「ファクトフルネス」

20.07.30
お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、推薦する本にこだわらず、推薦しない本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからとりあげた本の内容について知りたいという方には不向きだ。
よってここで取り上げた本そのものについてのコメントはご遠慮する。
ぜひ私が感じたこと、私が考えたことについてコメントいただきたい。

書名著者出版社ISBN初版価格
ファクトフルネスハンス・ロスリング日経BP社97848222896072019.001.111800円

この本は2019年総合の部で5位、そして2020年上期15位のベストセラーになった。私はベストセラーだからといって読むほうではないが、 ファクトフルネス 広告でタイトルを覚えていてたまたま本屋で平積みになっていたので、パラパラめくって面白そうだったのでその場で図書館に予約した。今はその本図書館にありますで検索できるから大変便利 💙
1,980円も自腹を切って買うほどのことはなさそうだ。だって最低賃金の2時間分の価値があるかどうか考えれば、そこまでの価値はないように思える。まして私は定年退職の無職である。

予約時にこの本が何冊図書館にあるか見たら、私の住んでいる市ではこの本をなんと20冊購入していた。それでも予約者が多くて、私の番になるまで半年以上かかった。さすがベストセラーになるだけあって、読みたい人が多い。予約者が多いから貸し出しの延長はできない。

この本を図書館に予約してから、いったいどんな本なのだろうとネットでググった。
ネットの書評や口コミでは素晴らしいという評価が多く、平均点が4.3となっている。これは毀誉褒貶著しく、どんな本にもケチをつける人がいるアマゾンでは最高クラスだ。
ところがどの書評でも最低点を付けた人が5%前後いる。評価が低い人のコメントを読むと、温暖化などの気候変動に楽観的過ぎるとか軽視しているという意見が多い。日本でもアメリカでも批判のレビューは同様である。

まあビョルン・ロンボルグの「環境危機をあおってはいけない」的な本だから、意識高いというか地球温暖化教徒(注1)からみれば、楽観的過ぎて悪魔の書に思えるのかもしれない。地球温暖化が超重大課題なのかどうかは、あと100年経たないと何とも言えない。現状では証拠不十分の水掛け論にしかならない。
俺の卵が薄いって? ほかにもDDTについての認識が甘いという反論も多々あった。とはいえ反論する人は、レイチェル・カーソンを論拠にしている。だがカーソンは研究して事実を明らかにしたわけではなく、「DDTの影響で鳥の卵の殻が薄くなった」と書いただけだ。反論するなら論文を根拠とすべきだろう。10分もググれば、DDTと卵の殻についての論文が10や20は見つかるのだ。もっともDDTによる影響はないという論文もあった。
ちなみにロスリングによるとカーソンは大衆科学作家とある。

それから評点が高い人の中にも、この本が340ページもボリュームがありすぎという批判が多い。これは私も同意、確かに一言いいたくなるボリュームである。
基本、10数個の三択問題について本一冊使って、思い込みや勘違いを解説しているだけだ。しかもそんな幅広い分野でもなく専門的な話も出てこない。
シンプルにまとめれば200ページでおつりがくるはずだ。そうなれば読みやすく、問題点もわかりやすく、より広く読まれるだろう。とはいえ著者たちは、それだけでは本にして売るには商売にならないと考えたのかどうか、

ともかくこの本の論調はロンボルグに似ているというか、そのまんまである。つまり皆が深刻に考えている問題について、それが真理なのか根拠があるのかと出典を追っていき、よく調べれば事実じゃない、思い込みだよ、心配するな、問題じゃないよという情報発信である。
ただロンボルグは環境問題に特化しているが、こちらは経済発展というか生活水準という切り口で見ている。もちろん地球環境問題も入っている。


この本は所得レベルを4段階に分けて発展を論じている。
ロスリングは各レベルに特定の名前を付けていないが、簡単に言えばレベル1は未開、レベル2は発展初期、レベル3は発展過程、レベル4は文明国になるのだろうか?

項目レベル1レベル2レベル3レベル4
移動手段歩く自転車(1950)バイク自動車(1965)
手で運ぶ自転車で運ぶ水道(1958)お湯が出る(2010)
調理方法マキの竃プロパン(1960)都市ガス(1981)IHコンロ(2010)
電気ない照明(1945)電気こたつ(1970)エアコン(1994)
教育毎日は行かない義務教育高校(1961)大学(1995)
便所屋外穴だけ便器あり(1945)水洗(1995)
 備考1:上の表は本の区分を基に私が作り、本に書いてない部分は私の考えで埋めた。
 備考2:( )は我が家の到達年

私が生まれたのは20世紀のちょうど真ん中1949年で、当時日本はレベル2か3だったのだろう。いや項目によればレベル1もあったようだ。私の少年時代にレベル3になり、レベル4に到達したのは20世紀末か21世紀初頭だろう。
私が生まれたとき水道は長屋に1か所だった。小学生のとき各戸に水道が来た。テレビを買ったのは高校1年の時。こたつを練炭から電気にしたのは二十歳のとき。
エアコンを買ったのは娘が中学3年の時だ。エアコンがないと遠くの図書館まで行かないと勉強できない。家にエアコンがあれば長時間勉強できて公立校に入れるから費用を抑えられると娘にねだられて買った。だが娘はエアコンの部屋で昼寝ばかりしていた。
水道 その娘は1995年に大学に入ったが、娘は私の一族でも家内の一族でも、最初に大学に入った人間だった。
水洗便所になったのは1995年だったと思う。蛇口をひねるとお湯が出るようになったのは2010年だった。
日本人の暮らしは私1代でレベル2からレベル4まで向上したと思うと、私はよい時代に産まれた。

この本は今の世界にはレベル1からレベル4の暮らしがあると定義するが、レベルの違いで差別したり諦めたりしてはいけないと書いている。そして欧州でも日本でもほんのわずかな期間でレベル1からレベル4に遷移してきた。今レベル1やレベル2であっても、すぐにレベル4になることは間違いない、世界はどんどん良くなっている、悲観せずに頑張ろうと語る。

そしてそのためには、行動する前に情報を集めてよく考えろ、最新データを当たることを必須要件としてあげている。
論じているテーマは経済発展とか教育とか健康とかではあるが、特段環境問題を解決しようとか、具体的課題について論じようというものではない。
当然冒頭に提示された問題の解答を知ることでもなく、その問題さえ単なる一例に過ぎない。
この本が語っていることは、あなた(読者)が世界の基準でもないし、知識があるわけでもなく、学校で習ったことはすぐに陳腐化する。常に新しい情報を身に着ける、郷に入ったらその地の常識を学ぶこと、それが必要だと当たり前のことを書いてるだけだ。

とはいえ思い込みといってもパターンも内容も多々あるわけだし、学校で習ったことだって多種多様だ。
勉強とは繰り返しというのも真理だから、間違いを気付かせ身につけさせるには、パターンの違う事例を繰り返し取り上げて340ページになったのも是とすべきか?
確かに著者はこの本では温暖化の問題を悲観的に書いてないので、地球温暖化教徒が目の敵にしたようだ。
一つの事実についての認識が同じであっても、楽観的に考えるか悲観的に受け取るか人それぞれだから、全員一致なんてありえない。全員一致は北朝鮮と中国に任せておこう。


私はこの本を読んで、個々の質問というかアンケートの問いと回答にはあまり高い評価をしない。それは個人によって興味あることが異なるわけで良い悪いではない。
ただ著者が述べている、最新データを調べて考えようとか、論理的な考え方が参考になると思う。
私がこの本を読んで素晴らしいと思ったことは次の通り。
他人の発言を素直に信じてしまうとか、古い情報とか過去の経験からの思い込みで判断や行動してはいけない。だまされないように、間違えないように、過失から犯罪者にならないために、行動する前に十分情報を得て判断しなければならないことを感じた。


ということで、ここからはこの本から離れて、私が考えた練習問題を書く。


うそ800 本日、再確認したいこと
三現主義というのがあります。現場で現物をみて、現実を把握して判断しなければならないという工場管理の鉄則です。
でもそれは会社や工場だけでなく、私たちの日常生活でも常に考慮しなければならないことです。消防署のほうから来ましたとか、お父さん事故起こしちゃったよなんて電話来たことありませんか?
そんな時に備えて、論理的に考える手がかりとしてこの本は適していると思います。



注1
地球温暖化教という新興宗教があり、教祖は山本良一先生である。温暖化教の聖書は「温暖化地獄」という山本先生の怖い経典である。「地獄は怖いぞ!」とたぶらかし入信させるのはオウム真理教並みの手口。
注2
注3
注4
普天間基地周辺にある学校一覧
学校名創立滑走路からの距離
宜野湾市立宜野湾小学校1881年1.03km
宜野湾市立普天間小学校1906年1.45km
宜野湾市立嘉数小学校1919年1.05km
普天間基地1945年
宜野湾市立普天間第二小学校1969年0.45km
沖縄国際大学1973年0.54km
宜野湾市立志真志小学校1982年1.05km
沖縄カトリック小学校1988年0.5km

注5
注6



「彼が言ったなら大丈夫」様からお便りを頂きました(2020.07.31)
>あなたは絶対、義父の連帯保証人になってはいけませんよ!
>彼にあなたのお父さんの連帯保証人になってもらうのは止めませんけど。

ちょっと言ってることが分かりません。悪い冗談としか思えません。

「彼が言ったなら大丈夫」様
お便りありがとうございます。
おっしゃる通りです。悪い冗談でした。
袖触れ合うも他生の縁といいます。でも他生の縁であり、決して多少の縁ではありません。ほんの少々しか縁のない他人のために、自己犠牲なんて現代でははやりません。
異性と仲良くなり結婚するのは性別がある生物のあたりまえのことですが、人間の場合は生物的なことだけでなく社会的なことも関係します。それで損得計算をするのもやむをえません。
さて彼とあなた、そして借財の関係を考えますと……

債務の関係心理状況あなたの行動
債務者連帯保証人あなた
義父親父ならしょうがない万が一の時どうなるのよ夫婦喧嘩 💥
義父あなたいいだろう冗談じゃないわ 💢別れます 💔
実父ひどいよ!やったね、ハッピー彼に甘える💗
実父あなたおいおい、大丈夫かいやよ!😠親子絶縁

このようにケースごとに考えてみれば、あなたの幸せはズバリ実父の連帯保証人には彼になってもらう組み合わせしかないとわかるでしょう。
そして義父/義母の連帯保証人になれば、離婚しても相続権がなくても抜けられません。貸主が同意すれば連帯保証人を抜けられるでしょうけど、金融機関が金づるを逃がすはずがありません。
ダメ、絶対連帯保証人、
えっあなたは男性でしたか、それなら
あなたは絶対、義父の連帯保証人になってはいけません!
彼女にあなたのお父さんの連帯保証人になってもらうのは止めませんけど。
と言い換えましょう。



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