異世界審査員11.中盤

17.08.04

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。

異世界審査員物語とは

社内で横領とかセクハラといった犯罪を犯した(注1)場合、どれくらいの割で告訴され、おおやけになるものだろうか。おっとここでは個人、またはグループが個人的利益のために行ったものに限定する。偽装請負とか談合など企業の利益のために行ったものは対象外とする。
そのように限定しても、多種多様である。類型化すると

・窃盗、横領
お金だけでなく書類などもあります。
形のない情報だけのときは営業秘密侵害罪などになる。
・業務妨害
集団で退職とか引き抜きなどが該当するそうです
・詐欺
非該当の飲み食いを交際費で処理したり、通勤手当の不正な受領
・背任
不適切な貸付、取引
・棄損
備品や情報の廃棄
・暴行
アレルギー食品を無理やり食べさせると暴行、発症すると傷害罪
無理やり酒を飲ませるのもいけません
・セクハラ
猥談、身体接触、権限を笠に着て関係を要求

最近では情報セキュリティ、パワハラなど新しいものが続々追加されて、まさに浜の真砂は尽きるとも・・・であります。
で、これらの社内犯罪が発覚したとき、そのうちいかほどが検察に告訴されるのかというと、あまりというかめったにない。むしろ稀有なことらしい。公にしない理由として、会社の信用(評判)に関わるとか、風評被害が発生するとか、当然社内・社外に多数の関係者がいて調整がつかないことなどによるそうです。
司法とは自力救済を禁じ、公的な権力が法に基づき罰を与える仕組みのはず。とはいえ個人から見れば、わざわざ検察を煩わさなくても、実質的に同じなのかもしれない。(注2)

ここは皇国大学の学食である。
藤田中尉が皇国大学時代の指導教官に、論文の紀要への掲載をお願いに行った帰りである。まだ昼時ではないが久しぶりに大学に来たので学食を食べたくなった。
かつ丼を食べながら先ほどの先生との話を思い返す。
かつ丼 先生は生産工学を教えている。扶桑国の職人は徳河時代から良い仕事をしていたが、良いという基準は個人的なものであり、維新以降の工業化社会においてはもっと普遍的な基準で良さというものを客観的に評価する方法が必要だという。そしてそれを研究しているという。
先生の話では英語ではクオリティというそうだが、それに見合った語彙が日本語にはないそうだ。
藤田中尉はそれを聞いて確かに自分がしている調達においても、受入検査以前にその良否とはいかなる意味なのか、概念から明確にしなければいけないと思う。実を言って藤田は以前から良品、不良品の境目はなんだろうと考えていた。ゲージに入るとか入らないということが本質ではないと思う。結果というか本質的には使用者が使えれば良品であり、使えなければ不良なのだ。つまり使用者が満足するか否かが良否の境目のような気がする。ただそこんところが理屈的に説明がつかない。つまり使用者が希望というか要求を明確に仕様に表わせない使用者側の問題なのか? あるいは使用者の真の期待を読み取れない製造者の問題なのか?
そんなことを徹底的に考えたいと思う。先生とあの伊丹氏と三人で討論できたら面白いだろう。

おっと本題であるが、持ち込んだ論文を見た先生は斜め読みしただけで、いたく驚いたようだ。そして工廠長の推薦状を見て更に驚いた。砲兵工廠長である陸軍少将の推薦状を無視できるわけがない。
それはともかく、先生曰く、工事などの工程を図表にする方法は昔からあったが、このように体系的に、しかも作業を工程とまりでなく人工にんくまで展開し、しかも人工を管理指標として進捗を把握する方法はみたことがないという。それに工事期間を最短にするとか費用の管理までを含めた計画とはすごい。
ただこの論文が学問にあたるのか否かはわからない、紀要の掲載は推薦するが博士号といった性質ではないだろうねえという(注3)
藤田中尉は紀要掲載だけお願いする。希望はかなうだろう。
かつ丼を半分ほど食べたとき、藤田中尉は肩を叩かれた。振り向くと大学時代同期だった橋本がいた。会うのは卒業以来だから3年半ぶりだ。

藤田中尉
「おお、橋本君じゃないか。ええと君は確か建設会社に行ったんだよな」
橋本
同期の橋本である
橋本
「四井建設だよ。藤田君は陸軍技術士官、将来は将官だね」
藤田中尉
「冗談はよしてくれよ。軍隊や官庁は将来どこまでいけるかわかっちゃうんだよね。俺の場合、せいぜい中佐とまりだよ、それも退官直前にね」(注4)
橋本
「将来はともかく、今はどんなことをしているんだ」
藤田中尉
「おかげさまでだんだんと大きな仕事をさせてもらっている。秘密じゃないから言うけど、最近まで練兵場建設工事の現場責任者だった」
橋本
「ああ、それ聞いたことがある。新しい工事管理の方法を使い工期短縮を図ったとか」
藤田中尉
「へえ、橋本君も知っているほど有名なの。そいじゃ論文にする価値はあったわけだ」
橋本
「え、論文ってどういうこと?」
藤田中尉
「言ったろう、俺がそこの現場責任者だったからさ、竣工後それについて論文を書いたんだ。実は今日は指導教官にその論文を皇国大の紀要に載せてもらうようお願いに来たところなのさ」(注5)
橋本
「へえ、藤田君が論文を?」
藤田中尉
「橋本君も紀要が出たらぜひ読んでくれよ。建築だけでなく開発や生産体制構築など大きな仕事の管理には役に立つと自負している。もっとも論文は60ページくらいあるんだが、紀要は要約で8ページだ。興味があったら大学の図書館で全文を読んでほしい」
かつ丼を食べ終えると不思議な顔をしている橋本を残して藤田は立ち去った。元々橋本とは親しかったわけじゃない。


遡って数日前、日本の新世界認証認証のオフィスである。
福山取締役は伊丹と別れた後、しばらく考えてからスーツを羽織って出かけた。
地下鉄で二駅ほど行った二流のオフィス街の雑居ビルに入る。ビルの壁面には「〇〇司法書士事務所」とか「〇〇法律事務所」なんて看板がたくさんついていた。そういう業種が集まったビルなのだろう。
地下1回にエレベーターで降り、「〇〇興信所」と表札のある事務所に入る。

窓のない部屋に、福山取締役そっくりで10歳くらい若い男がいた。
福山取締役
「ごめんください」
福山取締役の弟
「ハイ、いらっしゃい、
あれえ〜、やっと客が現れたと思ったら兄さんか」
福山取締役
「仕事を頼みたい」
福山取締役の弟
「それはうれしいなあ、まさか義姉さんの浮気調査じゃないよね?」
福山取締役
「うちの取締役なんだが、ちょっと挙動不審だ。家族関係、不倫、借金など調べてほしい。それと合わせて石田といううちの社員、実はその取締役の娘婿なんだが、そいつの調査も頼む」

福山取締役は写真や関係資料をA4サイズの封筒から出して弟に渡す。

福山取締役の弟
「よくある仕事だから難しくないよ。期限は?」
福山取締役
「急いでいる、10日以内だな」
福山取締役の弟
「それは日程が厳しいなあ〜、同業者にも協力を頼もう。大丈夫だ、まかしといて」


1週間ほど後、ここは扶桑国東京府にある四井建設の一室。
橋本が仮綴じの冊子を真剣な表情で読んでいる。見ているのは一月後に発行される皇国大学の紀要の試し刷りだ。

橋本
これはすごい、あの藤田がこれほどの論文を書ける人間だったとは知らなかった。先日来た新世界技術事務所の、なんていったかな、そうだ石田だ、あの男が語っていたことはこの論文のほんのさわりだ。この紀要はサマリーだろうけど、ここに書いてあることだけでもあの話の10倍の内容がある。
藤田ってすごい奴だ
橋本
論文
この藤田の論文が元ネタに違いない。たぶん石田は藤田が書いたこの論文を読んで、記憶にあることを語っただけなんじゃないかな?
ということは論文を書いたのが藤田であることは間違いない。それに陸軍中尉が書いて皇国大の紀要に載った論文と、民間企業が書いた論文をどちらが信用されるかと考えれば一目瞭然だ。ましてや紀要には陸軍少将の推薦文まで載っている。
我々が論文や書籍を出せば恥をかくどころじゃない、盗作は犯罪だ。石田の話を鵜呑みにしていればとんでもないことになるところだった。これは一刻も早く部長にお話しせねば。
しかし大学に行ったとき藤田に偶然会ったこと、そして声をかけたこと、論文の話が出たこと、つくづく運がよかったと橋本は思った。


工藤は会社を抜けて、一族の長老に会いに来た。
一族といっても血縁者ばかりではない。半分伝説だが、昔々ある村に異様な姿をした人が現れたという。その人は道に迷ってしまったということだった。村の人たちがその人と一緒に道を探して無事に帰ることができたという。そしてそれ以降お互い行き来が始まり、片方の村が災害や戦争にあったとき逃げ込んだり助け合ったりを繰り返してきたという。一族とはその村に住んでいた人々の子孫である。

長老
一族の長老である
工藤番頭
「新しく向こうの代表になった吉本さんのことですが、こちらに設立した会社の金を横領しています。いくら社長とか向こうの責任者といえ、これは問題です」

長老
「証拠はあるのだな」
工藤番頭
「あります」

長老
「それはこの世界の犯罪か、それとも向こうの世界の犯罪か?」
工藤番頭
「犯罪はこちら側で行われていますが、被害者は向こうの世界の人です」

長老
「どうしたいのだ?」
工藤番頭
「私たちに被害がないとはいえ、盗人と付き合いたくはありません。向こうに代表者の交代と吉本さんの処罰を申し入れたいのです」

長老
「もっともだな。対応をお前に一任する」
工藤番頭
「承知しました」


新世界認証の福山取締役が弟に依頼して6日後、弟から連絡を受けて再び事務所を訪れた。

福山取締役の弟
「兄さん、いろいろと面白いことが分かりました」
福山取締役
「そいじゃ面白い話を聞かせてもらおうか」
福山取締役の弟
「かいつまんで言えば、吉本取締役の娘さんが投機をやっていて、運悪くというか当たり前なのか7,000万ほど損を出したんですよ」
福山取締役
「それくらいなら夫である石田君がなんとかするだろう」
福山取締役の弟
「兄さん、冗談がきついよ。一介のサラリーマンになんとかできる金額じゃありません。
それが半年前、それから石田は仕事もせずに金策に駆け回っています」
福山取締役
「ちょっと待てよ、仕事もせずとはどういうことだ?」
福山取締役の弟
「兄さんは社員が出社していないのに気付かなかったの。それほど大きな会社じゃないと思うけど、アハハハハ
会社に行かず、親戚とか同級生とか歩き回っていたようです。その間も月給をもらっていたんだから優雅ですねえ」
福山取締役
「うーん、そういうことか。それで向こうにも行かなかったわけだ」
福山取締役の弟
「向こうってなんですか? ともかく石田になんとかできるわけはなく、ほどなく義父である吉本取締役に泣きついたわけです。製造物責任てやつですかね、」
福山取締役
「子供が成人すりゃ親に責任はないだろう。親に責任があるってなら投機で儲けた金は親のものだ」
福山取締役の弟
「まあまあ、それからは吉本取締役が金策に走り回っているようです」
福山取締役
「吉本にしても俺にしても取締役なんて名前だけで、実質はサラリーマンだもんなあ〜、財産なんてないよ。せいぜいが住んでいる家くらいだ。毎月30万横領しても焼け石に水だろう。
あっ、石田夫婦を向こうに逃がす手もあるか。あちらに逃げれば債権者は手が届かない。でも逃げても横領した金は説明付かないが、そういや伊丹をこちらに戻したいというのはそれか? 罪は伊丹にかぶせて追放すればすべてが丸く収まる」

東京府、新世界技術事務所である。

吉本取締役
「はっ、例の論文と書籍の件、なかったことにですって?
えっ!、論文を盗用したですって!
ちょっと、ちょっと待ってください」
吉本は既に切られた電話に向かって話し続けていた。

数日後、東京の新世界認証の会議室である。
社長と福山取締役、向かい合って吉本取締役が座っている。工藤と石田、伊丹は隣の部屋にいる。

吉本取締役
「つまり取締役解任ということですか」
認証機関の社長
「そうじゃない、辞任されたらどうですかという提案だよ」
吉本取締役
「じゃあ辞任しなければならない理由は何ですか」
福山取締役
「あまり公にしない方がいいと思いますよ。大事にすればこの認証機関の株主会社10社に報告しなければなりませんし、そうなれば吉本取締役ひとりの問題では済まなくなります。
お断りしておきますが、吉本取締役のしていたことはすべて調べがついています」
異世界で事業を始め
るなんて話に乗った
俺はバカだ

社長
新世界認証の社長である
認証機関の社長
「辞任するなら横領と石田君の無断欠勤、それに向こうでのやりたい放題、伊丹君への名誉棄損は見なかったことにしよう。伊丹君もそれに同意している。
もちろん君がおとなしく辞任した場合だ。そうすれば賠償を求めず刑事告訴もしない。それに退職金というか退職慰労金も出す」
吉本取締役
「石田の方はどうなりますか?」
認証機関の社長
「彼はうちの社員じゃなくて出向の身分だ。だからうちとしては、出向解除して元の会社に戻ってもらう」
福山取締役
「抱えている負債は、吉本取締役と石田さんの退職金、それに吉本さんと石田君の両方の家を売ればなんとかなるんではないですか」
吉本取締役

「そんなことをしたら無一文だ、破滅だ、我が家も石田の家庭もおしまいだ」

吉本取締役は手がブルブル震えている。

福山取締役
「吉本さん、当社に甚大な損害を与え、そして伊丹君の人生を破滅させようとしたにしてはずいぶん自分勝手ですね」
認証機関の社長
「当社の被害は横領だけではない。向こうでは顧客や見込顧客を失い更には評判の悪化、そういった機会損失のほうが大きい。もう向こうの事業継続は難しいと考えている。自分のしたことはわかっているのだろうな」
吉本取締役
「ええと、私の家族と石田の家族を向こうに移り住むことはよろしいですか」
認証機関の社長
「それは私が決められることではない。向こうが決めることだ。それと君はこちらの世界の代表を解任されたそうだ。向こうの工藤君がそう言っていた。だから向こうの許可を得る前に、こちらの一族の許可がいるだろうね。
しかしさ、こちらで負債を精算できるなら逃げることはなかろう。それとも当社が告訴しないなら借金を踏み倒して向こうに逃げるつもりかい」

結局、吉本取締役は辞任することを選んだ。
福山取締役が隣室の3人を呼んで詳細を打ち合わせる。
石田マネジャーも出向解除に同意して元の会社に戻ることになった。戻ってもすぐに退職することになるのだろう。恥ずかしさもあるだろうし、なによりも退職金をもらわなければならない。家を売っても住宅ローンがあるから負債はかなり残るようだ。まあそのあと真面目に働けば食ってはいけるだろう。主任審査員の資格があるからノンジャブなら契約審査員はできるだろう。
伊丹は実質的な被害はないが、へたをすると横領犯にされていたわけだから同情はまったくない。

認証機関の社長
「それでは吉本君、石田君はもういい、退席してくれ。おっと机の整理をしていってくれよ。もう出社しなくてよいようにね、
さて次は向こうの事業をこれからどうするかだ」
工藤番頭
「私は向こう側を代表しているとご理解願います。向こうの産業発展のために、この事業は重要であると認識しています。それで事業継続を求めます」
認証機関の社長
「そちらの希望も判る。もし事業を継続した場合、どれくらいの期間で回収できるのだろうか。1年2年ということはないだろう」
工藤番頭
「この事件がなければ1年で十分回収できたと思います。しかし今回の騒ぎで客も逃げてしまいました。また一から始めなければなりません。うーん、正直苦しいですね」
認証機関の社長
「会社を精算したら回収できるのはいかほどになるかね?」
工藤番頭
「元々そんなに金をかけたわけじゃありません。建物は借家ですし事務所の家具も借りものです。資産といえるものはせいぜい電話くらいです。
費用だって節約をモットーとしていましたし、まあ社長と石田さんはしょっちゅう人力車を使っていましたが」
認証機関の社長
「ちょっと待てよ、吉本取締役を呼べ・・・といってももういないか。
吉本取締役の報告とは違うぞ、ひょっとして奴が抜いていたのか?」
福山取締役
「そのようですね。とはいえ我々が今日の打ち合わせ前にそれを知っていたとしてもどうしようもなかったでしょう。奴もない袖は振れないでしょうし、我々にできたことはせいぜい告訴するくらいしかありません」
認証機関の社長
「まるまる損金かあ〜、株主会社への説明が大変だな。処理するしかないか」
福山取締役
「それがよさそうですね、というかそれしかない」
伊丹審査員
「投資した金額は知りませんが、現在あるものを私が買い取って事業を継承するということはできませんか? 今聞いた程度のお金なら個人で出せると思います」
福山取締役
「伊丹よ、この会社を辞めてお前は向こうの世界でやっていくというのか?
そりゃ冒険だぞ。失敗すれば全部自分持ちだし、成功しても向こうの暮らしは楽じゃないだろう」
伊丹審査員
「定年まであと8年、審査員を続けるか、向こうで苦しくともチャレンジするかって選択ですね。チャレンジとは言いましたが、向こうは時間がゆっくり流れているので、のんびりと生きていけるかと思っています。
実を言ってこの問題が起きる前に、家内と向こうで暮らすことに決めていました」
福山取締役
「なんだとう!お前の嫁さんは俺の妹だぞ、辛い暮らしをさせたくない」
認証機関の社長
「ホウ、そりゃ初めて聞いたわ」
工藤番頭
「私も初耳ですが、福山取締役さん、それならなおのこと私どもで配慮いたしますからご安心ください」
認証機関の社長
「まあ、それは伊丹夫妻が考えることだな
ところで伊丹君が買い取るとして、事業をしていくには向こうの一族の支援は必須だろう。工藤さん、それはどうなんだ?」
工藤番頭
「実は私どもとしても会社買収の提案をしたかったのですが、いかんせん専門家がいなければ事業ができません。もし伊丹さんが残ってくれるなら私どもが会社を買収したいと思います。なにせ今まで仕事をしていたのは伊丹さんだけで、石田さんは顔も出さず、吉本社長はお金をちょろまかしていただけで営業もしませんでしたし、
おお、社長さんのご心配なら大丈夫です。私も一緒に仕事していくつもりです」
福山取締役
「売却しても微々たる金額、我々が投資した責任問題は残りますね」
認証機関の社長
「とはいえそれは我々の問題だ。このお二人に愚痴っても始まらない。すべては吉本が持ってきた異世界で事業をしようなんて夢物語に乗った我々の責任だよ、慚愧、慚愧
ともかくすべてきれいにして引責辞任といきたいね」(注6)
福山取締役
「社長、そりゃ甘い。損出を挽回するまで退任を認めずってことになるでしょうなあ〜

うそ800 本日のエクスキューズ
これで終わりかって、冗談じゃない。やっと物語の舞台ができたところです。
これから伊丹が異世界で品質保証を広め、品質保証規格を制定し、第三者認証制度を確立していくのです。前途洋洋じゃありませんか。いや前途多難か、

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注1
犯罪を犯すというのは重ね言葉で誤った言い方かと不安になり調べた
「犯罪する」、「被害する」という言い方はないから、犯罪を犯す、被害を被るというのは正しい日本語だそうです。それを信じます。
注2
実際に告訴されるものはわずかであり、告訴されても起訴されるのは半分もない。裁判まで行って実刑になったものはほとんどない。
体面や手間を考えると、犯人に弁済させて解雇するだけなのだろう。そして金がなければ刑務所送りにしてもナアナアにしてもとりようだない。もちろん裁判記録が残るか残らないかが異なるが、周囲にはバレバレだろうから転職や結婚などそれ以降の生活ではそれなりに不利になり法的制裁がくだったのと実質同じかもしれない。
参考1参考2
注3
実際のヘンリー・ガントは工学修士の学位を受けているが、どの研究でかはわからない。日本では明治、大正時代には博士と学士の学位しかなかった。修士ができたのは1953年である。
注4
防衛大を出た人がどの階級まで昇進するのかというと、三佐までは間違いなく昇進し、定年直前に二佐になって退官というのが普通らしい。現役で二佐以上になるのは優秀な人のみ。護衛艦の艦長は一佐か二佐だから艦長になるのはすごい人だ。最近は女性の艦長も現れているが超優秀なのは間違いない。
昔の士官学校を出た人はどうかというと、士官学校だけではやはり中佐止まり。中尉・少尉の時に陸軍大学校とか海軍大学校に行かないとそれ以上にはなれなかった。
ところで技術士官の場合は正確には将校ではなく将校相当官であり、同等に遇されたにすぎない。そして技術士官の最高位は中将相当官までしかない。それは医科や主計なども同じである。
注5
東京帝国大学が発行する論文集を紀要と称したのは1914年であり、この物語より遅い。まあ気にしない、気にしない
注6
この横領が大問題と思われた方、ご心配なく
2017年現在、EMSとQMSあわせて認証件数は5万件。これを50社で分け合っているから、大手で2,500件、中堅で1,000件、弱小数百というところだろう。
この認証機関が中堅どころとして、1件の審査料金が55万で売上が5億5千万、利益率3%として2,000万。だから異世界の新事業に投資した額はせいぜい2,000万くらいのはずだ。完全にロスとなっても石田の嫁さんが溶かしたお金よりも少ない。業界設立だし、責任問題を騒ぐことはないでしょう。認証機関が傾きそうなら各社200万ずつ出せば済む。毎年エコプロダクツ展で一社数千万使うのだから気にしないだろう。

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