とぜんそう2004年2月分

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04/02/02

つくる会の公開質問状に大学入試センター責任者が重大発言

なんかいやになってくる。どこの国の入試なんだろう。たしかにこんな問題ばかりなら大学受験資格が某民族教育学校に与えられてもおかしくはないかもしれない。


今日の朝日新聞「天声人語」より。

 山うどやふきのとう、たらの芽などの山菜が出回り始めた。暦より一足先に早春の香りを届けてくれる。


少し前の「天声人語」で、旧暦で暦通りに過ごすのがどうとか書いたばかりのような。

このあと山菜のほろ苦さとの関連でアメリカで苦みを感じなくする研究を紹介する記事があったことを取り上げ、日本人との味覚の違いを語り始めます。

 緑茶の渋みが嫌で、砂糖を入れたら飲めるという外国人がいたが、日本人だったら考えもしないだろう。ある種の苦みや渋さを尊重するのは、日本の食文化の特徴かもしれない。


日本には甘みたっぷりの抹茶オーレなんてのがすでにあるのですが何か。

抹茶と甘味の取り合わせだけなら抹茶ういろうは昔からあるし、抹茶アイスもすでに定番の感がありますが、それはさておき、

 食べ物だけではない。「苦み走ったいい男」という。甘さのない厳しく引き締まった容貌(ようぼう)のことだ。「渋い」というのも、なかなかのほめ言葉だ。華美でなく、落ち着いた趣味の良さをいうことが多い。江戸時代の洗練された美意識の世界「いき」に通じる感覚だろう。


「苦虫を噛み潰したよう」とか「苦り切った顔」「渋ちん」「渋る」といったあたりが「いき」に通じているとは知りませんでした。不勉強を恥じるのみです。


朝日新聞投稿欄の挿絵が昨日から「異国の空の下」というタイトルの、自衛隊員の使う小銃にそっくりの銃を丸く盛り上がった土に突き立ててその上に戦闘用のヘルメットをかぶせたものになっています。戦争映画などで見かける即席の墓標そっくり。(ネタ元

このところ朝日新聞投稿欄には、自衛隊がイラクに行けば必ず戦闘が起こって死人が出る、といったものが多く、それらを読みながらこの絵を見ると浮かんでくるメロディは「戦友」でしょうか……。

自衛隊員が「野末の石の下」と思わせるのではしゃれになりません。この絵を採用した人間はそうとう悪趣味ですね。


で、今日の投稿欄には18歳の女子高校生からこんなご意見。自衛隊が武器を持ってイラクに行けば、イラク人から攻撃を受けたときに応戦することになる、武器はとらないで、解決にならないから、それよりなぜ聞かないのだろう、当事者の声を、といった展開に続いて、

イラクの人が攻撃してくるというのは、イラクに来てほしくないと考えている人がいるってことだ。いろんな立場のイラクの人の話を聞いてイラクの人が望むことをしてほしい。


といったことを自衛隊に要望しています。なるほど、もっともな話です。

わかりました。私は「イラクに来る人を攻撃する人たち」が武器を持たずに話し合いにきたならその人たちのいうことをよく聞いてほしいと自衛隊のほうに頼んでみますから、あなたは「イラクに来る人を攻撃する人たち」を丸腰の状態で自衛隊の前に連れてきてください。「武器はとらないで。解決にならないから」と説得して。

もっとも、その人たちが「イラクの人」とは限りませんけど。

04/02/04

今日の朝日新聞「天声人語」より。アメリカで定着した命名権ビジネスを紹介した後で、

(略)だが、こちらの国では、「名前」や「名」というものは、商標や目印を超えた重みを持たされてきた。
 「名にし負う」「名に背く」「名は体を表す」「名を惜しむ」「名を汚す」「名を雪(すす)ぐ」「名をあげる」。本音を抑えた建前大事の精神が表れた言い回しとも言える。そして、名前の変更はあくまで名前だけのことで中身はまた別の物、というような割り切り方をしにくい風土が、成句にからんで見える。


「本音を抑えた建前大事の精神が表れた言い回しとも言える」と書いた直後に「名前の変更はあくまで名前だけのことで中身はまた別の物、というような割り切り方をしにくい風土が、成句にからんで見える」と続いてますが、このふたつは全く正反対の内容。はたして「こちらの国」の「名」は「建前大事の精神が現れ」ているのか「中身はまた別の物、というような割り切り方をしにくい」のか、いったいどちらなんでしょうね。

いちおう前の部分を読むと後者らしいのですが(前者だと近鉄批判にならないし)、そうなるとわざわざ立春の日を選んでこんなことを書いたということに。

あるいは朝日新聞的には、こういう文語の歌は戦前の軍国主義につながるから存在しないことになってるとか。


ちなみに新聞のことしか書かないのは新聞ぐらいしか読んでられないからです。

04/02/06

2日分で紹介した朝日新聞投書欄のイラストがその前までのものと差し替えられたそうです

 今回は、作家自身がイラクに赴く自衛隊員の身の上を思い、「こんなことがあってはならない」とのメッセージを込めるために、銃を地面に突き刺した、墓標をイメージさせる図柄を選んだとのことです。また、製作過程で、手元にあった自衛隊の装備についての出版物を参考にしたと話しています。「異国の空の下」という説明もイラクを意識して作者がつけてきましたが、編集部はそのまま採用しました。


朝日新聞の主張にあわせるために「自衛隊がイラクへ行けば必ず戦闘が起こって自衛隊員やイラク人が死ぬ」といった内容がほとんどの投書欄にあんなイラストがついてればその意味するところは「いまにこうなるぞ」だとしか考えられないと思うんだけど、どうひねると「こんなことがあってはならない」という解釈が出てくるのか、頭の悪い私にはもうひとつわかりませんでした。


今日の朝日新聞「天声人語」、食糧自給率がどうのこうのという話。

 カロリーに換算すると、日本の食料自給率は40%である。40年前には70%を超えていた。ご飯中心から欧米型の食事に変わってきたこと、外食が増えたことなどが原因にあげられる。占領政策を進めた米国が、自国の農産物を売りつけるために日本人の食生活を変えた。そんな説もあるほどだ。


このへんはもっともかもしれません。今「日本食」といえば低カロリーの健康食のイメージがあるぐらいだし、外食はついつい肉が多くなるし。でも、これは何でしょう?

 街から牛丼が消え、外食産業では鶏肉の仕入れに苦心する。そんな風景が広がると、不安の方も広がる。最近の農水省調査では、国民の9割が食料供給に不安を感じている。
 自給率が低いことにも利点がないわけではない。食卓を直撃する国際情勢に敏感にならざるをえない。他国と仲良くしようとの意識も強まる。何より戦乱や紛争のない平和が、食べていくためにも大事であることを実感できる。


自給率が低いから食卓を直撃する国際情勢に敏感になるのも食料輸入のために他国と仲良くしようというのもわかります。まあ世界には他国と険悪な関係を作りながらも食料を欲しがる変わった国もありますが。

しかし、現在牛肉や鶏肉の仕入れに苦心しているのは「戦乱や紛争」のためで、それらがなければいますぐアメリカ産の牛肉や東アジア産の鶏肉が大量に輸入できると朝日新聞では実感しているのでしょうか。

読んだあと脳が動き出すまでに少し時間がかかってしまいました。


昨日の帰りにラジオを聞いていたら、とある女性映画評論家が今度公開される日本映画を「【芥川賞】を受賞した京極夏彦原作の映画」とか「この女性に【恋い恋慕】する男が登場します」などと紹介しておりました。

たといどれだけ時間が余っていようとこの映画だけは見るまいと心に誓いました。


げ、しまった、二千四太郎の発売日って今日だっけ。

04/02/09

↑ というわけで、現在 ATOK17 で入力中。今回は変換方式に「話し言葉」の「中部北陸」のほか「文語」も追加されています。でも、ちょっと試してみたところ現代仮名遣いを旧仮名に変換してくれるわけではないようで、いささか残念。そのわりに「かをり」で「香り」と変換するし(「一般変換」では変換しない)。如何様なる基準に則りたるかはしるべ区もあらず(「一般変換」だと「以下やうなる基準に則りたるかはしるべ区もあらず」。いずれも文節を変えずに変換)。

あと、JIS 第三・第四水準対応の人名辞書もついてますが、これがインターネットエクスプローラなどでも表示可能かどうかは未確認。

例のあれも更新しましたが、「一般変換」の「ひとたちあびせる」と「話し言葉変換」の「かんたんにはわかりゃしない」を正しく変換できるようになった以外は ATOK16 と同じです。基本的なところはもうあまりいじっていないのかもしれません。


日産・ゴーン社長運転のポルシェ、オートバイと接触

うーん、日産の社長が自社の車に乗ってないのはなんか裏切られたような気がしてしまう。

04/02/10

ちょっとしばらく ATOK17 の「表現モード」の「話し言葉」変換を試してみることにしてみました。「一般」変換だと今のこの文章ではやや不都合があるみたいなので。改まった文章を書くこともそうないし。

あ、そうそう。三年寝太郎、じゃなくて二千四太郎の初回特典は ATOK17 連動の電子版『岩波国語辞典第六版』。変換後未確定状態で [End] キーを押すと辞典の語釈が表示されます。これだと仮名漢字変換の使えるあらゆるアプリケーションで簡易辞書引きが可能です。惜しむらくは語釈を文書に引用することができないこと。便利なような不便なような。


改正外為法:社民は棄権 福島党首自ら造反

 参院本会議で9日成立した日本独自で北朝鮮への経済制裁を可能にする改正外為法の採決で、社民党の福島瑞穂党首ら5人全員が棄権した。同党は先月28日の政審全体会議で同法案への賛成を決めており、執行部が“造反”した形。福島氏は本会議後「予算案と首相指名以外は党議拘束がない」と説明したが、前代未聞の対応に党内外から批判が出そうだ。


あらら、党首みずからが「抵抗勢力」なんですか、この政党では。

本会議直前の参院議員総会で、政審全体会議の結論も踏まえ「(採決では押しボタンを押す)指が動かなかったことにしよう」と、棄権の方針が決まったという。


大のおとなが5人もそろって同時に「ああっ、指がっ」とかやってたのかと思うと……。


イラク:日本の報道陣に情報提供せず 米英が現地警察に指示

 イラク南部サマワにあるムサンナ県警のカリム・ザイディ本部長は7日夜、毎日新聞に対し、同県警がサマワ駐留の米英占領当局(CPA)と県知事から、日本の報道陣に治安情報を一切与えないよう指示されていたことを明らかにした。事実上のかん口令について本部長は「一部でサマワの治安が悪いかのように報道されたため」と述べている。
(中略)
 本部長によると、県内では殺人事件が昨年12月の9件から今年1月には6件に減った。本部長はこれを例に「私たちは日本人にムサンナの安全さを分かってもらいたい一心なんです」と説明する。一方で本部長は今後、知事やCPAと相談し、かん口令を再検討する可能性も示唆した。


以前にも書いたけど、大規模戦闘継続中にイラクから避難した日本の報道陣が今大挙してそこにいるそのこと自体がサマワの治安を何より雄弁に物語っているような。

この箝口令のためかあらずか朝日新聞名古屋本社版夕刊では、水が足りないから日本の自衛隊に助けてもらいたい、みたいな感じで訴えるイラク人の姿を報道しておりました。


朝日新聞といえば今日の社説より。

 彼らにしても、反米武装勢力の襲撃やテロに対する不安がないと言えばうそになるだろう。その活動を日本で見守る家族の心情も思う。何としても無事で任務を遂行してほしい。小泉政権の派遣方針に反対している私たちも、心からそう念じずにはいられない。


同じく今日の「ポリティカにっぽん」

 イラクへの自衛隊派遣は反対が多かったのだが、このごろの世論調査では賛成が増えている。小泉首相が「反対の人も自衛隊を敬意をもって見送ってほしい」としきりと述べ、実際、サマワの宿営地にたどりついた自衛隊員の姿がテレビで伝えられれば、そうだ、がんばってねと思うのも人情である。
 だが、情に棹(さお)させば流される。何が何でも無事に帰ってきてほしいけれど、それと自衛隊派遣への賛否はおのずと別である。


どちらも派遣反対の姿勢は崩さないものの自衛隊員の無事を祈る気持ちをこれでもかと強調しています。よほど投書欄の「自衛隊員墓標イラスト」の一件が堪えたのでしょうか。

さらに「ポリティカにっぽん」ではこんなふうに続きます。

新聞に身を置く私には、かつて戦争へ国民の気分をあおりにあおった痛恨を二度と繰り返したくない思いがあるのである。
(中略)
 朝日新聞の戦争報道にも触れなければなるまい。
 1931年の満州事変が岐路になる。「日露戦争であれだけの若者の血を流した満州を失ったら祖先に申し訳がない」とわきたつ世論に流されて、朝日新聞も「国策の戦争を否定」していた立場から戦争支持に回る。以後、言論統制の中で大本営発表を流し続ける新聞になる。
 いや言論統制を言い訳にはできない。そんな中でも「日本は自由貿易で立国できる。満州は放棄せよ」と「小日本主義」を唱え続けた東洋経済新報の石橋湛山がいたことを忘れてはなるまい。


以前は「いやだなあ(略)身の縮む思いがする」だったのに今回は「痛恨」ですか。

それでも朝日新聞が国民の気分を戦争へとあおったことをここまで率直に認めた文章は初めて読みました。早野センセイ、なにか悪いものでもお召し上がりになったのでしょうか。

さあ、ここまで来たらあとは朝日新聞の国民への謝罪と賠償かな、と思ったら国会議員の「黄色いハンカチ運動」を評してこんなことを。

 あえて言えば、これは国会議員の任務ではない。自衛隊派遣がどんな日本の未来につながるのか、必死に論じ続けるのが国会議員であるべきではないのか。そんなこともわからないのか。


いまさっき「(派遣への賛否はおのずと別ではあるものの自衛隊員には)何が何でも無事に帰ってきてほしい」とのたもうたのと思いっきり矛盾してるのではないのか。そんなこともわからないのか。

やはり輿論を気にして殊勝らしいことを言ってみても本心は別のところにあるようです。


朝日といえば、先日出勤したおり朝7時ぐらいにほぼ西向きの道路を走っていたら、真正面に沈む直前の満月、バックミラーにのぼったばかりの朝日が見えました。

この季節、この時間、この方向でしか見れない光景(東向きだとまぶしくて危険)。なんか得した気分になってしまいました。

04/02/21

2ちゃんねるのマスコミ板をぼちぼち見ているのですが、先日かなり頭にくる情報を見つけました。

反戦の願いを込め「ゼロ戦」燃やす 美術家が平和を訴えるアート

 成安造形大教授で美術家の中ハシ克シゲさん(48)が市民とともに「ゼロ戦」を模した立体作品を制作し、14日、滋賀県大津市の同大学グラウンドで反戦の願いを込めて燃やした。制作に参加した市民ら130人も、燃え上がるゼロ戦を見つめながら平和を願った。
(略)
 中ハシさんは、過去にも同じ方法でゼロ戦の作品を作って米国や豪州で焼却しており、平和を訴えるアートとして評価されている。今回の作品は、1945年8月14日に琵琶湖上空で撃墜されたゼロ戦がモデル。その撃墜と同じ日に琵琶湖を見下ろす同大学で燃やすことにしたという。
(略)
中ハシさんは「兵器の象徴としてのゼロ戦を燃やして灰を作る。平和をつくることにつながる」と話していた。


で、こちらがそのモデルになったゼロ戦についての話。

広島と長崎に落とされた新型爆弾の次なる犠牲者を出させまいと身を捨てて練習機で出撃した人になんたる仕打ちか。しかもあろうことかその零戦が守ろうとした地元で。松山少尉もさぞや草葉の陰でお嘆きのことでありましょう。

私だって戦争は怖いし平和な世の中が好きだが、こんなあほくさいオマジナイで作られた平和なんぞほしいとは思わない。いや、平和な世の中になったからこそこういう愚劣な一発芸が評価されるのか。なんにしても胸くその悪い話です。


今日の朝日新聞に掲載された82歳無職男性からの投書。

先日舞の海が自民青森県連からの参院選立候補要請を「政治経験がないから」と固辞した件で、選挙のたびに知名度の高い人物を擁立して当選議席を増やそうという行為は「選挙の冒涜である」として、

有権者が政治に対して心得るべきことは、選挙の原点として、「選挙には、出たい人より出したい人」という基本を逸脱することなく肝に銘じることである。
今回、舞の海氏の立候補要請固辞は、重く受け止めるべきであろう。


えーと、舞の海は自分から「出たい」といったんじゃなくて自民党青森県連が「出したい」と思ったわけなんだから、今回のことに関してはその「基本」を逸脱してはいないと思うのですが。


『伝説の頭・翔(3)』(夏原武原作、刃森尊作画、講談社)、
『餓狼伝 BOY スーパーガイド』(講談社)、
『結界師(1)』(田辺イエロウ、小学館)、
『栞と紙魚子 何かが街にやって来る』(諸星大二郎、朝日ソノラマ)、
『本と中国と日本人と』(高島俊男、ちくま文庫)など。

04/02/22

国連のアナン事務総長が来日し、川口外務大臣との会談でイラクへの自衛隊派遣を評価する発言をしたそうです(NHK23時のニュースより)。

自衛隊のイラク派遣反対の人はどうするんでしょうか。国連不支持に走ったりして。

ま、アナン事務総長の狙いは日本に財布のひもをゆるめさせることでしょうけど。


今日の朝日川柳の優秀句に「ロスタイムあったはずだと言う社民」とかいうのが選ばれてました。

先週の党首討論に社民党が参加させてもらえなかったのを福島党首が「弱いものいじめだ」と愚痴ったのが元だと思われますが、なにがどう「ロスタイム」なのかよくわかりません。

そもそも党首討論の参加資格に関して与野党の申し合わせには衆参どちらかに10議席以上あることというすでにして弱いものいじめの内容があったのだから、仲間に入れてもらえなくなってから文句つけるのはほかの小規模政党を馬鹿にしているとしか思えないのですが。

私なんぞテレビや新聞での各党党首の意見とかに未だに社民党が入ってることが不思議でならない。辻元元議員に有罪判決が出ても前党首は責任とらないし。

04/02/27

JIS の漢字字形に関する改正だそうで(pdf)

今回の JIS 改正で例示字形の変更があったうちほかのものはだいたいわかった(ような気になった)のですが、1-19-10「蟹」1-47-64「(文字での表示不可)」1-59-89「棘」1-67-14「祟」1-80-43「靄」だけはどこがどう変わったのかとんと見当がつきませんでした。まだまだ修行が足りません。


本日の朝日新聞投書欄、三重県の71歳無職男性から『日朝正常化に「行程表」作れ』というご意見。

日朝平壌宣言以後に両国間に何らの進展もないのは、宣言で約束された実務を具体的に進めていく「歯止め」がないからだとしたうえで次のように話を進めます。

 私たちは、仕事には5W1H(いつ、どこで、だれが、だれに、なにを、どうする)がある。それをきっちりと決めて行程表にし、看板に掲示して全員で追跡・消し込みが出来るようにすることが常識であった。トヨタの看板方式に見る通りである。
 ところが、日朝間には何も無いに等しい。これでは交渉が進まないのは当たり前だろう。やり方がわからなければトヨタに聞けばよい。(略)


いくらなんでも新聞が 5W1H を「いつ、どこで、だれが、だれに、なにを、どうする」と紹介しちゃまずいでしょう。それとも朝日新聞ではこういうふうに記事を書いてるのかな。「なぜ」はどうでもいい、と。

それから、トヨタの「カンバン方式」というのは「欲しいものを欲しいときに欲しいだけ」を実現するためのやりかたで、部品ワンセットごとに部品名・型式・個数・仕入れ先などを記入した「カンバン」と呼ばれるタグを付け、その部品を使うときにカンバンを外して発注ポストに入れておくと一定時間ごとに回収されて実際に使った分だけが発注される、という仕組みです。それを支えているのが下請けの涙ぐましい努力だというのは以下略。

行程表や進捗表を掲示して全員で追跡・消し込みができるようにするやりかたは確かにあります。でも、看板に行程表を掲示する「トヨタの看板方式」を教えてほしいといわれたらトヨタもさぞ困惑することでしょう。なんでこんなでたらめをちりばめた意見が日本を代表する新聞に載るのかほんとに不思議です。

ちなみに趣旨についてですが、日本の「行程表」は「拉致事件の完全解決」や「北朝鮮の武力誇示の停止」などから始まっているのに対して向こうのそれは「日本の経済援助」から始まっているのだから、まともにやっていては何年たとうが進展するはずありません。


巷では『あらすじで読む日本の名著』などという「あらすじ本」が売れているそうです。そこで、私も二匹目の泥鰌をねらって企画を考えてみました。

「あらすじで読む江戸小咄」、「あらすじで読む小倉百人一首」、「あらすじで読むロシアンジョーク」、「あらすじで読む芭蕉名句集」等々。

「あらすじで読む18番グリーンの芝目」とか「あらすじで読む般若心経」なども時間のない現代人向けかもしれません。


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庵主:matsumu@mars.dti.ne.jp