システムって?

17.05.08
私は恥ずかしながら英会話教室で習っている。70の手習いである。そこに通うようになって3年半くらいになる。上達したかと言われるとあまり(全然?)上達していない。じゃあ無駄だと言われるとそうなのだが。とはいえ英会話以外でも勉強になることは多い。本日はそんなことを・・・

私の習っているところは短い会話文を提示して、それを基にフリートーキングしていく。内容について話したり単語を入れ替えたりして、状況を踏まえた言い回しと単語を覚えていこうという進め方である。
そんな中で先生が次のようなことを言った。
I don't really like the system where the wife controls all of the money.
意味するところは「奥さんが家計を預かるのは気に入らん」というらしい。
ちなみにこの先生アメリカ人であるが奥さんは日本人である。気に入らんというのだからたぶん奥さんがお金を握っているのだろうと推察する。いや my wife でなく the wife とあるからそうではないのかもしれない。
まあ、それはともかく、何でも口をはさまないと収まらない私であるから
I think system means a large mechanism or orgnaization.
とのたまわくと(冗談だよ)、先生は「システム」という言葉は日常使われるカジュアルな言葉であること、そしてそんな大仰なイメージはないという。
そして例えば普通はこんな風に使うという。
I always put everything on the floor, it's my system.
「俺はなんでも床にじか置きする、それが俺の習慣さ」
私はそんな習慣はないが、そういうのをシステムというとは知らなかった。
その他、
If I'm going to drink with coworkers, I have to call my wife before 4 o'clock, it's my family's system.
なんてのも例にあげた。この場合、systemは約束とか決まりと訳すのだろうか。
へえ! システムってそんな意味もあるんだと正直驚いた。

 ワカラン
ワカラン
師のたまわく、システムとは「仕組み」とか「体制」という意味もあるだろうが、日常会話では「約束」とか「習慣」という意味で使われることが多く、せいぜいが「ルール」とか「手順(プロシージャ)」という意味だという。もちろん工学では大掛かりな機構とか制御システムという言い方もあるだろうという。
私が辞書ではトップに「支配体制」が来るというと、そういう意味もあるだろうが普通はそんなこと考えもしないよという。
「システム」とは普通の会話では習慣とか約束とか手順という意味で使われると聞いて驚いた。今まで私が思っていたニュアンスとは全然違うじゃないか。

    英英辞典で確認しよう。
  1. a group of related parts that work together as a whole for a particular purpose
    ex. an alarm system
      the railway system
  2. an organized set of ideas, methods, or ways of working
    We've got a good system for dealing with complaints from customers.
    I don't understand your filing system.
    Under the present system, we do not have any flexibility.

先生が言った習慣とか約束というのは2番目らしい。そして英和辞典でトップに来る「支配体制」という本来の語彙は今では英英辞典のトップに上がってこないようだ。元々の意味であっても既に日常使う語意ではないのだろう。

もちろん日常会話でsystemがどういう意味で使われようと、ISO規格では定義された意味で使われる。
ISO14001では「システム」は定義されていないし、単独では使われていない。
ISO9001はISO9000:2015の定義を使うことになっている。そこでは「相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり(3.5.1)」となっている。これは以前から変わらない。
つまりISO9001では習慣とか約束とか手順ではなく、相互に関連する又は作用する要素の集まりであることは間違いない。

しかしそのことから私の妄想が始まったのである。
ISO規格で定める「相互に関連する又は作用する要素の集まり」といってもそれをどう理解するかは一意ではなく多様であり、スタンスというか視座によっては異なるだろうということだ。
前述した英英辞典にある alarm system だってセンサーや電子回路から成る自動監視警報システムもあるだろうし、ボタンを押せばベルが鳴る素朴なものであるかもしれない。

まず思ったこと。
システムというのは確かに「相互に関連する又は作用する要素の集まり」なんだろうけど、大きなこととかものすごいことという先入観で理解しようとすることはないだろう。システムとは大仰に考えることなく、日常の約束事とか決まりの総体なんじゃないだろうか。
そう考えるとルールが決まっていないとかプロシージャがないなんて会社はない。どんな会社だってクラブだって方法とか担当とかは決まっているだろう。親方がその都度決めている組織があったとしても、親方が決めるというルールはある。ISO規格が手順を明確にというけれど、トップがすべてを決めるというルールも手順もあるわけだ。そしてそれくらい簡単なら明文化するまでもなさそうだ。

夫婦とか二人の間の約束や、自分一人の習慣でもシステムというならば、システムとは約束とか決めごとと何が違うんだろう? 〆張鶴
思い返すと40有余年前、結婚した直後のこと。当時同じ会社で働いていたので、家内はまっすぐ帰って夕飯を作り、私は同僚と少し飲んで帰るという習慣だった。とはいえ日によって私が飲むのがもっきり1杯のこともあり3杯のときもあり、帰宅時間は1時間くらいは異なった。家内がそれでは困るので毎日同じ時刻に帰宅するようにしてくれと言った。
1970年代半ばは携帯電話なんてなかったし、一般人は特段のことがなければ電話なんてしない。まあそんなことがあるたびに家内と話し合い、帰宅時間だけでなく小遣いの額や家計の話、将来設計などを詰めてきたわけだ。そういうのをシステム構築というのかもしれない。もちろん子供ができたり大きくなったりリストラにあったりの都度、そのシステムは見直しされたわけだ。まさにISO規格通りである。

お断り 私が家事を手伝わなかったことを責めらせそうだ。おっしゃるとおりである。
とはいえ今から50年も前は夫は家事を手伝うなんて考えは毛先ほどもなかった。それに家内が家の中を私がいじるのを嫌ったこともある。
もっとも今になると結婚当初から家事を分担していればと後悔している。

その頃、会社で製品を一定時間動作させたのち検査するという工程があった。初めはキッチンタイマーで時間を設定してピピピと鳴ったら通電を止め、検査装置につないでいた。私はそれをタイマーとリレーを使い通電を開始して設定時間がたったら、スイッチを検査装置に切りかえるようにした。私は冗談でそれをエイジングシステムと呼んでいたら、先輩格の人がシステムとはそんなもんじゃない、もっと大掛かりな装置を呼ぶ言葉だからおかしいという。元々遊び半分で呼んでいたのだが、それ以降はその装置は名無しになった。今となっては単なる思い出だが、そのときは正直少し面白くなかった。
日本ではシステムという言葉は大仰なハードウェアを仕込んだ仕組みやコンピュータを使ったものに使われたので大掛かりなものをシステムと呼び、小さな仕掛けはシステムと呼ばないという固定観念ができたのではないだろうか?

もうだいぶ以前、ISOの講演会で某ISOTC委員が「システムとはインプット・プロセス・アウトプットだ」と講釈を語っていた。たぶん2000年改定のときだったかもしれない。
何でも口をはさまないと収まらない私であるから「システムとは組織・機能・手順ではないか」と突っ込んだ。すると「おまえは間違っている」と私をさも軽蔑したように言われた。
でもどうもそうじゃないようですよ、カジュアルなシステムにも語源である支配体制にもISO規格においても、システムという語の意味は「インプット・プロセス・アウトプット」ではなく「組織・機能・手順」としか思えませんが?

一応確認してみよう。
英会話の先生が
あげた例
某ISOTC委員説私の考え
inputprocessoutput組織機能手順
主婦がお金を管理する?要求?判断?出金○:夫婦○:決裁と管理○:奥様の判断
物を床に置く○:この家○:置く○:床に
飲むときは電話する?お誘い?電話○:夫婦○:連絡する○:電話

インプット、プロセスという発想では三要素がうまくあてはまらない。それに対して、私の考えなら三要素すべてがぴったりとはまるではないか!

注: 「システムとは組織、機能、手順である」というのは私個人の思い付きではなく、アメリカ軍や自衛隊における基本的な理解である。そればかりでなく経産省や情報処理においても一般的な理解である。「インプット・プロセス・アウトプット」の方が特異解と思える。
ちなみに1987年版のISO8402ではシステムとは「組織の構造、責任、手順、資源(structure, responsibilities, procedures, processes and resorces)(3.8備考)」であった。ここでプロセスとはなにかとなるが私が思うのは

すべてのものごとは根本に戻って考えると明快になる。
そういえばだいぶ前に「方針」は「ポリシー」ではない。ポリシーはもっと即物的で具体的なものだと書いたことがある。
そして本日、新たなトリビアが生まれた・・・・ホントかな?

うそ800 本日の蛇足
英会話教室で quarrel と言ったら、今どきそんな言葉使わない、argue だという。調べると quarrel は古語だと書いてある辞書はなかったが、ネットではそう書いているのは多々あった。
ちなみに英会話教室に入った頃、 How are you? と言われて Fine と返したら、呆れたという顔をして Good と言えと。そしてこれは単なる決まり文句(greeting)だから、自分が重病でも親父が死んでも Good というと。特に親しい間柄でなくちゃ具合が悪いなんてプライベートなことは言わないそうだ。そうなのか? 自分の弱みを見せないためか、相手に気を使わせないためかは聞き洩らした。
なおそういう考え(習慣)はアメリカ人(都会人・田舎人)、カナダ人共通だった。


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