どのマネジメントシステムが役に立つのか? 2006.11.04

先日、どの環境マネジメントシステムが良いのか?なんていう駄文を書いたが、本日はまた別の切り口から考えてみる。駄文に変わりがないのはもちろんである。

現在、マネジメントシステムとかISO規格というと認証ビジネスと同義である。審査登録機関は少しでもビジネスを拡大しようとして・・いや世の中のためになろうとして・・要求事項(shall)を定めた規格だけでなく、要求事項でないガイドライン規格さえ(should)を(shall)に読み替えて審査事業をしている。
例えば
GJPSSIという舌を噛みそうな・・実際声に出して言ってみて欲しい。1割の人は舌を噛むのではないか・・グリーン調達調査共通化協議会という団体がある。(ジイジェイピイエスエスアイではなくジェプスと呼ぶ人もいる)ここでは今流行のグリーン調達の基準のガイドラインを出している。
あるいはISO9004やISO14004というガイドライン規格がある。
こういったガイドラインの文章の語尾は「のぞましい」となっているのだが、これを「すること」と読み替えて審査登録をしている。
それどころではない、火のないところではないが、規格がないところには審査機関自らが規格をこしらえて審査登録をしているのである。お疑いでしたら、大手審査機関のホームページをのぞいて御覧なさい。
いやあ、起業家精神旺盛です。

ISOに関わってこの世界に住んでいると、このような状況を見るにつけ『時代に遅れてしまう。あのマネジメントシステム規格も、このマネジメントシステム規格も、それにガイドラインを使った審査登録システムも知っておかないと・・』という強迫観念にかられます。

でもね、そんなにたくさんのマネジメントシステムの審査登録が必要なんでしょうか? 数限りないマネジメントシステム全部を知り、審査登録するわけにはいかないので、とりあえずは一番役に立つものだけにしておきましょうか?

実際に知り合いから聞かれた。
「ISO9001とISO14001とどちらが役に立つのか?」
うーん、これは「役に立つ」という意味次第でしょうか? なんとも言いようがありません。

ところでこの星の数ほどのマネジメントシステムで本当に役に立つのはどれなんだろう?
もちろん、「役に立つ」という意味もさまざまである。回答は星の数ほどある。
『道は星の数』というコマーシャルを覚えていますか?
エリマキトカゲが大人気だった1984年頃のことです。
薬事法で定める責任技術者を頂点とする組織体制と手順が役に立つのか?と問われても応えは一様ではない。まずそういった組織をつくり保険所に届けをし許可を得ないと事業ができない。だから必要条件であり事業に役に立っていることは間違いない。しかし日常の管理で整備した組織の通り運用されているかとか、実際に問題が起きたときに現実にその組織が機能するのかという点ではいかがであろうか? 一例を挙げれば、責任技術者でない者が実際の責任者である組織もあるかもしれない。
同様に、公害防止組織法では公害防止管理者の役割を定めているが、排水水質や大気の測定結果に課長、部長のはんこがあっても、公害防止管理者が承認印を押している組織はそうはあるまい。私の経験では半分もない。厳密に言えば法違反ではなかろうか? 

よく見かける検認欄
あるべき検認欄
担当
課長
部長
青森岩手山形
担当
公害防止
管理者
統括者の
代理者
熊本福岡長崎
まさか公害防止統括者が検印することはあるまい。代理者とはrepresentativeだろう。

どのマネジメントシステムが役に立っているか? といいう質問は愚問であろう。
先だって私はマネジメントシステムというのは、ひとつの組織(会社、NPO、暴力団など)にはひとつしかないと申し上げた。
会社にただひとつのマネジメントシステムを、顧客や行政や一般市民がいろいろな切り口で活動について質問してきたり、あるいは管理することを要求してきたとき、当社は「それに関してはこのような組織、権限、手順を定めています」と説明しているのが世に言われているマネジメントシステムであろうと思う。
というかそれに過ぎないのですが 

ということを考えると、どのマネジメントシステムが役に立つのか? なんて質問は見当違い、木に縁りて魚を求むどころではなく、東と西はどっちが重いか? と聞くようなものではなかろうか?
では、本日の御題である「どのマネジメントシステムが役に立つのか?」という疑問への回答としては、
「マネジメントシステムはひとつしかない。この唯一無二のマネジメントシステムが役に立つのか?というご質問でしたら、十分に機能しております。」というのが最善、いや唯一の回答でしょう。


本日のまとめ

「どのマネジメントシステムが役に立つのか?」という質問を間違っているとは言えない。
むしろそのような質問がでる状況が間違っているような気がする。


最後にもうひとこと
私の駄文を読んで、そうだ、何かがおかしいと考えた方が一人でもいれば、この上ない幸運である。



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