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大航海時代の企業とは一つのプロジェクトであり、一航海一企業ということが多かった。それに対して今の企業は終わるつまり期限を定めて清算する予定はなく、いつまでも永続することを前提としているので、ゴーイングコンサーン(going concern)と呼ばれる。 ゴーングコンサーンでないのは、清算企業あるいは時限措置の行政機関くらいだろう。例えば、JESCOはPCBを無害化処理するための国策会社として2004年に設立され、2016年に解散のはずだった。しかしPCB処理が大幅に遅れているから、ゴーイングコンサーンになる可能性もある。 |
公認会計士のお仕事についても委託しないこともできる範囲もあるが、省略
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もっとも第三者による客観的な裏書でなく、自分自身が大丈夫と宣言する自己宣言もなくはない。考えると例外ばかり出てきて話が進まない。
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いちゃもんが付くかもしれない。その前にこちらをお読みいただいてからいちゃもんをつけてください。
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「藤本さん、なにかお困りごとでもありますか?」
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「おお、いいところに・・・話をしたいのだが、ちょっといいかい?」
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「もちろんです。あっちに行きましょう」 と打ち合わせコーナーに行く。 | |
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藤本は座るなりこう言った。 「山田さんは、私がコーヒーを飲んだりしていると話しかけてきますね。様子を見ているのですか?」 |
「もちろんです。私は他の方が忙しく働いているか、息抜きをしたいのか、話しかけてよいのかを常に見ています。そして私に話をしたいと考えている人を見ると、こちらから声をかけるようにしているのです。オットもちろん、他人に気を使うばかりでなく自分の仕事はちゃんとしてますよ」
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藤本はそれを聞いて感心した。 「なるほどね、山田さんはそういうのを営業で身に付けたの?」 |
「残念でした。環境保護部にきてからです。廣井さんを真似したのです」
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「廣井部長が?」
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「彼は自分に話しかけても良いときと、話しかけてほしくないときを明確にボディランゲージで表現しています。そしてまた、他の人の様子を見て話しかけるときと、話しかけてはいけないときを見ています。ここには彼の目下しかいないわけですが、廣井さんはそういうことには大変気を使っています」 藤本はそれを聞いて感心した。自分は今までそんなことを気にしたことはない。用があれば誰にでもいつでも声をかけた。そして確かに自分が忙しいときに声をかけられたこともあった。そういうことを防ぎ円滑にコミュニケーションをとることに気を使わなければならないのだ。 | |
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「いや、廣井さんがそういうメッセージをボディランゲージで発信していたかはともかく、山田さんがそれを理解できるということが真実なのではないですか。 ともかく勉強になりました。私も今から真似をしよう」 |
「藤本さん、お話はコミュニケーションについてではないのでしょう?」
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「そうなんだ、経営に寄与する審査という言葉を聞いたことがあるでしょう。あれってどういう意味なんだろう?」
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「聞いたことありますよ。でも認証機関の宣伝文句でしょう。この本社のISO認証している認証機関もそう語っています。私がここに来てもう4回くらい審査を受けていますが、果たしてなにか経営に寄与したことがあるのかというと・・わかりませんね」 山田は笑った。 | |
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「調べると結構多くの認証機関がそんなことを語っている。 日本検査キューエイ品質方針「申請組織、登録組織等の経営力及び品質向上に寄与する。」、日本化学キューエイ品質方針「マネジメントシステムの効果的な維持及び計画的改善に寄与する」、日本環境認証機構「JACOは「経営改善」に寄与できる審査を基本方針としています」、ベターリビング「ビジネスモデルの改善に寄与するマネジメントシステムの審査」、日科技連「組織に役立つ審査」、その他にも、もっとあるだろう。 実を言ってこのキャッチフレーズの意味をずっと考えているんだけど、わからない。『経営に寄与する審査をお願いします』と言われたらどうしようかと悩んでしまうよ」 もっとも藤本の顔を見れば、悩んでいないことは明白だ。 |
「藤本部長、まず私はこの言葉は認証機関の単なる宣伝文句だと考えています。 ということはとりあえず置いといてと、まじめに考えてみましょう。 まず定義をはっきりしなければ議論のしようがありません。まず経営とはなんでしょうか? 経営に寄与するとはなんでしょうか? この二つをはっきりさせないと話になりません」 | |
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「山田さんが言うとおりだ。経営ってなんだろうね。会社のトップを経営層というのだから、いわゆる役員の仕事を意味するのだろうか?」
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「経営に寄与すると言っても、経営層が経営を行うときに役に立つことなのか、あるいは経営層が下の者を使うときのツールになるものなのかという二通りありますね」 山田はホワイトボードに絵を描きだした。 |
「経営というのはいろいろな意味がありますが、一つは経営層って言われるように事業の方向を決めて命令するという機能でしょう。ここでそれを@とします。社長とか役員は間違いなくここに含まれまる。藤本さんとか廣井さんのような事業所長クラスはどうでしょうか? 経営層ではなく管理監督層かもしれませんね。 もうひとつ経営とは事業を営むことそのものを意味することもあり、そうすると企業活動全部を意味します。ここではAとしておきましょう。 次にさっき申しましたように経営そのものに使う情報あるいは手法としますと、それは@そのものになります。 もうひとつは経営層が決定したことを実行させるときのツールと考えるとBとかCということもあります。あるいはもっとほかにも考えられるかもしれません。 さて経営に寄与するというなら、ISO審査が今述べたどの意味の経営に、どのように貢献するのかを明確にしてもらわないとなりません」 | |
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「なるほど、経営と言ってもいろいろな使い方、意味があるのだね」
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「考えることはもっとあります。@の経営とは、事業戦略を立てること、人事制度とその運用、財務会計のみっつの要素からなると言われています。もし@とすると、それはこのみっつのどれに貢献するのだろうかというのが次の疑問です」
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「ちょいと、お待ちなせえ、」
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森本の声がしたので二人はギョットして顔を上げた。
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「エライさんのお話に加わるのは恐れ多いのですが・・ 僕も一応ISO14001の審査員補に登録していましてね、審査員評価登録センターというところからCEARという季刊誌が来るのです。ちょうど数日前に最新号が届いたところです」 |
「そういえば私のところにも来ていたな、まだ読んでいないけど、おもしろいのがあったのかい?」
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「今回のNo.45号(2012年6月)に『第2回組織に貢献する内部監査(1)』というものがありました。その中で経営に貢献する内部監査をしようとあるのですが、そこでは『優れた経営システムとは、@ロス(不良、機会損失、棚卸ロスなど)及び経費の削減、A経営サイクルのスピードアップ及び工程短縮と効率アップ』とあるのです」
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「わかったぞ! 森本君、要するにISO審査や内部監査でいう経営とは、@の経営層の経営ではなく、管理レベルあるいは担当レベルの活動という意味なのだな」
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「僕はそう思います」
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「つまり経営に寄与する審査とは、経営者を支援したり、経営者が参考にするものではなく、現場レベルの活動を支援したり、参考にするものだということか?」
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「そればかりではありません。ネットに載っている認証機関やコンサルタントが語っている経営への貢献とか経営への寄与というのはいわゆる経営の観点のものではなく、単に会社を良くしようというものがほとんどです。」
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![]() 興味のある方は、こちらをご参考に
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![]() | 「というか考えてみれば、真の経営層が活用するような手法とか情報が簡単に手に入ったり、発見することができると思いますか?」 |
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「なるほどなあ〜、というとわしは経営に寄与する審査とは何かなんて悩むことはなかったのか。単に品質改善とか棚残の削減アイデアをささやけばよいということか?」
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「しかし現場レベルのこととしても、それが本当に実効性があるのかということになると、非常に難しく、安易にものを言うのは危険ですね」
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「まさしく」
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「ところで更なる問題ですが、経営に寄与する審査と言っている認証機関が、現場レベルでも改善したということを聞いたことがありません。経営に寄与する審査をしているが、それは双方が秘密にしているのでしょうか?」
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「もし審査を受けた組織が大手企業、例えば当社のようなところであれば、それを指導するということは経営コンサルとしてやっていけるレベルでなければならないでしょう。それもわずか二日三日の訪問で結果を出すことは不可能ではないでしょうか?」
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「あるいは世の中の一般的な手法を知っている人が、何も知らない中小企業に行って鳥なき里のコウモリってなことをしているのかねか? どうも羊頭狗肉って感じがするね・・・」 |
「経営に寄与する審査」とか、類似の表現を謳い文句にしている認証機関は多いですね。というか、これを謳っていないところがあるのだろうかというぐらいです。 そして私は、認証機関側から売り込んできたり、あるいはこちらからアプローチする都度、「貴社がいう"経営に寄与する審査"とは何か?」と尋ねるようにしております。認証機関を選ぶにあたっての重要なポイントだからです。 ところが驚くことに、今までこの質問に明快に答えた認証機関はたった1社しかありません。答えに詰まったり、しどろもどろになったり、意味不明のことを言うばかりです。いかにただの宣伝文句にすぎないかがわかるというものです。 ちなみに私は、「経営に寄与する審査」とは、「結果として経営(会社の業績)にプラスに働く指摘になるよう心掛けている」ぐらいの意味に捉えております。現場のロス、効率の悪さ、表面化していないリスクといったものが、審査を通じて炙り出されればそれで御の字。カッコよく言えば「付加価値」。要するに「オマケ」。 それ以上望むのはムリでしょう。そして、認証機関の役割を超えていると思います。 |
たいがぁ様 ありがとうございます。 その1社はなんと答えてくれたのでしょうか?気になります。 なお、藤本部長に伝えておきます。安心して審査員になれ、生きて帰ってくるなと |
答えの内容よりも、毅然と答えた態度と信念に感服した次第です。 ちなみにその1社とは、現認証機関であります。 |
たいがぁ様 納得です なるほど・・・閻魔帳にメモメモ |
ある年、鶏の工場で審査があった時にトップマネジメントが審査員に「是非、経営に寄与する審査をお願いしたい」と言ったことが。 後になって「経営に寄与する審査ですか?」とトップに聞いたところ「あ?当然だろ?高けー金を払ってんだから『何も経営に寄与しない』審査なんてされてたまるか!」と・・・ |
鶏様 御社のトップマネジメントは間違えています 経営に寄与することを期待するなら、ISO認証よりも、そのゼニを経営コンサルに払うべきです |