学ぶ・教える03・改善策

21.07.22

前回は習い事つまりサービスの契約時に、提供するサービスの仕様や達成レベルなどが、不明確なことが問題であると述べた。
スイミングスクールを例にして説明したが、別にスイミングスクールが悪いということではなく習い事一般にいえることではなかろうか。英会話教室や料理教室その他も同じではないかと思う。
勉強会のようなものは、主催者が勉強会で講師を招聘するわけで、講演の内容が希望と異なれば、主催者と演者のコミュニケーション不足だろう。

というわけで今回はどうすれば良いかを考える。何をもって良いとするのかは簡単明瞭である。顧客が満足することだ。具体的に言えば、顧客が3か月でTOEICを100点アップする要求なら、それを満たすことだ。

ディズニーランド 注:顧客とは製品やサービスを受け取る人を言う。仕様を決めたりお金を出す人ではない。
ディズニーランドに三代そろって行くとき、祖父祖母はお金を出す人、父母は仕様の決定、子供が顧客ということになるのかな? 場合によっては父母が顧客で子供は建前ということも。

本日は前回の続きというか増補である。
前回は習い事というサービス提供時の問題をいくつか取り上げたが、今回はそれを防ぐために……前向きに言えば、顧客満足を向上させるために行うべきことを取り上げる。


  1. 契約時に行うべきこと
    1. 実施計画の説明
      顧客の要求を満たさなければならないのは当然だが、結果として満たすだけなら進歩がない。契約前に計画つまり5W1Hで達成する方法を示すこと、そこには教育期間の途中において進捗が分かる、あるいは説明する仕組みが必要だ。

      そんなの無理だよと言ってはいけない。サービス業とは顧客が期待する役務を提供するのがレーゾンデートルなのだ。3か月でTOEICの点数を100点アップするという期待に対しては、毎月何点アップさせるか、アップしたか分かる仕組みがないと受講者は安心できない。
      もちろん上達はリニアでなく例えば階段状になることもある。だから最初の月は20点、2か月後50点、3か月後30点アップということもあるだろう。もちろんそのときは1か月後に20点アップする計画を見せ、実際に1か月後に20点アップしなければ教える側の責任を果たさない。
      要するに顧客に要求を満たすことを説明し納得を得ることだ。

      おっと、大事なことがある。計画は顧客の期待に応じたものでなければならない。平泳ぎ初級コースといっても、入会する一人一人の要求は異なるはずだ。競技を目指しているなら、ルールに則った泳ぎ方を教えなければならない。
      あるいは今年の冬家族とハワイ旅行に行くのでそれまでに下手でも泳げるようになりたいなら、ルールや速さなど関係なく浮き方と形はどうあれ泳げるようにする。それが顧客満足だろう。

      もちろん客の期待に応えることができないこともある。客の期待が途方もないことなら、教えるほうから、実行可能な案を逆提案する。どうしても折り合いがつかないなら契約できないのはしかたない。客が無茶なのか、教える法の力不足なのかはともかく、のちに問題になるより良い。
      できもしないことを約束するのはISO9001の「顧客とのコミュニケーション」における不適合だ。


    2. 生徒への要求事項
      習い事は教師側の努力だけで達成できるわけではない。当事者である生徒の役割もある。いくら素晴らしいコーチでも本人にやる気がなければ何事も上達しない。
      だからコーチとして生徒に要求することを明示する。スポーツならルールブックを読んでおくとか、基礎体力をつけておく、あるいは今回レッスンを受けたことを次回までにマスターしておくことなどがある。


  2. 契約が結ばれて指導に入ったらどうするか?
    1. 計画の実行
      当たり前だが、実行は計画に基づいて行わなければならない。計画は理想、現実は違うなんて語る人は企業でも多い。それでは計画は絵に描いた餅。
      コーチは今のレッスンが計画のどこに当たるのか、このレッスンでなにが体得できるかを常に説明し、受講者の理解を得なければモチベーションは維持できない。


      こまっちゃうな〜

    2. 進捗の評価とフィードバック
      これは重要だ。私は英会話教室に入会した後、なんらかの評価を受けたことがなかった。別にTOEICの点数を上げたいという気もなかったが、何か月たっても進捗について話し合う機会もなく成果を示されたこともない。大いに不満だった。

      私が期待したことは次のようなことだ。
      四半期ごとに、前回より○○項目ではこういう点が伸びたとか、会話のスピードを毎分〇語から〇語にアップしてもついてこれるようになったとかコメントがあっても良いのではないか?
      水泳などなら、開始前に示した計画において、こことここが塗りつぶされましたという評価などがあるだろう。
      もちろん時が過ぎたから塗りつぶしただけでは困る。生徒が塗りつぶしたところは確かにマスターしたと認識していなければならない。

      オレンジ

      注:どこでも計画を書いたガントチャートに進捗を染めていくだろう。PERTの方がクリティカルパスや問題がわかりやすいが、時間的なイメージはガントチャートがわかりやすい。

      自動制御にはクローズドループとオープンループがある。今時はオープンループの機械なんてないとは思うが……
      プログラムやセンサーからの入力を受けて何らかの動作をさせたとき、動いた動作/位置を検出し比較して指示との差を修正を行うのがクローズドループであり、それがないのがオープンループである。
      教育の目的は生徒を目的のレベルにすることだから、教えればおしまいではない。教育した結果、英会話や水泳がいかほど上達したかを評価して、それを教え方に反映し目標を達せなければならない。
      当然そのためには定期的あるいは継続的に評価を行わなければならない。

      教育におけるフィードバックの概念
      入力 比較 実行 成果
      計画 矢印 計画と成果を
      評価する
      矢印 決定に基づき
      実行
      矢印 上達/記録
      矢印矢印
      矢印
      矢印 成果の把握
      上達/記録
      矢印矢印
      検出

      もちろんスポーツでも英会話でも、レッスンにおいて教育と同時にフィードバックをかけているだろう。しかしそれだけでなく計画との差異を把握して、全体的な計画の進捗へのフィードバックをかける必要がある。
      つまり手足の動きが不適切ならば正しい方法を教えるのは当然だが、その結果を教育計画に反映し期間を延長するとか別の方法を取り入れるとかの検討が必要だ。もちろんそのことを生徒/受講者に伝達し、その事実を認識させ計画修正を納得させなければならない。

      それはコーチサイドの問題もあるだろうし、本人の問題もあるだろう。レッスン後の自己練習が足りないなら練習量を増やすよう指導しなければならない。
      もちろんそういったことを生徒に要求するのは開始前に説明していたはずだ。だから生徒がそれを守っていないのか、当初の計画が不適切ということになる。そういったことの責任の所在ははっきりさせなければならない。

      頑張りましょう そんなことをしたらがんじがらめで面倒が増え、やりにくいといわれても困る。目的は顧客満足である。そして顧客満足とは顧客要求を満たすことだ。そのためにはあらゆる手段を使い計画通り目標達成するために努力しなければならない。コーチも生徒も、


    3. 計画の見直し
      進捗が計画より遅れるあるいは進んでいる場合、または受講者の希望が変わったときは、計画を見直すべきかをコーチと生徒で話し合い修整するべきである。
      TOEICの点数100点アップを6か月計画で進めていたが4か月で達成したなら、後の2か月をどうするかという話になる。TOEICならそこで計画達成サヨウナラでよいが、平泳ぎを1年で習得しようとして10か月後に達成したら、止めるのではなく次はバタフライを習いますとなるかもしれない。


  3. 計画期間が過ぎました。
    1. 修了
      多くの習い事では修了という概念がない。舞踊では名取とか師範とかランクもあるし、そういった資格をとらなくても、もう十分力量をつけたからやめますというのはめったにない。
      英会話が上達するよう英会話教室に行っていたなら、期待するレベルに到達したら「先生ありがとうございました」でサヨナラするのが当然だ。だがそんな人はめったにいない。私から見たら英語ペラペラなのに、なぜ毎月お金を払って教室に来るのか不思議な人もいた。舞踊は奥が深いのだろうが、英会話は実務である。
      サポーズ、運転免許をとってからも、もっと上手になりたいと自動車学校に通い続ける人なんていない。

      ともかくスイミングスクールなら、あなたは平泳ぎのコースを修了したので卒業ですとすべきだろう。
      そしてまた上達せずに何年も在籍している人もいるが、高校は6年、大学8年と同じく、スイミングスクールなら同じ級に2年いたらダメとしてもおかしくない。そのためにはコーチも生徒も真剣にならなければならないし、それが双方の幸せにつながるのではないか。

      注:通信制高校には在籍期限の規制はないそうです。但し学校独自に定めることは可能。

      現実はいつまでも習い続ける人がいる。前に通っていたフィットネスクラブでのこと。私より高齢女性が何年もスイミングの毎週個人レッスンを受けていた。脇で見ていたが全然進歩がなく年年歳歳同じことをしていた。
      あるときその女性がスパッと習うのをやめた。スイミングを習うのを止めてもフィットネスクラブにはいたから、どうしてなのかと話を聞いた。なぜかスイミングを習うのが無駄だと目が覚めたのよね、と言う。百万くらい無駄使いしちゃったと笑っていた。


    2. 顧客満足度調査
      コーチは顧客の感想を収集して仕事の改善に反映すべきである。現実にはサービスの顧客の多くは提供されたサービスに不満を持っており、もし提供者がコミュニケーションの場を設けるならその情報提供をしたいと考えている。
      もちろん不満は教育実行時に都度収集しているわけだが、業務完了時、計画達成時に聞けば、途中過程での意見とは違って達成感もあるし、全体を俯瞰した意見収集ができる。


うそ800 本日の言い訳

本日は前回書いたことの増補というか繰り返しですが、一応言っておかねばと思いました。


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