ホームモニター日記
※家のテレビモニターで鑑賞した作品やコンテンツに関する感想のまとめです。(映画に限らず何でも話題にしています。)
※映画館や配信サイトでの公開から約1年以内くらいの映画は、新作映画と考えて簡単な作品情報を載せています。(何の根拠もない独自ルールですみません……。)
Netflixで視聴:
【マチルダ・ザ・ミュージカル】:【チャーリーとチョコレート工場】のロアルド・ダールの作品を原作としたネトフリオリジナル作品。昨今のアメリカ映画って個性を出そうとするとこういう濃い味付けになりがちなような。そして最後はマチルダ・ザ・サイキック……ってそんな解決方法でいいの?
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』:前評判に違わずべらぼうに面白かった!これが映画なら本年No.1はもうこれでよかったかも。自閉スペクトラム症の弁護士ヨンウさんの「私の人生はおかしくて風変わりだけど価値があって美しいです。」というセリフに泣いた。続編やシリーズ化は好きじゃないけれど、本作はまだ明らかに話の途中なので、是非とも第2期をお願いしたい。
『ONI ~ 神々山のおなり』:岡田麿里氏脚本のCGアニメシリーズ。日本の神様や妖怪の世界をうまく扱っていて作りも丁寧で、CGも抜群にきれい。もっと評判になってもよさそうなものなのに。おかしいな。
『舞妓さんちのまかないさん』:原作ファンの人にはあまり評判がよくないらしいが、是枝裕和監督の主眼は、原作の忠実な実写化というよりは、現代の京都の置屋さん文化をある程度実際に近い形で実写化することにあったのだろうから、そういう批判も仕方がないのかなぁと。原作を知らない自分は、これはこれでよく出来ていると思ったし、充分楽しむことが出来たのだが。後期高齢者の母には好評で、全編食い入るように見ていたのはお伝えしておきたい。
『HEARTSTOPPER ハートストッパー』:原作の評判はよく聞いていたのだが、噂に違わぬ愛らしいお話。お互いの距離を少しずつ縮めていくティーンエイジャーの男の子二人にほっこりした。
【バルド、偽りの記録と一握りの真実】:さまよえるメキシコ人。国際的セレブになった表現者が自分のアイデンティティに悩むって、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督本人が投影された物語なのだろうか。でもその手の話って、得てして本人が思うほどには面白くないのよね。
【神在月のこども】:2021年公開作。オリジナルのアニメ作品を創ろうという気概は買いたいし、八百万の神々の世界と関わるという設定は悪くなかったのだが、キャラクターもストーリーも分かりにくくて感情移入しにくかったと思う。
【ブラジル 消えゆく民主主義】:ブラジルの政治状況を描いたネトフリオリジナルのドキュメンタリー。不正が渦巻き流言飛語が飛び交いポピュリズムが跋扈するブラジルのカオスな政界、日本も似たところが多々あるというか、日々近づきつつあるようで全く笑えない。まぁ、政治の劣化って日本だけの話でもなく、既に国際的に解析して解決すべき問題になっているかもしれないが。
【ザ・モール】:デンマークのある男が親北朝鮮の組織に約10年間潜入し武器密輸の実態に迫るという驚きの内容なのだが、デンマークに北朝鮮支持の年寄りサークルがあるということにある意味もっとびっくりした。共産主義への憧憬をこじらせている人達って世界中に一定数存在しているのだろうか。日本ではその名を名乗る政党が長年堂々と政治活動をしてるから、こんなふうにこじらせている人は逆に少ないだろうけど。
【ギレルモ・デル・トロのピノッキオ】:ネトフリオリジナル。予告編が気味悪くて見るのをかなり躊躇したけど、思った以上にしっかりとアニメ的な可愛さがあり、想像以上にきちんとした解釈が全編に行き渡っていた良作だった。ゼペットじいさんも不完全な大人だし、ピノッキオはあくまでも木の人形で安易に人間になったりしない。そして命あるものにはいつか必ず死が訪れるが、それは自然の摂理であって決して悲劇ではないのだ、と諭しているのが凄くよかった。
『ザ・チェア 私は学科長』:韓国系の中高年女性が、とある小さな大学の学科長になるというオリジナルドラマ。露悪的なテイストはあまり好みではないが、今のアメリカの大学に存在する様々な問題を提示しているのは面白いと思った。
【ちひろさん】:今泉力哉監督のネトフリオリジナル映画。なんていうか、日本の映画界のある層って、人生を達観している風俗嬢とか元風俗嬢とかに救いを与えてもらうっていう設定が本当に好きだよね。で、この主演女優さんは、ある層の男性のファンタジーにすっぽり嵌まることが得意中の得意だから、選ばれるべくして選ばれたんじゃないか。でも本編の印象は、特に良くも悪くもない中庸な感じだった。
【マチルダ・ザ・ミュージカル】(6/10)
原題:【Roald Dahl's Matilda the Musical】
監督:マシュー・ウォーチャス
脚本:デニス・ケリー
原作:ロアルド・ダール
出演:アリーシャ・ウィアー、ラシャーナ・リンチ、エマ・トンプソン、他
製作国:イギリス/アメリカ
【バルド、偽りの記録と一握りの真実】(5/10)
原題:【Bardo, falsa crónica de unas cuantas verdades】
監督・脚本:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
共同脚本:ニコラス・ヒアコボーネ
出演:ダニエル・ヒメネス・カチョ、グリセルダ・シシリアニ、ヒメナ・ラマドリッド、他
製作国:メキシコ
【ギレルモ・デル・トロのピノッキオ】(8/10)
原題:【Guillermo del Toro's Pinocchio】
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
共同監督:マーク・グスタフソン
共同脚本:パトリック・マクヘイル
原作:カルロ・コッローディ
(アニメーション)
声の出演:ユアン・マクレガー、デヴィッド・ブラッドリー、グレゴリー・マン、クリストフ・ヴァルツ、ティルダ・スウィントン、バーン・ゴーマン、ロン・パールマン、ジョン・タトゥーロ、フィン・ヴォルフハルト、ケイト・ブランシェット、ティム・ブレイク・ネルソン、他
製作国:アメリカ
【ちひろさん】(5/10)
監督・脚本:今泉力哉
共同脚本:澤井香織
原作:安田弘之
出演:有村架純、豊嶋花、嶋田鉄太、van、若葉竜也、佐久間由衣、長澤樹、市川実和子、鈴木慶一、根岸季衣、平田満、リリー・フランキー、風吹ジュン、他
製作国:日本
Amazon Primeで視聴:
【グッバイ・クルエル・ワールド】:西島秀俊さんを始めとする綺羅星の如くのキャストがヤクザの金を奪い合う大森立嗣監督作のピカレスク。監督なりにこの世の闇に焦点を当てたいという意欲は感じるけれど、何も全員○○という暗さしかない終わり方じゃなくてもいいんじゃないだろうか。
【犬も食わねどチャーリーは笑う】:【箱入り息子の恋】【台風家族】の市井昌秀監督作。それだけはやっちゃいかんだろうという地雷を次々踏み抜く旦那さん(香取慎吾)の毒々しさ。当初は不満をネットに上げるだけで離婚する気まではなかった奥さん(岸井ゆきの)は、むしろ十分優しいよ。結局、逃げずにコミュニケーションを取ることが大切だけど、それが本当に難しい。そういう話をこのように脚本化できるのが凄いなと思った。
【PLAN 75】:75歳になったら安楽死を選ぶ権利が与えられるという世界の話。個人的には、PLAN 75と言うくらいならいっそPLAN 50くらいにしてくんないかな、そうすりゃ楽になれそうだなぁ、と思ったが、そうは問屋が卸さないんだろう。生産可能年齢のうちは搾り取るだけ搾り取る気満々の世の中なんてクソ食らえだ。
【グッバイ・クルエル・ワールド】(6/10)
監督:大森立嗣
脚本:高田亮
出演:西島秀俊、斎藤工、大森南朋、三浦友和、宮沢氷魚、玉城ティナ、片岡礼子、宮川大輔、奥野瑛太、奥田瑛二、鶴見辰吾、他
製作国:日本
【犬も食わねどチャーリーは笑う】(6/10)
監督・脚本:市井昌秀
出演:香取慎吾、岸井ゆきの、井之脇海、的場浩司、眞島秀和、きたろう、浅田美代子、余貴美子、他
製作国:日本
【PLAN 75】(7/10)
監督・脚本:早川千絵
出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美、他
製作国:日本/フランス/フィリピン/カタール
NHK EテレのETV特集『オモニの島 私の故郷 映画監督 ヤン ヨンヒ』の録画を見た。ヨンヒさんが見たり経験したりしてきた幾多の思いを世に伝えられるよう、彼女にカメラを渡した映画の神様の配剤に感謝した。『スープとイデオロギー』を観る機会をまだ得ていないが、早くその機会が欲しいと思った。
朝ドラ『舞いあがれ』は、メインの脚本家である桑原亮子さん以外の担当部分が大変不評だった(そこだけ悪い意味でステレオタイプな通俗的なスラップスティックに変化してしまい、あまりに面白くなかった……桑原さんのみが執筆していればどれだけの名作になっていたことか)が、今年後半からの朝ドラ『ブギウギ』も、足立紳さん以外に脚本家が入るらしい。体感からすると、朝ドラに複数の脚本家が入るとあまりろくなことにならない。なんかそこまでして朝ドラってフォーマットを無理矢理守らなくてもよくない?一番重視して欲しいのはドラマの質なんだけどな。
松本零士さんの第二次世界大戦をベースにした短編漫画集『戦場まんがシリーズ』から3編をオムニバスOVAにした1993年作の『ザ・コクピット』を視聴。原作ではどうだか分からないのだが、本作中では、メカニックのかっこよさを偏重したある種のナルシズムが前面に出てしまっていた気がする。
U-NEXTに戻り……
『ペンションメッツァ』:森の奥のペンションのオーナー役の小林聡美さんが様々な人物と邂逅する、WOWOWオリジナルの連続ドラマ。監督・脚本は松本佳奈さん。視聴を完全にあきらめていたので、こういう作品が時間が掛かっても後々配信に来てくれる流れは嬉しいな。
【島守の塔】:第二次世界大戦末期、県外から沖縄に赴任した県知事や警察部長が軍の要請に苦しみながらも県民を守ろうとしたという史実を描いた五十嵐匠監督作品。戦争で醜い人間性が露わになってしまった人達がいた一方、最後まで高潔な人間性を保ち続けた人達がいたことには救われる思いがする。
【DANCING MARY ダンシング・マリー】:マリーの霊を成仏させるべくジョニー捜しに奔走するやる気のない市役所職員と女子高生。オカルトなのか純愛なのか、はたまたヤクザものなのか?SABU監督の無手勝流がいい意味ではっちゃけていて、よく分からないけど何だか面白い。
【こちらあみ子】:あみ子という風変わりな女の子を描いた映画……というので、そういう子が何らかの形で周りから受容される話なのかと勝手に予想していたら違ってて、自分の感性で我が道を行く子どもが、周囲との軋轢を段々深めてしまった挙げ句、最後には親兄弟や好きな人を含めたほとんどの人から見限られてしまう話だったので、ちょっと面食らってしまった。でも、彼女を曲がりなりにも受け入れてくれる人達もいないことはないし、どのみち自分の道はいずれ自分で何とかしなくちゃならない。ちょっと人より時間が掛かって、ちょっと大変かもしれないけど、彼女はきっと大丈夫。この主人公にはそんな強さがあった。
【島守の塔】(6/10)
監督・脚本:五十嵐匠
共同脚本:柏田道夫
出演:萩原聖人、村上淳、吉岡里帆、香川京子、他
製作国:日本
【こちらあみ子】(6/10)
監督・脚本:森井勇佑
原作:今村夏子
出演: 大沢一菜、井浦新、尾野真千子、他
製作国:日本
美空ひばり・江利チエミ・雪村いづみの三人娘主演の【三人よれば】が配信に来ていたので鑑賞してみる。ストーリーはともかく、三人とも歌が死ぬほどうまいのに改めて驚いた。
かの田中絹代さんが監督した【月は上りぬ】と【乳房よ永遠なれ】が配信に来ていたので嬉々として鑑賞。当時彼女が監督を任されたのはあくまでも名女優にご褒美的に与えられた機会としてであり、その作品も女優の余技としての評価しかされなかったそうなのだが、自らの意思を持って生きる女性達の心の機微を丹念に描いた作風は、今の時代にこそもっともっと再評価されていいのではないかと思った。
お昼の時間帯の再放送などで時々見ていた『赤い霊柩車』が終わってしまうなんて、いよいよ2時間サスペンスドラマ時代の終焉を見るようで寂しいなと、(サスペンスドラマ自体あまり見ていなかったくせに)誠に勝手ながら思ってしまった。けれど、キャストやスタッフの皆様の高齢化問題もあるから、皆様がご健在なうちに元の形のままできちんと幕引きするのもいいのかもしれない。最終回はちゃんと見ようっと。(→見ました。)
えーっ!タモリ倶楽部終わっちゃうのーっ !? 大ショック!!
テレ朝深夜の『阿佐ヶ谷ワイド』、阿佐ヶ谷愛に溢れているというだけじゃなく、地元コミュニティに根を張るってどういうことなのか疑似体験させてくれるようないい番組だった。おわっちゃうなんてホントに残念。テレ朝の編成の人の目は本当に節穴だなぁ。
朝ドラ『らんまん』は結構な名作になる予感。それにしても神木隆之介さんって、演技力や容姿はもちろんのこと、生まれ持った上品さに人なつっこい笑顔、意志の強い瞳、そして小さい頃から誰もが知っているという認知度の高さ……もしかして朝ドラの主人公として史上最強の人材なんじゃないだろうか。
NHK EテレのETV特集「黒澤明が描いた『能の美』」を視聴。黒澤監督な能から多大な影響を受けていたと、言われてみればその通りだよなぁ。何で今まで意識してなかったんだろう。
【線は、僕を描く】:水墨画を志す青年を描く横浜流星さん主演作。しかし、主人公の言動にそこまでの切迫感を感じることが出来ず、毒にも薬にもならない印象になってしまったかもしれない。
【夜明けまでバス停で】:ホームレスになってしまった女性が深夜のバス停で撲殺された事件に想を得た高橋伴明監督作品。コロナからこの方、自活できる収入を得られなくなってしまった身としては、完全に自分にも起こり得る話というか、全く他人事とは思えなくて、心の中で涙が止まらなかった。……爆弾から後のくだりは要らなくない?とは正直思ったが、現実に起こった事件があまりにも凄惨だったから、監督はこんなふうに冗談めかさずにはいられなかったのかも、と勝手に推測してみた。
【シュシュシュの娘】:入江悠監督が自主映画として制作した映画。市役所勤めの主人公が、市の公文書改竄事件に巻き込まれ、とある方法で復讐を図る話で、シュシュシュってのは……え、そういう?入江監督の社会に対する怒りが根底に見え隠れするが、オフビートでシュールでアナーキーな独特のタッチが心地よい。主人公を演じる福田沙紀さんが最高。エンディングもナイス。
【ハウ】:犬童一心監督作。動物が引っ越しトラックで遠くに運ばれて、というお話のパターン、世間に多すぎない?ナレーションベースなのもどうもいまいち工夫に乏しいように見えてしまうし、主人公の感情の落としどころが見つけられないこの終わり方も何だかな。
【東京自転車節】:コロナでそれまでの仕事が立ち行かなくなったので東京に来てUber Eatsの配達員になった監督さんが、自らを記録したドキュメンタリー。自分はこういう体力勝負の仕事をする能力はないけれど、とても他人事として見られない。他人を安い賃金でこき使って労働力を搾り取れるだけ搾取して、用済みになったらポイっと捨てる。捨てられた人間ばかりがどんどん吹き溜まって、どこにも吸収できなくなって……なんてことが続いたらそのうち社会は破綻するって、どうしてそんな簡単な理屈が分からない馬鹿共が社会を牛耳っているんだろうな。
【やがて海へと届く】:【わたしは光をにぎっている】【静かな雨】の中川龍太郎監督作で、東日本大震災の前日にいなくなってしまった親友を探す女性を描く。……こういう繊細な物語ほど本来映画館で見るべきというか、視聴環境を選ぶよね。
【水俣曼荼羅】:原一男監督が描く水俣。6時間12分という長尺に怖じ気づいたが、見始めるとまったく長さを感じず、あっという間に終わってしまった。原監督の映画は、物事を漫然と並べているようでありながら、様々な事象の様々な側面から主題の姿を立体的に炙り出す、それこそ曼荼羅のような仕様になっている。そのためには必然的にこれくらいの長尺になってしまうのだろうな。
【線は、僕を描く】(4/10)
監督・脚本:小泉徳宏
共同脚本:片岡翔
原作:砥上裕將
出演:横浜流星、清原果耶、細田佳央太、河合優実、矢島健一、夙川アトム、井上想良、富田靖子、江口洋介、三浦友和、他
製作国:日本
【夜明けまでバス停で】(9/10)
監督:高橋伴明
脚本:梶原阿貴
出演:板谷由夏、大西礼芳、三浦貴大、松浦祐也、ルビーモレノ、片岡礼子、土居志央梨、あめくみちこ、柄本佑、下元史朗、筒井真理子、根岸季衣、柄本明、他
製作国:日本
【シュシュシュの娘】(8/10)
監督・脚本:入江悠
出演:福田沙紀、吉岡睦雄、根矢涼香、宇野祥平、金谷真由美、松澤仁晶、三溝浩二、仗桐安、安田ユウ、井浦新、他
製作国:日本
【ハウ】(3/10)
監督・脚本:犬童一心
原作・共同脚本:斉藤ひろし
出演:田中圭、池田エライザ、野間口徹、渡辺真起子、モトーラ世理奈、石橋蓮司、宮本信子、他
製作国:日本
【東京自転車節】(8/10)
監督:青柳拓
(ドキュメンタリー)
製作国:日本
【やがて海へと届く】(6/10)
監督・脚本:中川龍太郎
共同脚本:梅原英司
原作:彩瀬まる
出演:岸井ゆきの、浜辺美波、杉野遥亮、中崎敏、鶴田真由、中嶋朋子、新谷ゆづみ、光石研、他
製作国:日本
【水俣曼荼羅】(8/10)
監督:原一男
(ドキュメンタリー)
製作国:日本
【アネット】:レオス・カラックス監督の新作。オペラ歌手の妻を死なせてしまった落ち目のコメディアンが、今度は幼い娘の才能にたかるようになり……ってひどすぎる。自己愛しか持っておらず毎日毎日自己憐憫に浸って過ごす男の話の何が面白いのか。監督がこの主人公に自分を投影しているのかどうかは分からないし、この手の男を正確に描けるというのもある種の手腕なのかもしれないが(そしてこの男を完璧に演じ切っているアダム・ドライバーさんは本当に凄いと思うが)、世界の害悪にしかならない人物の胸糞悪い話に延々つき合ってられるほどあたしゃ暇じゃない。かのカラックス監督がこういうものしか作れなくなってしまうということがあり得るのかと思うと、映画の神様も随分残酷だ。
【SHE SAID/シー・セッド その名を暴け】:ハーヴェイ・ワインスタインを告発した2人の女性ジャーナリストの回顧録の映画化。真相が明らかになればなるほど悪辣さしか残らないこの事件を明らかにするのに、どれだけの綿密な調査と、関わった女性達のどれだけの勇気が必要だったか。そしてこれは決して何十年も前の話じゃない。女性の地位が世界どん底の日本だとて、そこまで状況が乖離している訳ではなくて、我々にもここをまともな社会に変えていけるよすがが何かあるのかもしれない。
【アネット】(5/10)
原題:【Annette】
監督・脚本:レオス・カラックス
原案・共同脚本:ラッセル・メイル、ロン・メイル
出演:アダム・ドライバー、マリオン・コティヤール、サイモン・ヘルバーク、他
製作国:フランス/ドイツ/ベルギー/日本/メキシコ
【SHE SAID/シー・セッド その名を暴け】(9/10)
原題:【She Said】
監督:マリア・シュラーダー
脚本:レベッカ・レンキェヴィッチ
原作:ミーガン・トゥーイー、ジョディ・カンター
出演:キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン、パトリシア・クラークソン、他
製作国:アメリカ
Amazon Primeで視聴:
【レジェンド&バタフライ】:木村拓哉さんが織田信長、綾瀬はるかさんがその妻の帰蝶(濃姫)を演じるお話。信長と帰蝶の恋愛譚としてならまぁまぁ面白いかもしれないが、それ以外の部分はかなり端折ってある感じだし、信長のキャラが途中からいきなり豹変して残忍になってしまうのに戸惑う。そして、この内容で3時間近くって長過ぎない?多分この2/3くらいで充分だと思うよ。
【異動辞令は音楽隊!】:【ミッドナイトスワン】や『全裸監督』(見てないけど)の内田英治監督作。協調性に難があり家族の問題も抱えるベテラン警察官が音楽隊に異動になる、というあらすじを聞いててっきりコメディかと思ったら、のっけからシリアスで、その後もずっとシリアスなまま終わってしまった……。まぁ、男性のミドルエイジクライシスはコメディにしかならないというステレオタイプな思い込みをしているこっちが悪いんだが、それは実際見ていて面白いものでもなく、シリアス路線で行くならもっと見せ方に工夫が必要なんじゃないだろうか。
【別れる決心】:ある事件を捜査する刑事と、その事件の容疑者である被害者の妻。この二人に芽生えてしまった愛が、やがてとんでもない結末を導く……。パク・チャヌク監督はどうしていつもいつも、絶望的なまでにどうしようもない崖っぷちの執着を描くのか。本作でも主人公達の心の動きにがっつりノックアウトされてしまった。
【レジェンド&バタフライ】(5/10)
監督:大友啓史
脚本:古沢良太
出演:木村拓哉、綾瀬はるか、宮沢氷魚、市川染五郎、斎藤工、北大路欣也、音尾琢真、伊藤英明、中谷美紀、他
製作国:日本
【異動辞令は音楽隊!】(5/10)
監督・脚本:内田英治
出演:阿部寛、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、板橋駿谷、モトーラ世理奈、見上愛、岡部たかし、渋川清彦、酒向芳、六平直政、光石研、倍賞美津子、他
製作国:日本
【別れる決心】(8/10)
原題:【헤어질 결심 (Decision to Leave)】
監督・脚本:パク・チャヌク
共同脚本:チョン・ソギョン
出演:タン・ウェイ、パク・ヘイル、他
製作国:韓国
U-NEXTに戻って……
【窓辺にて】:稲垣吾郎さんを主演にした今泉力哉監督作。妻が浮気をしていても感情が動かない主人公というのは監督自身をモデルにしているのだそう。正直、そんなことあるのかなぁ(あるとしたってそんなに興味が湧かないんだけど……)と思ってしまいたくもなるのだけれど、稲垣さんの静かな佇まいに不思議な説得力があって、何となく成立してしまっているのが凄いと思った。
【かがみの孤城】:辻村深月氏のジュブナイル小説を原作とした原恵一監督の最新アニメ。不登校の少女が自室の鏡から不思議な城に辿り着き、自分と似たような問題を抱える少年少女達に出会う、といったおよそ現実離れした話にもすんなりと入って行けて、いつの間にか主人公達と一緒に喜んだり悲しんだりしているのだから、さすがの作劇の手腕。登場人物一人一人に説得力があって、ストーリーにも納得できる、見応え充分の良作だった。
【千夜、一夜】:失踪した夫を30年待ち続ける漁師町の女性のもとに、2年前に夫が失踪した女性が訪ねてきた……。田中裕子さんが演じるから、待つことが習い性になってしまった女性の存在感にも説得力がある。ろくな再婚相手もいなさそうなこの街で、彼女は待つより他にすることがないのかもしれない、が、いくらお話の上でも、登場人物をそんなに不用意に幸福とは言えない環境に陥れなくてもいいんじゃないだろうか。
【僕は猟師になった】:猪を罠で捕らえる罠猟師になった人の手記を元にしたドキュメンタリー。これは手記の方をたまたま先に読んでいたのだが、映像化すると間延びした印象になってしまったように感じた。
【窓辺にて】(6/10)
監督・脚本:今泉力哉
出演:稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、佐々木詩音、他
製作国:日本
【かがみの孤城】(8/10)
監督:原恵一
脚本:丸尾みほ
原作:辻村深月
(アニメーション)
声の出演:當真あみ、北村匠海、芦田愛菜、板垣李光人、高山みなみ、吉柳咲良、横溝菜帆、梶裕貴、麻生久美子、宮崎あおい、他
製作国:日本
【千夜、一夜】(5/10)
監督:久保田直
脚本:青木研次
出演:田中裕子、尾野真千子、安藤政信、ダンカン、白石加代子、長内美那子、田島令子、山中崇、阿部進之介、田中要次、平泉成、小倉久寛、他
製作国:日本
Netflixで視聴:
ドラマシリーズの『インフォーマ』の続きや、新作の『離婚しようよ』『サンクチュアリ -聖域-』などを見る。『インフォーマ』は情報屋の桐谷健太さんの存在感が相変わらず良き。クドカンさん脚本の『離婚しようよ』は、日本の選挙の裏側を政治家側から描いている新しさはあるかもしれないが、松坂桃李さん演じる二世政治家はあまりにもおバカだわ、仲里依紗さん演じるその芸能人妻はあまりに打算的だわで、ちょっとげんなり。『サンクチュアリ -聖域-』も同じく、日本の角界を内側から描いている新しさがあるのかもしれないが、ドラマ的な面白さのために誇張が過ぎているきらいもあるように思う。角界がクリーンだとは全く思ってないけれど、これが日本の角界だと世界に発信してしまうのも何か違和感があるなぁと思ってしまった。
【サバカン SABAKAN】:構成作家出身で『半沢直樹』の脚本などを手掛けた金沢知樹氏の初監督作で、草彅剛さん演じる男性が子どもの頃の友達のことを思い出す話。主人公の思い出の中の、少々ワイルドだけど優しい両親(尾野真千子さんと竹原ピストルさん)の姿がよかったな。
【サバカン SABAKAN】(5/10)
監督・脚本:金沢知樹
共同脚本:萩森淳
出演:番家一路、原田琥之佑、尾野真千子、竹原ピストル、貫地谷しほり、岩松了、草彅剛、他
製作国:日本
話題の『推しの子』のアニメを最新話まで鑑賞。不幸な死に方をした二人が推しのアイドルの子供に生まれ変わるも、そのアイドルが殺されてしまい……とのっけから複雑怪奇な設定なのだが、この子供たちが自らアイドルになる過程で経験する芸能界あるあるがウケてるんじゃないかなぁ、と勝手に推測した。本編はまだまだ続くらしいけど、大体のところは分かったから、この先は特にいいかなぁ。
【天間荘の三姉妹】:のんさん、門脇麦さん、大島優子さんというキャストだけ見て内容ミリ知らで見たけれど、あの世とこの世の境にある世界ってそっち系の話か~!と後悔した。そういう設定OKな人なら楽しめる部分もあるのかもしれないけど、それにしたって何だかちゃちな作りだし、大体長すぎないかコレ?
【ラーゲリより愛を込めて】:キャストを見て避けていたのだが、監督が瀬々敬久さんだと知って大慌てで観賞。第二次世界大戦後、シベリアの収容所の過酷な生活の中でも人間性を失わないようにと仲間を鼓舞し続けていた主人公の声が、時を越えて家族のもとに送り届けられる。この展開が丁寧に描かれているのは結構感動的だったかもしれない。
【ファミリア】:息子を亡くした田舎暮らしの男が、ひょんなことで知り合った在日ブラジル人青年との関わりを深めていく。血の繋がりということに留まらず、何か特別な関わりを持った人と家族のような絆を築けるのなら、お互いに支え合っていけるといい。そういうメッセージ性がいいと思った。
【天間荘の三姉妹】(3/10)
監督:北村龍平
脚本:嶋田うれ葉
原作:髙橋ツトム
出演:のん、門脇麦、大島優子、高良健吾、山谷花純、萩原利久、平山浩行、柳葉敏郎、中村雅俊、三田佳子、永瀬正敏、寺島しのぶ、柴咲コウ、他
製作国:日本
【ラーゲリより愛を込めて】(7/10)
監督:瀬々敬久
脚本:林民夫
原作:辺見じゅん
出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、寺尾聰、桐谷健太、安田顕、他
製作国:日本
【ファミリア】(8/10)
監督:成島出
脚本:いながききよたか
出演:役所広司、吉沢亮、サガエルカス、ワケドファジレ、中原丈雄、室井滋、アリまらい果、シマダアラン、スミダグスタボ、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市、他
製作国:日本
噂の【RRR】をようやく見たぞー!なんていうか、この映画の力強さは分かるんだけど、今までのインド映画と較べて何かものすごく画期的かというとそうでもないんじゃないだろうか。でも、本作や【バーフバリ】で初めてインド映画を見た人達が盛り上がって楽しんでいるなら、それでいいんじゃないか。どんな人でも、人生のいずれかの時期にインド映画に出会うことができるなら僥倖だと思う。
【3つの鍵】:ナンニ・モレッティ監督初の原作つき映画だそうで、誰もが抱くかもしれないような思い込みやこだわりからどこかままならない人生を送る3つの家族が描かれている。どの登場人物にもどの家族の物語にもあまり親近感は抱けなかったけど、何か妙な吸引力があるのはさすがモレッティ監督だと思った。
【バビロン】:おそらくケネス・アンガーの「ハリウッド・バビロン」を元ネタにしたのであろう、黎明期のハリウッドの曝露話。しかし、何だかごちゃごちゃしている上に登場人物の誰にも感情移入できなくて、途中でドロップアウトしてしまった。【セッション】や【ラ・ラ・ランド】の頃から、ストーリー展開のために登場人物を無駄に不幸にしているようなデミアン・チャゼル監督の感覚とは何か相容れないものがあるような気がしていたのだが、完全に相性が悪いのだとはっきりした。さすがにもうええ。彼の映画を見るのはこれで最後にする。
【TAR/ター】:トッド・フィールド監督の16年ぶりの監督作で、才能はあるが傲慢な女性指揮者が自滅していく話。でもこの主人公は、自分に才能がありその対価として傲慢であることを最初から所与のものとして引き受けているようであり、だから迷いも後悔もないように見える。本人が本当はどう思っているのかは分からないけれど、それは誰にも手を出せないことのように思える。
【北 (ノルテ) ― 歴史の終わり】:フィリピンのラヴ・ディアス監督作。う~んこれは映画館で集中して見ないとちょっと難しいタイプの映画だったかも。
【RRR】(7/10)
原題:【RRR】
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
共同脚本:V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
出演:N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア、ラーム・チャラン、アジャイ・デーヴガン、アーリヤー・バット、シュリヤ・サラン、サムドラカニ、レイ・スティーヴンソン、アリソン・ドゥーディ、オリヴィア・モリス、他
製作国:インド
【3つの鍵】(7/10)
原題:【Tre piani】
監督・脚本・出演:ナンニ・モレッティ
共同脚本:フェデリカ・ポントレモーリ、ヴァリア・サンテッラ
原作:エシュコル・ネヴォ
出演:マルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、アルバ・ロルヴァケル、アドリアーノ・ジャンニーニ、エレナ・リエッティ、アレッサンドロ・スペルドゥティ、デニーズ・タントゥッチ、ステファノ・ディオニジ、他
製作国:イタリア/フランス
【バビロン】(3/10)
原題:【Babylon】
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
出演:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョヴァン・アデポ、リー・ジュン・リー、他
製作国:アメリカ
【TAR/ター】(7/10)
原題:【Tár】
監督・脚本:トッド・フィールド
出演: ケイト・ブランシェット、ノエミ・メルラン、ニーナ・ホス、他
製作国:アメリカ
NHK BS1で放送してた「バラカンが見た村上海賊」を録画視聴。村上海賊に通じる地を巡ったり、『村上海賊の娘』の著者・和田竜さんにインタビューしたり。めっちゃ面白かった!
ずっと忙しかったんで、先週NHK BSで放送された【シン・仮面ライダー】の制作ドキュメンタリーをやっと見ることができた。傍目で見てる分にはべらぼうに面白かったけど、現場の皆さんは地獄だったよね……。
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どんなに無慈悲に見える要求も「庵野さんは作品を面白いものにしようとして言っているはず」という信頼感だけで引き受けるスタッフの皆さん。そんな首の皮一枚でギリギリ繋がっている(ように見える)現場が凄まじかった。
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あんな厳しい表情の池松壮亮さんを初めて見た。でも、手探りの現場の中で常に本質を探ろうと苦闘し続ける池松さんの役者としての誠実さがますます好きになった。ラストシーンを撮り終えた後の解放されたような笑顔がまた素晴らしかった。
【シン・仮面ライダー】はAmazonで視聴。シン・シリーズでは一番、役者さんの肉体性を前面に出した作品になっている印象。ともあれ、ゴジラにしろウルトラマンにしろ、庵野秀明監督がそれぞれの作品への強固な思いを昇華できたのなら、それでよかったんじゃないだろうか。私達はその庵野さんのビジョンを楽しませてもらえればそれでいいのだ。
【シン・仮面ライダー】(7/10)
監督・脚本:庵野秀明
原作:石ノ森章太郎
出演:池松壮亮、浜辺美波、柄本佑、西野七瀬、塚本晋也、手塚とおる、松尾スズキ、森山未來、他
製作国:日本
【ウーマン・トーキング 私たちの選択】:ある村で、男性達の性暴力に繰り返し晒され続けていた女性達が、その村を去るか、村に残って戦うか、何もしないかのどの道を取るのか、話し合って選択するという話で、南米のボリビアで実際にあった事件を元にした小説を映画化したものなのだそう。サラ・ポーリー監督の前作からもっと教条的なタッチの作品を勝手に想像していたら、真摯で生きた言葉のやり取りが続く感情豊かな映画だったので、いい意味でサプライズだった。
【イニシェリン島の精霊】:方や同じ内容の駄話を何十年も平気で延々と続けていられる男で、方やそんな生産性がないことはやめてもっとクリエイティブなことに時間を費やしたいと思う男。ある閉鎖的な田舎の島で、長年友人同士だった二人の喧嘩は修復不可能なものになっていく。何故今まで友人をやってこれていたのか分からないくらい相容れない二人の不毛な喧嘩を、何でこんなに延々と見せつけられなければならんのだろう?しかしこれはもしかすると、アイルランド人男性に典型的な何かを表現している話なのかもしれない、と段々思うようになってきた。
【赤と白とロイヤルブルー】:英国の王子と米国大統領の息子が恋に落ちる、というツイッターで話題だった小説がついに映像化。思った以上にフィジカル一直線な関係性が前面にガンガン押し出されるのでかなり面食らった。欧米のBL界ではこういうのがロマンティックなんかなー。何かもうちょっとこう、愛を育むために他にすることはないんだろうか、この人達。
【ウーマン・トーキング 私たちの選択】(8/10)
原題:【Women Talking】
監督・脚本:サラ・ポーリー
原作:ミリアム・トウズ
出演:ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ジュディス・アイヴィー、ベン・ウィショー、フランシス・マクドーマンド、他
製作国:アメリカ
【イニシェリン島の精霊】(5/10)
原題:【The Banshees of Inisherin】
監督・脚本:マーティン・マクドナー
出演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガン、他
製作国:アイルランド/イギリス/アメリカ
【赤と白とロイヤルブルー】(6/10)
原題:【Red, White & Royal Blue】
監督・脚本:マシュー・ロペス
共同脚本:テッド・マラワー
原作:ケイシー・マクイストン
出演:テイラー・ザカー・ペレス、ニコラス・ガリツィン、クリフトン・コリンズ・Jr、サラ・シャヒ、レイチェル・ヒルソン、スティーヴン・フライ、ユマ・サーマン、他
製作国:アメリカ
TBSの『VIVANT』 、面白いね。今の日本で考えられる最後レベルのキャスティングが役にドンピシャなのがいい。視聴率もよかったらしくて何よりでした。
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ただ、天才女性ハッカーのキャラがちと弱いのがちと残念。『ドラゴン・タトゥーの女』のリスベットに張るくらいキャラが立ってたらもっとワクワクしたのに。(役者さんじゃなく脚本のせいだけど。)
私だったら、万年平社員の超地味系中高年事務員ハッカーを、江口のりこさん辺りにやってもらうかなー。誰も知らないところで密かに社会に牙を剥いているというようなキャラにすればよかったのに。
佐久間宣行プロデューサーによるNetflix の「LIGHTHOUSE」、めちゃくちゃ面白かった!
こういう対談で番組が成立するって証明されてしまったから、今後はLIGHTHOUSE形式の番組が雨後の筍のように増えるんじゃないかとも思ったが、しかしあれは、表現のプロ中のプロの2人がショーとして成立するギリギリを探りながら敢えてやっていることだから、実際やるとなると相当難しいのかもしれない。
心に残った台詞は以下の通り:
「自分が加害者って以外と分からない」
「傷ついている人を見たくない(人を傷つけるお笑いはやりたくない)……どんなにお笑い芸人の文化がそっちでもこれは譲らないでいこう」
「俺と春日の道……これからはお笑い芸人というイメージにとらわれずオードリーっぽいことをやろう」
(いずれも第5話)
私には、オードリー若林さんが、自分の半歩先を行っている星野源さんからカウンセリングを受けているように見えたのだが、若林さんは常に考えながら変化していくところが面白いんだなと改めて思った。
でも、自分は10年後にはテレビに出ていないという若林さんの予想は当たらないと思う。
「テレビは陽の社会的集団のシンボル」という風潮は変わりつつあるように思うし(おそらく変わらないとテレビというメディアも生き残っていけないし)、その新しい時代には、若林さんみたいな人が真っ先に求められるんじゃないだろうか。
BS日テレの『ぶらぶら美術・博物館』が終わってしまうとは……本当にショックです……。
神木隆之介さんはやはり史上最強の「朝ドラヒロイン」でした!半年間、素晴らしいドラマをありがとうございました!
テレ東の『きのう何食べた?』の劇場版を見たんだけど、なんか間延びしたような作風になってしまっていて残念だった。ドラマにはドラマ、映画には映画の時間軸があり、それをちゃんと考慮せずに失敗してしまうケースはままあるので、メディアミックスをする際にはメディアの特性を活かすという初歩の初歩に立ち帰ってもらいたいなぁと改めて思った。
再びU-NEXT視聴:
【コロニアの子供たち】:評判のアニメ【オオカミの家】のサブテキストにいいという話を聞いたので鑑賞してみた。チリに存在したドイツ人入植地「コロニア・ディグニダ」(現ビジャ・バビエラ)は、パウル・シェーファーという独裁者が支配するカルト教団で、ピノチェト軍事独裁政権の保護を受け、内部では洗脳、反政府派の拷問、殺人などが横行し、子供たちは性的虐待を受けていたという。直接的な描写は少なくて思ったよりはマイルドだったけど、胸糞が悪くなるような話しか出てこないので、元気な時に覚悟を決めて後学のためと割り切って見るのでなければお勧めはできない。
【トリとロキタ】:社会の暗い現実を見詰めるでお馴染みのダルデンヌ兄弟の監督作の中でも、本作は特に悲惨で救いがなくて、胸が潰れそうだった。トリとロキタはビザを得るために姉弟のふりをしているアフリカからのボート難民だが、犯罪者連中に利用され搾取され、性的な加害まで受けて、最後まで救いがない。(このエンディングに救いを感じる人もいるかもしれないが、私には全くそうは思えない。)世界中の子供たちは保護されるべきだし、世界中の貧富の差(地域によるものでも社会のシステムによるものでも)は今すぐに消えて無くなるべき。お伽噺とでも何とでも呼んでくれて結構だ。そういう理想のために世の中が動いていこうとしないのがおかしいのだ。
【コロニアの子供たち】(6/10)
原題:【Un Lugar Llamado Dignidad (A Place Called Dignity)】
監督・脚本:マティアス・ロハス・バレンシア
出演:サルヴァドール・インスンザ、ハンス・ジシュラー、 アマリア・カッシャイ、ノア・ヴェスターマイヤー、ダヴィド・ガエテ、他
製作国:チリ/フランス/ドイツ/アルゼンチン/コロンビア
【トリとロキタ】(10/10)
原題:【Tori et Lokita】
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:パブロ・シルズ、ジョエリー・ムブンドゥ、他
製作国:ベルギー/フランス
私らの世代の一部の人には、『キングダム』って言ったら秦の始皇帝の話じゃなく、デンマークの邪悪な病院の話なのよね。そのラース・フォン・トリアーの『キングダム』の新作が25年ぶりに作られて完結したなんてびっくりしちゃったわよ !!!!! 相変わらず全然訳の分からない作風だったけど、最後は善が死に絶えて悪魔が勝利を収めるというバッドエンドなのがいかにもトリアー監督らしくて、いっそ清々しかった。
【花咲ける騎士道】【肉体の悪魔】【パルムの僧院】【モンパルナスの灯】などのジェラール・フィリップ主演作がいろいろ来ていたので断片的に見た。私の中のハンサムの雛型ちゅうたら、やっぱりジェラール・フィリップと沖雅也ですのよ……。今回見た中では【ジェラール・フィリップ 最後の冬】というドキュメンタリーに特に感銘を受けた。彼は俳優業に誇りを持っていて、最後までキャリアをまっとうしたんだなぁ、彼はフランス映画史の中でも屈指の偉大な俳優だったのだなぁ、と改めて強く認識した。
【路辺花草】:越川道夫監督作。どれだけ惹かれるところがあったとしても、自分を破壊するような奴とはお別れ一択でいいよ!それを救ってくれるような人が現実にそんなに都合よくいるものかどうかは不問にするとして、彼女が彼女なりの道を選ぶことができたのならそれでよかったんじゃないだろうか。
【湯道】:小山薫堂さんが、風呂好きが高じて、自ら提唱する「湯道」なるものを世に知らしめるために作ってしまったある種のプロパガンダ映画。しかしそういう思惑先行のものって、キャラクターやストーリーがよっぽどよく出来ていてよっぽど嵌まらないと滅多に成功しないというか。本作に関して言えば豪華すぎるキャストの完全なる無駄遣いで、多分監督やスタッフさんも、本作をもっと活き活きしたものにするために更なるエネルギーを注ぎ込むほどの熱意はなかったんだろうなぁ。
【銀河鉄道の父】:宮沢賢治の生涯をその父親の立場から描いた直木賞受賞作を、役所広司さんと菅田将暉さんをメインキャストに据えて成島出監督が映画化。宮沢賢治というエキセントリックな天才を子供に持ってしまい、いろいろ逡巡しながらも、最後には一番の理解者になってしまった親バカなお父さん。息子の著作の全集を自費出版で作ってしまったこのお父さんなしでは、もしかして宮沢賢治の作品は後世に残らなかったのかもしれない。宮沢一家が何のかんの言いつつ最後までみんな仲良しで、早世した長男を皆で悲しみながら見送っていたところが、個人的には好きだった。
【路辺花草】(6/10)
監督・脚本:越川道夫
出演:佐久間麻由、遊屋慎太郎、中田クルミ、笠島智、永岡佑、他
製作国:日本
【湯道】(3/10)
監督:鈴木雅之
脚本:小山薫堂
出演:生田斗真、濱田岳、橋本環奈、小日向文世、天童よしみ、クリス・ハート、戸田恵子、寺島進、厚切りジェイソン、ウエンツ瑛士、朝日奈央、生見愛瑠、吉田鋼太郎、窪田正孝、夏木マリ、角野卓造、柄本明、浅野和之、笹野高史、吉行和子、梶原善、他
製作国:日本
【銀河鉄道の父】(9/10)
監督:成島出
脚本:坂口理子
原作:門井慶喜
出演:役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯、他
製作国:日本
満島ひかりさんと劇団ひとりさんが共演するオリジナルコント番組『ひかりとひとり』を視聴。脚本・演出を手掛けたのは構成作家のオークラさん。どれも絶妙なシチュエーションのコントで、短く手軽にさっくり見れて楽しめた。
Amazon Primeで視聴:
【宇宙人のあいつ】:自分は実は宇宙人で3日後に地球を離れると、仲良し四人きょうだいの次男がいきなり告白し始める。次男は残された3日でやり残したことをできるのか?何とも荒唐無稽な設定だけど、次男の中村倫也さんと、きょうだいをまとめる長男の日村勇紀さんの独特な存在感が妙な説得力を与え、伊藤沙莉さんと柄本時生さんという演技巧者ががっちりと支えて、最後には何だか無理矢理感動させられてしまった。飯塚健監督はこういう飛び道具も使えるんだなぁ。よきよき。
【水は海に向かって流れる】:大好きな田島列島さんのコミックの映画化なんだけど、正直、これはどうかなぁ。最重要キャラの榊さんにはもっと大人の雰囲気(と自分を御し切れないアンビバレントさ)が必要。申し訳ないけど広瀬すずさんは完全にミスキャストで、どういう事情があったのか知らないが、彼女がキャスティングされた時点でこの映画は失敗していたんじゃないだろうか。職人の前田哲監督でも救えない企画があったのかと、かなり残念だ。しかし広瀬すずさん。彼女はかつて間違いなく天才少女だったと思うけど、ここのところ演技がパターン化してきてないですか?周りにちやほやされすぎて、目指す方向性を間違えてしまっているのでなければいいんだけど。
【こどもが映画をつくるとき】:井口奈己監督が、宮崎で開催された子どもの映画作りのワークショップを指導した時の様子を記録したドキュメンタリー。それぞれの子どもがそれぞれの役割を自覚して次第に積極的に動くようになっていくのが何だか頼もしいなぁと思った。
【探偵マリコの生涯で一番悲惨な日】:内田英治監督と片山慎三監督によるオムニバス的一編で、歌舞伎町でバーテンダーや探偵のようなことをしているマリコとその周辺に起こる出来事の話。何ていうか、せっかく伊藤沙莉さんが中心人物のマリコを演ってくれているのに、彼女のキャラクター自体がそれほと面白くないのであまり求心力がなく、インパクトがない話になってしまっていると思う。
『僕の手を売ります』:冨永昌敬監督・脚本によるFODオリジナルドラマで、オダギリジョー演じる主人公が、ある人物への多額の借金を返すため、全国各地でフリーのアルバイト兼人探しをするという話。時々シビアな側面も垣間見えるものの、基本的にはのんびりほんわかした雰囲気のオフビートコメディ。こういうの好きです!
【宇宙人のあいつ】(7/10)
監督・脚本:飯塚健
出演:中村倫也、伊藤沙莉、日村勇紀、柄本時生、他
製作国:日本
【水は海に向かって流れる】(4/10)
監督:前田哲
脚本:大島里美
原作:田島列島
出演:広瀬すず、大西利空、高良健吾、戸塚純貴、當真あみ、勝村政信、北村有起哉、坂井真紀、生瀬勝久、他
製作国:日本
【こどもが映画をつくるとき】(6/10)
監督:井口奈己
(ドキュメンタリー)
製作国:日本
【探偵マリコの生涯で一番悲惨な日】(4/10)
監督・脚本:内田英治、片山慎三
共同脚本:山田能龍
出演:伊藤沙莉、竹野内豊、北村有起哉、宇野祥平、久保史緒里(乃木坂46)、松浦祐也、他
製作国:日本
Fire TVのリモコンが壊れたらしく、ネット上で見つけたあらゆる回復手段を講じてもウンともスンとも言わないので悲しみにくれる……。でもスマホ用のリモコンアプリがあるのね!初めて知った!リモコンも買い替える予定だけど、ひとまずよかった。ヽ(^o^)丿
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その後、リモコンを買い足すも、元のリモコンも何故か復活。どうして?まぁ、リビング用と自分の部屋用にするからいいけどさ。
AppleTVで独占配信されている【ウルフウォーカー】とアニメを見たいばかりに、AppleTVを一瞬サブスクしてすぐ解約するという所業に出てしまった。【ブレンダンとケルズの秘密】【ソング・オブ・ザ・シー 海のうた】のカートゥーン・サルーン社によるケルト三部作の完結編です。
テレ朝の『ゆりあ先生の赤い糸』、めっちゃ面白いなー。
原作をちょっと読んだ限りではゆりあさんは完全なる中高年女性で、菅野美穂さんなんてイメージ違いすぎるのでは?と思ったけれど、ドラマ本編を見たらちゃんと原作のゆりあさんと重なって見える。菅野美穂さん、さすがだなぁ。まぁ、原作のオバサン過ぎるゆりあさんに寄せるのはちょっと……という局の判断が透けて見えるのは少し残念だったけど。
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しかし、入江喜和先生の本はたくさん持ってるのに、今貧乏だからゆりあ先生も今連載中の作品も買えない。買えるのはいつの日になるんだろう……トホホ。
Netflix再び:
【クレイジークルーズ】:坂元裕二さん脚本ということで見てみたのだが、どう見ても安めの2時間ドラマクオリティ。どうして日本人にセレブだの豪華客船だのを描かせるとこうもチープになるんだろう。時間のない時に無理して見る必要は全くなかった。久々にドラマで拝見する宮崎あおいさんは相変わらずかわいくて、つるんとした吉沢亮さんはカッコよかったけど。
【BAD LANDS バッド・ランズ】:特殊詐欺グループで受け子(現金授受役)の指示役をしている主人公(安藤サクラ)が、弟(山田涼介)の不始末によりある男を殺してしまったことから逃亡を余儀なくされる。彼らに逃げ道はあるのか?ピカレスクを描かせたら日本一かもしれない原田眞人監督の真骨頂が詰まりまくりの一編。登場人物が多くかなり複雑なストーリーラインなのに、それを感じさせない流れるような語り口も見事。そしてこれはやはり安藤サクラさんを褒めないわけにはいかない。記憶にある限り、原田眞人監督作品で女性が単独で主人公なのはこれが初めてなんじゃないだろうか。
【最後まで行く】:同名の韓国映画を、藤井道人監督が岡田准一さんと綾野剛さん主演でリメイク。そもそも日本の警察であんなちゃらんぽらんな働き方は無理じゃない?というところから始まって細かな違和感はいろいろついて回るのだが、その度に「はっ、これはリメイクだった!」と思い出す。それでも、おそらくここまで完全な汚れ役は初めてだったろうという岡田さんも、ナチュラルボーンインテリヤクザの綾野さんもキャラが立っていて、息をつかせない展開で最後まで一気に持って行くので、まぁまぁリメイクの価値はあったんじゃないだろうか。
【ヴィレッジ】:本作も藤井道人監督作品。ゴミの最終処分場がある村に暮らす青年がその閉鎖性に苦しむ話……なのだが、その“村の閉鎖性”の描き方があまりにマンガチックすぎて、まともに取り合う気にならない。そういうものを肌感覚で経験したことの無い都会の人にはハードルが高すぎる素材なんじゃないだろうか。横浜流星さんを始めとする豪華なキャストがもったいない。
『今夜すきやきだよ』:【あみこ】(【こちらあみ子】ではない)の山中瑶子監督が太田良監督と共にコミックを映像化したテレ東のドラマ。トリンドル玲奈さんと蓮佛美沙子さんのまるで性格が違う友人同士が、周囲に囚われることなく自分達独自の生き方を模索していくのが麗しい、とてもいいドラマだった。どうしてこれ、テレビでやってる時は全然気づかなかったんだろう……。こうやって取りこぼしているものが残念ながらいっぱいあるんだろうな。
【クレイジークルーズ】(2/10)
監督:瀧悠輔
脚本:坂元裕二
出演:吉沢亮、宮崎あおい、吉田羊、菊地凛子、永山絢斗、蒔田彩珠、岡山天音、近藤芳正、眞島秀和、光石研、長谷川初範、高岡早紀、安田顕、他
製作国:日本
【BAD LANDS バッド・ランズ】(9/10)
監督・脚本:原田眞人
原作:黒川博行
出演:安藤サクラ、山田涼介(Hey! Say! JUMP)、生瀬勝久、宇崎竜童、吉原光夫、江口のりこ、サリngROCK、天童よしみ、大場泰正、淵上泰史、他
製作国:日本
【最後まで行く】(7/10)
監督・脚本:藤井道人
共同脚本:平田研也
原作:【最後まで行く】(끝까지 간다)(脚本・監督:キム・ソンフン、共同脚本:イ・ヘジュン、チェ・クァンヨン、チャン・ハンジュン)
出演:岡田准一、綾野剛、広末涼子、磯村勇斗、駿河太郎、山中崇、黒羽麻璃央、駒木根隆介、山田真歩、清水くるみ、杉本哲太、柄本明、他
製作国:日本
【ヴィレッジ】(4/10)
監督・脚本:藤井道人
出演:横浜流星、黒木華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗、淵上泰史、戸田昌宏、矢島健一、杉本哲太、西田尚美、木野花、中村獅童、古田新太、他
製作国:日本
【マエストロ:その愛と音楽と】:ブラッドリー・クーパーさんがプロデューサーをしながら監督・脚本・主演まで務めたNetflixオリジナル作品。レナード・バーンスタインといったら教科書に載るレベルの世界的な指揮者だけれど、妻がいながら男性達との浮気がやめられなかったなど、一筋縄ではいかない人生だったんだなぁ。しかし、頭の中のバーンスタインのイメージと全然結びつかないんだけど、これは一体どうしたものか。
【チキンラン ナゲット大作戦】:あの【チキンラン】に続編ができるとは!しかもジンジャーとロッキーの娘が出てくるとは!ストーリーも、子どもを心配するあまり保守的になりすぎてしまう親世代と、新しい世界を求めるあまり危険が目に入らない子ども世代との価値観のぶつかり合いという新たなテーマが設定されていて面白い。名作の続編として遜色のない作品になっているようで、心から安堵した。
【マエストロ:その愛と音楽と】(7/10)
原題:【Maestro】
監督・脚本・出演:ブラッドリー・クーパー
共同脚本:ジョシュ・シンガー
出演:キャリー・マリガン、マット・ボマー、他
製作国:アメリカ
【チキンラン ナゲット大作戦】(8/10)
原題:【Chicken Run: Dawn of the Nugget】
監督:サム・フェル
脚本:キャリー・カークパトリック、ジョン・オファレル、レイチェル・タナード
(アニメーション)
声の出演:タンディウェ・ニュートン、ザカリー・リーバイ、ベラ・ラムジー、イメルダ・スタウントン、他
製作国:イギリス/アメリカ/フランス
再びU-NEXT……
【ヴァチカンのエクソシスト】:数年前に【悪魔祓い 聖なる儀式】というカトリック教会の悪魔祓い(エクソシスト)のドキュメンタリーを見たのだが(アマプラなどでレンタル可)、カトリック教会の一部では今でも真面目に悪魔祓いに取り組んでいるらしいという情報が昨今知れ渡ってきているからこういう映画も作られ始めたのかもしれない。しかし、ドキュメンタリーなどを見た後だとこういう作劇を見てもどこか鼻白んでしまうというか、自分にはそこまで面白いとは思えなかった。
ブリュノ・デュモン監督の【ジャネット】【ジャンヌ】を鑑賞。やっぱり私らアジアの民には、フランス人のジャンヌ・ダルクに対する思い入れはよく分からないことなのかもしれない。
【アステロイド・シティ】:アステロイド・シティという1950年代の架空の街で同名の演劇が上演される、という設定なんだそうな。最早何が何だかよく分からないし、全く面白いと思えない。ウェス・アンダーソン監督、いろいろ考えすぎてよく分からなくなってきているんじゃないだろうか。豪華キャストの皆様もどう思ってるんだろうな、これ。
【バービー】:何もかもが完璧なバービーランドに異変が発生。真相を探るべく人間の世界に降り立ったバービーは何を知るのか。まずはバービーやらケンやらというあまりにも有名なキャラを演じることを決意したマーゴット・ロビーさんやライアン・ゴズリングさんの度胸を讃えたい。お話も強いフェミニズム的なメッセージがエンターテイメントに昇華されていてよく出来ていると思った。ただ、アメリカでこの映画をそこまで過剰に求める反応が起きてしまうのは一体何なのだろう。おそらく、女性のエンパワーメントを必要とする人達がまだまだたくさんいるということであり、アメリカ社会もまだまだ男女平等が達成されているとは言えないということなのだろうと思った。
【ヴァチカンのエクソシスト】(5/10)
原題:【The Pope's Exorcist】
監督:ジュリアス・エイヴァリー
脚本:マイケル・ペトローニ、エヴァン・スピリオトポウロス
原作:ガブリエーレ・アモルト
出演:ラッセル・クロウ、ダニエル・ゾヴァット、アレックス・エッソー、フランコ・ネロ、他
製作国:アメリカ/イギリス/スペイン
【アステロイド・シティ】(3/10)
原題:【Asteroid City】
監督・脚本・原案:ウェス・アンダーソン
共同原案:ロマン・コッポラ
出演:スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、マーゴット・ロビー、ジェフリー・ライト、ブライアン・クランストン、ティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディ、エドワード・ノートン、リーヴ・シュレイバー、スティーヴ・カレル、マット・ディロン、ウィレム・デフォー、ジェイク・ライアン、ジェフ・ゴールドブラム、他
製作国:アメリカ
【バービー】(7/10)
原題:【Barbie】
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
共同脚本:ノア・バームバック
出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、ケイト・マッキノン、他
製作国:アメリカ
【せかいのおきく】:江戸時代末期、武家育ちながら長屋暮らしをしているおきく(黒木華)と、便所の汲み取りという最下層の仕事をして生きる二人の青年(寛一郎・池松壮亮)の物語。彼らに「せかい」という言葉を教えたのはおきくの父親で、それは目の前の厳しい現実だけに埋没することなく、別の次元の可能性を発想することの重要性を指し示しているように思える。今までに無い何だか不思議な手触りのある時代劇だった。正直、昨今の阪本順治監督作品は、発想が突飛すぎて置いてけぼりをくらってしまうようなものが多かったのだが、本作は素直に好きだなと思えるような作品だった。
【波紋】:夫が失踪して以来、新興宗教にどっぷり嵌まってしまった主人公。彼女のもとに6年ぶりに帰ってきた夫は、癌の治療費を出してくれと言う。また、愛する息子も思い通りにはならず、すべてが二進も三進もいかないように見えたが、ふと知り合った人とのちょっとした関わり合いから、彼女は少しずつ自分を解放するすべを身につけていく……。陰鬱な展開が延々と続く前半を終えた後、主人公が加速度的に自由になっていく後半の解放感ったらない。主人公を演じるのは、今、がんじがらめな状況に苦しむ中年女を演じさせたら右に出る者がいない筒井真理子先生。荻上直子監督、またどえらいものを創られましたな……。
【ロストケア】:原作小説を前田哲監督が映画化。自らの信念により42人の高齢者を殺害した介護士(松山ケンイチ)を起訴した検事(長澤まさみ)は、自分自身、施設に入れた認知症の母親のことで苦しんでいた。彼の殺人は結局は独善的な行為だったのだろうが、実際あのようなことが起こるとしたら救われる人もいるんじゃないか。などとつい思ってしまうようなこの国では、彼を裁くことなどできないようにも思える。
【658km、陽子の旅】:父の葬式のため東京から青森に向かう途中で連れとはぐれ、一人でヒッチハイクをせざるを得なくなった陽子。人生がうまくいかず、ほぼ引きこもり生活をしている彼女は、久しぶりに様々な人と接することを余儀なくされる……。他者と関わることが苦手な陽子さんは、自分ももう少し違う人生だったらああなっていたかもしれない映し鏡みたい。頑なだった彼女が、通りすがりの人々との関わりの中で自分を見つめ直し、少しだけ変わっていくのが愛おしく思えた。けれど、彼女が性被害に遭う描写はできれば見たくなかったかも。いや、女性一人のヒッチハイクなんて実際危険のかたまりなのはよく分かっているんですが……。
【手】:松居大悟監督による日活ロマンポルノ50周年記念作品。う~ん、このヒロインがおっさんの上司とか婚約者がいる同僚とかいった、それはちょっとどうかと思うような相手とばかり関係しているのは、父親との関係がうまくいかなかったからってこと?それは完全に自分とは相容れないものを感じるな。
【福田村事件】:あのドキュメンタリー監督の森達也氏が劇映画に初挑戦したんだそう。題材の「福田村事件」というのは、関東大震災後に起こった朝鮮人虐殺の余波を受けて起こった、他県からの日本人の行商人一行が殺害された事件のことだそうだ。人間は追い詰められると物事の真偽を確かめることすらできなくなり簡単に流言蜚語に乗ってしまう。集団でいるとそのヒステリックな状態がみるみるうちに増幅されてしまう。そういう人間の愚かな性質が見事に重層的に描写されていた。佐伯俊道氏、井上淳一氏、荒井晴彦氏による脚本の力も当然あるだろうが、この演出の手腕にはシンプルに感心した。ある時期以降、自分の中の森達也監督の評価はかなり下がってしまっているが、それはそれとして、本作はちゃんと評価したいと思う。
【せかいのおきく】(8/10)
監督・脚本:阪本順治
出演:黒木華、寛一郎、池松壮亮、真木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司、他
製作国:日本
【波紋】(9/10)
監督・脚本:荻上直子
出演:筒井真理子、光石研、磯村勇斗、津田絵理奈、安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙、ムロツヨシ、柄本明、木野花、キムラ緑子、他
製作国:日本
【ロストケア】(8/10)
監督・脚本:前田哲
共同脚本:龍居由佳里
原作:葉真中顕
出演:松山ケンイチ、長澤まさみ、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、峯村リエ、加藤菜津、やす(ずん)、岩谷健司、井上肇、綾戸智恵、梶原善、藤田弓子、柄本明、他
製作国:日本
【658km、陽子の旅】(9/10)
監督:熊切和嘉
原案・脚本:室井孝介
共同脚本:浪子想
出演:菊地凛子、竹原ピストル、黒沢あすか、見上愛、浜野謙太、仁村紗和、篠原篤、吉澤健、風吹ジュン、オダギリジョー、他
製作国:日本
【手】(5/10)
監督:松居大悟
脚本:舘そらみ
原作:山崎ナオコーラ
出演:福永朱梨、金子大地、津田寛治、他
製作国:日本
【福田村事件】(8/10)
監督:森達也
脚本:佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦
出演:井浦新、田中麗奈、永山瑛太、東出昌大、コムアイ、木竜麻生、向里祐香、カトウシンスケ、松浦祐也、杉田雷麟、ピエール瀧、水道橋博士、豊原功補、柄本明、他
製作国:日本
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雑想ノート
映画館で見た
ろばみみ
BN