とぜんそう2000年3月分

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00/03/08

暖かい日が続いたのでこのまま春本番かと思ったら、今夜はまた雪がちらついてきました。三寒四温なんて言葉がありますけど、これだけ落差が大きいとたまりませんね。


疲れが頂点にきているのか、朝、顔を洗っているときに歯ブラシを取り落としてしまいました。

運悪く足の甲を直撃し、2時間ほど足がうずくはめに。

いえ、べつに経絡秘孔を突いたわけではありません。落としたのが乾電池の入った電動歯ブラシだっただけのことで。


マライア・キャリーが日本公演の途中で洋画のDVDビデオと猫を購入した、とラジオが伝えてました。

アナウンサーたちは、日本語の字幕の入ったDVDなんかどうするんだなどと笑っておりましたが、洋画だったら字幕を消して英語の音声だけで鑑賞することは可能でしょう。

それよりも、気になったのはリージョンコード。DVDプレイヤーとDVDビデオのディスクには特定地域に割り振られたコードが仕込まれていて、そのコードが一致しないと再生できないようになっています。で、アメリカと日本ではおもに営業的理由でリージョンコードが違っているのです。

マライアが買ったディスクはそのまま持って帰ってもむこうのプレイヤーでは再生できないはず。28万円分ものディスク、日本で見るだけ見てぽい、なのでしょうか。

まあ機種にもよりますがリージョンコードを無効にする方法もあるという話ですし、いっそ日本国内向けのDVDプレイヤーごともって帰るという手もあるんですけどね。

ひょっとして、ファンかスタッフからプレイステーション2をプレゼントされて、それごと持って帰るのかも。

00/03/09

(前回までのあらすじ)
『文學会2月号』に「文学は書字の運動である」というワープロ・パソコン批判が掲載されているという朝日新聞「閑話休題」の情報を元に図書館で調査を開始したものの、閉館のチャイムで作業を中断せざるを得なくなった。はたしてその先にはどのような論理が展開されているのであろうか。
というわけで先日の続きを読んでみたのですが、いきなり後悔してしまいました。あとほんの1ページだけ読んでいたら、この文章がどういうものかほぼ明らかになっていたのに(まあ風邪の発熱のくだりであるていど予想は以下略)。以下、殷の時代にワープロがあったら、の続き。

 また、漢字を伴った漢語が日本に伝わった時代に文章作成機ワープロがあったとすれば、平仮名(女手)は生れず、そこには日本語も日本も生まれてきはしなかった。なぜなら、書くことを通じて漢字が変化し、平仮名(女手)が生まれ、日本語や日本文化が姿を現したものであるからだ。


どうもこのかたはたとえば万葉集がどういう文字で記されているかをご存じないようですね。万葉仮名を知っているだけでも平仮名出現以前の日本にすでに日本語も日本文化も姿を現しているのがわかるのですが。

それに、漢字の書体の変化を阻むことになったのは技術的に見ればワープロやパソコンではなくて印刷用の活字でしょう。制度的には康煕字典やら国語改革やらいろいろありそうですけど。

それはそれとして、ワープロ・パソコンへの非難はなおも続きます。

 さらに、文章作成機ワープロを使い始めた大人が「漢字を忘れ」「漢字を書けなくなる」ならば、教育途上の子供たちは「漢字を覚えない」「漢字を使えない」ことになり、漢語と和語とからなる日本語の語彙の急速な減少と表現力低下が始まる。否、すでに始まっている。近年伝えられる大学生の学力低下の背景には、文章作成機ワープロ個人用電子計算機パソコンの使用の問題も大いに関係している。


教育関係へのパソコン導入はつい最近なのに早くも大学生の学力低下に影響が表れていると断定するからにはよほどの根拠をお持ちなのかと思ったら、どのような因果関係にあるかには触れずに、話はさらにエスカレート。

(略)最近の陸続する怪奇な事件の因を文章作成機ワープロだけに帰することはできないが、文章作成機ワープロ個人用電子計算機パソコン、携帯電話等、いわゆる情報化社会の中で、抑圧され、圧殺され続ける全身体=無自覚の意識の反乱であることについては間違いはない。


「情報化社会」とくくってしまってワープロやパソコンのどのような点がどう影響してどういうことが起こっているのか明らかにしないあたりがすてきですね。

詳細は省いたままワープロやパソコンは表現と教育と家庭から放逐すべし、と結論付け、なぜこれらが蔓延するのかを解説しています。

 文章作成機ワープロ個人用電子計算機パソコンが、教育の現場や家庭やさらには文学表現の場にまでやすやすと入り込むのは、「文章作成機」と翻訳せず、また「ワードプロセッサ」を「ワープロ」と変えるのは、「ヤマモト」「サイトウ」式の四音の安定した形で日本語が受けとめるためである。
「文章作成機」や「ワードプロセッサ」とすれば、民衆の日常不断の生活や、初等・中等教育の現場では、「そのような難しいものは不要」、あるいは「文章を書く機会は少ないから不要」、あるいは「文章を手で書く機会が減るから使わない」というような反応も生じようが、「ワープロ」「パソコン」といわれると、その機械の本質や機能に対する深い考えもなく、花見や紅葉狩りに出かけでもするように、他人に遅れじと購入するということになるのである。
 文章作成機やワードプロセッサの「ワープロ」式の三音、四音の安易な導入という異様な事態は、日本語圏にしかない。日米欧に向けたロボット犬「AIBO(アイボ)」に対する予約応募者の中で、日本が九七%と突出していたことは、日本語の現代商品への無防備性を証している。


なるほど、三文字や四文字だと本質に関係なく受け入れられるなら、「ヤマト」や「ガンダム」が評判になって「ブルーノア」がコケたのも合点がいきますね。名前が難しすぎたんだ。フードプロセッサは「フープロ」、ガスコンロは「ガスコン」とすればもっと売れるかも。

このあと、ここまで断定するからにはきちんと説明しなければ、と、平仮名は縦に続け字するために変化した文字だとか、横に続け字するとどうなるとか論じ始めるのですが、いかんせん、前半が強烈すぎて読み続けること能わず、というていたらく。

大意としては、どうやらこのかたのいう「日本語」とは、漢字と仮名の交じった「文字」のことであり、それはひらがなの続け字を考えれば縦書きでなければならない、ということのようです。音韻や原日本語に関する記述もありますが、ばらばらだった各地域の方言が漢字仮名交じり文によって日本語として統一された、という主張。

たしかに漢字には文字自体が意味を持つという利点があります。たとえば、いとしいいとしい、とつい言ってしまうような心持ちが「恋」なのだなあ、とか、きにかかるにかいの女の人は「桜」さんだ、などと字を見ただけでわかってしまう(意味不明のかたは旧字体を調べましょう)。

反面、読み方がわからないと「『たいらばやし』か『ひらりん』か『いちはちじゅうのもーくもく』『ひとつとやっつでとっきっき』」と呼ばわりながら平林さんをさがすような羽目にもなってしまいかねない危うさも持ち合わせていますけど。

冗談はさておき、さっきも触れた万葉仮名あたりからも考えられるように、もともと日本語というか「やまとことば」というものは漢字抜きで発達したものでありましょう。あるていどできあがりつつあったところに漢字が導入されたので今日の形態になったものの、もし漢字の影響を受けていなかったなら、やや冗長かもしれないけどもそれはそれで味わいのある言葉に発展していったかもしれないものです。と、これは『寝言も本の話』(高島俊男、大和書房)からの受け売り。

やまとことばに漢字の音だけを当てはめる手法が成立したということは、記号のたぐいはともかく、日本にはそれまで明確な文字がなかったということなのでしょう。つまり日本語は話しことばとして発達してきた言語だということです。

となれば、思考も話しことばで行われるのが自然であり、「雨が降る」と手で書く前に「あめがふる」と頭の中で「しゃべって」もなんら不思議はありません。さらに、ひとたび指が覚えてしまえばローマ字なり仮名なりをキーボードで打つのには手で書くほどのてまもかからないし、推敲にしたって消しては書き消しては書きするよりもはるかに効率よく行えます。

そして、話しことばとしての日本語の特徴として、少しばかりややこしい漢字も読み方がわかれば意味が通じてしまうということがままあります。たとえば「欠伸」や「嚔」もどう読むかわかれば辞書など引く必要はありません。

逆にいえば、頭の中で「しゃべった」仮名を、辞書・字典などを引くこともなく必要な漢字に置き換えてくれるワードプロセッサ(かな漢字変換ソフト)は、いわばことばのデータベースであり、使い方さえ間違えなければ非常に重宝する思考補助「道具」だと考えるのですが、いかがでしょうか。


反応が遅くなってしまいましたが、忙しさが解消したら行きたいとおっしゃる南の島はひょっとして渡鹿以下略>朋輩

00/03/10

いつも楽しませてもらってる日本の標準ですが、先日の葛飾区の「葛」をどう書いているかというテーマは忙しさに紛れて参加できませんでした。残念。

で、肝心の表記なのですが、『JIS漢字字典』(芝野耕司編著、日本規格協会)49ページのコラムによると、三十数年前、葛飾区役所内で区の名前に複数の字体が使われていると讀賣新聞に投書があり、讀賣新聞が葛飾区役所に取材にでかけ、「勹」の中が「ヒ」、「L」+「人」、「L」+「メ」のみっつの字体を発見したそうです。それを区役所の人に問い合わせると、「それはまずいですね。当然、正字に統一すべきでしょう」と答えたといい、以来葛飾区の「葛」の字の「勹」の中は「L」+「人」となったそうです(便宜上、上の文章では「葛」の字はJIS19-75を使いました)。

ということで、たしかこれまでの人生で一度も手書きしたことのない「葛飾区」ですが、書くとしたら「勹」の中は「L」+「人」です。


これも日本の標準ねた。

ちょっとまえにいくつからが「いい年をした人間」かというテーマがあったのですが、それが締め切られた直後だと思ったけど、こういう新聞記事をメモしたのをすっかり忘れてました。たぶんインターネットのニュースサイトで見かけたものです。

「いい年して…」にキレて刺殺
取引先男性と口論、包丁で刺す


 その一言がなければ・・・という事件が4日夜、神奈川県相模原市で発生。神奈川県警相模原署は、冷凍食品問屋経営****さん(41)を包丁で刺して殺害したとして、殺人容疑で同市相模原、輸入雑貨食品販売会社経営、****容疑者(47)を逮捕した。
(中略)
 同容疑者は調べに対し、「日ごろから**さんからバカにされ恨みに思っていた。きょうも『いい年をしてこんな仕事しかできないのか』となじられ憤慨して刺した」と供述、容疑を認めているという。


うーん、口は災いの元を地でいってますね。鶴亀鶴亀。これですこしは中和できたかな。

00/03/23

とあるサイトに、イギリスに住む夫婦のところへ日本から母親が訪ねたとき、頼んでおいた日本のいとこのメールアドレスのメモを夫婦が受け取ったところ「○○市○○町」と書いてあった、という逸話が紹介されてました。

どうやら母親が「メールアドレス」を勘違いしたといいたいようですが、イギリスで「メールアドレス」ならそれはそれで正しいような。


「医療周辺のやぶにらみ」「何かが変だ」に「携帯電話の不思議」 として以下のような文章が。

 病院の中や電車の中で、携帯電話が発生する「電磁波」のために、コンピューターが狂ってしまうなんて、まことしやかに言われていた事がありました。でも、これは嘘だと皆すぐに気が付きました。だって「モバイル・コンピューター」が流行りだして、ノートパソコンを携帯電話に接続して使う、なんて事が当たり前になってしまったからです。誰も携帯電話くらいでコンピューターに異常をきたすなんて思わなくなってしまいました。


東芝の Libretto70 に携帯電話をつないで商用BBS やインターネットプロバイダに接続するとマウスカーソルが勝手に動いてしまうという現象を知っている私には、とても嘘だとは思えない話なんですけどね。

少なくとも、電磁波が電子機器にいっさい影響を与えないというのを信じるわけにはいきません。

ではもうひとつのタバコの話はどうかというと、身内の某医学博士に聞いてみたところ、「タバコを吸う医者」は必ずそう主張するそうです。

たしかにタバコと発癌性に関してはそこに書かれているとおりなんですが、それ以外の血管の収縮などは実際に起こるんだそうで、痛んだのどによろしくないというのもまた事実。私自身、かぜをひいて気管支炎を併発したためにタバコを吸うのがいやになってしまってタバコをやめたという「落伍者」だし。

まあ周囲に気を配ってほどほどに、というところでしょうか。


コンビニで冷えたビールと熱いお茶を買ったところ、ビールとお茶が仲良く並んで袋に納められていました。あわててお茶を袋から出して店員の女の子をにらみましたが、この人なにをあわててるんだろ、という顔つき。

おかげさまで、お茶で舌を焼いたりビールで腹を冷やしたりせずにすみましたとさ。


書店で立ち読みしてると、関西限定を謳っている『ヤングマガジンKANSAI』という増刊号が目に留まりました。

講談社では愛知県を関西と認識しているようです。

00/03/28

ようやく仕事がひとつかたづいて、ちょっと時間に余裕ができそう。

てなことで、こちらで紹介されていた『戦空の魂』(天沼俊、集英社)を一日一二冊ぐらいのペースで読んでます。現在4巻まで。

じつは、最初の一話を読んでちょっと違和感(ざわっ)を覚えてしまいまして。まあそうたいしたものでもなくて、なんといいますか、先日NHKで現代の若者が二二六事件の時代にタイムスリップする、みたいなドラマをやってたのですが、その中で大きな洋館の使用人の若い娘が「うれしいです」と、つい最近まで小学生か中学生ぐらいが言い回しを思いつかなくてとりあえず「です」をつけとけば丁寧に聞こえるだろう、てな場面でしか使わなかったようなせりふをしゃべってるのを聞いたときの、といえばおわかりいただけましょうか、という程度のものなんですけどね。

まあこんなものかな、などと思いながら続きを読んでいったわけですが、いやあ、漫画で涙ぐむなんて久しぶりでした。ご紹介感謝します。


そのタイトルをはじめとしてさまざまな話題を提供してくれていた朝日新聞の連載コラム「閑話休題」が先日の日曜日の分で連載を終了。

余談をやめて本題を語っていたこのコラムを終わらせてしまったのでは今後の朝日新聞は余談だけということになってしまうんだけど、いいのかなあ。

朝日新聞といえば、先日の「論壇」にこんな記述が。

 我々の祖先は中国から漢字を借用したものの、そこから長い年月をかけて万葉仮名、ひらがな、カタカナと変形し工夫を凝らして、中国語と語順も全く異なる日本語を見事に創造してきたではないか。


英語を公用語に、という政府の意見に対して、もっと日本語を大事にしなくては、と主張しているかたの意見の中にでてきたのですが、なんだか中国語が変化して日本語になったとでもいうようなこういう書き方の方がよほど日本語を軽んじてるような。

日本語が漢字の変形から創造したものであるなら、訓読みってのはいったいどこからでてきたんでしょうね。

00/03/29

『恋は肉色』(菜摘ひかる、光文社文庫)読了。

『週刊宝石』に連載していたエッセイと著者本人が連載当時書いていたウェブ日記をあわせたもので、両者を対比させるとおもしろさもひとしお。ちなみに肉色とはこんな色です。

『風俗嬢菜摘ひかるの性的冒険』(洋泉社)で家を出て文章や漫画もこなしつつ風俗の世界を渡り歩くようになるいきさつを語り、『池袋イメクラ日記』(二見書房)でその華麗なる(?)風俗嬢生活を描き、今回この『恋は肉色』ではソープ復活から風俗引退までの日々をつづっています。

この人の書いたものを読んでときどき感じるのは、昔ふうにいうならインクのかわりに血で記されているんじゃないかと思えるような痛いたしさでしょうか。からだの一部を切り取って差し出されているみたいな思いをいだきつつも、目を離すことができない。

まあそれが本人のねらいなのかもしれないので、あまり深読みしすぎてもしかたがないんですけどね。でも、サイトの更新チェックをみてはまたのこのこと日記を読みにいってしまいます。

心に傷跡を残すのが文学であるなら、この人の書いたものは紛れもなく文学です。

そうそう、ずいぶん遅くなってしまいましたけど、約束のものをまとめました。おおさめください。

00/03/31

知人宅でパソコンボランティア。パソコン保有歴は長いものの、使用歴はごにょごにょ、という人。

プロバイダと契約し、説明書通りに設定してみてもダイアルアップ接続が成功しないらしい。おまけに、なにかの手違いが起こったらしく、Windows95の起動時におかしなエラーがでるようになったということで、出張サービスを依頼されてしまいました。

で、みてみると、起動中に何度も vbx や dll が見つからない、とメッセージがでます。当然、どういう手順でこういうことになったのか当人は覚えていません。ダイアルアップ接続のほうも、モデム接続に成功して ID とパスワードの確認までいったところで「設定されたプロトコルの処理に失敗しました」。

平日の夜でもあり、このあとでかける予定もあるらしいので、とりあえず Win95を上書きインストールしたところ、起動時のエラーは解消されたものの、あいかわらずプロバイダには接続できません。

格闘すること3時間、あれこれ設定をいじってもまったく状況が変わらないのでハード(ぺんちあむ75MHz、メモリ8MB)かモデム(288)が問題かもしれない、ということでギブアップすることに。

確認の意味で ID とパスワードを自分のパソコンに入力して接続してみたら、1分で接続成功。

あきらめてパソコン買い換えろー。


今日の朝日新聞の投書欄をながめていたら、議員秘書に事故のもみ消しの口利きを頼むようなことがまかり通っているなんてつゆほども知らなかった、という人(40代男性)が。

うーん、世の中にはほんとに無菌室で育ったような人がいるものなんですね。

そういえば、朝日新聞が去年の4月1日にエイプリルフール記事を載せたら、新聞が嘘を書くなんていままで思いもしなかった、という投書が寄せられてましたっけ。

明日はどんな記事が載るんでしょうか。今から楽しみです。


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庵主:matsumu@mars.dti.ne.jp