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「この日のBODは規制基準の上限一杯ですね。でもすぐに手を打っていないですね」
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「BODですからしかたないです。もちろん常時紫外線で見てまして、その日は数字が大きかったので原因を調べたりはしてます。その記録は……」
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「いやBODの話です。そもそもこの測定結果は7日後に受領している。測定業者にすぐに持ってくるように指示しなくちゃいけないでしょう」
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「確かにこちらに提出されたのは7日後ですが、測定が終わった日に持ってきてるんで迅速だと思います」
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「測定に7日もかかるの。もっとさっさとさせなさいよ」
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「彼らも何社も請け負っていますから委託元を何社か巡回して持ち帰るとその日は終わりです。翌日は試料を調整したりして測定開始は午後でもおかしくありません。 それに5日足して報告書を作り7日目に当方に測定結果を提出してますから遅くありません。むしろ頑張っていると思います」 |
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「測定に5日もかかるのがおかしいでしょう! もっと速くさせなさいよ」
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「御社の省エネ目標は今年1.5%削減ですか…なんか目標が低いですねえ〜」
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「我々も精いっぱい頑張っているつもりです。省エネ法だけでなく親会社からの指示もあり、このように省エネ投資の長期計画を立てて粛々と実行しています。でも簡単にはいきません、1.5%がやっとですね」
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「なるほど……気になったのですが設備更新や工程変更による削減はありますけど、意識向上がありませんね」
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「意識を変えると省エネできますか?」
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「もちろんです。私が審査してきたほぼすべての会社では、意識向上による省エネを毎年0.5%から1%計上しています。お宅も意識向上で0.5%上積みしなさい。2%なら遜色ありません」
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「アハハハ、いや失礼、そりゃありませんよ。会社の仕事、それにはオフィスの照明や空調も入りますが、
もちろん従業員にはその規則を守ってもらいます。 そのときどこに意識向上が関係するのですか?」 | |
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「えっと、いるじゃないですか、消灯を忘れたりエアコンの温度設定を変えたりする人が」
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「当社にはそんな不届きものはおりません。 もしそういうことが意識向上による省エネというなら、元々が無管理状態じゃないですか」 | |
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「あ〜、例が悪かったかな。ポジティブなことなら仕事に慣れれば動作も早くなってくるでしょう。そうなれば毎年すこしずつ基準を見直して……」
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「そりゃおかしいでしょう。法律や安全などを基に基準に決めたのですから、法律や人間の体が変わらなくちゃ基準が変わるわけありません。 まさか毎年明るさを暗くしたり、エアコン温度を少しずつ上げていくなんておっしゃいますか?」 | |
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「じゃあ今まで審査した会社では、どうして意識向上で省エネが達成できたんだろう?」
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「元が無管理なら一回目は成果が出たかもしれませんが、毎年なら掛け声だけ、気は心でしょうね」
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「ええと環境影響評価をしたものを見せてください」
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「環境影響評価はしてません」
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「してない! それじゃ不適合です……とんでもないところに来ちゃったよ」
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「いやISO14001には環境影響評価をしろと書いてありませんし、アネックスでは環境側面の決定には詳細な環境影響評価を求めていないとあります」
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「でも環境影響評価しないと環境側面が著しいかどうかわからないでしょう」
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「環境側面は環境との関わりを調べて決定します。規格にそう書いてあります」
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「当てずっぽうではいけません。点数で評価しないと比較できないでしょう」
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「(次回はこの審査員は忌避だね。金と時間の無駄だ)」
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「お宅では有益な環境側面をとりあげていませんね」
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「有益な環境側面というのは存在しません。有益がつくのは環境影響だけです。有益な環境影響も有害な環境影響もひとつの環境側面から発生します」
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「そうじゃないんだなあ〜、有益な環境影響を生じるのが有益な環境側面で、有害な環境影響を生じるのが有害な環境側面なのです」
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「そうではないでしょう。有害な環境影響しかないと思える廃棄物だって、製品を作るための切代とか包装ですから、
![]() 有益な環境影響あるいは有害な環境影響の片方を取り出すなんて磁石のN極だけ取り出すと同じく無理です。そしてすべての製品・サービスは社会が必要とするから生み出されているわけです」 |
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「では一つの環境側面から発生する有益な環境影響と有害な環境影響を比較して、トータルとして有益なら有益な環境側面となる……」
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「その論理はどうでしょう? 有益な環境側面と有害な環境側面に分けている会社を見ましたが、電気の使用を有害な環境側面にしていました。電気は便利で安全だから使われているわけです。今おっしゃった論理では電気は有益な環境側面になりますね。いやすべてのものはトータルして有益だから現状があるわけで、有害な側面などないことになります」
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「うーん、そう言われると有益な側面ってなんだろうねえ〜」
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「洞爺湖サミットでさんざん持ち上げられた電球型蛍光灯も、今ではLED電球に比べて有害扱いですね。そういうふうに評価が変わるっておかしくありませんか?」
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白熱電球![]() |
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電球型蛍光灯![]() |
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LED電球![]() |
俺は最初から、 |
今は悪者、悲しい |
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「お宅のISO14001対応の監査は業務監査の中で行っていると……でも業務監査ではISO規格を監査基準にしていないですね?」
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「はい、弊社では法律と会社規則が内部監査の監査基準です」
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「それじゃISO規格適合かどうか調べてないことになりますね」
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「そんなことありません。 そもそも環境マニュアルを作れという要求はISO規格にありません。じゃあなぜ作成しているかといえば、御社の「ISO14001認証ガイド」という資料で「環境マニュアルとして認証範囲のマネジメントシステムを記述した文書で、組織の概要とISO14001規格要求とそれに対応する手順書と記録の文書名及びその概要を記述したもの」を提出せよとあるからです」 |
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「そうそう」
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「そしてそのガイドの中に「御社が弊社の環境マニュアルをレビューして、規格要求を満たしているときに審査に進む」とあります」
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「その通り」
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「ということはあなたが今ここにいるのは、提出した環境マニュアルはISO14001を満たしているわけです」
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「もちろんマニュアルをチェックしました」
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「先ほど話しましたように環境マニュアルはそこで引用した当社の会社規則と記録によって裏打ちされているわけです」
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「そういうことになるのか……」
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「私どもの業務監査では会社規則、それは環境に関わるものだけでなく、すべての会社規則の遵守状況を確認しています。ゆえに業務監査においてISO14001への適合を確認していることになる。単純な三段論法ですよ」
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「……」(感心したのではなくたぶん理解できなかったのだろう)
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いつもお世話になっております。 本当に冗談としか思えないような審査員が存在しますからね。彼らとそれを野放しに審査機関こそISOの衰退を招く、それこそISOにとって有害な環境影響を及ぼす側面なのかもしれません。 表現がおかしければ申し訳ない。 しかし、本当にビックリする審査員がいるという事実をもう少し認証機関は重く受け止めて欲しいですね。 |
コマゴマ様、毎度ありがとうございます。 コマゴマ様も大変でね、ご苦労様です。 私は引退するまで20年は会社側の立場で審査の現場に立ち会っていました。その間、審査員もいろいろと変遷がありました。 1990年代初めは暴力的というか手も口も乱暴な審査員が多かったです。お土産や接待の要求もありました。 1990年代後半となると暴力的な行為はなくなりましたが、規格不理解? 誤理解?の審査員が多くなったように思います。 21世紀初めにタカリが社会問題になり、お土産や接待だけでなく昼飯も辞退するようになりました。まあそれはいいことですね。 しかし減らないのは規格不理解の審査員でした。私が引退しても古巣とか仲間から聞くと今も規格誤理解の審査員はなくならないようです。 そんなわけで私は今もこんなウェブサイトで「審査員よまっとうになれ」とクラーク博士のようなことを語っているわけです。 普通の営業マンが他社さんを訪問してセールストークするとき、製品仕様を虚偽の説明をしたら詐欺罪ですけど、審査員が解釈を間違えても詐欺罪にはならないのでしょうか? 実話ですが1990年代半ば、審査員研修で「審査員が現場で作業改善を指導した結果、企業に被害を与え問題になったから決して指導をしちゃいかん」と教えられました。 指導でなくても誤った解釈をしたならば同罪とおもうのですが、どうなんでしょうね? もし規格の誤解釈があって企業に被害を与えたら詐欺となれば大きな改善になると思います。 我々下々は「規格通りの審査をならせたまえ」とお祈りするしかないのでしょうか? |