有益な環境側面(2012年調査結果)

12.06.25
目的
ISO14001の審査において「有益な側面が必要である」という観察もしくはアドバイス、または「有益な側面が抽出されていない」という不適合が出された経験のある企業担当者は少なくないだろう。もちろん私もそのような不適合を出された経験もあるし(当然拒否した)、そういう発言のあった審査に立ち会った経験は複数ある。
最近では、ISO-TC委員の寺田さんが「有益な環境側面という言葉は規格にない」と語ったという話は広く関係者に膾炙してきたように思われる。
では今現在は、講習会あるいは審査の場において、有益な環境側面はどのように扱われているか、要求されているのかいないのかということは重大な関心ごとである。
よって、2012年6月時点の認証機関などの見解を調べてみた。
その結果は、驚くべきものであった。
そもそもの発端は、同志ぶらっくたいがぁさんのブログで有益な側面について論じていた時、私が「ISO14001審査で有益な環境側面が必要と語る審査員がいて困る」と書いたら、同志から「今はもうそんなことを語る審査員はいないんじゃないか?」というご意見があったので、じゃあ実態はどうなのかと調べてみることにした。

定義・用語
ここでは「有益な環境側面」と「プラスの環境側面」を同義として取り扱う。

調査方法
  1. googleで「有益+環境側面」で検索して、そこで抽出されたもの。
  2. JABが認定したEMS認証機関すべてのウェブサイトについてgoogleで「有益+環境側面」をキーワードにウェブサイト内検索を行った。
    この方法は上位レベルからリンクされていないページ、及びリンクを切られたものも含まれる。
    また単純にgoogleで「有益+環境側面」で検索して抽出されたもの、及びキャッシュが残っていたものも、削除した旨の記載がないものはここに加えた。
  3. CEARが承認したEMS審査員研修機関すべてのウェブサイトについてgoogleで「有益+環境側面」をキーワードにウェブサイト内検索を行った。

結果をまとめると
  1. 認証機関
    有益な環境側面があるという論をウェブサイトにアップしている認証機関は、JAB認定44機関中8機関で18%であった。
    有益な側面
    ある
    有益な側面
    ない
    なお、JACOは2010年頃に有益な環境側面についての言及をやめていること、並びにJARI-RB及びMICは顧客組織からのレターにのみ有益な環境側面があり、この3機関を除くと11%である。
    (注1)
    JACOは有益な環境側面があるという見解を変えたとは表明していない。
    (注2)
    JAB認定のマネジメント認証機関は47機関であるが、EMSが認定範囲のところは44機関である。

    なお、参考までにであるが、アイソス誌2010年1月号のアンケートでは、「有益な側面がない場合不適合」としていた認証機関はJAB、ノンジャブを合わせて44機関中20機関で45%であり、2年半で四半減していることになる。

    アイソス誌2010年1月号のアンケート結果

    有益な側面
    必要
    有益な側面
    不要


  2. 審査員研修機関
    有益な環境側面があるの明記している、あるいはその方法を教えるとウェブサイトに記載しているところは、CEAR承認10機関中9機関で90%であった。
    なお、この中には機関としての主張ではなく、外部講師の発言もあるが、機関のウェブサイト内に掲載されていることから、その主張をその機関が容認しているとみなした。
    但しLMJはウェブにアップされた寄稿にのみ有益な側面があり、また前項のJACOは審査員研修事業も行っており、この2つを除くと7機関となり70%となる。
    有益な側面
    ある
    有益な側面
    ない

  3. コンサルタント・ISO審査員
    有益な環境側面があると主張しているコンサルタントはそう多くないが、活発にメルマガなどを発信しているところが多い。
    反面、有益な環境側面はないと主張しているコンサルタントや審査員も複数いる。

結論は
2012年6月時点、有益な環境側面があるという主張は決してマイナーではなく、それは審査員個人レベルの問題ではなく、認証機関、審査員登録機関において存在している。特に審査員研修機関においては大多数を占めている。
認証機関はJABによる認定審査を受けて適合判定を受けていること、並びに審査員研修機関はCEARによる承認審査を受けて適合判定を受けていること、及びCEARはJABの認定審査を受けていることから考えると、JAB(日本適合性認定協会)はISO14001に有益な環境側面があると考えていることは間違いない。
とすると、有益な環境側面があることを表明していない認証機関及び審査員研修機関は不適合になるのだろうか?
当然、有益な側面を抽出していない組織も規格不適合となる可能性があると言える。仮に有益な環境側面を抽出していない組織の審査において、審査員がそれを問題としない場合、認定審査員によって不適合とされるおそれがあるということだ。これは重大問題である。
もっとも有益な側面を語る人によって、その意味合いがさまざまであるのはどうしたことであろうか!?
そして人により定義がさまざまであいまいであるにも拘らず、不適合が出せるのかということは不可解である。
つまり明確な定義はないが、有益な環境側面はあるのだという意見が暴走しているだけのようにも思える。そして、有益な環境側面とISO14001規格の関係は全く不明である。
まったく、ワカラン

ここでは特段、論評を付けずに調査結果のみ羅列する。
詳細は各位におかれて確認願います。またご判断についても各位に一任する。



以下、調査結果

  1. 認証機関
    すべて2012.06.24アクセス及びサイト内検索にて確認済
    認証機関名称有益な環境側面の言及内容
    日本規格協会審査登録事業部(JSA) なし  
    日本検査キューエイ株式会社(JICQA) なし  
    日本化学キューエイ株式会社(JCQA) なし  
    日本ガス機器検査協会 QAセンター(JIA-QA Center) なし  
    日本海事協会(ClassNK) なし  
    日本海事検定キューエイ株式会社(NKKKQA) なし  
    高圧ガス保安協会(KHK) なし  
    日本科学技術連盟 ISO審査登録センター(JUSE) あり 有益な環境側面に関する提案など多数あり
    環境マネジメントシステム審査の現場から
    日本品質保証機構(JQA) なし  
    日本電子部品信頼性センター(RCJ) なし  
    SGSジャパン(SGS) なし  
    電気安全環境研究所(JET) なし  
    日本能率協会(JMA) あり EMS改善セミナーパンフレット(2012/6/25・10/22開催)
    本来業務から見直すEMS改善セミナー
    建材試験センター(JTCCM) なし  
    ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA) なし  
    日本エルピーガス機器検査協会(LIA) なし  
    日本建築センター(BCJ) あり 有益な環境側面に関する資料や説明など多数あり
    ISOだより(2007/1/9)
    DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン(DNV) なし  
    日本自動車研究所認証センター(JARI-RB) あり
    但し顧客組織からのレターのみ
    有益な環境側面に関する資料や説明など多数あり
    JARI-RB審査ニュース(2009/1/15)
    JARI-RB審査ニュース(2009/11/15)
    ウェブサイト内、パンフレットなどでは有益な側面があると記述していない。審査登録した組織が有益な側面を取り上げている。
    日本環境認証機構(JACO) あり

    ウェブサイトなどから2010年頃に有益な側面がないと考えて修正したように見える。
    有益な環境側面に関する資料や説明など多数あり
    JACO環境マネジメントシステム審査の考え方
    www.jaco.co.jp/content/110232.htm (現在ページは削除されている、キャッシュはあり)
    JACO NEWS(2004/12)
    JACO NEWS(2008/10)
    ISO認証とセミナーのご案内(2006/6/23)パンフレット・但し(2011/11/22)版では有益な影響と訂正されている
    三重県環境保全事業団(MEC) なし  
    防衛基盤整備協会(BSK) なし  
    マネジメントシステム評価センター(MSAC) なし  
    ペリー ジョンソン レジストラー インク(PJR) なし  
    日本燃焼機器検査協会(JHIA) なし  
    ベターリビングシステム(BL-QA) あり 「有益な環境側面」及び「有益な環境影響をもたらす環境側面」という表現あり
    ISONET(2010/4/26)
    ISONET(2007/1/30)
    ISONET(2011/1/24)
    発電設備技術検査協会(JAPEIC) なし  
    岐阜県公衆衛生検査センター(GRCA) なし  
    国際規格認証機構(OISC) なし  
    国際システム審査(ISA) なし  
    エイエスアール(ASR) なし  
    BSIグループジャパン(BSI-J) なし  
    トーマツ審査評価機構(Deloitte-TECO) なし  
    アイエムジェー(IMJ) なし  
    ジェイーヴァック(J-VAC) なし  
    ビューローベリタスジャパン(BV) なし  
    和歌山リサーチラボ(WRL-ISO CENTER) なし  
    ISO審査登録機構(RB-ISO) なし  
    国際規格審査センター(ISM) なし  
    テュフ・ラインランド・ジャパン(TUV Rheinland Japan Ltd.) なし  
    北日本認証サービス(NJCS) なし  
    日本審査機構(JAO) なし  
    AUDIX Registrars (AUDIX) あり 有益な環境側面に関するページあり
    ISO14001の審査登録サービス
    社長である齋藤喜孝氏の有益な環境側面に関する著作、寄稿、発言は多数あり。
    ムーディー・インターナショナル・サーティフィケーション(MIC) あり
    但し顧客組織からのレターのみ
    認証機関としては有益な側面があるとは言及していないが、機関誌に「有益な側面を特定した組織の活動」を多々取り上げている。
    MIC情報通信(2007/4)
    MIC情報通信(2005/10)


  2. CEAR承認 EMS研修コース審査員研修機関
    すべて2012.06.24アクセス及びサイト内検索にて確認済

    研修機関名称有益な環境側面の言及内容
    株式会社テクノファ(TF) あり 有益な環境側面に関するページあり
    経営に役立つ「プラスの環境側面」
    「わかりやすい環境側面と影響評価」セミナー(TE74)
    「2004年版対応 ISO14000経営に役立つプラスの環境側面」書籍
    ISO14001中小企業のためのシステム構築コース(TE61)
    株式会社日本環境認証機構(JACO) あり 認証機関の表を参照のこと
    株式会社グローバルテクノ(GTC) あり 有益な環境側面に関するページあり
    EMSステップアップコース(コード:ESU)
    講師よりご挨拶
    株式会社LMJジャパン(LMJ) あり LMJの見解としての記述はない。
    AUDIX社長の齋藤喜孝氏の寄稿と受講者からのレターのみに有益な環境側面の記載がある。
    ISOメールマガジンVol 8
    ISOメールマガジンVol 9
    ISO業務の現実(卒業生のお便り) 第01
    中部産業連盟(CHU-SAN-REN ISO) あり 有益な環境側面に関するページあり
    有益な環境側面を活用してEMSを経営に役立てる(半日間セミナー)
    ISO14001環境影響評価技法研修(1日間セミナー)
    日本科学技術連盟(JUSE) あり 認証機関の表を参照のこと
    日本能率協会 ISO研修事業部(JMA) あり 認証機関の表を参照のこと
    日本海事検定キューエイ(NKKKQA ISO‐SC) なし  
    品質保証総合研究所(JQAI) あり 環境影響評価見直しコース (1日)
    法政大学 環境センター(CEI) あり 有益なプラスの環境側面に関するページあり
    EMS研修講座パンフレット


  3. コンサルタント及び審査員などが解説しているウェブサイト/ブログ
    有益な環境側面があると主張しているもの

    名称コンテンツ日時内容
    ISO総研 2007/3/21 http://blogs.yahoo.co.jp/yamaguchinoriaki/47477699.html
    http://www.isosoken.com/seminar/002/post_10.php
    ISOレベルアップ社   http://homepage3.nifty.com/iso-levelup/melmaga(levelup)/no.4uekisokumen.htm
    中小企業ISOサポートセンター   http://blog.livedoor.jp/isosupport/archives/50683744.html http://www.isoranking.com/backnumber9_20.html
    UL ASG JAPAN,Inc   http://ulasg.com/consulting/iso14001/qa
    環境ISO研究会名古屋   http://plaza.rakuten.co.jp/isoiso/diary/200609120000/
    アイエムエスコンサルティング株式会社   http://dir01.keiei.ne.jp/dir/ims-c/column/10042666.html
    ISOブログ 2005/3/19 http://blog.livedoor.jp/isolog/archives/16723349.html#
    こちらISO事務局です   http://mawai.fc2web.com/iso14000/ISO14000_02_02.html
    コーヒーブレーク 2006.02.09 http://nsweb.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_9d2b.html
    帝国データバンク 2009年3月10日 http://www.tdb.co.jp/knowledge/iso/03.html
    システムアップ 2008/12/30 http://sys-assist.co.jp/archives/tag/%E6%9C%89%E7%9B%8A%E3%81%AA%E7%92%B0%E5%A2%83%E5%81%B4%E9%9D%A2
    ISO MASTER   http://www.iso-master.com/iso14001/lu_yueki.html
    (株)東北環境技術 2009/09/29 http://www.tkgiso.co.jp/blog_iso/2009/09/post-31.html
    社団法人日本印刷技術協会 2005年2月号 http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=8671
    赤字企業を黒字にする企業ドクター・ホリコンの経営改善クリニック 2010-05-25 http://ameblo.jp/horicon/entry-10544632344.html
    知的漫遊紀行 2010.10.25 http://plaza.rakuten.co.jp/ryu32/diary/201010250000/
    (株)ティーディーエス   http://www.tdsconsult.co.jp/glossary01.html
    ISO WORLD アイソス2006年6月号 http://www.ecology.or.jp/isoworld/iso14000/salon95.htm
    国際規格マネジメント 2008年1月24日 http://iso-consult.jp/iso14001/14001funto19.shtml
    NKSJリスクマネジメント 2010/2 http://www.nksj-rm.co.jp/publications/pdf/r09.pdf
    東京商工会議所   http://www.tokyo-cci.or.jp/soudan/iso/etc/
    日本建築センターシステム 2007/1/9 http://www.bcj.or.jp/src/c04_iso/news/iso014.pdf
    (株)ハピネックス   http://www.happinex.co.jp/iso/consulting/isodvd.html
    KIS   http://www.kanbara-iso-support.jp/CCP004.html
    アイソット・ラボ   http://www.iil.co.jp/?page_id=27


本日の要請
以下についてご回答が得られれば幸甚であります。
  1. 認定機関へ
    1. 貴機関は有益な環境側面が存在すると考えているのか否か。
    2. 有益な環境側面があると語る認証機関とないと語る認証機関が両方存在することは矛盾ですが、この矛盾はどのようにお考えなのか。
    3. 前記と同様に、有益な環境側面がないという不適合あるいは観察を出している&出さない認証審査が併存していることについて、認定審査においてどのように判断しているのか。
  2. 有益な環境側面があると考えている認証機関へ
    1. そのお考えの根拠はなにか。
    2. 有益な環境側面の定義を明示してください。
    3. 有益な環境側面とはISO14001規格にありません。よって審査で要求する場合、事前に書面で組織にその旨提示する義務があると考えますが(ISO17021参照)、そのような手順はありますか。
      また実行していますか。
    4. 審査で有益な環境側面がないという不適合ないし観察を出している場合、その根拠はどのshallに対応しているのか。
    5. 特定のshallがなくて不適合を出すことについて判定委員会は問題視していないのか
    6. もし認証機関としては有益な環境側面はないと考えていて、審査員レベルで有益な環境側面があるとして指導や指摘を出している場合、その是正処置を行っていますか。
  3. 有益な環境側面があると教えている研修機関へ
    1. そのお考えの根拠はなにか。
    2. 有益な環境側面の定義を明示してください。
    3. そのようなアイデア(あるいは理屈)がISO規格と整合していると考えた根拠を示してください。
  4. 有益な環境側面があると情報発信しているコンサルタント、審査員、組織の方々へ
    1. 環境側面の定義をご説明願います。
      ひょっとして勘違いされているかと思いますので・・・
    2. 有益な環境側面の定義を明示してください。

本日の願い
5年後にも同じことを調査したいと思う。
そのときは、どうなっているだろうか?

本日の最後っ屁
私は思い付きだけでは書いていない。
それなりに情報収集に努め、裏付けをとり、証拠を基に書いている。
力仕事を避けてはいけない。



名古屋鶏様からお便りを頂きました(2012/6/25)
素晴らしいレポートですね。感嘆いたしました。
要するに、ココに挙がった企業が「地雷」というワケですね。しかし天下のLMJが「あり」派とは驚きです。JMAがそうなのはパンフレットで知ってましたが。
それにしても「あり」派の社名やらWEBサイト名の何と「イタイ」ことか・・・w

名古屋鶏様 毎度ありがとうございます
LMJは講師であるかの齋藤喜孝氏が寄稿しているだけです。もっともそれを掲載しているということは、その考えを承認しているということかもしれません。ハハハ

ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(2012/6/25)
5年後にも同じことを調査したいと思う。
そのときは、どうなっているだろうか?


すでに制度が崩壊していて調査不能。という可能性もアリですな。

たいがぁ様 毎度ありがとうございます
すでに制度が崩壊していて調査不能。という可能性もアリですな。
可能性ありではなく、可能性大だと推測します
まあ、ISOで食っている人がISOを食いつぶしたと思えば、それもやむなしかと・・

マサ(柾)様からお便りを頂きました(2012/6/25)
感激です、有益なレポートありがとうございます!!
今度受ける審査機関が「アリ」になってまして、なんだか、わくわくしてきました♪

事前にケーススタディ力量シリーズを読めていたことは、非常に心強いです!
この場を借りて感謝の言葉を述べさせてください。
ありがとうございます!!

マサ(柾)様 毎度ありがとうございます。
私はなんでも裏を取ることにしています、そうでないとうっちゃり、けたぐりをくらいますから。
自分で調べると自信をもって話せます。


しょうちゃん様からお便りを頂きました(2012.06.27)
おばQさま、おひさです。しょうちゃんです。
相変わらず有益な環境側面に対してのおばQさまの執着、スゴイですね。敬服します。
些細なところで、「(ISO170021参照)」って、ゼロが一個多いです。
LMJのS師匠は昔からのスタンスですので、あの方から「有益な側面」が無くなったらあの方がオシマイでしょう。それで不適合を出せという教育はしていないとは思いますが。。。
同じくLMJのM師匠は「プラスの側面」という表現を、別の意味で使われています。ややこしくてかなわん。

しょうちゃん様 毎度ありがとうございます。
ISO170021・・・ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。
私は有益な環境側面に執着していると言われると若干異議があります。といいますのは、私は審査の場以外では有益な環境側面を主張するのはかまわないと前から申しております
ただ、審査で有益な側面がないと不適合だと言われたり、著しい環境側面それぞれに有益、有害の区別をしないと不適合ですと言われると困るということです。そして、そのようなことはつい今年の2月にも経験しているところなのです。
そういうことでは困りますよということが論点です。
審査員研修機関において、有益な側面があると教えているところが多々あることは、私のまわりの人が実際に昨年だけでも数名受講しており、ウラを取っております。そういう研修機関で研修を受けて試験を受けて登録した審査員は、まじめに有益な側面がないと不適合となるのではないでしょうか。
ホントを言えば、研修機関で教えられたことよりも、認証機関の先輩審査員、ボス審査員の影響の方が大きいでしょうけどね。
また某企業の認定審査において、認証審査員が有益な環境側面について言及していないと、認定審査員からいちゃもんがついたといううわさも聞いております。
執着と言われると・・・なにか私がパラノイアのようで、ちょっといやですね。
S師匠については十分存じております。まわりがS師匠をもちあげて、みんな楽しくやっている分にはほほえましいだけで、こちらはなにも苦情をいうことはないのですが、実際の審査の場で相対する審査員が「Sさんも語っているように」と引用する実態をみると、そりゃ、やっぱし迷惑を受けていると言わざるを得ません。
という、私の過去の審査の経験、周りからの困りごと相談という長年の問題を解決するためには、有益な側面を徹底的に叩きのめすこと、そして主張している人が心を入れ替えてもらわないと、ISO14001がダメになってしまうという危機感を持っております。
有益な側面でもプラスの側面でも主張している人には、「審査の場で要求するのか?」、「不適合にするのかか?」とダンビラ抜いて相手に迫りたいというのが本心です。そして審査の場では言いませんというなら、そのほかの場で語るときは、それを明確にしてほしいものです。
といいますと、私はやっぱし相当執着心がありますね。
もし、しょうちゃんが今まで「有益な側面がないから不適合」なんて言われたことがないなら、幸せな人です。

外資社員様からお便りを頂きました(2012.06.27)
おばQさま
またまた、本質に関わらない局部的なツッコミで済みません

調査結果は、「有益な環境側面」について記載がある場合を「あり」として、それ以外を「なし」とされたのですよね?
ならば、「なし」というのは「記載が無い」だけであり「記載無し」がより状況に近く、「有益な環境側面が無い」と言ってる訳ではないのでは?
有益な環境側面があると語る認証機関とないと語る認証機関が両方存在することは矛盾ですが、この矛盾はどのようにお考えなのか。
もし、「なし」が「記載無し」とすれば、それをもって矛盾とは言えないように思いました。

外資社員様 毎度ありがとうございます。
おっしゃるとおりです。私は「ある」とアップしている認証機関を「ある」、明示していない認証機関を「ない」としました。明示していない認証機関が実際には「ある」と考えている可能性もありますし、実際に認証機関がどう考えているかは不明ですが、その配下の審査員が「ある」という考えで審査を行っている証拠は複数把握しております。
というと、うーーーん、これは困ったぞ、
矛盾か否かは私の表現あるいは考えが至らなかったということなのですが、より大きな問題は私が表に掲示した以上に有益な側面があると考えている認証機関が多いということになります。
それは日本のISOのためにはより一層まずい事態ですわ・・
203高地で戦死者多数を出し、攻めあぐねている乃木将軍の心中であります。


外資社員様からお便りを頂きました(2012.06.28)
おばQさま
すでにお書きになっているように、一部の審査者が、そのように考えているというのもあると思います。
ですから、「あり」でも、会社としての考えでは無いかもしれません。
すでにケーススタディでお書きになったように、審査を受ける側から否定されて引っ込む程度ならば、なんら必然があるのではなく、「そのような評価観点がある」という程度の価値観かもしれません。
戦中の内務班の暴力と同じで、なぐった側は覚えていないが、殴られた側は忘れないのと同じです。
「あれほど過酷な体罰をしておいて、今更 知らないというのか?」というのは、殴られた側の気持ちなのですね。
殴った側は、事実を指摘しても「そういう指導をしたかもしれないが、あくまで良かれと思ってだ。 軍隊の仕来りに少しでも早く慣れてほしいという親心」と答えるでしょう。
ましてや、陸軍としては「体罰は厳に禁じていた」のですから。
もし、これと同じならば、社会心理学の範疇のお話かもしれません。

外資社員様、毎度ありがとうございます。
私も思うのですが、当事者でない方から見れば、私が語っていること、糾弾していることなど、ドーデモイイことだろうと思います。目くそ鼻くその類かもしれません。自分でも笑ってしまいますよ。
おっしゃるように昔の軍隊であろうと、今の学校でも会社でもイジメている方は大したことではないと認識しているでしょうけど、いじめられている方にとっては、そりゃ重大深刻なことです。
外資社員様は昔の映画で「大出世物語」というのをご存じでしょうか? 吉永小百合と浜田三夫が出演した映画で、小百合と三夫は恋仲なのですが、初めは社長の御曹司の三夫が「身分の違いなど気にしない」と言って、屑屋の娘の小百合が「お金持ちはそうでも貧乏人はそうではない」というのですが、最後に小百合の親父(小沢昭一)が社長になると二人のセリフが反転するのを覚えています。もう50年も前の話です(笑)
ただ、いじめのような主観的なものとは違い、ISOは明確なルールに基づいたある意味スポーツの試合、知的競技、あるいは裁判のようなものです。
試合(審査)はルールに基づいて行われ、ルール違反は退場を求めます。この試合は、審査員と組織(企業)の試合であって、審査員が審判ではありません。
試合のルールはISO14001、ISO17021、認定機関が定めた基準、認証機関が定めて公開しているルールに限定されます。ヤミテンは禁止です。
という公明正大な試合において、審判が見ていないからとか、相手が泣き寝入りするだろうという発想でゴリ押し無理押ししている認証機関と審査員がいるということは現実です。
以前も認証機関が規格にない不適合を出していることについて私はまとめています。ISO規格に根拠がないにも拘らず、改善提案とか推奨ではなく、「不適合(有罪)」という判定を行うことを一部の認証機関が表明しているのです。それが2009年12月時点は半数もあったわけです。昨日、外資社員様から私の論理の瑕疵を指摘されましたが、その論で行きますと、現時点でも最低18%(論理的にはそれ以上)ということで、この問題は看過できません。私にとってはですが。
部外者から見ればドーデモいいことでも、当事者にとっては重大であり、実質的被害を被るのです。
池に石を投げている人に、カエルが言いました。あなたにとっては遊びかもしれないが、私にとっては命に係わるのだと
ISO規格に基づかない審査をしている認証機関と審査員に言いたい、あなたにとっては遊びかもしれないが、私にとっては重大な問題なのだと
まとめますと、これは社会心理学の範疇ではなく、審査というルールに反すること及びすべて文書に残っていることを踏まえて、法廷闘争に値すると考えます。
ま、私も青いとは自認します。


外資社員様からお便りを頂きました(2012.06.29)
おばQさま
例によって、説明が足りないコメントで済みません。
社会心理学の問題だというのは、認証会社側が「顧客には大きな問題にもかかわらず、大きな問題だと気付けない」という点についてです。
併せて、認証側が大事なように言いながら、突っ込まれると「不適合にしない」という対応についてです。
もちろん、ISO認証のあり方から言えば、ルールに基づいて 不適合ならば説明が必要で、その点については全く異存はありません。
とは言え、私がその点について言わないのは、未だISO認証初心者であり、EMSについては浅学にして語れないからなのです。
岡目八目という言葉もありますので、対岸から見ると 認証される側には大問題なのに、する側が その重大さに気づいていないのではという感覚だけが膨らんでおります。 対話や議論が成り立つのは、問題が共有されてからですよね。
現状を伺うにつけ、認証を受ける側の問題意識が、する側に共有が出来ていないように感じています。
これは素人の感覚ですから、間違いである可能性も十分あります。

外資社員様 毎度ありがとうございます。
しょうちゃん様からもご指摘ありましたが、私は有益な側面となりますと過剰反応してしまうようです。なにせ、有益な環境側面という奇妙キテレツなアイデアのために、この10年間ひどいめにあってきましたから
S師匠とやらの首に縄をかけて枝ぶりの良い木につるしたいと願っております。
と、またまた興奮してしまいます。
人間はみな善人だと思います。ただ善意というのが法律上の意味であって、ISO規格に無知、あるいは相手の事情を知らないという審査員がウジャウジャいるのが困ります。
外資社員様はこのような不条理の世界に関わってはいけません。
あれえ! ISOの世界って論理の世界だと思っていたのですが・・


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