とぜんそう1999年9月分

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99/09/02

『シノギの手口』(夏原武、データハウス)、『格闘家に告ぐ! 実戦格闘技論』(小島一志、ナツメ社)購入。

待ちに待った『シノギの手口』は「裏仕事人列伝」シリーズ第2弾(第1弾はベストセラー『サギの手口』)。目次を見ると、予告通りかなりハードな内容みたいですね。おっと、いきなりフォーシーズンズを常宿にする知り合いのかたの話が。

ということで『間違いだらけの少年H』(山中恒・山中典子、勁草書房)は一時保留して『シノギの手口』に取り掛かることにします。そういえば山中恒って『ぼくがぼくであること』の作者のかただったのね(読んでないけど)。

『格闘家に告ぐ〜』は某氏から強力に推奨されたもので、『シノギの手口』捜索中に偶然発見。こっちも楽しみ。


ついでに『巨大ロボット読本』という本が目についたのでぱらぱらっと。

中に手塚治虫の『マグマ大使』からマグマ大使一家が宿敵・ゴアの魔力で前世紀に送り込まれ、時間移動能力を持たないマグマ大使一行はあわれにもその時代で朽ち果てるのかという場面が紹介されておりました。

しかし、一行が密林の中で自分たちのいる場所を把握しようとしているそのコマにつけられたキャプションは「マグマ大使一家そろってのお散歩風景。心温まる1シーンである。」

絶望的危機に陥った場面が「心温まる」シーンとは恐れ入りました。あとの内容は推して知るべしなのでしょう。


次の行はあぶり出しです。「グラップラー刃牙」(板垣恵介、週刊少年チャンピオン連載)のファンで最新号を読んだかたのみご覧ください。
マウント斗羽、絶命? 十六文キック一発分勝ち逃げ?

99/09/05

このところ、表に出ると新幹線の線路が見える現場に通ってます。上りと下りの「のぞみ」の通過時間を把握してしまったりして。

やっぱり500系は走ってるとこもかっこええですね。


「クイズ赤恥青恥」の再放送で「大トラ」が問題になってるのを見ました。

それによると、中国に「竹葉」という酒があって、竹葉の容器に笹の葉が描かれていたことにちなんで日本で酒のことを昔「ささ」と呼んでおり、絵画で笹に付き物なのが虎なので「笹のそばにいるもの」ということで酔っぱらいを虎と呼ぶようになった、みたいな説明でした。

新明解国語辞典では「〔押さえにくいというところから、俗に、酔っぱらいの意にも用いられる〕」となっているのですが、上記とはえらくちがう上に意味がよくわかりませんね。やはり「笹に虎」の連想の方が説得力があります。

99/09/10

『シノギの手口』夏原武、データハウス)読了。

おもしろい、でもって、やはり普通の人間が読むとちょっとおっかないと感じる内容でした。前著『サギの手口』はどっちかというと行間からおかしみのようなものが垣間見えたのですが、今度のはやるほうもやられるほうもちょっと必死というか、しゃれにならない部分があるようなないような。

特に強くそれを感じるのが、新風営法によって彼らが地下に潜ったりマフィア化したりといったくだりですね。まあそれにもめげずに次から次と新しい手口を思いつくバイタリティーもたいしたもんなんだけど。

ちょっと前の新聞に、身寄りのない老人に近づき、半年間毎日のようにかいがいしく世話をし続けて信用を得、揚げ句に老人の預金を数十万円だまし取った女性が逮捕され、警官が「その間まじめに働いてればもっと稼げたろうに」とあきれたという記事が掲載されていましたが、なに、人間働かずに儲けるためならある程度の苦労は惜しまないものです。

これからも彼らと一般市民と取り締まる側のいたちごっこは終わることなく続くに違いありません。自分が巻き込まれそうになる可能性をなるべく回避するためにもぜひ本書を読んで勉強しましょう。もちろん読み物としてもおもしろい本です。


ありゃ、なんで私が『ぞろぞろ』(唐澤俊一+唐澤なをき、アスペクト)を読んでいるのをご存じなんでしょ?>下忍さん

それはともかく、穴太郎さんはその道のいわゆる叔父貴筋に当たるかたです(このあたり『シノギの手口』の影響かも)。


このところいろいろ読んでばかりだなあ。ということで、『アストロ球団』(遠崎史朗原作、中島徳博作画、太田出版)の完結編を読了。

峠球四郎の出てきたあたりで、これは学生運動がらみの話だとは気づきましたが、全体に流れる敷島の大和男の熱き血潮が全然別の物語にしてしまっているような。

しかし読んでいて思い出すのが同じ『週刊少年ジャンプ』に1970年ごろ連載していた「アニマル球場」(眉月はるな(だったと思う))。

突如現れた「アニマル球団」なる謎のプロ野球チームが王者・読売ジャイアンツに挑む漫画で、彼らの集中力が最高潮に達すると球場にライオンやゾウなどの野生動物の幻影が出現してしまうという、すごいんだか怪しいんだかよくわからない作品。

野生動物の闘争本能で戦う野球チームとアストロ球団の最終回がやけにシンクロしてしまう読後のひとときでした。

99/09/13

『ビッグコミックスピリッツ』に石川賢の「MAGA」なる作品が新連載。ひょっとして小学館は「ゲッターロボ」以来?

主役の性格はあいかわらず極悪で、なかなか楽しめそう。


『格闘家に告ぐ!実戦格闘技論』(小島一志、ナツメ社)は半分を少し過ぎたところですが、すごくおもしろい。紹介ありがとうございます>某氏。

ところで、この本の中に「格闘技界」という言葉が最初に使われはじめたのは1980年代に入ってからのはず、と書いてあるのですが、1970年代の終わりごろに始まった格闘技漫画「四角いジャングル」の中でしっかり使われてたりします。毎回欄外に「この物語は現実の格闘技界の動きに基づいている」と謳ってあり、「1、2の三四郎」(小林まこと)にもそのパロディが登場していました。


次の行はあぶり出しです。「グラップラー刃牙」(板垣恵介、週刊少年チャンピオン連載)のファンで最新号を読んだかたのみご覧ください。
さすがにラスト前には気づいたものの、完全に予想外の展開でした。ただ、ジャイアント馬場が亡くなったすぐあとの新聞だか雑誌だかに、彼がプロレスラーになっていなかったらどんな人生を送っていたかという随想が書かれていて、まさか同じ発想とは、という思いが以下略(負け惜しみ)。

99/09/16

今日のNHK総合テレビ「クローズアップ現代」は日本語を勉強する企業の話。ユーザにわかりやすい表現を使うことで受け入れられやすい製品開発やサポートを目指そうと日本語に対する認識を改めつつある企業が増えているんだそうです。

で、番組では、パソコンをはじめとする家電製品の用語にカタカナが多いのは、技術の発展が急激なために対応する言葉が見つからない状態で安易に外来語をカタカナのまま使っているからではないかという意見をコラムニストという肩書きのついたかたが話しておりました。

パソコンや家電製品の技術的単語よりさきに「コラムニスト」を老人や子供にもわかりやすい簡潔な日本語にしてほしいもんです。


最近4冊ばかり囲碁の漫画を読みました。

まずは友人にすすめられた『ヒカルの碁』(ほったゆみ原作、小畑健作画、集英社)の1巻と2巻。昔の道具類が置いてある古い蔵の中でおばけに取り憑かれ、そのおばけの力を借りて戦うというどこかで読んだようなパターンの漫画なんですが、毛色はぜんぜんちがうしけっこうおもしろい。

で、どうせならルールをある程度把握していたほうがさらに楽しめるかもしれないと思って『マンガでおぼえる囲碁入門』(藤井ひろし、山海堂)。わかりやすい本だけどじっくり読んだり練習問題をやってられないのが残念。

それからつい昨日読んだのが『入神』(竹本健治、南雲堂)。作者は漫画家としてデビューして現在は小説家。21年ぶりの漫画だそうで、キャラクターは自分の小説の登場人物。アシスタントとして我孫子武丸、綾辻行人、大森望、京極夏彦らが絵を描いているとかで、ほかにも特別参加として高野文子、さべあのま、なんて名前も見えます。

話は、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久と天衣無縫の打ち手・桃井雅美が架空のタイトル若獅子戦の決勝であいまみえる、と、いってしまえばそれだけなんですが、これがめっぽうすごい。片や牧場が神経を極限まで集中して得た境地で無限のかなたまで先を読めば、こなた桃井は天性の感覚で神懸かりのような手を打ち、ともに「神授の一手」を目指す。

21年ぶりということもあってそううまい絵を描いているわけでもありませんが、なんだかのめりこんでしまいました。もっとも、そんな深刻な話でもないんですけどね。でもすごくおもしろい。

囲碁を知らないしろうとにも楽しめるような構成になっているし、上級者もうならせるような妙手を何百時間もかけて考え出したりもしています。また、歴史上有名な棋士や対局、エピソードなども織り交ぜ、行きがけの駄賃か棋士どうしのやおい本まで登場させたりして、まさしくサービス満点。

囲碁の神様のイメージだけはちょっといただけなかったものの、あれが藤原佐為のすがたをしてたらさらに以下略。

ちなみに、『マンガでおぼえる囲碁入門』も『入神』も企画自体は『ヒカルの碁』の連載開始より前で、この3作が同じ年の出版になったのはまったくの偶然のようです。

99/09/17

今週号の「じゃじゃ馬グルーミングUP」(ゆうきまさみ、週刊少年サンデー連載)の扉に描かれたひびきの姿は「劇場版・伝説巨神イデオン」のスチルか何かで胎内にベスの子供を宿して下腹から光を放つカララそっくりのポーズ。さすが『イデオンマイナーノート』の作者です。


『グラップラー刃牙』(板垣恵介、秋田書店)の42巻を読む。

ラスト2ページのマウント斗羽の顔が雑誌掲載時とちがってジャイアント馬場そっくりに描き変えられているもよう。11月発売の続編がさらに楽しみに。


『暴力の都』(戸田幸宏原作、中祥人作画、集英社)の10巻を読む。

作画のかたのあとがきに以下のようなことが書かれています。

 今回、収録されている産業廃棄物処理施設をめぐる話の原作をいただいた時、偶然にも所沢のダイオキシン問題が取りざたされた頃であり、読者の方はタイムリーな話題をテーマにしたのだと思われただろう。しかし戸田先生は決して世間の話題に合わせて原作を書かれる方ではない。むしろ、そういったことを嫌う方だと私は思っている。その原作は意外にも環境問題に焦点を合わせた話しではなく、百樹町を裏で牛耳る暴力団を中心に描かれていったわけだが、それは戸田先生独特の切り口ということでよいと思っている。(略)


どうやら作画のかたは環境問題にからめたオリジナルストーリーだと思っているように見受けられるのですが、これは岐阜県で起きた実話が下敷きです。御嵩町で産業廃棄物処理場建設の賛否ををめぐって町長が何者かに襲撃され、事件はある企業が町長宅に盗聴器を仕掛けたとか仕掛けないとかいった方向に進み、私の知るかぎり現在にいたるも真相は明らかになっておりません。

また、その後この問題は町として処理場建設に賛成か反対かを住民投票で問うという展開に。新潟県の巻町で行われた原発の賛否を問う住民投票の少し前のことです。ちなみに投票の結果は建設反対となり、住環境を優先させたのか単なる住民エゴかということでも話題になりました。

この一件を新聞やテレビで知っている私にとっては、今回の話はこの事件を単に暴力団がらみでふくらませただけのものだったのですが、ダイオキシン問題で揺れる所沢に住んでいた作画のかたには、これは地元の話題だという思いこみが生じてしまったのでしょうか。

あるいは、やはりこの件は中部地区限定の話題だったのでしょうか。

99/09/19

昨日今日と日が照って暑さがぶり返したせいか、いまだにつくつく法師が鳴いてます。


『格闘家に告ぐ!実戦格闘技論』(小島一志、ナツメ社)読了。

おもしろい本に出会うというのは実にむずかしいもので、経験上少しは確率は上がってはいるというものの、やはり数冊乃至数十冊買ったうちに一冊あるかないか。そういう意味では同じような好みを持っている、もしくは自分の好みを把握してくれている友人というのは実にありがたいものです。改めてこの本を紹介してくれたことに深く深く感謝します>某氏

さて本書の内容ですが、筆者がまえがきの中で「いわば本書は、三十年にわたる格闘技との付き合いの中で私がたどりついた格闘技論の集大成なのである」と書いているように、さまざまな格闘技(ここでいう「格闘技」は今日のいわゆる「格闘技ブーム」の中心になっている格闘技のこと)について、柔道・空手の経験者であり格闘技雑誌の編集者でもあった経験や立場から論じていくものの、K-1について語りはじめたときに「個人的な理由」から「K-1が好きではない」と告白するあたりからやや怪しくなっていきます。そして極真会館分裂騒動に筆が及ぶにいたってとうとう個人的見解や私的な回顧に終始することに。

昔から理論だの講義だのというものは本論からはずれた脱線話こそおもしろいもので、この本も御多分に漏れず後半部分がとんでもなく楽しめる内容になっています。

さらに興味深いのが、筆者は梶原一騎的世界を否定しているとも見られる立場なのに、けっきょく梶原一騎が『空手バカ一代』(梶原一騎原作、つのだじろう作画)で前半と後半の中心的な位置に置いた二人の人物について多くの紙数を割いているあたり。それだけこの二人の人物が異彩を放つ魅力的な人間であったということなのでしょう。

機会があれば別の著作も読んでみたいものです。

99/09/23

ATOK13 お茶に/入れ立てが/あつい お金があったら、/いろんな/子としてみたい

というわけでATOK13を入れてみました。恒例のやつはこちら


先日ラジオでパソコンの性別が話題になっていて、「ホストコンピュータとか(もう一つは失念)いうんだから男だろう」と結論づけておりました。

じゃあ「マザーボード」はパソコンのアニマかも……って、本性ですがな。

99/09/28

中日に今シーズン初めてマジックナンバーがでたときのことですが、取材で東京にいたCBCラジオのアナウンサーが「こっちの某スポーツ新聞では中日のマジック点灯が一面トップになってないんですよ。重大なことなのにどうしてなんですかねえ」などと発言し、名古屋のスタジオのアナウンサーが「よっぽど悔しかったんでしょうね」と応えておりました。

で、ダイエーがリーグ優勝した翌日の中日スポーツの一面トップが「巨人負けた 竜負けない」。

くだんのアナウンサー氏がこれについて何かコメントしたのか知りたいところ。
(うーん、更新が遅れて変なタイミングになっちゃったなあ。どのみち中日優勝はシーズンはじめに確定してたんだから、本日の試合結果に水を差す意図でないことだけはご理解くださいまし>関係各位)


くるくるくりりんの情報により「社団法人 著作権情報センター」の「Q15 無断でリンクを張ることは著作権侵害になるでしょうか。」を見たところ、「リンクを張ることは、単に別のホームページに行けること、そしてそのホームページの中にある情報にたどり着けることを指示するに止まり、その情報をみずから複製したり送信したりするわけではないので、著作権侵害とはならないというべきでしょう。/「リンクを張る際には当方に申し出てください」とか、「リンクを張るには当方の許諾が必要です」などの文言が付されている場合がありますが、このような文言は法律的には意味のないものと考えて差し支えありません。」てなことが書かれておりました。まことにもって常識的な見解ですね。

つまり、自分で作ったサイトへのリンクを絶対禁止とした某SF作家の感覚などたかがしれたもので、そんな人が「ある作品がSFであるかないか、SFファンならちゃんとわかる」などといったところで気にすることはないってことです>くりりんさん


夜、自宅へ帰る途中で前にいた車が道路脇にとまり、運転手が降りてきて携帯電話を使い始めました。なんて非常識なことをするのでしょう。

え、運転しながら携帯電話を使うのにくらべれば常識的?

その人、運転席側のドアを降りてすぐのところ、つまり車道のど真ん中につっ立って電話してたんですけど。ちなみに交通量が少ないとはいえ信号交差点の直前。


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