Keisuke Hara - [Diary]
2004/02版 その3

[前日へ続く]

2004/02/21 (Sat.) A cat in probability

a cat in probability また昼近くまで寝てしまつた。 近所のベンガルカレー屋で、 法蓮草と鷄のカレーと豆のカレーの昼食。 午後は、DVD で 「コックと泥棒、その妻と愛人」を流しながら、 チェスプロブレムを考へる。 また一題解決。これでオーソドクスは後二題、 一見して手強さうな 3 手問題と、 趣向作と思はれる 19 手問題を残すのみとなつた。 夕方から烏丸に出て、本屋を見たり。 夕食は自宅で米を炊き、 一番だしを引いて大根と葱の味噌汁を作り、 納豆と胡瓜の漬物で貧しい粗食を取る。 夜はチェロでスケールの練習、読書など。


2004/02/22 (Sun.) Guillotine

九時に目が覚めた。 相変はらず寝醒めが悪い。 毎朝すつきりと爽やかに目覚めることが出来る人に比べて、 人生において重大な不利を背負つてゐる気がする。 寝床で少し読書して、キッチンで珈琲を淹れ、寝床で仕事。 しばらく使つてゐなかつたので、vi の勘が鈍つてゐる模様。 今では、英語で数式入りの TeX 原稿を書くときだけ vi を使ふ。 以前はどんなものも vi (正確には mule の中のモードで) で書いてゐたのだが、最近は退廃して長いものに巻かれてゐる。

昼食は昨日の冷や御飯で粗食。 食後、居間でお茶を飲んでゐると、執事がやつて来て、 MD へのダビング作業を始めたので、 その待ち時間にチェスを一局する。 持ち時間 15 分のギロチン。ブリッツなのに、 華麗なポジショナルサクリファイスを思ひつき、 実行してしまふ。有利な盤面のまま時間切れで負け。それがブリッツ。 教訓:いかに魅力的なアイデアでも、状況に反したものは有害。 その後、午後も少し仕事。 夕方から近所のスーパーに大蒜とバジルを買ひに行き、 トマトソースを作る。 夕食はトマトソースのパスタとこの前開けたワインの残り。

夜も少し仕事をしやうと思つたのだが、 その準備として最近新たに導入したスペルチェッカを vi の中からうまく使へるやうにキーマッピングすることから始め、 色々やつてゐたら何時の間にか夢中になり、、、 正気に戻つたら二時間以上経つてゐた。 これが言はゆるコンピュータの罠…


2004/02/23 (Mon.) バジル

午前 8 時起床。 珈琲を飲んで、少し寝床で仕事をしてから出勤。 修士論文の発表が明後日なので、 院生の準備の様子を見に行く。 その他は研究室の整理。 私のゐる建物、 ウェストウィングはそろそろあちこちで、 引越しの準備作業をする研究室を見かけるやうになつて来た。 しかし、私の引越しの日程はまだ謎である。 今週末くらいなのではと予想してゐるのだが、 私の引越し先がさう簡単に動いてくれない模様。 どうなることやら。 しかし、私の研究室は着々と綺麗になつており、 本は確かにかなりの量があるが、 21 インチの CRT モニタ 2 台さへ運べれば、 概ね楽勝なのではないか。 夕方帰路につく。夕食はカルボナーラとワイン。 デザートにホットチョコレート。 食後、昨日余つたバジルの葉で、 今度はジェノヴェーゼソースを作りおきする。 夜は勉強と作業を少し。


2004/02/24 (Tues.) 赤、緑、赤

午前中は寝床で仕事。 昼食は御飯を炊いて、だしを引き、いつもの粗食。 午後は修論発表の練習を見たあと、某委員会の会議。 会議は二時間ほどだつたが、 その間に論文の改訂を指示された箇所について、 スマートに処理する方法を思ひつき、 その計算を内職したので、有意義な会議だつた。 終了は 7 時前、頭の中で計算を続けて、 原稿を作りながら帰る。ほぼ完成した。 帰宅は 8 時半くらい。 夕食は作りおきのソースで適当なパスタ。 今日は赤。次は緑の予定。 ワインは Monpezat の Palombieres 1999。

食事をしてゐるときに、 ドラマ「フレンズ」の DVD を観たりするのだが、 いつもフィービーのとぼけたキャラクタに癒される。 多分、フィービー専用と思はれるジョークの一つに、 同じ台詞を口調を変へて言ひ直す、 と言ふものがある。 例へば、ジェスチャーゲームで答を聞いて 「それが鳥(のつもり)?!」("That's a bird ?!") と叫ぶのだが、ジェスチャーした人に睨まれると、 「それが鳥(よね、そう言はれてみれば)…」("That's a bird...") と全く同じ台詞を口調だけ言ひ直すのである。 笑ひのツボと言ふやつなのか、 何故か私にはこれが妙に可笑しくて、 是非、自分でも使つてみたいと思ふのだが、 そもそも、日本語では難しいジョークかも知れない。


2004/02/25 (Wed.) くもこ

午前中は、寝床で少し仕事をし、 チェロのスケール練習をして、 早めに冷や御飯と味噌汁とベーコンエッグの昼食をとつて、出勤。 午後は修士論文の発表会。 Y 田先生、A 堀先生のところの院生の確率論の修士論文は、 新しい結果を含んだなかなかの内容で楽しかつた。 続いて、一時間ほど教室会議。 夜は、少し日程が遅れたが、 草津の魚寅楼で教室恒例の入試採点打ち上げ。 前菜の蜆と、最後の方に出たくもこ(鱈の白子) の料理が美味しかつた。 続いて、二次会に参加して終電で帰宅。


2004/02/26 (Thurs.) 最も完全に近い賽子

九時起床。あまり頭が働かないので、 データのバックアップなど簡単な作業。 昼食はバジルのパスタ。午後は論文の改訂作業。 途中で休憩に烏丸まで珈琲豆を買ひに行く。 夕食はシリアル。 夜は依頼されてゐた学内誌の記事を書く。 私の雑用原則は「発生した時点で(出来るだけ)片付ける」 と言ふものだが、これではさう出来なかつた。 つまり、発生したとき(つまり依頼のメイルを受けとつたとき)、 そのコンピュータで他の雑用をしてゐて、 後回しにしてしまひ、締切間際まで手をつけなかつた。 これが私の雑用原則の根拠である観察で、 つまり、経験則として、 雑用は発生した時点から後に回すと必ず締切直前まで放置される。 結果として、本当に自分のために使ひたい、 使ふはずだつた、時間を割くことになる。 この観点からすると、発生した時点で忙しかつたら、 締切がずつと先でも既にその場で 「できません」と断つてしまふべきだ、 と言ふ方針が導かれる。しかし、さうも出来ないところが、 サラリーマンの切なさである。

渋谷のネットワーク屋、N 氏の日誌で知つた、 このサイコロ 欲しいなあ… ほぼ完全な立方体で、 ほぼ完全に 6 つの面の質量がバランスした 「世界最速のサイコロ完全版」。 しかし、設計理論上の精度、と言ふ意味が若干謎ではある。 実際にその精度で計測できないのなら、 その理論上の精度と言ふ意味は何だらう。 それはともかくとして、 確率論の研究に是非必要だと思ふのですけど、 科研費とかで買へますか?


2004/02/27 (Fri.) 牛の二月、虎の三月

K 川先生の指摘。魚虎楼ではなくて、魚寅楼ださうだ。 訂正。十二支の方の寅が正しい。 ところで、干支に使はれるときは、 「羊」と「未」のやうに普段と違ふ文字を使ふ。 それは何故か御存知か。 そもそも十二支は一月から十二月までの各月を表す文字である。 例へば、「子」は地平線にかかる北斗七星の形であつて、 一月を表現してゐるのだし、 「丑」は茅の形で二月、 「寅」はその茅が地中に根を張る様子で三月である。 では、何故それが動物の名前になつてゐるかだが、 これは、唯一つの例外を除いて、何の関係もない。 庶民が文字を読むことの出来なかつた大昔の中国で、 親しみ易い動物達に結び付けられたものである。 例外的に意味が一致してゐるのは「巳」で、 これは蛇の形。蛇が出てくるのは六月。

午前中は研究費を一円残らず、ぴつたりと使ひ切るために、 キャンパスを東奔西走。もちろん、クリップも買つた。 生協で食事をして午後は、 来週水曜日から開催される数理ファイナンスシンポジウム 準備の最終ミーティング。さらに、 開催場所であるローム記念館の会場で、 PC の接続の仕方とか、マイクやプロジェクタの使ひ方など、 設備のチェックと若干の準備。 ローム記念館はキャンパスの外れにあるが、 実際、最も綺麗でお金のかかつた建物である。 眺めが非常に良いので、実は一番良い立地かも知れない。

そのロームの会議室は片方の壁の全面が窓になつてゐて、 琵琶湖が一望に見渡せる。 こんなところで会議をしたら気分も違ふよねえ、 と A 堀先生と話す。 普段、教室会議を行ふ会議室は狭くて、一つの窓もなく、 非常な圧迫感のある不快な部屋なのである。 レクター博士なら、 窓のために新しい「料理」の一つも作りさうだ。 そこまで考へて思つたのだが、 いや、会議室はあれで良いのだ。 不快に作つておかないと、これ以上長くなる。

夕食は作つておいたトマトソースで、 トマトとチーズのパスタ。 美味しい…チーズでも鮮度が大事なときがある模様。 食後にチョコレートと珈琲。 夜から勉強も仕事もチェロも休み。 「裁くのは誰か?」(プロンジーニ&マルツバーグ著、高木直二訳、 創元推理文庫)を読む。


2004/02/28 (Sat.) エクステリア

九時起床。寝床で仕事。 正午頃、家のすぐ前で派手なエンジン音がすると思つたら、 執事が真赤なホンダ・ビートで登場。 最近、買つたらしい。 我が家の駐車場はどうせ余つてゐるので、 家の外装として飾つておいてもらふ。

近所のベンガルカレー屋で豆と鷄のカレーの昼食をとり、 河原町に本を買ひに行く。 三条大橋の SBUX のソファで二時間ほど読書をし、 高瀬川沿ひを散歩して、河原町駅より帰宅。 夕食はじゃが芋を茹でて、 適当に作つたドレッシングで食べ、 バジルのソースでパスタを少し。 赤、緑、赤、緑ときて、作りおきのソース終了。


2004/02/29 (Sun.) スノッブたち

今年の二月は 29 日まであつたのか。素数だ。 1 から 7 までの和なので 28 の方が、 一ヶ月にふさわしい日数だと私は思ふが。 一年の全ての月が 29 日か 31 日だつたら、 どの月も素数日数になつて良い感じ(または嫌な感じ)だが、 それは可能ですか?(制限時間 15 秒)。

起床は十時頃。朝は寝床で読書など。 昼食はカルボナーラとワイン。 午後は論文の改訂原稿作り。カヴァーレターを作文して、 夕方メイルで再投稿。夕食はシリアル。 夜は書庫の整理など。

大学の研究室の引越しにまだしばらく日がありさうなので、 どんどん自宅に本を移動してゐる。 いつそ、 ほとんど何もない研究室と言ふのもすつきりして良いではないか、 と思ひ、この機会にできるだけ頑張るつもりである。 さう言へば、 自宅に行つてみたら聖書一冊しか(少なくとも見える所には)なかつた、 と言ふ逸話は誰のものだつたつけ? そして、 ぎつしり詰まつた本棚を見たら全て本人が書いた本だつた、 と言ふ逸話は誰のものだつけ? 今日は質問が多いですね(笑)


[後日へ続く]

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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp
kshara@mars.dti.ne.jp (for private)

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