「崩壊する世界 繁栄する日本」 2009.04.04

著 者出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
三橋 貴明扶桑社978-4-594-05901-92009年3月20日1400円全一巻

2008年アメリカのサブプライムローンの破綻による経済恐慌が世界を襲った・・なんてみんな言う。実を言って私には理解できないこと、わからないことがたくさんある。
そもそもサブプライムローンの破綻てなんなんだ? 恐慌は本当に起きたのか? 気分とか雰囲気だけから不況になったの? 実体経済が破たんしたの?
いや不況だという事実を否定はしないが、いったい全体なんで不況になったのでしょうか? あるとき皆が不況だと言い出したので不景気になったのでしょうか?
不況だと言わなくちゃ不況にならなかったの?
それが不思議です。
ところで実体経済の反対語ってなんだろう?
調べるとカジノ経済とか虚像経済とか資産経済とかいろいろあるようだが、いずれにしてもあまりまっとうな響きではない。
ほんの少し前、ガソリンが値上がりして暮らしていけない!って大騒ぎしていた。今はテレビも新聞も世界恐慌だと大騒ぎして、ガソリンが値下がりしたことを話題にもしない。ガソリンが安くなっても買えないなんて語る人もいない。ガソリン代にはもう関心がなくなったのでしょうか? それとも元々ガソリンの価格なんて重要ではなかったのでしょうか?
不思議です。

派遣労働者が解雇されてホームレスが増えた・・解雇されたらすぐにホームレスになるのか? 常識的に考えてどうもおかしい。派遣を切られてというのもおかしな言い方だが、解雇されたらすぐに住むところもなく食うに困ることになるというならば、単に貯えもなく生活設計が稚拙だったということではないのだろうか?
私は関心があったので、あの騒ぎのとき日比谷公園に行った。テレビに映ったように大勢の人はおらず、以前からホームレスだったと思われる数人の人がベンチに座っていた。後で某革新政党が人を借り集めて騒いだのだと報道されていた。
じゃあ、あの騒ぎは恐慌とは関係なく派遣労働者の問題でもなく、政治的デモだったということだろうか?
不思議です。

1年前、FXとか外貨預金とか先物なんたらで大もうけしたという話が、新聞や雑誌にあふれていた。私も実際にある会合でそういうことをして暮らしている何人かの人と知り合った。みな若者(といっても30前後だが)であった。彼らの話を聞くと毎日自宅のパソコンの前に座って、私には想像もつかない金額の取引を「買った」「売った」とやって利益を出して暮らしているという。彼らは取引している代物を見たことも触ったこともないそうだ。それを聞いて、私はまっとうな職業とは思えなかった。私が古い人間というだけかもしれない。
しかしそれからわずか半年で、株も下がり、外貨預金も元本割れどころか半減、四半減となった。今頃、彼らはどうしているのだろうか? ホームレスにならないでいてほしい。

私が知っているのは私が見聞きした範囲でしかない。しかし世界には不思議な国々があるらしい。
この本を読んでいろいろ考えた。いつも書いているが、本に書いてあることが正しいとか真実だという保証はない。嘘を書いている本も多いし、間違ったことを書いている本もたくさんある。しかし本を読めば自分の考えだけでなく、いろいろな見方考え方に気づく。
一般的に外国のことを知ろうとすると、地図を見たり年鑑を読んだりする。そういったものには面積、人口、気候、地形、宗教などが書いてある。昔は私たちはそういったものを知ってその国の概要を知ったつもりになっていた。
しかしそれだけでは良く分からない。50年も前、ライシャワーという人が人口地図とか国民総生産地図という世界の実態を分かりやすく表現することを考えた。
私もそれにあやかって世界軍事地図とか世界CO2排出地図なんてものを作ったことがある。
何事も絵やグラフにすると一目で分かりやすくなる。はやり言葉ではビジブル化とか見える化なんていうらしい。
この本は更に国家モデルという切り口で同一の指標でいくつかの国を数値で比較し、その国はどんな性格か、どんな強み弱みがあるのかということを分かりやすく表現している。それが正しいか否かは別として、非常に分かりやすいことは間違いない。
そして国家モデルは、その国の置かれた条件で選択し築きあげ磨き上げていかなくてはならない。条件に合わないと成功するはずはなく、適切な方向を選択しても努力なくして成功はない。そんなことを思った。

タンスターフルという言葉があるそうだ。「無料の昼食はない(There Ain't No Such Thing As A Free Lunch)」の略で、うまい話はないってことらしい。
借金でいい暮らしをしていても、いつかは返さなくてはならず、返せないときは破産することになり、場合によっては刑務所に行くことになるかもしれない。国家規模で借金暮しをしていれば、国民みんなが破産したり刑務所に行くことになるのだろうか?
この本が書いていることは見方を変えれば当たり前のことでしかない。借金は悪ではないが、返さなくてはならないということだ。そしてうまい話はそうはないということも間違いない。
この本を読むまでもなく、過去いい加減なことを語っていた経済評論家は多い。
大前研一は韓国のウォン預金しようと語っていた。幸い日本人は直接韓国に預金はできないらしいが、円をウォンに換えることはできる。もし1年前そんな話を信じて両替していたら、為替差異で大損したことは間違いない。いや韓国経済はまだ決着がついておらず、これから先ウォンは無価値になるかもしれない。
オーストラリアとかニュージーランドの外貨預金ももてはやされた。もし200万位預けておけば年利10%以上だからなんてとらぬ狸の皮算用ですよ。
中国の外貨準備高が世界一になり日本経済は終わりだと語っていた新聞社もあったように記憶している。日本の外貨準備高より中国の外貨が増えても日本がだめになるということもないような気がする。それはともかく、中国の外貨準備高が増えたのはなぜか、ということをその新聞社は知らなかったらしい。

イソップ物語は、世の中のすべてのことを語りつくしているようだ。イソップ物語は経済についてもちゃあんと語っている。
夏の間ありさんは一生懸命に働いていました。それをみてキリギリスさんは「ばかだなあ」と言いました。冬が来てキリギリスさんが食べるものがなく、ありさんに「恵んでください」とお願いしましたが、ありさんは「ばかだなあ」と言いました。
バブルの時日本人は一生懸命に働いていました。それを見て金融立国の国々は「ばかだなあ」と言いました。バブルがはじけて金融立国の国々は日本人に「恵んでください」とお願いしましたが、日本人は「ばかだなあ」と言いました。
アイスランドとは人口30万、大した産業もない。漁業と金融業が主たる産業だそうだ。
漁業はわかるけど、他の産業がなくて金融業が主要産業というのは不思議だ。マネーゲームで国家を成り立たせ、汗水流して働いている日本の倍もの一人当たり国民所得があったということは不思議の一言
もっとも09年には日本の半分以下あるいはもっと少なくなるだろう。
タンスターフル
アイスランドは円建て外債(サムライ債)を何100億と踏み倒している。キリギリスと呼ばれても反論できまい

この本の表紙を見て箱根駅伝を連想した。
富士山と日の丸の図柄・・似ているようで少し違うが、イラストを書いた人は箱根駅伝のシンボルをイメージしていたのだろう。
箱根駅伝崩壊する世界 繁栄する日本

愛校心(愛国心)、努力、友情、栄冠・・・そういうものをひっくるめて箱根駅伝と日本をだぶらせたに違いない。
おっと、これは少年ジャンプの三大原則『友情、努力、勝利』そのままじゃないか 

本日のまとめ
 さらば日本悲観論(この本の副題)


木下様からお便りを頂きました(09.04.05)
ええと
そもそもサブプライムローンの破綻てなんなんだ? 恐慌は本当に起きたのか? 気分とか雰囲気だけから不況になったの?

ものの本によれば、実際そのようですね。大雑把に言えば、「普通の債権と不良の債権とを混ぜて売ったら不信感がつのった」わけです。けれども理論上、この「混ぜて売る」というのはマトモな事なんですね。なぜなら数が多けりゃマズイのが多少あっても問題ないからです。

でも人間の考える事は理論では量れなかったということですね。
木下様 毎度ありがとうございます。
良いものと悪いものを混ぜて売る・・それがマトモなことなのか?まともでないのか?私にはわかりません。
しかし銀行でも会社でも評判、うわさで破綻することは多々あります。やはり疑われるようなことは避けるべきでしょうね
そして危ないと言われても、大丈夫と言えるようでなければだめということでしょう
ともかく木下様、デイトレーダーなんかして食べていこうなんてならない方が良いですよ

SLEEP様からお便りを頂きました(09.04.10)
おひさしぶりです
サブプライムというのは従来のやり方ではお金を貸せない高リスクな人向けの融資ですね。要は住宅ローンが貸し倒れしても清算時にそれ以上の値段がつけば、貸し手も借り手も儲かってハッピーというシナリオです。人口増で好景気となれば住宅市場は値上がりするのが道理ですから、金融商品としてはおいしく、比較的手堅い商品だと思えたんでしょうね。
金融トレーダーというのは自分の意思で良い企業、悪い企業を選別する仕事です。言ってしまえば格付け機関のようなもので、良い企業にお金を出し、悪い企業に市場から退場させる大事な仕事です。デイトレーダーというのはそれの極端に短いスパンで儲けを出す仕事なわけです。大規模事業や研究のリスクを分散するためにはこういう人たちが欠かせないんですね。今回のように失敗すれば当然路頭に迷うわけですが、再出発者や新規就業者のスペースもできるわけですし、終身雇用の年金保険庁のアホどもよりよほどマシじゃないでしょうか。
おお!SLEEP様 お元気でしたか?
SLEEP様は以前議論途中からいなくなってしまったので、死んでしまったのかと思っておりました。
私は議論の結果にこだわるほうではありませんが、言いたいことだけ言って、不利になると逃げてしまうような人が、過去のいきさつも断らずノコノコと現れるのはどうでしょう?
SLEEP様、議論が思い通りに行かないとさっさと逃げ去るのでは相手に対して失礼というか、そもそも議論に参加する資格がありませんね。
でも私はやさしいから、SLEEP様に再出発の機会をあげましょう。
あなたの語った証拠と根拠を提示してください。
・金融トレーダーというのは自分の意思で良い企業、悪い企業を選別する仕事です。
・金融トレーダーというのは言ってしまえば格付け機関のようなものです。
・大規模事業や研究のリスクを分散するためにはデイトレーダーが欠かせない。
・再出発者や新規就業者のスペースもできる。
・終身雇用の年金保険庁のアホどもよりよほどマシなのは誰?
 そしてその理由を述べよ
全部あなたが書いたのだから当然立証できますよね?
お待ちしております。

やよい様からお便りを頂きました(09.04.10)
月に約4千円
やっとというかうちの会社も朝P新聞の購読中止を決定しました。
理由が「役に立たない」と「経費削減」だそうです。

最後に管理人様
優しい人が自分から優しいって言うんですか?!(笑)
どうも私には怪しく感じてしまいますよ。
やよい姫様 毎度ありがとうございます。
これで朝日新聞はミッドウェーを過ぎ、いよいよ倒産のレイテ沖に向かってまっしぐらですね 
私はやさしい人間ですよ、まっとうな人ならSLEEPさんのような行為は、即アク禁でしょうね
私は何度でもやり直しがきく人生であるべきだと思います。
SLEEP様からお便りを頂きました(09.04.11)
これはとんだご無礼を
暖かい言葉身に染み入ります。
日本人ならだいたい少しは預金があるものですが、その預金をどう運用するかが投資家やトレーダーという職業です。お客から預かった(或いは自分の)大事なお金ですから少しでも利息の高いそして安全性の高い借り手に貸したいのは当然です。皆様もご職業はさまざまでしょうが、少しでも売り上げや利益が上がるように日頃からやっていることと同じなのでごく普通のことだと思われます。
そこで例えばAという企業から何か悪い噂が流れれば、或いは逆に良い兆候が感じられれば、市場において多少の株価や債権などの値動きが見られます。その値動きが言ってしまえば(多少のずれはありますが)世間の評価となるわけです。通貨や国債も同じでアルゼンチンの国債なんて過去の実績を見ればいつ紙屑になってもおかしくないんですが、利率が良い+通貨の変動幅がでかいので二重にハイリスクハイリターンなわけです。ベンチャー融資なんかも同じですね。日本人感覚で言えばそんな火遊びは良くないとなりますが、借りたい人がいる以上貸し手としてなんとかしたいというのは悪いことではないでしょう。そして成功すれば国家を貧困から救ったり新技術開発に寄与した英雄ですが、失敗すれば失職やホームレスであって厳しい仕事だと思います。それでもあいつらみたいに俺も一発やってやろうという若者を引き付ける余地が常にあるわけですし、逆に言えば年金保険庁ですとか国家が身分保障をしている役人がそんな連中に勝てるか・・・まあ無理ですね。社会主義はだから発展しない、とこれは余談ですが。
管理人さまから見ますと怠惰なキリギリスに見えるかもしれませんが、実際は情報を武器に四六時中戦う現代の忍者かもしれません。
SLEEP様 ご回答ありがとうございます。
判定委員会での審査の結果、貴君は及第点に達しないと判定されました。
よって、レポートの再提出を求めます。

■判定不可の理由
設問を理解しておらず、回答が問いに対応していない。
■コメント
設問の意図を誤解したのか、理解できなかったのか、あるいは真正面の回答を避けたのかは不明である。
木下様からお便りを頂きました(09.04.12)
茶々
いつもの管理人様らしくもない辛辣な態度ですね〜。では私から横やりと茶々を入れてみます。

・金融トレーダーというのは自分の意思で良い企業、悪い企業を選別する仕事です。
ここでいう良い企業と言うのはカネを増やせる企業、悪い企業と言うのはカネを増やせない企業です。この仕事をする人は投資家とも言うはずです。

・金融トレーダーというのは言ってしまえば格付け機関のようなものです。
自分の金を増やすのが仕事ですが、それにはまず上記の良い企業を見つける必要があります。ある企業が良い企業か、悪い企業か見極めなくてはいけません。一方各付け機関は自分で金を出すわけじゃない所が違いますね。

・大規模事業や研究のリスクを分散するためにはデイトレーダーが欠かせない。
大規模事業や研究は成功すればタイ米になりますが失敗すれば損して終わりです。デイトレーダーは成功しそうな研究には投資してくれますが、失敗しそうなのには出しません。その結果、失敗しそうな研究は行われなくなるんですね。またリスク分散のためには、雲行きが怪しくなればすぐ手を引けるようにしておく必要があります。

・再出発者や新規就業者のスペースもできる。
悪い企業が潰れれば良い企業が市場に入り込む余地ができるという事でしょうか?

・終身雇用の年金保険庁のアホどもよりよほどマシなのは誰?
デイトレーダーでしょう。少なくともデイトレーダーは商売ですから社会保険庁みたいなことすりゃ責任を問われて首切られるでしょう。しかし年金保険庁とは何じゃらほい。
木下様 毎度ありがとうございます。
まず第一の良い企業という定義ですが、トレーダーが長期的な見方はしないのではないでしょうか?
とりあえず金になるのが良い企業かと・・
デイトレーダーというものは2000年以前には存在しなかったようです。
なぜでしょうか?
まあ、木下様は問いに真っ向から対応するので「可」をあげましょう。

木下様からお便りを頂きました(09.04.13)
そこなんです。
まず第一の良い企業という定義ですが、トレーダーが長期的な見方はしないのではないでしょうか?
それが問題とされているようですよ。すぐには結果の出ない研究はあまり好まれません。なぜならすぐにお金にならないからです。これは人間の悲しき性ではないでしょうか。
昔、銀行家は人間を人を見て学資や起業資金を、貸すか貸さないか決めたそうです。
でもそんなことでは数カ月とかで回収は無理です。それに人間を見るというのも難しそうです。
まあ、俗な人間であれば短期的に上がるか下がるかを予測するしかないでしょう。

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