00/04/01 |
『自衛隊官舎若妻日記』(塚越恵美、ワニブックス)読了。以前新聞社系のサイトで「話題のホームページ」として紹介されていた「自衛隊官舎妻日記」を加筆・編集のうえ本にしたもの。
「妻日記」が「若妻日記」に変わったのは、そのほうが話題性を期待できると考えたからでしょうか。表紙も、素肌に迷彩模様のエプロンと迷彩ヘルメットとブーツだけをつけ、スーパーのかごを下げて敬礼する若い女性、というタイトルイメージをそのまま絵にしたようなもので、カバーの折り返しにはご丁寧に後ろ姿も。で、帯には「これは国家機密の漏洩だ!」。
なんか年若い自衛官夫妻の閨房の話題ばかり書いてあるような印象ですが、そっちの話は途中にほんの数行でてくるだけで(当然、具体的描写はなし)、全体としては作者の「日常」が描かれているだけです。
とはいえ自衛官の家庭の「日常」ですからわれわれ民間人のそれとは違っているわけで、そのあたりを作者の「ふつうの感覚」がとらえておもしろおかしく紹介しております。
たとえば、こんなぐあい。
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(作者のアイロンがけやシーツ敷きに文句をつけては自分でやってしまう夫の話を紹介して)こんな話を結婚した女友達に話すと、家事ができる夫なんていいわねえと羨ましがられる。黙ってやってくれれば確かに自慢できる夫かもしれないが、私を訓練対象者と思っているのがたまらない。どうせ夫はどんな環境でも耐える訓練をされているのだから、妻の手抜き家事にも冷静でいられるよう精進してほしいものだ。
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ほかにも、自衛隊のPX(基地内の売店)には見学者向け土産品として「総員おこし」というお菓子が売られているなど、おもしろい話題がこれでもかと詰め込まれています。
へたな広報活動よりよほど自衛隊を親しみやすい存在にしてくれる一冊。
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「ジーク」ときたので「フリード」と続けてしまいました>零戦>朋輩
しかし「れいせん」で変換せず「ぜろせん」で変換できるなんてなにか間違ってるような気が>ATOK13
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ことしの朝日新聞にはエイプリルフール企画は特になし。残念。
え、うちですか? だって私、生まれてこのかた嘘をついたことないし(おい)。
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00/04/03 |
おもしろそうな本の紹介ありがとうございます>下忍さん
さっそく書店に注文してきました。例のオンライン在庫検索のできる書店で、今日は平日だったためか注文カウンタのパソコンで検索してそのまま発注しておりました。でも伝票への手書き記入はそのまま。なにやら中途半端。
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色見本
うちの会社でも色見本の本を使ってるようですが、部署が違うので詳細不明。ただ、客先からの指定はマンセル記号が多いようです。といっても、最終的には金属板などを使った色見本プレートで微調整するのですが。
以前、外注先の制御盤や操作盤と本体の色があまりに違うので外注先に文句をつけたことがありました。ところが、外注先も同じ色見本プレートを使っているという。よくよく調べてみたら、うちの会社では10年まえに支給された色見本プレートを使い続けていたため、色があせてしまっていたのでした。
次の設備から本体色が変わったのはいうまでもありません(といいつつ言わずにすます例しなし)。
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このところプロレスマスコミがよく使う“秒殺”という言葉になにやら違和感(ざわっ)を覚える今日このごろ。
先日もニュース系のサイトで「1日の岡山大会でタッグながら150秒で“秒殺”されたが」。
こういうのを読んでるといったい何秒までが“秒殺”なんだろうと考えてしまう。とにかく秒で表せれば“秒殺”だというなら、86400秒でも“秒殺”です。ちなみにこの数字は「1秒のキッスを1日続ければ24000」という歌詞に疑問を覚えて計算したものだったりします。
本来は秒でしか表せない、つまり1分未満が“秒殺”なのでは。いくらなんでも、5分以上かかった試合にまでこの表現を使うのはやめてほしうございます。
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00/04/04 |
『漱石の夏休み――房総紀行『木屑録』』(高島俊男、朔北社)読了。
夏目漱石が二十三歳の学生時代に房総半島に旅行したときのことを漢文で綴った旅行記「木屑録」を題材に、その和訳、友人・正岡子規の批評、日本人と漢文の関係などなどを、正式な漢詩の書き方も交えて解説した本。
日本人がなぜ漢文を大切にしてきたか、エラい人が漢文調の言い回しをしたがるのはなぜか、なぜ漢文読み下しはああもおかしな日本語になるのか、などの疑問が氷解。さらに、なぜ日本人にはきちんとした漢詩が書けなかったのかについても言及しています。
すべては、漢文は中国語を文章にしたものである、という一点につきますね。どうあがいても外国語なのであって、これを日本語と同列に扱うのがそもそもの間違い。
とはいえ、中国文学の研究者にしてはじめて理解できることではありましょう。私のような門外漢には英語と同じく「ちんぷん漢文」です。
ちなみに、「木屑録」以外の部分は『週刊文春』連載の「お言葉ですが…」などにも書かれていることを骨子としていますので、部分部分には目新しさを感じることはありませんが、全体的にみれば現時点での高島先生の漢文に対する意見のひとつの結論かもしれません。
ところで、高島先生はやまとことばは原則としてひらがなで書いた方がいいという意見の持ち主であり、またこの本は漢文の解説ということでいやでも漢字の割合が多くなるということもあってかなりひらがなの配分を多くしてあるそうです。せっかくの企画でしたけど、あるていど以上にひらがなが多くなるといささか読みにくいようです。
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開幕ロケットスタート
ロケットが国産技術だったのかも。(ちょっと遅刻)
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今日の中日新聞朝刊の投書欄に、小渕前総理の「運が悪かった」発言への批判を中心とした組織腐敗への意見が掲載されてました。べつに自民党支持というわけでもないし発言は発言として批判されるべきだけど、この時期に載せるという無神経さはいただけない。投書した人は青くなってたりして。
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00/04/05 |
月曜日につぼみがほころびだした会社の前の桜がはっきりとわかるぐらいに咲いてました。去年、おととしとくらべると、開花は十日ほど遅い。やはり3月の冷え込みが効いたようです。
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『戦空の魂』(天沼俊、集英社)5〜7、9〜10巻
『ヒカルの碁』(ほったゆみ原作、小畑健作画、集英社)6巻
『コンデ・コマ』(鍋田吉郎原作、藤原芳秀作画、小学館)14巻
など。
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00/04/06 |
ほら貝でおなじみの加藤弘一氏が日本語文字コードの歴史書として『電脳社会の日本語』(文春新書)を出版。その正誤表や補足と訂正などが出ておりました。
この本では、インターネット時代の日本語表記を考える上で避けては通れない文字コードの問題をその成立過程から詳しく解説しております。文字コード問題を考えるだけではもうひとつわかりにくいと感じているかたはご一読を。
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00/04/07 |
おだいじにー>下忍さん
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とあるスポーツ新聞系のサイトの記事をながめていたら、中日の調子のよくない状態に関してこういうのがありました。
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まさに前年度の霸者・中日を見下ろす鼻息の荒さ。(略)
ここまで敵から見下ろされてしまってはどうにもならない。(略)
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こういう場合は「見下す」の方がいいんじゃないのかな、などと思ってCD-ROM版広辞苑を調べてみたら、
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み‐おろ・す【見下ろす】
《他五》
(1)高所から下の方を見る。俯瞰ふかんする。(用例省略)
(2)見さげる。あなどる。見くだす。(用例なし)
み‐くだ・す【見下す】
《他五》
(1)下の方を見る。みおろす。
(2)あなどって見る。みさげる。さげすむ。「人を―・した態度」
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と、「みおろす」の(2)に用例がなかったり「みくだす」のほうに「みおろす」という言い換えがないものの、ほとんど同じ内容。こういうもんだったかな、と新明解国語辞典(初版十八刷、昭和四十七年)を見ると、
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み おろ・す(0)【見《下ろす】(他五)(一)高い所から下の方を・見る(見渡す)。(用例と反対語省略)(二)そのものの上の方から次第に視線を下の方へ移して行く。(可能形と名詞形省略)
み くだ・す(0)【見下す】(他五)相手を軽んじた態度で見る。(用例なし)(可能形省略)
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これはひょっとして最近そういう使い方がでてきたのかと新明解国語辞典第四版(一九九一年)をひいてみたら、
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み おろ・す(4)(0)(3):(3)(0)【見下(ろ)す】(他五)(一)高い所から下の方を・見る(見渡す)。(用例と反対語省略)(二)そのものの上の方から次第に視線を下の方へ移して行く。(用例省略)(三)見くだす。(名詞形省略)
み くだ・す(3)(4)(0):(0)(3)【見下(だ)す】(他五)相手を軽んじた態度で見る。(用例なし)
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これで決まりかと思ったものの、念のために昭和十八年刊の明解國語辭典の復刻版(一九九七年)で確認。
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み−おろ・す(0)【見下・瞰す】(他四)(一)下を見る。(二)みくだす。
み−くだ・す(0)【見下す】(他四)侮り見る。みさげる。
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うーん、いったい新明解国語辞典の初版になにが起こっていたのでしょう。
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00/04/08 |
お釈迦様、お誕生日おめでとうございます。
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『理由は聞くな。大人なら』(いのうえさきこ、ソフトバンク パブリッシング)読了。
『月刊 DOS/V magazine』連載の漫画をまとめたもので、方向としては西原理恵子系。内容がおもいきり濃くて、ツボにはまると爆笑。小ネタだと「2001年宇宙の旅」と「平成13年宇宙の旅」を並べたり「タイタニック」と「炊いた肉」を並べたり、「羽生対マングース」など。
細かいところにまでしゃれがこめられていたり、書き殴ったような文字の配置がおかしみを誘いつつも読みにくく、またシチュエーションを自然に読み込ませるような構成になっていて、とにかくおもしろいものの読むのに時間がかかるしなにしろ疲れる。
でもその労苦に見合うだけのものは与えてくれるので、気力体力に自信があってなおかつプライバシー切り売り型の刹那的ギャグに耐性をお持ちのかたはお試しください。
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00/04/10 |
しゃれにならないような土砂降り。前の道が川になってます。
雨がやんで風がでてきたら今年の桜も終わりかなあ。
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紹介しようと思っているうちに「天声人語」に先をこされてしまいましたが、朝日新聞名古屋本社版社会面に「口笛」という欄が不定期で掲載されています。取材や投書の中のいい話を拾いあげてまとめたもので、先日100回目を迎えたそうです。
名古屋の護国神社が創設100年の記念碑を建てようとしたものの、最初あった場所には今カトリック系の教会が建っている。意を決して教会にお願いしてみると快く応じてくれて、カトリック教会の敷地の中に神社の記念碑が建つことになった、という話がちょっと前に紹介されてましたけど、先日その続編が載っていました。
七十年輩の女性が、まつられている戦争犠牲者の兄にバレンタインのチョコレートを供えにきたそうです。兄はそういうものは知らずに死んでいったはずだからきっと喜ぶだろう、と。
応対した巫女さんもためらいなく受け取り、神事の時には御神酒などとともにチョコレートも三宝に乗っていて、
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その前で神職らが祝詞をあげ、神楽を舞った。
聖バレンタインは当然、神社にはまつられていない。でも、問題じゃあない。宮司さんだって毎年みこさんたちに「義理チョコ」を五つほどもらっているのだ。
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ことに最近は息の詰まるような記事の多い社会面にこういう一服の清涼剤のような話が掲載されるのは読者にとっても息抜きのような効果があるようで、なかなか評判もよいということです。
ただ、よくいわれる「犬が人を噛んでも記事にならないが、人が犬に噛みついたら記事になる」の法則(?)でいくと、こういう話が多く載るようになったら世の中要注意なのかもしれません。
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このところやけにアクセスが増えたと思ったら、愛・蔵太さんのところからリンクが。
リンクされたことよりも、おもしろく読んでいただけているようなのを嬉しく思います。よろしければこれからもお立ち寄りください。
それはさておき、このアクセスの急増によって、ウェブサイトは一部の人気サイトと大多数のマイナーサイトで構成されているという愛・蔵太さんの説を改めて実感いたしました。
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00/04/12 |
『ワードを捨ててエディタを使おう』(鐸木能光、SCC)をようやく発見。
くそ重たいワードプロセッサなんかとっとと捨てて、軽快なエディタでちゃっちゃっと文章を入力・編集しよう、という趣旨の本ですが、意外なことにというか案の定というか、Microsoft-Word の解説本のコーナになかよく並んでいました。
しかし、『書を捨てよ、町へ出よう』だったっけ、もうそろそろ知ってる人も少ないような。
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『真ゲッターロボ(1)』(永井豪原作、石川賢作画、双葉社)、
『鬼太郎のベトナム戦記』(水木しげる、文藝春秋)、
『競売妨害』(夏原武、宝島社新書)、
『クジラは食べていい!』(小松正之、宝島社新書)など。
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00/04/14 |
『電脳社会の日本語』(加藤弘一、文春新書)読了。
日本での電子テキストの根幹をなす日本語文字コードを、国際的な成立過程や明治以降の日本の国語政策まで含めて詳しく解説した本。こうしてここを読んでいるあなたにも無縁ではありません。パソコンでの日本語表記について少しでも関心があるなら読んでおいて損はないかも。
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文字コードをめぐる問題は情報通信技術の根幹にかかわる問題であるのに、一般にはあまり知られていない。知っているという方も、漢字がたくさん出せるかどうかの問題だろうぐらいの認識にとどまっている場合が多い。
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すんません。それに毛の生えたようなもんでした。
いちおう日本語文字コードの歴史書という位置づけのようですが、83JIS の「暴挙」や先日発表された JIS第三水準・第四水準の問題点、UNICODE の問題点、「超漢字」の缺陥などなどがていねいに説明してあります。
本が見つからない、とりあえず概要を知りたい、とおっしゃるかたは、ほら貝の文字コード問題を考えるをごらんください。
にしても、文字コードが過去を引きずること、MS-Windows の比ではありませんね。もっとも、いきなりコード体系が変わってしまったら、へたをするとたとえば今現在インターネットで流通している情報もすべて反古になってしまうわけですからたいへんな話ではあります。せめてインターネットが普及する前に大改革を行っていれば、とは思うものの、私自身インターネットの普及でこの問題を知ったわけだし、困ったもんです。
ところで、内容とはあまり関係ないのですが、もうすこし愛想のいい文章で書いてほしかったなあ。ちょっと読むのがつらくなることもある文体でした。
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最近すこし気になるのが「天敵」。
先日も、テレビ業界の裏話を紹介してなかなかおもしろいあるサイトの日記で、大手の芸能事務所所属のモデル・M の「天敵」として小さな事務所所属のモデル・C が登場。
C を快く思っていない M が衣装のことで C を攻撃したものの不発。そのあと、スタジオでちゃっかり中央の席に陣取った C が事務所の力関係をおもんぱかったスタッフに追いやられ、かわりに M がまんなかに。
「あんなCには負けてらんないわよ」と勝ち誇る M ですが、さて、このばあいどちらがどちらの「天敵」なのでしょう。ふつう、ある生物はその天敵には勝てないのですが。
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巷ではやりのちょんまげ占いをやってみました。結果は「仕事人」でした。
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NHK の「ニュース10」で堺屋経企庁長官が「次のバッターがそぶりをやっている状態です」
「素振り」の読み方を知らない素振りなのでしょうか。それとも本気?
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00/04/16 |
石原都知事の「三国人」発言騒動について、こちらの「本棚」に解説がでてますね。同所の掲示板にも参考意見が。
問題のありそうな単語を発言するほうもするほうなら、別件まで含めて切り貼りした記事を書くほうも書くほう。全体を見渡して、問題が那辺にあるか判断したほうがよさそうです。
ちなみに、「三国とは伊豆,駿河,遠江を意味する」などと言い逃れすれば面白かったのに、という意見もほかのところで読みましたが、いっそ「三国とは天竺・震旦・本朝のことである」とすれば、「世界中の人々」ということになってわけへだてがなかったのに。 |
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名古屋の五千万円恐喝事件に関連して、きのうの中日新聞に中学生の子供を持つ主婦からの意見が掲載されていました。問題が顕在化してから「学校は何をしていた」とか「茶髪指導はやっているのか」などという親の子供が、結局はこういう問題を起こすのだろう、と。
学校では定期的に身なりの検査や指導を行っているし、親も知らない子供たちのたまり場まで把握しているそうで、懇親会や学校行事などで年に何度でも親が学校へ行く機会もある。なのに親が「学校はなにをしてる」などというのは学校へ行って教師と話をしていないからだ、という趣旨。「ほんとに来てほしい生徒の親ほど来てくれないんです」というのが現場の教師の嘆きだそうで。
たとえ読者からの意見という形にせよ、これまでは読者たる一般家庭に遠慮して家庭を悪者にする報道をしてこなかったといわれる新聞というメディアとしては英断なのかも(学校や企業の場合、悪口を書いても新聞購読を中止するところは少ないのだとか)。拍手。
と思ったら朝日新聞でも、被害者の生徒が入院先で知り合った人たちに真相を打ち明けた話を紹介し、自分たちでも真相を聞き出すのに一日中いっしょにいる環境で一週間かかったのだから学校や警察では難しかっただろう、と弁護する発言を載せてますね。
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YOKOさんからの情報で、『古今東西噺家紳士録』(発売・丸善書店)という CD-ROM を購入。けっきょく名古屋の丸善書店でようやく発見しました。情報感謝。
中身は、SPレコードから物故噺家230名以上・約250席・総時間2780分の落語を完全収録(出囃子検索、SP落語音源総目録検索なども可能)、系図・芸名・改名から噺家を検索、ビジュアル落語事典など。
当分楽しめそうです。
ところで、先日の朝日新聞の投書欄に老人からの投書で、今の若者の言葉はわからない、として、例として携帯電話の「ええ、マジかよ? それマジ?」というあいづちをあげているという話で、あいづちだけで内容が理解できるわけない、という一件ですが、きょう名古屋に出たときに実際にすぐそばで聞く機会があったものの、ほかにもいろいろしゃべっていたけど「それマジ?」ぐらいしか理解できませんでした(とほほ)。
ということで、その老人もたぶんほかの部分はちんぷんかんぷんだったのであいづち部分しか紹介できなかったものと想像いたします。
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本日のテーマは「弁護」でした。
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00/04/18 |
せっかく見つけた『ワードを捨ててエディタを使おう』(鐸木能光、SCC)ですが、残念ながら閲読放棄。Windows 用のオンラインソフトを勧める本を書いて商売していながらあまりにどぎつい Windows 批判を続けるので、読むのがいやになってしまいました。
たとえば「入門編」で Windows98 に含まれる SCRIPT.DOC というファイルを取り上げ、Microsoft のワープロソフト用のファイルなので、テキストエディタで開いても中身が読めないことを説明したあと、
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Wordを持っている人なら、この文書をWordで開いた後に、テキスト形式で保管し直すことができる。(略)
説明するまでもないだろうが、これはMicrosoft社の策略なのだ。(略)自社のワープロソフトでしか読めないファイルをWindowsというOSの中に入れているということは、Word形式をデファクトスタンダード(事実上の標準)にしたいがための戦略なのだ。
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と、いかにも Word を使わなければこのファイルをあつかうことは不可能のようなものいいですが、「初級編」では一転してこのように書いています。
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Wordをインストールしていないパソコンでは、前章で紹介したWindowsのフォルダにあるSCRIPT.DOCをクリックすると、このワードパッドが起動して開いてくれる。(略)面倒な人はこれ(引用者注:ワードパッド)をエディタ代わりに使ってもいいだろう。ただし、ファイルを保存するときは「テキスト形式」で保存するようにしよう。(略)
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つまり、「Wordを持っている人」でなくても SCRIPT.DOC を「テキスト形式で保管し直すことができる」わけです。
まあワードパッドもMicrosoft社製のワープロソフトだから「自社のワープロソフトでしか読めないファイル」というのは間違いではありませんが、それならなぜ OS に標準でついてくるソフトでもこのファイルをあつかえることを「入門編」のほうにも書かないのでしょう。「説明するまでもないだろうが、」それを書いてしまってはこれをMicrosoft社の「策略」だの「戦略」だのときめつける根拠が薄弱になるから。
Microsoft 社にまったく問題がないなどとはこっから先も思ってはいませんが(と、小指の先端を親指の爪で突っつく)、ここまであからさまな書き方をされると一気に興ざめ。CD-ROM だけ有効利用させてもらいましょう。
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ええと、中日の開幕からの勝ち負けの並びは、きょうまでのところ88年に優勝したときとまったく同じなのだそうです>朋輩
ちなみに、海底から引き上げたエンジンを調査して、失敗の原因をかなりつかんだようです>純国産技術のロケット
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三木助の「芝浜」、金馬の「孝行糖」、圓生の「紺屋高尾」、可楽の「らくだ」、志ん生の「火焔太鼓」、文楽の「明烏」……これがぜんぶ QuickTime で再生可能。ああ、しあわせ>古今東西噺家紳士録
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00/04/19 |
『競売妨害 実録!ある占有屋の人生』(夏原武、宝島社新書)読了。
バブル時代には不動産ブローカーをやって我が世の春を謳歌していたもののバブル崩壊を機に転落、多額の借金を背負い、家庭の崩壊を経て社会の闇から闇を渡り歩く占有屋となった男を描いた社会派ドキュメンタリー。
これがひとりの人間のやってきたことかと思うぐらい、まあさまざまな「物語」が次から次へと登場、読みやすい文章ともあいまって後半三章分は一気に。
もって生まれた性分ややってきた仕事の影響もあって自業自得の部分がないともいえないし、やっていることが法律すれすれの危ない行為ばかりとはいえ、男がバブルとその崩壊の犠牲者であることに間違いはなく、男のシノギが社会という巨大な相手に対して蟷螂の斧をふるうがごとき印象を与えるのは著者の筆力のなせるわざでしょうか。
そんな「ほろ苦い」話が続く中、男が家出した長女とビデオを通じての「再会」に涙するくだりには、社会的に見て許せないような行為を繰り返すこの男にも人間らしい気持ちが残っていたのだと安堵感を覚えてしまいました。
返すあてもない多額の借金が時効をむかえる日までは男に安らぎが訪れることもないでしょうが、陽の当たる場所の近からんことを。
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再来年の NHK 大河ドラマは「利家とまつ」。加賀百万石を舞台にした前田利家夫婦の物語だそうな。うわさに聞いていた地元の大河ドラマ誘致運動が実を結んだということでしょうか。
個人的には、前田利家役でこれまでいちばん印象に残っているのは藤田まことが足軽と織田信長の二役を演じる「てなもんや一本槍」(「てなもんや三度笠」の後番組)に出てきた前田カバ千代。
のちに竹中直人主演の大河ドラマ「秀吉」で渡辺徹が前田犬千代役になったとき、きっとプロデューサがカバ千代のイメージで配役を以下略。
さても主演が誰になるか興味が尽きぬことであるよ。
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下忍さんのところで紹介されていた禁煙を奨励するこちらのサイトにこういう話が。
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このページを見て憤慨する愛煙家の方もいるでしょう。しかし、考えてみてください。なぜタバコは20歳以上でないと吸ってはいけないのか。健康の問題もありますが、最も重要なことは「自分の行動に責任を持てる」年齢まで吸ってはいけないということです。
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私の知っている話では、たしか日本では最初に明治政府が未成年の喫煙を禁じたはず。その理由はまあ健康問題といえば健康問題なのですが、真のねらいは未成年者が喫煙によって健康を害すると兵力が弱まってしまうのでそれを回避すること。早い話が富国強兵策の一環だったわけです。
したがいまして、喫煙奨励は反戦運動と等価であり、重爆ヘビースモーカーこそ「真の平和主義者」と呼ぶにふさわしい人格者といえましょう(嘘)。
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00/04/20 |
まあ住んでる場所が場所ですから、特に興味がなくても地元紙や地元ラジオ局などが景気づけにこの説をとりあげてるのを自然に見聞きする仕組みができあがっているようです。>ドラゴンズの勝敗順が88年優勝時と同じ>朋輩
で、地元ラジオ局のアナウンサー宣わく、「このまま88年と同じ道筋をたどり続ければ、今年はドラゴンズの優勝です」。
年間130試合で引き分けあり、という道筋はもとよりたどるべくもあらず、ついに88年と違うパターンに>きょうのドラゴンズ
本日発売の『週刊コミックモーニング』(講談社)に掲載された「野球狂の歌・平成編」(水島新司)でドラゴンズが女性ピッチャーにしてやられたのも影響したかも。
で、引き上げられた純国産ロケットのほうですが、あの無惨な結果を見、こうして原因がある程度つかめたあとであれこれいうのは簡単です。でも、「現にうまく稼働してきたものに手を入れるのは禁物」という現場の判断はよ〜く理解できます。これはパソコンにも敷衍できることだというのは最近パソコンを新調されたあるかたの苦闘ぶりをつぶさに見ていれば中略。それ以前にさるパソコンの大家のレポートをずっと読んでいれば後略。
ところで、またロケットの調子が悪くなっているようですね。一度沈んで引き上げたエンジンを使ってるみたいだし。手直しは終わっているのでしょうか。しかも引き上げたときには美人の補助ロケットが横っちょにくっついていたり。
まさか、よけいなところで燃焼しすぎて肝腎のところで以下略。
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古今東西噺家紳士録に「古今東西噺家紳士録[寄席一五〇年]」という明治以降の落語の歴史を書いた冊子がついているのですが、、刺身のつまかステーキの付け合わせかカレーライスの福神漬けぐらいに思っていたらなかなかどうして、これ単体でもほしくなるぐらいの内容です。
古谷三敏の『寄席芸人伝』という漫画にも登場するステテコの圓遊とか電気踊りなどもその時代の雰囲気とともに伝えられているし、大阪のお笑いの世界での吉本興業発展の基盤なども語られている。三遊派と柳派の反目のくだりなんか、実に興味深い。
まあほんとの通人なら常識なんでしょうけど、私のような半可通にはとても楽しめる本です。
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00/04/23 |
きょうのNHK総合テレビ「クイズ日本人の質問」(どこかに「新」が入るはずだが、「日本新人」と「新質問」はないと思われる)では、自転による遠心力の関係で北海道と沖縄とそのほかの地域では体重計の表示に違いがあることが紹介されていました。そういえば、地球自身も赤道のあたりがふくらんでるんだっけ。
北海道で買った体重計を沖縄に持っていけばそれだけでも少し軽く表示されるそうですから、ダイエットで苦労されている方はいちど試してみてはいかがでしょうか(無意味)。
で、その質問の前座として使われていたのがカップ麺の「東日本向け」と「西日本向け」。まったく同じ商品名ですが味付けが違うんだそうで、YOKOさんのサイトの「風鈴’あらうんど」に詳細なレポートが掲載されています。
先日神戸のほうに出張に行ったときにコンビニで「きつねどん兵衛」を調べてみたところ、内容や製造元の欄のそとには「W」と表示されていました。これが西日本向けですね。ところが、愛知県に戻って確かめてみると、表示は「E」でした。
日清食品と講談社とでは見解が違うようです。
ちなみに、「E」と「W」の境界は岐阜県の大垣市あたりだとか。
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18日分で書いた『ワードを捨ててエディタを使おう』(鐸木能光、SCC)に関連して、夏原武さんが4月22日付けの日記で、使用感においても営業的にも「ワードを捨て」ることはできない、と長文も書くことの多いライターの立場から書いておられます。
けっきょく今の段階で「原稿ファイルを出版社に渡してそれを刊行する」という目的には、そのまま版下にするにしても編集部で加工するにしても一番普及しているしあるていどの性能のパソコンなら使用感に問題のない MS-Word を使うのがもっとも現実的選択ということでしょうか。相手がプレーンテキストを望むならテキスト保存すればいいだけだし。
たしかに『ワードを捨てて――』でも触れているように MS-Word のファイル規格が100年持つかどうかは定かではありません。でも、じゃあテキストファイルは100年持つかというと、これも『ワードを捨てて――』でも触れていますが、MS-DOS(=MS-Windows)と MAC-OS、unix でそれぞれ改行コードが(あーフィリョがバンナに負けたー)違っているし、MAC-OS ではさらにファイルの頭にバイナリ情報が付いているしで、どれが普及するかによっていろいろ変換が必要になります。
さらに今後の文字コードの世界的趨勢によっては現在の日本語テキストファイルが変換なしには使えなくなる可能性だってないわけじゃないのだから、プレーンテキストだから大丈夫、といえるのは今の時点ではせいぜい英語ぐらいでしょう。それもアメリカがこけたらどうなるかわかったもんじゃないし。
文字コードといえば、最初に『ワードを捨てて――』をぱらぱらっとみたときに、その国で使うぶんには unicode の漢字統合でじゅうぶんだから文字コードは unicode で国際的に統一すればいいと書いてありましたが、じゃあたとえば日本語の文章の中にハングルや中文を引用するときにはどうするのでしょう。当然ですがテキストファイルにそれらの文章のスキャン画像を貼り付けることはできません。MS-Word や一太郎ならできるんですけどね。
まあ unicode でもサロゲートペアを使って文字拡張することになったようですけど、さて、今後のテキストファイル、いったいどうなりますか。
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しつこく古今東西噺家紳士録の話。
きょうは昭和52年録音の古今亭志ん好の「長持」と昭和5年録音の初代桂春團治の「阿弥陀池」を聞いたのですが、「阿弥陀池」のほうがプツプツとレコードノイズが乗りながらも噺自体は明瞭に聞こえるのに対して、「長持」は声が割れてしまっていてぜんぜんまともに聞こえない。
たしかに QuickTime の圧縮による音質の劣化はあるでしょうけど、昭和52年より昭和5年の方が聞きやすいのでは、圧縮と無関係に原盤による善し悪しというのもありそうです。
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00/04/25 |
近所の公園の里桜が満開。躑躅や藤も咲きだしました。
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考えてみれば、私も説明書や手順書など長めのものを書くときは MS-Word を使いますね。表や図をレイアウトを見ながら確認できるからというのもありますが、文章だけのばあいでもアウトライン機能で全体が見渡しやすいし目次もコマンド一発で作れるし。
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NHK「ニュース10」のスポーツコーナー、セ・リーグの某チームと某チームの試合の紹介で、白熱の攻防を評して「互いに最下位を譲り合う両チーム」。
うーむ、あれは譲り合う姿でしたか。押しつけあってたわけじゃないのね。
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『自衛隊遊モア辞典』(財団法人防衛弘済会(セキュリタリアン誌)編、講談社)、
『図解雑学 フェルマーの最終定理』(富永裕久、ナツメ社)、
『エイリアン永理』(吾妻ひでお、ぶんか社)、
『おさなづま(3)』(森高夕次原作、あきやまひでき作画、双葉社)など。
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