せきぐち たつみ
関口 巽
(隠花植物、関)
作家。以前には粘菌などの研究をしていたが、今は雑文書きで生計を立てている。少年向けの科学冒険雑誌や、カストリ雑誌に匿名で書くこともある。
京極堂とは学生時代からの付き合い。学生時分には鬱の気を持ち孤立していたが、京極堂とは馬が合った。
最初のころは「わざと話を逸らしてとんちんかんな返事をすることがある」といっているが、後のほうになると完全に本気で言っているような気がする。
「普通の何倍も読書欲があるにもかかわらず本に対して執着心がなさ過ぎるよ」(京極堂)
けっこう汗かきらしい。小心者だからか?
自分では普通の社会人のつもりらしく、ちょっと神経がゆるいのを京極堂らの「毒気」のせいにしたりする。
学生時代は精神医学を志したこともあり、薬物などにもちょっと詳しい。
関口から見た、京極堂との関係について。「(前略)だから私はある時期からこの男に自分の一部を委ねてしまっているのだ。その正否は別にして、この男が私という人間のぼやけた輪郭をある程度明確にしてくれる。不細工でぎこちない、寄せ集めのコミュニケーションしか持てなかった私にとって、それはとても楽な選択だったし、この理屈の固まりの如き無愛想な友人は、彼岸から此岸に無理やり私を引っ張り戻した責任をそういう形でとっているのだ」
戦時中は学徒出陣し木場と同じ部隊にいた。(関口が隊長)。ちなみのその部隊は木場と関口を除き玉砕。関口が夢で木場(と思われる男)に「あんたは取り返しのつかないことをしてしまった。もう後には戻れないんだ。だから先へ進むしかない」といわれているのはちょっと気になる描写。
『魍魎の匣』より
本人は幻想小説を書いているつもりはないが、世間ではそう捉えられている。久保竣公にあれこれ問い詰められたあげく、自分の小説は不条理小説と答えた。
『狂骨の夢』より
権力を行使するものに圧倒的偏見を抱いているらしい。