攻撃すべきか、アメリカ艦隊を攻撃すべきか迷っていた。アメリカ艦隊は危険だが見つからない。ミッドウェー島は即危険なものではないが、目標は明確だ。攻撃目標によって艦載機に搭載するのが魚雷か爆弾か異なる。艦載機は空母甲板上で決断を待っていた。そうしているうちにアメリカ艦載機の攻撃を受けたという歴史がある。
このときとりあえず爆弾を積んで発進していれば、日本空母はやられても相手艦隊へ爆弾の反撃はできたはずだ。
菅直人は平和主義者だから、過去の戦訓を学んだことはないのだろう。

決断と実行
何事かをすると宣言したら、必ず実行しなければならない。
そうしないと足元を見られる。実行力のないオトコだと・・
計画停電をしますと、東電がいうのを止めて、菅直人は自ら語ったのだ。ならば万難を排して(というのも変だが)必ず停電を実行しなければならない。国民はみな停電するものと思い準備して待ち構えていたのだ。
いろいろあたってみたら電力が間に合うようなので停電を見送りました・・などと語ってはいけないし、菅直人なら語らせてはいけないのだ。
結局、計画停電は出だしから崩れたから、もうみんなバカにしている、それが報いだ。

小出し戦術
戦争で兵力を小出しにすることは最悪とされている。戦闘は勝てるか負けるかわからないというのは指揮官として失格だ。勝てる戦いしかしないというのが鉄則である。勝てるのを見計らい動員できる全兵力を投入することが勝利の鉄則だ。
原発の事故発生を前提としよう。そのとき以降の指示、対策は適切だったのだろうか?
問題は多々あった。
避難指示も小出しにした。5キロ、10キロ、20キロ、30キロと
なぜ一挙に避難指示をし、その一方で受入地の準備や移動手段を確保するのが政府ではないのだろうか。
原発においても、消防車をかきあつめるのに何日もかかっている。
津波や爆発によるがれきが散乱していて消防車が近づけないということが言われてから1週間たってから、その除去のために静岡から陸上自衛隊の戦車を輸送するという。それもたった2台。
まさにドロナワである。
瓦礫除去だけでなく、作業者の被爆を少しでも少なくするために装甲兵員輸送車も用意すべきではないのか?
佐々さんは浅間山荘事件のときに、機動隊の食料、トイレ、ホッカイロなどさまざまな手を打っている。それをみた人がおおげさだと言ったというが、その準備が過激派との戦いを支えたのである。
もっとも、菅直人は元過激派だから、そういうことに拒否反応があるのかもしれない。
戦場で兵士が恐怖を感じるのは負け戦の時ではなく、指揮官が無能だと知ったときだという。
今、戦場といえる災害地あるいは原発で・・

ISO業界も無縁ではない。事業継続マネジメントシステム(BCBM)なんていうしろもので稼いでいる認証機関もある。
「当社は事業継続マネジメントシステムの認証を得ましたと」宣伝していた会社がいくつか津波にのまれた。
いくらBCMSでも津波は防げないのは仕方がないとして、それらの本社は東京にある。じゃあ、代替生産などの対策は順調に行っているのだろうか?
もしBCMS認証を受けた会社の復旧対策とその結果が、認証を受けていない会社と変わらない、あるいはそれ以下であればBCMSの継続はない。

ところで、地震災害や原発事故がいまだ収まっていない状況の被災地の工場に、いやそれだけでなく遠く埼玉や群馬に所在する工場でも地震で被害を受けたり停電しているところは多いのだが、そんな会社・工場に「審査は予定通り行なってよいですか?」と問合せしている認証機関がある。
建物や設備が崩壊・損壊したり、従業員の安否も定かでない、企業が存続できるか否かという状況の企業に対してそういうことは非常識ではないだろうか?
状況を確認するのは必要としても、少なくとも「御社の状況はいかがですか?」から始まるべきではなかろうか?

認定機関も「地震災害があっても定期的に審査をしないと認証は取り消しになります」なんて語っている。これら認証ビジネスに関わっている人たちの事業継続は大丈夫のようだ。
それとも、あまりにも平和ボケしていて、この緊急事態を緊急事態と認識できないのかもしれない。



あらま様からお便りを頂きました(11.03.22)
現地視察
おばQさま あらまです
21日に予定していた首相の現地視察が天候不良で中止になったといいます。
天候不良が中止の理由になるのか、大いに疑問のところです。
首相本人は、現地視察に強い意欲を燃やしていたそうですが、現地の人たちには首相を接待する余裕なんてないわけで、視察に反対する国民が多かったようですね。
現地に行こうとすると批判され、現地に行くのを止めても批判される。
それが、菅直人という人の人徳の程度でありましょう。
しかし、そんな彼が首相に適しているかどうかを論じている状況ではありません。
どんなバカ社長でも、どんなバカオヤジでも、気急な時は 社員、家族はそれに従わなければ、団体・組織の秩序と統一とが保たれません。
天罰という言葉が適切ではないかもしれませんが、国民が村山さんを首相にしたら、阪神淡路大震災。菅さんを首相にしたら、東日本大震災。
神様からの日本国民への警告としたら、あまりにも大きすぎます。

あらま様 毎度ありがとうございます。
まったく頼りにならない首相になるたびに、日本は国難に合うようにできているようです。
小野不由美というファンタジー作家がいますが、彼女の小説では国王の徳がなくなると治安が乱れ災害が起きることになっています。
おお!というか、中国では殷の時代から天子とは天命を受けたものであって、力がなくなると倒れることになっていましたね。
ともかく、なんとかこの大災害を乗り切り、その暁には菅直人を瓦礫と共に埋め立ててしまいたい。

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