ケーススタディ 認証機関に行く

13.02.20
ISOケーススタディシリーズとは

お断り
非常に残念なことであるが、私は今まで認証機関に行って審査員に対して講演をするとか指導をしたことがない。私の指導を受けていれば、少なくても私に揶揄されるような審査をしなくなったであろうに、彼らにとって残念なことである 笑
私があいまみえたときはロクな審査をしていなかった、土■さん、■宮さん、あるいは斉■さん、本■さん、■桐さん、その他大勢の審査員の方々は、今は少しはまともな審査をしているのだろうか? 第一線を離れた私は確かめようがない。
この駄文はフィクションであり、以下の登場人物のお名前が実在する方に似ているとしたら、それはまれなる偶然であろう。



朝、山田がパソコンを立ち上げると、認証機関の社長村田氏からメールがきている。なんだろう、


山田は椅子の背もたれに寄り掛かり、村田との付き合いを思い返した。村田氏が社長になる前に会ったから、あれからもう4年以上になるのか。その後トラブルがあると会うことがあった。オーナー社長ではないから4年程度で順繰りに交代するのだろう。
社長が村田になってから審査は良くなったかと言えば、変わらなかったように思う。しかし鷽八百グループの工場や子会社も4年前と違い、審査員の意見が権威があるとか絶対という意識もなくなって、今では審査員が何を言おうとあまり気にもしなくなった。そして審査員の判定がおかしければ異議を唱えることも当たり前になり、おかしな審査員は忌避することもいとわなくなった。だから今では審査の問題が山田のところまで相談に来ることもほとんどなくなった。審査時のトラブルは認証機関によってではなく、企業側の努力と向上によって解消されたということだろうか。
ある意味、村田は良い時期に社長になったのだろう。認証の黎明期はそれなりに大変だったろう。今は認証の価値は下がりつつあるが、それでもまだ認証は存在意義があるとみなされている。認証ビジネスも多少下向きではあるが、まだ事業として成り立っている。これから社長になる人は認証ビジネスの幕引きをすることになり、大変だろうなあと思う。もっともどんなビジネスだって栄枯盛衰はあるわけで、逆境にあってこそやりがいがあるのかもしれない。
廣井がコーヒーカップを持って、後ろを通りかかった。

廣井
「おい、山田、なにを沈思黙考しとるんだ?」
山田
「ああ廣井さん、本社が審査契約している認証機関の村田社長を覚えていらっしゃいますか?」
廣井
「何年か前、当社に懇談会をしませんかと来た人だな?」
山田
「そうです。彼が今度の株主総会といいますから6月でしょうか、社長を引退するとのことです。それで最後のお仕事というのか、いまだに考えを変えない審査員と企業の人の討論会をしたい、ついては私に出てほしいとのことです」
廣井
「やれやれ、問題があっても自浄作用がない認証機関なら、そもそも存在すべきじゃないんじゃないか」
山田
「そりゃそうですね。私たちは慈善事業をしているわけじゃありませんから。それに最近は鷽八百グループも審査でトラぶっても泣き寝入りということもなくなりましたから、わざわざこちらが顔を出す必要もありません」
廣井
「まあ、好きにやれや」
そう言って廣井は自席に行ってしまった。
山田は丁寧な断りを書いて返信した。そしてそのことをすっかりと忘れた。



翌週月曜日、始業まもなく山田の電話が鳴った。外線の音だ。
山田
「ハイ、鷽八百機械工業です」
村田社長
「おお、山田さん、認証機関の村田です。先週、山田さんにお願いのメールを送ったのですが袖にされてしまって・・」
村田社長からだった。
山田
「村田社長、ご無沙汰しております。あの件でしたら辞退させてください」
村田社長
「残念だなあ、山田さんの他に他の会社のお二人にお願いしていたんですが、お二人とも以前は了解してくれるようなお話だったのですが、怖気づいたのか断ってきたのですよ。山田さんなら怖気づくこともないと思うのですが」
山田は村田がからめ手できたかと苦笑した。
山田
「村田さん、常識で考えてわざわざ面倒なことをしに行くと思いますか。だいたい楽しいことじゃないでしょうし、後で恨まれてもうれしくありません」
村田社長
「いやいや、そう言わずにお願いしますよ。社長は一定年齢になると引退ですが、今のところ審査員に定年はなく70過ぎまでしている人もいます。頭の固い人が今度何年も審査員をしていくのも困るので、ぜひとも山田さんにご教授を賜りたいと思っていたのですが」
山田
「村田社長、お気持ちはわかりましたが、こちらも事情がありますので失礼させていただきます」

山田はなんとか電話を切った。そして本来の仕事に戻る。


電話が鳴る。今度は内線の音だ。山田が社内用携帯をとると懐かしい声が聞こえてきた。
森本だった。
森本
「山田さん、ご無沙汰しております」
山田
「おお、森本さん、統合認証の話以来だね。その後どうですか?」
森本
「実はその関連なんですけど・・・結局、千葉工場は統合認証することになりまして、今まで品質の認証認証を受けていた認証機関に統一することになりました。そして先週最初の統合審査がありました。品質の方は何も変わらないのですが、環境の方は初めての審査で、不適合がたくさん出されました。それで山田さんに相談したいのです」
山田
「井上次長はなんか言ってたの?」
森本
「次長は審査の時、反論はせずにとりあえずは話を承っておけ、対応は内部で相談してからにしようという指示でした」
山田
「なるほど、詳細を聞かないと何とも言えないね。ところで今回環境と品質をまとめたという認証機関はどこなんですか?」
森本は名称を言った。それは村田社長のところだった。
山田は苦笑いした。村田社長とは縁が切れそうにない。
山田
「話は分かったが、どうしようか?
私が千葉工場に行って打ち合わせようか? それともこちらに来るかい?」
森本
「審査終了時、監査結果について、不適合についてもですが、管理責任者の部長はサインせずに別途打ち合わせをすると審査員に回答しました。それで明日認証機関に行って打ち合わせする予定なのです。
大変急な話なのですが、できましたら山田さんにご同行をお願いしたいのです」

なるほど、そりゃ急な話だ。とはいえ、最近ISO審査のトラブルもなく、そんな場に顔を出すのも面白そうだ。
山田
「明日なら出張もないし会議の予定もない。工場からは誰が行くんだろう。先方は誰が出るのだろう?」
森本
「工場からはボクだけです。このくらいボク一人でハンドリングできなくちゃならないでしょう」
山田
「おお、頼もしくなったもんだ」
森本
「ハハハ、先方はこちらで審査の際のリーダーと審査部長が出るはずです」
山田
「了解した。じゃあ認証機関で現地集合としよう。おっと、森本さんが言うのだから間違いないとは思うけど、審査報告書のコピーを大至急送ってくれないか。事前に見ておきたいからね」
森本
「了解しました。できれば山田さんのコメントをもらえませんか。ボクも当方の考えが妥当かどうか心配で」
山田
「わかった」



報告書のデータを添付した森本からのメールはすぐにきた。
山田はファイルを開いて、ながめる。
その他、いくつか不適合と観察事項が並んでいる。山田は読んでいて、山田はアドレナリンがふつふつと湧いてきた。ISO審査として不適当であるし、これではお金を払う価値があるとは思えない。
そして相手がこの程度のレベルなら森本が認証機関に行って審査員と議論しても決着がつきそうないと思っているうち、村田社長の顔が浮かんだ。すぐに村田社長にメールを打つ。要件は鷽八百社の工場の審査で問題があり、明日村田社長の認証機関を訪問すること。できたら同席願いたい。それが現実の問題の生きた議論になるだろうと書いた。
そして森本には、山田も報告書をみた結果、審査に問題があると考える旨のメールを打っておいた。



翌日、山田が予定時間少し前に認証機関に着くと、森本は既に入り口のソファに座っていた。
山田
「おお、森本さん、お久しぶり」
森本
「山田さん、ご迷惑をおかけしてすみません。お世話になります」
森本はインターホンで来訪を告げた。
女子事務員が現れて二人を6・7人入れる大きさの応接室に案内する。
ほどなく3人の男性が現れた。山田と森本が立ち上がり挨拶する。
山田は村田社長と吉本部長には以前あったことがある。初対面の槌田審査員と名刺交換する。一方、森本は村田社長と吉本部長と名刺交換する。

村田社長









吉本部長

森本係長

槌田審査員

山田

森本が口を切った。
森本
「先週、私どもの工場のISO9001とISO14001の統合審査を初めて受けまして、環境の審査は槌田さんがリーダーで行われました。品質は従来から御社に依頼しており審査結果に双方とも特段異議はなかったのですが、環境については提示された指摘事項案について当方は納得できませんでした。審査の最終日、当方は了解せず別途打ち合わせしたい旨を槌田さんに申しあげております。本日はその件について議論したいと伺った次第です。
ということでよろしいですね?」
吉本部長
「森本係長さん、まず槌田が判断して不適合とした件について、弊社内部で議論した結果、妥当であるという結論になりました。私どもはすべて問題ないと考えております」
森本
「さようですか。そうしますとこれらの指摘事項は御社の見解であると理解します。
ペンディングを残したくないので、本日ここで各項目についてすべて議論して決着をつけたいと思います。
では第一に、『不適合(軽微) 4.2 環境方針 インタビューしたAさんは環境方針カードを所持しておらず、環境方針を周知した証拠がない』という指摘事項がありますが、これはどの規格要求事項にどのように不適合なのか説明していただけないでしょうか?」
槌田
「あなたね、これは規格の4.2fに組織で働く又は組織のために働くすべての人に周知されると明記してあるじゃないですか」
森本
「確かに規格にその文言はありますが、規格では環境方針カードの要求はありません」
槌田
「じゃあ環境方針を周知したという証拠は何がありますか?」
森本
「規格では方針を周知した記録を残せとはありませんね。周知されているかどうかを審査で確認することが必要だと考えます」
槌田
「審査で環境方針カードの所持を確認したわけですが、持っている人もいましたが一部の人が持っていないという事実があったわけですね。それは周知されていない証拠ではないでしょうか」
森本
「あのうですねえ、規格で求めていることは方針を周知することですよ。カードを持っていることじゃありません。弊社のルールでもそんなことを決めていませんし、
審査で方針が周知されているかどうかを確認しなくちゃいけないでしょう」
槌田
「方針を周知するってどういうことですか? 方針カードを配るとか、壁に掲示するということでしょう」
森本
「周知とは元々ISO規格の翻訳ですから、国語辞典に載っている『広く知らせること』という意味じゃありません。原語はコミュニケートで、その意味は考えを伝え理解させ行動させることです。つまりカードを持っていても周知されている証拠にはなりません。カードを持っていることを確認しても、周知されていることを確認することにはならないのです。
ISO審査では、当工場の者が環境方針を理解して、それぞれの立場でそれを展開して活動しているかを見てほしいわけです。
あのうですねえ〜、私どもは不適合を出されて困っているわけじゃないんです。当社は審査費用として大金を払っているわけですから、しっかりと当社の実態が規格に適合しているか不適合かをチェックすることを求めているわけですよ」
吉本部長
「ですから不適合と判断したわけですよ」
森本
「何を持って不適合と判断したのでしょうか? 不適合とするには、証拠、根拠を示す必要があります。ISO17021規格をご確認ください」
吉本は槌田にISO17021を持っているかと聞き、槌田は今持っていないと応える。
森本
「じゃあ後で確認しておいてください。とりあえずそれは置いときましょう。
本題ですが周知とはそういう意味ですので環境方針カードを持っていれば周知されているとか、持っていないから不適合というのはナンセンスです」
槌田はナンセンスと言われて顔を赤くした。恥ずかしさではなく怒りだろう。
槌田
「それじゃ森本係長は周知されていたということをどのように立証するのですか?
規格では確かに記録とはありませんが、確実にするとありますね」
森本
「それこそ審査員がしなくちゃならないことじゃないですか。ISO17021では規格適合することは組織の責任で、適合かどうかを確認することは審査員の責任であると定めています。立証責任を組織に求めるのは筋違いです」

村田社長
村田社長が口を挟んだ。
「森本係長さん、例えばあなたが審査員だったら、どのようにして周知されているかを確認するのでしょうか?」
森本
「社長さんのご質問に私が答える立場にはないと思いますが、あえて申し上げると方法は多々あるでしょう。例えばですが、インタビューした人の担当職務を質問し、次にその人がどのようなことに注意して仕事をしているか、業務においてどのような改善努力をしているかを聞取りして、環境方針との整合を判断するというのが初歩的なアプローチでしょうか。
もしそれでは証拠不十分なら、その人の自己申告とか週報とかで裏を取るでしょう」
槌田
「社長、そのようなことでは方針が周知されていたという証拠になりませんよ」
村田社長
「私も一応審査員の資格はあるのだが、周知という意味は森本係長の主張に同意だ。そして周知されているかを確認するのに、方針カードを持っているかで判断するというのは強引な理屈だね。私は森本係長の挙げられた方法はもっともだと思えるが」
吉本部長
「槌田君、方針カードを持っていなかったのは事実として、そのAさんが活動していることが方針に見合っているかどうかは確認したのかね?」
槌田
「いえ、方針カードを携帯しているかを質問しただけで、そういったことは質問しませんでした」
吉本部長
「森本係長さん、今回はそういったことをヒアリングしなかったようですが、方針が周知されていたという証拠もないわけですよね」
森本
「先ほども言いましたが、それを我々に要求するのは筋違いです。ISO17021では適合している立証責任を組織に求めていません。適合させる責任だけを組織に求めています。適合か否かを確認するのはあくまでも審査員の責任です。方針が周知されているかどうかの証拠を収集しなかった責任はそちらにあります。なにしろ我々は審査費用を払っているわけですからね」
吉本は面白くないような顔をして槌田の方を向いた。
吉本部長
「しょうがない。今回はこの不適合を取り消そう。槌田君、次回は方針カードの所持を聞くだけでなく・・」
槌田
「わかりました」
森本
「では第二点ですが、有益な環境側面を抽出していないという不適合があります。
不適合とは定義から要求事項を満たしていないことですので、規格要求に有益な側面を抽出せよというshallがなければ不適合にはなりません。まずそこを確認していただきます」

いまどき、有益な側面がないから不適合を出す認証機関があるはずがないと思われた方、甘いですよ。

槌田
「吉本部長、審査員の定期説明会の時、部長は有益な側面がないときは不適合を出せというお話でしたよね?」
吉本吉本部長は面白くないような顔をして黙っている。
森本
「じゃあ規格要求に有益な側面はないということでよろしいですね。そうしますと不適合の根拠がありませんから、この指摘も間違いであったということでよろしいですね。
それからですが、著しい環境側面が何件あるかということは、その組織の環境負荷そのものですから、何件が望ましいということもないと思います。ご異議ありませんね」
槌田
「ちょっと待ってください。そうすると多数の環境側面を著しいとした場合、それをすべて管理して目的目標に反映するのですか? そんなことができますか?」
森本
「環境側面と目的目標の関係は、次の項目で出てきますので、そこで議論するとして・・・著しい環境側面とは著しい環境影響のあるもの(4.3.1b)ですから、著しい環境影響がたくさんあれば、著しい環境側面が多くなるのは仕方ありません。
管理できる範囲を著しい環境側面にするということは論理がおかしいですよね。著しい環境影響を持つ環境側面がたくさんあるなら、否が応でもしっかりと管理するしかありません。著しい環境影響はたくさんあるけど、全部は無理だからできるものだけ管理しようなんてことが許されるわけありません」
吉本部長
「普通は上位何項目とかを著しい側面にする方法をとるものだが・・・」
森本
「そんな方法じゃ事故が起きたり違反が起きるでしょう。著しい環境側面とは管理したいものじゃなくて、管理しなければならないものなんです。
あるいはISO審査のために著しい環境側面を考えるという発想があるのかもしれませんが。そんなんじゃ公害を出さない、事故を起こさないという現実の環境管理とは無縁でしょうね」
槌田
「じゃあ、御社は著しい環境側面が数多くても管理するというのですか?」
森本
「そんなこと当たり前じゃないですか」
森本はあきれたというふうに両手を広げて村田社長と山田の顔を見た。
山田
「すみません、陪席者なのですが発言させてもらいます」
村田社長
「どうぞ、どうぞ、山田部長さん」
山田
「大変申し訳ないことですが、このような議論をしなければならないことの根本原因は、千葉工場が認証機関の選択を誤ったためと考えます。本社としましては千葉工場に対して行政指導を行い、認証機関を替えるように致します。そういうことでこの話を打ち切らせてもらいます。よろしいでしょうか?
今回の審査費用等については別途交渉することにしましょう」

山田の発言に、他の4人はあっけにとられてしまった。
村田社長
「山田部長さん、それは弊社のレベルが低いということですか?」
山田
「そう受け取っていただいてもらって構いません。森本さん、いいかな?」
森本
「山田さんがそうおっしゃるなら・・」
村田社長
「すみません、ちょっとお待ちください。弊社に問題があるのは分りましたが、是正処置をする機会を与えていただけないでしょうか」
山田
「村田社長さん、私どもは機械部品メーカーです。弊社がお客様に納品した製品が性能を満たしていないと言われた場合、新らたに開発するのでそれまで待ってくださいとは言えないでしょう。
現実問題として御社は速やかな対応が可能でしょうか。今までの議論からみて、それができるとは思えません」
吉本部長
「山田部長さん、大変失礼ですが、当認証機関は認定機関の認定審査を受けて、認定を受けております。ですから多少判断ミスがあったかもしれませんが大きなところでは問題ないと考えております」
山田
「認定審査が適正かとか認定を受けているかどうかは、議論の対象外です。また我々としては、認定機関に苦情なり異議申し立てなりをする予定はありません。
論点は、今回の審査での貴認証機関の指摘事項を拝見した結果、当社としては御社と審査契約をするには不適当と考えたというだけです」
吉本部長
「いや、そう言われましても、御社の見解が正しく当方の見解が間違いと決まったわけでもありません」
山田
「御社が当方の見解に承服できないことは十分理解します。それじゃISO-TC委員なり、他の複数の認証機関に問い合わせるなどして確認しましょうか」
吉本は「うーん」と言って黙ってしまった。
山田
「しかしながら、そのような権威ある第三者に問い合わせるまでもなく、ISO17021で定めるように、不適合として提示するにはその根拠と証拠を明記しなければならないということを考えればおのずと答えはでるのではないでしょうか?
まだ森本が議論をしていませんが、著しい環境側面と環境目的の関係とか、内部監査員が社外の研修機関を受講していることなどは規格要求にはみあたりません。今回指摘されたことについて不適合とするために規格要求を満たしていないことを立証するのは、誰が見ても困難ではないのでしょうか」

もはや交渉決裂は明らかなようだった。
村田社長
「弊社は御社の千葉工場と審査契約を結んでおるわけです。本社の方とは言えど、山田部長さんがその契約を見直す決裁権があるのでしょうか?」
森本
「ここで千葉工場を代表しているのは私です。本件私が預かりまして、千葉工場と本社で協議することといたします」
村田社長
「わかりました。では森本係長さん、ご検討いただいた結果をお知らせください」
村田は山田に言う。
村田社長
「山田部長、大変勉強になりました。こんなことをお願いするのはどうかと思いますが、山田部長に例の講演をお願いできないでしょうか」
山田
「村田社長、今回の議論を吉本部長さんたちが内部に展開することで十分じゃないですか。
ではこれにて解散ということでよろしいでしょうか」

うそ800 本日は怒りはない
私は第一線から離れたが、ときどきちょっと縁がある方々に審査報告書を見せてもらう。たまに面白い(トンデモナイ)不適合を見かける。現役時代の私なら頭から湯気を出して駆けだすところだが、まあ他人事(ひとごと)だから、特段何も言わない。
ここではそれらの面白い(おかしな)いくつかの事例をマージしたり脚色したりして物語にした。認証機関との応酬はもちろん創作である。
現役時代、私は偉くなかったので、認証機関のレベルが低くても鞍替えだあとちゃぶ台をひっくり返すことはできず、認証機関に懇切丁寧に説明して不適合を取り消してもらった。
もちろん不適合を受け入れるような奴隷根性はなかった。一度くらい「契約解除だあ!」と言ってみたかったね

うそ800 本日の懸念
私の先輩とか元上司で認証機関にいる人は数多い。そんな人たちから叱責が来そうだ、
なにしろ私がうそ800を書いているのは現役時代からバレバレだから アハハハハ 



名古屋鶏様からお便りを頂きました(2013/2/21)
2013年の現在に至ってなおも、有益な環境側面なんつー不適合がでるのがオドロキです。あんなものは博物館の展示コーナーで岩石と一体化したものをみるくらいだと思ってましたが。継続的改善を謳う審査員自体が世間から置いていかれているのが理解出来てないのですね。そりゃ、認証も減りますよ。

鶏様 毎度ありがとうございます。
単に一人の審査員のご判断かと心配だから調べました。
2012年に発行された本には有益な環境側面に類した文言の本はありませんでした。
グーグルで検索すると有益な環境側面をしっかりやれと書いている認証機関もコンサルもたくさんいて安心しました。
そんなことで安心したら困るという声が聞こえそう
ということで、一人の審査員のご判断ではなく、少なくてもグループとしてそのような考えで行われているのだろうと思います。
今年は少し良くなるかと期待します 。



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