第79条6項 (2003.01.07)
「最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」

第80条2項
「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」
本日は裁判官の報酬について、

報酬について定めているのは、裁判官のほかに国会議員の歳費についてがありますが、その他の公務員の報酬については定めてありません。
閣僚も半数以下ならば国会議員でなくともよいのですが、その方々について賃金を払うとは憲法で決めていません。議席を持たない大臣は無報酬なのでしょうか?ぜひ竹中大臣にお聞きしたいものです。

もちろん一般の国家公務員や地方公務員の賃金についても憲法で定めていません。
まさか市役所の事務員や自衛隊員が無報酬ということもないでしょうけど 
そういった人には憲法27条2項で対応するんだ!とおっしゃるかもしれませんが、裁判官にも同条項は適用されるわけで特別視すること自体がおかしいようです。
いえ、冗談ではなく国会議員の秘書は公務員でありまして、この方々の報酬は憲法では定めてありませんが、国庫から出しております。
そう言えば、辞任した某女性議員は国から秘書に支払われた賃金をワークシエアリングといって自分の懐に入れておりました。
どうりで懐の広いお方だと伺っておりましたが・・・・・
裁判官には国が賃金を支払うのは当たり前とお考えでしょうか?
実はそうでもないのです。
昔のヨーロッパの物語などを見ると、争議が起きたとき争っている双方が見識があると評判の方に裁定をお願いするケースがあります。その場合は原告被告双方がお金を出して判事(といったかどうか知りませんが)をお願いするわけです。判事役の人はその裁判の重大性によって請け負う金額を指定します。
そして請け負ったからには双方の言い分を聞いて、最善の判決を下さなくてはなりません。万一後々裁定に問題が発覚すれば判事がその責任を取ります。
日本だって、昔は名主とか大家さんなんかが本当はしたくない民事事件とかの処理をしている場合もあったのです。その場合は無報酬のサービスだったのかもしれません。

まあ、民営の裁判でしょう。
民営だと公平性がないなんてこともありません。
判事は結果責任は取らなくてはならないし、また評判が落ちれば裁判官を頼まれることはなくなります。
言い換えれば結果責任を取れない人に裁判を頼まないでしょうね、
いかなるシステムでも淘汰する力は働きます。
今の日本だって裁判官の忌避はできます。実際に忌避する原告・被告がいるかどうかは不明ですが?
ISO審査員だって、受ける側は忌避ができます。
「あの審査員は厳しいから別な人にしてよ」
  なんてことは言っちゃいけません。
  そういう時は
「当社の製造品目は特殊なもので、業界に通じている審査員にぜひ審査をお願いしたい」
  と上品に婉曲(とおまわしに)に言わなくちゃいけません。
本条は「日本ではそういった民営やサービスの裁判をしないで裁判は国営だよ」と宣言したのでしょう。

ところで、裁判官の報酬は在任中は減額されないのだそうです。
国会議員の歳費でさえ減額しないなんて定めはなく、現実に03年度から下げられるはずですから、裁判官の報酬を下げないとわざわざ『憲法』で定めているのはなんか理由があるのでしょうか?

実はこの部分はアメリカ憲法のコピーのようなのですが、私には理由が分かりません。
tenbin.gif
罪の重さを測っているのですか?
いえ、お金の重さを測っております

参考までに・・・
アメリカ憲法 第三条 第一節
合衆国の司法権は、一つの最高裁判所および連邦議会が随時制定、設置する下級裁判所に帰属する。最高裁判所および下級裁判所の判事は、善行を保持する限り、その職を保ち、またその役務に対し定時に報酬を受ける。その額は在職中減ぜられることはない。

アメリカ大使館訳




本日の疑問


前段には特段異議はありませんが、後段の報酬を減額しない理由は不明です。
なぜ裁判官だけは報酬や定年などこまごましたことを決めているんでしょうか?




なお、2002年に下記のとおり報酬の減額がされております。
とすると、マスマス報酬をワザワザ憲法で定めるまではなさそうです?

「裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案」「検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案」=閣法A(報告:平岡・NC法務大臣)

平岡NC法務大臣より、裁判官の報酬については、司法権の独立を担保するため、憲法79条6項と80条2項で減額できない旨規定されているが、9月4日の最高裁判所裁判官会議においては、「国家財政上の理由などで、やむを得ず立法、行政の公務員も減額される場合、裁判官報酬の減額は身分保障などの侵害には当たらず許される」との見解が出されており、学界において合憲説も主張されていることも踏まえ、現下の社会の諸情況に照らし、今回の引き下げは容認、政府案に賛成の旨報告され了承された。




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