本とインターネット 2009.04.05

最近、ある方から私がネットに書き散らかしているISOに関する小話を、本にまとめて出版したらどうかと言われた。うーん、甘い言葉である。
もっともその方は出版関係者じゃない。つまり先方で出版してやるよというのではなく、私に自費出版してみろよということで、ある意味無責任な発言である。
甘い言葉にはとげがあるのだ 
とはいえ、自分の書いたものが本になるというのはなにかこう魅力的だ。人は誰でもそういうことを夢に思っているのではないだろうか?
1985年の映画「バックトウザフューチャー」の中で、父親が書いた小説が本になって配達される場面がある。父親が包装紙を破いて取り出すのを、家族皆が集まってうれしがっていた。
わかるでしょう!?そんな気持ち
そんなことを言われて、ちょっと考えた。
私の知り合いというわけではないが、ネットに書いていたものをまとめて本にしたという方は結構いらっしゃる。「これでいいのか天声人語」とか「朝日新聞のトンデモ読者投稿」などなど
そして最近はネットのブログなどからメジャーになる方も続出している。著名なのは2ちゃんねるに経済時評を書き込んでいて本物の経済評論家になり、今や引っ張りだこの三橋貴明氏がいる。
もっとも彼に私を比べるのはそもそも間違いではある 

しかしと思った。私のウェブへのアクセスはそんなに多くない。うそ800のトップページのアクセスは毎月約1万である。しかも、仲間が義理でアクセスするのもあるだろうし、同一人物が2度3度とアクセスしているのもあるだろう。しかし目次だけのアクセスで1万である。当然、その下にあるコンテンツもそれと同じ程度は読まれていると想像する。
ところでISOの月刊誌である「アイソス」を例にとると、これはISO関係では有名な雑誌で影響力もある。その発行部数は1万500部と公表されている。
もちろん一部を一人しか読まないということはないだろう。特に会社や認証機関で購読している場合、一冊を5・6人の人が読むだろう。しかし同時にアイソスをまるごと全部読む人もいないのではないだろうか? QMSの審査員はISMSの記事を読まないかもしれないし、EMSの事務局はQMSの特集をパスするかもしれない。そんなことを思うと、私のウェブサイトはアイソス誌と同じくらい読まれているといっては不遜だろうか?

ISOとは違うが漫才師の太田光が2006年に書いた「憲法9条を世界遺産に」という本が当時30万部くらい売れたという。これだけ売れるとベストセラーといえるらしい。
現時点「憲法9条を世界遺産に」をグーグルで検索すると本そのものがトップにくるが、私が書いた批判文が2番目か3番目に出てくる。そして私の批判文のページへのアクセスは累計2万件以上になる。ベストセラーとなった本の批判文を元ネタの発行部数の7%の人に読んでもらえれば十分に憲法9条主義へのカウンターになったのではないだろうか。
仮に私が「憲法9条を世界遺産に」の批判本を書いても、有名でもなければ組織力もないのだから2万部は売れないことは間違いない。
「憲法9条を世界遺産に」が語っていることが正しいか間違っているかは人それぞれだから、ここで決めることもない。
しかし、ある人が本を出したとして、それに反論しようというとき、インターネットがなかった時はその手段がなかった。今はインターネットで無料で多少の労力をかければ批判行動ができ、そして皆が関心を持ては見てもらえるという手段があるのだ。これはものすごいことだ。
そもそもネットとはなにか?と考えれば、一般庶民が無料で世界に発信できる武器だと思う。そして技術の進歩は、ウェブサイトからブログ、ソーシャルネットワークと、どんどんと垣根が低くなってきており、使いこなすための技量もお金もいらない。だれでも活用できるのだ。
私の目的は、ISO審査がまっとうになってくれればよいのであって、別に有名になりたいとか、仕事を得たいとか、あるいは金が欲しいなんてことはまったくない。そういうことを踏まえ、費用対効果を考えるとわざわざ本にして発行することもなさそうだ。

考えてみれば自分の発見や主張を、本にする意味というのはなんだろうか?
そりゃ自分の名前が入った本という形になれば名誉であろうし、まとまったことをしたという達成感も得ることができるだろう。学者や教員であれば著書が何冊あるということはひとつの評価指標となるだろう。
だが我々はそんな名誉もいらないし、そういう価値観も持っていない。
参考までに、印税なんてたかが知れている。新書の場合初版の発行部数が1万から2万だそうだが、仮に第1刷が1万部で売値が800円として、800万かける印税1割で80万円! 印税を期待して本にすることはなさそうです。
うそ800
本日の出版物
「うそマネジメントシステムの国際規格」
一部300円くらいで売れるものでしょうか? 


この絵を書くのに・・1時間かかりました。トホホ



ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(09.04.06)
つい最近まで新聞社への投稿や細々と自費出版するしか自分の意見・考えを世に問う手段がなかった時代からすれば、本当に隔世の感がありますね。
また、人の口に戸は立てられぬと言いますが、インターネットが普及してこの慣用句は名実ともに不動の地位を築いたのではないかと思います。
昨今、企業の不祥事が続々と明らかになるようになったのは、インターネットによるカキコや内部告発が大きな要因であって、発生数(潜在数)そのものは大きな増減幅はないのかもしれません。
話が逸れました。
情報伝播の手段という点ではインターネットは素晴らしいものがありますが、書籍といえども侮れません。紙に印刷され、ずっしりと重量感があるというだけで、同じ文章であっても値打ちが異なるように感じられるのが不思議です。
ISO(というより歪んだ審査制度)にプレッシャーを受けていたり、ダメージを受けている人はおそらく何万人もいることでしょう。そうした方たちのためにもこのサイトが書籍化されれば、大きな力になるのではないかと思います。もしかしたら、書籍を教材に使う企業や教育機関が出てくるかもしれません。
名誉や印税は二の次として、もし通常の書籍として(自費出版はキツイでしょうから)出版のチャンスがあれば、価値を世に問うてみてはいかがでしょう。

たいがぁ様 そんな甘い言葉を・・
前提をお忘れなく
  自費出版ですよ
そんなたいそれた賭けはできません!

あらま様からお便りを頂きました(09.04.05)
佐為さま あらまです。
さて、桑田真澄さんのように、高卒でも大学院に入学できるそうですね。
入学の審査の時に、著書などがあれば有利だそうですよ。
そこで、佐為さまのこのホームページのコンテンツなら、入学の資料というよりも、修士論文、いや博士論文にも匹敵するかもしれません。
最近は、体裁なんて問わないようですから・・・

あらま様 その甘い言葉にだまされて・・・
アブナイ、アブナイ
私はお金のかからないことが大好きです

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