*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。民明書房からの引用はありません。
日本を取り戻す
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8月31日朝8時20分 さくらは数日前から中野に連れられて皇居本丸に作られた司令部に来ている。服装は内務省の通知にあったようにモンペである。早い話が和風綿パンだ。見た目は悪いが動きやすい。中野はセーラー服か事務服にでもするかと聞いたが、さくらは後藤大臣が決めたことだとモンペを着ている。 中野も先日、帝太子に少将にしてもらってからは夏の軍服を着ている。服だけで周りの見る目と扱いが変わるのがおかしい。 さくらが中野から指示されたのは、政策研究所の吉沢教授の手伝いである。音声や画像の通信機器、計算機、液晶モニターなどをラックに組み立て、屋外の発電機から電力供給する、そんな作業をしていた。これらの機器はこの司令部の要の要である。哨戒機や現場の部隊からの情報を受け、司令部が判断したことを指示するためのもの。 実は、地震発生が吉沢の想定していた9月1日でなく1日早まったことと、組み上げる時間が予想外にかかり仕事が遅れていて、吉沢はさくらが来てくれてホッとした。さくらは電子機器の組み立てなどしたことがなかったが、パソコンやオーディオ機器のセットアップくらいはしていたから、個々の機器の機能とコネクタが分かれば、大体はできる。 この司令部の指揮官である近衛師団長が、毎日何もせずにお茶を飲みながらさくらを見ている。周りの兵隊は、師団長がさくらを見る時の眼の色が違うぜなんて陰で話している。 さくらのおかげもあり8月29日にやっと組み立てが完了し、動作確認をしている。特段、問題もなく一安心である。 しかし、さくらはラックマウントされた機器を眺めて、なにか足りないなと気になる。見ていてやっと気が付いた。 | |
「吉沢教授、大変なことを忘れていました。地震対策が必要です。機器をラックに固定し、ラックを地面に固定しなければなりません」
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「えっ、それはどうして?」
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「だって揺れるでしょう。このままではラックは倒れるし、棚の機器は転げ落ちます いつ地震が起きるかわかりません。大至急お願いします」 | |
「オーイ、みんな集まれ。大至急追加作業だ。 まず機器を載せているラックの脇に杭を打って、杭とラックを縄で縛ってくれ」 | |
それを聞いて、まわりにいた技術者や兵隊がワ〜っと集まり、各機器を、麻縄や綿のロープで棚に縛り付ける。 それを後ろのテーブルに座っていた近衛師団長が面白くない顔をしている。 | |
師団長 |
「おーい、その女、そんなことはいいからお茶を出せ」
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さくらは聞こえたが地震対策が優先と考えて、自分も機器に張り付いて仕事をしている。 師団長が立ち上がってさくらの着物の襟をつかんで後ろに引き倒した。さくらが仰向けに倒れる。それを見た中野が立ち上がろうとする前に、岩屋とそのわきにいた憲兵が師団長に組み付き地面に抑えつけた。 師団長が「俺を誰だと思っているんだ〜」と大声を出したとき地震が来た。 8時30分 地震というのは速く伝わるP波が来て揺れの小さな初期微動が起き、その次に伝わるのが遅いS波が来て大きな揺れの主要動になる。新しいエレベーターにはP波センサーが付いていて、その時間差で自動的に停止するようになっている。だが震源と近いとP波とS波がほとんど同時に伝わり最初から大きな揺れが起こる。今回の地震も始まった瞬間からものすごい揺れだ。 固定された機器はなんとか棚の上で揺れ動いているが、まだ縛っていない機器はだんだんと棚からずれ落ち始めた。 吉沢は落ちないようにと手で押えようとするのだが、とてもそんなことができる状況ではない。吉沢自身も立っておられず地面に這いつくばってしまった。50インチのモニターが落ちて液晶が割れて液体が漏れる。 そして転げ落ちた機器の一つが師団長の頭を直撃した。岩屋たちは師団長を引っ張りテントの外に出た。周囲のテントはみなゆさゆさと揺れている。中にはテントが倒れ始めたものもある。 岩屋たちも四つん這いになってどうしようもなくあたりを眺めていた。 女性には泣き叫んでいる人もいる。 8時36分 揺れは止まった。 発電機脇に立てられた仮設の電柱にしがみついていた中野が大声を出す。 | |
「怪我人を救出しろ。 技術者は機器の点検を行え」 皆、中野の声を聴いて立ち上がり動き出した。 | |
「岩屋さん、師団長はどうですか?」
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岩屋と二人の憲兵がテントの外に師団長を引っ張り出して、その脇に座り込んでいた。師団長は目をキョロキョロしている。意識もあるようで見たところ出血もない。師団長が何かを話しそうだったので、岩屋は師団長の口を押さえた。 | |
「師団長閣下は地震の際に落下物を受けて負傷、意識がない模様です。直ちに外苑の救急診療所に搬送します」
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「了解した。師団長負傷により私が指揮権を継承する」
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「師団長が負傷し意識不明であるため中野少将が指揮権を継承したことを現認しました。 おい、指揮官旗を中野少将のところへ」 | |
岩屋が憲兵に診療所に運ぶように言ってウインクすると、憲兵は了解しましたといって、近くに座り込んでいる怪我人が顔を拭いた血だらけの三角巾をひったくり、師団長の頭に縛った。怠け者の師団長が仕事をしに戻るとは思えない。 中野がテントに入ると、吉沢が地面に腰を下ろして足を延ばしている。 | |
「吉沢教授、どうしたのか?」
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「ちょっと左脚を・・」
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「落ちそうになった機械を支えようとして左脚を負傷されました。骨折したようです」
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「機械はどうなんだ?」
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「固定したのはなんとか落ちなかったのですが、固定してなかったのはほとんど棚から落ちちゃいました。見た目がしっかりしているものは、元あった棚に戻しています。ただいま抜けたり切れたりしたコードを接続しています。動作確認はこれからです」
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「つまり、今は無線機も使えないということか?」
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「ハンディの無線電話は使えます。ただ哨戒機からのデータ送受信はできません」
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「地震の際に要となる機器の安全対策が漏れてしまったのは私の責任です」
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「今更責任といってもしょうがない。さくら、元に戻せるか?」
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「吉沢教授の仕事を見ていましたから元には戻せます。でも壊れてたらお手上げです。準備でき次第テストします」
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「頼むぞ、俺は動くことを祈るとしよう」
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8時50分 無線機の電源を入れることができた。電源を入れた瞬間に144メガで呼びだしが入ってきた。 | |
「こちら本部、どうぞ」
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「こちら哨戒機1号、本部は大丈夫でしたか?」
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「ちょっと被害はありますが大丈夫です。空から地震の被害が見えますか?」
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「家屋の崩壊がかなりあります。土ぼこりがひどくゴミも舞い上がり視界が良くありません。 あちこちで火災が発生しています。目勘ですが火元は数十か所あります。 ただ家屋の倒壊と火災発生は東京府と横浜、川崎を中心とする地域に限定されています。千葉、大宮はそうひどくありません」 | |
「了解しました。それでは飛行ルートを激甚被害地域を周回するように変更してください」
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「了解しました。大周りから東京・横須賀を囲むルートに変更します」
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「データ通信はこちらの機械がまだ動いていないので動いてから相談します。通信を終わります。 下総基地、応答してください」 | |
「下総基地です」
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「消防飛行機は発進しましたか?」
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「ただいま出撃準備中です」
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「遅いんじゃない、地震発生からもう20分経過していますよ」
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「すぐに離陸させます」
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「ソ式練習機は全機横浜に向かってください。大型機は東京に向かってください。離陸したら連絡ください」
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「了解しました」
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「霞ケ浦、聞こえますか」
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「霞ケ浦です」
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「消防飛行機は発進しましたか?」
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「全機離水しました。あと20分で東京に着くと思います」
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「ありがとう」
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9時00分 | |
「こちら戦車隊、こちら戦車隊」
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「こちら本部、どうぞ」
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「俺は車屋鉄三郎ってんだが、隊長が地震で怪我をして戦線離脱した。戦車隊本部に無線をしたが連絡がつかないんだ。どうしたらいい?」
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「纏のおじさんでしょう。直ちに予定通り防火帯作製に入ってください」
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「指揮官がいないんだ」
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「中野様、どうしましょう」
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「車屋さん、私は防災指揮官の中野だ。ただいま車屋さんを戦車隊指揮官を命じる。戦車と工兵を率いて防火帯構築にかかってほしい。消防飛行機を必要としたときは連絡すること」
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「了解しやした。すぐにかかります」
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9時05分 錦糸町駅近くである。戦車60台、ブルドーザー10台、歩兵2個小隊、工兵2個小隊、トラック10台ほどがいる。 | |
「おーい、野郎ども、戦車隊長が怪我で動けない。俺が代わりに指揮するんで了解してくれ」
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「おー」
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「それじゃ、作戦を開始する。もう一度言うからよく聞け。 ここを中心に北と南に向かって防火帯を作る。半分は北進、半分は南進だ。 歩兵は道路から奥行30m幅で住居の中の点検、人がいた場合は避難させること、工兵隊が来て爆破完了するまで人が立ち入らないよう監視すること。指示に従わない者は強制的に排除すること。北進組と南進組は直ちに作業開始のこと ええと工兵隊は爆破だ。トラックは25m間隔で爆弾を道路に置いていく。それを道路から15m入ったところに設置して爆破する。爆破の際は仲間の人数を必ず数え、逃げ遅れのないようにする。なあにたった50発だ。すぐに終わる。 戦車隊は戦車とブルドーザーで爆破後に残っている建屋をすべて平らにする。本来ならいろいろあるけど、今回は難しく考えずとにかく平らにすればいい よし作戦開始だ」 | |
9時20分 司令部で飛行機が把握した火災状況を大きなモニターで地図の上に火災状況を重ねて表示している。当初予定していた機器の約3割が破損してしまったが、生きている機器だけでなんとかしている。人間の方も最初の地震で3割以上が負傷して1割は救急診療所に送られた。 今は、中野をはじめ20人ほどがモニターを眺めて、あちこちに電話したり、無線で指示したりしている。 無線の交信は、ほとんどさくらがしている。 | |
9時25分 | |
「消防飛行機が下総から10機、霞ケ浦から7機来ています。消火場所の指示どうしますか?」
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「こちらの表示板も、担当者も戦力が半減しました。それで哨戒機から指示願います。 基本的な考え方ですが、場所的には、千代田区、中央区、文京区、新宿区、港区、台東区、墨田区、江東区の優先順序で行います。 第二に、人がいるところを優先します。避難完了場所は非優先、つまり放っておきます。 第三に風上など燃え広がる場所を優先します。後ろが海など燃え広がる恐れのないとことは後回しです。 その優先順序であとは機械的に判断してください」 | |
「了解しました。それでは手始めに千代田区と中央区の消火を始めます。 それから横浜の本部が沈黙しているのです。そちらも同じでよろしいか?」 | |
「東京と同じく、哨戒機が先ほどの基準で判断し消火作業を指示してください」
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「さくら、そんなに簡単に機械的に決めて良いのか?」
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「中野様のお考えをいただければ変更します」
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「うっ、確かに・・・すべてに対応できないなら大事なところだけということか」
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9時35分 私は海軍追浜航空隊の友保大尉である。あと少しで横浜の港だ。地震で下総基地の幹部が慌てたようで地震が収まってから出撃命令がでるまでだいぶロスがあった。戦争なら負けが決定だ。一段落したら上申せねばならない。 おっと、もう横浜の街が見える。いやはや建物のほとんどが瓦礫になっている。それにどうだ、いたるところで火が上がっている。 「横浜の司令部、どうぞ」 友保がいくら待っても返事が来ない。 | |
「哨戒機、どうぞ」
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「こちら哨戒機、どうぞ」
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「横浜の司令部から応答がない。消火作業をどうするか?」
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「本部が機能していないので、哨戒機から消火指示します 埠頭に沿って幅700m範囲をお願いします」 | |
「それでは長さ1.5キロ幅700mになります。その中のどこに投下するのですか?」
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「これから各機に誘導音声が届きますから、それに従って投下してください」
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「陸軍航空隊、海軍航空隊各機へ。友保大尉だ。各機は哨戒機からの指示に従い投下する。投下したなら速やかに下総基地に戻り、横浜に戻ること。以降、哨戒機の指示に従うこと」
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「こちらは哨戒機、陸軍と海軍の急降下爆撃隊に指示する。 航空表示板のスイッチを入れよ。これから画面上の指示に従い操縦すること。次に表示様式を地図から操縦に切り替えること、繰り返す、表示様式を地図から操縦に切り替えること」 100機のソ式練習機は4つに分かれそれぞれが一直線に30m間隔で投下していく。結局700mかける100mの範囲に10トンの水を撒いたわけだ。焼け石に水だが水を撒いたことに変わりはない。 基地に戻ってまた放水、やるしかない。 | |
9時50分 外苑形式上の司令部 | |
「オイオイ、内務大臣、あちこちで煙が登っているぞ。仁徳帝じゃないから「竈は賑わいにけり」なんて言ってられん。状況はどうなっているんだ?」
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「殿下、この表示器をご覧ください。現在の火災現場と燃えてしまったところを表示しています | |
「派手に燃えているな。なんとかならんのか?」
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「水道配管は地震で壊滅しました。隅田川に海軍の舟艇にポンプを付けて消防車に送水していますが、10台しかありません。それで市街をいくつかに区切る防火帯を設置中です」
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「時間的にどれくらい?」
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「火災発生から2時間以内にしたいと・・」
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「火事が起きる前からしとかないとだめだな。事前に広い道路を作っておくとかできなかったのか?」
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「我が国は民主主義国ですから強引なことはできません。そして地震が起きるとはっきりしているわけではなく」
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「とりあえずどうするわけ?」
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「とりあえず避難を第一として犠牲者を少なくするよう努めております。地震後は区画整理と道路、水道配管の見直し、昔の広小路などを考えたいと思っております」
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「頼むぜ、午後になれば国内国外のマスコミって連中がワサワサ寄ってくるだろうから、うまく処理してくれよ ところで司令部で指示しているのが女の声だけど、あれは誰だい?」 | |
「中野様に問合せしましたら、例のさくらだそうです」
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「ほう、向こうに帰れなくなったというからとろい奴と思ったが、やるときはやるのかねえ?」
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10時00分 | |
「こちら哨戒機、司令部どうぞ」
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「こちら司令部、どうぞ」
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「ご存じと思いますが、火災が広がっています。しかし消防車は水道システム崩壊で有効な消火ができません。無理な出動を止めますか?」
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「第一優先は避難です。第二に延焼防止、消火が無理なら消火作業を放棄してください」
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「纏のおじさん、聞こえますか?」
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「ハイヨ、」
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「防火帯の進捗報告願います」
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「6割というところかな、爆弾で破壊するのはいいのだが、どうしても角部の壁とか大黒柱なんかが残るんで、戦車でならしていかなくちゃなんねえ」
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「そこからでも火の手が見えるでしょうけど、そこまであと1時間かからずに火が回ります。そこを突破されたら市川まで燃えます。 頼みます、お願い」 | |
「ねーちゃんを泣かすようなことはしねえよ オーイ、野郎ども、あと4割だ。1時間かけずに片づけるんだ」 | |
10時40分 地震発生が関東大震災より3時間早かったことで、被服廠跡地に人が集まりだしたのも3時間早かった。そしてここに火の手が回るのも3時間早くなるのだろう。 | |
巡査A |
「避難者は大八車、行李などを持ち込んではいかんぞ」
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巡査B |
「そこの、仏壇を持っている男、それを捨てなさい」
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「仏壇捨てるなんてご先祖に申し訳ない」
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「そうだそうだ、この大八車は俺の全財産だ」
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巡査A |
「全財産をもって死ぬと着の身着のままでも助かるのはどっちがいいんだ。お前の荷物に火が付けば、死ぬのはお前だけでなくこの周りの人も死ぬぞ、捨てなければ切るぞ!」
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「仏壇は離さない」
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巡査B |
「位牌だけ持って仏壇は捨てろ。向こうを見てみろ、仏壇も箪笥も布団もみんな捨ててるじゃねえか、燃えるものがあればこの広場なんて火の海になる」
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巡査A |
「司令部どうぞ、」
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「司令部です」
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巡査A |
「被服廠跡です。消防飛行機で水撒いてもらえませんかね。可燃物が多すぎて火災の危険が極めて大です」
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「中野様、被服廠に人が集まっています。消防飛行機で水撒いても無理です。どうしましょう」
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「まず避難させることが第一だ。警察に避難誘導させろ」
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「でも時間がありません。向こうとこちらの時間差は3時間半、向こうで被服廠が大火になったのは16時、つまりこちらでは12時半」
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「あと2時間あるじゃないか」
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「東側に避難はできませんか?」
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巡査A |
「ここの東というと本所ですが、もう大火事です。西は川で川は上流から家やがらくたが流れてきて燃えています。北も南も火事です」
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「錦糸町駅の線まで行ければその先は燃えてないんだけど」
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「飛行機で爆撃させろ」
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「作戦を検討しますので、一旦切ります」
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「横須賀海軍航空隊ですか、こちら東京防災司令部です。丸橋司令をお願いします」
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丸橋司令 |
「丸橋だ」
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「こちら東京防災司令部です。ソ式練習機の出動を要請したい」
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丸橋司令 |
「お嬢さん、もう水爆弾はない」
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「25番陸用爆弾の実弾投下をお願いします」
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丸橋司令 |
「ほう」
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「被服廠跡地から錦糸町の真北まで約1.7キロ延焼している中の道路を通行可能にしたい。爆弾でその区間を幅20m消火してほしいのです」
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丸橋司令 |
「そんなことできるのかな?」
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「とにかく25キロ爆弾を4個つけて陸軍と海軍の100機飛ばしてください」
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丸橋司令 |
「あんた何者?」
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「こちら東京防災司令部です。信じてください」
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10時45分 中野がさくらがトラブっているのに気が付いて代ろうとしたとき、そこから1キロ南で帝太子が暇にあかせてさくらのやり取りを傍受していた。海軍大臣を呼んだ。そしてすぐに横空に爆撃機を飛ばせと指示した。 10時50分 | |
「車屋のオジサン、聞こえますか?」
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「お嬢さん、聞こえるよ、ちゃんと防火帯は作ったぜ」
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「ありがとうございます。悪いんですけどもう一仕事してほしいの。 錦糸町駅の北500mのところから西へ1700m延焼しているところを幅20mの火を消して道路を通れるようにしてほしい」 | |
「そりゃ簡単じゃねえな」
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「あと10分後に爆撃を開始します。爆風である程度消火できると思うの。焼け跡の道路を平らにしてほしいの」
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「戦車で伸していけってわけか、戦車やブルドーザーの燃料に引火しねえか?」
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「わかりません。爆撃後に消防飛行機を飛ばして消火と冷却します」
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「わかった、やってみよう。爆撃が終わったら進む」
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11時00分 | |
「霞ケ浦ですか、消防飛行機に水を積んで墨田区大平に飛んでちょうだい。編隊なんて無用だから1機ずつでも一刻も早く」 同じことを下総基地にも指示する。 | |
「1700mで幅20mか、34,000平米、平米当たり10キロ水撒くとして340トン、10トン積みの消防飛行機34機、もちろん17機しかないから2回か、霞ケ浦まで往復すると1時間かかる。それに平米10キロでは焼け石に水か。消防の教科書には平米500キロ必要とあったぞ」
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「海水にしましょう。それしかありません。豊海に着水して海水を積むなら往復10分あれば・・」
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11時10分 | |
「佐倉連隊長お願いします」
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「加藤だ」
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「こちら東京防災司令部です。避難者輸送をお願いします。墨田区大平、錦糸町駅の北500mの交差点にトラック200台派遣してほしい」
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「はあ?」
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「繰り返します。大至急墨田区大平、錦糸町駅の北500mの交差点にトラック200台派遣してほしい」
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「あの辺は火事で近づけんぞ」
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「錦糸町から東への延焼はありません。隅田川東岸に逃げ遅れた35,000人がいます。それを救出したい。ただいま消火作業中です。その後に戦車隊がトラックが走れるように道路を作ります。危険なのはその延焼中の1.7キロの往復です。陸軍軍人ならやってください」
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「トラックの派遣だけはしよう。そこからは現地指揮官に判断させる」
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加藤大佐が無線を切るとすぐに、また呼び出しがかかった。 | |
「佐倉連隊長の加藤です」
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陸軍大臣 |
「俺だ、陸軍大臣の田中だがね、大至急トラックを錦糸町駅の北まで派遣してほしいんじゃ。そうそう200台。・・・ワシの前に女の子から指示があったろう? それじゃ、その通りたのむわ。地震の災害支援は近衛師団長が指揮官じゃが、彼は地震で負傷して今は病院じゃ。彼の後任は中野少将で連絡した女の子は彼の参謀だ。脇で話を聞いていてどうも信じてもらえないようだったので、ワシが個人的に確認したまでよ」
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11時25分 追浜飛行場からのソ式練習機100機が爆弾を積んで飛来。さくらは火災の上昇気流の危険を考えて、急降下爆撃ではなく高度500からの水平爆撃を指示した 爆撃が終わると霞ケ浦と下総基地からの消防飛行機が放水をする。飛行艇は霞ケ浦に戻らず東京湾に着水して海水を積むとまた消火に入る。この当時はまだ埋め立てはあまり進んでおらず、錦糸町駅から4キロ、今の京葉線あたりまでしか陸地がない 消火飛行が終わると車屋の爺さんは戦車隊を叱咤激励し火の中に進んで道を作る。途中音を上げて何度か飛行機からの放水を要請する。塩水をかぶった戦車は錆びるだろうなと戦車兵は思った。 トラック隊を率いてきた加藤大佐は他部隊の頑張りをみればもう引くに引けない。被服廠で乗せた避難民を安全を見て亀戸まで運んで降ろし、また運ぶというのを繰り返した。 それからどうするのかは、司令部が決めてくれるだろう。 移送完了まで5往復、運送中に引火して放棄したトラックは13台であった。作戦終了は12時50分である。 16時00分 余震は続き、まだいくつもの煙が上がっているが火災の峠は越えたように思える。 帝太子は飛行機の写真を合成したものと向こうの世界の火災状況を見比べて、評価すれば最低点かなと思う。というのは地震が起きると分かっていて、数年間の準備期間があって、延焼面積をたかだか1割か1割5分くらいしか減らしていないのだ。 外苑の司令部で帝太子は日本の世界の関東大震災火災とこちらの火災を比較している。 | |
「内務大臣、防災に金と人と時間をかけた割には延焼面積は減っていないのではないか?」
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こちらの火災状況 | 向こうの世界の火災状況 | |
「殿下、ご理解いただきたいのですが、我々の目的は人命優先でありまして、被害面積を減らそうとしたわけではありません」
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「だが今まで金と時間をかけた割には私は納得できないな」
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「もうひとつ、大きな声では言えませんが、長期的都市計画の布石ということを思い出してください」
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「都市計画? ああ、そういうことか」
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「八重洲以東を丸の内のように計画的に道路を通して、再び地震や火災が起きても安全に避難できる、延焼を止めることができる、もちろん交通や緑地などに配慮した都市を作るつもりです」
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「おぬしも悪よのう、ハハハ」
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帝太子と後藤大臣の話が一段落したのを見て、外交官対応の兼安が後藤に話しかけた。 | |
「内務大臣閣下、駐日外交官の代表と外国報道機関がこの地震について広報を求めております。ご対応いただけますか?」
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「本来なら報道官が語るのだろうが、ワシが直接対応しよう」
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「面白そうじゃないか、俺にも出席させろよ」
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「殿下、それはまずいですよ。私がおかしな話をしても、あとで殿下がそれは間違いであったと言えますが、殿下が語っては修正がききません」
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「そりゃ残念。中野少将を呼ばなくて良いのか?」
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「一般人や外国に我が国の先進技術を見せないために表と裏の司令部を作ったわけで、彼も表に出てはまずいかと」
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「分かった、分かった。私も考えが甘い。では内務大臣、頼んだぞ」
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「かしこまりました」
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注1 |
地震対策というと棚の上に物を置くな、家具を固定しろ、テレビを台に括り付けろと言われる。私はその程度では地震が来ても倒れたり落ちたりするから意味がないと思っていた。東日本大震災後に、元の勤め先に見舞いに行って後輩と話をしたとき、そこでは最終的に鉄筋コンクリートの工場が崩壊してしまったが、アンカーボルトや結束バンドで縛っていたので、数分間だけでも棚の転倒や棚に載せてある物品の落下を防いでいた。それで中にいた人は安全に避難できたという。従業員が避難してから、棚や機械が転倒する音がして、最後に建屋が崩壊したという。転倒防止の効果とは、機器や棚を転倒させないことではなく、避難する時間だけ転倒させないことだと知り私は驚いた。 | |
注2 |
横浜の延焼面積は東京に比べれば狭いが、ほとんどの建物が崩壊したことと高台に囲まれた狭い市街地全体が火災になったことでは東京よりひどいと言えるかもしれない。 横浜中央図書館ウェブサイト 「関東大震災を調べる」 | |
注3 | ||
注4 |
大火災によって起きた火災旋風の論文は多々ある。火災旋風とは大火によって発生した竜巻である。このときの高さは200mという推定があり、それ以上の高度からの爆撃であれば飛行機の安全は保たれるのではないかと思う。 「被服廠跡に生じた火災旋風の研究」、相馬清二、地学雑誌、1975 | |
注5 |
京葉線が全線開通したのはつい最近の1990年である。 |
おばQさま 次々と、想定外の状況が発生、モニターが倒れて状況把握は出来ない。 連絡がとれない地区が発生、いかにも災害の状況で良いですね。 私も東京消防庁のボランティアの教育で、災害訓練をやりましたが、次々と想定外の設定が出て来ます。 結局、本番で一番大事なのは、想定外の状況でも慌てずに、出来るだけ冷静に判断をし続ける事なのですね。 それを訓練されました。 その点で、さくらさん、冷静に判断し続けて立派です。 地震災害を目にしながら、次々と対応をしています。 重要なのは、最善を選ぶのではなく、遅滞なく対応する事なのだと思います。 車屋のおっちゃんが戦車を指揮するのは、読んでいても愉快痛快ですが、すでにお書きのように、軍隊はお役所で暴力装置ですから、一般人の指揮継承は無理でしょう。 陸軍将校でも、砲兵、輜重など、歩兵でない兵科は、階級上位でも指揮継承させない時期もありましたし、海軍でも、機関科将校は、同じ艦に載っていながら、指揮権が無い時代が長かったです。 ですから連絡将校として、上位指揮権のある戦車部隊の将校などを付けてやって、おっちゃんの指示を、現場で伝言が無理がない気がします。 これは異世界に限らず、世界中の軍隊で、今でも同じなので、異世界でも変わらないと思います。 当時の行政区: 参考までに史実では、東京15区ですね。これは異世界ですから問題無いと思いました。 |
外資社員様 毎度ありがとうございます。
ない頭なら書いてはいけないといわれると、その通りではありますが、することもないので書いているという裏事情もあり・・いやそんなの関係ねえ(スミマセン) 馬なら「ドウドウ」と押さえていただいて・・ |