審査員物語 番外編7 認識(その3)

16.04.11

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。但しここで書いていることは、私自身が過去に実際に見聞した現実の出来事を基にしております。

審査員物語とは

吉本教授とメールのやり取りをしてからひと月ほど過ぎたある日、出張でホテルに泊まっていた三木に吉本からメールがあった。どうせろくなことはないだろうとは思ったが、ともかくメールを開いた。


俺に何をしろというのかと三木は思いつつpdfファイルを開いた。A4で数ページの論文とまで行かない報告書のようだ。小品といえどモニターで見ただけでは分からないと、帰社してからプリントして読もうとそのままpdfを閉じた。とりあえず吉本宛に現在出張中なので週末帰宅したら拝読する旨返信する。返信すると吉本からのメールが既読になったので、未読に戻す。既読のままだとあとで忘れてしまうだろう。未読にしておけば忘れることはないだろう。

週末に帰社して旅費精算などをしたあとインボックスを片づけていて、吉本からのメールに気が付いた。ヤレヤレと思いつつプリントアウトする。明日家で読んで返事をしよう。


翌日、三木は縁側に座椅子を引っ張り出して座って読む。
日差しが温かくつい居眠りしそうになる。

ご注意:以下は文中の吉本教授の仮定の論文(もどき)であって、吉本教授が、ISO規格を間違えているという前提ですので勘違いのなきよう。このウェブサイトの主宰者である私おばQの見解ではありません。


○○大学におけるEMSの継続的改善報告
−環境側面の特定プロセスの見直しについて−
吉本 淑子 1)

はじめに
ISO14001認証は、製造業においては規格制定直後から広まり、その後サービス業、流通に広まっていった。製造業より若干遅れたものの教育機関においても認証が広まり、最近は単に認証するだけでなく環境を冠する学部の研究・教育との相互作用を狙って活動を進めているところが多い。また大学の講座として審査員研修まで行っているところもある。2)
本学においては社会環境学部の設置申請時にISO14001認証のために準備室を設けた。2001年に学部設置と同時に認証活動を開始し2002年に認証を受け、昨年は更新審査を受けた。認証以降、マネジメントシステムの継続的改善を進めて、種々改善を実現してきた。今回はその中で、環境側面の特定及び著しい環境側面の決定プロセスの改善について報告する。
EMS導入による効果を解説する論文は数多くあるが、この小論ではEMSの継続的改善とその効果を事例で示す。

環境側面とは
ISO14001では認証を受ける組織が環境と相互に影響を与える可能性のある組織の活動、製品あるいはサービスの要素を「環境側面」という。特にこの環境側面の中で著しい環境影響を与えるものを「著しい環境側面」と呼び、組織はそれを確実に管理することが求められている。
環境側面を特定する方法及び著しい環境側面を決定する方法について規格では明確にされておらず、組織が決定することになっている。なおISO14001規格ではないがISO14001を理解する上で参考とすべき位置づけにあるISO14004において「著しい環境側面を決める際、次のa)〜c)の点を考慮すると良い」という但し書きがある。そこであげられているものは、a)「環境に関する基準(影響の大きさ、重大さ、継続の時間、環境側面の型、サイズ、頻度)」、b)「当てはめることのできる法的要求事項」、c)「組織の内部・外部関係者の関心事」の3点である。
一般的な認証組織においての著しい環境側面の決定においてこのa)で示されたもの、すなわち環境影響の大きさ、重大さ、影響の継続の長短などを指標に選び、それぞれに配点し計算式を定めて項目ごとの影響を評価して上位よりあるいは一定点数以上のものを著しい環境側面としているところが多い。
本学においても認証時に決定プロセスを検討した結果、この方法を選択した。実際に配点表を作成しようとすると、項目ごとの配点は非常に難しい。例えば電力1万kWhより2万kWhは環境影響が大きいことは自明であるが、その配点は倍の点数が良いのか、あるいは対数的に配点すべきかを決定することは簡単ではない。またそれ以上に電力と廃棄物の比較において、何万kWhの電力と何トンの廃棄物を同等の配点とすべきかということの判断基準がむずかしい。
これらについてISO14001規格では「使用される方法は、矛盾のない一貫した結果を出すものであり、環境上の事項、法的課題及び内外の利害関係者の関心事に関係するような評価基準の確立及び適用を含むものであると良い」と述べている。
本学においては、各種統計や換算できるものについてはそれらを参考に配点表を作成した。3)

○○大学紀要−社会環境学部−127



環境側面の決定プロセスの見直し
今回は更新審査であると同時にISO14001規格が2004年版に改定に対応するために、再度出発点に帰り、全面的に配点表を見直すことになった。
その検討過程で本学総務部施設管理課から次のような意見があった。
「ISO認証時に著しい環境側面となった事項については、現実には過去より管理手順を施設管理課の文書に定めて管理している。しかし実際に過去から管理していたことは、4年前の認証活動時に著しい環境側面とされたものだけでなく、外部からの苦情(本学以外の事例を含む)などについても手順書を作成して行っていた。だから対応していることは著しい環境側面表に記載のものだけではない。著しい環境側面にとりあげたものがISO認証に対応するだけのものであれば特段検討するまでもないが、本学が実際に管理し改善を進めていく対象であるなら従来から管理していたものも著しい環境側面に含めるようその決定プロセスを見直す必要がある」というものである。
ISOに基づくEMSが本学の環境管理と乖離していて良いはずがない。つまりこれは著しい環境側面を決定するプロセスに不備があると判断した。ではどのようなものが従来の著しい環境側面決定結果から漏れていたのだろうか。施設管理課から提示されたもののいくつかを下表に示す。

過去から管理していて著しい環境側面となっていないものの事例
項目具体的事例本学の対応
空調機室外機
注:法規制の対象外である。
京都府内において騒音規制法の規制基準同等の騒音で裁判となっている事例がある。4)
法規制対象外の機器については学内の管理基準を設けて定期的に測定している。新規設置の場合、近隣町内会に確認することとしている。
テニスコート
早朝、夜間に掛け声やボールの弾む音がうるさいと苦情を受けたことがある。
早朝、夜間の利用時間を制限中。試合前などで練習を延長する際は事前に近隣住民に周知
職員駐車場
夜間に人が入ると自動的に点灯する点灯装置があるが、深夜に職員が帰宅時に点灯することに苦情を受けた。
現在は午後10時で人感センサーの動作を停止した。それ以降は各人が懐中電灯などを使うようお願いしている。
喫煙対応
学生が駅からの通学路、禁煙地域での喫煙、ポイステに対する苦情を受けている(過去数年間継続中)
学内への注意喚起と定期巡回を行っている。

喫煙は見方によれば環境問題ではないかもしれないが、環境にどこまで含めるかは認証組織が決めることであり、また現実に大学の運営上しなければならないことであれば環境問題とマナー問題と分ける必要もない。上記施設管理課からの問題提起は妥当と思われ、EMSの著しい環境側面に含まれるべきであると判断した。
また上記だけでなく従来の著しい環境側面を決定するプロセスでは見逃してしまっていたものがある可能性があり、プロセスを見直す必要があると判断した。
過去の著しい環境側面決定プロセスの問題として二つ考えられる。ひとつは環境側面を特定する際に把握していなかったこと、もうひとつはa)「環境に関する基準(影響の大きさ、重大さ、継続の時間、環境側面の型、サイズ、頻度)」、b)「当てはめることのできる法的要求事項」、c)「組織の内部・外部関係者の関心事」の3点の中で、前二者については従来の方法でも考慮していたが、c)項目については考慮していなかったことである。上記4点の事例のほか今回問題提起されたいずれも外部関係者の関心事であったということをみるに、従来の方法ではc項目が抜け落ちていたと認識した。

○○大学紀要−社会環境学部−128



また施設管理課から別の改善提案として、EMS導入時にひとつの環境側面とされたものでも従来から個々に管理手順を設けていたことについては別個の環境側面として位置づけ、他方複数の環境側面とされたものでも従来からまとめて管理していたものについては一個の環境側面とするように要望された。具体例として本校は○○区に所在するが、理学部実験棟は○○市に所在するために廃棄物の区分や届け出・報告先が異なり、別個の環境側面にした方が実際の管理に即しているという。他方、冷凍機、空調機及び圧縮機などは騒音、振動、フロンなどの環境影響も同様であるために管理手順をまとめており、それぞれ別の環境側面にするのではなく一種類の環境側面として管理したいという。
これらの要望は即納得できるものではないが、杓子定規に基準を決めて運用を煩雑にすることが目的ではなく、管理手順を明確にし確実に運用することが目的であり、詳細は検討することとした。
実際にこれらを著しい環境側面決定のプロセスに盛り込むことは従来以上に検討を要した。例えば現実に発生している苦情、発生する可能性のある苦情をどう比較するのか、既に裁判が起きている事例と裁判まで行かないであろう事例、などをどのように評価するのかということは客観的な基準もなく恣意的な指標しか考えられないことも多い。
しかし検討にあたっての我々のスタンスは、苦情があれば著しいことは明白であること、事故の発生可能性があるなら予防しなければならないこと、それらにより著しい環境側面評価プロセスに盛り込むこととした。
具体的評価基準については本学の重要事項なのでここに詳細を記載できないが、今回の規格改定で拡大された環境側面の範囲について、前記ISO14004のa項からc項まで含めて漏れなく抽出し評価できる仕組みとすることができたと考える。

見直しの効果
最大の効果はISOに基づくEMSと現実の環境管理体制の完全な一致である。過去の論文などにおいてISO認証の形骸化が報告されているが、その原因はISO要求事項の各項目において現実との齟齬があるために、時間とともに祖語の拡大が生じてISO認証維持のためのシステムと実際の運用管理体制がどんどんと乖離していくためと考えられる。
本学においては著しい環境側面の決定プロセス見直しによって乖離が小さい時に是正を行ったことで、形骸化の防止ができたと考える。
また手順変更後のISO審査で、この著しい環境側面の決定プロセスを取り上げて、マネジメントシステムの継続的改善が図られていると評価された。

これからの方向
今回は環境側面の特定と著しい環境側面の決定に限定したが、本学においてこの3年間のマネジメントシステムの継続的改善は環境側面にとどまらず、法規制の把握、目的目標の設定や進捗管理、各種手順書の内容の整備など多面において成果を出している。とはいえ具体的なパフォーマンス改善は紙ごみ電気レベルであることは事実であり、今後本学の本来業務である教育サービスあるいは研究活動においての改善効果を定量化しビジブルにしていきたいと考えている。


1)
社会環境学部 教授、ISO14001審査員(CEAR登録B:XXXX)
2)
本文注ではないが・・・以前は京都精華大学、法政大学がISO14001審査員研修コースを開催していたはずだが、2016年時点ではふたつともなくなっていた。
というか、現在ではCEAR承認コースは、テクノファ、JACO、グローバルテクノ、LMJ、JMAのわずか5機関になっていた。最盛期は20以上あったはずだ。
3)
消防法の指定数量や半数致死量(LD50)、その他環境影響の大きさ比較を原状回復費用や生物多様性の問題発生状況などを参考とした。
4)


○○大学紀要−社会環境学部−129

影の声・・デタラメを書いたつもりですが、紀要程度ならこのままで通用しそうだ。

三木は一読して、100点満点で60点合格とすると、吉本の論文に書かれていることは40点を50点に引き上げた程度かと思う。とはいえわざわざ三木に送ってきたところを見ると、吉本はそうとう自信を持っているのだろう。大学教授といっても、ISO規格を深く理解しているわけでもないだろう。それにおかしなことを語っていたISO審査員が大学教授になった例もある。だけど吉本は元々研究者なのだから、もっと広い視野で論理的に考えてほしいところだ。
営業一筋で生きてきてそれ以外の世界を知らない三木がISO規格を読んで、現実の規格の理解や審査の実態を見ると多くの疑問を感じているのに、ドクターである吉本が疑問を感じないことに驚く。
さて、どういうコメントを返せばよいのか・・・あるいは返さない方が良いのか・・
そんなことを考えつつ三木が縁側の座椅子でウトウトしているところに、陽子がお茶と茶菓子を持ってきて脇に座った。

お団子
お茶
三木の家内です
「おとうさん、少し休憩しましょうよ」
三木
「ありがとう、最近変わったことはないか?」
三木の家内です
「変わったということはないけど、変わろうとしていることはあるのよ。
息子も大学に入っちゃって、おとうさんは平日のほとんどは出張でしょう。それで私パートで働こうかと思っているの」
三木
「陽子がやりたいならいいんじゃない。でもあまり無理しないでくれよ。ところで仕事のあてはあるのかい?」
三木の家内です
「△△大学ってごぞんじでしょう? 卓球のお友達がそこの学食で働いていて、面白いから一緒に働かないかって誘われているの」
三木
「ここからではだいぶ距離があるんじゃないかな?」
三木の家内です
「4キロくらいよ」
三木
「4キロか、車で行くしかないな。運転は大丈夫か?」
三木の家内です
「大丈夫よ、最近お父さんがいないから買い物は私が運転していっているからだいぶ慣れたわ」
三木
「パートに出たら陽子の楽しみの卓球をする暇がなくなるんじゃないか?」
三木の家内です
「大丈夫、クラブの予定に合わせてシフトを入れてもらうから」
三木
「そうか、働けば陽子も世界が広がり面白いだろう。働き始めたら仕事の話を聞かせてくれよ」

三木はその大学でもISO14001なんて認証しているのだろうかとお茶をすすりながら思った。
お茶を飲みおえて陽子が立ち去ると、三木はノートパソコンを開いて吉本教授宛にメールを書いた。


送信ボタンをクリックすると三木はすっぱりと吉本教授のことを忘れた。明日日曜日の夕方にはまた出かけなくてはならない。そのためには企業のウェブサイト、会社経歴書、環境報告書それに製品カタログくらい見ておかないと・・

うそ800 本日の回顧
大学の先生や学生が書いたISO14001の論文は1998年頃から増加し、2001年頃がピークとなり、2008年からほとんど見かけなくなった。(この物語は2005年と設定している)

ISO論文件数推移

企業は1997年からISO14001認証のレースが始まったが、大学のISO認証は1999頃から増加した。だから認証活動や認証の効果を論文にしたのがその直後ということなのだろう。そして多くの大学が認証するともはや論文にする価値がないというか、人目を惹かなくなりヤーメタということだと思う。
最近はどうなんだとおっしゃるだろうが、2008年以降は大学の先生や学生の論文はまずありません。

うそ800 本日の苦労
えー、くだらないことではありますが、上記吉本教授の論文(?)を書くのに当時の大学の先生はどんなことを考えた(夢想したか)を再確認するために、この物語当時のISO14001に関する論文(s)を探しました。
そしてそれを参考にこの吉本教授の論文(?)を書くのに風邪でボーとした頭では3時間を要しました・・・決して楽なことじゃありません。まさにバカバカしいお話でございます。
ところで、自分の主張を文章にするのはいとたやすい。自分が信じること考えたことを論理でつなげて書けばよい。しかし自分と反対意見を文章にするのは難しい。なぜなら正直言って反対意見というものが生まれる根拠というか前提が理解できないし、おかしなこと、間違ったことを積み重ねて論じては分裂症になってしまいそうです。



名古屋鶏様からお便りを頂きました(2016.04.11)
何処かのコンサルタントがWEBサイトに「環境側面は点数だけではダメだ!法律や苦情なども特定しよう」と書いてあるのを見て「だったら最初からそれでいいじゃん。点数なんかつけなくても」と、画面の前で突っ込んだ記憶があります。

名古屋鶏さん、毎度ありがとうございます。
周回遅れのコンサルさんですか、サルじゃなくて猿人なのかもしれませんね。


たこ親父様からお便りを頂きました(2016.04.12)
番外編3、拝読。
紫の髪、意を感じました。
実践を経験していない人間が、もっともらしいことを言うのは彼女だけではなく、またこれからも続くのでしょう。井の中の蛙とはこういう人間を表現していると思います。マスコミの軽薄さも問題です。
聞くほうとして、だまされられないよう用心、用心。
それにしても、紫の髪は気持ち悪い(個人的嗜好です)。
以上

たこ親父様、お便りありがとうございます。
まず、髪の毛の色ですが、今は萌えの時代! 髪の色は黒・白・黄色がメインではありません。緑・青・パステル・蛍光色その他もろもろ、それで少し現代風を装ってみたのですが、お気に召さないなんて私カナシーと・・
髪の色はともかくとしまして、私も若干大学の先生とのお付き合いがありました(過去形です)。当然ですがISO関係とか環境関連のことからのつながりでしたけど、話が合いません。
どれくらい合わないかというと、中国の尖閣への主張と日本の主張くらい違うわけです。いや尖閣についてではなく、先生方がISOが会社を良くすると信じていたりするわけです。証拠があって主張するならまだしも信じて主張するわけで、対応に困ります。
ところがそういう先生方が権威だとか大御所だとか言われているわけで・・
そういえば節穴審査だと騙っていた東大教授もいましたし、某講演会の休憩時に連合赤軍を懐かしく語っていた東大教授もいましたね。(連合赤軍は環境と関係なかったですが)
まあそんな過去を思い出して少し揶揄してみましたというところです。
またの突込みを期待しております。

外資社員様からお便りを頂きました(2016.04.12)
おばQさま
風邪は回復されましたか?
寒暖の差が激しくて私も調子が悪いです。

いつも、興味深い内容を有難うございます。
大学の先生の認識をネタというのは、ご自身の経験もあり、然もありなむと拝読しておりました。
確かに、EMSのお話と経営は切り離せないですし、企業の存在理由を正しく理解しなければ、現実から乖離するのは当然なのですね。
あくまで、私の考えですが、企業は株主の為にあり利益を出すことが必至です。
もちろん、従業員も大事ですが、それはそこで働く人が企業の体そのものであり、人に例えれば、自身の健康管理する事と、社員、労働者を大事にすることは同義なのだと思います。
人それぞれに人生の目的があるように、企業の目的も様々ですが、存在し続ける為には利益を生み、株主に還元する必要があります。これは人が生き続けるには、水、食料、そして衣や住処、エネルギーが必要なのに例えられると思います。
利益を生むには、その源泉をどこかに求める必要があり、それには自然エネルギーを使う必要があります。
銀行やトレーダのように、金が金を生み、ネットなどバーチャル場が主体だろうが、それを実現するためのネットワークや情報処理システムは電力により成り立ち、末端の人間には食べ物も水も必要なのです。

ご紹介頂いたお話の中で、点数化による判定のお話が出てきました。
企業を運営するのに必要な、全エネルギーの正しい値は、計測不可能だと思います。
カミ、ゴミ、電気は見える範囲の一部ですから無理やり数値化はできますが、企業が購入した情報処理機器や、機械、事務用品も、何らかのエネルギーと資源を使っています。
当然に、そこで働く人間も、衣食を消費し、エネルギーを使っています。
こういう観点で、企業が使っている本当の全エネルギーを把握しようとしたら不可能です。
企業に限らず、太陽電池パネルのような製品に絞ってみても、パネルを製造するまで遡った全エネルギーを算定する事は不可能で、結局 太陽電池パネルは、どれだけ発電すればエネルギー収支が黒字になるかは不明です。
太陽電池パネルだけでも無理なのですから、複雑に組み合わさった企業全体のエネルギーの定量化は不可能です。
ですから、カミ、ゴミ、電気などの、可視化が容易なものに着目するのでしょうね。
裏返してみれば、可視化できないものの管理はどうするか、その量は およそで良いから可視化できるものに着目するのでしょう。
しかし、ご指摘の通り、可視化できるものだけ管理しても、それ以外が見過ごされるなら意味がない。
だから、会社経営では、金に換算するのが一番簡単で、無理がないのです。
世の中にあるものは、使われた材料費、人件費、エネルギーなどに基づいて値段がついています。
(例外は補助金がらみですが、とりあえず脇におきます)
私が思うに、値段で物事を考えるのが、大きな誤りが無いのです。
損して得取れという高度な経営判断は経営者がすれば良いので、日々の企業の内部では利益や経費に基づいて判定する限り、大きな誤りは起きにくいのです。

それを考えると、教授の論文は、テニスコート、喫煙、駐車場などと、見事に金に関係なさそうなものばかりなのです。
空調機も、騒音問題との事で、これも金額換算から見事に逃げているのです。
なんで、こういう活動はお金から離れるのかと考えてみましたが、金になると現実に向き合うから嫌なのか、それとも、大学教授なるものは、お金などは汚いと考えおられるのか?
(こんなに薄給だと給与明細を公開した京大教授もいたような...)
何でも金だというのも極端な考えで賛成しませんが、金を無視しては企業は成り立たないのだと、当たり前の結びで済みません。

外資社員様 毎度ありがとうございます。
21世紀も16年もたった今では、「環境側面は点数でなければ!」と主張する狂信者はだいぶ減っては来ていますが、20世紀はこの点数教(点数狂)を信じない者は異教徒であると死刑を宣告されました。私も十字架に磔られた一人ですが、残念ながらとらえられた者がとらえた者よりも強かったために返り討ちにしたという点数教の汚点となった模様です。
そういう観点から見るとこの吉本先生、悪に腰までつかっていたのがなんとか抜け出そうともがいている状況です。
点数法そのものを考えると、そんなこと不可能なことは明白です。ガソリン10リットルと重油10リットルを比較したとき、どちらが危険かわかるはずありません。そりゃ火が付きやすいといえばガソリンですが、こぼしたときの汚染を考えると重油の方が長引くでしょう。人体にこびりついたものを拭き取るにはとか、魚への影響とかもろもろ考えると、比較できないというのが答えだと思います。ましてやガソリンと廃棄物とか、電力と紙の使用量なんて比較不可能でしょう。
しかし点数でなければ人に非ずという主張というか教義は20世紀を通じて正義でしたし、今でもかなりの勢力であるということは間違いない事実です。
まあ、そんなふうにISO14001が堕したからこそ認証が伸びず消滅に全速力で進んでいると私は考えています。
作戦であろうと作品であろうと、その目指すところがしっかりとしていなければ、仕上げとか飾り付けでどうなるわけではありません。ISO9001やISO14001が出現したとき、その正しい理解を広め、それによって遵法と事故防止を務めればハッピーだったのですが、なぜか先生方は「ISO規格は公害防止とは隔絶して高尚なものであるぞ」とのたまわったおかげで、みなからお神輿に担がれ敬い遠ざけられて今があるということですね。
合掌

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