「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」 武田 邦彦 good

出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
洋泉社978-4-86248-122-12007年03月1000円全1巻

環境問題というのは分からないことが多い。旬の話題である地球温暖化に関しても大勢はそれが事実であろうと認めているが、科学者が全員認めているわけではない。実際「温暖化」というのはかなりおおざっぱない言い方であって、正確を期す人は異常気象といっている。というのは温暖化といっても地域によって一様に暖かくなるのではなく、寒冷化するところもあり、砂漠化が進むところ、雨量が多くなるところがあるからだそうだ。
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アメリカの巨大ハリケーンや極端な暖冬や冷夏が相次いでいるので、異常気象でないともいえない。もっとも何を持って異常というのかも人によって異なる。一般的に過去30年になかったら異常というらしいが、それが正しいという根拠もない。もっと長期がいいのか、短期がいいのかとか・・・
温暖化の原因についても二酸化炭素のせいだ・そうではないという議論もある。
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その他の環境問題も人により、団体により意見が多々あり我々素人には真実がどこかなど分かるはずがない。身近なこと、たとえばペットボトルのリサイクルが環境に良いのか悪いのかとか、割り箸は悪なのかそうでないのかさえ分からない。もちろんプラスだ!とか悪い〜という人はいるが、その根拠はかなり信頼性に乏しく、私はどちらが正しいか否か判断できない。

そして環境に心を痛めている人が環境問題を理解しているのかとなると、そうでもないことも多い。水素自動車は化石燃料がなくなったのちの救世主となると語る人はいるが、その燃料である水素を何から作るのかわからなかったりする。環境は大事だといいながらゴルフが大好き人も多いが、飛行機から見るゴルフ場は環境破壊以外のなにものでもない。飛行機から見たことのない方はグーグルマップでも同じ光景が見られます。




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日本中のゴルフ場で芋を作ってアルコールにすると、日本中のトラックの15%とか20%が走るというデータを見たことがある。 ゴルフなんてもともとイングランドの雨が少なく草原しかないところで発祥したスポーツです。わざわざ立派な森林を切り開き、自然を破壊して行うスポーツではなさそうです。
これは暴論とは思わない。なにごともTPOというのがある。
日本で自宅の庭に池を作るのは非道徳だとは思わないが、砂漠地帯で自宅の庭に池を作るのは道徳的に許されないだろう。
話が変わるが日本で食べ残すのは悪ではないだろうが、飢餓地帯において一人だけご馳走を食べたりするのは道徳的な罪であろう。


ゴルフをすることが悪だとは言わない。
しかし、日本でゴルフをする人が環境保護をしているとは言ってほしくない。

まあ、このように環境保護論者の諸説は、もう熱帯のジャングル、鼻をつままれても分からない闇夜、ブラウン運動のごとく混乱の一語です。
そもそも環境とはなんぞや? という質問に答えがあるとは思えないが、なんらかの形で明快に答えることのできる人は少ないのではないか? もちろん、己の考える環境活動(?)を一生懸命されている方は己の関わる環境について熱く語ることは間違いない。
知っている人なら知っているはずだが、日本の環境政策の基本である環境基本法で「環境」という言葉は定義されていない。定義されていない言葉を論じても意味がない。

いずれにしても最近、世界的かどうかは知らないが日本国内では環境への関心が高まっている。
「証拠?」と聞かれれば、新聞の記事が増えたとか報道が増えたなどもあるし、身の回りの知り合いなどにもボランティアとか自然に親しむなんてのたまわっている方々が増えているので間違いはないだろう。
私も環境で飯を食っている一人である。
もっとも、環境といっても割り箸リサイクルや植林しようなんて高尚なことではなく、公害防止とか廃棄物処理という泥臭い方面である。
ではかような社会的な環境への関心の高まりがどのような影響をもたらすのかということを考えてみる。環境としてくくられて報道されるもの、あるいは環境行事といっても前に述べたように多種多様である。具体的な事例からあげると里山保全とかビオトープを作りましょう、自然に親しむ会、野鳥を見る会など多種多様である。
中にはサヨクの教宣活動と思われるものも多い。
環境問題、女権問題、差別問題はサヨクの勢力拡大の主要な手段である。従軍慰安婦を熱心に語る政党や支援者は従軍慰安婦を手がかりに自分たちの勢力拡大を図っている以外のなにものでもない。
たまたまあるときボランティアで森林保全に行きませんかと言われた。バカ言っちゃいけねえよ、こちとら生まれも育ちも田舎もんだ、以前住んでいた田舎では地区の共有地があり住民はみな駆り出されてそんなところの下刈りとかを毎年していた。都会に来てそういった活動に参加しなくなってホットしている。わざわざそんなことをしていられるか。
ところでつつがむしって知ってますか? 東北地方の夏に感染者が出まして、死者もでています。幸い最近は減少してきました。
死者の数から言えば、食中毒の典型的なふぐによる死者と同程度なのです。山仕事、山菜取りなんかで感染する不安があります。最近はやりの自然観察ではいかがなのでしょうか?
20年以上前でしょうか? 私の同僚がツツガムシと思われる病気で亡くなりました。正直言って、それからは山菜取りも楽しくなくなるべく避けるようになりました。
自然活動派のあなた、ご存知でした?

平成西暦つつがむしBSEダイオキシン原発関連ふぐスズメバチ
患者数死者死者死者死者死者死者
元年19897540000
19909413000
19919371000
199270440004
199371241004
199465240001
199552930002
199642310003
199748740006
1019985382000430〜
111999002230〜
122000794000030〜
132001000327
142002000630〜
152003000330〜
162004000230〜
172005345000230〜

man7.gif BSEで大騒ぎをしている人がいるが、スズメバチで大騒ぎをしないのはなぜなんでしょうか?
日本でBSEの死者は1名、スズメバチの犠牲者は毎年30人以上ですよ。

ツツガムシばかりではない。稲刈りしていたら田んぼにマムシがいたなんてこともありました。自然は危険なのです。自然を保護する前に、わが身の安全を確保して活動しましょう。そして、自然を愛するなら、危険も含めて愛しましょう。
鯨を保護しようとする心やさしい人ならば、ツツガムシも撲滅してはいけません。
ところで天然痘が撲滅されたとき、人々は日本オオカミや朱鷺が滅んだと同じく哀れんだのでしょうか?
自然観察で虫眼鏡でのぞいた芋虫をそっと木の葉に返してやるやさしいあなたは、スズメバチに襲われたときはいかがなさるのでしょう。スズメバチの巣を見つけても市役所に除去を依頼などしないしょうね。
まあ、環境保護を語る人々のそのへんの価値観についてぜひともお聞きしたいものですが・・・

ところで、会社であっても地域社会であっても、動かすのは人であり、人は私利私欲とはいわないが、その人の思い、感情、小さいときの思い出や、過去のトラウマで動かされることは間違いない。
ダイオキシン騒動でいちばん「問題だあ〜」とはしゃいだのは、大学で主流派にいなかった先生方であったと言われている。ダイオキシン問題を足がかりに一挙に10人抜き、予算も人事も独り占めだあと思ったかどうかは定かではない。 
また環境ホルモンがほとんど否定された現在でも、更に研究を進める必要があると唱えている先生方は、環境ホルモンの研究費がなくなるのを恐れているからとの話を聞く。
そんなことを考えると、まゆにつばどころか、人を見たら泥棒と思えと世の中を歩かないといけません。

大学の先生も仙人ではないだろう。
「環境」といえばいたるところに名前が出てくる有名な東大の山本某先生は、ありとあらゆる環境問題を解説し、本を書いている。いくら博識であっても守備範囲がそんなに広いとは思えない。もう学者なのか? 政治家なのか? 単にペーパーを読むニュースキャスターなのかもしれない。少なくとも相当稼いでいることは間違いない。

環境問題ではなぜウソがまかりとおるのか?という本書もまあそんな世の中斜めに見て書いた本であります。しかし、この本のスタンスもまた一方的であろうことは間違いない。
著者の武田先生も業界よりだとか、リサイクルを知らないとかだいぶ批判されている。
一度、どこかの掲示板でこの先生が書かれた本について私も議論をしたことがある。まあ、だいぶ前のことでそんなことはどうでもよい。
私が気に入ったのは本の中身ではなく、本のタイトルである。

環境問題、人権問題という論には、一般的に反対しがたい雰囲気がある。
主義主張がなんであれ、「地球温暖化防止にお前協力しないのか?」といわれるとちょっと詰まる。
しかし、環境問題が錦の御旗、葵の紋、聖域、サンクチャアリーであってよいのか?
ikaru.gif中国とアメリカが京都議定書を批准しなかったからとアメリカを批判する人は、京都議定書を守れば地球温暖化が止まると考えているのだろうか? 日本よりエネルギーを浪費しマスマス大食いになっている中国という存在をしっているのだろうか?それをどう考えているのだろうか。
都合のよいときは大国であり先進国になり、都合の悪いときは後進国だという。京都議定書の場合は、もちろん発展途上国という立場で炭酸ガスは出し放題でございます。

不都合な真実
地球温暖化防止への取り組みを訴えるドキュメンタリー映画「不都合な真実」でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したアル・ゴア元副大統領に対し、地元の保守系シンクタンクが「自宅では大量の電気やガスを消費している」と地元電力会社から得たデータをホームページで公開、言行の一致しない「偽善者」と批判している。
 このシンクタンクは「テネシー政策研究センター」で、同州ナッシュビルにあるゴア氏の邸宅では、昨年1年間で約22万1000キロワット時の電力が使われ、毎月の電気代は平均1359ドル(約16万円)に上ると暴露した。
 これは米国の1世帯あらりの年平均電力消費量1万700キロワット時の20倍にあたる数字で、同センターのドリュー・ジョンソンズ代表は「邸宅には温水プールがあり、敷地内の車道に沿ってガス灯が設置されている。人に説いているような資源節約を家ではしていない」と指摘した。(2007/03/05)


ちなみに我が家の電気使用量はゴアさんの・・・100分の1である。
アメリカの前副大統領ゴアさんが環境問題を論じながら、ご自宅はアメリカの一般的な住宅の20倍以上の電気を使っているお暮らしをされているという事実は、彼の主張が偽善であることを示している。

免罪符という言葉あるが、いくら悪を行っても、謝罪すれば許されるということはあるまい。ゴアさん、大きな声で地球の危機を語り、本を出版し、映画を作る前に、ご自身の生活をまず改めるべきであろう。
よい子の皆さんは環境問題を聞かされたら、まゆに唾しましょうね。相手のゆうことを素直に信じると、環境問題をテコにとんでもない主義主張を聞かされる危険が大きいのですよ。
そしてソ連が崩壊した後、共産主義者、反日主義者のよりどころのひとつは環境保護であるのは事実です。ボヤボヤしていると共産主義や反日思想を広めようとするオオカミの餌食になってしまいます。


本日のご注意

自然保護が大好きな皆様、
ツツガムシに刺されずに
つつがなくがんばってください 
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自主防衛論者様からお便りを頂きました(07.04.16)
サヨク達の環境保護活動
独り言コーナーの「環境問題はなぜ嘘がまかり通るのか」を読んで、思うことがあったので、はじめて書き込みます。
私は、サヨク達が行う環境保護活動が、最終的には社会主義復興運動に連動するのではないか、という危機感を抱いています。資本主義というものは、生産調整が効かないので、どうしても生産過剰になってしまう。社会主義体制ならこのような資源の無駄遣いも無いので環境にやさしい、と言うわけです。環境保護団体の名を借りたサヨク団体が、彼らのイデオロギーを我々に押し付けてくるのです。
環境保護活動というものは必ず、我々に「生き方を変えること」を強要してくるでしょう。いくら地球環境のためとはいえ、そのようなことが許されるのでしょうか。とにかく、環境保護活動がカルト的要素を持っていることだけは間違いないようです。

自主防衛論者様 お便りありがとうございます。
えーとですね、私は環境保護も、社会主義も関係ないと思っております。
単に己の主張を通そうとするがために、環境を取り上げ、人権を取り上げ、諫早湾をとりあげ、成田空港を取り上げる・・その他なんでもいいのではないでしょうか?
サヨクとはそんなもんでしょう。
彼らが本当に環境保護を考えていると考えることはまったくの間違いであって、彼らが少しでも手がかりになるなら悪魔とでも取引するだろうとするほうに1クレジット賭けましょう。
環境保護が我々に「生き方を変えること」を強要してくるのは間違いありませんが、それが本当に環境保護のためなのか、あるいはサヨクの主張を通さんがためか?そのへんが検証しなければならないでしょう。
まあ、すぐにバレバレでしょうけれどね 

自主防衛論者様からお便りを頂きました(07.04.22)
国は原子力発電の普及を進めるべき
先週書き込んだ私の意見に返事をくださって、感謝しております。おっしゃるとおり、サヨク達が本気で環境のためを思って行動しているのか、それとも彼らの主張を通すためのポーズでしかないのか、きちんと見極める必要があります。最近話題のアル・ゴア氏は後者のようですが。
ところで、二酸化炭素の排出量を抑え、資源の枯渇を防ぐ最良の方法は、原子力発電の推進です。京都議定書とか太陽光発電なんかよりもはるかに効果のある環境保護対策です。それにもかかわらず、普段「環境!環境!」とうるさいサヨク達が盛んに原子力発電所建設に反対しているのには、あきれてしまいます。
日本に原発が登場して四半世紀以上になりますが、民間人が被爆して死亡した事は一度もありません。彼らは「いや、事故は起こってからでは遅いのだ」と言いますが、日本の原発はチェルノブイリのような旧共産圏の危なっかしいものではありません。何重にも安全対策がとられており、民間人が死亡するような重大事故が発生する可能性は0に等しいでしょう。
原子力発電の危険性を大げさに騒ぐ学者やサヨク識者は、無知であるか、世間から注目されたいがためのポーズかのどちらかでしょう。サヨク達はいつも「環境!環境!」と騒いでいますが、同時に「原発反対!」と騒いでいます。自分で自分の首を絞めていることに気付かないのでしょうか。いや、彼らにとっては「環境保護を!」「原発反対!」は単なるポーズで、政府批判さえ出来ればそれでいい、と思っているのでしょう。

自主防衛論者様 お便りありがとうございます。
原発を推進するかしないかはいろいろな意見があってしかるべきと思います。
しかし、原発もまた一時しのぎであることも間違いありません。ウランだって無尽蔵にありません。
原発反対運動には問題点はふたつあります。
ひとつは代替案を提示していないということです。なんといおうともう日本の30ないし40%は原発です。これを止めたりすることはできないでしょう。そして増える一方の電力需要に応えるにはどうするかを反対者は提示しなければなりません。まさか終戦直後のような生活をしたいとは思っていないでしょうから。
第二に、環境保護、反原発、人権運動というものが、単なるサヨクの勢力拡大の一手段になっていることです。
ただ原発で事故が起きないということはないでしょう。リスクはあります。事故を起こさないようにしなければなりませんが、起きることに備えておく必要はあります。
火発で事故があるように、原発にも必ず事故が起きると考えておかなくてはなりません。スリーマイルもチェルノブイリも日本で起きるだろうと覚悟は必要でしょう。


窪田様からお便りを頂きました(07.05.06)
佐為様
あまりネットワークに接することができない状況で時が過ぎ、挙句引越しなどしてプロバイダも変更になりました。心の片隅にでも印象がのこっていれば幸いです。
もうそうとう以前に頂きました、「いったいどうしたらいいのでしょうか?」という問いにも明確は答えは私にもありません。自分の Webサイトを持っているわけでもなく、ブログを開いているわけでもない私ですから、世間に対するインパクトは相当に小さいでしょう。
せいぜいが、直接顔を合わせて話題が護国、外交に及んだときに、反日・侮日の言説に対しては一歩も引かないという姿勢を持つ程度にとどまっています。
最近、OKWave にユーザ登録をして、反日的発言に対して是正をするようなことはしていますが、そうとう地味ですね。
模索の日々です。

ところで、さきほど久しぶりに佐為さんのサイトを拝見させてもらいました。
相変わらず、ご健勝そうでなによりです。
私は、本業が生産技術、特に設計技術の改善なのですが、それで「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」に対する自主防衛論者さんのお便りに、ちょっとコメントをさせてほしいと思いました。
主張の本筋では合意なのですが、私の専門から一点。
「資本主義というものは、生産調整が効かない」とあります。
これは、やや古典に属する話でして、作れば売れるという時代とその慣性が製造業側に残っている間の話です。現代の製造業では、中小のリサーチをする余力があまり無い所を除き、サプライチェーンというものが重要な課題になっています。その中身とは、需要に対して必要な分だけを供給するというコンセプトで、過剰生産・過剰在庫をいかに無くしていくかという問題です。
近年の製造業では、ご存知だとは思いますが、完全に内作でモノを作る会社はまず無くて、部品や材料を調達します。調達のレベルから市場需要へのリンクを考え、調達・製造の量を調整するのがサプライチェーンのコンセプトです。しかも、最近では調達先の企業との連携まで考えてシステム構築をする事例すら稀ではなくなってきています。
無駄のない生産を突き詰めた考え方と言えます。
個人的には、最終消費者の方に、無駄が多くなってくる時代ではないかとすら思います。廃棄物の面でも、生活廃水の方が工業排水より環境汚染物質を多く出すようになったのが何年も前のことですが、供給の面でもそうした逆転現象が起きはじめているように思います。
ますます、サヨクの目指す社会主義経済における非効率性からは水をあけた世界になってきていますので、その点をしっかり押さえた反論ができるようになっていきたいと思います。
自主防衛論者さんは、このあたりはあまりご存知ないようですので、補足として追加したいと思いました。

窪田様 お便りありがとうございます。
もちろん忘れておりません。
論点が二つあります。
第一点、生産調整については・・正直言いまして私は皆さんのお考えの一般方向(軍隊用語で目的地くらいの意味)が合っていれば、たどる道筋はどうでもよく、また人それぞれのばらつきというかバラエティがあってよいと思います。
あまりこだわらないようにしましょう。
第二点というか最重要なことですが、お互い仕事もあり、家庭もあり、義理も付き合いもあります。
そういうことを踏まえて、愛国一筋とか正論一筋をいうわけにいかないのは当然です。組合の委員が来て選挙頼むといわれたとき「ワシは反対だ〜」というのも大人気ない。まあ、できるところ、できるだけというのが、私たちにできることにすぎません。
それで良いと思います。
前回申し上げたのは、私のそのような活動レベルを責められたのかと思いました。
一市民としてできることはする。それ以上はプロ市民でしょう。

「環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2」 武田 邦彦 

出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
洋泉社978-4-86248-182-52007年09月26日1000円全1巻
お間違えないように。私はこの本をすばらしいとお勧めするわけではない。論理的な考え方をするためのよい意味というより参考にすべき資料として取り上げた。
最近お姿を見かけないが、少し前、ある高校生様がいろいろと環境問題を書き込んでくれた。訪問者の少ないウェブサイトの管理人としては、ありがたいことである。感謝にたえない。
環境問題というのは身近ではあるが、直感的にはわからないところが多い、というか実際は身近ではない分野なのだろう。地球温暖化と都市温暖化は直接に関係ないし、エネルギー危機とガソリン代は直接的にリンクしていない。環境問題とは実は環境問題ではなく、社会問題であり、自然環境の変化そのものではなく、その変化から利益を得ようとする経済問題であり、その利権を狙う政治問題であり、国家権益に利用しようとする外交問題なのである。
そしてすべての環境問題はグローカルやドメスティックなことではなく、すべてグローバルにつながっており、国際政治の手段であり目的であることことにより、身近なもの、肌身で感じることのできる問題ではないというのが本当のところである。
CO2の排出権取引が世界を救うと思っている人はいないだろう。CO2を売り買いすることはお金の移動であり、CO2を減らすことではない。このような明白なおかしなことを「なぜ」と考えることが環境問題を考えるスタートラインに立つことになる。

さて地球温暖化!と誰も彼も政治的に右も左も叫んでいるご時世である。そしていよいよ2008年から京都議定書の達成義務期間となる。
ちまたでは京都議定書とはCO2を2010年に90年比減といっているが、正確には2010年をはさんだ5年間を意味しており、2007年まではエネルギー使い放題、CO2出し放題でもよいのであるが、2008年から2012年までの5年間はケチケチと無駄使いは禁止で、CO2も出してはいけないのである。
2003年以降はどうかというと、京都議定書はなんともいっていないが、安倍さんが2050年に半減なんて大ミエを切ったので、これはまた大変なことになる。
ところで、地球温暖化とみなが心配しているが、同時に石油がなくなるともいわれている。石油がなくなるのが本当なら、あと40年経ったらCO2を出そうにも出せなくなっている可能性が高い。
話が大きくそれてきた・・毎度じゃないかという声もある。
この本は武田先生という方が言いたい放題を書いたものである。ある高校生様などが読むと、すぐに洗脳されてしまうのではないかと心配する。 
何事も情報はひとつだけでなく、主張に瑕疵がないかと疑ったり、裏から読んだり、他の人の意見を聞いたり、過去からの経過などを考えて見たりと、いろいろな観点から見ないといけない。それが考えるということである。
大学の先生が言おうと、政治家が言おうと、外国の有名な人が言おうと、自分が考えたことの方が信頼に足るのである。
まずはじめに誰がなんと言おうと、その情報源(ソース)をはっきりさせないと話にならない。
「ソースを出せ」というのは2ちゃんねるの決まり文句である。
新聞やテレビより、2ちゃんねるのほうが論理的な進め方であることは間違いない。故に導き出される結論もマスゴミよりも適性であることも言うまでもない。
この本を読むと、武田先生も地球温暖化などについては独自の研究や調査ではなく、IPCCの報告書などを基に考えていることがわかる。
IPCCの報告書というのは過去4回あり、この本で取り上げているのはその第4回目の報告で2007年2月に報告されたものである。こういった報告書はすべて公開されており誰でも読むことができる。もちろん英語が読めればであるが・・うそ八百を報道しているマスコミが真面目に読んでいるとは思えない。
ある高校生様は物理も宗教もかじっているので、英語などお茶の子さいさいであろうから、ぜひ原文を読むことをお勧めしたい。
この報告書は3つの部分からなり、それぞれ要約版があり、この要約版は日本語に翻訳されている。この日本語訳もインターネットで公開されている。
 第1作業部会報告書の概要
 第2作業部会報告書の概要
 第3作業部会報告書の概要
つまり我々もこれを読めば一応の情報を得ることができるというわけだ。
読み方であるが、私は要約の日本語訳を読み、興味があるところについては、要約でない英語の原文を読んだ。

武田先生の語ることをじっくりと見ていくと、なるほどというところもあるが、そんなこと信じられないということもたくさんある。
6.gif 武田先生はクールビズがお嫌いなようだ。わたしはこれにはまったく同意できない。
「クールビズを着ても冷房の使用は変わらない」ときた。そうかもしれない。しかし大きなことを見逃している。それは働く人は楽になったということである。ネクタイして楽に働くためにはクールビス着用時以上に冷房しなければならなかっただろう。
私がネクタイ屋が嫌いだとか、ネクタイを結ぶのがへたであるということはまったくない。だいたい、ネクタイとはなにか?と考えないといけない。
ネクタイをする習慣というものはそんなに古くはない。1897年、シアーズのカタログで、「ネクタイをしていない男性は、だらしのない人」というキャッチコピーが登場してから流行りだしたという。
いったいクールビズが悪いという根拠はなんだろうか? このような活動をしても意味がないというのだろうか? 私にとっては首周りが楽になっただけでもありがたいことである。

ペットボトルは5回使ったら捨てるのが良いそうだ。
なぜか? その理由はこの本に書いてあるが・・・呆れてしまった。

海面上昇については武田さんはIPCCの報告を基に心配するなといっている。ある高校生様には残念だが私も同意見である。 IPCC報告によると、20世紀の間に世界の海水面は7センチ上昇したそうだ。そしてIPCCの予想は楽観値・悲観値といろいろあるが、一番可能性の高い値で40センチくらいらしい。間違っても数メートルも上昇するとはいっていない。武田先生はここで終わっている。
しかし要約版ではなく原文によると、海面上昇は世界均一ではないらしい。以前私はジオイドが相似形で大きくなるはずだと書いたがそうではないらしい。私も浅学を認める。
単純な話だが水平といっても海面の高さが均一になるのではなく、重さが一定になるということだ。つまり軽い海水があればそこは高くなり、重い海水であればその部分は低くなる。氷が海に浮いているのとおなじく、軽い海水と思い海水が交じり合わなければ軽い海水部分は高くなるということだ。
するとツバルのある赤道直下は海水が温められ膨脹し軽くなるので、海水面が地球の他の地域より上昇するので海没すると即断するのは早い。ツバルがあるのは南緯5〜10度であるが、報告書を見ると海面が最も高くなるのはもっと緯度が高いところらしい。いずれにしてもツバルが沈んでいるのは海面上昇のせいだとはいいきれないようだ。

憲法9条を改悪?
武田氏の言ではないが、対談相手の池田氏の「憲法9条を改悪している暇があったら将来のエネルギーと食料を確保戦略を考えるのが政府の役目です」というのはまったくの無知である。
エネルギーも食料も国家戦略の上にあり、それは軍事力以前の国家観というもの、国家の意思というものがあったはじめて成り立つ。主義主張に関わらず、基本的なことを知らずに語ってはいけない。
そんなアホを語る前に国際政治を学びなさい。
武田先生、このような国家観、憲法観の上で物事を考えていたら国際政治に出遅れてしまいますよ。
なにしろあなたが言うように、環境問題は国際政治なのですから。

ある高校生様、ものごとは表から、裏から読みましょう。
そして著者が引用している文献も読んだ方が良いです。英語も得意でしょうしね。


本日の主張

環境問題とは国際政治問題であり、その解決には科学技術だけではなく政治力、軍事力が必要なのである。





KY様からお便りを頂きました(07.11.17)
レジ袋有料化
初めまして。
貴方のHPはいつも閲覧させていただいていますが、書き込むのは初めてですのでよろしく。
今朝の朝刊の見出しで「県内主要スーパーで来年4月からレジ袋が有料化」という記事を見て「何故環境問題がウソがまかり通るのか」を思い出しました。この本に依れば、レジ袋は原油の「残りかす」で作られるので、削減したところで原油に換算してもさほどの量にはならず、コスト的にもそんなに高くつくものではないとの事。もしこれが事実なら、「環境保護」の名目で唯でさえ台所の苦しい末端消費者から「ぼったくり」、尤もらしい名目での「利権アサリ」が横行するのでは、と危惧しています。絶対にレジ袋の需要はなくならないと思うし、事実我が家ではゴミ袋に「転用」してゴミ出しの日にはそれに入れて捨てています。今後のことを考えると気が滅入りますね。
それとも私の考えの方がエゴ的なのでしょうか?
KY様 お便りありがとうございます。
私の知識では残りかすで作られているのかいないのか存じ上げません。
また武田先生の論もその世界ではかなり業界より、偏っているとの評価もあります。それについても真偽はなんともいえません。
ただ、何事も疑えというのは真実ですから、権益や天下りのねたではないかと思わなければならないでしょうね。
容器包装リサイクル法などなど環境関連の法律の裏には必ず○○協会とか財団法人というのが繁殖しています。
もちろんいらないものをわざわざ使うのは無駄であることは間違いない。無用な包装はいらない、止めることは安く環境に良いことでしょう。
自分の仕事が後世に残るならともかく、製品がお客様の家に届いた瞬間にごみになるのでは作った人もむなしいと思います。

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