衣笠出講日。今日はまたことさら寒い。 生協食堂で食事して(衣笠の生協食堂は空いているなあ)、 午後から「数理の世界」と「情報の数理」。 「数理」は非ユークリッド幾何のモデルを構成する準備として、 初等幾何の復習。割線定理とか。 「情報」は引き続いて、エントロピィの数学的性質。
「情報」の聴講を登録していて、
「数理」の方はモグリで聞いているという、
随分と年配の方が、おみやげだとか言って烏賊の一夜干しを下さった。
一人暮らしに大きな烏賊を二杯ももらっても食べ切れないんだけどなあ…
取り敢えず、夕食はいかすみパスタのレシピで、
いかすみ抜きの烏賊パスタを作って食す。
結構使ったつもりだったが、
一杯の三分の一か四分の一くらい。
寝酒の肴に、げそでも焼こう。
朝は少し講義の予習をしてから出勤。
アクロスの研究推進課で学内誌の原稿の校正をして、
生協食堂で昼食。少し早い時間なので、わりと空いている。味噌かつ。
午後は 12 時半から卒研ゼミ。
強マルコフ性など。Durrett は定評のある教科書だけど、
何だか分かり難いなあ。
続いて教授会。続き、続いて、20 時くらいまで。
メイルだけ研究室でチェックして即、帰る。
寒い…琵琶湖わたりの北風が吹きすさぶ中バスを待ち、
電車の中ではスマリヤンの「哲学ファンタジー」(高橋昌一郎訳/丸善)
を読んで、心を癒す。
帰宅は 9 時半くらい。
簡単なパスタを作って、遅い夕食。
電車の遅れを予知して、早めに家を出る。 朝は「プログラミング演習」。 前回レポートの講評をし、次の課題として、 ラマヌジャンのタクシー番号を探す問題を出す。 昼食はまた生協食堂。トレイをもって数分待ったあと、 なんとか席を確保。 午後はメイルを書く事務仕事をして、 続いて「情報理論」。系のエントロピィなど。 続いて、教室会議。 今日はかなり早く終わって、17 時半までで終了。
夜はチェスプロブレム関連でお知り合いになった S さんが、
シンポジウムで京都に来ていると言うので一緒にお食事。
S さんは新進気鋭の詰将棋作家でもあり、
(難曲を好んで)ピアノも弾かれる。
詰将棋、プロブレム、音楽、数学などの話をしつつ、
美味しい酒が飲めて、良い忘年会だった(気が早い?)。
ただ、かつてある論文を書いたときの話をしていると、
そのときの情けない気持ちを思い出して泣けてきてしまったのが、
ちょっと失敗。
通信チェス blog で知ったのですけれど、 ボビー・フィッシャーの蔵書が eBay でオークションに出されたらしい。 "My 60 most memorable games" のオリジナル原稿とゲラ、 トーナメント準備のノートの二つが目玉だろう。 特に前者はフィッシャー自身のファンの、 後者はチェス自体のファンの興味をひくと思われる。 トーナメント準備の資料はフィッシャー本人ではなくて、 その協力者が行うことが普通だったようで、 今回出ているものも直筆部分もほとんどフィッシャーのものでないようだ。 そう言えば、"B.F. Goes to War" にも、対スパスキーの膨大な資料を作って、 フィッシャーには何の感謝もされなかった某協力者の逸話が紹介されていた。 もちろんフィッシャーは、 その資料を肌身離さず、というくらい研究に用いたのだが。 チェスのタイトル戦は対局者の戦いと言うよりも、 それに巻き込まれてしまった集団同士の戦いであるところが、 不思議でもあり、興味深くもあり。
ちょっと前から、 羽生がフーゲビーンでのオープン戦でイギリスの GM、 Peter Wells を破った快心の棋譜が話題になっているので、 私も並べてみました。 多分、序盤から中盤にかけてが深いような気がするものの (9.... Bd6? は疑問手らしいが、どう咎めるのが最善なのか)、 どうしても目を引くのは 17. ... Bxa4! ですか。 既に優勢だとは言え、 盤の端っこで遊んでいる敵のナイトと、 大変働いている自分のビショップを自ら交換しに行くこの手は、 普通は思いつきもしない。 これはやっぱり最後まで読み切りか… このタイプのパラドキシカルな BN 交換の手は、 フィッシャーの有名な棋譜にもありましたよね。 しかし、序盤でここまで行ったのは、 セミスラブ定跡をその専門家なみに知っているってことで、 そうすると、羽生はいつそんな勉強をしているんだろうか。
少し雪が積もっている。 日中もほんの少しだか、ちらちらと雪が降った。 朝はベッドで読書。岩波文庫でセネカを読む。 午後は、F. Marshall など古い棋譜を並べたりして遊んだ。
いくつかメイルをいただいて、 「かしこ詰め」とは何かについて、大体分かった。 私の調べた限りネット上には正確な見解は出ていないようなので、 ここに記しておくことも無駄ではあるまい。 「かしこ詰め」とは通常の詰将棋のことである。 チェスプロブレムで言うフェアリーのような、 他の種類の設定の詰将棋問題と区別するためや、 盤や駒が通常のものでない条件で詰将棋をするときに、 これは普通の詰将棋ルールの問題ですよ、 と断るために「かしこ詰め」と言い始めたのだろうとのこと。 「馬鹿詰め」が有名なので、それに対して「普通だよ」 と言う意味であろう。
しかし、一方では「詰将棋」とは別の言葉である以上、
何らかの差を意味につけ加えたいと思うのは自然であり、
便利なことでもあろう。
実際、人によっては微妙に異なって用いている場合もあるようだ。
例えば、
通常の詰将棋でルール違反ではないものの美学として要求される、
と言う類の微妙な規則に対する立場を明確にする場合に使う、
などと言うことが考えられるだろう。
そもそも詰将棋のルールはかなり複雑かつ精妙で、
専門家の間でも様々な見解の相違があると言う
(「無駄合い」とか、「余詰」など別解の解釈とか)。
とすると、
詰将棋とチェスプロブレムが混じったような問題を作るときなど、
新たにシンプルなルールを設定し直す必要が生じるかも知れない。
そのときには、「かしこ詰め」の言葉を使う手もあるかも。
京都は雪。なかなか寝床から出られなかった上に、 この寒さでは流石に朝から暖房を入れた。 今日から確率論の年末大シンポジウムが行なわれているが、 休講して全参加できるような身分ではないので、 いつもと同じく衣笠出勤。 午後から「数理の世界」と続けて、「情報の数理」。 「数理」は球面の射影定理、円対応定理、交角不変定理など。 「情報」は Shannon-Fano コード、情報源の直積など。
これは私学だけの事情なのかも知れないが、 とにかく学生数が膨大なので、 履修登録した学生が全員出席すると、まともな講義が成立しない。 そこで、 出席するよう積極的には強制はしない、という態度をとる (学生も大人なのだから当然のことだが)。 すると、学生側は本当に見事に過半数以上出席しないので、 そのおかげで講義をする側、 講義を受けたいと思っている学生、 講義をサボりたいと思っている学生、 の三者が全員利益を受ける。 ちなみに大学自体も、 設備投資が実質的に少なくて済むので大きな利益を受ける。 しかし、どこかが背徳的だと感じるのだが、どうしてだろう?
明日の午前は自分の講演があるので、
さすがにシンポジウムに出席します…
卒研ゼミは参加学生と都合を合わせて、休みにしてもらいました。
九時過ぎから京大の時計台記念館で確率論シンポジウム。 私も午前中に講演。 この話を人前でするのはセミナを含めて三度目だが、 まだもう一つうまく話せないなあ。 今回のシンポジウムでは、初めて「ポスターセッション」なるものがあった。 普通の講演と違って、 プレゼンテーションをする人それぞれがポスターを壁に貼って、 その前で興味を持った人に露天商よろしく説明する、という形式で、 今回は十人がこの形式で発表していた。 他の分野では耳にしたことがあったが、 なかなか面白い手法ではある。 夜は、S 大の H さん、K 大の S 君、その弟子の四人で河原町で飲む。
今月末12月31日をもって「戦慄サーバ」(shudder.info)
のサーヴィス終了に従い、
このページも新年 1 月 1 日より引っ越しをいたします。
引越し先情報につきましては決定次第、このページと、
旧digestdiaryに掲載いたしますので、御注意下さいませ。
この日記は、GNSを使用して作成されています。