憲法72条 (2003.08.17)
「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」

このセンテンスでは三つのことを定めています。
「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出する。」
「内閣総理大臣は、一般国務及び外交関係について国会に報告する。」
「内閣総理大臣は、行政各部を指揮監督する。」

では本日はその最初の文章について論じたいと思います。
第二、第三の命題については日を改めて・・・・・といいながら後と化け物見たことないになりそうです。 

国会は立法、内閣は行政、裁判は司法と言われているのですから国会議員は法案を考えて提案しているのでしょうか?
どうやら実態は異なるようです。
日本の法律の9割は内閣といいますか政府が提出しております。(1986年〜1995年の立法状況)

衆議院参議院閣議立法
提出件数291本
(21%)
101本
(7%)
1008本
(72%)
1400本
(100%)
成立件数119本
(11%)
15本
(1%)
953本
(88%)
1087本
(100%)
成立率40.9%14.9%94.5%77.6%

政府・内閣・官僚が議案を考えて、与野党に関わらず国会議員は内閣が提案する議案について「○」「×」だけ表明しているならばテレビのクイズ番組と同じではありませんか?

もし、内閣が法案を提出できない、議案提出は国会の専権事項であるとしたらどうなるでしょうか?
    なにか困ることがあるでしょうか?
  • 「えっ、国会議員は法律を作らなくちゃいけないの?わしできんぞ!」
    なんて言っちゃ困ります。
    ふつうの人なら動かせない土地さえ転がせる土建屋さんであっても、怪しげな観光船のプロモーターであっても、プロスポーツで好成績をあげたからといっても議員の資質を裏付けるものではありません。国会議員は法律を書くことができなければならないことは自明でしょう? 賛成反対を表明するだけでは足りないのです。
    僕も弁護士だったのだよ アメリカですと議員のほとんどは弁護士の資格を持っております。もちろん大統領も弁護士である方は多いです。例えばケネディもニクソンもクリントンも(すみません、他の方については知りません)
    まあ、かの国と日本の弁護士の位置づけは多少異なるかもしれませんが・・・

  • 「たっくさんある法律をいちいち国会議員が起案していられるか!」
    今現在有効な法律は日本に1800本あるそうですが、毎年平均120本くらい制改正されているそうです。
    今現在ほとんどの議案は課長補佐というレベルの方が書いているそうです。国会議員の方々、法律を作りのは議員の特権です。みずからが書いてください。
    あなた方には高い歳費をお支払いしているのです。
    「○」「×」のプレートをあげるだけならそのような歳費を返してください。

  • 「そう言われても、法律の内容なんか良く知らないんだ!」
    そうでしょう、そうでしょう。
    なにしろ有事法制の中身を知らずに大声を張り上げ反対を叫んでいた某党の議員さんもいましたね、
    はっきり言いましょう、そういう方は今すぐ辞表を提出ください。

  • 「テレビに出たり居酒屋の手伝いもしなくちゃならんのよ」
    国会議員になればテレビに出演したり、国費で海外旅行を楽しみにしていたんですか?
    ついでに秘書の給与も頂けると思ってたんでしょう!
    困りますね!
    ハイ、あなたもすぐに辞表を書きましょう。
法律は国会議員が考えて、起案し、議員に提出しましょう!
あなたの名前がついた法律が後世に残ったらそれは晴れがましいことじゃないですか!
「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」が「オゾン法保護法」なんて略称ではなくて「山田太郎法」なんていう名前で呼ばれたら気持ちよくないですか?
選挙民も「おお!おらっちの先生の名前が法律に残ったわ!」と次回当選は間違いありません。

本日は内閣に関する条文なのに、議員に関してしか論がない、なんてクレームがございますか?
とんでもございません。
内閣の章にこのような文言があるのが大間違いであると申し上げておるのです。

三権分立っていったいどこに行ってしまったのでしょう?
それに国会議員が暇だとろくなことをしませんからね、



本日の提案

憲法72条改正案
内閣総理大臣は、行政各部を指揮監督し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。
第二項 内閣及び内閣総理大臣は議案を国会に提出することはできない。



現行条文の「並びに」が「及び」に変わった芸の細かさに拍手を頂きたいところです。 





Yosh様からコメントを頂きました。(2003.08.18)

他の問題が生じています。
us-flag.gif とうた様 アメリカですと議員のほとんどは弁護士の資格を持っております。もちろん大統領も弁護士である方は多いです。
そのとおりなのですが。
こちらでは、これで問題(というかおかしなこと)が出てきております。議員が法律を将来のため自分の都合のよいように作ることもできるわけですから。そして議員を辞めて弁護士自身の仕事を容易にすることができるのです。
これはこの世に良いこと悪いことが背中あわせにあるような実例の一つでしょうか。


いつもご指導ありがとうございます。
あちら立てればこちらが立たず・・・・・ということでしょうか?
しかし、大きな違いがあると思います。
貴国では官僚が法律を作らない!ということです。
政治家が政治をせずに過ごしている国は民主主義ではないといえるのではないでしょうか?

官僚が政治をする国・・・おお!それは唐や隋のような国じゃありませんか?
ところで日本に宦官っていましたっけ?
  中国に○○抜かれて腑抜けになった政治家はたくさんいるようですが。







ななし様からお便りを頂きました。(2003.08.19)

憲法72条
改正の提案を読んで疑問に思った事が三つあります。
内閣総理大臣が、議案を出せなければ国会議員小泉純一郎だったら議案を出せるのですか?
二アメリカの例が出てましたが、アメリカ及びその他の外国では、内閣は議案を出せないのでしょうか?
三 現行条文の「並びに」が「及び」に変わった芸の細かさに拍手を頂きたいところです。
残念ながら実質的な違いが理解できません。



お便りありがとうございます。
もとより私はパパは何でも知っているのオトーサンではありませんので、あなたのご質問すべてにご満足いただける回答などできるわけありません。 
という前提でいきますのでよろしくお願いします。

その1
はっきりいってこれは考え方次第でしょうね、
議長は議決権がないとしたり、賛否同数の場合は議長の決するところによるといった決まりは良く見かけるところです。
そのとき、議長も国会議員なのになぜ議決権がないのだとか、なぜキャスティングボートを持つ権利があるのだと言ったところで、そりゃ約束事と言います。
本質的なところではありません。
あなたが素晴らしいアイデアをご提案いただけたらありがたいところです。

その2
アメリカ憲法第2条第3節
「大統領は連邦議会に対し、随時連邦の状況に関する情報を提供し、また自ら必要かつ適切と考える施策について議会に審議を勧告する。」とあります。議案提出権に付いての記述はありません。
実際の運用ではどうなんでしょうねえ?
少しお待ちください、わが師、Yosh様からコメントいただけるでしょう。



あっという間に海の向こうからわが師Yosh様がコメントしてくれました。(2003.08.24)
このウェブサイトはまさしく国際的でございます。
『アメリカ及びその他の外国では、内閣は議案を出せないのでしょうか?”』について

以下のように考えれば如何でしょうか。
簡単にはいかないのですが、アメリカ市民は議会に議案(と言うか必要と思われることを案)をだして法律を作るようにさせることができます。
議会で公聴会がしばしば行われているのを御存知でしょう。そして議員はその議案を審議して賛否をするわけです。議案が一部の人達だけに利を与えるようなものであればそう簡単には通過しないし、また次の階段が待つています。
Yosh様、ご指導ありがとうございます。
基本的に法律は議員が作成・提案すると理解してよろしいのでしょう。
日本では法律は政府が考えるものと思われています。
時々気が向いた政党が議員立法なんて言い出しますが、議員立法という言葉自体が矛盾のようです。

国会議員がブレインと共に法案を一生懸命考えて提案するというのがあるべき姿ではないのでしょうか? いえ、あるべきというより当たり前なのでしょう。
日本で改革すべきことはものすごくたくさんありそうです。

その3
まあ、ちょっとしたダジャレでしょう。
無理に理解しようとしなくとも・・・・





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