インターネット利用者プロフィルを把握する（国内）

《個人対象・時系列》

• 日経マルチメディア「インターネット・アクティブ・ユーザー調査」（第5回:1997.12実施）- New!
• サイバースペース・ジャパン（ＣＳＪ）「ＷＷＷ利用者調査」 （第6回:1997.7実施）
• Yahoo! JAPAN「ウェッブ・ユーザー・アンケート」（第3回:1997.6実施）
• goo「ウェッブ・ユーザー・アンケート」（第1回:1997.6実施）
• NTT DIRECTORY「ユーザー・アンケート」（第3回:1997.5実施）

《個人対象・スポット》

• 富士通総研「第１回FRIインターネットユーザー調査」（1997.9実施）
• Access Media International / IAJ「インターネットユーザーの利用実態調査／インターネット非ユーザーの利用意向調査」 （1997.2実施）
• 野村総合研究所／東京大学社会情報研究所「インターネットとパソコン通信に関するアンケート」 （1996.7実施）
• 日本経済新聞社「Nikkei Net ユーザーアンケート」（1996.6実施）
• 電通総研「インターネット・オピニオン調査」（1996.1実施）
• ＥＣＮ（エレクトリック・コマース・ネットワーク）サーベイ
  • 「第2回：インターネットでの新サービスに関するアンケート」
  • 「第3回：女性インターネットユーザー像」
  • 「第4回：情報行動に関するアンケート」
  • 「第5回：インターネット利用に関するアンケート」
• 博報堂電脳体「 電脳生活調査1996−電脳生活８つの種族」（1996.9-10実施）
  

《企業対象》

• Access Media International / IAJ「企業のインターネット／イントラネット利用実態調査」 （1997.2実施）
• 日本経済新聞社「第２回大手有力企業インターネット利用実態調査」（1996.11実施）

REVIEW and COMMENTARY

• アンケートの告知はＮＴＴ、メディアギャラクシー（大日本印刷）、Mix Juice（リクルート）等国内13の有力サイトへ協力を依頼してアンケート・ページへの直接リンクを張る方法で行われており、特定サイトに片寄らず幅広い層をカバーしているといえる。アンケート回答者は積極的利用者であるとの考え方から「アクティブ・ユーザー」としている。第５回調査の有効回答数は5311で、第４回の8875から大幅減少した。この点について、ＮＭＭ誌は、（1）調査を告知する電子メールの効果の低下、（2）ホームページのリンクの有用性の低下を上げている。半年ごとに実施している「GVU WWW Survey」も最新調査では、回収サンプル数が著しく減少しており、一般的な傾向として考えるべきかもしれない。
  
  
• 最近では、半年ごとのプロフィールの変化を追うとともに、オンラインショッピングやインターネット広告に関する質問が充実している。今回も、インターネットによるオンライン・ショッピング利用者が初めて4割を超えた、バナー広告を「邪魔に感じる」ユーザーも増えている、などが注目点として詳しく紹介されている（そちらの結果は「インターネット利用者意識・行動を探索する」で紹介しています）。
  
  
• 第５回におけるプロフィール変化は、女性の比率が再び１割を切る、家庭からのアクセス比率が再び過半数を割るなど、従来のトレンドと異なる結果となった。ただしこの調査の回答者プロフィールは他のサイトが実施するオンライン調査と多少異なる傾向を見せる。企業や個人でのＷＷＷページ作成など情報「発信」に関わっている回答者が35％を占める。また、第４回調査結果をほぼ同時期に実施された第３回Yahoo! JAPAN調査と比較すると次のような回答者属性の違いがある。
  
  
  • アクセス場所：NMM=家庭から54.3％、職場から42.3％、学校から3.4％
    　　　　　　　Yahoo!=家庭から62.9％、職場から28.1％、学校から8.6％
  • アクセス方法：NMM=専用線(LAN)33.6％、ダイヤルアップ(電話)45.0％、ダイヤルアップ(ISDN)18.0％
    　　　　　　　Yahoo!=専用線(LAN)22.4％、ダイヤルアップ(電話)55.9％、ダイヤルアップ(ISDN)15.1％
  • 男女比率：NMM=男性88.7％、女性11.3％　Yahoo!=男性83.0％、女性17.0％
  • 最多年齢層：NMM=31-35歳 25.0％　Yahoo!=25-29歳 23.3％
    
    
• この違いは実施主体・サイト（Nikkei と Yahoo!）の違いによるものであろうし、無作為抽出によって母集団推計のできる調査ではないのだから、どちらが実態に近いか（正しいか）について実はあまり意味はない。むしろ１）同じ主体、方法で継続的に実施される調査の時系列変化を見ること、２）大規模サンプルのメリットを生かしクロス集計によって属性別の意識・行動の違いを把握することが重要であろう。いずれにしても、記事にあるように、女性比率上昇、家庭ユーザー増加はしばらく続くと思われる。

• 上記のように、本調査の特徴は職場からの回答が多いことです（42％）。以前から気になっているのですが、仕事の合間に（仕事のふりをして？）皆さんアンケートに答えるのでしょうね。雑誌の分析記事では、回答時間帯別のグラフが載っています。昼間は職場アクセス中心、夜間は家庭アクセス中心と思われますが、昼休みが特に多いわけではありません（むしろ昼間では９時〜１０時台が最も多い）。
  
  
• 日本のインターネット利用者像を考えるとき、自宅にパソコンを持っていなくても（繋げなくても）、職場で自分のデスクから好きなときに専用線環境で使えるユーザーというのは、意外と数が多いはずです。先日、私の職場でも各自のデスクから専用線接続可能となり、役員からアシスタントまでその便利さ、楽しさを実感しています。半数以上はそれまでインターネットに触れたことがなかったようですので、いきなりユーザー倍増したわけです。
  
  
• この調査でもオンラインショッピングについて詳細な質問がありますが、このような職場利用のみというユーザーは、やはり職場でプライベートなオンラインショッピングとか懸賞付バナー広告クリックとかするのでしょうか。職場アドレスの電子メールアドレスも友人との連絡など私用に使われているのはよく言われることですし、職場での接続環境が拡がるにつれて、職場での私用アクセスが議論になるかもしれません。実態はどうなのでしょうか？
  
  
• このテーマについてご意見をお聞かせ下さい　Email: hagi@mars.dtinet.or.jp
  
  

• ＷＷＷを利用したオンラインアンケートの先駆けとなった調査。実施主体のＣＳＪは日本のサーチエンジンでも老舗と言ってよく、現在でも根強い人気がある。第１回は1995年6月、第２回は同10月、第３回は1996年3月、第４回は同6月、第５回は97年1月、最新の第６回は同7月に実施されている。この２年間のインターネット利用者属性の変化がきれいに出ていて、トレンドをみるには最適である。調査ページもリニューアルされてとても見やすく、分析も丁寧。
  
  
• 第６回調査結果の紹介では、第１回調査からの時系列データが見られる。女性比率が同調査としては初めて20％を越えたこと、インターネットショッピングの経験比率も30％を越えたことなどが注目される。以下は第4回〜第6回の数字。
  
  
  • 性別構成：女性の比率が、9.9％ (1996.6) →13.2％ (1997.1) →21.2％ (1997.6) と拡大。
  • アクセス方法：ダイヤルアップ(ISDN)が、9.7％ →11.3％ →17.9％とアップ。
  • インターネット利用歴：１年以上の利用歴が、23.2％ →43.5％ →55.2％と拡ベテラン層の比率が拡大している。
  • ショッピング経験比率：17.0％ →27.8％ →30.5％。
    
    

• Yahoo! JAPAN のホームページ上で実施され、毎回２週間で２万人前後の回答者を集める日本最大のオンラインアンケート。Yahoo! JAPAN の利用者中心という制約はあるが、サーチエンジンでも特に人気の高いサイトなので、個人でＷＷＷを楽しんでいる利用者の実態を反映していると考えていいと思う。
  
  
• 第１回は1996年9月（20,600サンプル）、第２回は97年1月（18,949サンプル）、最新となる第３回調査は1997年6月に実施、回答は18,771サンプル。結果の一部はウエブ上で公開されているほか、より詳しい分析レポートが月刊誌「Yahoo! Internet Guide」97年10月号に掲載されている。
  
  
• 過去３回の時系列データによる傾向は以下の通り。
  
  
  • 性別構成：女性の比率は着実に増加、12.5％→13.2％→17.0％。
  • 年齢分布：25-29歳、30-34歳が中心層ではあるが、10代や20-24歳の占める比率が徐々に上昇。
  • アクセス方法：ダイヤルアップ(ISDN)が一気に増加、10.0％→11.3％→15.1％。
  • 通信速度：高速化が進み、中心層の28.8Kbpsは一気に減少、54.4％→54.0％→36.4％。
    
    
• なお、欧州でも Yahoo! UK、Yahoo! France、Yahoo! Germany の利用者を対象とした第１回調査（Yahoo! Europe, "The First Pan-European Audience Survey", 1997.5 実施）の結果が公表されている。
  
  

• Yahoo! JAPAN と並ぶ人気のサーチエンジン goo のホームページで実施された利用者アンケート結果。第１回とあるので今後も継続的に実施されるはず。アンケート期間は1997年6月11日〜25日で、サービス開始（3月27日）から間もないせいか、回収数は 2,669サンプルと Yahoo! に比べると少し淋しい。基本属性、アクセス環境、情報行動など、そのままメディアデータとなる設問が中心となっている。同時期に実施された検索サイトに比べて、男性比率が90％と高い。

• こちらも老舗、NTT DIRECTORY のホームページで実施されている利用者アンケート。調査期間は1997年5月6日〜19日で、回答サンプル数は1159。利用者女性比率が約２割をしめている。

• インターネットの普及が進み、利用者が増えるに従い利用目的や態度が分化しているとの問題意識から、「最近アクセスを開始した人の特徴」「利用目的と情報発信行動によるユーザーの分類」を目的に企画、設計されたユニークな調査。富士通＋ドウハウス「iMiネット」の登録者（約5万人）のうち、ＷＷＷにアクセスしている人から1,500人を抽出、電子メールで質問票を送付、回収する方法で実施、有効回答は1,323サンプル（回答率88.2％）、調査期間は1997年9月1日〜8日。
  
  
• まず、「最近アクセスを開始した人の特徴」については、最近利用を初めた層ほど女性の比率が増える傾向がみられ、97年4月以降にアクセスを開始したユーザーでの女性比率は41.4％。また「趣味・娯楽」を主な目的としたユーザーの比率が、最近利用を初めた層では高い比率を占めるようになっている。
  
  
• 「利用目的と情報発信行動によるユーザーの分類」については、仕事目的・情報発信の「情報エリート（13.8%）」、仕事目的・情報受信の「日本型優等生（17.7％）」、趣味目的・情報発信の「カルトカルチャラー（26.0％）」、趣味目的・情報受信の「フューチャーマス（42.6％）」の４タイプが抽出されている。富士通総研の提言として、「フューチャーマス」のユーザーはインターネットに対する評価をまだ決めかねているが、今後の主役になるので、このタイプのユーザーに魅力あるサービスを提供することがビジネス成功の鍵であるとしている。
  
  

• アクセス・メディア・インターナショナル社と日本インターネット協会 (IAJ) が1997年2月に実施。日本インターネット協会編「インターネット白書 '97」（1997.6発行、インプレス、3500円）で紹介されている。（ウエブではデータが公開されていないようですが、かなり役立つ本ですので購入しましょう。）
  
  
• ユーザー対象の利用実態調査は、ＷＷＷによるオンラインアンケートではなく、パソコン所有世帯を対象とした電話調査によって、インターネットを利用していると回答のあった世帯（設定2431世帯）を対象に97年2月に、郵送法で実施。回収は1093サンプル。実施目的は「エントリーユーザーからパワーユーザーまでの利用実態を一元的に把握すること」であり、「近頃ではどこのアンケート調査結果を見ても、多くの人がインターネットを積極的に利用しているかのようなデータが並んでおり、本当のインターネットユーザーの実態を把握するには十分とはいえない。」との考え方で調査が設計されている。
  
  
• 結果を見ると、全体の７割以上のユーザーが１週間あたり５時間未満の利用時間、６割以上が利用経験１年未満であり、意図通りエントリーユーザーの実態も反映したものとなっている。しかし回答者の年齢分布が、20歳代18％、30歳代35％、40歳代35％（！）で、他のオンライン調査に比べるとかなり高年齢層にシフトしており、また職種等を見ても企業の技術職・専門職の比率が高いので、データの引用、解釈にはそのあたりの考慮が必要かもしれない。
  
  
• 一方、非ユーザーの利用意向調査は、「ＰＣを自宅に所有しているが、インターネットを現在利用していない世帯」を対象としている。このような対象に絞った調査は珍しいので、貴重なデータである。「ユーザー調査」と同じ手続きで1000世帯を抽出し、97年2月に郵送法で実施、589サンプルを回収。
  
  
• 特に注目したいのは、パソコン通信サービス利用者（全体の27％）と非利用者との比較分析で、両者にインターネットの利用意向に差がみられなかったこと、パソコン通信利用歴の長いほどインターネットに積極的でないことなどの結果から、「インターネットから得られる情報の価値とパソコン通信から得られる情報の価値を比較した上で、現在のインターネットに魅力を感じていない層が存在する」としている。
  

• パソコン通信のASAHIネット（全国展開）およびニューコアラ（大分）の個人加入者のうちインターネット接続を行っている会員から、各1500人、1000人を無作為抽出して質問紙を郵送。回収はそれぞれ533、386サンプル。1996年7月実施。
  
  
• ほとんどのインターネット利用者調査がウエッブ上のオンラインアンケートで行われているのに対して、「電子ネットを利用したオンライン調査では、回答者が高頻度利用者に偏る傾向がある」（これが事実であることは実証研究されている＝Nielsen /Commerce Net 調査参照 ）ため、「今回は敢えて郵送法を採用した」との方針は評価できる。
  
  
• しかし残念ながら「ASAHIネット」と「ニューコアラ」がパソコン通信ユーザーやインターネットユーザーを代表しているわけではないので注意が必要。特に料金評価やホームページ所有率、ホームショッピング利用経験などは両パソコン通信の現サービスに依存するから、この調査の母集団はあくまで「両パソコン通信加入者でインターネット接続もしている人」と考えなくてはならない。そこに注意すれば、インターネットとパソコン通信への感覚の違いなどがわかって興味深い。

• アクセス・メディア・インターナショナル社と日本インターネット協会 (IAJ) が1997年2月に実施。日本インターネット協会編「インターネット白書 '97」（1997.6発行、インプレス、3500円）で紹介されている。
  
  
• 従業員規模別に割り当てられた2883事業所を対象として、質問紙郵送法で97年2月に実施、1116サンプルの有効回収。社内ネットワーク (LAN) 構築済の企業は39％、インターネット／イントラネットの利用企業は34％、イントラネット構築済の企業は（インターネット利用・利用計画中企業の）12％、といった結果になっている。９人以下の小規模事業所から１万人以上の大規模事業所まで対象としているが、重み付けによる母集団推計は行っていないので、従業員規模別に数字をみる必要がある。上記各項目とも概して大企業ほど普及率は高くなる傾向がみられる。
  
  

• 最新のニュースを提供する新聞社のホームページ等のコンテンツ提供型サイトは、インターネット広告の掲載場所として魅力を感じる企業は多い。96年6月に日本経済新聞社ホームページ「Nikkei Net」上で自社サイト利用者のプロフィールを探るためにインターネット上でのアンケート調査を実施し、データを公開しており、アクセス件数の多い同サイトへの広告主にとっては有意義な情報となろう。
  
  
• 利用者の４人に３人はビジネスマンであるが、20歳代､30歳代の若い世代が中心。さらに、回答者の84％がブラウザーのブックマークに加えており、50％が1日1回以上利用しているなど、日常的に欠かせないメディアであることを伺わせる結果となっている。

• 日本の主要企業を網羅しており、企業におけるインターネットの利用、導入状況を把握できる貴重な調査結果。1996年10月下旬から11月中旬にかけて、東証１・２部、店頭企業、有力未上場企業の合計2656社にアンケート調査票を郵送、東証１部751社、同２部236社、店頭507社、有力未上場113社の合計1607社から回答を収集（有効回答率60.5％）。
  
  
• 96年3月に第１回アンケート（回答1459社）が実施されているが、この8か月の間に急速に企業のインターネット活用の進んだことがわかる。例えば「イントラネット」については導入済企業が5％から11％へ、近く導入予定という企業も18％から27％へと増加している。

• パソコンユーザーを対象にしたクラスター分析。インターネットへの態度・意識に関する45の質問による。サンプルは285で、1996年9月実施。
  
  
• ８クラスターを抽出し、「電脳生活者8つの種族」としてプロフィールが細かく紹介されている。
  • 種族１-希望に胸躍る　[電脳生活新入生]
  • 種族２-眉をひそめる　[肩越しの家族たち]
  • 種族３-道具とわりきる　[クールなパワーユーザー]
  • 種族４-面倒みましょう！　[頼りになるベテラン] -
  • 種族５-電脳空間で　[自分さがしの主婦たち]
  • 種族６-買ったはいいが　[もてあましユーザー]
  • 種族７-才能開花？　[日曜電脳クリエーター]
  • 種族８-仕事に必要だから　[お勉強ユーザー]