第44条2004.08.08
「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。」

さて本日は憲法第44条について考えましょう。
まず、条文を読みますとどこかで見かけたような気がしませんか?
だらだらといろいろな条件をあげつらね、「・・・にも関わらないでなんたら」というのを見た記憶あるでしょう。
第14条第1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
まったくバカの一つ覚えといいましょうか、この憲法を書いた人は羅列するのが好きだったのですね、
ご無沙汰じゃ ISO規格ではこういった羅列は非常に少ない。本質のみ記述すれば似たようなことを書かなくとも用を満たすという文章を書かないといけないのですよ。
あれもこれもあげ連ねる代わりに、何が共通事項かそれをつかまえて『これだけやれ!』と言い切ってしまうということです。もちろんそれは文章の書き方以前に、目的を知り、それを構成する要素や手段を知らないと書けないでしょう。ということはこの憲法を書いた人は憲法の目的もその手段もよく理解していなかったということに間違いありません。もし異議あるお方はぜひ反論をお願いします。

さて第14条と第44条で羅列しているリストでは何かが違うのでしょうか?
和文では頼りないので原文を見てみましょう。
Article 14.
All of the people are equal under the law and there shall be no discrimination in political, economic or social relations because of race, creed, sex, social status or family origin.
Article 44.
The qualifications of members of both Houses and their electors shall be fixed by law. However, there shall be no discrimination because of race, creed, sex, social status, family origin, education, property or income.
まず気づくのは双方とも「shall be no discrimination」と同じ言い回しです。つまり「差別があってはならない」ということかと思います。まあ日本語にするには人それぞれ趣味もあるでしょう。しかし一方を「差別されない」で片方が「差別してはならない」では翻訳した人の頭を疑います。
もう救いようがないといっていいでしょう。

私は頭が悪いものですから、翻訳するときとか会社規則を作る時には用語の表を作りまして、一度出た単語は必ず同じ単語に置き換えるとか、同じ意味につかうなどけっこう気を使うのです。日本国憲法といえば会社規則などよりはけっこう重要かと思いますが、作文した人は全然そんなことに気を回すことをしなかったようです。 
 とりあえず私が対照表を作って見ました。
第14条第1項
法の下
人種信条性別社会的身分門地政治的経済的社会的関係 
racecreedsexsocial statusfamily originpoliticaleconomicsocial relations 
第44条
選挙権
人種信条性別社会的身分門地 財産又は収入 教育
racecreedsexsocial statusfamily origin property or income education

差別されない要件について愚考してきましたが、それだけで終わったのではこのウェブサイトの価値も地に落ちます。
誰です?もともと地に落ちているなんていってる人は? 

ではいよいよ本題と行きましょう。
「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。」
では法律で定めることができるのは「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入」以外ということになります。一体法律で制限できるものとして何があるのでしょうか?

もちろん第一義には国籍があります。
でもこれは「第3章 国民の権利及び義務」ですから、法律で国籍によって選挙権を持つ持たないを決めることは憲法違反! 在日の方に選挙権を持たせようという主張の方々、ご確認願いますよ。
現実に法律で制限しているのは年令がありましょう。住所もあるでしょう。現在の選挙権は20歳、被選挙権は25歳あるいは30歳と決めてありますし、住民登録しているところでないと選挙できません。
smile.gif しかしおもしろいことに身体に関わることも規制がありません。つまり身長170センチ以上のものに選挙権を180センチ以上のものに被選挙権を与えるとしても憲法違反にはならないようです。
またバカバカしいことを思いついてしまいました。
日本語を話す人だけに選挙権を認めるという法律は違憲ではなさそうです。さらにはもっと極端に東京弁あるいは東北弁を話せないものには選挙権を認めないということも違憲ではなさそうです。
  1. 教育(education)とは学問であって、日本語を話せないこととedcationは関係ありません。
  2. 私はISO的解釈であって、法の精神などを持ち出してはいけない。
    それを言った瞬間に文字解釈は霧散してしまう。
要するに「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入」以外で選挙権、被選挙権を制限することは現憲法で可能です。
それともそういった規定は違憲だという風に読めるでしょうか?
あるいは防衛に尽くすという誓いをしたものだけに選挙権を与えることは違憲でしょうか?
選挙権に関して「政治的」というのが抜け落ちていることにご注意願います。「信条に関わりなく」とありますのでそれでカバーしているのでしょうか?
    creedとは英英辞典によると
  1. an authoritative formulated statement of the chief articles of Christian belief
    キリスト教において権威つけられた公式な教義
  2. an accepted system of religious or other belief
    宗教やその他信仰されている体系
    とでも訳すのでしょうか?
creedとは宗教あるいは信心を意味していて共産主義とか無政府主義といった思想とイコールではありません。つまりその意味するところは仏教徒であれ、キリスト教徒であれ、神道であれ選挙において差別はされないということです。本当は信条ではなく信仰とすべきだったのでしょう。
しかし『政治的思想』についても選挙において差別しないとは『読めません』
だから極論すると共産主義を禁止する法律は違憲ではなさそうです。なお自由主義を禁止することは違憲であることは間違いありません。なぜなら私有財産を認めているからです。(29条)
ということで「日本を守ることを誓った者だけに選挙権・被選挙権を与える」という法を制定してもそれは合憲であると確信します。
結論としてなんと我が日本国憲法は、宗教による選挙権に制限はないが、主義主張によっては制限できるという新しい見解が見つかりました。
もちろん法律の専門家からご異議があるかもしれませんが、ISO的解釈では逃げようなさそうです。
もちろんISOの専門家からもご意見を期待します。
お互いに同じ土俵で議論できるのではないかと・・

弁明でございますが、
私は政治的主義によって選挙権を規制するのは明らかな間違いと思います。
しかしこの日本の祖国防衛を誓うものにだけ選挙権を与えるべきであると確信します。
思うとか確信すると表現しますのは私には証明できないからです。
敵が攻めてきたら逃げるという人と、命を張って戦う人が国政に同等の発言権を持つことは同義的にも論理的にもありえないと考えます。


ところで、本日の結論でございますが、


この条文は穴だらけ、ちと気が利いた独裁者にかかるといかようにでも取り扱えます。
 第9条の比ではありません 
意味するところを大いに議論して、それを正しい日本語で書きしるすべきだと思います。
護憲論者の方々!あなたたちの権利を守るために改憲を提案します。
いかがでしょうか?man2.gif



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