とぜんそう2000年5月分

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00/05/05

『クジラは食べていい!』(小松正之、宝島社新書)読了。

長くなったので感想はこちら。読書感想文というよりは、この本を読んで思い出したりしたことを適当に並べてみた、という感じでしょうか。


先日読んだ某ウェブ日記に「悦には入っていた」という表記。この人は「悦に入る」を「えつにはいる」と読んでいるのかも。

こうなると新聞雑誌書籍のたぐいに総ルビを振るか、あるいは「悦にいる」と書いたほうがいいのでしょうか。でも「てだれの早業」も困るし。

ちなみに ATOK13 だと「えつにいる」は「悦にいる」、「えつにいった」は「悦に入った」が第一候補です。


こちらはスポーツ新聞系のサイトで見かけた記事。

 世界の新歌姫がニッポンに“凱旋”上陸−。あでやかな着物姿で登場したブリトニーに、フラッシュの嵐が浴びせられた。


なんで外国人が日本に「凱旋」せにゃならんのでしょう。


「人を殺す経験をしてみたかった」
殺される経験もぜひしてみてください。


ようやく休めたので、昼間から『古今東西噺家紳士録』(丸善書店)を聞いてます。会社の昼休みも含めてようやく「あ行」33席を終わったところ。250席46時間は聞きでがありますね。

演目一覧から聞きたい噺を選んでクリックすると再生用の窓が開いて演目が始まるのですが、その窓には演目の解説のそばに「系譜」というボタンがあって、その演目を語っている噺家の紹介・略歴・改名記録・師匠・弟子・兄弟弟子などが表示されます。噺を聞きながら関連情報も見ることができるという趣向ですが、けっこうおもしろい内容なんですね、これが。

たとえば大正初めから昭和9年頃まで活躍した音局の春風やなぎの解説には、都々逸「金も名誉も女もいらぬあたしゃ頭に毛が欲しい」はこの人の作、なんてことが書いてある。たぶん横山ホットブラザーズのギャグ「金もいらなきゃ女もいらぬあたしゃも少し背が欲しい」はこれをもじったものなのでしょう。

いやいや、この先も楽しめそうです。


で、『古今東西噺家紳士録』の影響なのでしょうか、ラジオからたまたま流れてきた天地真理の「恋する夏の日」の歌詞がこんなふうに聞こえてしまいました。

あなたは あの道から
自転車こぎ きょうも


しかし六代目柳橋の「お見立て」、傑作です。


柱の傷はおととしの応仁の乱の刀傷(意味なし)

00/05/06

あらら、「郭」→「廓」ですね。

にしても、「君、あれは『娼妓』じゃなくて『将棋』だよ」「どうしてです?」「『金』『銀』がなければ『させない』」ってのはいいなあ。

傾城の「こい」はまことの「恋」ならで「かね持ってこい」が本当ほんの「こい」なり


ということで、CD-ROM『古今東西噺家紳士録』(エーピーピーカンパニー出版、丸善書店販売)付属の解説本『古今東西噺家紳士録 寄席一五〇年』(小島貞二著)読了。以下プロデューサの小島豊美による「はじめに」より。

 CD-ロムで表現が困難な、落語の発展と落語家群像のその生きた歴史は、活字で補わなければならない。そんなわけで、解説本『寄席一五〇年』を小島貞二氏に書き下ろしていただき、本企画が活字とコンピュータをあわせ持った全く新しい出版物になったわけをご理解いただければ幸いである。


明治の名人三遊亭圓朝から始まり、珍芸四天王の大当たり、それに反撥する本格派の巻き返し、東西落語界の集合離散、戦争で葬られた演目と連合国軍総司令部によって禁じられた演目、関東大震災や第二次世界大戦後の復興に落語が果たした役割、現在の落語界などなどが駆け足ではあるものの解説してあります。

しろうとには目新しい話ばかりで、たとえば明治の珍芸の人気ぶり。どのぐらい人気があったかというと、圓朝の弟子で三遊亭圓遊という落語家が幇間の芸をもとにした「素手天固(すててこ)」という珍妙な踊りで当たりをとり、全盛期にはいくつもの席を掛け持ちしてひどいときには入り口からステテコを踊りながら裏口へ抜けるだけで客席は熱狂、今に残る「ステテコ」という男性下着の名前は圓遊がこれをつけてステテコを踊ったことによるてんだからおそれ入谷の鬼子母神。

また、大阪の吉本興業隆盛の基礎や東京の落語協会・芸術協会の分裂も一本道ではなくてまあいろいろいろいろあったんだなあ、と。

そういえば十年ぐらい前に三遊亭圓丈の書いた『御乱心』という三遊一派の内幕を描いた本を、三遊亭圓楽が半分まで読んだところで怒り狂ってふたつに引き裂いてくずかごに捨てたものの、もういちど拾って残りを読み直し、改めてくずかごにつっこんだ、なんていわれたものですが、けっこう表から見たお笑いの世界と内側とではかなりの落差があるのかもしれません。

まあわれわれ見る側はそんなこと気にせずに楽しんでいればいいのでしょうが、こういった内紛のおかげで味わえる藝まで味わえなくなるのでは困りもの。それぞれの事情はあるでしょうけど、諍いはほどほどにしていいものを提供してくださいませ。

ということで、CD-ROM ともども落語の好きな人は必携。


フジテレビ系列で「PRIDE2000 決勝戦」を見る。

藤田があの膝蹴りを食らいながら倒れずに逆転勝利を収めたのもすごかったけど、やはり桜庭のグレイシー狩り。

というより、あそこまで桜庭に好き放題やられてる姿を見ると、ホイスってほんとに強いの? という素朴な疑問を持つ人さえでてきたりして。まあ桜庭が強すぎるんだろうけど。

ところで、桜庭の勝利を伝える中京スポーツ(東京スポーツの中部版)にこんな記事が。

FMW5・5東京・駒沢大会を最後に現役を退く理不尽大王・冬木弘道が、20年間のレスラー人生を回顧する自伝『ありがとうプロレス、さよならプロレス』を執筆中であることを(略)明かした。「常に妥協のない全力ファイトでファンをわかせてきた(注・あくまで本人談)ボクが、愛するプロレスについて初めて本音を語った全3刊の大作だ。(略)」と冬木は一人でうなずいた。(略)この作品でノンフィクション文学の最高峰・大宅壮一賞を狙う(注・しつこいようですがあくまで本人談)というから、執筆だけはマジメに取り組んでいるようだ。


すでに「札幌三連戦で一度でも負けたら引退」発言自体をエイプリルフールの嘘だとして引退を撤回している現在、この本の執筆そのものが眉唾物になってしまったわけですが(それ以前の問題という声あり)、もし出版されるんならぜひ立ち読みしてみたいものです。


でも実際に大リーグボール1号は本場大リーグのセントルイス・カージナルスに通用したんだしぃ>朋輩

まあジャイアンツもオープン戦{では|だから}大リーグのチームに連勝しましたけど。

00/05/07

ロシアの大統領就任式
エリツィン前大統領がやけにおだやかな顔つきをしていたのが印象的でした。

肩の荷を下ろしてほっとしたのか、新大統領の顔と並んでいたからそう見えただけなのかは不明。


十六茶
原料は、

    ハトムギ、  緑茶、    大麦、    玄米、
    ハブ茶、   ウーロン茶、 昆布、    霊芝、
    熊笹、    柿の葉、   アマチャヅル、大豆、
    よもぎ、   クコ、    シイタケ、  ミカンの皮、

の16種だと教わったのですが、たまたまてもとにあったのを調べてみると、

    ハトムギ、  緑茶、    大麦、    玄米、
    ハブ茶、   ウーロン茶、 昆布、    霊芝、
    熊笹、    柿の葉、   アマチャヅル、黒豆、
    ゴマ、    紅花、    キダチアロエ、アシタバ、
と5種類も違っているではありませんか。

すわ、カップ麺の東日本・西日本と同じく地域による嗜好の違いによって入れるものを変えているのかと思いきや、ちょっと前のパッケージを調べてみたら最初の16種と同じ。どうやら最近になって成分が変わったようです。

人騒がせな。


『銭ゲバ』(ジョージ秋山、ソフトマジック)、
『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』(遙洋子、筑摩書房)など。

00/05/09

《バスをハイジャック》
聞くところによると、その昔ギャングが“Hi, Jack !”とか“Hey, Jack !”(日本語でいうと「よう、にいちゃん」とか「おい、おっさん」ぐらいのニュアンス)などと声をかけてから金品を奪っていたことから“hijack”が強奪の代名詞となったそうです。

のちに空のハイジャックで「スカイジャック」、海のハイジャックで「シージャック」などの表現が普及していったわけですが、そのうちに「ジャック」自体に「強奪」の意味があるように思う人が多くなり、さらに“hi”と“high”の発音の類似から「ハイジャック」を「高いところでのハイジャック」のつもりで航空機乗っ取りと限定的に使うことが多くなったのではないかと理解しております。

したがいまして、個人的には「バスをハイジャック」でも不都合はないと思ってたりします。関係各位のご参考になればさいわい。


《大リーグ審判養成ギプス》
阪神にくる前に在籍していた某チームで星コーチが大豊に大リーグ審判打倒ギプスをつけて特訓していたものと推定。

00/05/13

《帰ってきた「バスをハイジャック」》
ちょいとお待ちよ車屋さん、じゃなくて下忍さん

語源の話はともかく、たとえばマスコミの扱いは「バスジャック事件」「バス乗っ取り事件」ですし、あつかいかたからして「バスをハイジャックした」というのは犯人の発言らしい。広辞苑(第五版)にも「乗物、特に飛行機を運行中に乗っ取ること。」と書いてあるわけですから、少なくとも日本では「ハイジャック=飛行機乗っ取り」はかなり浸透していると見ていいのではないでしょうか。

なにしろニュースであれを聞いたとき、少なからぬ人が違和感(ざわっ。祝「カイジ」復活)を覚えるんだろうなあ、と考えましたし、実際まわりで数人にたずねてみたところ、おかしい、という答えの方が多かった。ちなみに語源まで知っていたのはたったひとりでした。

で、語源的に正しかろうが間違っていようが現に流通しているのが「生きた言葉」であるわけですからして、そういう意味では「ジャック=乗っ取り」は少なくとも口語・俗語と限定した場合の日本語としては誤りとはいいきれなくなってしまっているような気がします。先日「『バスをハイジャック』でも不都合はない」という表現を使ったのはそのためで。

そのうちに「情けは人のためならず」とか「かわいい子には旅をさせよ」をもともとの意味でつかったり、「バスをハイジャック」は問題ない、などというと言語感覚がおかしいと思われてしまう日が来るのかも。

ところで、『アニキだましい』(水木一郎、アスペクト)なる本が平積みになってましたけど、確認されましたか? 私は20年前に瀬戸ユニー裏でのミニコンサート時に一郎アニキに握手してもらったにもかかわらず、手に取ってみただけでした。

「マジンガーZ」や「燃えろ 仮面ライダー」などを熱唱するお姿が今も脳裡に。


塩沢・あ〜る・兼人がお亡くなりになったそうで、ご冥福をお祈りします。


《カーナビゲーションシステム》
ちょっと前に GPS 用人工衛星からの位置信号だかの精度が上がったというニュースを聞きました。

でも、5年も前に買った安物には関係ないだろうとばかり思っていたのですが、きのうたまたまカーナビゲーションのスイッチを入れてみたら、驚いたことに倍率を最大に上げても現在位置がほとんど道なりに表示されていました。

これまではまわりの建物や田圃の中、ひどいときには一本隣の道を通ったり、信号待ちのあいだもあたりをぐるぐる回ったりしていたのですが、いや、電波ひとつでここまで変わるものなんですね。

ちょっと感動。偉大なるかな、電波のお導き、ってところですか。


『虚無戦記(6)』(石川賢、双葉社)など。

00/05/14

《冷やし中華にマヨネーズ》
忙しさにかまけて回答せずじまいで申し訳ありませんでした>朋輩

で、回答は、添えてあればつけて食べる、です。なければないでもかまいません。

このあたりでは、添えてないと店員にマヨネーズを要求する人もいますね。


《続・カーナビゲーションシステム》
きょう図書館でちょっと前の新聞で確認したら、標準時の今月2日から GPS の高精度データを民間も使えるようにしたんだそうで。

ただ、日本のカーナビゲーション装置会社によると、現在のシステムの実際の誤差は数メートル程度なので GPS データの精度向上がすぐにカーナビの精度改善につながるわけではない、とのこと。

うーん、どうやら私の場合には5年も前の安物だからこそデータ精度向上でカーナビゲーションの精度が改善されたようです。


バス乗っ取り事件に関して、週刊誌の見出しに「なぜ射殺しなかった『バスジャック』」の文字。

射殺していたらたぶんこの見出しは「なぜ射殺した」になっていたんだろうなあ。

00/05/22

《横審に女性委員を》
女性客も増えている折から横綱審議委員会に女性委員をふたりほど入れようという話がでているそうです。

具体的人選はこれからだということですが、ひとりはひょっとして中島みゆきかも(審議対象が違うぞ)。



これはスパムではありません。あなたご自身あるいはどなた様かのリクエストもしくはオートリスポンダーに応じた配信です。


という電子メールが届きました。スパムではないというわりに

興味をお持ちでない場合は、まことに恐れ入りますが、削除ください。


と続いています。

受信者に覚えがないことを予想してるなら「どなた様」からの「リクエスト」なのかをはっきり書けばちっとはまともに読んでもらえると思うのですが。

ちなみにこのあとを読まずに削除してしまったので、どういう内容だったかはわかりません。


《17歳》
何かと「17歳」が世間を騒がせているようですが、「17歳」と聞いて南沙織を思い出すか森高千里を思い出すかで中略。

おっと、すでにどちらも知らないというほうが以下略かも。


新橋芸者喜春姐さんの言伝て 忘れかけてるいい言葉』(中村喜春、小学館文庫)、
『完本 文語文』(山本夏彦、文藝春秋)、
『Dreams(18)』(七三太郎原作、川三番地作画、講談社)、
『おまかせ!ピース電器店(18)』(能田達規、秋田書店)など。

00/05/23

「横審」は「横綱審議会」ではなくて「横綱審議委員会」でした。ということできのうの分を修正。


うーん、たった2週間休みなしで長時間残業が続いているだけでバテるとは、軟弱になったもんです。

00/05/24

2冊ばかり読み終えた本があるのですが、感想をまとめられる状態じゃありません。もったいないけどとりあえず1冊をざっとやっつけてしまいます。

『これでいいのか、にっぽんのうた』(藍川由美、文春新書)読了。

声楽の分野で我が国初の学術博士号を取得した声楽家の著者が、多年の調査研究結果のなかから「日本のうた」がどのようにないがしろにされてきたかを紹介し、どうすればこの状況を改善できうるかをあれこれ提言している本。ちょっと長くなるけど「はじめに」からとびとびに引用。

「日本のうた」を歌い始めたばかりのころ、いつも日本語の発音について悩んでいた。
 日本人なのに、なぜもっと自然に日本語を歌えないのだろう。
 声楽のレッスンにおいては響きの統一が最優先課題なのに、なぜか、「家」と「笛」と「声」の「え」が同じ響きにならない。日本語の母音は、ほんとうに、小学校の教室の壁に貼られていたような「アイウエオ」の口形で歌えるものなのだろうか。それとも、母音や子音の組み合わせによって、その都度、発音が変化するのだろうか。
 こんなこともわからないまま「日本のうた」を歌っているわけにはいかない。そこで、昔のレコードを聴いてみることにしたのだが、これがかえって問題をややこしくした。歌によって発音が異なっていたり、歌手によって、同じ歌詞が違う発音で歌われていたのである。
(略)
 しかし、こうした混乱はレコードだけではなかった。楽譜にもさまざまな版があって、どれが正しいのかわからないものもあった。
(略)
大学で音楽教育を受けたといっても、日本語の発音や歌い方に関する正規の授業はなかった。音楽大学を卒業して教員になった場合、小・中学校でドイツ語やイタリア語の歌を教えるわけでもないのに、なぜかイタリア・オペラやドイツ・リートの授業はあった。母国語の歌唱に関する授業がないとは、いったいどういうことなのだろう?
(略)
せめて欧米並に母国語の舞台語発音の授業を設けてほしいと願うのは無理なことなのだろうか。
(略)
外来語の流入や造語の氾濫などで、日常会話と「日本のうた」の歌詞の語法の違いは拡大する一方である。そこで、西洋のオペラや芸術歌曲の歌唱法に匹敵する、日本語の舞台語発音確立への要求が高まってくる。日常会話の発音が乱れれば乱れるほど、日本語の舞台語発音への期待が増すのである。「日本のうた」の中に日本語本来の響きを残す、そのためには、日本語の変遷を辿り、その本質に迫ることが必要だ。
 いま、われわれに、どうしても現代仮名遣いの表記に縛られ、そこから発音を導き出そうとする傾向がある。だが、そもそも表記とは、発音を記号化したものであり、歴史的仮名遣いにせよ、昭和21年の「現代かなづかい」や昭和61年の「現代仮名遣い」にせよ、未だかつて日本語を完璧に表し得た表記はないのである。これを肝に銘じつつ、「日本のうた」が明治以降どう表記され、歌われてきたのかということを、教科書や出版譜、レコードなどを通して探る必要があるだろう。
(略)


本文は、米国の提督ペリーが軍楽隊を引き連れて来航したのがきっかけとなって軍需品としての鼓笛学が輸入されたのが日本の洋楽事始め、というあたりから説き起こしています。

今日のように著作権にうるさい時代ではなかったとはいうものの、改変・削除が横行し、合議制で複数の人間がいじくり回した結果作者を特定することもむずかしいような状態の明治の文部省唱歌があることや、その伝統(?)を引き継いで戦後も相変わらず改編や削除が続いた状況を嘆き、戦中の大政翼賛歌謡を作ったひとびとの戦後の変わり身を憤り、作曲家の譜面通りに歌わない歌手を批判し、日本語の表記と新旧仮名遣いによる発音のしやすさ歌いにくさなどなどの考察が豊富な実例を挙げてこれでもかと並べてあります。

わが国での歌唱のありかたや扱いかたのみならず、日本語についても考え直したくなる一冊でした。


《津で最高気温32度》
5月としては異例の暑さだったそうで。

去年のスコールといい、やはり気象にまで影響を与えてしまうのね(謎)。


『ドリーム仮面』(中本繁、太田出版)、
『タイムライン(上)(下)』(マイクル・クライトン、酒井昭伸訳、早川書房)など。

うう、仕事のストレスが衝動買いを誘発しているようです。果たして読み終える日は来るのでしょうか、はたまた積まれたまま終わるのか?

00/05/25

《公僕》
どうやら英語の“public servant”の訳語のようですが、たとえば三省堂の新明解国語辞典だとこうなってます。

【公僕】
〔権力を行使するのではなく〕国民に奉仕する者としての公務員の称。〔ただし実情は、理想とは程遠い〕


私が知ったころにはすでに本来の意味を離れて公務員に対する一種さげすみを含んだ使われ方もされてまして、たとえば大学紛争の現場に介入しようとする警官に「帰れ、公僕」とか。

これが現在あまり使われていないのは、「僕」自体が身分の低い使用人みたいな感じのあまりいい言葉ではないから平等を謳う世の中になじまなかったのではないかなんて考えていたのですが、けさの朝日新聞「天声人語」によるとさにあらず、東京地検や新潟県警の例を引いて、公務員が公共への奉仕を忘れたから世間が公務員のことを公僕と呼ばなくなったのだ、と主張しておりました。

なるほど、道理でこのごろ「社会の木鐸」という言葉を聞かない。


海軍さんのカレー
おおお、いまどきはそんなものまでネットで手に入るのですか>下忍さん

ところで、

横須賀を発祥の地とする旧帝国海軍が、カレーを国民食までに広めたことを経緯を表し名づけられたもので、


の「経緯を表し」って、「いきさつをあらわし」の意でしょうか、それとも「敬意を表し」の誤変換でしょうか。

お味のほうも気になりますが、「経緯を表し」てるかどうかのレポートも是非。

00/05/26

《船木・ヒクソン戦》
仕事を終えたあと、とっとと帰って結果をチェックしようと思ったら、新聞の番組表で録画放送があることを知り、ゆっくり風呂に入ってからテレビ桟敷。

前哨戦の若手対決は22秒で決着。リングサイドのテレビカメラにまで飛び散った血が凄まじさと生々しさを伝えてました。

続いてメインの船木・ヒクソン戦。リングサイドには藤原組長と橋本真也の姿が。試合後には藤波社長の姿も見えました。

序盤から防戦一方に見える船木、こらだめかなと思いながら見ていると、一瞬フロントネックロックの体勢。が、そのまま倒されるや寝技を嫌ってからだを離してしまう。

結局は倒されてマウントポジションからバックをとられてチョークスリーパーで決着。アナウンサーが未練たらしく必死に「船木落ちていない」と叫ぶもののさすが柔道家吉田秀彦、船木のうつろな目つきに「あ〜落ちた落ちた落ちた落ちた」。

それはそれとして、最大の収穫はそのあとのニュース番組に小谷真生子がでてるのを発見したことでしょうか。

00/05/30

『ドリーム仮面』(中本繁、太田出版)読了。作者は集英社が主催する手塚賞の初受賞者だったそうです。

こどもを悪夢から救い出し、楽しい夢を見てもらおうと日夜、じゃなくて夜な夜な出没……って、これじゃ変質者だな。眠っているこどもの夢の世界に入っていき、仮面のてっぺんのペン先で文字通り夢を描く男・ドリーム仮面。労多くして報いの少ない善行を積む主人公を描いた今ふうにいえばメルヘンチックなお話です。

しかし最後まで絵が上達しなかったのか、わざとああいう絵がらにしたのか、無邪気な希望が似合うようなそうでもないような。

で、しばらく進んでみてもぴんと来ないのでやはり読んだことがなかったかな、と思ったら、「ロボット少女の巻」の「こんな理屈にあわない非現実的な……」「ハハハ それが夢なんだよ」というせりふや前後のシーンにはしっかり覚えがありました。

かなり好みの分かれる作品だと思います。私自身、最後まで読んではみたものの、つまらなくはないけどとびっきりおもしろいわけでもなく、かといって読むのをやめる気にはなれない魅力があり……いずれにしてもいまウケるとも考えられないのですが、認められてほしくもあったりして。


海軍さんのカレー
なるほど、そういうふうでしたか>下忍さん

つまりはどちらにも解釈できるということで、気の回しすぎだったようですね。どうもありがとうございました。


ちょっと前のasahi.comの記事より。

カルガモの赤ちゃん、今年は13羽誕生 東京・大手町
 東京・大手町の三井物産本社前の池で、初夏の風物詩となっているカルガモの赤ちゃん13羽が生まれ、27日、集まった人たちに愛らしい姿を見せた。


うーん、なんか鳥の「赤ちゃん」ってすごく抵抗があるなあ。

でも、そのわりに「ボクたこの赤ちゃん。よいしょ、よいしょ」というCMはすなおに見てたっけ。


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庵主:matsumu@mars.dti.ne.jp