ISO第3世代 3.山内参与と話す

22.07.14

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。


ISO 3Gとは

年度初めの挨拶や打ち合わせが一段落して、机に戻った磯原はメールチェックをする。まだ仕事のメールはないが、元の職場の同僚・知り合いたちから「新しい職場はどうなのよ?」てなメールが10数件来ていた。当たり障りないことを書いて返事をしておく。

パソコン作業 それからウェブサイトの会社規則集にアクセスして、生産技術部と施設管理課に関わるものをみて、これは覚えておかないといけないと思ったもの10件ほどプリントアウトして、簡易製本する。仕事の際は常に参照しよう。

次に前任者というか、磯原が命じられた仕事を今まで担当していた人たち、省エネ、ISO指導、本社のISO事務局に関わる書類を探す。正式な報告書や議事録は電子データで課のサーバーにそろっているのでほっとした。もちろん書類に残らない細かいやりとりなども重要なのだろうが、なければしかたがない。おいおい調べよう。
前任者の話が聞けないというアゲンストであるが、個々のテーマについて調査して、対応するための計画を立てよう。


そんなことを思いつつ、そういったものをプリントアウトしたり業務ごとにファイルしたりしていると、ポンポンと肩を叩かれた。
ハッとして振り向くとたぶん山内参与とおぼしき人がそばに立っている。

山内参与 「集中していたようで、声をかけても気づかなかったようだ」

磯原 「あっ、気が付かずすみませんでした」

山内参与 「山内です。磯原君だよね? メール読んだよ。メールなんかじゃなくて直接声をかけてくれてよかったのに、」

磯原 「まずはこちらから着任の挨拶をしなければなりませんでしたね。遅くなって申し訳ありません」

山内参与 「どうだろう、これから仕事はお互い連携していかないとならないので、なるべく早く、できれば今日でも打ち合わせできないかな」

磯原 「それはこちらこそ願ったりです。
ええと、いまいろいろと広げちゃいまして、片づけてからと……」

山内参与(腕時計を見て)
「今11時半か、それじゃ昼飯を食べて13時半からでも打ち合わせできないか。まずは今までの状況を説明したい。2時間くらいどうかな?」

磯原 「了解しました。場所はどうしますか?」

山内参与 「あちら側の壁側に打ち合わせ場が並んでいるだろう。AからEまであるが、どこかを取っておくよ」

磯原 「ありがとうございます。まだ来たばかりなので、細かいことも教えてください」

山内参与 「心配するな」


昼休みになった。磯原は斜め前に向かい合って座っている柳田に声をかける。

磯原 「柳田さん、転勤する際に昼食はお弁当があると聞いて喫食を申請していましたが、どうするのですか?」

柳田ユミ 「ええっと、あそこの出入口が見えますね。その脇に配達された弁当があります。そこからご飯とおかずを取って食べてください。食べた弁当箱は同じところに返してください」

磯原 「どこで食べるのでしょう?」

柳田ユミ 「事務机で食べてもよく、会議室でも打合せ場でもよいのです。でも女性たちがほとんどの会議室を占拠してしまうので、男性は自分の机で食べる方が多いですね。打合せ場もありますが、仲の良い人同士で食べているので……」

磯原 「なるほど」

柳田ユミ 「それとね、毎月末に翌月の献立がイントラにアップされるの。好みに合わないとか出張が決まっているときは、イントラネットのラジオボタンを欠食にしてください。
それから見てわかるように自宅からお弁当を持ってくる人もいるし、一歩外に出ればビル脇のスペースにキッチンカーが何台も停まっているの。少し高めだけどオシャレだから買ってくる人も多いわ。
たまには気分転換にちょっと電車に乗って、神田とか御徒町の立ち食い食堂で食べるのもいいですよ。道路の縁台で食べるのは安いですよ。
まあ、とりあえずお弁当を取りに行きましょう」

弁当置き場まで柳田が一緒に歩く。
ご飯の入ったプラスチックのコンテナと、おかずが入ったコンテナがある。柳田がそれぞれ1個取るのを見て、磯原も倣う。

柳田ユミ 「そいじゃ私は会議室で食べますので」

磯原 「ありがとうございました」

磯原は給茶機でお茶を注ぎ、自分の席で食べる。奥井と山下は既に食べ終えてネットを見ている。 給茶機
弁当屋の弁当はどこも似たようなものだ。とはいえ毎朝 妻に手間をかけさせるのも悪いし、なるだけ早くパートの仕事を探すとも言っていたから働き始めたら余計な仕事をさせたくない。
毎日会社の弁当では飽きてしまうだろうな。とはいえキッチンカーや外食では高くつくだろう。なによりも昼飯を買うのも行列では大変だ……そんなことを思いながら昼飯を食う。


昼休み後、約束した時刻の5分前、磯原は山内参与の席に行った。山内参与はニコニコ顔で立ち上がる。磯原と一緒に打ち合わせ場に行き、脇にある無料の給茶機で紙コップにコーヒーを注いだ。磯原も同じくコーヒーを注ぐ。
それから打ち合わせ場に座る。

山内参与 「磯原君は工場で電気主任技術者とエネルギー管理士をしていたと聞くが」

磯原 「電気主任技術者には選任されていましたが、福島工場は規模が小さく第2種なのでエネルギー管理士は不要でした。だから資格はありますが選任されてはいません」


注:エネルギー管理士とは資格である。一定規模以上の事業所においてエネルギー管理士資格保有者から選任されるのがエネルギー管理者である。
他方、公害防止管理者とは特定工場において公害防止の業務を管理する者であり、公害防止管理者試験に合格した者から選任することになっている。つまり公害防止管理者試験合格しても公害防止管理者ではない。試験合格した人の中から公害防止管理者を選任して届け出た者を公害防止管理者と称する。
なぜ考え方が違うのか不思議です。不思議と思いませんか?


山内参与 「とはいえ、第1種でも第2種でもすることはほとんど同じだ。失礼ながら規制内容は知っているよね」

磯原 「はい、毎年の計画とか報告の届は、私が作成しておりました」

山内参与 「ええと2010年の法改正だったと思うけど、それまで事業所だけが規制対象だったものが、法人単位でも規制されるようになった。それで全社の省エネを指揮監督するエネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者を選任するようになった。
当社のビジネスは事業部主体だから全社統括となると生産技術本部しかなく、その担当役員つまり生産技術本部長が管理統括者になった(注1)
私がここに来たのは法改正直後で、最初は各工場のエネルギー使用量をエクセルで報告してもらい、本社で転記してまとめるなんて……まあ昭和のようなことをしていた。アハハハ」

磯原 「確かに数年前まではそのような形で本社報告していたと思います」

山内参与 「まあ手間暇かかることをしていたものだ。それですぐに情報システム部にエネルギー管理の情報システムを作ってもらった。今は各工場や本社支社で毎月データ入力すれば年度初めには自動的に前年度の省エネ報告が出来上がるようになっている」

磯原 「えっ、そうなんですか! すると工場に提出を催促したり、報告されたものをインプットするとかいう仕事はしなくてもよいのですか?」

山内参与 「磯原君は本社で省エネ法対応として何をするのか想像もしなかったのかい?
そういうことはコンピューターというか、システムで行っている。
我々はもう少しレベルの高いことをせねばならない。というか現状でも問題が多々あるのだ。その解決が我々の仕事だと考えている」

磯原 「現状の問題とおっしゃいますと?」

山内参与 「磯原君は工場で計画とか報告とかしていたと思うが、そういうのがひとつじゃないんだね。思いつくだけでも本社の環境行動計画があって、それを展開したものを各工場が作成する。それがまずひとつだ。
次に省エネ法の計画と報告だ。三番目にISO14001の目的目標といったな……その計画と報告がある」

磯原 「確かにみっつありますね」

山内参与 「省エネ法改正前、そのころは省エネ法報告を全社集計しなかったから、省エネ法の報告と本社報告が違う工場が多かった。省エネ法で全社取りまとめをするようになってから、本社の行動計画と工場の計画の差異はなくなったと思う。月々の電力使用量と電気代額をそのまま入力するようになったからね。
いや今でも自家発とかあるからまだまだ数字をいじれる余地はある」

磯原 「でもそうしても電力料金はごまかせませんから、経理の数字と違ってしまいます。ですからごまかしはできませんよ」

山内参与 「そうなんだが工場、事業本部と、範囲を大きくまとめるにつれて細かい数字が表に出てこなくなり、そういうごまかしはできる。今もあるだろう」

磯原 「私はしたことがありません」

山内参与 「それからISOの環境実施計画というらしいが、そこでの省エネ活動と目標値は、本社報告……それは今では省エネ法による経済産業局への報告と同一となったが……とは違うというのが大勢だ」

磯原 「おっしゃることはわかります。ISO審査では詳細で正確な数字を見せたくないのです。それで粗くまとめたものを見せているのですよ」

山内参与 「そうだろうか? 私も全工場の本社報告とISOの環境実施計画を比較検証しているが、まず齟齬が大きい。なぜそのようなずれが起きるのか……いやわざわざ数字を変えるのかそれが問題だ」

磯原 「うーん、それは私もしていましたし……今年は後任者がしていると思います。
それにはいろいろ事情があるのですよ」

山内参与 「事情というと?」

磯原 「ISO審査員は省エネ法の1%削減とか業界団体の1.5%では満足しないのです。露骨に言えば適合、つまり合格させないのです。彼らはISO認証企業は法規制や業界基準以上でなければならないと信じているようです。
それで2%は無理ですが1.8%くらいを目標値とすれば、相手が喜びこちらも手間がかからない、ウィンウィンの……」

山内参与 「それがどうしてウィンウィンなのか分からないね。1.8%削減が可能なら経済産業局に出す計画も1.8%にしてくれよ」

磯原 「まあISO審査は形だけですから……」

山内参与 「それから面白いことがある。ISO審査で見せる環境実施計画では省エネだけでなく廃棄物削減も定番なのだが、いずれにも現場の努力による低減というものが記載されている。
私は研究所しか勤務したことがないが、理屈から言って電力を減すには機械設備を変えるか、運用方法を変えるしかない。
例えば人がいる室温を28℃にするというルールなら、消費電力の少ないエアコンに替えるか、建屋の断熱を向上させるというのが機械設備を変えることで、その部屋で仕事する時間を短くし、人がいる時しかエアコンを稼働させないとするのが運用を変えることだ。
人の努力とか根性で改善できるなんてありえない。当然すべての改善には費用が掛かるわけで、投資対効果によって採否が決定される」


注:空調を28℃にしろと言い出したのは、環境省だった。この28℃というのも根拠がないらしいが(注2)その数字も多くの人や会社に誤解されている。
環境省は「冷房時の室温を28℃」を推奨したのである。だが多くの企業や家庭では「冷房時の設定温度を28℃」と解釈している。
これは大きな違いだ。28℃に設定したとき室温が30℃なら、室温が28℃になるように設定温度を下げなければならないのだ。


磯原 「山内さん、そう厳密に言われますと……」

山内参与 「厳密とかいう話じゃないよ。ルールを守っているか守っていないかという問題だ。はっきりいって、それは利益を得ていないから背任(注3)とまでは言えないだろうが、就業規則違反だ(注4)
面倒くさいとか説得できないからと手抜きや規則と異なることをすることは、怠業と同じことだ。
しかし二重帳簿になっても会社に損害を与えない、法に関わらない、紙の上だけだから誰も何も気にしないと、実行するのはどうなんだ?」

磯原 「山内さん、参りました」

山内参与 「参りましたと言って済むわけではない。そういうことは会社の中ではあってはならないのだ。
いちいちこんな絵を描いていると時間ばかりかかって困ります ISO審査員を喜ばす必要があるとは思えんし、喜ばなくても困ることはない。不合格? 不適合? それならそうとはっきりと審査報告書に書いてもらいたい。そして認証機関と議論して白黒つける、そういうのが企業のあるべき姿だ」

磯原 「うーん、それは理想論ではありますが……」

山内参与 「理想論とかではないよ、ルールは守るためにあり、仕事はルール通りしなければならない。関係する法律をすべて守ることが理想と言われたら、よほど悪いことをしているようだ。
それにISO審査は民と民の契約だ。契約書に法規制以上の基準で審査すると書いてあるならそこに発注しなければよいし、書いてないなら契約違反で訴えるだけだ。
それに相手が官だとしても、法律というルールに基づいているわけだ。人治主義はいかんよ。
とにかく本社報告とか経済産業局報告とかISO用とか、二重帳簿、三重帳簿は許せない」

磯原は鼻白んでしまい、口をへの字に曲げて斜め上を見る。

山内参与 「磯原君、考えてみたまえ。本社にいる我々がその場限りの仕事をして数年経ったら異動して、後は野となれ山となれ……そんな心構えではいかんよ。
工場はいろいろしがらみがあり、雑事が多々あってその場しのぎをしているなら、そういう矛盾や苦しみを解消してやるのが本社の仕事ではないのか?
正直言って、経産局報告なんて本社がすることは、情報システムが吐き出したものに本部長のハンコをいただいて郵送すれば終わりだ」

磯原 「報告書には文章も書くところもあります」

山内参与 「そりゃもちろんあるよ。とはいえ我が社の工場がレベルが低いわけではない。それぞれが省エネ策を考え、費用対効果が出るように申請してくるわけで、法レベルを満たさないことはまずない。我々が文章を書くにも工場の文章をサマライズすれば間に合う」

磯原 「完璧に整合してなくても実害はないかと……」

山内参与 「それが良いわけはない。会社の仕事は真面目に表裏ないものでなければならない。私は磯原君の前任者にそういう指導をしてくれと口を酸っぱくして頼んだが、まったく進展しない。だから人を変えてもらった。君も私の論に賛同いただけないなら変えるしかない」

磯原 「山内さんの純粋というかあるべき姿を実現するという意思は分かりました。それによってトラブルが出た場合は対応していただけるのですか?」

山内参与 「オイオイ、トラブルが起きたら対応するのは我々ではないのか?
まさか本社のエネルギー管理統括者である大川常務、管理企画推進者である私、そしてその事務局、つまり君のことだが、それほど高給取りがいるのに、情報システムが吐き出したものにハンコを押して郵送するのが仕事とはないだろう」

磯原 「ええと……山内さんの要望としては、現状工場が報告している計画などの正確性の確認と二重帳簿などがないかどうかのチェックをしたいということですね?」

山内参与 「そうではある、そうではあるが、それが目的ではない」

磯原 「とおっしゃいますと?」

山内参与 「計画の妥当性の検証、計画のブラッシュアップ、また改善テーマの妥当性、目標の適切性を検証すること、そして一層の省エネを推進すること、それが目的だ。
考えてもみたまえ、ISO審査のために書類を作るとか、数字のつじつまが合うように工夫するとはいったい何のためなんだ? そんなISOなら止めさせよう。それが本社の責務だろう」

磯原は山内の語ることはよく理解できた。だが彼のような職階の高い人が、そんな青臭いことを語ることに驚いた。
毎年の省エネ計画は、日々の問題やいろいろな情報を収集して考えていることではある。だが包括的に考えてるかといえば、そうは言い切れない。まして現場の努力なんていうあいまいな言葉で毎年コンマ何パーセントか上積みしているのも事実。
そしてあやふやな数字を重ねたものであることも事実。本当にトランス更新による効率向上とか、照明器具や照度の見直しなどのように、理屈があって数字で表せるものというと、今までの計画の8割程度ではないだろうか。あとの2割は鉛筆をなめるというか、過去からの漠としたことからの想像で書いているようなものだ。

山内参与 「工場が本社をどう見ているかわからないが、私がしたいことはいろいろある。例えば監査をしたいね」

磯原 「監査ですか?」

山内参与 「そうだ、省エネ監査だ。工場に1週間くらいお邪魔して、電力使用の実態、規則順守状況、ISO審査での数字、本社報告の数字、投資計画の費用内容と投資後の実績、そういうのを縦横斜め比較検証して、現実のエネルギー管理を明らかにして、改善を考える、そういうことをしたいね」


2時間後、解放された磯原が自分の席に戻るときにはぐったり疲れていた。
基本、山内参与の語ることは正論だ。とはいえ日々仕事に追われているわけだし、つまらないISO審査でもめたりしたくない。そんな環境下にあっては、誠実な仕事とは言えないかもしれないが、多少は鉛筆をなめてごまかすのも許してほしいと思うのだ。
そもそも山内参与が現役で仕事をしていた時は、規則通りに、100%規則順守で仕事をしていたものだろうか?


うそ800 本日の思い出

20世紀末、今から20年も前であるが、ISO14001審査を受けたとき、審査員からエネルギー削減のグラフの見栄えが悪いから……数字を変えてでも大きく改善されたようにしてほしいといわれた。認証機関の判定委員会審議をサッサと終わらせるにはそういうものが必要で、ないとなかなかOKが出ないという。
えー!って思ったが、悪いようにはしないと悪代官しんさいんが言うので、民百姓かいしゃいんは従うしかありません。
毎年そんなことをしていた。

数年後その認証機関の取締役に会ったとき、審査員に判定委員会に必要だからといろいろなグラフを作らされているのを止めてほしいと言ったことがある。するとその取締役、そんなことをその認証機関は求めていない、判定委員会ではそんなグラフなど見ていないというのだ。話をすると審査員が副業としてコンサルしている会社に渡していたらしい。
これは審査員に言われたからとそれに従って数表やグラフを作って渡すことは、就業規則の守秘義務違反、服務規程違反、更には認証機関の規則に違反した審査員犯罪の幇助犯となってしまうおそれがある。
仮に刑事事件になれば、情状酌量はあっても従犯として有罪だ。審査員に言われたからとおかしなことをすることは身を誤ること、してはいけない。

その件についてはどうなったかといえば、その取締役が動いたのだろう、翌年の審査から審査員から資料作成を要求されなくなった。小さなことかもしれないが、毎年余計なことのために二日くらいつぶしていたのがなくなってほっとした。

ところで本日は文字数8,000字でした。もう文字数を考えるのは止めましょう。


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注1
「エネルギー管理統括者」については「事業経営の一環として、事業者全体の鳥瞰的なエネルギー管理を行える者(役員クラスを想定)」と「省エネ法推進の手引き」に書いてある。だがそう指定する根拠は何だろう?
省エネ法第8条では「事業の実施を統括管理する者」と規定しているが、役員と理解するのかはあいまいだ。
廃棄物処理法では廃棄物処理業や廃棄物処理施設の設置などを申請するとき、企業の「役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)」に暴力団関係者、破産者、禁固刑以上の刑を執行されて5年以内の者などではいけないと定めている。
省エネ法もそういう記述をしたほうが良いのではないか。法律をあいまいにして、パンフレットで役員であるべしなんていかさま臭い。
ところで、東証一部上場の製造業であれば社内に廃棄物処理施設を設置している工場があるだろう。そういうところでは毎年役員が変わるたびに、役員が犯罪者でない、破産者でない、刑に服したことがない、成年被後見人(ボケ)でないという書類をそろえて出さないとならないのだ。それってどうよ?

注2
注3
刑法247条 背任
「他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えた罪」

注4
普通の就業規則には次のような文章があるはずだ。
「労働者は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、会社の指示命令に従い、職務能率の向上及び職場秩序の維持に努めなければならない」厚生労働省 モデル就業規則
地方公務員法にも国家公務員法にも同等の文章がある。
「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」 地方公務員法 第32条



ふとし様からお便りを頂きました(2022.07.14)
いつもお世話になっております。
ふとしです。
山内参与が思っていたのと違う人物で驚きました。
磯原さんがちょくちょく「山下さん」って上長の名前を間違えていたので指摘させていただきます。

>ついに文字数考えるの止めちゃったよ!
こちらとしては、文章が長いのは大歓迎です。
以上です。

ふとし様 誤字ご指摘、ありがとうございます。
私の場合、登場人物の名前をはっきり違うようにしないとダメなんでしょう。
いやいやよく考えず、かな漢字変換で出てきたのを気を付けてみていないというのが大問題ですね。
反省します。

外資社員様からお便りを頂きました(2022.07.15)
おばQさま
新連載有難うございます、いつも参考になります。

昼食の話、丸の内近辺の風習が判って興味深いですね。
弁当の手配もイントラ化されていたのですね。
私の職場では、社内食堂(社員3か所+役員用)と売店があるから随意にという社風でした。昼の休憩時間は自由で、早めか遅めにとっても問題無し。

山内参与素晴らしい、かくあるべし
「そういうことはコンピューターというか、システムで行っている。
我々はもう少しレベルの高いことをせねばならない。」

管理者は、こう考えるべきですね。
昨今、AI導入で人間の仕事が奪われるなんて騒いでいる人もおりますが、無くなるのは定型業務で、お話当時でも自動化できるようなものですね。高度な判断というのは、今でも簡単にAIには出来ないし、問題を分析し対策を立てるなどは、まさに管理者や専門職の仕事だと思います。

昔話で恐縮ですが、某上場会社の購買から来た文書を見てびっくり。
その会社との契約書における、ハンコの押し方マニュアル。
契印、代表者印、方向とか角度まで書いてありました。上司はこれを見て良い事だと思ったのでしょうね。これこそ不要の極み。こんな無駄仕事をワザワザ作ってやってたら生産性が上がりませんよね。だから日本の賃金は安くなったのか?

お話に戻って
「人の努力とか根性で改善できるなんてありえない。当然すべての改善には費用が掛かるわけで、投資対効果によって採否が決定される」
これは経営者の観点ですね、これもご立派
昨今のカーボンフリー論者に聞かせたい、ソーラーパネル導入万歳みたいに言ってる人も多いですが、パネル作成の電力は膨大、エネルギー単体の収支を考えても*年以上使用が必須というエネルギーの損益分岐点が、個別のソーラシステムにあってしかるべき。
この明示を必須にしないで、安易に普及なんてトンでもないと思います。
基本的にはエネルギーと費用は相関性があるから、補助金が無いと赤字というならば、そもそも導入することも怪しい気がします。

>審査員のグラフ
これって守秘義務違反でしょう。下請け審査員のやったことだから審査会社は免責されません。処罰したのか気になりますね。

外資社員様 毎度お便りありがとうございます。
都会のオフィスは場所代が一番かかります。私が丸の内で働いていた時、正式書類を除いて、参考資料を置くロッカーは一人棚1mだといわれました。それ以上置いてはいけない。購読している雑誌は1年後には捨てるのがルールでした。
社員食堂があるというのは、財務的にそうとう余裕のある会社です。なにせ我々男性は着替える場所もロッカーもありませんでした。
AIがーという話を聞きますが、真に実力のある人は時代が変わっても生き残れると思います。NC機械が普及し始めた1970年代に、切削でもタレパンでもどういう加工順序かとか切り込み、速さにするかなどは技能がないとできません。ジグを廃止してもジグを設計したり制作していた人が残るように思います。
ハンコの話はすごいですね。なんともはや言葉がありません。言い換えればハンコの押し方で不良が減ったり売り上げが伸びるなら気楽でいいなと思います。
もう何年も前になりますが、異世界審査員を書いていたとき、科学的管理法の本を二三冊よみました。(言い訳ですが50年前に産能大学で習いましたよ)
なぜ科学的管理法が考えられたのかということが書いてありました。20世紀初頭は欧州からアメリカに移民がどんどんと来たわけです。移民たちの夢は大農場を持つことでした。しかしホームステッド法があってもオケラの人が多いわけです。彼らは東部の工場で働いてお金をためて中西部に農地を持とうと頑張った。だから工員の流動性はものすごく高く、技能者育成なんて困難だった。
だから科学的管理法を考えたとありました。
日本はたいして金も払わずに自主的とかいって金を払わず改善をさせ、その成果にもたいしても報いず…ということで原価低減や品質改善を推進してきたと思います。今は小集団活動も提案制度も下火のようですが、日本的品質経営とか語る大学の先生も多いです。日本的品質経営とはお金を払わずに改善をすることなんでしょうか?


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