異世界審査員18.作業改善その2

17.09.04

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。民明書房からの引用はありません。

異世界審査員物語とは

昔々と言っても、おじいさんは芝刈りにおばあさんは川に洗濯にというほど昔ではない。私が小学生の頃だから、1950年代半ばと思っていただきたい。その頃は町に数軒、鍛冶屋があった。今の人は鍛冶屋なんて見たことがないだろう。もっとも今では鍛冶屋というと、鉄工所とか溶接屋のことを意味することが多いけど、私のいう鍛冶屋とは炉で鉄を赤く熱して金槌で叩いて、客が頼んだ物を作ってくれるお店(商売というべきか)のことだ。 鎌
例えば今時、鎌(かま)で稲刈りをする人は珍しいだろうが、当時は耕運機もなければコンバインもない。鎌で稲刈りをした。当然その鎌は使いやすく切れるものが良い。だから百姓は自分に合う鎌を鍛冶屋で作ってもらった。
誤解ないように言っておくが、「百姓」というのは侮蔑語ではない。私が子供の頃、百姓とは豊かな階級であり、サラリーマン、当時は勤め人といったがウチのオヤジのような立場に比べて裕福で羨ましい暮らしであった。農家の長男というのは結婚相手としておいしい条件だった。昔、水飲みと言われた小作人は、戦後の農地改革で耕していた土地は自分のものとなり、商工業が壊滅した戦後は日本で一番豊かな階級だった。農家の長男が嫌われるようになったのは、高度成長が完了した1970年代以降だろう。
一つの言葉を伝えるにも、そのときの状況を説明しないと伝わらないほど時が経ってしまった。とはいえたかだか50年くらいなのだけどね。
ともかく百姓は自分が使う道具は鍛冶屋に行って作ってもらった。もちろんオーダーメイドだから手に合わせて体力に合わせる。使う道具をそのように自分に合わせて作るとは贅沢、いや素晴らしいことだと思う。
我が家は農家ではなかったが剪定鋏や鉈(なた)を作ってもらっていた。 鉈 今時家庭に鉈などないだろうけど、当時は風呂やかまどの薪を割るため一般家庭の必需品であった。
その他、左官のコテとか包丁とか、あるいは町の発明家の依頼など何でも作ってくれた。
発明家というと笑われるかもしれないがオヤジの思い出話がある。高所剪定鋏というのをご存じだろうか。脚立を使わず高いところを剪定するために棒の先に剪定鋏をつけ、手元のレバーとかひもを使って鋏を操作するものだ。ウチのオヤジはそんなのを考案して鍛冶屋で作ってもらったことがある。もちろん特許を取ったり販売したわけではなく個人用である。残念なことに長屋住まいの我が家にはそんなのを使って剪定するほど背の高い庭木はなかった。

義母は88歳の今でも農業をしているが、使っている鎌や鍬(くわ)はみんなホームセンターで買った鉄板をプレスしたような安物で、切れ味は悪く簡単に曲がってしまう。だからしばらく使うと農作業の帰りにあぜに捨ててくるようなしろものである。それは三月も経つと錆てボロボロになる。
義母は良いものを使いたのだが、今は鍛冶屋がないから金を出しても良いものが手に入らない(注1)。大量生産、大量消費という社会システムは、高くても良いものを提供することを忘れてしまったようで悲しい。

工藤と伊丹の会社は砲兵工廠の仕事だけをしているわけではない。最近は近隣の町工場から途切れなく依頼があるし、大企業や大学の先生から相談も受ける。工藤も伊丹をできる限りの仕事を取って誠心誠意対応している。それはお金のためだけでなく、人のため社会のために役立ちたいという気持ちからだ。
そんなわけで残業続きということはないが、社員4名が食っていけるほどは仕事をいただいている。ただ元々の狙いである第三者認証などは夢のまた夢、能率改善とか技術指導という仕事がメインである。それでも砲兵工廠では品質管理まで進んできたかなと思う。もう少ししたら品質保証の段階まで進んでいきたい。それを軍から一般企業に広めていけば、この国の品質を大幅アップできるのではないかと伊丹は思っている。
もちろん伊丹と工藤は一枚岩ではない。工藤はこの国の人として、品質よりも固有技術の伝道、普及を望んでいる。伊丹としては具体的な物や技術になると、この社会に外乱を与えてしまうのではと懸念して、管理技術に限定すべきだろうと考えている。
上野の使い方は工藤と伊丹も苦慮しているが、とりあえず能率改善の依頼があれば上野にやらせることにしている。ということで今、上野は会社からほど近い鍛冶屋(注2)の仕事を与えられていた。

上野は悩んでいた。鍛冶屋には三日ほど通った。工藤から言われたことは能率改善ということであった。 鍛冶屋 ところが現場で希望を聞き取ると作業改善ではなかった。鍛冶屋のオヤジが言うには、お客さんが頼んでくる品物は10種類くらいしかないが、頼まれるものは、仕事に合わせて、使用する人に合わせて寸法や重さが違う、そういう注文を、客を待たせずにすぐに作って渡せるようにしたいということだった。
上野が今までしてきた、分業、流れ化、レイアウト改善といったことではちょっと対処できない。そもそも能率改善というよりも、受注時の検討とか工程計画じゃないかという気がする。

上野
「叔父さん、どうもこの鍛冶屋の依頼は能率改善じゃなくて受注方式とか生産計画ではないかと思うんですが・・」
工藤社長
「うん、それで?」
上野
「ですから私の担当外というか、そもそもウチの仕事とは違うんじゃないかと思います」
工藤社長
「あのよ、俺たちは能率改善だけやりますと言っているわけじゃない。現状に困っている会社から依頼を受けて、それを解決することでオマンマを食っているんだ。
鍛冶屋から困っている、助けてくれという依頼があってそれを受けたんだから、それを解決するのが俺たちの仕事だ」
上野
「ですから、私にはちょっと不向きかなと・・」
工藤社長
「不向きでも頑張ってもらうしかない。世の中ってそんなもんだろう。
あのよ、お前が能率改善の仕事を請け負って、よくよく調べたら能率改善じゃなくて人間関係の問題だと分かったらやめますというのか?」
上野
「そうするかもしれませんね」
工藤社長
「おやおや、そんな身勝手な考えじゃ世の中渡っていけないぞ。ところで俺は一応社長だ。お前の上司は伊丹さんだ。まずは伊丹さんに相談してほしい。
とは言っても、社会人なら、どうしたらいいかなんて口が裂けても言っちゃいけない」
上野
「えっ、ではどうしたらいいでしょう? という質問もだめですか?」
工藤社長
「学校の生徒じゃないからね。私はこう考えているけどどうだろうか、という相談をしなくちゃならん」
上野
「それじゃまず私が解決策を考えなくちゃならず、解決策が思いつかなければどうしようもないじゃないですか」
工藤社長
「そうなるね。覚えているか? ちょっと前にお前は言ったよな、伊丹さんは専門家ではない、誰でも思いつくことしか言わない、どこにでもいるただの人だって。
いまこそお前の力を見せる時だ」

上野はブツブツ言いながら工藤の前を去った。
自分の席に戻ってから、鍛冶屋で親方や働いている人たちに聞いた記録を読み直してみる。彼らの依頼を実現するにはどうしたらいいのだろうか?

伊丹が仕事先から帰ってくると上野は伊丹に話しかけた。
上野
「伊丹さん、ご相談にしたいのですが」
伊丹
「ハイ、なんでしょう?」
上野
「今、鍛冶屋から頼まれた能率向上について考えているのです」
伊丹
「もう四日経ちましたので私も気にしていました。進んでいますか?」
上野
「いろいろ聞くと実は能率向上ではなく、お客さんから頼まれた仕事を短時間で引き渡せるようにしたいということなのです」
伊丹
「そうですか。まあ当然ですよね。今まで上野さんがしてきた仕事は能率向上という名目が多かったかもしれませんが、真の狙いはお客様に満足してもらうためということはご理解されていますよね。お客様の満足をより大きくするための能率向上ですから」
上野
「はあ!能率を上げるとは、お客様に満足してもらうためなのですか?
ええっと、以前、私がハミガキの包装を改善したということをお話したと思いますが、あれはお客様満足とは思っていませんでした。私は企業の手間を省いて仕掛かりを減らし儲けを大きくするためとしか考えていませんでしたが」
伊丹
「中には純粋に企業の効率化ということが目的のこともあるかもしれない。だけど企業の目的とはお客様のためのコストダウン、納期短縮、品質向上です。それに反することはありえない。
能率改善とはその3要素を改善する手段に過ぎないよ」
上野
「ええっ、能率改善は手段ですか? 目的じゃなくて」
伊丹
「おいおい、今言った3要素が大目的で、それを実現するために、いろいろするんじゃないのかい」
上野
「話を戻します。初めは能率改善をしたいという話でしたので、鍛冶屋に行ってヒアリングをしました。そしたらほんとの狙いは納期短縮だったのです」
伊丹
「それは仕方ないよ。誰だって自分の本当の気持ちとか、したいことを認識しているわけじゃない。我々、コンサルタントはお客様の話を聞いて、お客様が本当に欲しているものを見つけ、お客様とそれを共有して実現を図ることでお金をもらっているんだ。初めの話と違うからおかしいという理屈はない」
上野
「しかし納期短縮という話になると、ちょっと私の守備範囲ではないように思います」
伊丹
「君は自分が得意なことしかしないの? 好き嫌いがあっては困るなあ、逃げ腰にならずに依頼者が望むことを自分が実現してやると、積極的になってほしいね。
ずっと前にも言ったと思うけど、作業改善と品質改善は同じこと、能率改善と納期短縮も同じです」
上野
「伊丹さんは簡単にそういいますが、納期短縮なんて固有技術を知らない私にできると思いますか? いや伊丹さんならできるのですか?」
伊丹
「アハハハハ、上野さんは鼎の軽重を問うようなことを言いますねえ〜。そういう言い方は良くありませんよ。人によっては怒りますよ。
人間知っていることより知らないことの方が多いよね。だけど仕事でも、家庭生活でも知らないことにぶつかったとき、できませんで終わらせるわけにはいきません。自分が経験したことがない問題だって、対策を考えて解決しなくては進歩以前に生活が成り立ちません」
上野
「じゃあどうしたらよいのでしょうか?」
伊丹
「問題解決というのはある意味簡単です。学校の試験というのは問題を与えられます。そして必ず回答があります。回答のない問題は出してはならないということになっていますからね。
現実に社会でぶつかるものは、問題がはっきりしていないことが多いし、回答があるかどうかも分からない。
今回は回答があるかどうかはわかりませんが、何が問題かというのがはっきりしていますから楽でしょう」
上野
「そこまで聞いても、どうするのか見当もつきませんが」
伊丹
「今問題があるわけです。お客さんの注文したものをなるべく早く作って渡したい、でもすぐにできないということが問題なわけです。それはよろしいか?」
上野
「はい」
伊丹
「ではまず、その問題を明らかにすることでしょう。お客様はどれくらいの時間内に欲しいのか、ものを作るのにどれくらい時間がかかるのか、なぜ希望時間でできないかということくらいは、聞き取りすればわかるでしょう。
そしてできないという理由をできるようにするにはどうするかを考えたらどうでしょうか」
上野
「分かりました。やってみます」
伊丹
「とりあえず二日間くらいヒアリングしてみてよ。そしたらその結果を二人で検討しよう」


三日後である。伊丹と上野が話している。

上野
「伊丹さんに言われてなぜ納期がかかっているかをヒアリングしました」
伊丹
「何かわかったか?」
上野
「品物、例えば鎌とすれば一個作るのにそんなに時間はかかりません。刃先になる鋼や本体の鉄の材料はありますし、熱して叩いて接合して形を作るのに何時間もかかりません。もちろん冷えてから刃を研いだり柄を付けたりますが、そうですね、実働時間だけをとらえれば2時間はかからないでしょう。もちろん冷やす時間とかは別ですが」
伊丹
「なるほど、それが実際はどうなのかな?」
上野
「お客さんから鎌を作ってくれと言われると、まず希望を聞きます」
伊丹
「希望って? 鎌を頼まれたんだろう?」
上野
「使う人によっていろいろ要望があります。刃の長さ、柄との角度、刃の曲がり具合、重さとか、切れ味優先か丈夫さ優先か、まあいろいろです」
伊丹
「なるほど」
上野
「とはいえすぐに作り始めるわけではありません。そりゃそうです。鍛冶屋はお客さんが来るのを待ち構えているわけじゃありません。仕事が空かないように受注量はいつも確保しています。ですから新規に受注した仕事は、その規模によって現在の受注の仕事の合間にするか、片付いてから取り掛かるか考えます。また鎌1丁頼まれてもよほどのことがなければ仕事に入りません。鎌とか鍬などは日常的に依頼されますから、数個まとまってから取り掛かります。何事も一個よりも数がまとまった方が効率がいいですから」
伊丹
「なるほど、だんだんと回答が見えてきたようだね」
上野
「いやいや、ますます見通しが暗くなりました。
ともかく全体的に見れば、請け負った仕事はすべてこなしているわけですから、負荷量と保有工数は一致しているわけです。しかしお客様が欲しいときにすぐに渡せるわけではありません。
結局、一個作りよりまとまった方が時間がかからないこと、客が来るのを待っているわけではないこと、客の希望に対応するには予め作っておくわけにはいかないことなどから今の状況があるわけです。
ただ鍛冶屋のオヤジは良い人で、現状を改善しようと願っているわけです」
伊丹
「それじゃ問題の原因はわかったわけだ。対策としてはいくつか考えられる。
現状でもお客さんの満足を向上させるには納期を説明して納得してもらう、
まとめて作らないで1個でも速く作れるようにする、
オーダーメイドを止め、途中まで作っておいて注文に応じて細かいところを仕上げるセミオーダーにする、あるいは既製品にしてしまう。
もっともっと考えられるだろう」
上野
「それらから選ぶんですか? 私には見当もつきません」
伊丹
「いや、その前にもう一度調査が必要だ」
上野
「どんなことを調べるのでしょう?」
伊丹
「鎌とか鍬とか、今まで作った仕様を聞き取ることだ。ひょっとして鍛冶屋が過去に作ったものを記録しているかもしれない。
私の想像だが、お客さんの要望ってそんなにトッピなことはないんじゃないかな。そりゃ少し大きくとか小さくとかあるだろうけど、おおむね一定範囲に入っていると思う。であれば標準化できないだろうか」
上野
「標準化とはなんですか?」
伊丹
「品物の形や寸法などを決めることだ。もちろん一つにするということじゃなくて、何種類かに決めることもある。鎌なら大小とか形などお客さんの要望の多いものがあるなら、それだけでも見込み生産しておくことができるかもしれない」
上野
「そういうのを提案すればよいのでしょうか?」
伊丹
「いや、そう慌ててはいけないよ」
上野
「えっ、じゃあ、どうしろと?」
伊丹
「調べた結果により、その次にすることは変化する。聞き取り結果から案を考えて、それを鍛冶屋に提案するべきだと思うよ。
というか、今の話を踏まえて聞き取りをしてご覧。そうすれば今まで気が付かなかったことがわかるかもしれない。その結果しぜんと回答が見えてくるかもしれない。あるいは回答が見えなくても鍛冶屋に相談すれば鍛冶屋は答えを見つけるかもしれず、答えがわからなくても対策を選ぶかもしれない」
上野
「ああ、三人寄れば文殊の知恵ですか」
伊丹
「そうだ。ともかく君が動かなければ誰も動かない」
上野
「伊丹さんが動くというのもありますが」
伊丹
「それは良いアイデアだ。つまり上野君はここでは不要だというわけだ」
上野
「そいじゃ、ちょっと鍛冶屋に行ってきます」
上野は慌てて立ち上がった。


数日後である。伊丹と工藤がお茶を飲んでいる。
お茶
工藤社長
「鍛冶屋の仕事は片付いたそうですね?」
伊丹
「上野君は自分の仕事というものを、狭い範囲でしか考えていなかったようです。今回のことで考えが変わったかどうかわかりません」
工藤社長
「今までよく仕事をしてきたものだ」
伊丹
「自分の得意な分野で成果を出すことは割と簡単でしょう。自分の不得意な分野で石にかじりついても成果を出そうとしなくては一人前ではありません」
工藤社長
「いやいや、成果を出そうとするのではなく、成果を出せなくては一人前じゃない。
でもそうだね、あと一、二回やらせてみてダメならそれまでだな」
伊丹
「いやいや、会社がゴーイングコンサーン(注3)であるならばやがては彼にこの看板を背負ってもらわなければなりません。彼を育てるのは工藤さんと私の義務ですよ」
工藤社長
「すまん、おっしゃる通りだ。私も修行が足りない」

うそ800 本日のお断り
別に上野陽一氏に恨みがあるわけではありません。この物語の登場人物は上野陽二氏で架空の人物です。

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注1
「郡山市+鍛冶屋」でググると今でも1軒鍛冶屋があるらしい。人口40万の都市に1軒しか鍛冶屋がないことに驚く。義母に鍛冶屋で作った鎌をプレゼントするよりも時々顔を見せた方が喜ばれるように思う。そう努めよう。
注2
この物語の100年前は新橋駅周辺は住宅や工場が立ち並んでいたが、虎の門病院から赤坂見附方面は田畑が広がっていた。だから新橋駅近くの鍛冶屋に鎌や鍬を依頼する農家があってもおかしくない。
注3
自然人には寿命がある。しかし法人においては、一部PCB処理を行うJESCOとか建設工事のジョイントベンチャーなどを除いて基本的に寿命はない。一般に企業は倒産などせずに継続して存続するべきと考えらている。こういった考え方及びその企業体をゴーイングコンサーンと呼ぶ。


外資社員様からお便りを頂きました(2017.09.06)
おばQさま
異世界審査員で、当時の兵器の製造工程の話を読んで、私も調べてみました。
まさに仰る通り、当時の日本の「最先端技術」である兵器も、陸軍工廠は組み立てと検査の場であって、その部品の多くは下請け発注なのですね。
現代の工場でも下請けはあるのですが、自動車などは民生でも下請けも高品質で、大量生産も可能なのです。
その常識で、戦前の工業体制を推し量ると、とんでも無く間違うことが良く判りました。
そういえば、宮崎駿の実家は、飛行機の風防を下請けで作った町工場と聞きます。
映画「紅の豚」では、イタリアの家族経営の町工場で飛行艇を作りますが、これは実家における体験が元になっていることが判ります。(本人談)
あの映画の景色は、私には帝国陸海軍の飛行機や兵器とは結びつかなかったのですが、組み立て・検査の工程の前は、普通に町工場なのですね。
兵器の質を上げるには、上流であるこの部分が改善されないと駄目なのは、今までどの架空戦記も書かなかったことで素晴らしい着目点だと思います。
一方で、アメリカは、当時でもT型フォードに始まる大量生産体制が確立。
これは部品の規格化、各工程の最適化、マニュアル整備による作業の単純化による単純労働が背景にあります。 このように出来れば、労働経験がない女性でも兵器が作れる体制になります。
日本では、この前提がないままに、少年少女を勤労動員したあげくに、不良品を対象に戦場に送りました。
何が悲しいかといえば、必死に頑張ってつくったあげくに、戦場では役にたつどころか敗因になった点です。
そのように考えてみると、あの戦争は工業製品の品質という点でも、英米に大いに負けていたのだと判りますし、戦後に発展した日本企業が、何を克服して躍進できたのかも良くわかります・

>鍛冶屋の話
この話を突き詰めると、兵器の種類がありすぎた体制にもつながりますね。
ユーザの注文ごとに最適化して作ってしまうオーダー体質は、英米より資源がない軍隊に山のような種類の銃、砲、飛行機を生み出して、戦場では弾があっても撃てる銃砲が無い状況を生み出しました。
その一方で、小銃弾を使える十一年式機関銃を作ったあげくに、構造が複雑すぎてジャム多発という、一貫性のない兵器開発がされました。ぜひ、こういう問題を、未然につぶしてほしいものです。

>林信吾
この人は、「大東亜架空戦記」なる小説を書いていませんか?
立ち読みしましたが、ご都合設定が多くて面白くなかったです。
ジャーナリストより小説家なのでしょうね。

外資社員様 いつもご教示ありがとうございます。
論点が多々ありますが・・・・
昔種々兵器の開発物語を読みましたが、ほんとうに悲しくなるような町工場で作っているようなものを多々読みました。でもまあそれが真実の歴史なのでしょうからそれを事実として受け止めるしかないですね、
いや、それどころか1960年代半ば、自分が生産していた職場を思い返すと、こんなんでいいのかと思うような設備や機械で仕事していました。笑っちゃいますが、キリ穴を開ける時にちょうどの径のドリルがないと、チゼルをずらして研磨して芯ブレさせて穴をあけたり、今なら笑われるか怒られるか。当時はそんなものでいた。
兵器が多種ありすぎるとおっしゃいますが、これもまた事実なんですよね。
アメリカは戦闘機の機銃も船舶も陸軍も12.7oというのはブローニング1種類しかなかったそうです。日本では片手じゃ聞かないほど種類があったと聞きます。うーん、言葉がありません。
林信吾のこと
アマゾンで調べましたら架空戦記なんて書いているんですね。私はアホなコメントを書いているサヨクだとばかり思っていました。
正直言って論評する価値もありませんが、実は異世界審査員を書くために資料を検索していたら、この本を引用しているのがありましたので読んだのです。
まああんな本は読む価値はなさそうです。

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