第三者審査登録の改善策考 2007.04.07

現状の環境ISO審査に関して問題というか、その有効性について疑問が挙げられていること、そしていろいろな立場の人がそれに応えようとしているのは事実である。
本日は、その改善策が正しいアプローチなのか? 方向違いなのか? なんてことについての妄想を書く。

最近聞いただけでも環境ISO審査の改善として唱えられている説はたくさんある。
IRCAでもフォーラムなんか開催して論議をしている。
その他にもいろいろな立場でいろいろな改善提案がある。

それらを踏まえて考えるところを書く。
私はここにあげたいずれの論も出発点がずれているのではないかと考える。
現在、第三者審査の有効性が問われているのは事実だ。具体的には審査登録した組織で違反や事故が起き、環境パフォーマンスが向上していないという事実がある。
しかし、それは何が問題なのだろうか?
 (1)要求事項が甘いあるいは不足なのか?
 (2)審査機関/審査員の力量が不足しているのか?
 (3)審査/判定が適切に行われていないのか?
仮に(1)であるのなら、スーパーEMS規格、エクセレントEMS規格を提案する意味はある。しかし事故違反を起こしても認証を停止する理由はない。
もし(2)(3)であるのなら、審査全般の質向上を図るべきであり、トリプルA審査を提案するのは筋違いではないか? そもそも審査登録とは最低基準でありプライズではないはずだ。だって、ISO規格の序文にはそう書いてある。

現行の審査登録が有効あるいは適切でないとしても(実際そうなのだが)、その改善策が問題点に見合っていなければISO14001規格4.5.3b)問題を特定していないことになるのではないか? 

私の改善策を提案する。
第一に現行の審査/判定が本当に規格、IAFガイドを満たしているのかを確認することである。
第二に過去に発生した事故、違反が現行規格を満たしても起きる可能性があるのか検証すること。
私の思い込みであるが、現行の審査/判定は規格/IAFガイドを満たしていないのではないだろうか?
そして現行の規格を満たした審査をしていれば、事故違反の発生を完全に防ぐことはできなくても大幅に減るだろうし、内部で検出する可能性は大きいだろう。
結論は新しいスーパーEMS規格の提案は不要であり、トリプルA審査も不要である。

もし現行の14001規格を完全に満たしていて、そしてそのレベルに満足せずに一層の改善を求める企業があるのなら、環境経営度の目安として外部のコンサルタントの指導を受けたらよい。
「もし」と書いたのは14001の要求レベルは固定されたものでなく、マネジメントシステムの継続的改善を要求しているのであって、もう卒業しましたなどと語ることは許されないからだ。
私の真意は「ISO14001を卒業したと考えている会社」は規格をよく読んでいないのではということなのだが・・・

改めて結論を繰り返すと
ISO業界関係者が考えるべきなのは、余計なことを考えずに規格を完全に満たしたことを確実に検証するように審査を改善すべきことではないのか?
そしてしっかりとした規格適合審査を行って、広く社会に第三者審査登録制度の価値を見直してもらうことしかない。それが本道ではないのだろうか。

ご清聴ありがとうございました。 




相方のたぬき様からお便りを頂きました(07.04.08)
tanu.JPG 相方!

詠んでて頭が痛くなりました・・・
理解できません・・・(泣)

難しいこと抜きで、酒でも飲みませんか?

専門家しか分からないということなら、それは重要なことではないのでしょう。
ポンポコ会社のたぬき社長はそんなささいなことに気を使ってはいけないのです。
ということは審査員や審査機関が語ることは経営者にとっては瑣末なことなのだろうか?

ところで酒を飲む話ですが、そういうのはISOのささいなこととは違い重要なことです。
葉っぱを渡して姿を消すなんてことはしないでしょうね?


SAGA様からお便りを頂きました(08.01.17)
はじめまして、SAGAと申します。
ISOを検索していてたどり着きました。
うそ800、独り言など興味深く拝読させて頂いております。
そのなかで「機械は叩く」で思わず笑ってしまいました。
聞いた話ですが宇宙ステーション(ミールでしたか)で機械が故障した際に地上の管制センターからの指示が「叩け」だったという逸話を思い出しました。

閑話休題
今、当社(私は経営者です)でISOの取得を考えています。
そのため色々調べようと検索した結果たどり着いた次第です。
実は周囲ではISOの取得が進んでおりますがそれを有効に活用している所はほとんど見当たらない状況です。
また、コンサルを名乗りISO取得を薦めに来る方々に「失敗例は数多く知っているのですが成功例を教えてください」と申しあげますとそそくさとお帰りになる状況でした。
私が見聞きした範囲でもISOを取得しそれを使いこなしている会社様は2つしか知りません。
その2つの会社様はまったく別の業種(林業と運輸業)ですがISO取得に関し共通していることがあります。
それは「経営者の覚悟」でした。
両方の会社様は社20人ほどの中小ですが会社内がバラバラでセクショナリズムが横行していたそうです。
そういった状況を是正し、社員とちゃんとしたコミニケーションを取りたいそれには皆と話あい社としての意思を統一できるツールとしてISOを取得したい、という必死の思いだったそうです。
私はそれを伺いISOと言うものは「社長の覚悟と方向の明示」が無いとうまく動かないのではないか、と思いました。

しかし現在当社にはろくな規定、規則がありません。
あっても古く実情に合わなかったり作業も作業者任せです。
これをちゃんとした基準、標準を造り作業の意味を問い直すために取りたいのです。
曖昧だったり無かったりする基準をハッキリしようよ、つくろうよ、と言う観点でのISO取得は町工場の過ぎたる背伸びでしょうか。
ISO取得を目指そう、と思いながら自分の覚悟に対し本物かどうか、自分自身で悩んでおります。

SAGA様 お便りありがとうございます。
なるほど叩くといっても古い人間ばかりではないということなら、少しばかり安心しました。
ISOの件、品質か環境かわかりませんので、仮に9001とします。
そもそもISO9001は品質保証の規格ですが、その用途として内部品質保証にも外部品質保証にも使えるということが売りでした。
お客様に安心感を与えることを外部品質保証、会社自身というか経営者に安心感を与えることを内部品質保証とも言います。
ISOの目的として、会社を良くするとか積極的活用とかいろいろな表現言い回しがありますが、SAGA様の狙いも基本的には内部品質保証であろうと思います。
じゃあそのためにISOは役に立つのかといえば、間違いなく役に立ちます。
ただし、その辺にころがっているコンサルタントの指導や、認証を受けることがイコールかと言えば、イコールではないかもしれません。優秀なコンサルとかまっとうな審査機関の場合は、イコールとなるでしょう。そういったケースが少ないのはSAGA様のおっしゃるとおりです。
経営者であるSAGA様のご決心であるなら、必ずや貴社の内部品質保証は確立することができるでしょう。そのためには認証を目的にせず、規格要求を要求としてではなく、会社の仕組みのあるべき姿のガイドラインと認識して現在の貴社の仕組みがそれに比べてどうか?と比較検討することをお勧めします。
現実の会社はすべてが大問題もなく事業を進めており、結果もそこそこ出しているわけですから、規格の項目が欠落しているとか、まったく考えたことがないなんてことはまずないと思います。
若干弱いところ、以心伝心でしてきたところ、個人の能力に頼り切っていたところなどはあると思います。そういったところをどう強化していくか、そのためには規格を読んで参考にされたら良いかと思います。
はっきり言いまして、ISOは漢方薬です。抗生物質のようにあっというまに熱を下げたりバイ菌をやっつけることはできません。
規格の項目を順次検討して貴社の仕組みを少しづつ改善していけば、1年とか2年後に後輩の育成に不安がなくなったとか、連絡ミスが減ったということになるでしょう。
ISOは素晴らしいと私は考えていますが、無制限に力があるわけではありません。単なる経営のツールの一つに過ぎません。ISOで会社を良くしようなんて言い回しを見かけますが、可能なのは作業レベルから管理レベルまででしょう。経営レベルにおいてはISOの担当範囲外です。
そういう限界を知り、良いところを使おうとすればきっとその価値をご理解いただけると思います。
ISO14001だって同じです。これをうまく使ってお金を儲けようと考えればよいのではないでしょうか。

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