異世界審査員130.怒れる7人の男女その4

18.11.15

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。民明書房からの引用はありません。

異世界審査員物語とは

プロセスアプローチというのは新しい考え方ではない。もう昔々と言える1990年代初め、某外資系認証機関の日本人審査員 日本 でISO9001の審査を受けたとき、初回審査に来た審査員は4.1から4.20と規格項番順に質問し、こちらが提示するものを見て〇×を付けていく審査だった。私は審査を受けた部屋の末席にいて、隣に座った仲間とISO審査って簡単だねえ〜とささやきあっていた。だって我々が下請けにしている品質監査より単純だったから。
半年後の審査ではやはり日本人 日本 だったがエライサンがやって来た。そのときは事業の短期長期の見通しとか、海外生産のこと、最近のライントラブルやクレームなどの話から、それをどう展開したのか、どういう対応をしたのかとかいう話に終始した。最初は何を知りたかったのか分からなかったが、報告書を見るとちゃんと要求事項とそれに対応したルールと実施状況がまとめてあった。なるほど、雑談のようだが知りたいことはしっかりと調べるものだと感心した。

ちなみに: 1990年代初め、ISO審査は半年ごとであった。インターバルが1年になったのは1996年頃からではないだろうか。その頃、認証機関から維持審査は半年ごとでも1年後とでもお選びいただけますという案内をもらった。ISO認証が増えてきて審査が間に合わなくなったのではないかと愚考する。

実は私が最初にISO認証に関わったのは、それより2年ほど前からである。当時は客先からISO認証を要求されて(イヤイヤながら)認証したので、必要最低限の事業単位とか製品単位であって、規格もISO9002を受審したのだった。その頃は設計があっても企業がISO9002で審査を受けたいと言えばOKだった。当然と言えば当然だ。客先がISO9002を認証しろと言うのだから。
審査員はイギリス 大英帝国 からやって来た。私は読み書きはともかく、英語は話せず聞いても分からない。その時の審査がどうであったのかは通訳の話すことしか分からなかったが、要求事項を一つ一つ聞くというのではなかった。赤い顔をした大柄な審査員は、私が和文を書き外注に大枚を払って英訳した品質システム書(そのときはそう呼んだ)をパラパラとめくり、その中に記載されたこの文書を見せろとかこの帳票を出せとかいって、それをにらんで通訳をした営業マンに「これは○○が書いてあることに間違いないな」といった質問を繰り返して、最終的に誤字は修正液で消すのではなく見え消しにしろと言っただけで適合となった。今考えると、あの外人もプロセスアプローチだったのだろう。

審査のとき私は後方の席で仲間と審査員の容貌をあげつらっていた。お帰りのとき一人ひとり握手され、流ちょうではないが十分通じる日本語で挨拶されて青くなった。悪口は言ってはいけないことを学んだ。
ちなみにこのときは維持審査の間隔は1年以上だった。なぜかというと、当時はまだ日本のISO認証企業が少なく、審査するところがまとまってから来日していたらしい。私は維持審査が期限までに実施しないと認証が切れてしまうのではないかと心配したが、そんなことはなかった。いいかげんらしい。

翌週の審議会である。今回は審査員のスキル向上について議論する予定である。もっとも前回の夜、料亭さちこで議論した結果、既に大筋は決まったように思えた。
伊丹は客先から直接 内務省に行ったので、会議室に着いたのは開始時刻すれすれだった。
部屋に入ると室内の全員が伊丹に注目したので、一瞬ギョッとした。なにごとだろう?
伊丹が首をかしげていると、前回欠席した橋本が話しかけてきた。

橋本
「前回は欠席してしまい討論に参加できず申し訳ありません。私がいない間にいろいろと議論されたそうですね。それで審査の方法についてだいぶ検討が進んだと聞きました。
それに関してですね・・ちょっと思うことがありまして」
伊丹
「はあ、なにか?」
橋本
「先ほどドロシーさんや黒田さんから、システムアプローチとか項番順審査という考え方を聞きました。当初、審査員研修機関は内務省が設立したところだけで、そこの講師をされているドロシーさんや黒田さんたちには、伊丹さんがシステムアプローチという方法を教えていたそうですね。
私の会社も審査員研修機関を立ち上げまして、そのカリキュラムは私と同僚が考えたものです。教科はもちろん内務省の定めに準じておりますが、審査方法の細かなことについては、我々は内務省の品質保証規格の要求事項通りに順々に確認していくという手法を開発しました」
伊丹
「開発と言うほどのことじゃないと思うけど・・・・あっ、余計なことです」
橋本
「要求事項を満たしているかどうかを点検するには、項番順に確認していくというのは効率的であり、漏れを防止できる最善の方法であると考えております」
伊丹
「それで?」
橋本
「なにごとも最適な方法があり、それを基本にするのがオーソドックスな進め方と思います」
伊丹
「標準化ですね」
橋本
「ですから私はその項番順審査を、審査方法の基本であるべきと考えています。それ以外は不要であると」
伊丹
「なるほど。橋本さんはその方法を標準とする前に、その方法が規格の定める目的を達することを確認したかと思いますが」
橋本
「仰る通りです。審査に当たっての規則がありましたね。ええと、」

橋本はファイルをめくる。

伊丹
「内務省の認証審査の規則の441でしたね、ええと2項目ありました。」
橋本
「見つけました。ええと、
ひとつ、認証の要求事項へ適合する責任を持つのは、審査を依頼した企業である。
ひとつ、審査機関は、客観的証拠によって要求事項を満たすことを確認して認証する(注1)
この最初の文章を読めば、適合の責任をもつのは企業です。ですから審査においては要求事項対応で適合している証拠を提示する責任があります」
伊丹
「はあ? その文章をどう読めば、企業が適合の証拠を提示する責任があると解釈できるのですか?」
黒田
「脇から口をはさんですみません。「適合の責任をもつ」とは「適合している証拠を提示すること」ではないのですか?
実は私は、橋本さんからその文章は企業が証拠を提示する責任があるという意味だと言われて、そうとしか読めなかったものですから」
伊丹
「全然違います。その文章は書いてあるとおりに、会社が要求事項を満たすようにする責任は会社にあると言っているのです。審査員に適合していることを説明しろとか適合の証拠を提示しろと言っているのではありません」
橋本
「えっ、なことないでしょう。
認証の要求事項への適合の責任を持つとは、要求事項への適合の証拠を示すことでしょう」
伊丹
「いえいえ、文章の言葉を一つ一つ良く読んでください。企業には要求事項を満たす責任はありますが、それを立証する責任は書いてありません」
橋本
「えぇぇ・・・そう読むのですか!」
海老沢
「法律の読み方では伊丹さんのおっしゃる通りです。それは先ほどから私も説明していたじゃないですか」
橋本
「すると審査員はどうしたらいいのか?」
伊丹
「そこに書いてあるように、要求事項を満たす客観的証拠を探すのです」
橋本
「でも要求事項を満たす証拠を提示されなかったら判定しようがない」
伊丹
「審査とは提出された証拠をOK・NGと判定していくことじゃありません。そんな楽で簡単な仕事ではお金がもらえないでしょう。審査員が証拠を探すのです」
橋本
「すると客観的証拠を確認するとは・・・」
伊丹
「つまり、文書や記録をめくったり現場の観察をしたりして、要求事項を満たしている証拠を見つけることです。もちろん見つからないこともあります」

橋本は口をパクパクさせる。言葉がまとまらないのかもしれない。

伊丹
「規格要求事項を示して、それに見合った証拠、つまり文書とか帳票を出せと言う聞き方ですと、OK/NG判定できる形で出てきますから簡単です。でも、要求事項対応の文書や記録を作っているなら不適合になるわけありません。そして実際にそれらが使われているかどうか見破ることができません。
他方、何を見ているかおくびにも出さず、いろいろな文書や帳票を見て、審査員がどの要求事項に当たるかを考える審査方法なら、現実を調べていると言えませんか」

項番順監査要求事項に該当するのを出せ矢印要求事項を満たしているか
プロセスアプローチ現実を観察し、質問する矢印どの要求事項に関わるか
それを満たしているか

橋本
「伊丹さんの話を聞くと、例えば文書管理が適合かどうかを見るにも、文書管理の規則だけでなく実際の規則をとじたファイルとか、現場の文書の状況などを見なければならない。
そしてそれらから仕組みや運用が規格適合かどうかを考え判断しなければならない」
伊丹
前々回のとき、橋本さんだって規格では手順書とあっても会社の名称はそうでなくても良いということをおっしゃってたじゃないですか」
橋本
「文書の名前までは一致していなくても良いとは思いましたが、規格で文書管理の項目にある要求事項は、文書管理の規則を読めば分かることと思っていました」
伊丹
「確かに現実は簡単じゃありませんよね。
会社の仕組みは複雑です。人事から営業から製造から多方面にわたっているでしょう。
その多くの仕事を会社の規則集で定めていると思いますが、ひとつの規則で全部を書き尽くすことはできません。当然、会社の業務を分担して、いくつかの規則で仕事の手順を定めると思います。
そのとき文書管理の規則が、すべての文書の管理を決めているということはありません。文書管理でない規則で文書管理を決めているかもしれず、工場の文書管理と事務所の文書管理は別の規則で違うことを決めているかもしれない。文書が違うだけでなく運用ルールが違うかもしれない(注2)
実を言って、普通の会社は定規で線を引いたようなものじゃありません。複数の者が組み合わさって会社のシステムを構築しているのです」

ジグソーパズル

橋本
「実際に審査に行けば9割の会社は要求事項と文書は1対1になっている。文書管理なら文書管理規則、不適合管理には不適合管理規則というふうに」
伊丹
「アハハハハ、そういう会社なら不適合にしなければならないかもしれませんね。賭けても良いですが、品質手順書に書いてある会社の仕組みは間違いなく実態と異なっているでしょう。そういう嘘つき会社は不適合にしなければ審査員が不適合です。
内務省が作った品質保証規格は、要求事項に対応した文書や帳票を作れと言うことではありません。そもそも時間的にみて審査を受ける会社は、内務省が品質保証規格を作る前から存在していたでしょう。だからその会社では以前から業務上必要な会社の文書や帳票を備えていたはずです。ですから内務省の規格で文書管理という項目があるから文書管理規定があるということはありません。
文書規則がある会社もあるだろうし、他の規則で文書管理を定めているかもしれない。さっきも言ったけど、工場と事務所は文書管理規則が別かもしれない。同様に計測器管理規則がある会社もあるでしょうし、計測器管理と機械の管理を合体させた規則の会社もあるかもしれない。伝票だって同じ。要するに会社の自由です。好き勝手という意味ではなく、過去の生い立ちとか関係者の考え方が反映されたユニークなものであるはずです。
要は役割分担や名前がどうあれ、内務省の規則の要求事項を満たしているかどうかです」
橋本
「それを審査員は見なければならないと・・・」
伊丹
「そのくらい難しくなければ審査員は張り合いがないでしょう。
ええと、話を戻しましょう。橋本さんは項番順審査を審査の標準的な方法にしたいということでしたね」
橋本
「あっ、いや、前言を取り消します」
伊丹
「となると、もうよろしいですか?」
海老沢
「あのう、内務省としては審査の方法は、あるべき姿であってほしいと考えます。現状が伊丹さんの考えるあるべき姿でないなら是正を図りたい」
伊丹
「先日も飲みながら話しましたが、内務省の規則ではそこまで細かく決めてないのですよ。変えるべきかどうかは検討しなければなりませんね。もし改定するなら内務省の規則を変えればおしまいです。
お断りしておきますが、項番順とかプロセスアプローチというのは、時と場合によって使い分けるようなものであり、こうでなければダメということもありません」
大久保教授
「伊丹さん質問ですが、審査方法を変えることによって、審査を受ける企業にはいかなる影響があるでしょうか? 従来以上に書類が必要になったり審査が難しくなるとか?」
伊丹
「プロセスアプローチでは項番順審査より審査員の力量が要求されるでしょう」
大久保教授
「はあ、そうすると審査を受ける企業の負荷も重くなるということですか」
伊丹
「いや、そうじゃありません。私は審査の負荷の合計は一定だと考えています。一定の負荷の一部を審査側が負い、残りを企業が負うというイメージでしょうか。ですから審査員の力量が大きくなり負担する負荷量が大きくなれば、企業が負担する負荷、つまり資料作成とか審査時の対応などの手間が少なくなると考えます」

審査方法による審査側・受査側の負荷の相違
審査員負荷/能力企業の負荷
項番順審査オレンジブルー
プロセスアプローチオレンジブルー

海老沢
「ほう! 本当ですか、伊丹さん」
伊丹
「審査のときに見せている規則は審査のために作ったものでしょう。そんなものを作るのを止めて、今までしていた実態を見せることにすれば、意味のない仕事が減るでしょう。ダメと言われたら、足りない分だけ作ればいいんです。
それから今まで審査員の脇に召使のごとく控えていて、審査員から要求事項○○の文書を出せ、記録を見せろと言われてたら、あっという間に差し出すというバカげたことをしない。本当は要求事項など会社側は知らなくていい、○○の文書を見せろと言われたら見せるだけでいい。言われなければ何もしなくても良い。
審査をするのは審査員です。審査料金をもらっているのだから当たり前です。そして審査員は自分が見たものから考えなければならない。会社の人は審査員が審査中に危険がないように配慮し、審査員から質問受けたとき回答するだけです」
大久保教授
「えっ! そんなことでいいの?」
伊丹
「本当は審査とはそういうものです。しかし現実は企業は認証しないと商売できない追い込まれた立場です。
それでしかたなく、昼飯に美味いものを食わせ、仕事が終われば接待し、審査員を審査官とか先生と呼んでもち上げ、言われた通りに規則を変えて、祀りたてているのです。誰にとっても不毛なことです。
そうじゃないでしょう。審査はビジネスです。お金もらう方が接待、買収、供応されてどうするんですか!
認証機関はサービス業です(注3)審査員は店員やウェイターと同じです。審査員はいかに企業の負荷を少なくするか、迷惑をかけないように己の力量を高めなければならんのです」
ドロシー
「伊丹さん、熱が入っていますね」
伊丹
「アハハハ、ちょっとムキになってしまった。
あれっ、橋本さんの姿が見えないぞ」
黒田
「先ほど黙って帰ってしまいました」
伊丹
「ちょっと、言い過ぎたかな」
海老沢
「まあ、橋本さんにはあとで話をお聞きしておきます。
だいぶ時間がかかってしまいましたが、会議開始と行きましょう」
大久保教授
「いやいや、もう会議の主要な論点は終わってしまったようだ。
今日の論点は審査手法の検討と審査員への普及だったはず。まあ、半分は前回終了後に料亭さちこで終わってしまったようだけどね」




橋本氏は元々四井建設の技術者だった。官公庁からの発注が内務省が定める第三者認証制度の認証を受けていないと仕事が取れないということになり、建設業界の認証の仕事をとろうと自分が提案して会社の新事業を立ち上げた経緯である。
クエスチョンマーク
橋本
それなりに勉強してきたつもりだったのだが、橋本は伊丹に論破されてショックを受けていた。とはいえ、彼も大学を出て早10数年、打ちのめされたわけではない。この商売をするには、生半可ではできないということだ。橋本は建設業対象の認証機関を立ち上げて順調になるまでというタスクを与えられていた。石にかじりついてもなんとかしなければならん。
さて、手っ取り早く伊丹論を実現するには気が利いた人間を投入するしかなさそうだ。あのドロシーとか黒田を引き抜いた方が速いかもしれない。彼らにはいかほど賃金を払えばいいのだろう。
橋本は頭の後ろで両手を組み、じっと考えるのであった。

うそ800 本日の反省
今回は少し熱くなってしまった。なにせISO審査員とチャンチャンバラバラを20年もしてきたのだ。ISOMS規格の理解も怪しく、ISO17021など見たこともない人を相手に戦うのは大変だった(注4)
規格解釈でISOTC委員がこう語っていますと書籍を示すと、「私の方が詳しい」と語った審査員もいた(注5)消防署の検査を受けた危険物貯蔵所が間違っていると語った審査員にはお手上げだった。
せめて小説の中ではそんな人たちを天国に導きたいと心から・・・

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注1
ご存じの通りISO17021:2006の4.4.1と4.4.2である。
この文章を見て、「組織(企業)が適合していることを立証する義務がある」と読んでいる審査員が多い。もっとも私にそうじゃないと教えてくれた方も某認証機関の取締役だった。

注2
私が初めて務めた会社は、工場と事務所の規則体系が別であって、運用ルール(発行管理やバージョンの付け方)が異なっていた。誰もそれを不思議と思わず、困ってもいなかった。
それが悪いという理由もなさそうだ。

注3
これは形而上のことではない。私が言うだけでなく、日本中の認証機関は帝国バンクの分類でサービス業となっている。ご確認ください。

注4
ISO17021ができたのは21世紀だなんて言わないでください。ISO17021ができる前はISO19011があったし、その前はガイド66とかガイド62があり、その前はJISQ14010がありISO10011-1/2がありました。まあ読んでないだろうけど。

注5
事実である。私がISOTC委員に問い合わせてご返事頂いたメールを示すと、「それはISOTC委員としての回答ではなく、個人の見解だ」とのたまわった。もう困り果てました。結局、上司が輸出が止まるとか言い出してその審査員に言われた通りにしました。
おっと、その審査員は認証機関の古手だったかもしれませんが、ISOの委員でもなく国内委員でもありませんでした。元工場勤務の並みの審査員でした。



外資社員様からお便りを頂きました(2018.11.19)
おばQさま
いつも興味深い、鋭いお話しを有難うございます。

>審査とは提出された証拠をOK・NGと判定していくことじゃありません。そんな楽で簡単な仕事ではお金がもらえないでしょう。審査員が証拠を探すのです

まさに仰る通りです、おばQさまから見ると当然かもしれませんが、眼からウロコな発見でした。 ご教示有難うございます。
他の技術規格の認証では、、CTS: Certification Test Spec.というものが規定されています。
これは、その規格を作る団体が、受験する会員、試験機関も含めて議論して、合意の上 規定されます。
つまり、技術系規格では、認証に適合する証拠は、CTSにより合意形成されています。
その結果として、CTSが存在する認証試験では、それに基づいた試験を行いPass/Failを判定できます。
これが、技術規格、多分 多くの安全規格などでも、共通したやり方なのです。
認証機関は、CTSの規定にも参加するし、それに必要な試験方法や、試験機材の設計を行い提供します。
また、その試験に必要な環境を維持し、ISO17025のような試験機関としての第三者認証も受けております。
CTSは、全ての設計要求をカバーできません(試験費用と時間制限)ので、必要な試験は追加するし、不合格が出ないような試験は、自明として削除する事もあります。
このように、CTSは適宜更新する事で、適切な内容にされています。

ISO認証では、CTSに相当するものがありません。
と言う事は、審査員は、その企業に適合したやり方:CTSに相当するものを設計した上で審査を行う必要があるはずです。
そうでないと認証試験にならないのだと思います。
定めがないのは、一見 自由で簡単のように思えますが、実はとても大変なのだと思います。
個別に定めるのが大変だというならば、業界ごとに定めても良いのだと思います。
そんな事をすると、認証をとるのが簡単になって、誰でも合格してしまうと言うのならば、それ以上の適切な認証の手順を明示するのが、認証機関の責任なのだと思います。
もし、それが出来ないならば、その認証は、その程度の試験品質なのです。
ならば金を出してやる必要もなくて、自主試験でも良いのでしょう。
自主試験ならば、試験の結果責任は企業にあり、責任の所在も明白なのです。
そこに、お金をとって、認証を行う認証機関と認証制度が存在するのですから、どうやって試験品質を担保するのかは、認証機関が証明してみせる必要があります。
その認証制度が合理的で、受験した企業に対しても役に立つのならば、わざわざ「認証制度は経営の役に立つ」などと、証明が難しい事を言う必要もないですよね。

外資社員様、毎度ありがとうございます。
実は二日ほど寝込んでしまいまして返事が遅れてすみませんでした。
年を取ると筋力も弱りますが、病気にも弱くなるのでご注意ください。趣味の仲間をひと月ほどみかけなかったのですが、本日メールが来て咳が出て病院に行った肺炎だった。自宅で療養していたがもう大丈夫なので来週から顔を出すなんてことでした。歳をとると咳をしただけで肋骨骨折もするとか、歳はとりたくありませんね。
嘆きはともかく、
Certification Test Spec.という言葉を知りませんでした。しばしネットを彷徨って調べましたが、特定の制度とかでなく一般語として使われているようです。おっしゃることは外資社員様の言う通りですが、いろいろな分野で最適な方法を議論するということなのでしょうか?
知識がなくてコメントできずすみません。
ISO9001やその他のISOMS規格となると、一体誰のためのものかということさえ分かりません。今現在、ISO9001認証しているから取引しようという発想をする企業もないでしょう。ISO5001認証すると省エネになると信じている会社はないでしょうし、ISO22301認証すれば事業は継続できると信じる経営者がいたらバカです。既にISOMS規格は何のために存在するのかわからないのです。
その意味でCTSを議論するまでもないしろもの(クロモノ?)なのです。
結局自己満足とかアクセサリーとして認証するものがISOMS規格なら、どうでもいいもの、誰も気にしないもの、何じゃないのかなと思います。
私のブログに管理責任者が審査員に言われるままにしろというという嘆きをメールしてこられた方がいますが、案外その管理責任者はISO認証の本質を理解して審査員のイチャモンを聞くのを駄賃を出す程度に考えているのかもしれません。
私が正論(と自分が思っていること)を叫ぶのは無粋というものなのでしょう。

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