異世界審査員23.筋を通す

17.09.21

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。民明書房からの引用はありません。

異世界審査員物語とは

私は会社勤めのとき上級管理職を務めたことはない。下級管理職(監督者?)(注1)止まりだったが、それでも最大のときは200人くらいの部下はいた。だから人を動かすということは人並みにはやってきた。安全でも改善でも、みんなを引っ張るというか何かに向かって行動させるには、とにかく成功体験を持たせないとならない。大きな鐘でもタイミングを合わせれば指一本で動かすことができるが、それと同じく小さなことでもよいからとにかくやらせてうまくいったという体験を持たせることである。それが何度か積み重なると皆その気になる。
とはいえ、いつまでも管理者が中心になって引っ張っていては疲れてしまう。上手くいくのを見せたら、あとは活動の中心になる人を育ててその人に任せなければならない。もちろん成功したら、その手柄は部下にあると褒める。
中には管理職が、自分がいなければダメだと思い込み、いつまでも活動の中心で頑張る例もあるが、それでは自分が疲れてしまうし部下のやる気を抑えてしまう。それに部下がやろうと自分がやろうと、自部門の成果は管理職の成果である。部長・課長が細かな現場の改善を自分がしましたと言えば、むしろ部下を育成するのを怠っているとみられるのがオチだろう。
ただ私は改善活動とか標準化というものは、下からの活動に任せるのは誤りだと考えている。会社として必要なことは職制が業務として行うものだ。部下に自発的に考えさせるとかやらせるのは筋が違う。
もう40年くらい前、某大会社の役員が当社の改善は小集団活動で推進していると自慢話を雑誌に書いていた。(私は記憶力だけは良いのだ)それを読んで、私はそりゃ間違いだと思った。安全であろうと、防災であろうと、意識付けの活動をボトムアップでするのも結構だが、業務というものは職制が計画し実行するものだ。そうしなければ責任放棄、管理不十分でしかない。
当然ISO認証も会社が必要とするのなら、会社が職制を通じて活動すべきである。職制を通じてというのは、プロジェクトではないということだ。プロジェクトというのは、どこそこの注文を取るぞとか、この工事をやり遂げるぞという一過性のものに対応するのであり、永続的なことは会社の仕組みに内部化しなければならず、プロジェクトではありえない。
とまあそんなことが私の信念でありまして、そういった考えで人生をやってきました。もちろん私の考えが間違っていると言われても、それはそれで結構なことであります。

朝、伊丹が出勤すると工藤と上野が話をしていた。深刻そうでもなく雑談でもない雰囲気だ。まあ普通の仕事の報告・連絡・相談とか指示だろう。
伊丹は気にせずに自席に座り、今日の予定を確認する。21世紀ならパソコンを立ち上げサイボウズとかグーグルカレンダーということになるのだろうが、パソコンのない世界では手帳を広げて確認するとか、事務所の壁の黒板に書かれた予定を見るとか、Emailのインボックスではなく机上のリアルのインボックスを見ることになる。
今日の午前は外出・来客の予定はなし、午後から大田区の町工場から一度相談したいと話があったというので、そこを訪問する。最近そういった小さな工場からの依頼とか相談が増えてきており有難い。ひとつひとつの売り上げは小さくても将来に期待できるし、なによりもこの国の底力アップにつながるだろう。

伊丹が午後からの打ち合わせのためのヒアリング事項とか書類を準備していると、工藤が話しかけてきた。
顔を上げると上野の姿がない。出かけたのだろう。
工藤社長
「伊丹さん、ちょっとご相談いいですか?」
伊丹と工藤は会議室に入る。すぐに南条さんがお茶を持ってくる。
工藤は言いにくそうに話しを始める。

工藤社長
「陽二から頼まれたのですがね、奴が皇国大学で学んだときの先生から依頼があったそうです。伊丹さんが練兵場の建設工事の計画を立て施行を仕切ったというので、その計画法についてお話を聞きたいということです」
伊丹
「うーん、あのとき工藤さんに相談しましたが、対外的には藤田中尉が考案し実施したことになっています。四井建設にもそういう前提で話をしています。
あの話を自分のこととして話すのは筋違いですし、藤田中尉に迷惑をかけてしまうでしょう」
工藤社長
「確かに、そうなのですが・・・・なんでも陽二が大学で自慢話をしたらしく、その先生は実際には伊丹さんがやったって知っているそうだ」
伊丹
「それともうひとつあります。既に皇国大学の紀要に藤田中尉の論文が掲載されています。上野君が何を言ったか知りませんが、その先生も紀要を読んでいるなら分かっているはずです。
ここは単に上野君が勘違いしたということで断ってよいのではないですか。当時は上野君もここにいませんでしたし」
工藤社長
「ああ、そうか、論文があったよな。伊丹さんが考案者だとすると論文と矛盾する。
話としてはそれが正論だ。そいじゃ陽二にそういう理由で断らせよう」
伊丹
「ちょっと気になるのですが、いろいろな人がこちらにお話を聞きたいと言ってくるのはありがちなんでしょうけど、そういうのって無償で行うものなのですか?」
工藤社長
「これからの商売につながるなら、相談は無償というのは当然だろう。だけど確かに皇国大学から仕事が来るといえば、そうも思えないねえ〜」
伊丹
「今まで只働きというのは・・・初回とか仕事を依頼の相談だけでしたね。もちろん相談はあったけど仕事の依頼が来なかったというのは多々ありますが、最初から依頼するつもりがない相手に無償で対応するというのもないでしょう」
工藤社長
「伊丹さんのいた世界ではそういうのってどうなんですかね?」
伊丹
「普通、無償というのはありません。会社は慈善事業じゃありませんから、全く見返りが期待できないことはしませんね。今回は大学だから気が及ばないかもしれませんが、企業から無償で指導をしてくれと言われて対応しますか?
もちろん大学の先生や学生に会社の名を広めて、入社希望者を募るということはありましたね。撒き餌みたいなものですか。工藤さんが皇国大学から採用したいとかでしたら・・」
工藤社長
「いや、いや、皇国大学からこんな零細に来るはずがないし、ウチだって採用するほど仕事もない。
陽二にあまり変なことを言わないように言っておかないといかんな」

工藤との話はそれで終わったが、ちょうどそのとき以前、歩兵銃の部品不良で手伝ったことがある森広鉄工の社長がやって来た。
工藤も森広社長の顔を見て、一緒に話を聞きましょうと伊丹に声をかけた。
会議室に三人が入ると、また南条さんがお茶を持ってくる。
工藤社長
「お久しぶりですね。どうですか商売の方は」
お茶
森広社長
「いやあおかげさまで、ものづくりの方は問題ないのですが・・」
工藤社長
「何か相談というか困りごとでもありますか?」
森広社長
「実は数日前に砲兵工廠に行きましたら、由比上等兵がノギスというのを使っていました」
工藤社長
「ああ、あれね」
森広社長
「ちょっとお借りしましてウチで使ってみたのですが、あれはいいですねえ〜
由比上等兵はいきさつを知らなかったので黒田軍曹に話を聞きましたら、伊丹さんが考案したというじゃありませんか。
それで私の方にも融通してもらえないかと」

工藤と伊丹は顔を見合わせた。
ヤレヤレ、今日はいろいろある日だ。

伊丹
「ああいうものを作ると便利だというのは、私がサンプルを作って工廠で説明しました。しかし実際に今使っているものは、砲兵工廠の人たちが構造や大きさを考えて作ったものです。ですからあれと同じものを欲しいと言われても、私は持っていませんし作れません」
森広社長
「そうなんですかあ〜、そいじゃ砲兵工廠に私の方に貸与するか販売してくれるとか口をきいてくれませんかね」
伊丹
「それくらいなら喜んで。今月末に行く予定がありますから、そのときに話しておきますよ」
森広社長
「実を言ってウチだけじゃなくて同業者も欲しいということなんです。それも一社1個では足りないと思いますし」
伊丹
「そういうことでしたら同業者と一緒に、いや代表者がとりまとめて砲兵工廠と交渉したらいいでしょう。
お宅は砲兵工廠と取引しているわけですし、その仕事に必要だから無償貸与してくれという要求だっておかしくない」
森広社長
「いやあ、そういう交渉は苦手なんですよ」
伊丹
「社長なんですからしっかりしてください。そういうのはお宅さんが工廠と話をするのが筋じゃありませんか」

森広社長は不満そうな顔をして帰って行く。伊丹に言えば、なんでも対応してくれると思っているのではないか。伊丹はちょっとむかむかする。

伊丹
「工藤さん、この社会ではああいった仕事がらみのことを、当事者が直接話をせずに私のような者に口利きを頼むのが普通なんですか?」
工藤社長
「いや、そんなことはないけど、伊丹さんがあまりにも力があるからつい頼ってしまうのでしょう」

伊丹はなんだかばかばかしくなった。なんでこうみんな他力本願なのだろう。

いつもは指導の意味で上野を連れて出歩くのだが、今日はとりあえず話を聞く段階なので伊丹一人で行く。上野は能率改善の指導をしているところに行っているはずだ。
伊丹は早めに昼飯をとり、東海道線で大森まで行く。エドワース・モースがここで貝塚を見つけたのはもう30年も昔のことだ。伊丹は国指定史跡と看板がでている所をながめてから地図を頼りに15分ほど歩く。

たどり着いたのは小さな木工場だった。いやこの時代では立派な方かもしれない。
香川社長
俺が香川社長だぜ、
着流しで遠山の金さんみたいだろう
入口に木目がきれいな欅の板に「香川木工場」と書いた看板が掲げてある。
大きな丸鋸とか縦軸に刃物がついた機械とかが何台か並んで、10人ほどの人が木材を加工している。
工場内は新しい木の香りがする。21世紀に全盛の合板やパーティクルボードではこの香りはでない。出るのはホルマリンの臭いだ。
手前にいる人に社長に会いたいと言うと、中から和服を着た旦那風の男が出てきた。いくら明治末期でも商店ならともかく、工場で着物を着ている人は珍しい。この旦那は実際の仕事には関わらず、銭勘定しているだけなのだろうか。

伊丹
「新世界技術事務所の伊丹と申します。当社に作業改善のご相談をいただきまして、ありがとうございます。お話を伺いにお邪魔しました」
香川社長
「ああ、ご足労すみませんね。私が社長の香川です。まあ、こちらに」

工場とは別棟の十坪ほどの小屋に案内する。事務所らしく事務机が4つ、打ち合わせ用のテーブルと椅子、壁には立派な神棚があり、その下には製品らしきものがたくさん積み重ねてある。
二人はテーブルに向かい合って座る。

香川社長
「見ての通りの木工場です。今までは家具なんてものは指物師が作り上げるってのが普通だったのですが、これからはそうじゃないだろうとアメリカから機械を輸入して量産を始めたんですよ。
まあ作るものも昔なら長持、長火鉢なんてのが主だったですけど、今どき長持、長火鉢の時代じゃありませんしね」
伊丹
「そうでしょうなあ、長火鉢なんて今どきでは落語にしか出てきませんね」
香川社長
「最近は嫁入り道具が華美になって来たでしょう、箪笥は何棹(さお)も、それもますます豪華になってきてますわ、」
伊丹
「お宅で作っているのは箪笥ですか」
香川社長
「箪笥もありますが、事務机なんてのも増えてます。今の会社は畳の上に座るんじゃなくて、履物を履いたまま椅子に座って仕事するようになりましたんで」
伊丹
「なにごとも時代に合わせて変えていかなければなりませんね」
香川社長
「そうです、そうです」
伊丹
「ところでご依頼のことになりますが」
香川社長
「それなんですよ。箪笥が順調とは言いましたが、入れた機械が元とれるほど動いていません。やはり大きな仕事は軍というか工廠ですよね」
伊丹
「はあ〜」

伊丹は嫌な予感がした。

香川社長
「新世界技術事務所さんが砲兵工廠に出入りしているとか、横須賀海軍工廠とも取引があると聞きましてね、ぜひウチに仕事を斡旋してもらえないかというのがお願いでして」
伊丹
「はあ?」
香川社長
「ウチは箪笥を作るばかりじゃないです。銃床も作れると思います。クルミ材の入手経路は確保しましたし、試作品も作って見ました。あの壁の右のほうにあるのがそれです。
口をきいていただければ謝礼、取引が開始すれば売り上げの何パーセントかということでいかがでしょうか」

伊丹の予感は的中し、驚き、呆れた。
私は作業指導とかはするけれど、口利き屋じゃないんですよと言いたかったが、工藤がどんな約束をしていたのかわからない。ここは話を承って帰ることにした。

伊丹は、4時前には事務所に戻った。
工藤がいたので早速今日訪問した結果を報告する。

伊丹
「香川木工に行ってまいりました。ちょっとというか、大きく話が違うのですよ。工藤さんがどのような話をされたのかわかりませんでしたので、社内で打ち合わせしてから返事を差しあげるということにして帰ってきました」
工藤社長
「大きく違うとは?」
伊丹
「向こうの希望は砲兵工廠とか海軍工廠の仕事を取りたいので、ウチに口をきいてほしいということでした。手数料のご提案までありました」
工藤社長
「へえ、私が受けた電話では能率改善とか言っていたが・・・」
伊丹
「もちろん口利きも立派な商売だと思いますが、私の本意ではありません。工藤さんの方で先様と話し合っていただけないでしょうか。もし口利きを請け負うなら工藤さんの方で対応をお願いしたいのですが」
工藤社長
「分かりました。まずは向こうと話し合ってみますよ。私もこの会社で口利きとかブローカーをするつもりはありません。
ええっと、ここの社長は岡本染色のオヤジから紹介されたと言っていた。明日でも岡本のオヤジに確認してから、処理しましょう」

工藤と伊丹が話をしていると、作業能率改善の指導に行っていた上野が帰ってきた。

上野
「伊丹さん、伊丹さんに言われたように作業を細かく記録して、それぞれの動作を見直したのですよ。今日はその新しい手順で仕事をしてもらったのですがなんと3割も時間が短縮できました」
伊丹
「それは良かった」
上野
「仕事の改善だけでなく、勉強になったことがいろいろとありました。
ひとつはやはり自分が手を動かして、それぞれの動作がどんな意味があるのか、あるいは意味がないのかを確認しなければなりませんね。なんか単にリズムをとるだけのような動作もあるんですよ。
それから私は流れ作業にすることが必ずしも改善ではなく、一人の人が全工程をした方がいい場合もあるということです。これも先日伊丹さんに言われましたね。
いずれにしても作業の標準化が前提ですが」
工藤社長
「流れ作業でするのとひとりの人が全部する方法の境目はどういうときなんだ?」
上野
「負荷が変動する場合や休みがあったときなど、何人かで流れ作業にしていると対応が難しいというか、できないときもあります。反面、ひとりが全工程をしているなら、負荷に応じて人を増やしたり減らしたりするのは簡単です。
私は今まで流れにしよう、分業化しようとばかり考えていたのですが、そういう得失があるのに気づきました」
工藤社長
「なるほど、そういうのはやっぱり自分が仕事してみないと分からないんだろうなあ〜」
上野
「おっしゃるように頭で考えるだけでなく、自分がやってみないと良い考えが浮かびませんね。やってみると異常が起きたり、予想していないケースがあったりして最善と思っていたのが不適切だと分かることが多いです」
伊丹
「囲碁の定石と同じだな」
上野
「囲碁の定石と同じとはどういうことでしょうか?」
伊丹
「定石といってもたくさんある。でも実は盤上の石の配置がちょっと違うと、定石の選択によって損得がでてくるんだ。あるときは最善手でも別のときは悪手ということもある。 定石 だから部分的に同じだからと同じ定石を打つようではだめだ。
生産体制も、流れ作業でするか一人でするか、ある程度まとめて(ロット)作るか1個流しにするか、その判断は時と場合による。
まあ何度か経験すれば、そこらへんの目の付け所は分かって来るよ」(注2)

伊丹が会議室を出ていってからも、工藤と上野がお茶を飲んで話している。

工藤社長
「どうだ陽二、仕事は慣れてきたか?」
上野
「慣れとは違いますが、伊丹さんはなかなかすごい人だということが分かりました」
工藤社長
「ほう、どんなところがすごいんだ」
上野
「あまり学はないようです。しかし問題にぶつかったとき逃げないで解決しようとするのがすごいですね」
工藤社長
「俺は学がないとは思わないが」
上野
「伊丹さんは難しい言葉を使わないとか、何々理論によるとという言い方をしないんです。きっと知らないんでしょうね」
工藤社長
「難しいことを難しい言葉を使わないで語ることこそ学が必要だろう。英語と数式を使わないで難しいことを説明できる人が専門家だと聞いたことがある。
その一方、勘所とかコツを言葉で表現できる人は現場の作業者には少ない。伊丹さんはその両方できる。お前がそれを学があると感じなければ、まだ一人前じゃない」
うそ800 本日の筋違い
最近「99.9%の人間関係はいらない」(注3)という本を読みました。感想ですが、論理的に本音で交渉するってのがいいですね。反対に相手の善意にすがるような交渉をされると嫌悪しかありません。
募金もひたすら同情を買おうとするのはNOです。理由を述べ活用状況を説明してくれれば納得しますが、

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注1
管理者と監督者の違いは何かというと、使う場合で意味合いが異なる。
一般的には管理監督者と管理職は違うのかというケースが多い。ただこのときは管理監督者となっていて、混然一体でわけがわからない。
私はそういう位置づけではなく、管理者=マネジャー、監督者=フォアマンというケースで使っている。それは50年も前に産能短大で習ったことだから。
アメリカのグーグルで「difference between manager and foreman」とググるとすぐに回答を示してくれる。
明確に定義されているわけではないが、マネジャーとは雇用権を有する管理者で、フォアマンとは建設作業、製造現場の監督であり指揮権はあるが決裁権はないようで、日本で言えば職長とか現場監督的な意味合いである。軍隊で言えば士官と下士官の違いのようなものなのだろう。
注2
お断りしておくが、私は免状2段、自称3段で打っている。はっきり言って、ヘボである。あまたの定石などほとんど知らないし、大局をみて打つほどの力量はない。その代わり私は知っている定石についてはいろいろな変化を幾たびも練習したし実戦でも使ってある程度使いこなせるようになった。だから定石周辺だけではそんなに損をすることはない。その場所は勝っても盤面で遅れることはしょうがない。それが私の実力であり、勝つためには石を多く置くしかない。
注3
「99.9%の人間関係はいらない-孤独力を磨けば、キャリアは拓ける」
安井元康、中公新書ラクレ、2016

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