さまざまな理由でISO14001の勘違い、誤解は世にたくさん流布している。
方針の要件すべてを方針の文言中に書かなくてはならない、環境側面にはプラスとマイナスがある、
環境目的の実施計画と環境目標の実施計画が必要である、法規制の一覧表が必要であるという論もある。コミュニケーションとは体育館を貸し出したり、地方祭への参加という説もある。・・・・しかしそんな誤解はまだ軽い。
環境側面から環境目的を選ぶなんてのも大きな勘違いである。
そんなことはない。
それについては既に述べた
もっと大きな問題、重大な勘違いも多いのである。
ISO14001らしく『著しいカン違い』というべきであろうか?
本日はそんな大きな勘違いのひとつである『ISO14001とは環境実施計画を立てて改善を進めることである』という誤解について書く。
多くのコンサルやISO事務局は、ISO14001の活動とは目的・目標・実施計画が大きなウェイトを占めると考えている。環境実施計画(環境マネジメントプログラムあるいはEMP、マネプロなどとも呼ばれる)を策定し、それを実現する活動がメインなのだろうか?
私はこれは間違いであると考えている。
なぜ誤解するのかと考えると、まずISO14001規格の序文に図1というのが掲載されている。この図はISO14001とはPDCAを繰り返し継続的改善を進めていくことを示している。しかしこの図を環境目標と実施計画のPDCAに読み取ってしまう人が多いのである。
ISO9001:2000においても「品質マネジメントシステムの計画」がいったい何を意味しているかが改定時論議を呼んだ。今では落ち着いたのでしょうか?
私はもうISO9001とは無縁になってしまった。
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図1を環境目標と実施計画のPDCAループと読めば、ISO14001はパフォーマンス向上ではないという序文に反します。図1を環境マネジメントシステムの向上と読まねばあきらかな間違いです。
もうひとつ間違える理由として、環境実施計画というのは4.3.1環境側面と4.3.2法規制の次の4.3.3という位置にあり、規格のトップに近いところに記述されているために4.3.1と4.3.2を受けて行うメインの活動であると思われがちなためではないだろうか?
このために、ISO14001の構造というか活動を下図のように理解している人が多い。
環境側面 法規制など | 改善 −→ | 目的・目標 実施計画 | 改善活動 −→ | 監視及び測定 | → | 是正処置 予防処置 |
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維持 −→ | 体制・手順 文書・その他 | 運用管理 −→ |
私はそうではなく次に示すような構造であると考えている。
環境側面 法規制など | すべて −→ | 体制・手順 文書・その他 | 運用管理 −→ | 監視及び測定 | → | 是正処置 予防処置 |
| | 改善↓ | |
環境方針 | すべて −→ | 目的・目標 実施計画 | 改善活動 −→ |
環境側面/法規制から『すべて』が運用につながっていることにご注意願います。
更に改善と維持が上下逆になっているのにご注意を、
これは維持の方が重要だと考えているから上にしたのである。
環境側面が最重要だとご認識いただくためにちょっと変わった方法ですが、ISO14001規格に出てくる回数を比べてみましょう。
環境実施計画という文言がISO14001のいくつの要求事項に出てくるかをご存知でしょうか?
なんと4.3.1環境側面の項目にのみ3回出てくるだけです。
(ワード検索で確認してください)
他の17項目には出てこないのです。
じゃあISO14001での最頻出単語、すなわち規格を貫くメインは何か?などと考えるまでもない。それは環境側面です。
環境側面という語は
★★4.2環境方針
★★4.3.2法的及びその他の要求事項
★★4.3.3目的・目標・実施計画
★★4.4.2力量、教育訓練及び自覚
★★4.4.3コミュニケーション
★★4.4.4文書類
★★4.4.6運用管理
★★4.6マネジメントレビュー
に出てくる。
しかも4.4.7緊急事態は緊急時を有する環境側面、4.5.1は著しい環境影響を与える可能性ということは表現は違うが環境側面そのもの、4.5.2順守評価もしかり・・・
よって18項目の内11項目に関っている。(実は4.1は員数外だ)
ISO14001の本質は環境側面をコントロールすることにある。
そのためにはまず環境側面を把握し、関係する法規制を調査し、組織はどのように管理運用していくかを決め、そのための文書や体勢を作り、実際に運用し・・・とつながるのである。
環境目的・目標を立ててそれを達成するのも「もちろん」重要ではあるが、まずは遵法と維持が優先する。
私は規格を読む限りそうとしか受け取れないし、また常識で考えてもそれしかない。
『環境を改善します!』といったところで、最優先課題は遵法であり、公害の未然防止であることには間違いない。
環境改善を積極的に行いながら法違反や環境事故を起こす企業よりも、改善はボチボチであるが法違反や環境事故防止を徹底して行う企業がまっとうであるだけでなくISO14001規格を体現していると私は思う。
こんなことを勘違いしているからISO14001の審査登録をしていながら、法違反や環境事故が起きるのではないだろうか?
とぼやいているおばQである。
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